ブリッジレポート
(6537) WASHハウス株式会社

グロース

ブリッジレポート:(6537)WASHハウス 2019年12月期決算

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児玉 康孝 社長

WASHハウス株式会社(6537)

 

 

企業情報

市場

東証マザーズ、福証 Q-Board

業種

サービス業

代表取締役社長

児玉 康孝

所在地

宮崎県宮崎市新栄町86番地1

決算月

12月末日

HP

https://www.wash-house.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

610円

6,881,000株

4,197百万円

-8.6%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

8.00円

1.3%

19.55

31.2

288.22円

2.1倍

*株価は 3/9終値。各数値は19年12月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年12月(実)

3,118

294

284

192

35.25

8.00

2017年12月(実)

3,375

243

247

156

22.94

8.00

2018年12月(実)

2,749

12

16

2

0.33

8.00

2019年12月(実)

2,188

-174

-159

-179

-26.20

8.00

2020年12月(予)

3,310

152

159

134

19.55

8.00

*単位:百万円、円。18年12月期より連結。2016年4月2日付で1:100、2017年4月1日付で1:2の株式分割を実施。EPS、DPSは遡及して調整済。

 

WASHハウス株式会社の2019年12月期決算概要、2020年12月期決算予想などをお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年12月決算概要
3.2020年12月期業績予想
4.今後の取り組み
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 19年12月期の売上高は前期比5億61百万円減の21億88百万円。FC部門の新規出店は33店舗(都市型9店舗、郊外型24店舗)と、計画を大きく下回った。出店エリアにおいて1日の日照時間が0.1時間に満たない日数である不照日が前年を下回って推移し、年度末にかけてやや改善はしたが小幅にとどまり、オーナーの新規出店意欲が高まっていない。加えて、台風19号、21号の被害も影響した。社員の採用人員を抑制したため販管費は前期を下回ったが、FC新規出店数の減少が影響し営業利益は1億74百万円の損失となった。

     

  • 20年12月期の売上高は前期比51.3%増の33億10百万円、営業利益は前期の損失から3億26百万円増の1億52百万円の利益に転じる予想。関東エリア・関西エリアでの出店を継続しつつ、中・四国エリアでの出店を強化する方針。気象条件もあるものの出店が計画未達であったことを踏まえ、本社サイドによるより精緻な案件会議の実施、実績・知見が豊富なベテラン社員の活用、チーム体制の見直しなど、営業体制の適正化に取り組む。新規出店はFC店81店舗、直営店2店舗の合計83店舗を計画しており、今期末の店舗数はFC店652店舗、直営店49店舗の合計701店舗を見込んでいる。

     

  • 投資家の期待に反して損失計上となってしまった前期決算であるが、今期は営業体制を根本的に見直して約80店舗の新規出店を目指している。「WASHハウスプラットフォームの強化」にはまずは全国20,000店舗を目標とした店舗網構築が欠かせないであろう。四半期ごとの出店の進捗を見守りたい。

     

  • 一方、前期を無料ビジネスモデルの展開に向けた大きな一歩を踏み出した年と位置付けており、洗濯機・乾燥機の次世代モデルやスマホアプリのベータ版リリースも近付いているようだ。こちらも大いに注目したい。

     

1.会社概要

コインランドリー業界のグローバルスタンダードの創造を目指し、FCを中心にコインランドリー店舗を展開。
全店舗一括管理運営方式によるクオリティ統一化という今までにない新たなFCビジネスの仕組みを創り出し、FC本部と加盟店の共栄を実現。ストック型の安定した収益構造なども大きな強み。
大阪、東京への進出を契機に全国展開を本格化へ。将来は海外展開も視野に入れている。
2019年12月末現在、1都1府22県に618店舗(FC571店舗、直営47店舗)を出店。

 

【1-1 上場までの沿革】

児玉社長が起業するにあたり、少子高齢化や人口減少が確実な時代に永続的に売り上げ・利益を伸ばしていくためにはどうしたらよいか、社会的意義がある事業か、先行事業者がいるか、競争に勝てるか、容易に真似されないか、ストック型の事業にできるかなど様々な観点から事業を検討した結果たどり着いたのがコインランドリー事業だった。

 

事業規模拡大のためにはFC展開が適しているが、FC本部と加盟店との対立というFCビジネスの問題点解決のために24時間365日受付のコールセンター、管理カメラと遠隔コントロールによる即時サポートなどからなる「全店舗一括管理運営方式」をいち早く導入しFC加盟店の負担を大きく低減。働く女性の増加に伴うニーズの拡大も追い風となりビジネスは順調に成長していった。

