ブリッジレポート
(2925) 株式会社ピックルスコーポレーション

東証1部

ESG Bridge Report:(2925)ピックルスコーポレーション vol.1

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宮本 雅弘 社長

株式会社ピックルスコーポレーション(2925)

 

企業情報

市場

東証一部

業種

食料品(製造業)

代表取締役社長

宮本 雅弘

所在地

埼玉県所沢市東住吉7-8

決算月

2月

HP

https://www.pickles.co.jp/

 

財務情報

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

総資産

純資産

ROA

ROE

41,417百万円

1,871百万円

1,973百万円

1,290百万円

24,271百万円

13,016百万円

8.5%

10.4%

*2020年2月期実績。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。ROAは総資産経常利益率。

 

目次

 

1.会社概要
2.トップインタビュー
3.課題・マテリアリティと取り組み
4.中期経営戦略と経営目標
5.財務・非財務データ
<参考>
(1)ESG Bridge Reportについて
(2)「ROESGモデル」 について

 

(なお本レポート中、「3.課題・マテリアリティと取り組み」においては、㈱ピックルスコーポーションにおける取り組みを中心に、一部、子会社における取り組みを記載している。また、「5.財務・非財務データ」においては、データごとに、連結(㈱ピックルスコーポレーション及び子会社)又は単体(㈱ピックルスコーポレーション)であることを明示している)

 

1.会社概要

(株)ピックルスコーポレーション(以下「同社」とする)は、浅漬・キムチ・惣菜の製造・販売及び漬物等の仕入・販売を行っており、(株)ピックルスコーポレーション札幌、(株)ピックルスコーポレーション関西、(株)フードレーベル等の連結子会社17社、持分法適用関連会社3社と共に全国的な製造・販売ネットワークを構築している。
「野菜の元気をお届けします。」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。同社の製品(自社工場で生産)は、契約栽培による国産野菜(約80%が契約栽培)が中心。また、製造現場では、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、5S活動への取り組み、更にはFSSC22000やJFS-Bの認証取得等、「安全な食へのこだわり」は強い。

 

【1-1. 沿革】

1977年2月、東海漬物(株)の子会社・(株)東海デイリーとして愛知県で設立。当時は、商品の1パッケージあたりの容量が大きく、また、商品の納品の際は、段ボール等を使用し、ある程度まとまった数量で行うことが一般的であったが、パックに小分けした漬物を毎日納品してほしいという、主要顧客である量販店からの要望に対応するため、同社が設立された。

 

同年12月に(株)セブン-イレブン・ジャパンとの取引が始まったことが大きなターニングポイントとなる。(株)セブン-イレブン・ジャパンとの取引には高い製品開発力、品質衛生管理力などが求められるため、こうした能力を強化したことにより、その後、(株)イトーヨーカ堂、(株)ヨークべニマル等の(株)セブン&アイ・ホールディングスのグループ会社を含めた取引先の拡大に繋がった。
1993年9月、会社の一層の飛躍を目的とし、「伝統の味を、おいしく、新しく」という思いを込め商号を(株)ピックルスコーポレーションに変更。その後、2001年12月に、株式を店頭登録(現JASDAQ)した。

 

上場後は、(株)八幡屋の子会社化(株式取得)による東北・関東地区の販路拡大、(株)金久の関西地区の営業権取得による関西地区の販路拡大、(株)手柄食品の子会社化(株式取得)による関西地区の生産能力強化、㈱フードレーベルホールディングス(現・㈱フードレーベル)の子会社化(株式取得)による取扱商品の充実など、M&Aで販路や販売地域の拡大、生産能力の強化を進めた。
また、これと並行して、全国に自社及び子会社の工場を建設し、全国を網羅した製造・販売拠点を整備している。

 

2009年10月に発売した「ご飯がススム キムチ」のヒットにより、既存取引先の売上高拡大に加え、取り扱いを希望する新規取引先も拡大。「ご飯がススム キムチ」の生産数量増加に伴う、生産の機械化を進めた結果、利益及び利益率の向上に繋がっている。
2002年8月から新規事業として取り組んだ惣菜も順調に拡大し、会社の事業の柱の一つとなっている。その後、2016年12月に東証2部、2017年11月には東証1部へ上場した。

 

直近では新たな取り組みとして、外食、小売事業も開始している。

 

(同社資料より)

【1-2. 企業理念】

経営理念は「おいしくて安全、安心な商品を消費者にお届けし、同時に地球環境に配慮した企業経営を目指します」。
その上で、
①地球環境に配慮した企業経営
②安全でおいしい製品を作るための品質管理
③従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり
を経営方針として掲げている。
この方針に則り、食品安全の規格であるFSSC22000、JFS-Bや環境管理の国際規格であるISO14001に取り組んでいる他、人事制度や教育制度等の充実を図る等で働きやすい職場づくりにも力を入れている。
今後も、この方針を基に企業活動を行う事で、「安全・安心」な食品の提供という、食品会社の基本姿勢を貫き、消費者の信頼獲得と社会への貢献を果たしていきたいと考えている。

