ブリッジレポート
(4709) 株式会社IDホールディングス

プライム

ブリッジレポート:(4709) IDホールディングス 2019年3月期決算

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舩越 真樹 社長

株式会社 IDホールディングス(4709)

 

 

会社情報

市場

東証1部

業種

情報・通信

代表取締役社長

舩越 真樹

所在地

東京都千代田区五番町12-1 番町会館

決算月

3月末日

HP

https://www.idnet-hd.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,067円

11,082,832株

11,082百万円

12.9%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

40.00円

3.7%

95.64円

11.1倍

749.58円

1.4倍

*株価は6/7終値。発行済株式数は前期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年3月(実)

20,082

970

964

548

50.73

23.33

2017年3月(実)

21,554

1,105

1,133

654

60.13

37.00

2018年3月(実)

23,207

1,254

1,274

622

56.84

40.00

2019年3月(実)

26,515

1,667

1,724

1,028

93.15

40.00

2020年3月(予)

26,800

1,670

1,710

1,060

95.64

50.00

※単位:百万円
※予想は会社予想。
※当期純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益
※2017年1月1日付で1:1.5の株式分割を実施。DPSとEPSは2015年3月期まで遡及して再計算。

 

 

IDホールディングスの2019年3月期決算概要等についてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.中期経営計画
3.2019年3月期決算概要
4.2020年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 19/3期の売上高は前期比14.3%増の265億15百万円。システム運営管理事業において、前期に買収した子会社の寄与があったことに加え、ソフトウエア開発事業においても公共系の大型プロジェクトを受注するなど受注環境が好調に推移した。営業利益は同32.9%増の16億67百万円。子会社の本社移転にともなう費用計上や、前期のソフトウエア開発にかかるアフターコスト等の計上があったものの、収益性向上にむけた営業努力や、プロジェクト管理の強化による生産性向上への取り組みの推進に加え、買収した子会社との相乗効果もプラスに寄与した。

     

  • 20/3期の会社計画は、売上高が前期比1.1%増の268億円、営業利益が同0.2%増の16億70百万円。引き続き顧客のIT投資が拡大する見込みであるものの、一部の金融機関のシステム統合が完了したことことに加え、エネルギー企業向けの大型ソフトウエア開発案件の終了が影響する。1株当たり配当予想を、前期比10円増額の50円に修正した。の予想。

     

  • 新たにスタートした新中期経営計画「Next 50 Episode Ⅰ覚醒 (Awakening)!」では、基本方針として①未来志向型企業文化の醸成、②デジタルトランスフォーメーション(DX)によるUP-GradeされたBusiness Modelの展開、③ESGの推進を掲げ、数値目標は2022年3月期、売上高300億円、営業利益18.5億円、営業利益率6.2%としている。2019年10月に創立50周年を迎え、新中期経営計画の3年間を、新 たな50年の飛躍の基盤を作るための期間と位置づける同社の、将来の成長を見据えた戦略の実行状況をウォッチしていきたい。

     

1.会社概要

金融向けITアウトソーシングに強みを持つ独立系の情報サービス会社である株式会社インフォメーション・ディベロプメントを中核とする持株会社。システム運営管理とソフトウエア開発・保守を二本柱とし、一つの顧客に対し、コンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理等の複数のサービスを提供するBusiness Operations Outsourcing(BOO)戦略を推進しており、好不況の波の大きいIT業界にあって、相対的に業績の変動が小さく、高配当を継続している。尚、2013年12月17日、JASDAQから東証2部に市場変更。2014年9月8日、東証1部に上場し。2019年4月1日、持株会社体制に移行した。

 

【IDグループの強み】

①ストックビジネスであるシステム運営管理が5割前後と高いことから、業績が安定している。
②IT投資の積極的なグローバル大手企業との取引高が7割前後と高いことから、今後も安定的な取引が見込める。
③直接契約が8割弱と高いことから、顧客ニーズが直接把握でき、的確な提案を行うことができる。

 

【IDグループのサービスの特徴- i-Bos24®(ID’s Business Operations-Outsourcing Service 24) -】

同社は、コンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理、クラウド・セキュリティ、BPOまで、トータルなITアウトソーシングサービス「i-Bos24®」を提供している。
 