 

創業の地、宮崎県を含む九州地区中心から、出店エリアを順次拡大し、2015年12月大阪、2016年7月には東京へも進出。
2016年11月、東証マザーズ、福証Q-Boardに同時上場した。

 

【1-2 経営理念など】

経営理念として、「全ての発想をお客様の立場で考えることを基準とし、真に社会から必要とされる存在であり続ける。」を掲げている。
この経営理念の下、従来のような「単にコインランドリー機器を販売し、それを購入したオーナーが運営するコインランドリー」ではなく、出店後における店舗の完全管理を行うことを目的として、FCオーナーに代わり店舗利用者に気持ち良く利用してもらえるようなサービスを提供し続けることを目指し、「コインランドリー業界のグローバルスタンダードの創造」に取り組んでいる。

 

【1-3 市場環境】

◎成長続くコインランドリー市場
厚生労働省の「コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査」によれば、数字はやや古いが平成25年度の全国のコインランドリーの施設数は16,693か所で、平成8年度の10,228か所からのCAGR(年平均成長率)は2.9%。その後も3%成長が続けば、平成28年度には18,000か所を超え、コンビニエンスストア第2位のファミリーマートの17,656店舗(2017年11月末)を抜き、首位のセブン・イレブン19,970店舗(同月末)に迫る規模となる。

 

 

◎成長を支えるもの
こうした成長の背景としては
*共働きの増加による「洗濯時間を減らしたい」という働く女性のニーズ
*花粉症などアレルギー対策
*良品廉価の衣料品の増加によるクリーニング利用の減少
*清潔意識の向上
などがあげられている。

 

また、これら外部要因に加えて同社を始めとする事業者がユーザーの利便性を考慮した様々なサービスを提供していることも「利用者の拡大 → 店舗の増大」というサイクルに繋がっている。
児玉社長によれば、店舗を中心とした半径2km内の全世帯のうち何世帯がコインランドリーを利用しているかを示す「利用率」は、10年程前は全国平均で3%程度だったものが、現在では5~8%に上昇しているということであり、今後も利用率の上昇が見込まれている。

 

◎プレーヤー
詳細な情報は得にくいが、コインランドリー市場のメインプレーヤーは同社を含め4~5社と言われており、同社は最多の同一ブランド管理店舗数を有し、かつ、唯一の上場企業である。
また多くの企業が成長(出店数増)のためにFCビジネスで事業展開しているが、同社は徹底したオペレーションの効率化とクオリティの統一化を追求した「全店舗一括管理運営方式」という他に類を見ない新たなFCビジネスの仕組みを構築している。(詳細は、「1-5 特長と強み」を参照。)

 

【1-4 事業内容】

1.部門構成
「①FC部門」、「②店舗管理部門」、「③直営その他部門」の3部門で構成されている。

 

 

① FC部門
他社にはない独自のオペレーション受託型FC事業を創出している。
同社が出店候補地を選定し、FCオーナーとの間で「WASHハウス」ブランドの店舗の設計、内装工事、機器の設置等をパッケージ化した「WASHハウスコインランドリーシステム一式」を販売するほか、オープン時の広告等開業準備費用、FC加盟金を受領している。

 

FC加盟店開拓に関しては、テレフォンアポインターが取ったアポイント先に営業担当者が訪問するという分業制を採用している。この分業制により営業担当者は新規開拓電話の心理的負担から解放され、より積極的な営業活動に専念することができる。また、シミュレーション算出や契約書作成等の作業も営業担当から切り離し、「動く作業」に専念できる環境を提供している。
加えて、金融機関等とのビジネスマッチング契約を締結することにより、出店場所やオーナー候補の情報を増やし、出店数拡大につなげるという「仕組み」作りに注力している。

 

長年にわたり蓄積してきた「営業担当者の経験年数とFC店舗開発実績」の相関関係データを基に毎期の新規開店計画を立てている。

 

② 店舗管理部門
すべてのFC店舗について店舗管理を受託しており、店舗収支を含む運営状況を月次でFCオーナーに報告し、月次の売上金から差し引くことによりFCオーナーからコインランドリー管理収入を受領している。

 

