ブリッジレポート
(6050) イー・ガーディアン株式会社

プライム

ブリッジレポート:(6050)イー・ガーディアン 2020年9月期第2四半期決算

ブリッジレポートPDF

 

高谷 康久 社長

イー・ガーディアン株式会社(6050)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

サービス業

代表者

高谷 康久

所在地

東京都港区虎ノ門1-2-8 虎ノ門琴平タワー8F

決算月

9月

HP

https://www.e-guardian.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

2,657円

10,127,479株

26,908百万円

26.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

-

-

84.01円

31.6倍

338.33円

7.9倍

*株価は6/19終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2016年9月(実)

3,813

562

554

350

35.26

4.00

2017年9月(実)

5,067

811

840

572

56.57

6.00

2018年9月(実)

5,902

1,039

1,049

736

72.05

8.00

2019年9月(実)

6,535

1,167

1,201

840

82.60

9.00

2020年9月(予)

7,400

1,201

1,221

850

84.01

-

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。

 

 

イー・ガーディアン(株)の2020年9月第2四半期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します

 

 

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年9月期第2四半期決算概要
3.2020年9月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 20/9期上期は前年同期比16.2%の増収、同9.6%の営業増益。ノウハウの横展開により、キャッシュレス決済、シェアリング、エデュテック(教育分野にテクノロジーを導入したサービス)等の需要の取り込みに成功したソーシャルサポートの売上が同28.8%増と伸び、アド・プロセスや子会社が展開するサイバーセキュリティ分野の売上も増加。2拠点の新設やサイバーセキュリティ事業強化に伴う先行投資を売上の増加で吸収した。

     

  • 通期予想に変更はなく、前期比13.2%の増収、同2.9%の営業増益。クラウド型セキュリティ製品開発への先行投資、フィリピン現法及び国内拠点の新設・移転等のコストを、ソーシャルサポートを中心にした売上の増加で吸収する。配当は未定。

     

  • 通期予想に対する進捗率は、売上高50.5%、営業利益52.6%。コロナ禍の影響を受けることもなく、順調に進捗しているが、今後、飲食・レジャー等の減少による問い合わせ減少、新規ゲームタイトルの発売延期、広告出稿の減少といったリスクが顕在化してくる可能性もあり、会社側は慎重な姿勢を崩していない。もっとも、個人情報漏洩事件や特定の組織を狙う標的型攻撃に加え、IoTによりあらゆるものがリスクにさらされる等、インターネットに関するセキュリティ侵害は年々深刻化している。同社は、こうした需要の取り込みに成功しており、リスクが顕在化しても一過性のものにとどまるだろう。

     

1.会社概要

経営理念として「We Guard All」を掲げ、グループでサイバーセキュリティからデバッグ、運用まで、上流から下流までを、ネットセキュリティのワンストップサービスを提供している。20年以上にわたる運用実績を誇り、国内外8都市に14拠点を展開。顧客数は1,000社超。
グループは、投稿監視・カスタマーサポート・広告審査等を手掛ける同社の他、連結子会社5社。サイバーセキュリティ・脆弱性診断等のEGセキュアソリューションズ(株)、クラウド型セキュリティ製品の開発・販売を行う(株)グレスアベイル、Webシステム・IoTのデバッグ(第三者検証)を手掛けるEGテスティングサービス(株)、投稿監視を中心に展開し、ローコストオペレーションを強みに低単価案件の収益化能力に優れるイー・ガーディアン東北(株)、及びグローバル展開の拠点であるE-Guardian Philippines Inc.。

 

(同社資料より)

 

1-1 事業区分と成長戦略

事業は、ソーシャルサポート、ゲームサポート、アド・プロセス、その他の4業務に区分され、いずれも件数に応じた課金体系を採用しており(一部サービスを除く)、高品質なサービスをリーズナブルな価格で提供している。

 

 

ソーシャルサポート
ソーシャルネットワークサービス(SNS)やECメディア等のソーシャルメディアへの投稿を監視する投稿監視や問い合わせ対応を24時間365日体制で提供しており、多様なニーズを取り込むべく、風評調査、多言語対応、サイト運用、分析等にサービスの幅を広げている。人による目視監視(ヒューマンリソース)に加え、投稿監視システム「E-Trident」や人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」の活用で対応している。低単価案件等には、ローコストオペレーションを強みとするイー・ガーディアン東北(株)が対応している。
決済事業者の加盟店審査を代行する「加盟店審査・登録申請サポートサービス」やリアルタイムAI動画監視フィルタの開発等も行っている。

