ブリッジレポート
(8912) 株式会社エリアクエスト

東証2部

ブリッジレポート:(8912)エリアクエスト vol.20

(8912:東証2部) エリアクエスト 企業HP
清原 雅人 社長
清原 雅人 社長

【ブリッジレポート vol.20】2016年6月期第3四半期業績レポート
取材概要「第3四半期決算で業績の順調な進捗を確認する事ができた。同社においては、既にストック収入型ビジネス中心の収益構造が確立されているため・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年5月24日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社エリアクエスト
社長
清原 雅人
所在地
東京都新宿区西新宿六丁目5番1号 新宿アイランドタワー7階
決算期
6月 末日
業種
不動産業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年6月 1,498 188 183 140
2014年6月 1,147 100 102 143
2013年6月 819 49 50 37
2012年6月 646 4 5 19
2011年6月 595 -45 -43 -50
2010年6月 735 12 14 3
2009年6月 879 -182 -179 -381
2008年6月 1,015 -311 -307 -556
2007年6月 1,530 -95 -94 -118
2006年6月 1,580 18 18 -139
2005年6月 2,091 240 236 189
株式情報(5/17現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
112円 22,500,000株 2,520百万円 17.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2.00円 1.8% 9.77円 11.5倍 49.50円 2.3倍
※株価は5/17終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
エリアクエストの2016年6月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県の駅前商業地において、サブリースやビル管理・メンテナンス(清掃、設備保守、警備管理等)を中心に売買仲介や契約更新・契約管理等も手掛ける「ストック収入型ビジネス」と、テナント誘致等の「成功報酬型ビジネス」を展開。グループは、グループマネジメントが中心の同社の他、テナント誘致等を手掛ける(株)エリアクエスト店舗&オフィス、ビル管理等の(株)エリアクエスト不動産コンサルティングの連結子会社2社。「エリアクエスト」と言う社名には、「地域に根差して(エリア)、不動産の価値を追求する(クエスト)」と言う思いが込められている。
 
【沿革】
創業者である清原雅人氏(1991年4月、明治大学法学部卒業)が野村證券(株)を経て、1998年4月に友人と起業。2000年1月に独立してエリアリンク(株)を設立し、01年3月に社名を(株)エリアクエストに変更した。
 
2000年1月 会社設立テナント誘致事業開始
2003年2月 東京証券取引所マザーズ上場
2003年3月 ビル管理事業開始
2007年7月 更新及び契約管理事業開始
2011年5月 サブリース事業、パノラマクリーニング(※)開始
2014年11月 東京証券取引所2部上場
 
 
 
【1都3県の駅前商業地においてテナント誘致に強いビル管理サービスを提供】
 
特徴1 ビル管理事業 
   (サブリース事業含む)
パノラマクリーニングによる清掃業務は「顧客満足度No.1」を自負
特徴2 更新及び契約管理事業 
   (売買仲介部門含む)
トラブルの未然防止と、トラブルが起きてしまった場合の迅速対応
特徴3 テナント誘致事業 ビル管理事業とのシナジー
 
競合が少ない商業ビル特化の更新・契約管理及び仲介
同社は、アパートやマンション等の住居系不動産は手掛けず、JR及び私鉄主要駅の駅前に立地する商業ビルに特化して、ビル管理、売買仲介を含む更新・契約管理、及びテナント誘致事業を手掛けている。住居系不動産の同業務を手掛ける不動産会社は、テレビCMでよく目にする大手に加え、中小の不動産会社など数多いが(身近にある駅前不動産はこの分類)、同社のように商業ビル特化型の不動産会社は少ないと言う。
 
創業事業であるテナント誘致が強みに
同社がターゲットとする規模の商業ビルでは、管理にせよ、テナント付けにせよ、ビルオーナー等と付き合いのある駅前不動産等が強かった。しかし、小売りの現場において全国規模でチェーン展開する小売業者が優勢な昨今、こうした不動産業者はテナント確保で苦戦するケースが目立つようになってきた。一方、テナント誘致は同社にとって創業ビジネスであり、コーヒーチェーン、ドラッグストアチェーン、居酒屋チェーン等の出店需要を取り込み、会社設立から3年の2003年2月にマザーズ上場を果たし、04/6期に過去最高となる経常利益4億03百万円を計上した。同社は独自に分類した63業種・約3,000社の店舗テナントをデータベース化しており、物件毎にチームを組んで複数の社員がテナント誘致に従事しており、他社が一朝一夕に真似できるものではない。
 
唯一の上場企業としての圧倒的なパワー
最高益更新後は、収益構造改革に伴う苦しい時期があったが、これを乗り越えて、今16/6期は5期連続の増収・増益が見込まれる。安定収益を生むストック収入型ビジネスの好調を考えると、達成はほぼ確実と言える(上振れ期待が大きい)。業績の急拡大は偶然の結果ではなく、根拠がある。具体的には、競合が減った事、そして仮に競合したとしても、この分野で唯一の上場企業としてのパワーと積み重ねてきたデータベース及びノウハウで圧倒できるからだ。しかも、ビル管理(メンテナンス)も手掛けているため、ビルオーナーにワンストップの利便性も提供できる。
 
