ブリッジレポート
(1909) 日本ドライケミカル株式会社

スタンダード

ブリッジレポート:(1909)日本ドライケミカル株式会社 vol.15

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遠山 榮一 社長

日本ドライケミカル株式会社(1909)

 

 

会社情報

市場

東証1部

業種

機械(製造業)

代表者

遠山 榮一

所在地

東京都港区台場2-3-1 トレードピアお台場

決算月

3月

HP

http://www.ndc-group.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,102円

7,081,188株

7,803百万円

9.2%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

30.00円

2.7%

159.58円

6.9倍

1,772.37円

0.6倍

※株価は6/28終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式100,624株を控除。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2010年3月期(実)

21,409

618

580

1,403

1,251.54

-

2011年3月期(実)

21,248

738

729

343

233.83

100.00

2012年3月期(実)

23,765

1,041

994

404

132.83

150.00

2013年3月期(実)

28,931

1,612

1,576

809

312.39

140.00

2014年3月期(実)

31,316

1,688

1,667

835

297.37

70.00

2015年3月期(実)

30,418

1,568

1,566

1,050

316.92

70.00

2016年3月期(実)

33,797

1,865

1,874

1,136

339.11

70.00

2017年3月期(実)

30,919

1,268

1,287

867

242.59

60.00

2018年3月期(実)

32,622

1,109

1,160

1,104

311.87

60.00

2019年3月期(実)

36,304

1,702

1,739

1,116

157.61

30.00

2020年3月期(予)

37,000

1,710

1,750

1,130

159.58

30.00

※2019年3月期は会社予想。単位は百万円、円。
※2013年4月1日付で1:2の株式分割を実施。2012年3月期の期首に当該株式分割が行われたと仮定してEPSを算出。
※2018年10月1日付で1:2の株式分割を実施。2019年3月期の期首に当該株式分割が行われたと仮定してEPS、DPSを算出。※当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。

 

 

日本ドライケミカル(株)の2019年3月期決算概要などについてご紹介致します。

 

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年3月期決算
3.2020年3月期業績予想
4.成長戦略
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

 

今回のポイント

  • 19年3月期の売上高は前期比11.3%増の363億4百万円。防災設備事業が大幅増収で牽引、車輌事業も復調。利益面では大幅増収の防災設備事業で売上総利益が利益率の向上を伴い大幅増益、車輌事業は黒字に転じた。販管費率が17.6%から17.1%に低下し、営業利益は前期比53.5%増の17億2百万円、経常利益は同49.8%増の17億39百万円と大幅増益で着地、会社予想も大幅に上回った。

     

  • 20年3月期は、売上高は前期比1.9%増の370億円、営業利益は同0.7%増の17億10百万円を見込む。配当は実質前期と同じく30.00円/株を予定。予想配当性向は18.8%。

     

  • 19年3月期は3期連続の営業減益予想から一転して大幅増益で着地した。上期の時点でも予想されたことだが、しっかりとした実績を残した。20年3月期は小幅な増収増益予想にとどまっているが、受注は引き続き好調に推移している。また、広伸プラント工業を新たに子会社化するなどアライアンス、M&Aは着実に進展している。また、引き続き同社独自の差別化製品の拡販がいつごろ果実として実を結ぶのかもウォッチしたい。PERは極めて低位、PBRは1倍を大きく割り込んでおり、株価の見直し余地は大きいのではないだろうか。

     

1.会社概要

「防災のプロフェッショナル」として高い評価を受けている国内最大級の総合防災企業であり防災エンジニアリング企業。同社グループは、各種防災設備の設計・施工・保守点検、消火器及び消火設備、消防自動車、自動火災報知設備の製造・販売、防災関連用品の仕入・販売等、幅広く防災にかかわる事業を行なっている。
長年にわたって培われた経験と実績、高いエンジニアリング能力、独自の製品開発力などが強み。
2000年12月上場廃止となったが、2011年6月に再度東京証券取引所市場第2部へ上場。2013年12月には市場第1部に銘柄指定された。積極的なアライアンス戦略で顧客に新たな付加価値を提供する。

 