 

 

ゲームサポート
ゲームの開発から運用までをワンストップでサポートしている。デバッグを手掛けるEGテスティングサービス(株)と連携したサービス、プロモーション、ソーシャルアプリやオンラインゲーム等のカスタマーサポート、更にはフィリピン現地法人E-Guardian Philippines Inc.が海外企業の日本進出支援(ローカライズ、デバッグ、脆弱性診断、運用等)と日本企業の第3国への進出支援を行っている。カスタマーサポートでは、バグ(苦情)、機能の使い方(質問)、更にはゲーム内での不正行為の通報等について、チャットボット(「チャット」と「ロボット」を組み合わせた自動会話プログラム)、メール、電話で対応している。

 

(同社資料より)

 

 

アド・プロセス
広告審査業務に加え、広告枠管理、入稿管理、広告ライティング、及び広告運用代行等の業務受託を行っており、顧客のもとに常駐して業務を実施する常駐型のサービスも提供している。また、画像内物体検知システム「Kiducoo AI(キヅコウ エーアイ)」を活用し、マーケティング支援及び著作権侵害のパトロール等のサービスも提供している。

 

 

その他
EGセキュアソリューションズ(株)が提供する、ウェブアプリケーション等の脆弱性診断(脆弱性検査)や各種サイバーセキュリティに関するコンサル・支援、(株)グレスアベイルが提供するクラウドセキュリティやサイバー攻撃対策に関するソリューション、及びEGテスティングサービス(株)によるWebシステム・IoTのデバッグ(第三者検証)等の収益が計上されている。

 

 

 

1-2 強み - 人とシステムによる低コスト・高品品質の実現、リスク高度化とサービス多様化への対応力 ―

TVゲーム・携帯ゲームがソーシャルゲーム・クラウドゲームに、電話問い合わせがメール・チャットに、現金決済・クレジットカード決済が電子決済・仮想通貨・Fintechに、それぞれ代わり、SNSやブログ等のソーシャルWebサービスが、CtoC、シェアリングサービス、VR、AR、と多様化している。これに伴い、標的型攻撃、ランサムウェアによる被害、脆弱性対策情報の悪用、インターネットバンキングの不正利用、スマートフォンへの攻撃、個人情報の窃取、更にはサービスの妨害を目的とした攻撃等、リスクも高度化しており、セキュリティ侵害は年々深刻化している。

 

こうした中、同社は、セキュリティのワンストップサービスを構築し、ネットの安心・安全に必要なものを全て提供している。強みは、「①人とシステムによる低コスト・高品質の実現と②リスク高度化とサービス多様化への対応力」。①人とシステムによる低コスト・高品質の実現では、人による目視監視(ヒューマンリソース)と、人工知能型テキスト監視システム、人工知能型画像認識システム、画像内物体検知システム、及びRPAによる低コスト・高品質なサービスを24時間・365日提供している。②リスク高度化とサービス多様化への対応力では、18/9期において、IoTセキュリティ・コンサルティング、セキュリティ診断サービス、及びスマホ脆弱性診断を導入した。また、仮想通貨の広告パトロール、シェアリングエコノミー本人認証、IoTセキュリティ・コンサルティング、ゲームコンシェルジュ、e-Sports、インフルエンサーパトロール、ライブコマースパトロール、といった新領域に参入した。

 

(同社資料より)

 

 

14/9期から19/9期にかけての売上高成長率は年率17.6%、営業利益の成長率は同34.0%。

 

2.2020年9月期第2四半期決算概要

2-1 上期連結業績

 

19/9期

上期

構成比

20/9期

上期

構成比

前年同期比

期初予想

予想比

売上高

3,216

100.0%

3,738

100.0%

+16.2%

3,550

+5.3%

売上総利益

1,128

35.1%

1,298

34.7%

+15.1%

 -

-

販管費

552

17.2%

666

17.8%

+20.8%

 -

-

営業利益

576

17.9%

631

16.9%

+9.6%

536

+17.8%

経常利益

600

18.7%

646

17.3%

+7.7%

556

+16.3%

親会社株主帰属利益

394

12.2%

431

11.5%

+9.6%

387

+11.5%

* 単位:百万円

 

