ブリッジレポート
(3916) デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社

プライム

ブリッジレポート:(3916)デジタル・インフォメーション・テクノロジー vol.13

ブリッジレポートPDF

 

 

市川 聡 社長

デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社(3916)

 

企業情報

市場

東証1部

業種

情報・通信

代表取締役社長

市川 聡

所在地

東京都中央区八丁堀4−5−4 FORECAST桜橋

決算月

6月末日

HP

https://www.ditgroup.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,817円

15,501,820株

28,166百万円

21.1%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(倍)

16.00

0.9%

47.14

38.5倍

170.68円

10.6倍

*株価は5/28終値。発行済株式数は直近期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2013年6月(実)

7,391

294

266

109

8..48

1.00

2014年6月(実)

8,052

330

339

209

16.26

1.75

2015年6月(実)

8,492

427

427

297

22.93

5.00

2016年6月(実)

9,341

524

553

351

23.80

6.00

2017年6月(実)

10,273

653

641

466

30.34

7.50

2018年6月(実)

11,076

787

790

531

34.57

11.00

2019年6月(予)

12,300

1,060

1,065

724

47.14

16.00

*予想は会社側予想。16年10月1日付および18年4月1日付でそれぞれ1:2の株式分割を実施。EPS、BPSは遡及して再計算。
*16/6期より当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。

 

 

デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社の2019年6月期第3四半期決算概要などをお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年6月期第3四半期決算概要
3.2019年6月期業績予想
4.今後の注目点
<参考1:中長期成長戦略と資金使途>
<参考2:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 19年6月期第3四半期(累計)の売上高は前年同期比9.7%増の91億48百万円。ビジネスソリューション事業が大きく伸張。粗利率上昇、粗利額も2桁伸びた一方で販管費は人件費が増加したものの前年同期並みであったため営業利益は同46.6%増の9億55百万円となった。売上、利益ともに第3四半期の最高業績を更新した。

     

  • 好調な業績の進捗により業績予想を上方修正した。売上高は前期比11.0%増の123億円、営業利益は同34.6%増の10億60百万円の予想。新規事業への投資も継続するが利益率は向上。9期連続の増収増益、過去最高更新を予想している。配当も期末配当を2円/株増配し9円/株へ。中間配当7円/株と合わせ16円/株を予定。予想配当性向は33.9%と2期連続で30%以上を実現する。

     

  • 各事業とも好調で業績予想を上方修正した。中期経営計画において21年6月期10%を目指している営業利益率は、第3四半期(1-3月)で11.8%と更に最高を更新。19年6月期の営業利益率予想は8.4%から8.6%に上昇した。最終四半期は新人社員の受け入れ、期末手当等の季節変動費用が発生するとのことであるが、今後の上積みがどれほど進むのか注目したい。

     

1.会社概要

独立系の情報サービス会社。金融、通信などを中心顧客とした業務システム開発、組込み開発等の受託開発が売上の大半を占めるが、Webセキュリティソリューション「WebARGUS(ウェブアルゴス)」、Excel業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos(ゾブロス)」を始めとした独自技術による自社製品の拡大に注力している。「多面多様のIT企業」、「部分最適と全体最適の組織戦略」といった特長を持つ。

 

【1-1 沿革】

日本電信電話公社在籍時にプログラマーの資格を取った市川 憲和氏(現:代表取締役会長)はコンピュータという今まで経験したことの無い新しい世界と出会い、その将来性に大きな魅力を感じ、チャレンジ精神を奮い起こされ独立。
1996年に知人が経営していた東洋コンピュータシステム株式会社の社長として経営を任された後、業務システム開発事業を皮切りに、コンピュータ販売事業(現・システム販売事業)、組込み開発検証事業、運用サポート事業などを手掛け、多面多様のIT企業として事業領域を拡大していった。
その後、2002年にグループ企業数社を完全子会社化して、同社の前身となる東洋アイティーホールディングス株式会社を設立し、2006年に子会社4社を統合し、現社名に商号変更した。
また、2011年1月にDIT America, LLC.を米国カンザス州に設立、2015年6月に東証JASDAQ市場に上場、2016年5月に東証2部市場に上場し、2017年3月に東証1部へ市場変更。
2018年7月、変化が加速する経営環境の下、経営体制の若返りを図り、迅速な意思決定を可能にする体制作りを目的として代表取締役専務 市川 聡氏が代表取締役社長に就任した。

 

【1-2 企業理念】

当社のロゴマークは、無限階段がついた立方体の集合体となっています。

この集合体こそが、当社そのものであり、立方体一つひとつが社員一人ひとりを表しています。

立方体の6つの面は、全社員が共有し、大切と考える6つの価値を表しています。

この価値をお客様、会社、社員の3層で言葉に表したのが、当社の企業理念です。

(同社HPより)

(同社HPより)

 

立方体を展開したのが上の図で、市川社長によれば、「まずは顧客起点。ここから全てが始まる。」ことを強調している。その意識の下で、会社としては「社員の育成」と「対顧客、社員同士のコミュニケーション」、社員は「付加価値の向上」、「熱い情熱を持つ」、「目的意識を持つ」ことが重要な価値であることを示している。
社員はこの理念をクレドにして携行し、常に基本に立ち返ることとしている。

 

【1-3 事業内容】

1.セグメント
セグメントは「ソフトウェア開発事業」と「システム販売事業」の2セグメント。「ソフトウェア開発事業」は、ビジネスソリューション事業、エンベデッドソリューション事業、自社商品事業の3事業から構成されている。

 

 

(1)ソフトウェア開発事業
①ビジネスソリューション事業
(業務システム開発事業)
金融業、医薬・製薬業、通信業、流通業、運輸業等の幅広い分野において、エンドユーザーや顧客の情報システム子会社からの受託開発が中心。その他、大手SIベンダーからの受託開発も行っている。
具体的には各分野で培った技術により、Web系や基幹系、フロント業務からバックオフィス業務、新規システム開発や保守開発を行い、各分野の大手企業との信頼関係を築き上げ、安定した受注を確保している。

 

(運用サポート事業)
主要取引先は通信キャリア、人材総合サービス会社、及び航空会社系情報システム子会社など。
「ITを通じて顧客の日常業務の運用をサポートする事業」であり、大手顧客の事業ドメインに沿った形での継続的なビジネスであるため、安定した収益を見込むことができている。