【1-1 沿革】

1955年

4月

粉末消火器、粉末消火設備および自動火災報知設備の製造・販売を主業として設立

1995年

6月

東証1部へ上場

2000年

12月

米国の総合セキュリティー・防災メーカーであるタイコインターナショナル社のTOBにより100%子会社となり、上場廃止

2010年

3月

株式上場を視野に取引先を中心に資本政策を実施

2011年

6月

東証2部へ再上場

2012年

5月

(株)初田製作所(非上場)と基本業務提携契約を締結

8月

(株)イナートガスセンターを設立

10月

沖電気防災(株)を子会社化

2013年

2月

新日本空調(株)と資本業務提携契約を締結

12月

東証1部へ上場

2014年

8月

OKIと資本業務提携契約を締結

福島市と立地基本協定を締結

10月

沖電気防災(株)を完全子会社化

2015年

1月

沖電気防災(株)を(株)ヒューセックへ商号変更

2016年

2月

ALSOKと資本業務提携契約を締結

2016年

5月

福島市福島工業団地内に福島工場を新設、稼働

2016年

7月

(株)総合防災を子会社化

2016年

10月

(株)ヒューセックを吸収合併

2017年

11月

(株)始興金属を子会社化

2018年

11月

広伸プラント工業(株)を子会社化

 

【1-2 社長プロフィール】

遠山 榮一社長は、1950年生まれの69歳。
1972年に三菱商事に入社後、経理・財務部門、海外子会社などを歴任後、2004年1月同社入社。2005年8月に代表取締役就任。認知度・信用力の拡大を通じた企業価値の向上と企業体質の強化を図るとともに、従来の発想にとらわれない「防災市場」の創造・開拓を目指す。

 

【1-3 社是】

一、もの作り
われわれは、社会のニーズを先取りした高品質な防災機器を製造、販売し、より安心・安全な社会インフラの構築に貢献する。
一、顧客満足
われわれは、社員一人ひとりの質的向上を目指し、火災の報知から消火までをカバーする最強の防災プロ集団であり続ける。
一、コンプライアンス
われわれは、コンプライアンス精神を尊び、自己規律を育む職場環境を醸成する。

 

【1-4 市場環境】

同社のメイン事業である防災設備事業の対象は主にオフィスビル、高層マンション、大型ショッピングセンターなど。
建設経済研究所の調査によれば、民間非住宅分野の建築着工床面積は企業に設備投資が増加基調の中、今後も底堅く推移すると見込まれるということだ。

 

(建設経済研究所「建設経済モデルによる建設投資の見通し(2019年4月)」よりインベストメントブリッジ作成)

 

一方で、「リニューアル需要」も同社にとって重要なターゲットとなる。
国土交通省の調べによると、非住宅を対象としたリニューアル市場の市場規模は、2015年度が約7.8兆円、2016年度が約10.1兆円と大きく増加している。17年度は反動で減少したが、引き続き高水準にある。建設バブル期に設置された機器のリニューアル需要顕在化は大きな事業機会となろう。

(国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査報告書より、インベストメントブリッジ作成)

 

◎上場の同業他社としては以下の3社を挙げることができる。

 

 

売上高

増収率

営業利益

増益率

営業利益率

ROE(実)

時価総額

PER(予)

PBR(実)

1909

日本ドライケミカル

37,000

1.9

1,710

0.7

4.6%

9.2

7,803

 

6.9

0.6

6455

モリタHD

88,000

-3.9

9,200

-3.0

10.5%

10.0

88,440

 

14.2

1.3

6744

能美防災

114,000

6.8

12,000

5.6

10.5%

9.2

139,914

 

17.3

1.6

6745

ホーチキ

81,500

4.6

5,100

4.6

6.3%

10.8

38,886

 

9.8

1.0

※売上高、営業利益は今期会社予想。時価総額等は2019年6月28日終値ベース。
※単位:百万円、%、倍

 

従来の防災業界には例のない積極的な活動で、新市場の創造・開拓にチャレンジしているものの、PER、PBRは低水準にとどまっている。企業規模の拡大、収益性の向上とともに、更なる認知度の向上が必要だろう。

 

【1-5 事業内容】

総合防災企業として「防災設備事業」、「メンテナンス事業」、「商品事業」、「車輌事業」の4事業部門から構成されている。各事業において「防災」というニーズ全てに対応し、顧客満足度の最大化を図っている。また、新たな顧客ニーズを開拓し、新しいビジネスの開発に結び付けていくという方針を掲げている。

 

