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ブリッジレポート:(4634)東洋インキSCホールディングス vol.8

(4634:東証1部) 東洋インキSCホールディングス 企業HP
北川 克己 社長
北川 克己 社長

【ブリッジレポート vol.8】2018年12月期第2四半期業績レポート
取材概要「5月の「東洋インキグループ プライベートショー 2018」では展示のみでなくセミナーも開催され筆者は大阪大学栄誉教授 関谷 毅氏の講演・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年9月26日掲載
企業基本情報
企業名
東洋インキSCホールディングス株式会社
社長
北川 克己
所在地
東京都中央区京橋2丁目2-1
決算期
12月末日
業種
化学(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年12月 240,344 16,823 17,528 10,424
2017年3月 268,484 19,222 19,257 12,687
2016年3月 283,208 18,470 18,697 12,190
2015年3月 286,684 18,210 19,411 13,304
2014年3月 279,557 19,728 20,553 12,260
2013年3月 248,689 17,547 18,468 8,714
株式情報(9/4現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,788円 60,621,744株 169,013百万円 4.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
85.00円 3.0% 231.23円 12.3倍 767.32円 0.7倍
※株価は9/4終値。 発行済株式数、ROE、BPSは前期末実績。ROEは9カ月決算の実績値。12カ月換算では6.8%。
※2018年7月1日付で株式併合(5株を1株)を実施。DPS、PBRは当該株式併合を考慮。
 
東洋インキSCホールディングス株式会社の2018年12月期第2四半期決算概要などをご紹介致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
国内印刷インキ首位。インキ製造の原材料である顔料や樹脂加工技術を活かし、液晶用カラーフィルタ材料、電磁波シールドフィルムなど多角的に製品を展開。国内外66社の連結子会社、9社の持分法適用関連会社でグループを構成。世界22か国の拠点を基盤に様々な国や地域で事業を展開。(2017年12月末)
社員一人一人が革新的に発想し、科学的に実行、加えてそれぞれの活動を連鎖させることで生活者・生命・地球環境の持続可能性向上に貢献していくことをコンセプトとした長期構想「Scientific Innovation Chain 2027 (SIC27)」の下、2027年に向け持続的成長を可能にする企業体質への変革を目指している。
 
【沿革】
1896年(明治29年)、創業者 小林鎌太郎が東京日本橋で個人経営の「小林インキ店」を開業したのが始まり。1907年(明治40年)に東洋インキ製造株式会社に改組。明治期に入り、読売新聞(1874年創刊)、朝日新聞(1879年創刊)を始めとした多数の新聞や雑誌が創刊されたほか、富国強兵の下、教育水準向上のための教科書の制作を始めとした政府関係の印刷物も増加し印刷用インキの需要は急拡大していった。
当初は輸入品が中心であったが、良質な国産インキへの転換が国策として推し進められる中、高い技術力を持った同社は、民間印刷会社に加え、大蔵省印刷局を始めとした政府機関への納入も拡大し、輸出も増加した。また、原材料の顔料・樹脂から印刷用インキまでの一貫製造にもいち早く取り組んだこと、創業時から、印刷会社最大手の1社となった凸版印刷株式会社との関係が深かったことなども成長の背景として挙げられる。関東大震災、太平洋戦争といった困難な時期を切り抜け、戦後高度経済成長期に再び急成長を遂げ、1961年(昭和36年)東証2部上場を経て、1967年(昭和42年)、東証1部に上場した。
印刷インキにとどまらず、顔料、樹脂など原材料の生産・加工で培った多様な技術を活かし、液晶フィルム部材など他分野に事業領域を拡大している。グループ力の拡大とさらなる成長のため2011年(平成23年)持株会社制度に移行し、社名を東洋インキSCホールディングス株式会社とした。
 
【経営理念など】
企業グループとしてのブランドの原点を示すとともに、グループの社員各人が常に心に留め、企業人として相応しく行動するための規範として、経営哲学・経営理念・行動指針の三部からなる「東洋インキグループ経営理念」を、1993年4月に制定した。
2014年4月には、行動指針に新たに「株主の満足度向上」を追加。すべてのステークホルダーの満足度向上を目指してゆく。
 