 

【1-3. 事業内容】

2020年2月期の品目別売上構成は、製品(自社工場で生産)売上が63.9%(浅漬・キムチ41.8%、惣菜20.1%、ふる漬2.0%)、連結子会社(株)フードレーベル製品や他社仕入商品(自社工場以外での生産)売上が36.1%。

 

(製品・商品概要)
◎浅漬・キムチ
サラダ感覚で食べられる浅漬を野菜の旬の時期に合わせたラインナップで提供している。近年は、消費者の健康志向の高まりにより、従来製品より低塩な「減塩浅漬」や、鰹だしをきかせた浅漬なども販売。
「安全・安心」な食品の提供を重視する同社として、主要原料の白菜、キュウリ等の野菜に関しては国産を使用。保存料・合成着色料は一切使用していない。

 

2009年10月に販売を開始した主力商品「ご飯がススム キムチ」は、キムチは辛いという従来の基本概念を捨てて、主婦層が家族に食べさせたいキムチというコンセプトを打ち出し、日本人の嗜好に合わせて、甘みや旨みを際立たせるオリジナルの味として開発した。また、300~400 グラムの容量が多いキムチ商品の中で、家族で食べ切れるようにと200 グラムに設定し、買いやすい量目と価格に設定。さらに、冷蔵庫内に収まりやすいスリムな形状とするとともに、赤やオレンジ色のデザインが多かったキムチ売場で、黒をメインカラーとしたパッケージデザインを採用した。この結果、当初の狙い通り女性や子供を中心に支持を集め、発売以後売上は順調に伸長している。
また、キャラクターや食品メーカーとのコラボレーション商品も開発するなど、ラインナップを充実させている。

 

現在、浅漬とキムチの漬物市場における構成比は約50%。漬物市場全体は縮小傾向にあるものの、浅漬やキムチの市場は安定している。
浅漬・キムチは野菜を主原料としており、食物繊維が豊富な低カロリー食品として見直され、今後の需要の伸びが期待されている。

 

 

 

 

ご飯がススム キムチ

叙々苑ポギキムチ

4種のぬか野菜

(同社資料より)

 

◎惣菜
2002年8月より惣菜の取扱いを開始し、着実に売上高を拡大している。近年は、消費者が節約志向を強めて外食を控え、惣菜を買って家庭内で食事をする中食の傾向が強まっているほか、高齢者・単身者世帯や共働き世帯の増加により食事のスタイルが変化しており、惣菜の需要は今後も拡大が見込まれている。
同社ではその強みである「野菜」をキーワードに開発を行っており、現在は、ナムルなどが好調。また、野菜の品種にこだわった製品を展開したり、サラダのドレッシングを自社開発するなど、惣菜にオリジナリティ・付加価値をつけ開発している。このほか、製品のpHコントロールによる緑色野菜の変色防止などの技術を活用している。

 

 

 

 

ナムル

サラダ

オクラのおひたし

(同社資料より)

 

(販売先)
全国の量販店、小売店、卸などが販売先であり、販路別構成は、量販店・問屋等74.9%、コンビニ15.9%、外食・その他9.2%となっている。

 

(同社資料基に㈱インベストメントブリッジ作成)

 

【1-4. 特長・強み・競争優位性】

同社は、以下のような特長・強み・競争優位性を有している。

 

(1)漬物業界でトップシェア
食品新聞記事を基に同社が作成した売上ランキングでは、同社は連結売上高414億円で、2位以下を大きく引き離し、シェア13.4%のトップである。シェア15%を当面の目標としており、M&Aを含めてシェアアップを図っていく考えだ。

 

 

(同社資料より)

 

(2)独自性の高い商品開発力
製品開発を迅速かつ柔軟に実現するため、コンビニエンスストア、量販店、外食産業など、取引先ごとに開発担当と営業担当によるチーム体制を構築し、顧客の意見を反映することで他社とは違うオリジナリティあふれる商品を開発している。
野菜、調味料などの素材選びから、加工方法、味、パッケージなど、多面的に開発を推進している。
基礎研究を担う研究開発室は、同社が独自に開発した植物由来の乳酸菌Pne-12(以下「ピーネ乳酸菌」とする)をはじめとした乳酸菌に関する研究など、将来を見据えた取り組みを行っている。

 

(3)全国をカバーする生産・物流体制
直営工場と物流管理センター、子会社、関連会社で全国を網羅。漬物業界で唯一、製造、物流、開発、営業機能の全国ネットワークを構築している。このため全国展開している顧客の各店舗に同一の浅漬・キムチや惣菜の提供が可能であり、営業上の大きな訴求ポイントにもなっている。
製造においては、食品安全の規格であるFSSC22000やJFS-Bを導入し、より安全・安心な製品を供給する体制を整えている。

 

(同社資料より)

 