前年同期比16.2%の増収、同9.6%の営業増益
売上高は前期比16.2%増の3,738百万円。ノウハウの横展開により、キャッシュレス決済、シェアリング、エデュテック(教育分野にテクノロジーを導入したサービス)等の需要の取り込みに成功したソーシャルサポートの売上が同28.8%増と伸びた他、インターネット広告市場の拡大を追い風とするアド・プロセスや(株)グレスアベイルの子会社化で強化したサイバーセキュリティ分野の売上も増加した。

 

営業利益は同9.6%増の631百万円。広島センター(広島県広島市)及び新宿サテライト(東京都新宿区)の4月開設に向け営業費用が3,107百万円と同17.7%増加したものの、売上の増加で吸収した。

 

補助金収入が減少する一方、為替差損が増加したため経常利益は同7.7%の増加にとどまったものの、非支配株主に帰属する四半期純損失の計上(△27百万円)で最終利益は431百万円と同9.6%増加した。

 

 

 

 

20/9期第2四半期(1-3月)は、拠点増設に伴う先行投資で営業利益の減少幅が大きくなったが、業績予想には織り込み済み。売上は順調に伸びており、上期の利益は期初予想を大きく上回る着地となった。

 

2-2 業務別動向

 

19/9期 上期

構成比

20/9期 上期

構成比

前年同期比

ソーシャルサポート

1,143

35.5%

1,472

39.4%

+28.8%

ゲームサポート

1,287

40.0%

1,266

33.9%

-1.6%

アド・プロセス

426

13.3%

472

12.6%

+10.7%

その他

359

11.2%

527

14.1%

+46.8%

売上高合計

3,216

100.0%

3,738

100.0%

+16.2%

* 単位:百万円

 

ソーシャルサポート
売上高1,472百万円(前年同期比28.8%増)。従来からの監視・CSの拡大に加え、運用や分析といった多種多様な新サービスの展開と既存顧客への深耕、更には、蓄積したより、キャッシュレス決済、シェアリング、エデュテック等の需要の取り込みに成功した。

 

 

Webサービス

イー・ガーディアン(株)が提供するサービス

キャッシュレス決済

加盟店審査、不正取引監視

シェアリング

本人確認、不正取引監視

エデュテック

人手が必要な業務の代行

 

 

ゲームサポート
売上高1,266百万円(前年同期比1.6%減)。デバッグを提供するEGテスティングサービス(株)と連携したサービスや日本市場に参入する中国系及び韓国系を中心とした海外ゲーム企業の多言語カスタマーサポートの受注に注力した他、リアルタイムかつ快適な環境の運用に貢献するクラウドゲームトータルサポートの提供を開始したが、国内ゲーム会社向けの減少で、わずかに前年同期の実績を下回った。

 

 

アド・プロセス
売上高472百万円(前年同期比10.7%増)。広告審査業務、広告枠管理、入稿管理、広告ライティング等のサービスに加え、派遣・常駐型業務と同社センター業務を組み合わせた運用で幅広く広告関連の需要を取り込んだ。また、自社開発したRPA(Robotic Process Automation)の活用により競合他社との差別化を図った他、インターネット広告市場の拡大に伴う人手不足に着目し、広告人材育成プロジェクトを推進した。

 

(同社資料より)

 

これまでアド・プロセスでは、受注後に人材を採用し、研修・OJTを経て業務に就かせていたが、人材育成プロジェクトでは、先行して人材を育成し受注能力を高め、拡大する需要を取り込んでいく。

 

 

その他
売上高527百万円(前年同期比46.8%増)。2019年8月に子会社化した(株)グレスアベイルの寄与で売上が大幅に増加した。サイバーセキュリティ分野では、(株)グレスアベイルが国内初のコンテナ型Webセキュリティファイアウォールである「GUARDIAX」を開発した。「GUARDIAX」はAIによる自動解析制御や高度ログ分析等の機能を備え、サイバー攻撃被害の最小化に貢献する。脆弱性診断・コンサル、言い換えると、アプリケーションのセキュリティホール対策を行うEGセキュアソリューションズ(株)とクラウドサービスで情報システムの安全を守る(株)グレスアベイルの知見・技術・サービスを一体化したサイバーセキュリティソリューションを、イー・ガーディアン(株)のブランド力・販売力を活かして幅広く展開していく。上記の新製品投入により、クラウドサービスによるサイバーセキュリティ分野をリードしていく考え。

 