 
この理念体系は理念カード(クレド)として全社員が常に携帯し、毎週部単位で行われる5分間ミーティングで読み合わせ、ディスカッションを行うなどして繰り返し確認し、より深い理解、実践を図っている。
また、海外も含めたグループ企業一体化のためにグローバル社内報を発行しているが、そのトップページには必ず「東洋インキグループ経営理念」を掲載。上記クレドも、「日・英」版に加え、「中・英」版もあり、経営理念の全世界的な共有・浸透に注力している。
 
【市場環境】
◎概要
(市場動向)
日本の印刷産業の生産金額はデジタル化の進展、活字離れ等の要因を背景に、新聞、雑誌など出版印刷を中心に減少傾向にある。
一方で、ポスター、カタログ、チラシ、POPなど商業印刷は底堅く、食品・医薬品などの包装紙、プラスチック容器に使われる包装印刷は2004年から2017年までのCAGR(年平均成長率)は+2.2%と堅調に拡大している。
 
 
一方、海外、特に新興国では、紙を対象物とした印刷(オフセット印刷)、食品パッケージなど主にフィルムを対象物とした印刷(グラビア印刷・フレキソ印刷)、共に今後の成長が予想されており、同社もその需要取り込みに注力している。
印刷機のイノベーションが進む中、クオリティーの向上に伴いローカルインキでは対応しきれない部分も多く、優れた日本製インキ需要は今後も高まることが予想されるという事だ。
 
(印刷会社と印刷インキ会社)
経済産業省「平成29年工業統計表・産業編」によれば、2016年の印刷・同関連業の事業所数は全国で10,589だが、うち96.2%にあたる10,187事業所は従業員数100人未満の中小企業である。
 
 
同社の顧客である印刷会社は印刷インキを購入して印刷を行うが、単純に印刷インキと紙をセットして機械を動かせば印刷できるというものではない。印刷会社が直面する「初めての紙を使用する際のインキの選択」、「特別な色を出す」、「今まで以上の高級感を出す」といったニーズや、印刷効率の向上や環境対策といった課題に対し、印刷インキ会社は顧客ニーズに合致した新製品の紹介や、様々なアドバイスを印刷会社に提供している。
国内約26,000社のうち、殆どの印刷会社は、こうしたソリューション無しにはスムーズに業務を進める事は難しく、印刷産業において印刷インキ会社は極めて重要な役割を担っている。
このため顧客である印刷会社は同社との直接取引を求めており、その結果、同社国内売上の8割近くが顧客への直接販売となっている。こうした顧客との強固な関係性は同社の大きな特徴となっている。
 
◎同業他社
インキ事業を展開する主な上場企業は同社を含め6社。
(4631)DICは世界規模でトップ企業であるのに対し、同社は国内インキ首位で、各品目別でもほとんどが1位か2位となっている。グローバルベースでは3位にランキングされている。(2位は欧州企業)
(4633)サカタインクスは同社の第2位株主で、主に物流面での相互補完を図り2000年に資本業務提携契約を締結している。
 
 
【事業内容】
◎「印刷インキ」について
同社の主要製品のひとつである印刷インキについて、「原材料」、「種類と用途」などを以下にまとめてみた。
 
 
この3つの原材料を混ぜ合わせて各種インキを製造する際に高度な分散技術が必要となる。
また、同社は創業以来これら原材料の製造を手掛ける過程で、様々な用途開発を進めて事業領域を拡大してきた。
 
 
◎事業セグメント
「色材・機能材関連事業」、「ポリマー・塗加工関連事業」、「印刷・情報関連事業」、「パッケージ関連事業」の4セグメントで構成されている。
このうち、「印刷・情報関連事業」は主に紙への印刷に使用する平版用インキ(オフセットインキ等)、「パッケージ関連事業」は食品包装などフィルムへの印刷に使用するグラビアインキやフレキソインキなど、「色材・機能材関連事業」は印刷インキの原料でもある顔料をコア素材とし展開した製品、「ポリマー・塗加工関連事業」はこれもインキの主原料である樹脂とその設計技術から展開した事業である。
 
 
 
 
 
印刷インキの主たる原材料である有機顔料を母体として、色材技術、有機化学合成技術、高度な分散技術との融合によって様々な分野で使用される材料を提供している。中でもインキや塗料の製造で蓄積された技術の結集によるナノレベルの分散加工技術から、さらに機能を高めた液晶カラーフィルタ材料を生み出した。
さらに分散加工技術は、有機顔料だけではなくCNT(カーボンナノチューブ)などの無機素材にも展開され、二次電池材料など新たなエネルギー分野への事業拡大にも繋がっている。
 