(4)販売先に密着した提案型営業
全国に展開する同社の販売拠点では、それぞれの地域・販売先に密着した提案型営業を実施している。
主力の浅漬、キムチをはじめ、惣菜売場向けの商品ラインナップの充実を進め、営業担当が販売方法を提案し、売場作り・漬物フェアの開催など、消費者への様々なアプローチを販売先とともに考えている。加えて販売先とのコミュニケーションから得た情報を社内にフィードバックし、消費者動向を商品開発等に役立てている。

 

(5)販売先のニーズに対応するベンダー機能
浅漬、キムチ、惣菜等を自社で製造するメーカーとしての機能と、自社工場で製造できない梅干等の商品を全国各地の漬物メーカーから仕入れて販売する卸売機能の二つの機能を有している。自社製品、他社商品を同時に提供することができるベンダー機能を活かし、販売先のニーズに合わせたトータルな売場づくりを提案することが可能である。

(同社資料より)

 

【1-4. 価値創造のフロー】

(作成:㈱インベストメントブリッジ)

 

ピックルスコーポレーショングループは、「安全・安心」や環境を重視した経営理念・経営方針をベースに、競争優位性を活かしたバリューチェーンから「漬物・惣菜などの多彩な商品ラインアップ」「安全・安心な食生活」「野菜を通じた健康な生活」「持続的な成長」という価値を創造している。

 

2.トップインタビュー

●企業理念、ビジョン、社会的存在意義について

Q.近年、社会全体が持続可能な成長を目指す中で、その重要なプレーヤーの一員である企業の理念、ビジョン、ミッション、社会的存在意義が重視されています。
先ず御社の企業理念や経営理念についてお聞かせください。

当社では、「おいしくて安全、安心な商品を消費者にお届けし、同時に地球環境に配慮した企業経営を目指します」を、経営理念として掲げています。

 

食品は、人の生命、健康を維持、増進するために必要不可欠であり、また、体内に直接摂取されるため、他の製品と比べてもその安全性の確保は特に重要です。
厚生労働省の「健康日本21」においては、成人が1日あたりに摂取したい野菜の目標量を350g以上と定めていますが、現代の食生活において、十分な野菜が摂れていないのが実状です。
そうした中、私たちは、食品メーカーとして、安全・安心でおいしい商品を提供し、消費者の健康的な生活の実現に貢献することが、私たちの社会的な存在意義であると考えています。
ロゴマークにも記している「野菜の元気をお届けします。」は、まさにそうした想いを伝えるものなのです。

 

(同社ロゴ)

 

また、当社製品の主原料である白菜、キュウリ等の野菜の生育は、天候により大きな影響を受けます。そのため、異常気象を引き起こす地球温暖化へ対応は、企業経営上、極めて重要な課題であると考えています。

 

この経営理念の下、「地球環境に配慮した企業経営」「安全でおいしい製品を作るための品質管理」「従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり」を経営方針とし、具体的な各種施策に落とし込んでいます。

 

「地球環境に配慮した企業経営」においては、省エネルギー・省資源・廃棄物の削減等のさまざまな取り組みを行っています。
特に、プラスチックの利用・廃棄が生態系や環境に大きな影響を及ぼす重要な課題と認識し、石油由来プラスチック使用削減の取り組みを進めており、容器の軽量化のほか、容器素材の一部に植物由来原料を使用しています。また、最近は、社員の意識向上を目的にエコバッグの配布も行っています。

 

「安全でおいしい製品を作るための品質管理」においては、「野菜の元気をお届けします。」を実現するため、基本的に工場で使用する野菜は、在庫を持たず、毎日仕入れを行い、コールドチェーン管理を徹底することでおいしさと野菜の鮮度を維持しています。
また、食品安全マネジメントシステムであるFSSC22000やJFS-Bの取り組みや従業員教育の徹底により、ハードとソフトの両面から品質・衛生管理レベルの水準を向上させているほか、意図的な食品汚染リスクが社会問題になっているなか、不測の事態に備えるフードディフェンスの取り組みも強化しています。

 

「従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり」は、「安全・安心」「地球環境」とならび、私が強く意識しているものです。
企業の成長は、経営上かけがえのない存在である従業員の成長があって初めて実現されるものです。そのため、従業員が自ら成長・発展することを望んでおり、自分の個性や能力を発揮できる場を積極的に提供することが企業の重要な役割と考えています。
若いうちから自分が取り組んでみたい仕事に果敢にチャレンジしてもらうことが自分の成長、ひいては会社の成長につながるわけで、人間の成長と会社の成長を通じて、野菜の元気を消費者の皆様にお届けしていきたいと考えています。

 

●ESGについての認識、考え方

Q. 経営理念やビジョンをベースにピックルスコーポレーションにおける「ESG」についての考え方をお聞かせください。

 

先程申し上げたように、当社は「野菜の元気をお届けします。」という想いの下、安全・安心でおいしい商品をお届けすることを通じて消費者の皆様の健康づくりに貢献することが社会的な存在意義であると考えています。
また、異常気象は主原料である野菜の生育に大きな影響を及ぼすため、地球温暖化への対応は極めて大きな経営課題であるため、経営理念・経営方針双方に地球環境への配慮を挙げています。
また従業員の成長も当社の成長には欠くことのできない要素であると認識し、そのための環境作りにも積極的に取り組んでいます。