(同社HPより)

 

【事業セグメント】

事業は、システム運営管理、ソフトウエア開発・保守、及びその他に分かれ、各事業の概要と売上構成比は次のとおり。

 

システム運営管理 (19/3期売上構成比60.8%)
1,600名規模の技術者を擁する専門部隊が、ミドルウェアのカスタマイズからハードウェアの保守、24時間体制のオペレーションまで、トータルかつ高付加価値のアウトソーシングを実現している。金融機関をはじめ、情報、通信、製造など、さまざまな業種に対応し、長年にわたる顧客からの高い信頼を獲得している。

 

ソフトウエア開発・保守 (19/3期売上構成比35.0%)
500名を超える技術者が、顧客の開発ニーズに合わせたシステム構築をサポート。グループ内にオフショア(海外子会社に委託開発)、ニアショア(地方事業所での開発)体制を構築しており、多数の高度な専門技術者が高品質なサービスを実現し、金融機関、エネルギー、運輸をはじめとする幅広い分野の顧客へ、多くの開発実績を築いている。

 

その他(19/3期売上構成比4.2%)
BPO、セキュリティ、コンサルティングなどを展開している。海外の大手ベンダーと提携し、各種セキュリティ製品の提供からコンサルティング、セキュリティ環境の構築・導入・運用・サポートまで一貫したサービスを提供している。

 

前期に買収した株式会社フェスを連結した効果により、システム運営管理の売上高の伸びが大きくなり売上高構成比も6割を超えた(19/3期)。

 

 

また、顧客別の19/3期の売上構成比は、メガバンク、有力地銀、生損保、農林系等の金融機関が42.0%、SIer、情報通信機器ベンダー、或いは通信キャリア系情報サービス大手等の情報・通信・サービスが35.3%、製造、輸送、公共団体、エネルギー等のその他が22.7%。前期に買収した株式会社フェスは金融機関の顧客が少ないことから、金融機関の顧客別売上構成比が低下した。買収による顧客の分散は、業績の安定性向上に繋がるものと思われる。

 

 

その他、契約形態別の19/3期の売上構成比は、金融機関、エネルギー、運輸、製造等の直接契約が76.6%、大手ベンダーの戦略パートナーが23.4%。直接契約の高い比率が継続している。

 

【これまでの業績推移と今後のイメージ】

 

 

【IDグループと持株会社制への移行】

従来、国内外の連結子会社は7社であった。このうち国内(3社)は、情報システム・コンサルティング等の(株)プライド、システムマネジメントサービスやITSMコンサルを手掛ける(株)フェス、障がい者雇用を促進するための特定子会社愛ファクトリー(株)。また、海外(4社)は、中国でソフトウエア開発、システム運営管理等を手掛ける艾迪系統開発(武漢)有限公司(ID武漢)、シンガポールでシステム運用コンサルティングやセキュリティサービス等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT SINGAPORE PTE. LTD.(IDシンガポール)、及びアメリカで人財採用・育成、現地市場調査・情報収集、ソフトウェア開発等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT AMERICA INC. (IDアメリカ)。更に、ミャンマーでITトレーニングアカデミーの運営等を行うIDM INFORMATION DEVELOPMENT MYANMAR CO., LTD. (IDミャンマー)。
同社は、2019年4月より持株会社制へ移行した。更なる持続的成長とグループ全体の企業価値の最大化を図るため、 「グループ経営」と「事業執行」を分離する新たなグループ経営体制を構築することとなった。(株)IDホールティングスの傘下に、(株)ID、(株)フェス、(株)フェス、愛ファクトリー(株)が入り、(株)IDの傘下に、ID武漢、IDアメリカ、IDシンガポール、IDミャンマーが入る組織形態となった。

 

持株会社制への移行により、下記の効果を期待している。
1.グループ全体での成長の実現
 全体最適の視点から、経営資源の分配と、成長市場における投資(M&Aを含む)を実行する。
2.スピーディな意思決定
 事業戦略策定と推進における権限をあわせて委譲し、 スピーディな意思決定が可能となる。
3.次世代の経営者育成
 事業会社に権限を委譲し、次世代の経営幹部を育成する。