 
 
 
中核素材の機能性樹脂にさまざまな機能を付与した製品を開発している。長年にわたって培われた独自技術を用いて新たな機能を創造し、エレクトロニクス、エネルギー、ヘルスケア関連などの分野において、新たな需要の開拓、市場の創造を目指している。
 
 
 
 
グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷などの、パッケージ向け印刷用インキおよび機器を取り扱っている。
食品包装などの分野では消費者の安心・安全のためにインキの水性化など環境に配慮した製品開発にも注力している。
 
 
 
 
創業以来の中心セグメント。紙への印刷に使用する印刷インキが中心製品。
印刷インキの提供だけに留まらず、機械・機器の販売、印刷工程の効率化サポート、カラーマネジメントやカラーユニバーサルデザインに関する支援やツールの提供なども行っている。
 
◎海外展開
大きな成長を期待し難い国内市場では高付加価値製品による収益性向上を進める一方、今後成長が期待できる海外市場の開拓に製造、販売両面で積極的に取組んでいる。
海外生産体制は前中期経営計画中にほぼ完成し、原料調達、生産共に現地で行っている。
2017年12月末現在、約50の海外連結対象子会社、50ヶ所の生産拠点を有し、幅広い国や地域で事業を展開している。
 
 
 
 
3要素とも低下しROEは5%を割り込んだ。一般的に日本企業が目標とすべきと言われている8%へ達するために一段の収益性および効率性の改善が望まれる。
 
【特徴と強み】
①高い技術力
前述の様に、同社は印刷インキの原材料である顔料や樹脂も自社で生産を続けてきた。こうした技術力が高品質な印刷インキ生産のベースとなっているのはもちろんのこと、液晶用カラーフィルター材料や接着剤・粘着剤など、事業領域や製品の拡大に繋がっている。
 
②優れた課題解決能力
同社が印刷インキ国内首位の地位を築いている大きな背景の一つが印刷会社に対する高い課題解決能力だ。
印刷インキの製造・供給のみでなく、版作り、画像など「印刷」に関連する要素全般に関して古くから研究を続けており、これが顧客に対する技術提案力やサービス力、ひいては顧客満足度の向上に繋がっている。
 
③環境に対する取り組み
同社では、CO2の削減とともに、Non-VOCインキや水性インキ、UVインキなどの環境調和型インキにもいち早く取り組んできた。新興国においても環境規制は一段と強化されており、ニーズは拡大している。また化学物質管理への取り組みや他社に先駆けたスイス条例対応製品のラインナップ化など安全・安心への取り組みも進んでいる。
 
④経営戦略の独自性
M&Aについては、同社がもつ技術力を新しい市場に展開するうえで、シナジー効果が期待できる場合には選択肢のひとつとして考えている。ただ、単にボリュームアップを目的としたM&Aは志向していない。また、輸送マイレージの削減、現地品の利用など、効率性向上と社会的貢献の両面から海外市場における「地産地消」のポリシーを印刷インキ業界ではいち早く打ちたてて実践してきた。
 
 
2018年12月期第2四半期決算概要
 
 
増収減益
売上高は前年同期比4.1%増の1,409億円。色材・機能材、パッケージが堅調。アジア中心に海外販売が拡大した。営業利益は同23.1%減の77億円。販売数量増(+8億円)、価格改定(+1億円)の増益はあったが、ナフサ価格上昇に伴う溶剤など原材料価格高騰(-22億円)、販売価格下落(‐8億円)が影響した。
 