<防災設備事業>
売上高の約半分を占める同社の主力事業。建築防災設備、プラント防災設備、特殊防災設備の3分野がある。
どの分野においても顧客の防災ニーズは多様化、大型化、高度化、複雑化している。同社は、長年培ってきた豊富な実績・ノウハウと高い技術力によって、顧客に対し最適な防災システムを提供している。

 

「建築防災設備」
60年以上の歴史を持つ同社において最も実績のある分野。
対象建築物は、オフィスビル、高層マンション、大型ショッピングセンター、駐車場、トンネルなど。

(横浜ランドマークタワー)

 

最近でも都内の大型再開発において数多くの施工実績をあげている。
同社はこれら建築物の建築主もしくは建築に携わる大手建設会社や設備工事会社から各種防災設備の設置を受注している。
一般建築物の防災設備は、消防法によってその設置が義務付けられており、設置基準も詳細に定められている。
また、設置後の点検に関しても厳格な基準が設けられている。
消防法の歴史は常に強化の歴史であるが、同社はその強化に迅速且つ適切に対応し、大切な人命と貴重な財産を守るという社会的使命を担い、責任を持って遂行。顧客からの高い信頼を獲得してきた。

 

「プラント防災設備」
原子力、火力、ガス、石油、石炭などさまざまなエネルギープラントから、石油化学、医薬、鉄鋼など広範な産業分野の製造工場および倉庫などが対象。

 

(東京電力 品川火力発電所)

 

顧客は電力会社や重電メーカーなど。

 

エネルギープラントでは、火災が発生し初期消火に失敗すると油流出を伴う大規模火災に発展する恐れがある。そこで、このような火災には大量の消火薬剤を散布できる泡やガスといった消火設備が最適である。
同社は、このように、対象物の危険性、特殊性、形状に最も適した防災設備をデザインし、構築している。

 

「特殊防災設備」
50年の歴史と実績を持つ。
船舶用の防災設備は船舶安全法、海上人命安全条約、船級協会などの規定により設置・点検が義務付けられている。

(同社資料より)

 

自船消火設備として機関室や貨物艙には二酸化炭素消火設備、ガス運搬船甲板部には粉末消火設備、他船消火設備としてタグボートや消防艇には泡水消火設備や粉末消火設備などがある。
対象船舶は大型タンカー、旅客船・フェリー、消防艇など多岐にわたる。

 

<メンテナンス事業>
設置した防災設備もいざというとき確実に作動しなくては何の意味もない。
防災設備の点検は消防関係法令に規定され、一般的に年間2回の点検が義務付けられている。
同社は消防設備士の資格を持つスタッフによる各種防災設備の保守点検業務およびそこから派生する修繕及び改修工事を行っている。主要顧客は施主及びビル管理会社など。
同事業については、社会的な要請やコンプライアンス意識の高まりを背景に成長が見込まれること、また収益性の観点から今後も収益の柱として強化していきたいと考えている。そのためには、幅広く防災の知識を有し、顧客に信頼される人財の育成・強化が必要と認識している。

 

<商品事業>
同社は日本初の粉末消火器を開発したパイオニアであり、以来、研究・開発を重ね、独自の技術で幅広いニーズに応えるさまざまな消火器や防災関連商品を企画・開発している。

(同社資料より)

 

オフィス・工場などに設置される一般的なタイプの消火器のほかに、発電所や石油関連施設などの危険物施設向けの大型消火器、自動車に搭載する消火器、家庭用消火器などさまざまなタイプの消火器の製造・販売を行っている。

 

1999年には日本で初めてアルミニウム製容器を市場で最も流通しているABC粉末消火器10型に採用して販売を開始し、その後もアルミニウム製容器を用いた多くの製品を展開してきている。

 

 

アルミニウム製消火器は、
・鉄製に比べ約20%軽いため、操作性が格段に向上する。
・錆びにくい性質から腐食による破裂を起こしにくい。
・リサイクル性が高く環境にやさしいため、ISO14000Sやごみゼロ工場などに適している。
といった特徴がある。

 

同社はアルミニウム製消火器の先駆的メーカーであり、今後は殆どが鉄製である海外市場へ進出していく考えだ。
消火器以外には、火災報知器、避難器具、防災キットなど各種防災用品の仕入・販売を行っている。

 

(同社資料より)

 

同社は全国14ブロック、計260社(2019年6月末現在)の販売代理店で構成されている「エクスチン会」により、全国をカバーする強力な販売体制を構築している。
(「エクスチン」は、消火器の英語「a fire extinguisher」から引用している。)