 

(同社決算説明資料より)

 

【ESGの取り組み】

同社は、社会インフラを支える情報サービス企業の一員として、環境(E)・社会 (S)・ガバナンス(G)のさまざまな課題に積極的に取り組んでいる。

 

(同社のESGの例)
◇特例子会社「愛ファクトリ―」

愛ファクトリ―は、障がい者雇用促進を目的に、2014年にIDのグループ会社として設立。 2016年には、特例子会社の認定を受け、葉物野菜栽培を行っている。

◇協賛・支援による社会貢献

イノベーションを推進するコミュニティ 「VENTURE CAFÉ TOKYO」の協賛

日本セーリング連盟「日の丸セーラーズ」の協賛支援

地雷除去活動のサポート  など

◇芸術文化活動の支援

新内浄瑠璃の継承者・重要無形文化財保持者(人間国宝)である鶴賀流第11代家元鶴賀若狭掾師匠、日本スペインギター協会等への支援

協賛支援コンサート:2018年度 10回

華中科技大学において奨学金制度を運営

湖北経済学院において日本語講座基金を運営

江漢大学において日本語学習奨学金制度を運営

社員寮への留学生の受け入れ

次世代育成のための研究助成 島根大学教授(臨床心理士)岩宮恵子氏の研究を支援  など

 

【情報サービス業の動向】

 

(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」を基に(株)インベストメントブリッジ作成)

 

内閣府が5月20日に発表した19年1-3月の国内総生産(GDP、季節調整済み)1次速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.5%増(年率換算で2.1%増)と2四半期連続でプラス成長となった。中国経済などの鈍化から輸出が振るわなかったものの、輸入の大幅な落ち込みが全体としてプラスに作用した他、公共投資の増加などが成長の押し上げに寄与した。また、情報サービス産業との関連性が深い民間企業設備(実質)は前期比-0.3%とマイナスになったものの、事前の市場予想を上回る結果とまった。更に、経済産業省発表の「特定サービス産業動態統計調査」(19年5月22日発表。3月分確報値)によると、3月の情報サービス産業売上高は前年同月比3.8%増と好環境が継続している他、同社と関連性の高い受託ソフトウエアとシステム等管理運営受託の売上高も前年同期比プラス基調が続いている。

 

2.中期経営計画

【前中期経営計画「I-vision50」のレビュー】

1.概要
同社グループでは、2016年4月に策定した中期経営計画「I-vision 50」(2017年3月期~2019年3月期)のもと、最終年度である2019年3月期に売上高240億円、営業利益率7%を目標に、3つの基本方針(「徹底した業務プロセスの改革(BPR)」「新たな成長分野の構築」「グループのガバナンス強化」)と、7つの重点施策(①構造改革、②働き方改革、③新技術の利活用推進、④ダイバーシティの推進、⑤グローバルの推進、⑥連結経営のガバナンス強化、⑦BOO戦略の推進) を推進した。
金融系システム統合案件やエネルギー系企業の開案件の受注好調ならびに株式会社フェスの100%子会社化により売上高は目標を達成した一方、働き方改革やBPRの実現で営業利益率は改善したものの、営業利益率は目標に届かなかった。

 

 

17/3期 実績

18/3期 実績

19/3期 目標

(修正前)

19/3期 目標

(4月27日修正後)

19/3期 実績

売上高

21,554

23,207

24,000

26,300

26,515

営業利益

1,105

1,254

1,680

1,480

1,667

売上高営業利益率

5.1%

5.4%

7.0%

5.6%

6.3%

※単位:百万円

 

2.重点施策とその成果

 


(同社HPより)

 

①働き方改革
IT技術者の需要の高まりにともない、業界全体で技術者不足が深刻化している環境下、優秀な人財を確保するためには、労働環境の改善が不可欠との考えのもと、労働環境の改善、および生産性向上のため、ワークライフバランスを重視し、魅力ある職場づくりを通じた「働き方改革」に全社をあげて取り組んでいる。(同社は、社員が会社の重要な財産の1つであるとの考えから、「人材」を「人財」と表記している。)