同社は店舗の「安心・安全・清潔」を維持する為に、
*24時間365日受付のコールセンター
*管理カメラと遠隔コントロールによる即時サポート
*毎日の点検・清掃
*洗剤の補充
*メンテナンス巡回
*広告活動
などのサービスを加盟店に提供している。
店舗管理手数料、システムメンテナンス料、洗剤販売、清掃受託費、広告分担金などが売上の内訳となる。

 

FCオーナーは店舗管理業務から解放されるため、初期投資コストさえ負担できれば複数の店舗を保有し、収益拡大と共に地域分散による収益変動リスクを低減することが容易である。

 

③ 直営その他部門
コインランドリー「WASHハウス」を直営店として展開し、店舗利用者から洗濯機、乾燥機の利用料を受領している。
直営店は、主に新規エリアへの進出時に出店しており、「安心・安全・清潔」なコインランドリーとしての「WASHハウス」ブランドのローカル認知度を高めるとともに、コインランドリー潜在ユーザーへの利用喚起、FCオーナーと土地オーナー(不動産の有効利用を検討している個人・法人)への店舗モデルの提供など、アンテナ店としての役割を担っている。
その他、コインランドリーの経費精算業務等に伴う業者からの事務手数料収入などの収益を受領している。

 

2.店舗展開
2019年12月現在、1都1府22県でFC517店舗、直営47店舗の合計618店舗を運営している。
今後も全国展開を進めていく。

 

 

 

 

【1-5 特長と強み】

①新たなFCビジネスの仕組みを創造
同社を最も特徴づけているのが、同社独自のFC事業モデルだ。

 

一般的なFC事業では、FC本部と加盟店の間に対立が生じやすいという問題が指摘されている。
加盟店がFC本部に加盟金や売上ロイヤリティを支払う対価として、FC本部はブランド名の使用を許可するほか、加盟店にノウハウを提供したり、商品を卸したりするが、店舗の運営、人材の確保などは加盟店がその責任において行わなければならない。
店舗の運営管理は加盟店にとっては相当の負担であり、事業が好調な際は良いが、売上が上がらなくなると、加盟店は「本部の仕組みが悪い」、FC本部は「加盟店の教育が悪い」などと互いのせいにしがちで、苦情に留まらず訴訟にまで進むケースも多い。

 

これに対し同社では、「全店舗一括管理運営方式」を導入し、前述のように、24時間365日受付のコールセンター、管理カメラと遠隔コントロールによる即時サポート、毎日の点検・清掃、洗剤の補充、メンテナンス巡回、広告活動といった、店舗運営・管理に必要な活動を全て同社が提供しており、加盟店の店舗運営に関する負担を実質ゼロにしている。

 

これに加え、同社は月商100万円以上となる物件を基準としているため、地域の人口、年齢分布、収入状況などについてきめ細かい市場調査を実施し、優良物件を開拓するノウハウが蓄積されている。
店舗の完全管理システムと優良物件開拓力、この2つが相まって、加盟店の満足度は極めて高く、第18期の現在まで業績不振による撤退がゼロという群を抜いた実績に結び付いている。

 

②明るく清潔な店舗。使いやすさにも配慮。
コインランドリーというと、「暗い・怖い・汚い」というイメージを持つのが一般的だが、同社が提供するコインランドリー「WASHハウス」は、女性や小さい子供のいるファミリー層をターゲットとする「安心・安全・清潔」な店舗を統一ブランドで提供している。

 

(同社HPより)

 

(同社HPより)

 

以前は「家事の手抜き」の一つにも数えられたコインランドリーの利用だが、女性就労率の増加や高層マンションの
普及、ライフワークの変化などから、自宅の洗濯機よりも一度に大量にかつ洗濯・乾燥の時間を短縮できるコインランドリーへの関心が高まっており、特に健康志向の高まりのなかで、ダニやアレルギー対策として布団やじゅうたんなどの大物洗いの利用が注目されている。
また、子供のスニーカーを洗濯・乾燥できる機器を備えるコインランドリーへのニーズが高まりつつある。

 

こうしたなかで同社は、以下のような設備を備え消費者ニーズに対応している。
*布団の丸洗いも可能な最大22kgまでの洗濯機や最大25kgに対応する乾燥機(標準的店舗)
*スポーツシューズや通学用のスニーカー等が洗えるスニーカーランドリー
*無料で使用できるシミ抜き用の機器(スポットリムーバー)

 