 

具体的な業務内容としては、以下のようなものがある。
・各種業務システムを用いるエンドユーザーに対するサポートデスク業務
・インフラ(サーバー、ネットワーク)の構築・維持保守を行う業務
・最新技術動向に応じた、効率的なシステム運用を行う業務

 

②エンベデッドソリューション事業
(組込み開発事業)
車載機器、モバイル機器、情報家電機器及び通信機器等のソフトウェア開発を大手メーカーから直接受託している。
この内、車載機器、モバイル機器、情報家電機器等においては機器のファームウェア、デバイス機器の制御、アプリケーション等、システム全体にわたるソフトウェア受託開発を行っている。

 

特に、今後成長が見込める車載機器においては、インフォテインメントをはじめ、新しい技術である自動運転関連に注力している。また、通信機器においては、無線基地局や通信モジュール機器のソフトウェア受託開発を行っている。

 

(組込み検証事業)
製品に対する品質や性能の検証業務の受託及び検証業務を通じて機能や製品の改善について提案を行っている。
専門的な機器を使用し動作や性能を検証するラボ試験や、国内・海外(北米、アジア、ヨーロッパ等)の実際の環境で検証するフィールド試験、最終的な品質検証として第三者の観点で実施するシステム総合試験まで、様々な検証業務を行っている。

 

海外で実施するフィールド試験については、必要に応じて子会社のDIT America, LLC. に委託することにより、迅速なサービス提供と現地スタッフの感性も踏まえたユーザビリティの検証を行っている。
対象機器としては、車載機器、医療機器、通信機器、モバイル機器等である。

 

③自社商品事業
成長分野として独自技術の商品を自社開発し販売している。
現在同社が販売に特に注力しているのは、ウェブサイ卜の改ざんを発生と同時に検知し、瞬時に元の正常な状態に復元できる、新しいセキュリティソリューション『WebARGUS(ウェブアルゴス)』、データの分解・再構成機能を特徴とし様々な形のデータ事務処理ニーズに応えるExcel業務イノベーションプラットフォーム『xoBlos(ゾブロス)』の2つ。

 

この他、電子メールに電子署名を自動的に付与し、フィッシング詐欺やブランド盗用による被害を未然に防ぐためのソリューション『APMG(エーピーエムジー)』、ホームページ編集・更新が容易にできるCMS(コンテンツマネジメントシステム)『楽らくページ』などがある。

 

(2)システム販売事業
同社及び子会社の東洋インフォネット株式会社が、カシオ計算機株式会社製の中小企業向け業務支援・経営支援基幹システム「楽一」の販売を行っている。
販売エリアは、神奈川からスタートし、東京、千葉、群馬、愛媛へと順次拡大。ユーザーに対し、手厚いサポートを行うことで、リピート率の向上に努めている。加えて、コールセンターを設けて新規顧客開拓を進めており、「楽一」販売台数は全代理店中14年連続全国No.1となっている。

 

2.注目の戦略商品
①Webセキュリティソリューション「WebARGUS(ウェブアルゴス)」
WebARGUSは、ウェブサイ卜の改ざんを発生と同時に検知し、瞬時に元の正常な状態に復元できる新しいセキュリティソリューション。改ざんの瞬間検知・瞬間復旧により、悪質な未知のサイバー攻撃の被害から企業のウェブサイトを守ると同時に、改ざんされたサイトを通じたウイルス感染などの被害拡大を防ぐ。

 

(同社資料より)

 

◎増加するウェブサイト改ざん
「JPCERTコーディネーションセンター」が公開しているインシデント報告対応レポートによると、毎月100件前後の報告がなされており、官公庁なども含めて規模に関わらず常にその脅威に晒されている。

 

「JPCERTコーディネーションセンター」(※):インターネットを介して発生する侵入やサービス妨害等のコンピュータセキュリティインシデントについて、日本国内に関する報告の受け付け、対応の支援、発生状況の把握、手口の分析、再発防止のための対策の検討や助言などを、技術的な立場から行なっている。

 

◎「WebARGUS」開発の背景
こうした状況の下、電子メールに電子署名を自動的に付与しフィッシング詐欺やブランド盗用による被害を未然に防ぐためのソリューション「APMG」を既に自社開発しリリースしていた同社は、セキュリティに関するコア技術をベースに「WebARGUS」を2年程の調査の後、2013年春に開発に着手。2014年7月にリリースした。

 

同社はITに関する多様で豊富な技術を有するのが大きな特長・強みだが、セキュリティのコア技術に関してもハイレベルである。これは、受託開発では飽き足らず独自製品を作りたいという同社エンジニアのベンチャーマインドやチャレンジ精神に起因するもので、後述する同社の企業文化、カンパニー制度に代表される組織戦略が大きく影響しているといえそうだ。

 

◎製品の特長・概要

ウェブサイトの改ざん状態を極力ゼロにする瞬間検知・瞬間復旧

正規ユーザーになりすました改ざんや内部犯行、防御が困難な新手の手口にも対応

1ビットの改ざんも見逃さない、『電子署名』技術を駆使した高精度の改ざん検知

アプリケーションや設定ファイルを狙った高度な改ざん攻撃にも対応

通常監視時にウェブサーバにかかるCPU負荷(使用率)は1%未満

改ざんされたファイルを証拠として保存する証拠保全機能搭載

 

Webサイト改ざん被害に遭った場合、サイトの公開停止、被害箇所の特定、防御強化、サイト復旧・再公開という手順を取ると復旧までは平均で1か月かかる。仮にEC(電子商取引)を手掛けていれば、売上減少、再公開の周知の手間、一度離れた顧客の呼び戻しが困難など、その被害は甚大なものとなる。

 

これに対し、「WebARGUS」を導入していれば、改ざんの瞬間検知・瞬間修復により、サイトの状態を正常に維持し続けることが可能なため、改ざんを検知しても慌ててサイトの公開を停止する必要がない。サイトの運用を続けながら、改ざんされた原因を追求し防御強化に専念する事ができる。

 

他社の改ざん検知ソフトは、事前設定によって決められたタイミングや間隔でWebサイトを検知する定期監視が主流。ただこの場合は改ざん時と検知時のタイムラグが発生するため改ざん状態は免れない。またタイムラグを縮小するために検知の間隔を短くするとCPUへの負荷が大きくなってしまうなど課題が残る。