鳥取県男女共同参画推進企業に認定(山陰支店)〔①,④〕

「輝く女性活躍パワーアップ企業」に登録認定(山陰支店)〔①,④〕

ボランティア休暇制度を導入〔①,④〕

有給休暇取得率 82.2%(年間目標有給休暇取得率:80%)〔①〕

 

②構造改革
過去の慣習にとらわれず仕事のやり方を抜本的に変革し、新たな業務プロセスの創造を進める。また権限委譲、ITシステム化を進めることで、組織全体の生産性向上を図る。

全社公募での業務改革・改善活動の実施〔①,②〕

「人財の見える化委員会」を設置し、社員の能力やスキル、経験やキャリアパスを可視化〔②,④〕

時間外労働削減(前年同期比9.2%減)〔①,②〕

 

③新技術の利活用推進
既存サービスの競争力強化、生産性および品質向上のため、新技術の取り込みを積極的に進めている。

RPAやAI、IoTなどの新技術の利活用を推進する「先端技術室」を新設〔③〕

先端IT技術を投資対象としたff Graphite (v), L.P.ベンチャーファンドへ出資〔③〕

慶應義塾大学とサイバーセキュリティ分野での協業を開始〔③〕

同社が協賛するベンチャー・カフェ東京にて「テクノロジーの進化と企業変革について考える一夜 POWERED BY ID」を開催〔③〕

迅速かつ適応的でリスクを低減できる先進的なソフトウエア開発管理手法である「アジャイル開発」の技術者 を育成開始〔③〕

アジャイル開発手法に知見をもつ英国 Emergn社と提携し、社内でアジャイル研修会を開催〔③,⑤〕

アイルランド ActionPoint Technology Groupとアジャイル開発に関する覚書を締結〔③,⑤〕

システム運営管理における業務プロセス分析とRPA導入を支援する「RPA業務改革サービス」を提供開始〔①,③〕

「MSS(マネージド・セキュリティ・サービス)for Seceon OTM」を提供開始〔③〕

DX関連の投資を行うGoAhead Ventures Ⅱ,L.P.へ出資〔③〕

遠隔作業支援システム「IDEye」が米国RealWear社製単眼型産業用スマートグラスに対応〔③,⑤〕

 

④ダイバーシティの推進
グローバル戦略を確実に推進していくための人財育成、および人財の多様化を通じて、変化し続けるビジネス環境への対応力強化や組織の活性化を図っている。

女性管理職比率 14%〔④〕

社員に占める外国籍社員の割合 9%〔④,⑤〕

 

⑤グローバルの推進
日本企業の海外展開への対応、およびグローバル競争力強化のため、積極的に海外展開を進めている。より高い品質の商品やサービスを海外に向けて打ち出し、8つの海外拠点を通じて24時間365日体制でのサポートを提供する。

艾迪系統開発(武漢)有限公司:2017-2018年度中国ソフトウエア業界と情報サービス業界における「最も影響力ある企業賞」を受賞〔⑤〕

オランダ王国 ザ・ハーグ・セキュリティ・デルタに日本企業として初の加盟〔③,⑤〕

IDM INFORMATION DEVELOPMENT MYANMAR CO., LTD. (IDミャンマー)の東京支店営業開始〔⑤〕

 

⑥連結経営のガバナンス強化
国内外あわせて12拠点間との密なコミュニケーションにより、それぞれのソリューションを結集し、企業価値最大化を図っている。各拠点が持つ人財やノウハウ、営業状況などを含めた、経営情報をスピーディに把握し、グループ全体で顧客の課題解決に努める。

株式会社フェス:事業シナジーの追求と管理機能集約による業務効率化のため親会社の本社に移転〔⑥〕

 

⑦BOO戦略の推進
同社のサービス内容は、システム運営管理、ソフトウエア開発、サイバーセキュリティ、コンサルティングと多岐にわたる。BOO戦略とは、一つの顧客に対して幅広いサービスを提供することであり、同社の様々なサービスを日本国内のみならず、海外でも提供する。

 