 

<車輌事業>
消防自動車には、消火栓や河川から水を汲み上げ放水する消防ポンプ自動車、水源のない場所で放水可能な水槽付消防ポンプ自動車、油火災等の消火を行う化学消防ポンプ自動車などさまざまな種類があるが、同社は、消火・防災技術の最先端を結集することで、こうした専門性の高い消防自動車のニーズに対応している。

 

(同社資料より)

 

同社は、消防ポンプ自動車、水槽付消防ポンプ自動車、化学消防ポンプ自動車の他、支援車、指揮車、小型動力消防ポンプ付水槽車など、各種消防自動車を製造・販売している。
主要装置の機能の高度化のみならず、自動揚水モニター装置、泡自動混合装置などの電子化、自動制御化も進めることで、操作性・安全性の向上および省力化に貢献している。
車両メーカーよりトラックシャーシを購入した後、顧客ごとの仕様に合わせた艤装(*室内外の各種装備などを車体に取り付ける工程のこと)を施し消防自動車として納入する。顧客のほとんどは地方自治体で、交換需要が中心となっている。競争は厳しいが長年携わってきた中で同社独自のアイデアや技術も具現化してきており、今後も注力していく考えだ。

 

 

【1-6 ROE分析】

 

13/3期

14/3期

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

ROE(%)

14.8

12.7

13.0

12.3

8.5

10.0

9.2

 売上高当期純利益率(%)

2.80

2.67

3.45

3.36

2.81

3.38

3.07

 総資産回転率(回)

1.52

1.49

1.36

1.40

1.24

1.26

1.31

 レバレッジ(倍)

3.49

3.21

2.74

2.63

2.45

2.35

2.30

 

19年3月期のROEは売上高当期純利益率の上昇により10%へ回復したが、特別利益に国庫補助金5億79百万円を計上したため。19/3期は9.2%と再び10%を割り込んだ。まずは2桁の回復、その後の本質的・継続的な収益性の向上が期待される。

 

【1-7 特徴と強み】

同社の事業ドメインである防災業界は、消防法をはじめとする様々な法律があり、工事・保守点検では消防設備士の資格が必要である。また特定の製品においても日本消防検定協会などによる検査の合格が必須であることなどから、参入障壁が高いことが特徴である。
これに加えて同社独自の特徴としては以下の4点があげられる。

 

➀長年にわたって培われた経験と実績
同社の創業は1955年4月。60年以上の歴史を有しており、長年にわたり培ってきた経験と実績に基づく信用力は、大きな財産である。

 

➁高度なエンジニアリング能力
一般建築物、プラント、船舶など幅広い分野における多数の、そして多様な防災設備の施工実績は、同社の高度なエンジニアリング能力に裏付けられている。

 

➂独自の製品開発力
非磁性体二酸化炭素消火器、地図式受信機、差動式分布型感知器(熱電対式)、NDCプレミアム90、NEOスプリンクラーシリーズなど同社オンリーの製品が多数。今後も研究開発に注力し、独自製品の開発を進めていく。

 

➃積極的なアライアンス戦略
防災業界は、専門領域が分化され、また他社と共同で事業を展開するといったことは極めて例がない業界。
そうした中で、同社はアウトサイダーであった遠山社長のリーダーシップの下、従来の発想に囚われることなく新た
な防災マーケットを創造しようという経営戦略により、積極的なアライアンスを展開している。

 

【1-8 株主優待を拡充】

株主が選べる防災用品(優待品目)をより充実させるため、品目を一部入れ替えた。
入れ替え後の内容は以下の通り。

No.

品目

内容

スーパールームガード

スプレータイプの簡易消火具

消火薬剤:水(浸潤剤等入り)

携帯用簡易防災セット

 

携帯できる簡易防災セット

内容:防災ガイド、絆創膏、簡易トイレ等

保存食5年サポートセット

1日分の食料品の備蓄セット(5年保存)

内容:1,500ml保存水、アルファ米(五目)、ビスコ、きなこ餅

オリジナル缶deボローニャ

食料備蓄品(3年6ヶ月保存)、

デニッシュパン(プレーン味)2缶セット

LEDパームラジオライト

 

LEDライト(1灯)、AM/FM2バンド仕様

※単4形電池3本が別途必要

マルチツール14

 