 

「WebARGUS」は、WebのOSに何らかのイベント(閲覧されている以外の、データを消された、書き加えられた等)が発生するとそのイベントを検知するリアルタイム検知を行うため、そのような課題は発生しない。
加えて、同製品は検知した改ざん状態を0.1秒未満(デモ環境の平均値:1ファイル当たり0.003秒)で正常復旧することが可能な、瞬間復旧機能を搭載している点が大きな特長であり、この瞬間復旧は同社のオリジナル技術である。

 

「WebARGUS」の年間ライセンス利用料は1OSにつき¥480,000(税別)で、サポート込み。
マイナーバージョンアップ時の更新モジュールの無償提供なども含む。

 

◎導入および販売状況
リリース当初はWebサイトセキュリティに対する考え方は侵入に対する防御が中心で、「改ざん検知」自体の認識が低いこともあり、ややスローな立ち上がりであったが、日本におけるIT国家戦略を技術面、人材面から支えるために設立された経済産業省所管の独立行政法人「IPA(情報処理推進機構)」でも、改ざん防止のための対応への言及が増加していること等から、「防御ソフトのみでなく改ざん検知ソフトが必要」という共通認識が急速に広がりつつある。

 

加えて、2017年11月16日に発表された「サイバーセキュリティ経営ガイドラインの改訂ポイント」において経済産業省は、「攻撃の検知」および「復旧」に関する「サイバーセキュリティリスクに対応するための仕組みの構築」を新たに重要項目として追加したこともあり、引き合いは更に強まっているという。

 

こうした環境下、同社では、より高度なセキュリティの必要性を認識しているユーザー層を対象に、セミナーの開催、展示会への出展などのプロモーションやマーケティングを展開している。
販売力強化に関しては、代理店販売にも力を入れており、現在の代理店契約総数は37社。
また、データセンターやクラウドサービス事業者との協業にも積極的に取組んでいるほか、国内への製品販売だけでなく、海外進出も予定しており、世界中のウェブサイト改ざん攻撃に対応する考えだ。

 

◎商品力の強化
当初はLinux版のみであったが、2016年4月にはWindows版を、2017年9月に大企業を対象としたエンタープライズ版をリリースしたほか、2018年2月にはトータルWebセキュリティ機能を大幅に強化する次世代型クラウドWAF「WebARGUS Fortify」の提供を開始した。特にエンタープライズ版のリリースにより、上場企業を中心とした大企業の導入事例も増加している。
また、ユーザーの利便性を高め、一層の普及を促すべく2018年5月には「SaaS」による提供も開始したほか、同年6月にはフィンランドのサイバーセキュリティ企業のエフセキュア社と全面的に協業。エフセキュア社のITシステム脆弱性診断ツール「F-Secure RADAR」とDITの「WebARGUS」との補完関係によるトータルセキュリティ提供体制を構築した。

 

このようにアライアンスも含めてセキュリティソリューションのラインアップを拡充した同社だが、今後はIoT時代のセキュリティ対策を見据えた組込み製品向けWebARGUSをはじめとして、製品の適用範囲の拡大を検討している。
例えば自動運転の普及・浸透に伴い、安全性の確保は自動運転システム提供企業にとって極めて重要な課題であり、同社が活躍するフィールドは今後もますます広がりを見せることが予想される。
組込み版については正式なプロジェクトを立上げ、製品化に向けて具体的なビジネスの検討と技術調査を継続中で、実際の商品化にはもう少し時間がかかるようだが、地道な実績の積み上げを経た早期の製品化を目指している。

 

②Excel業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos(ゾブロス)」
IT化の進んだ先進企業でも、現場ではExcelを利用した手作業を含む様々な業務が数多く存在している。紙帳票からの手入力によるExcel帳票生成、複数のExcelシートを元にした集計作業、パッケージシステムから抽出されたCSVデータの可視化と分析等の非定型業務の多くは、現場部門の地道な手作業によって処理されている。
同社が独自開発した「xoBlos(ゾブロス)」は、こうしたExcelベースの非効率な業務を完全自動化し、劇的な業務効率化をサポートするもの。

 

(同社資料より)

 

◎開発の背景
企業では見積書や請求書作成に表計算ソフトの代表であるExcelを用いるケースが多いが、例えば、顧客ごとに異なったフォーマットの見積書、請求書をExcelで作成している場合、集計、分類・分析などを行うにはシステム化は困難で、手入力が必要となる。そこで、この作業を自動化し業務効率の大幅な改善を目指すことを目的として開発されたのがExcel業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos」である。

 

◎製品の特長・概要及び導入例

異なる形式のデータでも、まとめて集計・加工可能

使っているExcel表を活かしたまま、効率化が可能

マクロに比べ最大で数十倍の処理速度

Excel表出力エンジンとして他社パッケージ製品に組込み可能

 

Excelを利用した業務効率の大幅な改善を目的として約8年前にリリースした「xoBlos」だが、長時間労働の是正を中心とした「働き方改革」のトレンドが強まる中、「現在使用しているExcelを使った業務フローをそのまま流用しながら業務効率化から経営判断に資する情報提供までをカバーする全社プラットフォームが構築できる」と言った効率性や、手軽さや導入コストの相対的な安さなどから注目度が飛躍的に高まっている。まさに「時代が同社とxoBlosに追い着いてきた。」状況だ。

 

さらなる商品力強化に向けて2018年2月には、RPA(※)製品や他システムとの連携機能を持たせることでExcel業務の自動処理化をより一層強化した。同機能はPCクライアント上に加え、Web Server上でも動作可能であり、幅広いユーザーの利便性を向上させることとなる。※RPA(Robotic Process Automation)
ロボットによる業務自動化の取り組み。AI(人工知能)や、AIが反復によって学ぶ「機械学習」等の技術を用いて、主にバックオフィスにおけるホワイトカラー業務の代行を担う。人間が行う業務の処理手順を操作画面上から登録しておくだけで、ソフトウェア、ブラウザやクラウドなどさまざまなアプリケーションを横断して処理することができる。

 

今後数年で800億円まで倍増するとも予想される国内RPA市場だが、RPA関連サービスが8割を占め、2割のRPAツール製品より成長率は大きいと見られている。RPA関連サービスとも位置付けられるxoBlosの大きな成長性はこの点からも期待できる。