【新中期経営計画「Next 50 EpisodeⅠ覚醒(Awakening)!」(2020年3月期~2022年3月期)】

1.概要
近年、情報サービス業界において、RPA・AIなどのデジタル技術を活用した既存ビジネスの変革(DX【Digital Transformation】)の急速な進展や、システムの「所有」から「利用」への転換、IoT機器の急激な増加、高度化するサイバー攻撃など、ITをとりまく顧客ニーズが多様化し、経営環境が大きく変動している。こうした環境下、同社グループでは、2019年5月に新中期経営計画「Next 50 Episode Ⅰ覚醒 (Awakening)!」を策定した。
「Next 50 Episode Ⅰ覚醒 (Awakening)!」は、3つの基本方針【「未来志向型企業文化の醸成」「デジタルトランスフォーメーション(DX、注1)によるUP-GradeされたBusiness Modelの展開」「ESG(注2)の推進」】からなり、新中期経営計画の3年間を、新たな50年の飛躍の基盤を作るための期間と位置づけ、将来の成長を見据えた戦略を実行し、企業価値を向上させながら、安定的かつ継続的な株主還元を実施する方針。
また、最終年度である2022年3月期の重点数値目標は、売上高300億円、売上高営業利益18億50百万円、営業利益6.2%。

 

 

19/3期 実績

22/3期 目標

売上高

26,515

30,000

営業利益

1,667

1,850

売上高営業利益率

6.3%

6.2%

※単位:百万円

 

(注1):Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)とは、既存のサービスソリューションに、RPAやAI、IoTなどアドバンスト・テクノロジー(先端技術)を組み合わせることで、既存ビジネスを変革すること。
(注2)ESGとはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字。各分野への適切な対応が企業の長期的成長の原動力となり、持続可能な社会の形成に役立つという考え方。

 

2.基本方針

 

(同社HPより)

 

①未来志向型企業文化の醸成
持続的な成長には人材の多様性およびイノベーションの創出が欠かせないとの考えのもと、多様な人材の採用・育成に取り組むとともに、人材の能力を最大限に発揮できるように、引き続き組織・制度・環境を整備する。また、未来に向けて挑戦する風土の醸成およびイノベーションの創出を進める。

 

②デジタルトランスフォーメーション( DX )によるUP-GradeされたBusiness Modelの展開

近年の急激なデジタル化の流れを受けて、顧客企業において新たなテクノロジーの導入・活用が積極的に進められている。こうした環境下、長年蓄積してきた顧客システムに関する業務知識やノウハウをもとに、既存のサービスソリューションにアドバンスト・テクノロジーを組み合わせることで、顧客ニーズにあった付加価値の高い、UP-Gradeされたサービスモデルを提供する。特に、この3ヵ年は技術者育成に重点をおき、従来のサービスをより上流工程へとシフトすることで、人月型ビジネスから成果報酬型ビジネスへの転換を図る。

 

③ESGの推進

情報サービスの提供を通じて社会課題の解決に取り組むとともに、持続的な成長および社会価値の創造を目指す。ESGの各分野での取り組みを強化することで、顧客、株主、従業員などすべてのステークホルダーとともに成長・発展していけるよう努める。

 

3.2019年3月期決算概要

(1)連結業績

 

18/3期

構成比

19/3期

構成比

前期比

会社予想

(10/26修正)

予想比

売上高

23,207

100.0%

26,515

100.0%

+14.3%

26,600

-0.3%

売上総利益

4,448

19.2%

5,597

21.1%

+25.8%

-

-

販管費

3,193

13.8%

3,930

14.8%

+23.0%

-

-

営業利益

1,254

5.4%

1,667

6.3%

+32.9%

1,640

+1.7%

経常利益

1,274

5.5%

1,724

6.5%

+35.3%

1,700

+1.4%

当期純利益

622

2.7%

1,028

3.9%

+65.2%

960

+7.1%

※単位:百万円
※当期純利益は、親会社株主に帰属する四半期期純利益

 