 

このように、当社の事業内容および存在自体が「ESG」のうち、「E」および」「S」への取り組みそのものといっていいでしょう。
その意味では、引き続きこの経営理念・経営方針の下で事業活動を推進することが、環境問題や社会問題を解決すると同時に、企業価値の向上に繋がっていくものと考えています。

 

 

●主要マテリアリティにおける取り組み

Q.今回御社では初めて13のマテリアリティを選定しました。(「3.課題・マテリアリティと取り組み」参照)
このうち、御社の持続的成長にとって特に重要なマテリアリティにおける取り組みや対応すべき課題について社長のお考えを伺いたいと思います。
まず、安全・安心な商品づくりについて、具体的にはどんな取り組みを行っていますか?

 

繰り返しとなりますが、当社は食品メーカーとして、安全・安心な商品づくりについては最も重要な課題と認識しており、品質・衛生管理について積極的に取り組んでいます。更に、最新鋭設備の導入、従業員教育、FSSC22000やJFS-Bの運用を通じて、信頼される商品づくりを目指しています。

 

具体的には、工場ごとに漬物や惣菜製造におけるHACCPプランを作成しているほか、野菜洗浄方法や漬け込み中の温度推移などの製造現場に関するデータや、法令などの情報収集を行い、安全で、合理的な食品製造の管理方法を構築しています。また、品質管理の担当者が毎月工場を視察してチェック表により評価・指導を行うとともに、工場でも定期的な内部検証を実施しています。

 

Q.地球環境保護に対してはいかがでしょうか?

 

ペットボトルをリサイクルした原材料を使用する容器や、原材料の一部を植物由来とした容器など、容器包装には環境に配慮した素材を使用しています。

 

2020年9月には、浅漬製品の標準容器について、約8%の軽量化を行うとともに、素材の一部に植物由来原料を使用したものに変更いたしました。この容器の軽量化によりプラスチック使用量は年間約12,000kg、容器の軽量化及び素材の変更によりCO2排出量は年間約42,000kgそれぞれ削減できると当社では試算しており、これまで以上に環境に配慮した製品作りが可能になります。

 

今後も容器の軽量化、使用素材の改良・変更などにより、原材料となるプラスチックの使用量を削減し、化石資源の使用量削減、温室効果ガスの排出削減などの環境負荷の軽減に取り組み、地球温暖化防止に貢献してまいります。

 

Q.では次に、持続的成長実現のために最も重要といわれている人的資本強化の取り組みをお聞かせください。

 

当社の社風は、若い人に仕事を任せることで実践の中で成長を促すというものです。
当社社員の平均年齢は32.9歳と東証1部上場の食品メーカーの中では若い企業に入ります。私はこうした若い社員のチャレンジ精神に大いに期待をしており、「失敗を恐れないでいろんなことにチャレンジしてもらいたい」と思っています。
特に、自分で考えて自分で行動できる人間になって欲しい、それは当社の社員としてだけではなく、自分の人生においても大事であるということを常日頃から社員に対して話しています。

 

チャレンジしなければ失敗は起きません。何かチャレンジしようとするから失敗をする。そのチャレンジしようとする意思が極めて重要であり、このことは、会社だけでなく、当社のお客様や取引先など外部の方々からも、大いに期待されているということを、社員に意識してもらうようにしています。

 

 

こうしたメッセージは着実に社内に浸透しつつあります。
当社の成長を大きく牽引している商品の一つが「ご飯がススム キムチ」ですが、この開発をリードしたのは入社2年目の女性社員です。
元々開発スタッフは女性が中心です。女性は男性に比べ「食」に対する意識が大変高いこともあり、食材、味について熱心に勉強します。
「ご飯がススム キムチ」が世に出る前、キムチは辛く、時間が経つと酸っぱくなり、量も多いほうが受け入れられ、400グラムが中心でした。
ところが女性の開発担当からは、現在の市場で流通しているキムチは、辛くて女性や子供が食べられない、量も多すぎて食べきらずに捨ててしまう、容器についても冷蔵庫内で場所を取らず、再度蓋が閉められて、ちょっと冷蔵庫の隅に入るような四角い容器がいいといった改善点が具体的に浮かび上がってきました。
そして、この商品デザインを担当したのも入社2年目の当社初の女性デザイナーでした。
赤やオレンジ色のデザインが多かった当時のキムチ売り場で、黒をメインカラーにし、商品名の「ご飯がススム」をパッケージいっぱいに大きく配置して目立つように演出するなど、従来の発想にとらわれないキムチが彼女らの手によって生み出されたのです。

 