尚、EG セキュアソリーションズ(株)代表の徳丸浩氏は、インターネットセキュリティの第一人者であり、(株)グレスアベイル取締役、京セラコミュニケーションステム(株)顧問、更には独立行政法人情報処理推進機構(IPAIPAIPA)非常勤研究員を兼任している。

 

 

(同社資料より)

 

 

 

 

2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

19年9月

20年3月

 

19年9月

20年3月

現預金

2,744

2,938

未払金・未払費用

450

585

売掛金

705

828

未払法人税・未払消費税等

327

351

流動資産

3,519

3,855

賞与・役員株式給付引当金

168

194

有形固定資産

462

545

有利子負債

77

0

無形固定資産

250

221

負債

1,110

1,220

投資その他

366

403

純資産

3,488

3,804

固定資産

1,079

1,169

負債・純資産合計

4,598

5,024

* 単位:百万円

 

第2四半期末の総資産は前期末との比較で426百万円増の5,024百万円。借方では、拠点増設で有形固定資産が増加したものの、設備投資は営業CFの範囲に収まり、現預金が増加した。貸方では、有利子負債を一掃した。第2四半期(1-3月)の売上高を基にした手元流動性比率は4.68ヶ月。自己資本比率75.0%(前期末74.5%)。

 

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

19/9期 上期

20/9期 上期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー(A)

436

478

+42

+9.8%

投資キャッシュ・フロー(B)

-75

-115

-40

-

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

361

363

+2

+0.6%

財務キャッシュ・フロー

-73

-173

-99

-

現金及び現金同等物期末残高

2,607

2,938

+330

+12.7%

* 単位:百万円

 

税前利益639百万円(前期593百万円)、減価償却費39百万円(同35百万円)、のれん償却費24百万円(同5百万円)、及び法人税等の支払額△218百万円(同△176百万円)等で478百万円の営業CFを確保した。投資CFは有形固定資産の取得や差入保証金の差入等によるもので、財務CFは有利子負債の返済と配当金の支払いによる。

 

 

2-4 トピックス

売上増加に対応するため2拠点を新設した。

 

新宿サテライトセンター

 

 

動画サービスに特化

 

規模   最大100名超

時期   2020年4月新設

所在地

東京都新宿区西新宿6-18-1

住友不動産新宿セントラルパークタワー

広島センター

 

 

広告審査など幅広く対応

 

規模   最大100名超

時期   2020年4月新設

所在地

広島県広島市中区大手町3-1-9

広島鯉城通りビル

(同社資料より)

 

3.2020年9月期業績予想

【新型コロナウイルス感染症の影響】

上期業績への新型コロナウイルス感染症の影響はなかった。在宅勤務(テレワーク)を推進しているが、サービス提供に支障はない。
業績への影響としては、プラス面とマイナス面が考えられる。プラス面では、動画・EC・ゲーム等の利用増加(巣ごもり消費)による問い合わせの増加である。一方、マイナス面では、外出自粛による飲食・レジャー等の利用減少による問い合わせ減少、新規ゲームタイトルの発売延期による新規案件の減少、広告出稿の減少による広告審査・運用代行の減少等を挙げることができる。業績に影響を与える事象が発生した場合、速やかに開示する予定。

 

 

3-1 連結業績

 

19/9期 実績

構成比

20/9期 予想

構成比

前期比

売上高

6,535

100.0%

7,400

100.0%

+13.2%

営業利益

1,167

17.9%

1,201

16.2%

+2.9%

経常利益

1,201

18.4%

1,221

16.5%

+1.6%

親会社株主帰属利益

840

12.9%

850

11.5%

+1.2%

 

業績予想に変更はなく、前期比13.2%の増収、同2.9%の営業増益
上期の業績が期初予想を上回ったものの、業績予想に変更はなかった。売上面では、下期も、既存顧客の深耕とノウハウの横展開による新たな需要の取り込みでソーシャルサポートが伸びる他、市場拡大が続くアド・プロセスやコンテナ型Webセキュリティファイアウォール「GUARDIAX」をリリースしたサイバーセキュリティ分の売上も増加する見込み。

 

利益面では、クラウド型セキュリティ既製品の開発、フィリピン現法のコールセンター増床、及び国内拠点の新設・移転等の先行投資を織り込んだため小幅な伸びにとどまるが、増益基調が続く見込み。

 

 