前期比14.3%の増収、同32.9%の営業増益。
売上高は前期比14.3%増の265億15百万円。買収した(株)フェスの寄与や公共系プラットフォーム開発が増加し運営管理の売上高が増加した。また、公共系の大型プロジェクトの受注増加が寄与しソフトウエア開発の売上高も増加した。また、その他事業も、コンサルティング業務の増加が寄与し売上高が増加した。売上高は、7期連続の増加で過去最高を更新した。
営業利益は前期比32.9%増の16億円67百万円。(株)フェスの本社移転(2018年7月23日移転完了)にともなう費用計上や、前期のソフトウエア開発にかかるアフターコスト等の計上があったものの、収益性向上にむけた営業努力や、プロジェクト管理の強化による生産性向上への取組みの推進などに加え、(株)フェスとの相乗効果により、営業利益が大幅に増加した。営業利益は、6期連続の増加で過去最高更新となった。売上高総利益率は、前期比1.9ポイント上昇の21.1%、人件費等の増加により売上高対販管費比率は、1ポイント上昇の14.8%となった。また、経常利益は同35.3%増の17億24百万円。為替差益の発生などにより経常利益の増益率は営業利益の増益率を上回った。また、親会社株主に帰属する当期期純利益は同65.2%増の10億28万円。前期に計上した、投資有価証券評価損1億42百万円がなくなったことなどが寄与した。

 

事業別売上高・利益(19/3期)

 

売上高

構成比

前期比

営業利益

利益率

前期比

システム運営管理

16,108

60.8%

18.5%

2,375

14.7%

+16.1%

ソフトウエア開発・保守

9,282

35.0%

9.2%

1,662

17.9%

+34.8%

その他

1,124

4.2%

0.5%

86

7.7%

+24.9%

調整額

-

-

-

-2,457

-

-

連結売上高

26,515

100.0%

14.3%

1,667

6.3%

+32.9%

※単位:百万円

 

システム運営管理事業の売上高は前期比18.5%増の161億8百万円。プラットフォーム開発業務は、公共系の売上は増加したものの、金融系の売上が減少した。また、運営管理業務は、金融系の売上は減少したものの、(株)フェスの寄与もあり、売上高が増加した。増収効果によりセグメント利益も同16.1%増加した。

 

ソフトウエア開発事業の売上高は前期比9.2%増の92億82百万円。金融系、運輸系の大型プロジェクトの収束があったものの、公共系の大型プロジェクトの受注により売上高が増加した。増収効果によりセグメント利益も同34.8%増加した。

 

その他事業の売上高は前期比0.5%増の11億24百万円。サイバーセキュリティ関連の売上高が減少したものの、コンサルティング業務の売上高増加でカバーした。収益性の向上が図られ、セグメント利益は同24.9%増加した。

 

第4四半期(1-3月)の業績推移.

 

 

19/3期第4四半期(1-3月)は、前年同期並みの高い売上高となったものの、高水準であった前年同期の営業利益を上回ることはできなかった。

 

(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

18年3月

19年3月

 

18年3月

19年3月

現預金

3,145

3,797

短期有利子負債

2,280

1,859

売上債権

4,911

5,232

賞与・役員賞与引当金

950

977

たな卸資産

51

19

長期有利子負債

-

749

流動資産

8,344

9,298

退職給付に係る負債

46

29

有形固定資産

1,791

1,781

負債

6,131

6,258

無形固定資産

1,764

1,513

純資産

7,617

8,342

投資その他

1,848

2,006

負債・純資産合計

13,748

14,600

固定資産

5,404

5,301

有利子負債合計

2,280

2,609

※単位:百万円

 

19/3末の総資産は前期末比8億51百万円増加の146億万円。資産面では現預金や売上債権や投資有価証券などが、負債・純資産面では長期借入金や利益剰余金などが主な増加要因。自己資本比率は56.9%と前期末比1.7ポイント上昇した。

 

キャッシュ・フロー

 

18/3期

19/3期

前期比

営業キャッシュ・フロー(A)

1,237

1,004

-233

-18.8%

投資キャッシュ・フロー(B)

-2,129

-336

1,793

-

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

-892

668

1,560

-

財務キャッシュ・フロー

1,464

-126

-1,590

-

現金及び現金同等物期末残高

2,944

3,489

545

+18.5%

※単位:百万円

 