発売前の社内の商品開発会議では、こんな甘いキムチはキムチじゃないという声も出るなど、評判は良くはなかったのですが、2009年10月1日に発売を開始しました。
当初の反応は良くなかったのですが、あるスーパーマーケットで大々的に扱ってもらったところ、リピート率が非常に高く、買われたお客様から、「今までこんなに食べやすいキムチはなかった」「これだったら子どもにも食べさせられる」といった声を頂きました。そこから全国的な販促活動やTVCMの効果もあり、今までキムチが食べられなかった若い女性中心に「これなら食べられる」ということで、大きくシェアが拡大していきました。
これ以前も数多くのキムチを開発してきましたが、ここまでのヒットに結び付いたことは初めてで、開発に直接携わった社員の自信となったのはもちろん、他の社員にとって大きな刺激となりました。

 

社員の主体性発揮を重視・期待するという面では、当社独自の取り組みである「3ムメモ」も大きな役割を果たしています。「3ムメモ」は、従業員が業務上のムリ、ムラ、ムダを発見し改善方法を提案するものです。15年ほど前から始めたのですが、昨年は連結ベースで2,000件弱の提案がありました。提案は全て審査し、年1回表彰しています。これまでは製造・物流部門のみで行っていたのですが、今期から対象を営業部門や開発部門などの間接部門にも広げました。

 

また、自主性・主体性の発揮を期待する中で、最近は、私の方からもより積極的にヒントやテーマなどの「気づき・きっかけ」を提供するように心がけています。
今年のある開発会議で、私からある新商品を提案し、その担当者を募ったところ、若手社員が手を挙げてくれました。
これは当人からしたら大変勇気のあることです。すぐに結果が出せるかどうかはわかりませんが、様々な勉強をしてもらえばそれは必ず本人の成長に繋がります。またそれを見ている周りの人間にも大きな刺激を与えます。
自分一人では何をすればいいのかを発見しにくくても、テーマを出せば動きやすいという社員も沢山いるでしょうから、こうした「気づき・きっかけ」の提供は社員の成長にとっての促進剤となると思います。

 

今後、当社が持続的な成長を実現するためには、既存事業の着実な成長とともに、EC事業、小売事業、外食事業など、新たな事業を拡大していく必要があります。
そうした分野の経験者を採用し、その経験やノウハウを会社が吸収するために、彼らが大いに活躍してもらえる場所・環境を提供することも重要ですが、それと同時に未経験であっても自らチャレンジする社員を育成することもそれ以上に重要です。

 

若い人に責任ある仕事を任せ、その仕事が成功するようフォローしていく、というスパイラルがこの会社にはあります。
最初に申し上げたように、会社が成長するためには働いている人たちの成長が必要です。やる気のある人がやりたいことをできる会社。それがピックルスコーポレーションの社風であり、今後も決して変わらない部分です。
失敗を恐れず、自分で考えて自分で行動できる社員たちと一緒に成長していきたいと考えています。

 

Q.御社の競争優位性の一つである「商品開発体制」について、今後の課題も含めお話しください。

 

当社は、約30名(単体)で商品開発に取り組んでいます。

 

他社と比較してスタッフ数は多く、独自性のある商品を継続的に開発することができる体制を構築し、野菜、調味料などの素材選びから、加工方法、味、パッケージなど、多面的に開発を推進しています。

 

また、製品開発を迅速かつ柔軟に実現するため、コンビニエンスストア、量販店、外食産業など、取引先ごとに開発担当と営業担当によるチーム体制を構築し、顧客の意見を反映することで他社とは違うオリジナリティあふれる商品を開発している点も大きな特長です。加えて、季節に合わせた新商品を継続して提案できる点も、当社の強みとなっています。

 

基礎研究を担う研究開発室は、ピーネ乳酸菌をはじめとした乳酸菌に関する研究など、将来を見据えた取り組みを行っております。

 

商品別には、浅漬は、サラダ感覚で食べられるものを野菜の旬の時期に合わせたラインナップで提供してきました。近年は、消費者の健康志向の高まりにより塩分を気にされる方も多く、従来製品より低塩な「減塩浅漬」などがあります。

 

惣菜は、当社グループの強みである「野菜」をキーワードに開発を行っており、現在は、ナムルなどが好調です。今後は、生野菜サラダや鍋つゆなどにも注力していきます。また、特定の野菜品種・産地に絞った製品を展開したり、当社オリジナルのサラダドレッシングを作ったりと、惣菜製品にオリジナリティ・付加価値をつけ開発しています。このほか、製品のpHコントロールによる変色防止技術などを活用しています。
その他、当社製品を選んでいただくための工夫として、例えば、野菜の内容量を大きく記載した商品や、10品目の野菜が取れるなど種類を表示し摂取できる野菜の量や品目をわかりやすく記載した商品を発売してきました。

 

このように当社の競争優位性の強固な基盤となっている商品開発体制ですが、グループ規模が拡大する中で、現状にとどまることなく更に磨き上げていかなければならないと考えています。

 