14の機能が隠されているマルチ機能ツール

機能:ナイフ、はさみ、缶切り、ドライバー等

 

マイレット mini-10

 

非常用のトイレセット(10回分)内容:トイレ袋、凝固剤、持運び袋(各10個)、ティッシュ2個

 

おふろですよ水が使えない時に全身ふける、超大判ぬれタオル(5年保存、30枚入り)

こども商品券(1,000円分) 玩具、子供服・ベビー用品、文具、遊園地等で使用可能。

当社オリジナルQUOカード (1,000円分) コンビニエンスストア、書店、ドラッグストア、ガソリンスタンド等で使用可能。

国内災害義援金(1,000円分) 日本赤十字社を通じて、被災者の手元に届けられる。

 

2.2019年3月期決算概要

(1)連結業績

 

18/3期

構成比

19/3期

構成比

前期比

期初計画比

売上高

32,622

100.0%

36,304

100.0%

+11.3%

+6.8%

売上総利益

6,865

21.0%

7,900

21.8%

+15.1%

販管費

5,756

17.6%

6,197

17.1%

+7.7%

営業利益

1,109

3.4%

1,702

4.7%

+53.5%

+29.0%

経常利益

1,160

3.6%

1,739

4.8%

+49.8%

+28.4%

親会社株主に帰属する当期純利益

1,104

3.4%

1,116

3.1%

+1.1%

+31.3%

※単位:百万円

 

11.3%増収、53.5%営業増益
売上高は前期比11.3%増の363億4百万円。防災設備事業が大幅増収で牽引した。車輌事業も復調。商品事業、メンテナンス事業は減収となった。利益面では大幅増収の防災設備事業で売上総利益が利益率の向上を伴い大幅増益、車輌事業は黒字に転じた。販管費率が17.6%から17.1%に低下し、営業利益は前期比53.5%増の17億2百万円、経常利益は同49.8%増の17億39百万円と大幅増益で着地、会社予想も大幅に上回った。前期は特別利益に国庫補助金を計上した反動で親会社株主に帰属する当期純利益は1.1%増の11億16百万円となったがこちらも会社予想は大幅に上回った。
前期に引き続き自動火災報知設備から消火設備、消火器そして消防自動車までを広くカバーする総合防災企業としての立ち位置を更に強化しつつ、製品ラインアップの拡充を図り積極的な営業活動を推進した。また、各種防災設備の設計・施工、消火器及び消防自動車等の製造そしてそれらのメンテナンスを通じて、世の中に高度な安心・安全を提供し、より良質な社会インフラを構築するという社会的使命を果たすべく、グループ一丸となって注力している。

 

(2)19/3期営業種目別動向

 

売上高

売上総利益

 

18/3期

構成比

19/3期

構成比

増減率

18/3期

利益率

19/3期

利益率

増減率

防災設備事業

13,950

42.8%

18,131

49.9%

30.0%

2,694

19.3%

3,806

21.0%

41.3%

メンテナンス事業

8,456

25.9%

7,559

20.8%

-10.6%

3,162

37.4%

2,869

38.0%

-9.3%

商品事業

8,513

26.1%

8,478

23.4%

-0.4%

1,170

13.7%

1,105

13.0%

-5.6%

車輌事業

1,702

5.2%

2,135

5.9%

25.4%

-161

-

118

5.5%

-

※単位:百万円

 

◎防災設備事業
大幅増収増益。
都市再開発及びリニューアル等の大型工事案件の進捗が進んだ。尚、18年4月1日付の一部組織変更に伴い、従来メンテナンス事業に含めていた収益の一部を防災設備事業に含めて表示している。組織変更前の状況に組替えた場合、売上高は173億29百万円(前期比24.2%増)、売上総利益は35億28百万円(同30.9%増)となる。

 

◎メンテナンス事業
減収減益。
改修・補修工事案件についての引き合いは継続しており、その掘り起こしを積極的に進めた。尚、上記防災設備事業と同様に組織変更前の状況に組替えた場合、売上高は83億61百万円(前期比1.1%減)、売上総利益は31億47百万円(同0.4%減)となる。

 

◎商品事業
減収減益。
消火器類の販売および小型工事案件の引き合いが堅調であった。

 

◎車輌事業
増収黒字転換。
電力会社向け特殊車輌の納入があった。

 

◎受注残高推移
19/3期は、都市再開発等の大型案件、リニューアル案件に係る受注は引き続き好調であり、受注残高は前年同期と同水準。

 