前期に比べ、法人税等の支払額の増加などにより営業CFのプラス幅が縮小した。一方、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出がなくなったことなどにより投資CFのマイナス幅が縮小したことから、フリーCFはプラスに転じた。また、財務CFは短期借入金を減少させたためマイナスへ転じた。これらの結果期末のキャッシュポジションは高まった。

 

(3)最近の主なトピックス

◎コーポレート・ガバナンス体制の強化

同社は、持株会社への移行を契機に、コーポレートガバナンス体制の強化を目的に、経営委員会とグループリスク管理委員会の2つの委員会を新設した。これら2つの委員会は取締役会においてより深い議論を行うための準備段階の委員会である。経営委員会は、投資案件やM&Aや中期経営計画等を検討する委員会であり、グループリスク管理委員会はグループに想定される各種のリスクを分析・対応を検討するための委員会である。今後取締役会の機能強化に通じるものと期待される。

 

(同社決算説明資料より)

 

4.2020年3月期業績予想

(1)連結業績

 

19/3期

構成比

20/3期

構成比

前期比

売上高

26,515

100.0%

26,800

100.0%

+1.1%

営業利益

1,667

6.3%

1,670

6.2%

+0.2%

経常利益

1,724

6.5%

1,710

6.4%

-0.8%

当期純利益

1,028

3.9%

1,060

4.0%

+3.1%

※単位:百万円
※当期純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益

 

前期比1.1%の増収、同0.8%の経常減益の計画
売上高は前期比1.1%増の268億円の計画。一部大手金融機関におけるシステム統合の完了やエネルギー企業向け大型ソフトウエア開発案件の終了があるものの、顧客企業のDX推進に関する旺盛なニーズに対応し同社グループ技術者のスキルシフト(DX)を行うことによる売上高の増加やITコンサルティングやサイバーセキュリティに対する顧客投資額の増加に対応した売上高の増加が見込まれる。
営業利益は同0.2%増の16億70百万円。従来型サービスからデジタル技術を活用したサービスへの移行の中で、DX技術者の教育に関連した費用の増加が避けられないものの、より一層の収益性の向上のための取組みやプロジェクト管理の強化による生産性の向上に努める計画。また、大型プロジェクトの終了に伴う外注費の抑制も想定される。売上高対営業利益率は、同0.1ポイント低下の6.2%の計画。
1株当たりの配当は、前期と同額の期末40円の予定。予想の配当性向は41.8%。

 

(2)中期経営計画における取り組み

① 未来志向型企業文化の醸成

人的資源マネジメント(HRM) の強化

ダイバーシティ&インクルージョン継続的な推進

レガシーITエンジニア集団とアドバンスト・ テクノロジーITエンジニア集団の共存と共栄(緩やかな移行)

② デジタルトランスフォーメーション(DX)によるUP-GradeされたBusiness Modelの展開

レガシーITエンジニア集団とアドバンスト・ テクノロジーITエンジニア集団の共存

③ ESGの推進

IT技術の提供を通じた社会貢献

多様な人財の育成/活躍推進

コーポレートガバナンスの強化

フィランソロピー(慈善活動)の実施

 

5.今後の注目点

19年3月期決算は、前期比14.3%増収、同32.9%営業増益の好調な決算となった。しかし、続く20/3期は、前期の好調を牽引した一部大手金融機関におけるシステム統合の完了とエネルギー企業向け大型ソフトウエア開発案件の終了が重なり楽な事業環境とは言えない。こうした環境下、同社ではグループ技術者のスキルシフト(DX)によるDX関連売上高の増加や、ITコンサルティングやサイバーセキュリティ関連売上高の増加や、より一層の収益性の向上を通じて、業績の一時的な踊り場を乗り切る計画である。昨年の好調の反動を抑え、新中計達成のための足場を固める重要な年となりそうである。舩越社長のリーダシップのもと増収増基調を維持できるのか注目される。一方、顧客企業のIT投資は引き続き旺盛であり、予定していなかった大型の新規受注獲得の可能性も残る。エネルギー企業向けの追加的な大型ソフトウエア開発案件の受注獲得など、大手顧客の新規受注の動向が注目される。
また、新たにスタートした新中期経営計画「Next 50 Episode Ⅰ覚醒 (Awakening)!」では、基本方針として①未来志向型企業文化の醸成、②デジタルトランスフォーメーション(DX)によるUP-GradeされたBusiness Modelの展開、③ESGの推進を掲げ、数値目標は2022年3月期、売上高300億円、営業利益18.5億円、営業利益率6.2%としている。
2019年10月に創立50周年を迎え、新中期経営計画の3年間を、新 たな50年の飛躍の基盤を作るための期間と位置づける同社の、将来の成長を見据えた戦略の実行状況をウォッチしていきたい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成>