3-2 セグメント別取り組み

ソーシャルサポート
サイバーエージェント「動画広告市場調査」によると、動画市場は2013年から2023年にかけて、年率18.4%の成長が見込まれる(2023年の市場規模は5,065億円と推定)。イー・ガーディアン(株)は、5G時代の到来と共に更なる拡大が見込まれる動画市場において監視サービスを展開していくことで動画市場の安心・安全性の向上に貢献していく考え。

 

(同社資料より)

 

動画市場での監視サービスの展開に向け、自社の人工知能(AI)ソリューションのノウハウと、国立研究開発法人産業技術総合研究所発のベンチャー企業であるHmcomm(株)が手掛けるAI音声認識システムの技術を用いて、リアルタイムAI動画監視フィルタを開発した。このシステムは、動画ファイル内の音声・映像それぞれのデータを切り出し自動判別することで、動画監視の効率化を図る。イー・ガーディアン(株)の画像検知AI・テキスト認識AI関連の技術と、Hmcomm(株)のAI音声認識システムとを連携させることで、映像だけではなく、動画ファイル内の音声をテキスト化し、切り出したテキストデータのフィルタリングを可能にする。音声・映像の双方でモニタリングするため、アダルトや問題のある表現を含むコンテンツ検知、誹謗中傷、ユーザー間トラブル、著作権侵害等、多様に対応できる。

 

 

ゲームサポート
現在、フィリピンにおいて、E-Guardian Philippinesが多言語サポートサービスを提供しているが、新たにデバッグサービスを開始する。We Are Social、Hootsuite「Global Internet Use Accelerates」によると、フィリピンは1日当たりインターネット使用時間がアジアで最長を誇る等、インターネットに強い人材が豊富。また、三菱UFJ銀行「アジア・オセアニア各国の賃金比較」及びジェトロ「2019年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」を基に同社が独自でまとめたアジア各国の賃金比較では、フィリピンはインドネシアに次いで低かった。こうした豊富な人材と低コストといったフィリピンの強みと、EGテスティングサービス(株)の、ゲーム分野に特化した専門スタッフが実施する「ゲームアプリデバッグ」及び多くのプロジェクト実績をもつ「IoT・ソフトウェア検査評価」といった専門ノウハウを融合して、低コスト・高品質のサービスを提供し競争力を高める。

 

 

(同社資料より)

 

 

アド・プロセス
4月1日に、(株)サイバー・コミュニケションズと、広告BPOのトータルソリューションを提供する合弁会社(株)ビズテーラー・パートナーズを設立した。(株)サイバー・コミュニケションズの強みであるデジタル広告のオペレーションノウハウとイー・ガーディアン(株)の人とシステムの連携によるBPOノウハウを融合して、需要を取り込んでいく。

 

 

(株)ビズテーラー・パートナーズ概要

設立

2020年4月

資本金

10百万円

出資比率

(株)サイバー・コミュニケションズ90%、イー・ガーディアン(株)10%

 

サイバーセキュリティ
同社の資料によると、サイバーセキュリティ市場は、2023年にかけて、国内で年率7.9%(出所:ITRの「サイバー・セキュリティサービス市場動向2018」)、海外で同10.0%(出所:サイバーセキュリティマーケット:グローバルフォーキャスト2022)の成長が見込まれている。同社グループは、日本初となるAIを利用した「GUARDIAX」の開発・投入により、事業拡大に取り組む。

 

 

(同社資料より)

 

コンテナとは、クラウドサーバー上にアプリケーション本体・必要なライブラリ・設定ファイル等をまとめた「コンテナ」を作成し、「コンテナエンジン」で動作させる技術。「コンテナエンジン」で動作するため、クラウドサーバーのメモリやCPUリソースの消費を抑えることができ、アクセス遅延が発生しない。また、クラウドサーバー上で動作するため、クラウド型ファイアウォールに比べて通信コストを抑えることができる。

 

 

3-3 今後の展望

 

(同社資料より)

 

10年前の同社サービスの対象領域はSNSやブログ等のソーシャルメディアだったが、今では、ソーシャルゲーム、Fintech、ネット広告、C2C、IoT、ECへとサービス領域が広がっている。インターネットサービス拡大と共に事業領域が拡大する総合ネットセキュリティ企業の価値は更に高まる、というのが同社の考えである。

 

今後は、既存事業を着実に成長させると共に、サイバーセキュリティ事業と海外事業による上積みで成長を加速させ、売上高100億円企業を目指していく。

 