事業間シナジーの追求
テナント誘致は他のサービスと独立して提供されるのではなく、他のサービスと密接に関係している。同社は、テナント誘致事業部(テナント誘致)、更新及び契約管理事業部(トラブルの未然防止・解決)、ビル管理事業部(日常対応・設備等臨時対応)、の3事業部による三位一体型の管理サポート(テナント誘致力・トラブル対応力・設備対応力)を特徴としている(上記部門毎に担当を配し、3事業部が連携して対応している)。こうした事業間シナジーに、「パノラマクリーニング」と言う“日本一”を自負する清掃サービスを加える事で、ビルオーナーの心をつかみ、サブリース契約につなげている。
 
【攻めの営業!5期連続の増収・増益へ】
サブリース物件の開拓が順調に進み、想定を上回るペースで収益が拡大しているため、先行投資を拡大させていく考え。この一環として、広告看板の設置を積極化している他、Webサイトのリニューアルも実施した。露出度向上による認知度アップとエリアクエスト・ブランドの刷り込みが目的である。また、サブリース物件の開拓を加速するべく、資産価値を高めるリノベーションサブリースの提案営業にも取り組んでいる。
 
(1)広告看板の設置で露出度向上
16/6期に入り、広告看板の設置を積極化している。「フロアに空きが生じた時等にエリアクエストを思い出してもらおう」という作戦であり、先ず、首都高3号線(用賀付近)、同5号線(池袋付近)、更には、同4号線(清原社長の母校明治大学泉校舎付近)に設置した。現在、オーナーの同意を得てサブリース物件150物件を含めた同社の管理物件300物件への広告看板設置を進めており、今後は袖看板を中心に設置を進めていく(既に50か所程度で内諾を得ていると言う。掲載料無料のため看板費用のみ)。
 
 
(2)Webサイトのリニューアル
2015年4月入社の新卒社員によるプロジェクトチームを結成し、ビルオーナーが管理を任せたくなるようなWebサイトを目指してリニューアルを実施した(2016年1月31日にリニューアル・オープン)。
 
 
(3)リノベーションサブリースの提案営業を継続
同社はサブリース物件の獲得を加速するべく、地域特性や立地に応じて物件の用途や機能を変更して性能を向上させたり、価値を高めたりするリノベーションの提案を合わせて行っている。同社がサブリースの対象と考える物件には、フロアの一部やフロア全部が不稼働になっているケースが少なくないため、同社は不稼働部分の有効活用も含めてサブリースの提案を行っている。また、不稼働部分は原状回復がなされていないケースも多く、稼働するに当たって必要となるリフォーム、或いは高熱水道関係の修繕や新たな敷設等も同社が対応し、費用も負担する(時には鉄骨を入れ補強等も行う)。ビルオーナーは自ら負担する事なく、資産価値を高めると共に安定収益を享受できるようになる。

ターゲットを一等地の物件に絞り込んでいるため、サブリースでビルオーナーを説得する事は簡単ではないが、こうした提案営業によってオーナー側のメリットを示す事で契約につなげている。一方、同社は先行投資負担を織り込んだ収益性を試算した上で提案を行っているため、テナントが埋まれば先行投資を吸収して確実に利益を上げる事ができる。
サブリース契約後のオーナーの満足度は高く、解約は物件の売却等を理由に年に1~2件あるかどうか(15/6期はサブリース売上高7億74百万円を計上したが、預り保証金の返還は187万円にとどまった:(株)インベストメントブリッジ補足)。
また、サブリースは、当然、空室リスクを伴うが、同社は、人の流れが多い一等地(乗降客の多い駅周辺)に絞り込む事で、リスクを極小化している。解約が発生しても、概ね1カ月程度で次のテナントが決まっている(テナントが解約する場合は、6か月前までに同社に連絡する必要がある)。駅前一等地(5万人以上の乗降客)はリーマン・ショック後もテナント需要に影響はなく、家賃も下がらなかった。逆に景気が良過ぎると、オーナーが強気になり、契約がまとまり難くなる。

「パノラマクリーニング」とは、清原社長が自ら作成したビル清掃業務の作業指示と結果報告システムである。パノラマスケッチ、項目指示書、抜き打ちチェック、及び月次報告書からなり、パノラマスケッチに基づく丁寧な清掃作業と詳細な業務報告がビルオーナー等から高い評価を得ている。
 
パノラマスケッチ、項目指示書、抜き打ちチェック、月次報告書を特徴とする「パノラマクリーニング」
パノラマスケッチ
建物共用部全体のスケッチを作成し、清掃箇所を明記。これを利用する事により、オーナー、清掃員、同社が何処を清掃するかひと目で理解できる。
項目指示書
清掃箇所毎に作業項目(何処を、何曜日に作業するか)を設定し一覧化。
抜き打ちチェック
同社社員が不定期に清掃チェックを実施。チェック箇所を写真に撮り毎月提出。
月次報告書
パノラマスケッチ、項目指示書で明確にした清掃箇所について、抜き打ちチェック時に撮影した写真を添付して毎月、月次報告書を提出します。共用部の使用状況も報告。
 