 

下記の導入事例を始めとして、多くの企業で大幅な業務効率化を実現している。

 

*導入事例:株式会社アコーディア・ゴルフ「年間約20,000時間の工数を削減」

(同社資料よりインベストメントブリッジ抜粋・要約)

 

アコーディア・ゴルフグループは、全国161か所のゴルフ場、ゴルフ練習場を運営し、ゴルフ事業、ゴルフ練習場事業等を展開している。

 

(xoBlos導入前の状況)
月末になると、全国161ヶ所の拠点から膨大且つ様々なフォーマットの売上を始めとした報告資料のExcelファイルが集まってくるが、ゴルフ場の中にはレストランや売店に加え、ホテルやリゾート施設等が併設されている拠点もあり、データ集計作業が極めて煩雑であった。
また、それらの数値を拠点、事業、部署、従業員ごとに細かく管理・分析をしていたためExcelファイルの肥大化やマクロのメンテナンス等でバックオフィス部門が持続性について大きな不安を抱えていた。

 

(xoBlos選定のポイント)
一番のポイントは高速エンジンであること。Excelを活用できても遅いシステムでは使いのものにならず、膨大な数のExcelを高速で処理できることは同社にとって重要な選定要素であった。他には、データベースを必要としない点、制御シートもExcelでありノンプログラミングで利用できる点、コスト感も重要だった。

 

(導入効果)
拠点毎にフォーマットが異なるため多くの工数が必要であったが、xoBlosに移行したことで、試算ベースでは年間約20,000時間の工数削減につながり、経営陣がマネジメントに必要とする情報を迅速に正しく届けることができるようになった。
同社では、RPAも踏まえて、更なる業務改善や業務効率化に向けてxoBlosの活用を検討している。

 

◎更なるプラットフォームの価値向上へ「xoBlos プラスワン構想」
Excelベースの非効率な業務を完全自動化し、劇的な業務効率化をサポートするExcel業務イノベーションプラットフォームとして高い評価を得ている「xoBlos」だが、同社では時代および顧客ニーズの変化に対応し、顧客にとってより高い付加価値を提供するプラットフォームへと進化させるべく取り組みを始めた。
それが「xoBlos プラスワン構想」である。
「xoBlos プラスワン構想」の中心コンセプトは「データの価値向上」。
企業は様々な活動を行っているが、それぞれの活動を管理するために、各種システムを導入している。
例えば、ヒト・モノ・カネ・情報といった資源を適切に分配し有効活用する計画を立案するためのERPを最上位に、顧客管理のためのCRM、在庫管理、受発注、勤怠管理、人事、会計などの各システムである。
それぞれのシステムからは大量のデータを抽出することができるが、近年、これらのデータをそれぞれ別個に取り扱うのではなく、統合・組み合わせることにより今までは見ることのできなかった自社の姿を可視化したい、より効率的な業務運営を可能にしたいというニーズが急速に高まっている。
ただ、この作業を行うには多くの工数、多額のコストが必要になるなど、企業にとって実現は容易でないのが現状である。

 

こうした状況において、データ処理を高効率・高速度で行うxoBlosを導入した顧客は、これまでのレポーティング効率化に加えて、容易かつリーズナブルなコストでデータの統合・組み合わせによって自社データの価値を高め、活用することができる。
また、川上である経営層から生産・営業・総務・管理など川下まで、あらゆる部署・部門が希望するフォーマットでデータを利用できるという点も「xoBlos プラスワン構想」の大きな特徴である。

 

現在はあくまでも「構想」段階であるが、今後はメーカーとのタイアップによりプラットフォームであるxoBlosの上で様々なシステムを連携させ、具体的な「xoBlos プラスワン」の姿を顧客企業に提案していく考えで、構想具現化のための活動を開始したところである。

 

*導入事例:丸善雄松堂株式会社「IT部門の対応工数を大幅に削減」

(同社資料よりインベストメントブリッジ抜粋・要約)

 

丸善雄松堂は、大学をはじめとする全国の教育・研究機関への学術資料の提供や、図書館などの教育機関の運 営業務受託サービスなどを提供。さらに、建築工事の設計・監理・請負業、学校教育事業に関する経営コンサルティング業務なども幅広く展開している。

 

(xoBlos導入前の状況)
大きく2つの課題があった。
一つは導入が予定されていた教育環境ソリューション事業部向けであるオロ社のERP「ZAC Enterprise」と全社会計システムとのデータ連携をどう実現するかということ。もう一つはユーザー部門に対し、必要なデータを安定的に効率的に提供する、つまりデータサービスの質の向上を図りたいというもの。

 

同社でも複数のシステム(基幹、会計、人事、業務)を運用しているため、各システム間において多数のデータ連携処理が行われている。加えて仕入先や顧客とのEDI連携にも積極的に取り組んでおり、データ連携に関する処理の共通化なども進めている。
ERP導入にあたっても当初は従来の枠組みでの対応を考えていたが、ERPの特徴からデータ連携には複数のAPIを使ってデータを抽出、加工する必要があり、従来方式では複雑さが増してコストアップとなる懸念があった。

 

データサービスについては、書籍販売を行う事業部を中心に、商品仕入や受発注、入出荷のオペレーションを行う業務部門から基幹システムの各種データを部門ごとに必要な抽出条件や項目で提供してほしい等の、要望が数多く寄せられていたが、多種多様な要望に対し基幹システム側で機能追加するには多額のコストが必要で、また要求スピードにも応えることが難しかった。自動化ツールの適用などで業務効率化に取り組んでいたが、リアルタイム性に欠けるなど、抽出条件が要求ごとに変わるケースへの対応では課題が残った。

 

(導入効果)

開発工数は、従来の方法に比べて半分程度の工数で対応が可能になった。

データサービスについては、エンドユーザー完結のデータサービスが可能となったことで、IT部門の対応工数が削減された。

月間20時間程度かかっているものを対象にxoBlosへの置き換えを進めている。

従来のデータサービスではエンドユーザーが最終的に希望する形式にするため、Excel等で再加工するケースもあったが、現在はxoBlosの加工処理を使い、欲しいデータがすぐに使える形式で提供できるため、この点でも作業工数削減に繋がっている。

 