 
☆色材・機能材関連事業
増収減益。重点製品であるメディア材料は減収、機能性分散体の規模はまだ小さいものの大きく伸張。

(化成品)
顔料は印刷分野では低調も、塗料用途で販売が伸長したが、原料価格高騰の影響を受けた。

(表示材料)
国内市場は縮小傾向も台湾・中国市場は大型パネルを中心に概ね堅調に推移。台湾でのシェア拡大と中国での新規顧客での採用が進んだ。

(着色剤)
国内はパッケージ、海外はOA機器を中心に好調に推移したが、原料価格高騰の影響を受けた。

(機能性分散体)
国内リチウムイオン電池用カーボン分散体は堅調に推移し、絶縁ブラック分散体の販売は伸長した。
 
☆ポリマー・塗加工関連事業
増収減益。重点製品であるエレクトロニクス・オプト製品は2桁の増収。

(塗工材料)
スマートフォン向け導電接着シート、エレクトロニクス関連の機能性フィルムの拡販が進んだ。

(接着剤)
エレクトロニクス向けの粘着剤が好調に伸長したほか、包装用やリチウムイオン電池用のラミネート接着剤も国内外で伸長したが、原料価格高騰の影響を受けた。

(塗料樹脂)
缶用塗料は欧米市場での環境対応製品が堅調に推移した。
国内はコーヒー缶の需要の低迷などにより低調だった。
 
☆パッケージ関連事業
増収減益。重点製品である海外リキッドインキは好調。

(軟包装材)
国内は堅調に市場が推移する中、バイオマス製品の拡販を進めた。
海外は、中国市場が低迷したものの、東南アジア、インドでの拡販が進んだ。
国内外とも原料高の影響を大きく受けた。


(建材)
国内向け輸出とも堅調に推移したが、原料高の影響を受けた。

(段ボール)
市場は堅調だったが印刷面積の減少に歯止めがかからず、影響を大きく受けた。
 
☆印刷・情報関連事業
減収減益。重点製品の機能材インキは堅調。

(オフセットインキ)
国内はチラシ、出版、新聞の需要減少の影響により低迷。新製品拡販を進めたが、カバーには至らなかった。
海外はインドでの拡販が進み、輸出も伸張した。南米では枚葉インキの拡販を進めた。
原料価格高騰の影響を受けた。

(機能材インキ)
UVインキは、省エネ・商業分野において国内外市場が拡大したのに加え、紙器用途で拡販を行った。コストダウンを進めたが原料価格高騰の影響を受けた。
インクジェットインキは欧州、中国等でUV製品の拡販、国内では水性製品開発が進み、大口案件でのスペックインが進んだ。
 
 
現預金増などで流動資産は前期末に比べ41億円増加。株価下落による投資有価証券の減少などで固定資産は同70億円減少。資産合計は同28億円減少の3,768億円となった。買入債務の増加等で負債合計は同26億円増加の1,512億円。利益剰余金は増加したが円高により為替換算調整勘定がマイナスに転じたことなどから純資産は同54減少の2,255億円となった。
この結果、自己資本比率は前期末の59.0%から1.0ポイントし低下し、58.0%となった。
 
(4)トピックス
◎本社社員食堂が「健康な食事・食環境」認証制度で先行認証を取得
本社社員食堂「キッチンリオン」が、2018年4月より応募が始まる「健康な食事・食環境」認証制度のモデル給食施設として先行認証された。

「健康な食事・食環境」認証制度は、外食・中食・事業所給食で、「スマートミール(健康な食事)」(※)を、継続的に、健康的な空間(栄養情報の提供や受動喫煙防止等に取り組んでいる環境)で、提供している店舗や事業所を認証する制度。
厚生労働省の「日本人の長寿を支える『健康な食事』のあり方検討会」報告を受け、2015年9月に健康局長通知として示された「生活習慣病予防その他の健康増進を目的として提供する食事の目安」をふまえ、日本栄養改善学会・日本高血圧学会・日本糖尿病学会など7つの学協会からなる「健康な食事・食環境」コンソーシアムが審査・認証している。

同社グループは、2016年の京橋本社移転に合わせてオープンした新社員食堂「キッチンリオン」の設計および運営を、社員の利便性向上とコミュニケーション活性化に加え、グループのCSR行動指針の一つに掲げる「快適で自己実現のできる職場環境の醸成」に基づき、社員の食習慣に働きかけることによる健康増進支援という方針を掲げて展開してきた。
特に健康面においては、野菜や大豆製品中心の副菜小鉢の提供、塩分摂取量を増加させてしまう漬物の提供廃止、減塩・ノンオイル調味料の提供、日替わり健康米やサラダバーの導入などの具体的な施策を、食堂運営委託会社である西洋フード・コンパスグループ株式会社と協力して取り組んできた。
このような全方位的な取り組みが評価され、今回、本格的な認証制度スタートに先立ち、制度のモデル給食施設の一つとして先行認証された。
今後は他の拠点においてもこの認証制度を活用し、社員食堂から発信する健康増進支援活動を広く展開する考えだ。