ただ、現状では、新しい発想による商品が生まれにくいという課題が明確になってきたため、今年9月、新たに「商品企画部」を立ち上げました。「商品企画部」では、グループ会社が増えていく中、北海道から九州まで、全体を俯瞰しながらマーケティングとそれに基づいた商品開発に取り組んでいきます。
従来の開発フローも維持しながら、全く新しい手法による商品開発にも取り組み始めたところです。

 

Q.御社のバリューチェーンにおいて契約農家は極めて重要なステークホルダーです。契約農家との信頼関係構築に向けた取り組みなどをお聞かせください。

 

当社事業にとって原材料となる野菜の安定的な調達は極めて重要な経営課題です。
仕入価格の高騰、歩留まりの悪化により製造コストが増加したり、必要量の確保ができず販売機会を逃したりすると業績に大きな影響を与えます。
特に近年は地球温暖化等の影響により異常気象の発生頻度が増加し、加えて規模も拡大しており、こうしたリスクはますます増大しています。

 

こうしたリスクを軽減し、年間を通じた仕入の数量及び価格の安定を図るために重要な役割を担うのが契約農家です。
契約内容は様々で、それらを組み合わせて全体の調達量・仕入価格のバランスを図っています。

 

全国の生産工場の周辺農家との間で、条件を話し合った上で契約するわけですが、「安全・安心でおいしい製品をお届けする」という当社の考え方を共有し、確かな信頼関係のもとで野菜づくりをしていただいている契約農家は全国約500件で、全仕入の約8割を契約農家から仕入れています。

 

契約農家の方には土づくりから協力していただき、徹底した管理のもと生産されたおいしい野菜を入荷していただいているため、当社商品の原料となる野菜は安定した品質・鮮度を保っています。
また、農薬使用においても、慣行での栽培方法と比べて、できるだけ少ない方法に取り組んでもらい、消費者にとって安全で安心できる圃場管理を行っていただいています。

 

また、契約農家との信頼関係を構築していくには当社が農業・農家を理解することも重要です。
そこで、当社では新入社員研修として、産地見学を行っています。
契約農家に対する理解を深めるほか、野菜生産の基礎知識や流通経路について学び、農業に関する知識を身につけてもらいます。
新入社員にとっては研修の中でも、この農地での研修が最も楽しいようです。農地に赴き、そこでキャベツを収穫したり、ダイコンを抜いたりしてその場で食べて帰ってくるのですが、獲れたての野菜を食べることで、野菜の本当の美味しさを知ってもらうことは当社社員にとっては重要な経験となっています。

 

農家の良きパートナーとして信頼関係を深めることは当社の業績安定化にとって重要な課題ですが、それにとどまらず、国産野菜の需要拡大による国内農業の基盤強化と持続的発展への貢献も目指していきたいと考えています。

 

●今後の課題

Q.人口減少が進行する中、どのようにして需要創造や需要取り込みを図っていきますか?

 

人口が確実に減少する中、持続的な成長を図るために様々な取り組みを進めていかなくてはなりません。

 

まずは、中期経営目標に掲げている「商品開発の強化」「販売エリアの拡大」「販売先の拡大」「新規事業」の4つの戦略です。
(詳細は「4.中期経営目標」)
一つは、漬物、惣菜に加え、豆腐、鮮魚など、従来の売り場にこだわらない商品の開発です。加えて、健康志向が高まるなか、野菜をおいしく食べるための商品開発、減塩や乳酸菌を活用した健康に配慮した商品開発などにも注力していきます

 

二つ目が、現在シェアの低い関西以西におけるシェア拡大。具体的には生産拠点の整備は進んでいますので、積極的な営業活動や製品開発に取り組みます。

 

三つ目が、食料品販売を強化しているドラッグストアや高齢者向け等の配食事業者など新規販売先の開拓。

 

そして四つ目が、新規事業として、小売、外食、ECなど消費者への直接販売を進めます。また、当社独自の乳酸菌を活用した商品開発・拡販も更に進めていきます。

 

こうした戦略と並行して、当社の認知度を高め、ファンを作ることも極めて重要です。
「ご飯がススム キムチ」という商品は消費者の認知度が高い一方で、それを作っているピックルスコーポレーションの認知度はさほど高くないのが実状です。当社のことを消費者に直接伝え、ピックルスファンを作っていくことが会社の新しい価値に繋がるものと考えています。
そうした意味でも、この度、飯能にオープンした発酵・健康のテーマパーク「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」(以下「OH!!!」とする)は、消費者にピックルスコーポレーションはどんなことを考え、どんな活動をしている会社かを知って頂くための絶好の場ともなります。

 

加えて、消費者との関係を構築し、当社製品を選んでいただくためには、「食育」も重要なキーワードと考えており、より積極的に展開していこうと思っています。
過去の取り組みとしては、高校生と共同開発した漬物を販売しました。若い人の漬物離れが進んでいますので、彼らのアイディアを盛り込んだ漬物を開発・販売することで、彼らにも漬物を食べてもらおうというものです。