さらに全ての店舗において管理カメラで24時間店舗をモニターで管理しているほか、本社から遠隔操作でランドリー機器をコントロールできる IoT型ランドリー機器を導入するなど、無人店舗でありながら、有人店舗であるようなリアルタイムのサポートを提供しており、ユーザーが安心して利用することのできる仕組みを構築している。

 

(同社HPより)

 

加えて、使用している洗剤の成分表示や乾燥機の温度表示を明示することで、安心して消費者が利用できるよう配慮しているほか、清潔な店舗を維持するため乾燥機のフィルター清掃や洗濯機の消毒など店舗の清掃を毎日行っている。

 

③ストック型の安定した収益構造
店舗管理部門における売上高は、1店舗当たり月額で店舗管理手数料 5万円、システムメンテナンス料 1万円、広告分担金3万円、清掃費約4万円等から成っており、合計約13万円/月。

 

同社のFC店舗数は2017年12月末で466店舗だったので、2018年12月期の店舗管理売上高は、2017年12月期以前からの継続店舗からの売上高(466店舗×13万円×12か月=726百万円)に、2018年12月期中に増加した新規店舗85店舗からの売上高(店舗ごと開店時期により売上高は異なる。)を合計したものとなる。

 

続いて2017年12月期以前からの継続店舗からの売上高726百万円に、2018年12月期の新規店舗からの売上高(85店舗×13万円×12か月=132百万円)および2019年12月期中に開店する新規店舗116店舗(計画)からの売上高を加え、さらに2018年12月期に事業を開始した100%子会社WASHHOUSEフィナンシャル株式会社の融資回収からの収入も加えたものが、2019年12月期の売上高となる。

 

(同社資料より)

 

このように、店舗管理部門売上高は、その期以前からの継続店舗からの売上高をベースに、その期中の新規店舗からの売上高がオンされるという形で、期を追うごとに着実にストックが積み上がっていく。
一方、現在まで事業不振による閉店はゼロという実績が示す通り加盟店の満足度は極めて高く、店舗数が減少する可能性は低い。
WASHHOUSEフィナンシャルからの収入もストック型収益であり、同社の安定した収益構造は一段と強固なものとなっている。

 

④業界健全化に向けた取り組み
成長が続くコインランドリー市場ではあるが、児玉社長によれば課題も山積しているのが現状だという。
その一つが法令順守の問題。

 

例えば、コインランドリーは乾燥機で大量のガスを使用するため安全性の観点から排気ダクトの材質や取り付け方などが消防法や建築基準法などで詳細に規定されているが、実態は違法な設置が多く見られるという。
また、コインランドリー業者の中には差別化を図り、ユーザーにアピールするために「洗濯代行サービス」を謳っているものもあるが、クリーニング業法に抵触し違法である可能性が極めて高い店舗が多い。

 

1950年に施行されたクリーニング業法は、国民の公衆衛生を保護する観点から下記の様な規定を設けている。

 

(クリーニング業法 抜粋)

条項

条文

意味

第2条 

2

この法律で「営業者」とはクリーニング業を営む者(洗たくをしないで洗たく物の受取及び引渡しをすることを営業とする者を含む。)をいう。

手たたみを行う者もクリーニング業営業者となる。

3

この法律で「クリーニング師」とは、第六条に規定する免許を受けた者をいう。

クリーニング業を行うにはクリーニング師の免許を取らなければならない。

4

この法律で「クリーニング所」とは、洗たく物の処理又は受取及び引渡しのための営業者の施設をいう。

クリーニング所を開設する時は、都道府県知事に届出をしなくてはならない。また、クリーニング所は、都道府県知事の使用前の検査確認を受けなければ使用してはならない。

クリーニング所には、クリーニング師を置かなくてはならない。

 

同法の趣旨や運用を要約すると意味するところは以下の通りとなる。
*コインランドリー業者がクリーニング師の免許を取得しても、クリーニング所ではないコインランドリー施設で洗濯物の出し入れ、たたみ仕上げ等のサービスを行うことはできない。
*クリーニング所として届け出た施設内の洗濯・乾燥機はクリーニング業営業者が使用するためのものであり、衛生上の観点から他者(コインランドリーの場合のユーザー)に利用させることはできない。

 

こうした法律があるにもかかわらず、保健所からの指導を逃れるために、店内にカウンターを設けて、その中に洗濯機を設置し、「この洗濯機で洗濯しています。」と説明しながらも、実際にはその洗濯機を使わず、カウンターから外に出てクリーニング所として届け出ていないコインランドリー機器でユーザーの洗濯物を預かって洗濯したり、手たたみサービスを行なったりしているケースも見られるという。