※スマートミール
健康に資する要素を含む栄養バランスのとれた食事の通称。
スマートミールの基準は、厚生労働省の「生活習慣病予防その他の健康増進を目的として提供する食事の目安」(平成27年9月)や食事摂取基準2015年版を基本とし、さらに給食会社4社の実際のヘルシーメニューの献立分析を行って決定した基準であり、エネルギー量、料理の組み合わせ、食塩相当量などを考慮した料理・食品で構成されている。
 
 
2018年12月期業績見通し
 
 
営業利益・経常利益を下方修正
売上高はほぼ期初の予想どおりに推移しているものの、原油価格の上昇や、環境規制強化に伴う供給不足などにより、想定以上に原材料価格が急騰し、上期の営業利益は期初の予想を下回り、第3四半期以降も原材料価格の上昇が予想されることから営業利益および経常利益の通期予想を下方修正した。
同社では下期の原材料価格の影響額は上期の22億円を上回る23億円と見込んでいる。また、物流コストなど固定費の増加も予想している。
減益を予想しているが、価格改定を上期実績1億円に対し、下期8億円と推進する他、高付加価値製品の開発販売拡大、生産スケールの最適化や生産プロセスの見直しによる収益力の向上、キーマテリアルの処方改良や自製化などに取り組む。
配当は株式併合を考慮したベースで85.00円/株の予定で、前期から1円増配。予想配当性向は36.8%。
為替は1USD=110円(前期平均112.0円)、1EURO=130円(同127.2円)、1RMB=17円(同16.6円)の前提で変更は無い。
 
 
18年12月期下期の各セグメントにおける主要施策は以下の通り。
 
 
(3)トピックス
◎世界各地で展示会に出展
同社では自社の技術力および特徴ある製品群を顧客や取引先を始めとした多くのステークホルダーに紹介するための展示会を世界規模で開催している。
今下期もパッケージ用インキや接着剤を中心にミャンマー(9月)、東京(10月)、上海(10月)、イスタンブール(10~11月)で、また12月には幕張メッセで開催される高機能フィルム展に自動車内装用加飾材料やハードコートなどを展示する予定で、進出を決めたミャンマーを始め成長地域・成長事業領域でのプロモーションを積極的に展開する。

また、これとは別に同社は毎年5月、東京で「東洋インキグループ プライベートショー」を開催している。
今年5月30日に東京国際フォーラムで開催され、約2,100名が来場した「東洋インキグループ プライベートショー 2018」では、約60のブースの他、重点テーマとして食品・生活用品のパッケージや住空間の関連製品を展示する「暮らしゾーン」と、主に自動車における快適で安全な有働を実現する機能性製品を紹介する「移動ゾーン」の2つを設けて新事業の創出・育成に向けた製品およびソリューションの研究開発や製品化への取り組みを展示していた。
また、会場では、IoT関連ビジネスとして期待している行動検知システム「Fichvita(フィッチヴィータ)®」も設置され多くの来場者の目を引いていた。
 
 
中期経営計画「SIC-Ⅰ」初年度の主要な取り組み
 
(1)グローバル展開
早期の海外売上高比率50%超えを目指している。
 
◎パッケージ関連製品の拡大
2020年度売上目標を2017年比+100億円としている。
ミャンマーでは周辺国からの輸出で事業を展開していたが、規制緩和で独資による現法設立が可能となったためインキ及びラミネート接着剤の製造・販売会社を2018年8月に設立した。2019年内の稼働を予定している。
また、グラビアインキの生産設備増強を進めている。ベトナムでは6月に工場増強が完了し生産能力は2.3倍に拡大した。マレーシアでは、10月の工場完成により能力は1.4倍に増強される。
 
◎収益力強化に向けた事業領域の拡大
2020年度売上目標を2017年比+51億円としている。
インドでは拡大するニーズに幅広く対応するため、各種インキの展開に加え、着色剤の新工場建設(2018年7月)、粘着剤の現地生産など、事業領域の拡大と複合化を推進してビジネスを拡大する。
成長著しいトルコおよび周辺エリア(中東、アフリカ、中央アジア、東欧など)でトップシェアとブランド確立を目指し、トルコにおける各品種の生産能力の増強と新事業のスタートを推進するため、新たな工場用地を確保したが、米国・トルコ間の緊張状態に伴う急激なトルコ・リラ安のため着工についてはペンディング状態である。
 
(2)新製品の拡大(色材・機能材)
炭素材料、無機粒子、金属粒子を対象に、コア技術である分散技術・表面処理技術の進化による製品ラインアップを拡充し、モビリティ、エレクトロニクス、意匠分野での実績拡大を目指している。
 