13/3期

14/3期

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

防災設備事業

6,479

7,403

8,635

9,240

9,449

13,132

12,942

車輌事業

33

321

119

161

191

559

831

合計

6,513

7,724

8,754

9,401

9,640

13,691

13,773

※単位:百万円
※メンテナンス事業と商品事業は受注と販売がほぼ同時期に成立するため、受注残高の記載なし

 

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

◎財政状態

 

18年3月

19年3月

 

18年3月

19年3月

 現預金

2,363

3,669

 仕入債務

8,606

8,087

 売上債権

14,360

13,329

 短期有利子負債

1,921

1,753

 棚卸資産

2,275

2,286

 長期有利子負債

707

450

流動資産合計

19,508

19,713

負債合計

15,790

15,505

 有形固定資産

5,008

5,259

純資産合計

11,609

12,550

 無形固定資産

1,389

1,371

 株主資本

11,278

12,182

 投資その他

1,493

1,712

負債純資産合計

27,400

28,056

固定資産合計

7,891

8,342

 有利子負債合計

2,629

2,203

資産合計

27,400

28,056

自己資本比率

42.4%

44.7%

※単位:百万円

 

19/3期末の資産合計は、前期末比6億56百万円増の280億56百万円となった。
流動資産は、197億13百万円(同2億4百万円増)となった。主な内容は、現預金36億69百万円(13億百万円増)、受取手形、売掛金及び完成工事未収入金102億30百万円(同20億65百万円減)、電子記録債権30億99百万円(同10億34百万円増)、商品及び製品12億20百万円(同1億34百万円減)等。
固定資産は、83億42百万円(同4億51百万円増)となった。主な内容は、有形固定資産52億59百万円(同2億51百万円増)、のれん12億82百万円(同9百万円減)、投資その他の資産17億12百万円(同2億18百万円増)等。

 

負債合計は、155億5百万円(同2億84百万円減)となった。流動負債は、134億44百万円(同17百万円増)となった。主な内容は、支払手形、買掛金及び工事未払金59億80百万円(同7億54百万円少)、電子記録債務21億6百万円(同2億35百万円増)、未払法人税等5億97百万円(同81百万円減)、未成工事受入金12億14百万円(同2億13百万円増)、賞与引当金8億12百万円(同3億76百万円増)等。
固定負債は、20億61百万円(同3億2百万円減)となった。主な内容は、長期借入金4億50百万円(同2億57百万円減)、退職給付に係る負債7億63百万円(同63百万円増)、繰延税金負債2億56百万円(同2億14百万円減)、その他4億9百万円(同96百万円増)等。
純資産合計は、125億50百万円(同9億41百万円増加)となった。主な内容は、配当金の支払2億12百万円及び親会社株主に帰属する当期純利益11億16百万円を計上したことによる利益剰余金が79億77百万円(同9億3百万円増)、その他有価証券評価差額金2億93百万円(同65百万円増)等。
自己資本比率は44.7%(前期末42.4%)となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

18/3期

19/3期

増減額

営業キャッシュ・フロー

1,711

2,837

+1,126

投資キャッシュ・フロー

-213

-563

-350

フリー・キャッシュ・フロー

1,498

2,273

+775

財務キャッシュ・フロー

-997

-965

+31

現金及び現金同等物期末残高

2,363

3,669

+1,306

※単位:百万円

 

19/3期末の現金及び現金同等物の残高は、36億69百万円となり、前期末比13億6百万円増加した。
営業CFは、28億37百万円の収入(前期は17億11百万円の収入)となった。主な収入は、税金等調整前当期純利益17億30百万円、減価償却費4億21百万円、のれん償却額1億79百万円、売上債権の減少12億10百万円、未成工事受入金の増加2億13百万円等。主な支出は、法人税等の支払額9億67百万円等。
投資活動CFは、5億63百万円の支出(同2億13百万円の支出)となった。主な収入は、敷金及び保証金の回収による収入32百万円等。主な支出は、有形固定資産の取得による支出1億84百万円、無形固定資産の取得による支出38百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出3億33百万円等。
財務CFは、9億65百万円の支出(同9億97百万円の支出)となった。収入は、長期借入れによる収入2億43百万円。主な支出は、長期借入金の返済による支出6億69百万円、社債の償還による支出2億75百万円、配当金の支払額2億12百万円等。