丸善雄松堂では、機能に加え、使い勝手、価格のバランスも含めてxoBlosを高く評価している。
まだxoBlos本来の強力なデータ加工処理機能を十分に活用しきれていないものの、大きな効果が上がりつつあることから、対象業務の拡大を進めていく考えだ。
また、開発メンバーが、DBの簡易な更新ツールとしての利用など当初の想定とは別の利用方法の可能性を議論するなど、拡がりも見え始めているという。

 

◎導入及び販売状況
販売に関しては、主力代理店の一つである大興電子通信株式会社(8023、東証2部)とのセミナー共催など、大興電子通信の持つ幅広い顧客層と拠点、販売力を活かすことを中心に営業を展開中。大興電子通信を含め約30社の一次代理店網を構築している。
当初は中堅企業の採用が中心だったが、現場業務の効率化ニーズが増大する中、大企業の導入実績も増加しており、足元では新規導入先の約7割は大企業となっている。販促のためのセミナーを毎週3回開催しているが、ほぼ毎回満席状態が続いているという。現在の累計導入社数は350社を超えた。年間100~120社の導入企業数増を計画している。クラウドを利用したサブスクリプションモデルの採用による収益拡大も併せて計画している。

 

【1-4 特長と強み】

➀多面多様のIT企業
同社は、IT技術の進化と変化に柔軟に対応して業務システム開発事業を皮切りに、コンピュータ販売事業(現・システム販売事業)、組込み開発検証事業、運用サポート事業などに事業領域を拡大すると同時に、その過程で磨き上げてきた技術力をベースに自社による独自製品の開発販売にも取組んでいる。幅広い事業領域と独自性のある自社製品を提供する事の出来る「多面多様のIT企業」である点が同社の大きな特徴である。

 

②幅広い顧客基盤
取引先は約2,600社で、上場企業及びその関連会社から中小企業まで幅広く、業種も分散している。
顧客の約7割が直接取引である。

 

③部分最適と全体最適の組織戦略
部分最適と全体最適の相反する2要素をバランスよく活かした組織戦略も同社の大きな特徴となっている。
部分最適に関しては、カンパニー制度の導入で専門特化したカンパニーを立上げ、その領域でのNo.1を目指すとともに、ベンチャーマインドを持った経営者の育成・輩出を行っている。
全体最適に関しては、本社・本部が事業のスクラップアンドビルド、各カンパニー間のコラボレーション、新規事業領域の開拓など、カンパニーの独自性を尊重しながら、シナジーを追求している。

 

(各カンパニー概要)

主な事業

カンパニー名

概要

業務

システム開発事業

ビジネスソリューション

カンパニー

顧客の様々な問題解決を支援する提案型SI事業を展開。

特に金融・通信・流通分野では、長年培った業務知識と技術基盤を核とし、汎用系からWeb系、基幹系から情報系まで幅広いソフトウェアの設計・開発を、業界のトップ企業から請け負っている。また、新たな事業領域として「保険薬局総合管理システム(Phant's)」のASP事業を展開している。

eビジネスサービス

カンパニー

主に、金融業や大手小売業を中心に、ECサイトや、顧客向けサービスサイト、企業向け業務システムなどの、Web系システム構築、保守を長年にわたって手がけている。これまでの経験で培った技術を元に、顧客のニーズに合ったサービスを提供している。

運用

サポート

事業

サポートビジネス

カンパニー

幅広い知識を有するエンジニアがシステムの導入支援、インフラ構築、ネットワーク運用管理、アプリケーション・ミドルウェア開発など、顧客のニーズに合わせて最適なIT環境(サービス)をワンストップで提供している。

組込み

開発事業

エンベデッドソリューション

カンパニー

車載機器、通信機器、産業機器、デジタル家電などのエンベデッド(組込み)システムを中心に、制御系システム開発に特化している。組込みシステム開発は、ハードウェアが持つ物理的な条件に左右されるために制約が多く、一般的なアプリケーション開発とは異なる発想が求められるため専門性に優れた多数のシステムエンジニアを擁している。

組込み

検証事業

クオリティエンジニアリング

カンパニー

カーナビゲーションシステムなどの車載機器をはじめとして、医療機器、通信インフラ、モバイル端末等のソフトウェア評価・検証業務を幅広く行っている。製品の品質向上を第一に考え、テスト計画の策定から、設計、実施、運用、分析、コンサルティングまでのトータルサービスを提供している。

2011年より米国現地法人DIT America, LLCと連携。海外での検証業務にも対応している。

(複合)

西日本カンパニー

大阪を中心に名古屋以西を活動の拠点とし、業務システム開発、運用サポート事業/モバイル、Webアプリ開発事業/組込み開発事業(車載機器やセキュリティ関連)の三本柱でDITの成長分野における一翼を担う。

昨今はマルチスキルを活かしたIoT、Webサービス事業への展開を目指している。

愛媛カンパニー

愛媛県を拠点とし、地域特有の様々な業種・業態のニーズに応えた、ものづくりからソフト商品の販売やシステム機器販売、運用やシステムサポートに至るまで、付加価値の高いワンストップサービスを提供、ITビジネスによる地域活性化に貢献している。また、他カンパニーの技術者不足にも対応するために、多目的IT開発センターに地元採用の人材を配置し、ニアショア開発を可能としている。

 

④独自性のある自社製品の開発・販売
前述した「xoBlos」及び「WebARGUS」を代表として長年培ってきた技術を活かして様々な独自性のある自社製品を開発している。将来の収益の柱として育成している。

 

2.2019年6月期第3四半期決算概要

(1)連結業績概要

 

18/6月期3Q

構成比

19/6月期3Q

構成比

対前年同期比

売上高

8,339

100.0%

9,148

100.0%

+9.7%

売上総利益

1,969

23.6%

2,271

24.8%

+15.3%

販管費

1,318

15.8%

1,316

14.4%

-0.1%

営業利益

651

7.8%

955

10.4%

+46.6%

経常利益

645

7.7%

961

10.5%

+49.0%

四半期純利益

434

5.2%

661

7.2%

+52.3%

*単位:百万円。

 

増収・大幅増益。第3四半期の最高業績を更新。
売上高は前年同期比9.7%増の91億48百万円。ビジネスソリューション事業が大きく伸張。粗利率上昇、粗利額も2桁伸びた一方で販管費は人件費は増加したものの前年同期並みであったため営業利益は同46.6%増の9億55百万円となった。
売上、利益ともに第3四半期の最高業績を更新した。