この他、漬物を使った料理レシピのHPへの掲載やレシピ本の制作・販売も行いました。漬物をそのまま食べる以外の方法を知ってもらい、需要拡大に繋げていきます。また、OH!!!では、キムチづくり等を体験できる施設を運営します。
こうした「食育」活動を効果あるものとするために、従業員教育にも力をいれていきます。

 

人口減少は当社のような食品メーカーにとっては決してよろこばしい現象ではありませんが、そうした将来に対し悲観せず、常に新しいことにチャレンジし、失敗を恐れない企業でありたいと考えています。
全社員が協力しあって新しいものを作り上げる企業となり、消費者にもっと健康的でおいしい商品を提供することで、新たな道を切り拓いていく考えです。

 

OH!!!はこうした想いの下、開業いたしました。
レストラン・カフェ・物販・体験の場を設け、発酵・健康をテーマに様々なコンセプトを掛け合わせることによる新しい商品やサービスを提供し、当社の事業領域拡大に繋げていきます。「モノ」売りから「コト」売りへの変革にも挑戦していきたいと考えています。

 

●中期経営目標について

Q.中期経営目標の進捗についてお聞かせください。

 

中期経営目標の1年目となる2021年2月期について、当初は「売上高430億円、営業利益19億円」を予想していましたが、
新型コロナウイルス感染症の影響による外出自粛が続いたことにより家庭での食事の機会が増えたこと、健康志向の高まりにより乳酸菌を含む食品としてキムチの需要が増えたことなどにより、売上高が当初の予想を上回る見込みとなりました。
また、春先の低温、7月の長雨や日照不足及び8月の猛暑などにより原料野菜の仕入価格は高騰しましたが、増収効果、商品規格の見直しや生産アイテムの集約による生産の効率化を図ることができたこと、当初計画より広告宣伝費が減少したこと、新型コロナウイルス感染症対策の一環として従業員の出張等を減少させたことなどから利益についても当初の予想を上回る見込みとなり、「売上高450億円、営業利益23億円」に上方修正いたしました。

 

●ROEについて

Q.ROEに関してはどのようにお考えですか。
前期のROEは10.4%と、資本効率は比較的良好な水準にありますが、まだまだ売上高利益率は改善する余地が大きいと思っています。売上規模の拡大によるスケールメリットの獲得、生産性改善など様々な施策による売上高利益率の改善を通じたROEの向上を目指します。
一方で、そのためには適切な投資も必要です。M&Aや設備投資に加え、新型コロナウイルス感染症拡大の中、当社業績はさほど大きな影響を受けていませんが、雇用の維持や経営方針にも掲げている働きやすい環境作りのための投資も行い、中期的な視点で資本効率の向上と同時に、成長戦略の推進、生産性の更なる改善を追求していきたいと思います。

 

●ステークホルダーへのメッセージ

Q.最後にステークホルダーへのメッセージをお願いいたします。

 

当社は「野菜の元気をお届けします。」というコンセプトの下、安全・安心でおいしい商品を提供し、消費者の健康的な生活の実現に貢献することが社会的な存在意義であると考えこれまで成長してまいりました。

 

これからも、既存事業である浅漬、キムチ、惣菜の製造・販売においては、安全・安心な製品を供給することが、事業継続、安定的・持続的成長のための重要課題ですので、継続して各種施策に取り組んでいきます。
加えて、更なる成長のため、OH!!!や、ピーネ乳酸菌を活用した商品などを扱うEC事業など、既存の事業形態を超えた将来へ積極的にチャレンジし、持続的な成長の実現と社会への価値提供により全てのステークホルダーの皆様にご満足いただける企業を目指していく所存です。
一方で、ESGに関する具体的な取り組みやデータの開示に関しては、網羅性の観点からは決して十分とは考えておらず、社内体制の整備を中心に、重要な課題として取り組んでまいります。

 

ステークホルダーの皆様におかれましては引き続き温かいご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

3.課題・マテリアリティと取り組み

同社が現状認識している課題・マテリアリティは以下のとおりである。
マテリアリティの選定に際しては、社外へのヒアリングも行っている。
(各マテリアリティにおける取り組みは基本的に単体である㈱ピックルスコーポーションについて記載。一部、子会社における取り組みを記載している)

 

課題

マテリアリティ

環境

エネルギー管理

用水・排水管理

廃棄物管理

社会資本

製品の品質・安全性の担保

販売慣行・製品表示

人的資本

従業員の働き甲斐醸成・働きやすさ

教育・育成制度

ビジネスモデル&イノベーション

商品開発体制

サプライチェーン管理・原材料調達

気候変動の影響

競争力・ガバナンス

競争力強化に向けた取り組み

コーポレートガバナンス体制の拡充

リスク管理

*SASB Materiality Mapなどを参考に作成。

 

【3‐1 「環境」課題におけるマテリアリティ】

「環境」課題に対して、以下のような経営方針・環境方針を定めて取り組みを行っている。

 

経営方針

1.地球環境に配慮した企業経営

2.安全でおいしい製品を作るための品質管理

3.従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場作り

 