組織形態

監査役設置会社

取締役

6名、うち社外3名

監査役

4名、うち社外3名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日: 2019年6月24日

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

補充原則1-2-4「議決権行使のための環境整備、および招集通知の英訳」

補充原則3-1-2「英語での情報の開示・提供」

議決権の電子行使、および招集通知の英訳については、現時点で、海外投資家の比率が低いため、業務効率面から未実施であるが、持株数が20%を超えた段階で実施を検討する。

なお、ガイドライン第2章第10条もあわせてご参照ください。

 

<開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則1-4 いわゆる政策保有株式】

(1)事業上の関係を維持・強化し、当社の中長期的な企業価値の向上を目的として当社の取引先等である会社等の株式を保有することがある。こうした保有に関して、当社は毎年、取締役会で主要な政策保有株式について、①株価下落リスクをはじめとする当該株式を保有することにともなうリスクと、②事業上の関係の維持・強化をはじめとする保有の中長期的な経済合理性を検証する。当該検証の結果、中長期的な経済合理性が認められない政策保有株式については、当該株式売却その他の方法による当該政策保有の解消を検討する。

(2)当社が保有する政策保有株式に係る議決権の行使については、当社の株主の皆様に対する責任を全うする観点から、当社と投資先企業双方の持続的成長と中長期的な企業価値向上に適うか否かを基準に、議決権を行使することを基本方針とする。基準判断においては必要に応じ、投資先企業から提出された議案について当該投資先企業に対して説明を求め、協議を行うこととする。また、投資先企業から提出された議案に関して、当社と投資企業(ひいてはその株主の皆様)の利益が相反するおそれがあると認められる場合には、当社の独立社外取締役その他の第三者から意見を聴取するなどの方法により、当該利益相反のおそれを解消するための措置を講じるように努める。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

(1)当社は、経営理念に掲げる精神のもと、株主との実りある対話を実現するため、双方向のコミュニケーションの充実に努める。

(2)当社は、株主との対話に資するため、以下の情報を開示する。

・中長期の戦略シナリオ、ビジネスモデル、企業価値向上の方策

・経営上重視している財務経営指標

・リスク情報

・環境、社会、ガバナンス情報

(3)当社は、株主とのコミュニケーションの充実を図るため、問い合わせ窓口を社長室内に設置し、株主との信頼関係を醸成する。

(4)当社は、次の通り「株主との建設的な対話を促進するための方針」を定め、実践する。

 

【株主との建設的な対話を促進するための方針】

当社は、株主との建設的な対話が、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう

①株主からの対話(面談)の申し込みに対しては、株主の希望と面談の主な関心事を踏まえたうえで、合理的な範囲で社外取締役を含む取締役または経営幹部が臨むことを基本とする。

②IR担当役員は、社内部門と協力し、建設的な対話の実現に努力する。

③IR担当役員は、個別面談のほか、経営説明会等を開催し、IR活動の充実を図る。

④IR担当役員は、自社の考えを対話により株主に伝え、株主からの意見・要望について取締役または経営幹部へフィードバックするとともに、社外役員にもフィードバックを適時適切に行い、独立・客観的視点からの課題認識を共有する。

⑤IR担当役員は、未公表の重要な内部情報(インサイダー情報)が外部に漏洩することを防止するため、当社セキュリティーポリシーに基づき、情報管理責任者と連携を図り、情報管理を徹底する。

⑥IR担当役員は、総務所管部門、株式管理会社、IR支援会社と積極的に連携し、当社の株主構造の把握に努める。

 

 

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