 

こうした状況に対し児玉社長は、コインランドリーの利用を普及促進させるためには、自社においては「安心・安全・清潔」なコインランドリー作り等に取り組むと共に、業界の健全化を進めることが不可欠と考え、一般社団法人全国コインランドリー管理業協会を2003年12月に設立した。

 

同協会は、法令等に準拠した設備と衛生管理についての運営基準を定め、現時点では同社の直営店及びFCオーナーの加盟店が店舗単位で加入しており、業界の健全化と一般消費者への啓蒙活動(コインランドリー利用の有用性告知など)を担っている。

 

2.2019年12月期決算概要

(1)業績概要(累計)

 

18/12期

19/12期

前期比

売上高

2,749

2,188

-561

売上総利益

939

700

-239

販管費

927

874

-52

営業利益

12

-174

-186

経常利益

16

-159

-176

当期純利益

2

-179

-181

*単位:百万円。

 

減収・損失へ
売上高は前期比5億61百万円減の21億88百万円。
FC部門の新規出店は33店舗(都市型9店舗、郊外型24店舗)と、計画を大きく下回った。出店エリアにおいて1日の日照時間が0.1時間に満たない日数である不照日が前年を下回って推移し、年度末にかけてやや改善はしたが小幅にとどまり、オーナーの新規出店意欲が高まっていない。加えて、台風19号、21号の被害も影響した。
社員の採用人員を抑制したため販管費は前期を下回ったが、FC新規出店数の減少で営業利益は1億74百万円の損失となった。

 

(2)部門別売上動向

 

18/12期

19/12期

前期比

FC部門

1,427

676

-52.7%

店舗管理部門

884

1,019

+15.3%

直営部門その他

404

493

+21.8%

合計

2,716

2,188

-19.4%

*単位:百万円。

 

① FC部門
店舗増加数減で減収。
FC店舗数の新規出店は、関東エリア 10(東京5、千葉1、神奈川4)、中部エリア4(愛知 1、岐阜1、三重2)、関西エリア 6(大阪 4、奈良 1、兵庫1)、中国エリア 3(岡山2、広島1)、四国エリア 1(愛媛 1)、九州エリア9(福岡8、熊本1)の計33店舗で、2019年12月末のFC店舗数は571店舗。
既存店舗のうち10店舗直営店への転換、3店舗オーナー事情による退店があったため、期中増加数は20店舗に留まった。

 

② 店舗管理部門
管理受託店舗増により増収となった。

 

③ 直営部門その他
新規出店5店舗、FC店舗からの転換10店舗で、合計15店舗の増加。2019年12月末の直営店舗数は47店舗。

 

(3)財務状態とキャッシュフロー

◎主要BS

 

18年12月末

19年12月末

 

18年12月末

19年12月末

流動資産

3,358

2,327

流動負債

1,091

701

 現預金

2,591

1,255

 仕入債務

396

76

 売上債権

139

196

 預り金

451

421

 営業貸付金

255

461

固定負債

819

848

固定資産

769

1,209

 預り保証金

774

809

 有形固定資産

413

836

負債合計

1,911

1,549

 無形固定資産

4

2

純資産

2,217

1,986

 投資その他の資産

351

370

 株主資本

2,218

1,983

資産合計

4,128

3,536

負債純資産合計

4,128

3,536

*単位:百万円

 

現預金の減少等で流動資産は前期末に比べ10億31百万円減少。直営店舗増等による有形固定資産の増加で固定資産は同4億39百万円増加した結果、資産合計は同5億91百万円減少し35億36百万円となった。
仕入債務の減少などで負債合計は同3億61百万円減少の15億49百万円。
利益剰余金の減少などで純資産は同2億30百万円減少し19億86百万円。
この結果自己資本比率は前期末よりも2.4%上昇し、56.1%となった。

 

◎キャッシュフロー

 

18/12月期

19/12月期

増減

営業CF

-314

-788

-474

投資CF

-28

-465

-436

フリーCF

-343

-1,254

-911

財務CF

-89

-82

7

現金同等物残高

2,591

1,255

-1,336

*単位:百万円。

 