 

(同社資料より)

 

 

4.今後の注目点

通期予想に対する進捗率は、売上高50.5%(通期実績ベースの前年同期49.2%)、営業利益52.6%(同49.3%)、経常利益53.0%(同50.0%)、最終利益50.8%(同46.9%)。売上・利益共に順調に進捗しているが、今後、飲食・レジャー等の減少による問い合わせ減少、新規ゲームタイトルの発売延期、広告出稿の減少といったリスクが顕在化する可能性もあり、会社側は慎重な姿勢を崩していない。
もっとも、国内のインターネット関連市場においては、フィンテックやシェアリング等、新たなサービスの拡大する中、個人情報漏洩事件や特定の組織を狙う標的型攻撃に加え、IoTによりあらゆるものがリスクにさらされる等、インターネットに関するセキュリティ侵害は年々深刻化しており、インターネット利用の安全性を求める声は一層高まりを見せている。業績を見ればわかるように、同社は、こうした需要の取り込みに成功している。このため、リスクが顕在化しても一過性のものにとどまる。
ただ、サイバーセキュリティ分野では、2015年4月にHASHコンサルティング株式会社(現EGセキュアソリュー ションズ株式会社)を子会社化したが、その後の事業展開はインパクトに欠けた。(株)グレスアベイルの子会社化を契機に事業展開を加速させ、投資家にアピールすることができるか、注目していきたい。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

7名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2019年12月25日)
基本的な考え方
当社は、コーポレート・ガバナンスの基本的な目的を企業価値の安定的な増大と株主重視の立場に立って経営の健全性の確保と透明性を高めることであると認識しております。そのために、財務の健全性を追求すること、タイムリーディスクロージャーに対応した開示体制を構築すること、取締役及び独立性の高い社外取締役が経営の最高意思決定機関として法令に定める重要事項の決定機能及び各取締役の業務執行に対しての監督責任を果たすことを経営の最重要方針としております。また、コーポレート・ガバナンスの効果を上げるため、内部統制システム及び管理部門の強化を推進し、徹底したコンプライアンス重視の意識の強化とその定着を全社的に推進してまいります。
また、当社は、以下の5点をコーポレート・ガバナンスの基本方針として掲げております。

 

・全ての株主に対して実質的な平等性を確保するとともに、株主の権利の確保と適切な権利行使に資するための環境整備を行います。
・株主をはじめとする全てのステークホルダーとの適切な協働を実践するため、ステークホルダーの権利・立場や企業倫理を尊重する企業風土の醸成に努めます。
・法令に基づく開示以外にも、株主をはじめとするステークホルダーにとって重要と判断される情報(非財務情報も含む)を、様々な手段により積極的に開示を行います。
・取締役会は、取締役の職務執行に対する独立性の高い監督体制を構築し、経営の健全性の確保と透明性の高い経営の実現に取り組みます。
・最高財務責任者を中心とするIR体制を整備し、株主や投資家との対話の場を設けます。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【補充原則4-1-2 中期経営計画】
当社では、激しく変化するインターネットビジネス分野において、中期的な業績予測を掲げることは、必ずしもステークホルダーの適切な判断に資するものではないとの立場から、数値目標をコミットメントする中期経営計画は公表しておりませんが、経営陣は中期経営計画を定めるとともに、その進捗状況の確認、分析を行っております。取締役会は、その中期経営計画を決議するとともに、進捗状況や分析結果について報告を受け、監視、監督をすることとしております。

 

<開示している主な原則>
【原則1-4 政策保有株式】
当社は、事業戦略、取引関係などを総合的に勘案し、中長期的な観点から当社グループの企業価値の向上に資することを確認したうえで上場株式を新規保有し、また、継続保有する場合は毎年判断することとしております。その議決権行使は、中長期的な視点で企業価値向上につながるか、または当社の株式保有の意義が損なわれないかを判断基準として行うこととしております。なお、現在、当社は政策保有に係る株式は保有しておりません。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社では、最高財務責任者である総務部担当役員が、IR担当部署である総務部を統括し、IR活動を行うこととしております。
株主や投資家に対しては、個別面談に加えて、経営トップが出席する決算説明会を半期に1回行っております。加えてこれらの動画配信及び資料の公開をWebサイト上にて実施し、積極的に情報開示を行うこととしております。なお、株主との対話においては、インサイダー情報の漏洩防止に留意しております。

 

 

 

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