 

3.2020年3月期業績予想

◎連結業績

 

19年3月期 実績

構成比

20年3月期 予想

構成比

前期比

売上高

36,304

100.0%

37,000

100.0%

+1.9%

営業利益

1,702

4.7%

1,710

4.6%

+0.7%

経常利益

1,739

4.8%

1,750

4.7%

+0.9%

当期純利益

1,116

3.1%

1,130

3.1%

+1.5%

※単位:百万円

 

増収増益予想
20/3期は、売上高は前期比1.9%増の370億円、営業利益は同0.7%増の17億10百万円、経常利益は同0.9%増の17億50百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同1.5%増の11億30百万円を見込む。
年間配当は30.00円/株(うち上期末12.50円/株、期末17.50円/株)を予定。
19年度の建設投資の予測においては、政府建設投資は前年度より増加、民間建設投資に関しては、住宅投資・ 非住宅投資いずれも前年度と同水準とされている。一方で人手不足による労務単価の上昇、原料・資材価格および電 力コストの長期的上昇懸念もあり不透明な事業環境が続くものと想定される。同社の属する消火・防災業界においても、なお予断を許さない状況が継続するものと同社では想定している。一方、大都市圏を中心とした再開発案件、東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う建物の新築案件、更には社会全般における防災意識の高まり等、需要喚起の要因もみられる。こうしたなか、事業領域の更なる拡大、提携先とのシナジーを目指し、次々と買収・提携戦略を推進している。特に綜合警備保障株式会社との資本業務提携は、セキュリティと防災の融合を図り、顧客そしてコミュニティに、ワンストップでの安心・安全のソリューションを提供することを目指すもので、更なる事業拡大に寄与することを見込んでいる。また、16年6月に福島県福島市の福島工業団地内において福島工場が稼動した。福島工場は、総合防災 研究棟、車輌製造棟、自動火災報知設備・機器製造棟で構成されており、各製造棟での増産体制を構築するとともに、総合防災研究棟では、次世代の消火設備、自動火災報知設備・機器の研究開発の場を提供する。また、福島工場にて、新たな雇用を創出し、ものづくりを通して地域経済の発展にも貢献する。同社を取り巻く事業環境、ビジネスの裾野は大きく広がっており、自動火災報知設備から消火設備、消火器、消防自動車まで、顧客の防災にかかわるすべての要請にワンストップで応えることができる 総合防災企業として、世の中に安心・安全を提供するとともに、環境にやさしい、より質の高い社会インフラの構築に貢献していく考え。

 

4.成長戦略

(1)経営課題と経営施策

経営課題である「収益基盤の強化」のために、①アライアンスの強化、②研究開発体制の強化の2つを主要な経営施策としている。
提携先の技術や製品・システムを活用するとともに自火報と消火にかかる技術の融合を図る。2つの施策により同社にしかない独自の防災製品や防災システムを開発して、製品およびサービスの差別化を進めるとともに、収益基盤を強化していく考え。

 

(2)アライアンスの強化

顧客満足度向上を最優先課題と認識し、下記のように様々なアライアンスを結んでいるが、その深掘り・強化を進めつつ、新たな提携先についても前向きに検討していく。

 

(主なアライアンス)

分野

アライアンス先

概要

防犯・セキュリティ

ALSOK

資本業務提携:防犯と防災の融合

電気通信

OKI

資本業務提携:防災と通信の融合

空調設備

新日本空調

資本業務提携:空調設備と防災設備の一体営業など

環境・消火用ガス

松山酸素

イナートガスセンターを折半設立:消火用ガスの回収と再充填

消火器

初田製作所

基本業務提携:消火器の製造・流通・販売

火報製品

パナソニック

製品供給

海外製品

FireDos

Xtralis(Honeywell)

TYCO(JCI)Ansul

製品供給

 

(3)広伸プラント工業の子会社化

18年11月1日 広伸プラント工業の全株式を取得
●会社概要

■商号

広伸プラント工業株式会社

■本社・工場

北海道札幌市清田区

■設立

1991年7月

■資本金

1,000万円

■業種

各種プラント配管工事、鋼構造物製作取付工事、機器据付工事

 

●施工対象施設
 *石油精製施設
 *原子力・バイオマス発電所
 *各種プラント・各種費用工場

 

●自社で一貫して行える体制、高い技術力と確かな品質

(同社資料より)

 