(4)共用部分の不正使用や設備面でのトラブルにも迅速に対応しサービス領域を拡大
清掃にとどまらず、消防法上問題となる共用部分の不正使用等、ビルオーナー等の貸主共通の悩み事の解決や対応した事に加え、漏水を含む水回り、電気、空調、ガス、エレベーターといった設備面でのトラブル等に対しても、連絡を受ければ即時対応(問題が発生すれば、いち早く駆けつけ)で臨んだ事がビルオーナー等の更なる評価につながった。
 
仲介、アフターフォロー、掃除・メンテナンスをワンセットで提供
 
 
2016年6月期第3四半期決算
 
 
前年同期比25.2%の増収、同34.2%の経常増益
契約の累積効果でストック収入型ビジネスの核となるサブリースが拡大し、売上高が13億68百万円と前年同期比25.2%増加した。
利益面では、リノベーションサブリースへの積極的な対応で原価率が2.0ポイント上昇したものの、増収効果で売上総利益が4億83百万円と同18.6%増加。求人費や認知度向上に向けた広告戦略(管理物件・サブリース物件を活用した積極的な広告看板の設置)に伴う広告宣伝費の増加による販管費の増加を吸収して営業利益は1億89百万円と同32.1%増加。営業利益率も前年同期の12.9%から13.8%に上昇した。
 
 
 
第3四半期(1-3月)は経常利益が第2四半期(10-12月)の実績を下回ったが、下期は翌期以降への先行投資が増加するため、上期に比べて利益の伸びが鈍化もしくは減少する傾向がある。
 
 
第3四半期末の総資産は26億59百万円と前期末に比べて4億69百万円増加した。借方では、新規事業に向けた大阪での不動産取得に伴い有形固定資産が増加した。一方、貸方では、サブリース契約の増加に伴い長期預り保証金が増加した他、不動産の取得に対応するべく、長期借入金を積み増した。また、好調な業績を反映して純資産が増加した。自己資本比率は41.8%(前期末45.12%)。
 
 
2016年6月期業績予想
 
 
通期で前期比20.1%の増収、同36.5%の経常増益予想。配当予想を、1円から2円に引き上げ
通期の業績予想に変更はなかった。前期までの契約でストック収入型ビジネスの売上は、ほぼ確定しており、先行投資を吸収しながらの、5期連続の増収・増益となる見込み。第4四半期の営業活動は来期稼働物件のテナント誘致と再来期を見据えた新規物件の獲得が中心になる。

配当は1株当たり1円増配の年2円を予定している。
 
 
中期事業計画
 
 
サブリースをけん引役に業容を拡大させていく考えで、当面の目標として18/6期に売上高25億22百万円、経常利益4億49百万円を掲げており、清原社長は18/6期の計画の達成に自信を持っている(上記計画に表向き変更はないが、実際には、足元の状況を鑑みて、ストック収入型ビジネスの計画を引き上げる一方、成功報酬型ビジネスの計画を引き下げた)。

株主還元も積極的に行っていく考えで、今期は1株当たり1円増配の2円を予定している。2円配当は過去最高と並ぶものだが、来17/6期は売上高が過去最高を更新し、更に18/6期には経常利益も過去最高を更新する見込みである。
 
 
 
 
15/6期までの計画と実績の推移をみると、ストック収入型ビジネスの営業が軌道に乗り始めた13/6期以降、売上面では常に期初予想(各期初の予想売上高は従前の中期事業計画の計画値と同じか、計画値を上方修正)を上回る実績を残しており、利益面では、上振れ分を先行投資に充てる事で予想に沿った実績を残してきた。安定した収益が見込めるサブリースの契約が着実に積み上がっている事と、有言実行となった過去3年間の実績を考えると、18/6期の計画を達成する確度は高そうだ。
 
 
今後の注目点
第3四半期決算で業績の順調な進捗を確認する事ができた。同社においては、既にストック収入型ビジネス中心の収益構造が確立されているため、売上は1年半程度先まで、かなり高い精度で見通す事ができる。そして、この売上計画の下、中期事業計画の達成に向けた先行投資を計画的に実施していく事で利益を確実に確保していく考えだ。
順調な業績を反映して、16/6期の配当は過去最高と並ぶ1株当たり2円が予定されている。もっとも、同社の発行済み株式数は22,500千株のため、1円の増配に必要な資金は22,500千円にとどまり、新たに発生する配当負担は軽い。このため、中期事業計画と合わせて考えると、来期以降も、増配余力が大きい事がわかる。ストック収入型ビジネスを背景に、仮に毎期1円の増配を実施すると考えた場合、現在の株価水準であれば、マイナス金利下でなくても極めて魅力的な配当利回りになる。