 

(2)セグメント別動向

 

18/6月期3Q

構成比

19/6月期3Q

構成比

前年同期比

ソフトウェア開発事業

7,862

94.3%

8,636

94.4%

+9.8%

システム販売事業

476

5.7%

512

5.6%

+7.6%

売上高合計

8,339

100.0%

9,148

100.0%

+9.7%

ソフトウェア開発事業

658

8.4%

891

10.3%

+35.4%

システム販売事業

-6

-

63

12.4%

-

調整

0

-

0

-

-

営業利益合計

651

7.8%

955

5.9%

+46.6%

*単位:百万円。売上高は外部顧客への売上高。利益の構成比は売上高営業利益率。

 

(売上動向)

 

18/6月期3Q

構成比

19/6月期3Q

構成比

対前年同期比

ビジネスソリューション

4,843

57.3%

5,367

58.7%

+10.8%

エンベデッドソリューション

2,726

32.3%

2,889

31.6%

+6.0%

自社商品

292

3.5%

380

4.2%

+30.1%

システム販売事業

476

5.6%

513

5.6%

+7.8%

単位:百万円。

 

◎ソフトウェア開発事業
増収・増益。
*ビジネスソリューション事業分野
金融系業務システム開発、運用サポート事業が堅調な伸びを示すとともに、流通系システム開発が伸長するなど、既存顧客を中心とした受注が引き続き好調だった。

 

*エンベデッドソリューション事業分野
引き続き車載機器関連が順調に伸張。中でもコネクテットカー関連の受注が増加した。

 

*自社商品事業分野
これまでの商品戦略と販売戦略の成果により、順調な伸長となった。
「WebARGUS」は、大規模ユーザーへの段階的導入が進むと共に外部サイバーセキュリティ専門会社との協業を進めた結果、販売機会が広がった。
「xoBlos」は、各種RPAやERP等の各種システムが持つ特定の情報に別の視点のデータを加え、データの価値を高めるxoBlosプラスワン構想を推進した。加えて働き方改革の有効ツールとしての認知度の高まりにより、引合いが大幅に増加した。

 

◎システム販売事業
増収・黒字転換。
改元対応や軽減税率対応などによるシステムの入替え・改修関連の販売が伸びたことに加え、経済産業省のIT導入補助金により中小企業のシステム導入が進み、増収となった。増収に加え楽一は利益率の高いサーバー版の販売が伸びたこともあり、黒字転換した。

 

(3)財務状態

◎主要BS

 

18年6月末

19年3月末

 

18年6月末

19年3月末

流動資産

3,397

3,960

流動負債

1,304

1,547

 現預金

1,627

1,846

 仕入債務

328

423

 売上債権

1,562

1,846

固定負債

156

88

固定資産

685

757

負債合計

1,461

1,636

 有形固定資産

115

112

純資産

2,621

3,082

 投資その他の資産

552

633

 株主資本

2,610

3,072

資産合計

4,083

4,718

負債純資産合計

4,083

4,718

単位:百万円

 

現預金、売掛金の増加等で流動資産は前期末と比べ5億63百万円増加。投資その他の資産の増加で固定資産は同72百万円増加し、資産合計は同6億35百万円増加の47億18百万円となった。
負債合計は仕入債務の増加などで同1億74百万円増加し16億36百万円となった。
利益剰余金の増加で純資産は同4億60百万円増加し30億82百万円。
この結果自己資本比率は前期末から1.1ポイント上昇の65.3%となった。

 

3.2019年6月期業績予想

(1)通期業績予想

 

18/6月期

構成比

19/6月期(予)

構成比

前期比

修正率

進捗率

売上高

11,076

100.0%

12,300

100.0%

+11.0%

+3.3%

74.4%

営業利益

787

7.1%

1,060

8.6%

+34.6%

+6.0%

90.1%

経常利益

790

7.1%

1,065

8.7%

+34.7%

+9.0%

90.3%

当期純利益

531

4.8%

724

5.9%

+36.2%

+8.7%

91.4%

*単位: 百万円。予想は会社側発表。

 

業績を上方修正。9期連続増収増益へ。
好調な業績の進捗により業績予想を上方修正した。
売上高は前期比11.0%増の123億円、営業利益は同34.6%増の10億60百万円の予想。
新規事業への投資も継続するが利益率は向上。
9期連続の増収増益、過去最高更新を予想している。
配当も期末配当を2円/株増配し9円/株へ。中間配当7円/株と合わせ16円/株を予定。予想配当性向は33.9%と2期連続で30%以上を実現する。

 

(2)重点施策

施策の柱

第3四半期までの実績

今後の施策

堅固な事業基盤の構築

金融機関の情報化投資の継続と自動車関連業界の設備投資の増加等により、堅調に推移。

強みがある金融系、車載系等の領域で請負案件の増加と案件規模を拡大。

自社商品の導入時インフラ構築や導入後サポートをカンパニーとの協働で推進。

蓄えたSIノウハウや運用サービスと自社商品を組み合わせた新たなビジネスを開拓する。

成長領域への経営資源の集中

車載機器関連の比重が益々増加、中でもコネクテッドカー関連の受注が増加。

市場成長が著しい自動車関連分野(自動運転、車載通信機器、安全基準)に注力。

クラウド基盤構築や、電力・ガス機器、車載機器等と連携したIoT関連開発の受注が増加。

蓄えた知識・技術を最先端分野(クラウド、IoT、フィンテック等)へ展開する。

自社商品を軸とした新しい価値の提供

WebARGUSエンタープライズ版による大規模ユーザーへの提案強化。

代理店協業によるSaaS型モデルの展開で中規模ユーザーへの提案・商談を促進することで導入社数を増加させストックを強化。

大規模ユーザーへの導入促進と代理店協業によるストックビジネスの強化。

 

F-Secure社(フィンランド)と協業し、脆弱性診断サービスを提供開始。

WebARGUSを中心とした同社の展開するセキュリティ商材をDIT Securityとしてブランド化。今後は国内外のセキュリティベンダーと協業し、顧客に包括的にセキュリティ商材を提供。