◎モビリティ
2020年度売上目標は30億円。
リチウムイオン電池の高導電性と高耐久性を低添加量で実現する「リチウムイオン電池用カーボンやカーボンナノチューブ導電分散液」の米国や中国における実績化に向け積極展開中である。
また、高透明性を維持しながら熱線・可視光線遮蔽を実現する「自動車ガラス中間膜用無機粒子分散液」にも注力中である。
 
◎エレクトロニクス
2020年度売上目標は10億円。
高透明性を維持しながら、各種物性向上や色調調整を実現する「フォルダブルディスプレー透明PI樹脂用無機粒子分散液」、高分散・細密充填化によって高透磁率を実現し、インダクタの小型化に貢献する「インダクタ用金属粒子分散液」の実績化に取り組んでいる。
 
◎意匠性・デザイン
2020年度売上目標は10億円。
注力材料は、幅広い用途で、付加価値の高い黒を実現する「漆黒材料(カラーブランディング)」。塗料メーカーやエンドメーカー、デザイナーなどによるコンソーシアムを形成し、オープンイノベーションによる付加価値の高い黒のブランディングを進める。
また、後加工なく、通常成形で新たな風合いのボトルを実現する「フロスト調ボトル用マスターバッチ」にも期待している。
 
(3)新製品の拡大(ポリマー・塗加工)
2020年度売上目標は40億円。
これまで展開してきた電磁波シールド材料に加え、幅広い周波数領域に対応する製品の開発・拡販を進める。

電気自動車の普及に伴うノイズ対策の需要拡大や、省人力化に寄与するRFID技術の浸透など、低周波領域に対応する電磁波吸収材料へのニーズに応える製品を開発中である。
加えて、2020年にも予想される次世代移動通信(5G)の登場により通信速度がさらに高速化することで、高周波への対応が必須となる中、高周波に対応する電磁波シールド材料の開発も進めている。
 
(4)新製品の拡大(パッケージ、印刷・情報)
◎バイオマスインキの拡販
2020年度売上目標は20億円。
低炭素社会に向けて、バイオマス素材を原料とした脱石化製品を国内外市場に展開する。
バイオマス素材を原料に使用したインキは、カーボンオフセットの考え方からCO2削減に貢献できるため、地球環境保全の観点から、バイオマスインキの開発・拡販を進める。
ラミネート用、表刷用、紙用といった各種インキをラインナップするだけでなく、ラミネート接着剤もバイオマス型を用意し、トータルで循環型社会に応えていく。
 
◎機能性製品の拡販
インクジェットインキや金属インキなど付加価値の高い機能性製品の拡販を推進する。
インクジェットインキは、商業印刷市場においては「基材への浸透性技術」と「色間にじみ抑制技術」により、コート紙基材に直接印刷が可能となった。業界トップレベルの印刷速度と画質を市場に提供する。
また、軟包装市場においてはインクジェットインキのみならず、様々なフィルム基材への対応を可能とするアンカー剤、更にはラミネート接着剤も提案することで、高画質かつ高生産性なソリューションを市場に提案する。
2020年度売上目標は60億円。

金属インキでは、速乾性と加工密着性の両立を実現した業界初の低マイグレーションLED-UVインキを発表した。食缶を中心に市場が伸長する中、金属インキ市場におけるLED-UVインキのパイオニアとして、海外事業の拡大を推進していく。2020年度売上目標は60億円。
 
(5)新規事業領域での取り組み
SIC-Iで注力する6つの重点ドメインのひとつが「IoT関連ビジネス」。
その具体的なアウトプットとしてポリマー素材と回路設計技術による独自のインターフェースをコアとした行動検知システム「Fichvita(フィッチヴィータ)®」を開発した。
これは、床に設置したセンサーパネルの上を歩くことで、歩幅や歩行速度・方向、通行人数、転倒状態などを検出できるもので、カメラが設置できない場所での異常検知、小売店舗での購買行動分析、物流倉庫などでのカメラによる検知が難しい場所や時間帯での行動検知など、幅広い市場へのソリューションビジネスへの展開、生活文化のデジタルトランスフォーメーションへの貢献を目指している。
2018年7月より顧客との実証実験を開始し、2019年の事業化を計画している。
 
 
 