プラント施設全般で協力体制を構築、シナジー効果により両社の事業領域を拡大させる考え

 

(同社資料より)

 

(4)研究開発体制の強化

NDCオンリーの消防防災製品&システムを創造し、顧客のもとへ

 

(同社資料より)

(5)自火報ビジネスの強化

NDCは自火報ビジネスにおいては、業界のチャレンジャー
自火報の市場シェアを高めることで、消火装置ビジネスの機会が増加。自火報・消火装置の両輪で取り組む考え。

 

(同社資料より)

 

(6)消火器ビジネスの強化

消火器製造・販売のプロセスを見直し、自火報・消火装置・消火器の3本柱を確立する。
●消火器ビジネスの主要施策
*生産ライン抜本的見直し
*部材調達総見直し
*製造・販売ライン強化

 

●NDC Korea株式会社へ名称変更
17年にグループ会社化した韓国企業(旧名称:株式会社始興金属)、アルミ製消火器の部材を製造
同社グループの一員であることを明確にして、相互連携をより強化した技術・生産活動を目指す。

 

●プレミアム消火器の販売促進
安心のグレードを高めるプレミアムな消火器

 

(同社資料より)

プレミアム消火器の消火能力
NDCプレミア90は、10型消火器と同じ薬剤質量で、20型消火器の受検用消火模型を消すことが可能。

 

NDCプレミア90

薬剤質量:3.0kg

リン酸アンモニウム

含有率:90%以上

10型消火器

薬剤質量:3.0kg

リン酸アンモニウム

含有率:約40%

20型消火器

薬剤質量:6.0kg

リン酸アンモニウム

含有率:約40%

B-7

燃焼面積1.4㎡

B-14

燃焼面積2.8㎡

×

 

 

5.今後の注目点

19/3期は3期連続の営業減益予想から一転して大幅増益で着地した。上期の時点でも予想されたことだが、しっかりとした実績を残した。20/3期は小幅な増収増益予想にとどまっているが、受注は引き続き好調に推移している。また、広伸プラント工業を新たに子会社化するなどアライアンス、M&Aは着実に進展している。また、引き続き同社独自の差別化製品の拡販がいつごろ果実として実を結ぶのかもウォッチしたい。PERは極めて低位、PBRは1倍を大きく割り込んでおり、株価の見直し余地は大きいのではないだろうか。

 

 

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

7名、うち社外1名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2019年6月25日

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

原則2-4 女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保

当社は、女性社員の活躍が会社の持続的な成長を確保する上での強みとなることを認識しておりますが、事業の特性上、まだ推進できておりません。女性社員の活躍を推進できる職場環境づくりを前向きに検討してまいります。

補充原則3-1-2

外国人投資家株主数比率が約1.5%、株式数比率が約8.76%であるため、英語での情報開示は行っておりませんが、今後の株主構成等を勘案し、必要に応じて検討してまいります。

補充原則4-1-3

当社は、最高経営責任者後継計画は、最重要課題と考えており、今後取締役会において、検討を行ってまいります。

原則4-8 独立社外取締役の有効な活用

当社は現在、独立社外取締役は1名でありますが、当社の事業環境を理解した社外の適任者を選任できるよう、引き続き努力してまいります。

 

 

 

<開示している主な原則>

原則

開示内容

原則1-4.政策保有株式

2.政策保有株式に係る議決権行使基準

一般の株主と同様に議案内容を精査し、必要に応じ株主として当該会社と対話を行い、議決権を行使いたします。

原則5-1.株主との建設的な対話に関する方針

当社の株主との建設的な対話を行うための体制整備、取組みは、次のとおりです。

 

1.株主との対話については、管理本部長が統括しております。

2.株主から対話の申し入れがあった場合は、管理本部長が代表取締役、IR担当部門等と対応方法を検討し適切に対応しております。

3.IR担当部門は、管理本部長と協議の上、面談以外の方法として、投資家・アナリスト向け決算説明会を実施するとともに、その内容をホームページで開示しております。また個人投資家に対しても、IRのイベントに参加し、会社説明会等を実施しております。

4.IR活動で得られた株主、アナリストからのご意見等は、管理本部長又はIR担当部門長より、取締役会、経営委員会に報告され、企業価値向上に積極的に活用しております。

5.株主との対話における内部情報の管理については、情報開示、インサイダー取引防止の社内規程等により適切に行っております。

 

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