IoT版WebARGUSの適用領域の拡大に向けた研究開発を継続。

IoT版WebARGUSの商品化。

RPAや会計等のシステムベンダーと協業し、セミナーや展示会を開催し、引合いが大幅に増加

販売代理店からの受注増加

RPAや会計等の他システムと連携し、データの付加価値を上げるプラスワン構想を推進

代理店協業の更なる推進

 

(3)各事業別動向

 

18/6期

構成比

19/6期(予)

構成比

前期比

進捗率

ビジネスソリューション

6,487

58.6%

7,213

58.6%

+11.2%

74.4%

エンベデッドソリューション

3,577

32.3%

3,889

31.6%

+8.7%

74.3%

自社商品

392

3.5%

533

4.3%

+36.0%

71.3%

システム販売事業

619

5.6%

665

5.4%

+7.3%

77.1%

*単位:百万円

 

◎ビジネスソリューション事業分野
金融を中心に医療・製薬系、社会インフラ系等の業種全般が伸びると共に、運用サポートも好調に推移する。

施策の柱

今後の施策

安定基盤の拡張

・強みである金融分野の深堀り、金融請負案件の受注強化で金融分野をさらに拡大

・クラウド環境構築、IoT基盤構築などを活用したプロジェクトへの参画など、クラウドを活用した新技術を推進

・エンドユーザーや大手顧客の情報システム子会社案件が規模、顧客数ともに順調に拡大。直接契約案件の更なる拡大とワンストップソリューションの提案型営業を推進

トータルサービスの提供

・防災システムをはじめとした自社商品「xoBlos」と組み合わせたSI案件の拡大及び自社商品を軸に開発・インフラをトータルサービスとして提供

地方拠点を活かした事業拡大

・関東拠点と地方拠点(愛媛県)での連合プロジェクトが順調に拡大、「高度ニアショア開発」(※)の更なる活用

※高度ニアショア:国内の地方拠点において、付加価値の高い技術者集団によって行う コストパフォーマンスの高い開発方式。

 

◎エンベデッドソリューション事業分野
車載向け開発需要が好調で、開発・検証ともに順調。IoT関連案件が広がりを見せており増加する見込み。半導体関連の組み込み開発事業も堅調に推移する。

 

車載事業の中でも一段の成長が期待されるのが「コネクテッドカー」だ。
コネクテッドカーとは、ICT端末としての機能を有し、車両の状態や周囲の道路状況など様々なデータをセンサーにより取得し、ネットワークを介して集積・分析することで、さまざまな価値を生み出す「つながるクルマ」のこと。
2020年で1兆円、2025年には2兆円規模まで急拡大するとの予測もある。

 

そうした中、同社では自社の強みを活かして以下のような領域に注力している。
セキュリティ確保への対応:保有するサイバーセキュリティ技術の応用」
情報インフラの整備:ビッグデータ分析などシステム基盤構築への参画」
コネクテッドカー関連システム・サービスへの対応:得意の車載通信モジュールを通して関連システム・サービスへの参画」
通信技術の高度化対応:5G実用化への参画」

 

施策の柱

今後の施策

車載事業への注力

・車載機器関連メーカーから受注が順調に拡大するなど車載事業が大きく成長しており、引き続き成長著しい自動車関連分野(自動運転、車載通信機器、セキュリティ)に注力

半導体分野の拡大

・大手半導体メーカーからのセキュリティ分野の開発案件が拡大し、車載向け半導体分野の更なる拡大にも注力

IoT分野への注力

・モバイルや情報家電で培った技術を、IoTを中心とした新規分野(IoT通信モジュール開発等)へ展開

 

◎自社商品事業分野
セキュリティ需要の高まり、時短や働き方改革の時流に乗り、「WebARGUS」、「xoBlos」ともに高成長が続く。

 

WebARGUS」

施策の柱

今後の施策

販売力強化

・認知度の高まりと共に導入件数が着実に増加、見込客を増やし、大規模ユーザーを中心に積極的にアプローチ

・トータルセキュリティ提案を推進(フィンランドのセキュア社など有力セキュリティ商材との協業)

商品力強化

・顧客要望に基づき、エンタープライズ版を機能拡張し、大規模ユーザーの取り込みを図る。

・WebARGUS Fortify(※1)をはじめ、セキュリティ商品の多角化による商品力及び営業力を強化

適用領域の拡大

・ARMアーキテクチャ(※2)上での稼働確認と商談を推進し、システムレジリエンス思想(※3)に基づくIoT版WebARGUSの適用領域を拡大

(※1)WebARGUS Fortify:アプライアンス型のWAF(Web Application Firewall)に替わる次世代型のクラウドWAFであり、専門的な知識や大きな投資を必要とせず、見えない脅威からWebサイト・サービスを守ることが可能な商品。
(※2)ARM(アーム)アーキテクチャ:英国ARM社が知的財産権を持つプロセッサの設計方式であり、スマートフォンや車載機器等の低電力アプリケーション向け半導体チップに広く採用されている。
(※3)システムレジリエンス思想:レジリエンスとは、復元力、回復力の意味であり、WebARGUSの瞬間検知・瞬間復旧(検知したら直ぐに元に戻す)の仕組みのことを表す。

 

「xoBlos」

施策の柱

今後の施策

販売力強化

・累計導入社数350社超、大手企業への導入が進む中、大規模ユーザーへの販売を一層強化

・販売子会社(東洋インフォネット)による販売促進

商品力強化

・顧客ニーズの高い予算実績管理ソリューションの商談活動が進捗、今後はソリューションのシリーズ化を準備

・RPAとシームレスに連携可能な機能の提供を通じて働き方改革の時流を捉えた拡販をめざす

適用領域の拡大

・他社製品やサービスとの連携を行うオープンイノベーションプラットフォームとしても認知され始めた機会をとらえ、AI等各種サービスとの連携による新サービスの提供を推進

・RPAやERP等の各種システムが持つ特定の情報に別の視点のデータを加え、データの価値を高めるxoBlosプラスワン構想を推進

 

◎システム販売事業
「楽一」の新規販売及びリプレースを中心に、自社商品、ネットワーク機器など販促活動を積極化し増収を見込む。

 