今後の注目点
5月の「東洋インキグループ プライベートショー 2018」では展示のみでなくセミナーも開催され筆者は大阪大学栄誉教授 関谷 毅氏の講演「IoT社会の実現を支える材料技術」を聴講した。
副題として「ご家庭内での脳のセルフケア、構造物ヘルスケア技術を実例に」を掲げた同セミナーでは、脳波センサを使用した脳計測による「認知症の早期判断・早期治療」、「睡眠状態の管理と質の向上」などの実現可能性について関教授が説明したが、社会的なニーズは高いものの普及のためには脳波という極めて弱い信号を計測・処理するためのIoT技術のコストを大きく引き下げる必要があることを指摘。
そのためには材料技術が大きなカギを握っていることから、関谷教授は東洋インキグループの技術力を高く評価し、共同研究を進めているとのことであった。
短期的には下期も続く原材料高のマイナスを価格改定や生産プロセスの見直しなどによる収益力向上でどれだけ吸収できるかを、中長期的には「Fichvita(フィッチヴィータ)®」を始めとしたIoT関連の材料技術の具現化プロセスを注目したい。
 
 
 
<参考1:中期経営計画「SIC-Ⅰ」(2018年度‐2020年度)>
 
持続的な成長を実現する2027年に向けた10年の長期構想「Scientific Innovation Chain 2027 (SIC27)」の下、3年ごと3段階の中期経営計画に落とし込み、課題と役割を明確にし、目指す未来に向けて着実に行動していこうと考えている同社は、第1段階である「中期経営計画SIC-I(2018-2020年度)」を今期スタートさせた。
 
<基本方針>
テーマは「挑戦を繰り返す。」
更なる100年レンジでの持続的成長の礎を創り上げる期間と位置付け、変革のための施策を立て続けに打つ。
① 成長に向けた既存事業の変革と新事業への挑戦
② 持続可能性向上に向けたモノづくり革新の推進
③ 経営基盤の刷新
 
<数値目標>
 
 
(セグメント別主要課題)
 
◎投資計画
重点ドメイン拡大や新規事業創出のために振り向ける投資枠として、戦略的投資枠を従来の設備投資枠とは別に設定し、計画達成に向けた積極的な投資を行う。
 
 
戦略的投資枠とは、後述する重点ドメイン拡大や新規事業創出のための変革に向けた投資枠で、計画達成に向けた、人材・技術投資など各種取組みをこの枠内で実行していく。
 
<主要施策>
①成長に向けた既存事業の変革と新事業への挑戦
【1-1既存事業の変革】
■グローバル展開
海外市場での成長力を高めるため、これまでに進出した拠点の複合化・製品の拡充を進め、多彩なビジネスを展開していく。
インクジェットインキ・インキ用顔料分散体では、環境対応製品の生産を中国(珠海)で着手するほか、日米仏で品目を拡充する。
ラミネート接着剤では、食品パッケージ市場に対して、リキッドインキビジネスを展開するグローバル拠点と連携して拡販を図る。
2017年度比で530億円の増収を目指す。

■新製品の拡大
顔料・樹脂を核に新規素材の開発を進め、コア技術である合成・分散・成膜技術と組み合わせることで新しい価値を創造し、新市場・新規エリアでの拡大をはかる。
中でも、ポリマー・途加工関連事業においてエレクトロニクス関連材料やメディカルヘルスケアに注力する。
2017年度比で160億円の増収を目指す。

【1-2新事業への挑戦】
SIC-Iで注力する6つの重点ドメインを設定した。持続的成長に向け、単なる製品の提供にとどまらないソリューション提案を中心とした新しいビジネスモデルの開発に挑戦し、「SIC-II」、「SIC-III」に繋げていく。
 
 
以下、4つのビジネスに注力する。
 
[センサー関連ビジネス]
ドメインは、モビリティ、メディカルヘルスケア、IoT。
成長著しいIoT市場において、急速に増加する「センサー」に着目。ケミカルを軸とした「モノづくり」に加え、新しいテクノロジーを取り入れて「情報・システム」までを提供するセンサー関連ビジネスの開発に挑戦する。
(主要製品・サービス)
イメージセンサー材料、センサーデバイスなど。「SIC-II」、「SIC-III」ではセンシングデータに基づくデータビジネスの展開も視野に入れている。
 