(4)トピックス

◎中国で合弁会社を設立。コインランドリーを核としたプラットフォーム事業を推進するための大きな一歩。
2019年12月、中華人民共和国山東省に、コインランドリー機器の技術開発を手掛ける合弁会社「WASHHOUSE(Shandong) CO., LTD.」を設立した。
合弁相手は、中国国営企業(中華人民共和国100%出資)である山東小鴨智能科技発展有限公司(本社:中国山東省)で、出資比率はWASHハウス60%、山東小鴨智能科技発展有限公司40%。

 

合弁会社では、以前より目標としていた「コインランドリー利用料金を無料にする」を実現するために必要な情報配信機能を備えたコインランドリー機器の技術開発を進めている。
これは現在開発中のWASHハウスアプリと連動させ、利用者属性に対応した適切な情報配信を行うことなどにより、同社のコインランドリーを核としたプラットフォーム事業の価値を高めていくことを目標としており、この合弁会社設立は将来のコインランドリー利用料金無料化への大きな一歩となる。
また、同社独自の「全店舗一括管理運営方式」で蓄積された運営ノウハウをプラットフォーム事業と融合させ、海外展開をさらに推進することも狙いとしている。

 

今回の合弁会社設立は、コインランドリーを核としたプラットフォーム事業を推進するために必要な仕組みを構築し、事業構造に変革をもたらすことで、次のステップアップのための大きな転換期であると同社では考えている。

 

 

3.2020年12月期業績予想

(1)連結業績予想

 

19/12期

20/12期(予)

前期比

前期比(%)

売上高

2,188

3,310

+1,122

+51.3%

営業利益

-174

152

+326

-

経常利益

-159

159

+318

-

当期純利益

-179

134

+312

-

*単位: 百万円。予想は会社側発表。

 

増収・黒字回復へ。
売上高は前期比51.3%増の33億10百万円、営業利益は前期の損失から3億26百万円増の1億52百万円の利益に転じる予想。
関東エリア・関西エリアでの出店を継続しつつ、中・四国エリアでの出店を強化する方針。気象条件もあるものの出店が計画未達であったことを踏まえ、本社サイドによるより精緻な案件会議の実施、実績・知見が豊富なベテラン社員の活用、チーム体制の見直しなど、営業体制の適正化に取り組む。
新規出店はFC店81店舗、直営店2店舗の合計83店舗を計画しており、今期末の店舗数はFC店652店舗、直営店49店舗の合計701店舗を見込んでいる。

 

4.今後の取り組み

同社では、オリジナルの洗濯機、乾燥機、システムを開発し、全世界に展開するコインランドリー店舗をプラットフォームとして「無料ビジネス」を展開するビジネスモデルの構築は、同業他社のコインランドリーチェーンとは完全に一線を画したものであり、2019年はその実現に向けた大きな一歩を踏み出した年と位置付けている。

 

(同社資料より)

 

上場時より今後の成長に向けて各種施策を掲げ、前期までに、洗剤自社製造用の土地取得、タイおよび中国での合弁会社設立など、着実に具体的な実績を積み上げてきたが、これらは全てWASHハウスプラットフォームの強化=利用顧客を拡大させる取り組みである。

 

5.今後の注目点

投資家の期待に反して損失計上となってしまった前期決算であるが、今期は営業体制を根本的に見直して約80店舗の新規出店を目指している。「WASHハウスプラットフォームの強化」にはまずは全国20,000店舗を目標とした店舗網構築が欠かせないであろう。四半期ごとの出店の進捗を見守りたい。
一方、前期を無料ビジネスモデルの展開に向けた大きな一歩を踏み出した年と位置付けており、洗濯機・乾燥機の次世代モデルやスマホアプリのベータ版リリースも近付いているようだ。こちらも大いに注目したい。

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

6名、うち社外1名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2019年4月5日

 

<基本的な考え方>
当社は、法令を遵守し、公正かつ透明性のある企業活動を推進し、会社の成長を通じて地域社会に貢献するとともに、企業を取り巻く株主、顧客、従業員、取引先、地域社会等、全てのステークホルダー(利害関係者)からの信頼が得られる企業であるよう努め、将来に向けグローバルな事業活動を展開していく方針であります。
また、経営の透明性と公正性の向上および環境変化への機敏な対応と競争力の強化を目指して、当社の成長に応じたコーポレート・ガバナンス体制の構築に努め、企業価値の最大化を目指してまいります。

 

<実施しない主な原則とその理由>
「基本原則の全てを実施してまいります」と記述している。

 

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