施策の柱

今後の施策

既存顧客の売上拡大

・顧客へのスタンドアロン版から大企業向けサーバー版へのレベルアップ提案増加によるリプレース販売が復調し、顧客へのレベルアップ導入や重ね売り強化策の拡大を図る

・楽一(販売管理)と自社商品xoBlosとの連携パックの展開など商品の多角化で販売を強化

・改元対応や軽減税率対応などによるシステムの入替え、改修関連の販売の拡大を図る

新規顧客獲得による売上拡大

・中小企業へのシステム商品販売により新規顧客が増加、大企業・中企業をターゲットにxoBlos販売を強化

 

 

4.今後の注目点

各事業とも好調で業績予想を上方修正した。
中期経営計画において21年6月期10%を目指している営業利益率は、第3四半期(1-3月)で11.8%と更に最高を更新。
19年6月期の営業利益率予想は8.4%から8.6%に上昇した。
最終四半期は新人社員の受け入れ、期末手当等の季節変動費用が発生するとのことであるが、今後の上積みがどれほど進むのか注目したい。

<参考1:中長期成長戦略と資金使途>

(1)成長戦略概要

同社は中期的なビジネス展開として、幅広い事業領域で安定した取引を重ねて堅固な事業基盤を構築すると同時に、その基盤の上で自社商品を軸とした新しい価値を提供するという二軸で大きく成長する事を目指している。

 

「整備」の16年6月期に次いで、前々期(17年6月期)、前期(18年6月期)を「強化」、来期以降を「拡大・安定化」と位置付けており、中期目標として以下の様に「売上高100億円、営業利益10億円、営業利益率10%」のトリプル10の実現を目指しているが、売上高に関しては前々期17年6月期に達成することができた。
今期営業利益10億円は必達と考えている。

 

(同社資料より)

 

(2)資金使途

更なる企業価値向上に向け、効果的な資金活用を進める。

 

(M&A)
既存ビジネスにおける人材不足の中、ビジネスソリューション系、エンベデッドソリューション系における最適な会社のM&Aを検討している。
(協業・提携)
相互補完する製品やビジネス領域を持つ会社との協業・提携を推進する。

 

(株主還元)
IoTに絡むセキュリティ製品への投資など成長のための大規模投資とのバランスをみながら徐々に配当性向を高めて行く方針である。

 

<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

9名、うち社外2名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2019年2月14日

 

<基本的な考え方>
当社は、法令を遵守し、経営の透明性を確保して、健全で継続的な企業価値の向上を図ることが、経営上の最も重要な課題と認識しています。この課題に取り組み、株主その他のステークホルダーに対する社会的責任を果たしていくために、以下のコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。また、今後この体制をさらに強化し、その機能を定期的に検証して、必要な施策を実施することが、重要であると考えています。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

<補充原則1-2-4>

招集通知の英訳は、直近の基準日時点で外国法人等の持ち分が低いため、業務効率面から未実施です。今後、株主構成等の状況の変更に合わせ検討をすすめてまいります。

<補充原則4-10-1>

当社の取締役9名のうち独立社外取締役は2名となっております。取締役会の過半数には達しておりませんが、各独立社外取締役とも高い専門知識と豊富な経験を活かし、意思決定の過程において重要な役割を果たしております。

現在も取締役の指名・報酬などについて各独立社外取締役の助言は受けておりますが、今後、より独立社外取締役の意見が反映できる体制を構築してまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づいて開示している主な原則>

原則

開示内容

<原則1-4>

〈政策保有株式の縮減に関する方針・考え方〉

当社は、ステークホルダーの皆様との共存共栄を図りながら、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に努めるとの基本的考え方のもと、取引先や業務提携先などの重要なステークホルダーとシナジー効果が期待できる場合には、当該企業の株式を政策的に保有いたします。

株式を新規に取得する場合は、その目的を明確にするとともに、取得後は取引状況等を定期的に検証し、中長期的な企業価値向上への貢献が期待できないと判断した場合は、売却等の方法により縮減することとしております。

〈政策保有株式の保有の適否の検証内容について〉

政策保有株式の保有の適否は、定期的に検証することとしております。直近では、2018年12月13日開催の取締役会において検証を実施した結果、いずれの取引先も中長期的な企業価値向上への貢献が期待できることから、継続保有する方針が確認されました。

〈政策保有株式に係る議決権行使基準〉

政策保有株式の議決権行使にあたっては、当社の企業価値を毀損させる可能性がないかを個別に精査した上で、議案への賛否を決定いたします。

<原則3-1>

(1)経営理念、経営戦略、経営計画等につきましては決算説明会等を開催すると共に、決算説明会資料として当社ホームページ(以下のURL)にて公表しております。

【決算説明会資料】https://www.ditgroup.jp/ir/kessan.html

(2)コーポレートガバナンスへの取り組みを当社ホームページ(以下のURL)にて公表しております。

【コーポレートガバナンス】https://www.ditgroup.jp/ir/governance.html

(3)取締役の報酬につきましては、取締役会規則により方針と手続を定めており、世間水準、経営内容及び社員給与とのバランスを考慮しており、株主総会で決定した報酬総額の限度内において取締役会で決定しております。

(4)取締役および監査役の選任につきましては、それぞれの選出基準を規程として設け、代表取締役社長が、社外取締役の助言を受けたうえで、各候補者の実績、見識、経験等を総合的に判断のうえ提案し、取締役会にて審議・決議の上、株主総会に議案として提出しております。また、取締役の解任提案にあたっては、役員規程を踏まえたうえで、取締役会において決定いたします。

(5)株主総会招集通知におきまして、個々の選任・指名理由を公表しております。また、解任があった場合には、解任理由を公表いたします。

<原則5-1>

株主との対話につきましては、社長をトップとして、関連部門が連携し建設的な対話が実現するように努めております。

また、個別面談以外の対話の手段の充実に関する取組みとして、四半期ごとにアナリスト・機関投資家向けに決算説明会を開催しており、経営企画部門にて投資家からのミーティングや電話等によるIR取材を積極的に受け付けております。

対話において把握した株主の意見・懸念の経営陣幹部や取締役会に対する適切かつ効果的なフィードバックのための方策としましては、決算説明会における質問内容や、株主・投資家からの意見などを定期的に経営陣幹部に報告することにより、経営に活用しております。

インサイダー情報の管理に関する方策につきましては、株主、投資家との対話に際し、社内規程に則り、インサイダー情報管理を適切に行っております。

 

 

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。Copyright(C) 2019 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.