[生活余熱関連ビジネス]
ドメインは、モビリティ、IoT、エネルギー。
生活周辺で未利用となっている「生活余熱」に着目し、これを高効率で無駄なく再生・利用する技術開発を進め、エネルギーの循環利用ソリューションを提供するビジネスに取り組む。
(主要製品・サービス)
耐熱接着シート、超耐熱絶縁・熱伝導シート、高耐熱マネジメント部材群など。
 
[ヘルスケア関連ビジネス]
ドメインは、メディカルヘルスケア。
貼付型医薬品事業プラットフォームをベースに、医薬事業基盤を着実に拡大し、周辺のヘルスケア関連材料の開発・拡販も強化していく。
(主要製品・サービス)
血糖値検査チップ用テープ、医療用粘着剤、生体適合ポリマー、次世貼付型医薬品など。
 
[天然素材関連ビジネス]
ドメインは、天然素材。
可食色素や笹関連製品の事業プラットフォームを活かした新たな機能性天然素材のビジネス化や、バイオマス製品の拡充を進め、低炭素社会への一層の貢献を目指す。
(主要製品・サービス)
可食色素製品、クマザサ関連製品、バイオマスインキ、機能性食品素材など。
 
②持続可能性向上に向けたモノづくり革新の推進
同社ではこれまで、積極的な海外拠点拡大によるモノづくりネットワーク構築、環境に配慮した安心・安全なモノづくりの構築、グローバルでの化学物質管理・貿易管理体制の整備に取り組んできた。
SIC-Iでは、生活者・生命・地球環境の持続可能性向上に貢献するため、自らの持続的成長も見据えたモノづくり革新に取り組み、持続可能性への貢献と収益確保の両立を目指す。
(取り組み例)
パートナーとの共存共栄によるグローバル・サプライチェーンの構築
デジタル技術融合による生産プロセス革新
地球環境と共生するモノづくり(省エネ、CO2排出量削減等)の推進
 
③経営基盤の刷新
既存事業の変革、新規事業の創出、モノづくりの変革に向け、業務システムのグローバル統合推進や、変革に向けた人材採用、制度改革(確定拠出年金制度への完全移行、65歳定年制開始)などの経営基盤強化を進めるとともに、経営と一体となったCSR活動を推進し、生活者・生命・地球環境の持続可能性向上に貢献していく。
イノベーションを立て続けに創出するための基盤を強化する。
(取組み例)
グローバルでのERP統合推進、AI活用による業務効率化推進
変革に必要な人材の積極採用、イノベーションを促す人事制度への刷新
東洋インキグループの重要課題(マテリアリティ)の達成に向けた積極的なCSR活動の推進
 
 
<参考2:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2018年4月10日
 
<基本的な考え方>
当社グループは、平成23年4月1日をもって持株会社体制へ移行いたしました。持株会社体制のもと、グループ戦略機能を強化し、スピード経営を推進し、グループ全体最適と各事業最適をバランスさせることを通じてグループ全体としての価値向上を目指しております。
当社グループにおける経営の枠組みは、グループ企業経営における基本的な考え方を体系化した経営哲学及び経営理念ならびに行動指針からなる「東洋インキグループ理念体系」と、社会的責任への取組み姿勢を明確にしたCSR憲章及びCSR行動指針からなる「CSR価値体系」で構成されております。
当社グループは、「東洋インキグループ理念体系」と「CSR価値体系」を実践することにより、サイエンスに基づくモノづくりを通して、生活者・生命・地球環境の持続可能性向上に貢献し、経営理念に掲げる「世界にひろがる生活文化創造企業」を目指してまいります。
そのためにはステークホルダーと同じ視点で自身の企業活動を評価し、経済、社会、人、環境においてバランスの取れた経営を遂行することこそが、企業としての有形、無形の価値を形成し、社会的責任を果たすための最重要課題として位置付けております。
この実現のために、
● 事業執行機能を各事業会社に委譲するとともに、コーポレート・ガバナンスを強化するため、グループ各社に適用される稟議規程及び関係会社管理規程の適切な運用
● 内部統制システムの整備
● 株主総会、取締役会、監査役会、会計監査人など法律上の機能制度の強化による指導・モニタリング機能の向上
● 迅速かつ正確、広範な情報開示による経営の透明性の向上
● コンプライアンス体制の強化・充実
● 地球規模の環境保全の推進
などを進め、株主や取引先、地域社会、社員などの各ステークホルダーと良好な関係を構築し、コーポレート・ガバナンスを充実させております。

<実施しない主な原則とその理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しております。