環境方針

(a)

当社の業である、浅漬・キムチ・惣菜の製造及び販売等において、「地球環境に配慮した企業経営」とする経営方針のもと、従業員一人ひとりがコスト意識を持ち、省資源・省エネルギーの推進、廃棄物の削減、リサイクルの推進、契約農家の農薬使用による土壌汚染及び水質汚染の予防、地域の環境保全活動の実施などに積極的に取り組み、環境保全の向上に努める。

(b)

環境管理体制を整備し、継続的改善、汚染の予防及び環境保護に努める。

(c)

環境法規制及び利害関係者との同意事項を順守する。(※)

(d)

環境に関する活動の推進にあたっては、環境目標を設定し取り組みを行う。また、定期的に見直しを実施する。

(e)

環境目標の達成や法規制順守等の規格が求める事項について適合することを経営上の重要な課題と認識し、各項目の適合に向けて取り組みを行う。

(f)

本方針を実施し、維持するとともに全従業員にこれを周知する。なお、全従業員への周知は、環境方針の掲示により行う。

(g)

本方針及び規格への適用範囲は文書化した情報として維持し、利害関係者等から要求があれば開示する。

※環境法規制:水質汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)、フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)、エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)など。

 

◎管理体制

法令遵守

事業活動に関わる環境関連の法規制や条例を行政窓口やインターネットを通じて調査し、定期的な見直しを行う仕組みを構築している。また、法規制以上に厳しい自主基準を設定し、厳しい管理体制を構築している。

教育

全員参加型の環境マネジメントシステムを実現するために、全従業員を対象として環境に関する教育を行っている。

 

マテリアリティ(1)エネルギー管理
主な電力使用用途は、生産設備、冷蔵庫、工場内の室温を一定に保つための空調設備など。

照明設備を、適宜、LEDへ変更している。ノンフロン冷媒も導入しており、環境負荷低減に取り組んでいる。

空調は、適正な温度運転、不要な空調の停止、空調機のフィルター等の清掃を行っている。

生産設備においては、不要時の機械の停止、空調・冷蔵設備の保守点検を定期的に実施。省エネタイプ設備の導入も検討している。

照明は必要なところのみを使用するようスイッチに点灯場所を記載するなど工夫をしている。

 

マテリアリティ(2)用水・排水管理

排水基準について、自主基準を設け、より厳しい基準で管理している。

排水処理設備について、日常点検・定期点検を行うなどの管理を行い、排水に異常が起きないよう管理している。

野菜洗浄水の再利用をするための設備を導入し、排水量の削減に努めている。

 

 

(株)ピックルスコーポレーション西日本・

佐賀工場の排水処理施設

(同社資料より)

 

マテリアリティ(3)廃棄物管理

「食品リサイクル法」に基づき、食品廃棄物の再利用に取り組んでいる。リサイクル率は100%となっている。

野菜くずについて、動物園に餌として提供することで廃棄物の排出抑制を行っている。

契約農家の原料野菜等の納品に通い箱を使用し、同社における廃棄物(段ボール)の削減を行っている。農家においては、段ボールの購入費用が削減できる。

廃棄物業者に対し、マニフェスト管理や現地調査を実施し、適切な処理を確認している。

賞味期間延長を通じて、食品ロス削減に貢献している。

工場における食品の廃棄ロスを削減するため、前日発注から前々日発注に変更を行っている取引先もある。

フードバンクへ寄付を行い、社会貢献とともにフードロス削減に取り組んでいる。

食品残さについて、破砕脱水や減容処理を行い、排出量の抑制に努めている。

ペットボトルをリサイクルした原料を使用するエコAPETや、原材料を植物由来としたプラスチックを配合するバイオPETなど、容器包装には環境に配慮した素材を使用している。2020年9月には浅漬製品に使用している標準容器について、約8%の軽量化を行うとともに、素材の一部に植物由来原料を使用したものに変更した。容器の軽量化によりプラスチック使用量は年間約12,000kg、容器の軽量化及び素材の変更によりCO2排出量は年間約42,000kgそれぞれ削減できる。今後もこうした素材の利用により、原材料となるプラスチックの使用量を削減し、化石資源の使用量削減、温室効果ガスの排出削減などの環境負荷の軽減に取り組んでいく。

 

 

フードバンクへの寄付

 

野菜くずを動物園に提供

(同社資料より)

 

【3‐2 「社会資本」課題におけるマテリアリティ】

マテリアリティ(1)製品の品質・安全性の担保
◎食品安全方針の制定
経営理念の具現化のため、以下のような食品安全方針を工場毎に定めている。

食品安全方針

 

当社は、安心・安全でおいしい製品を提供し続け、野菜のある健全な食習慣づくりの実践に貢献する。

(a)

お客様のニーズと期待に的確に応える商品開発・営業活動を行い、部門間の思いやりと気配りを持った活動を通して、ピックルスグループのブランドに対する信頼と満足を得る商品供給に努める。

(b)

新たな「フードディフェンス」の概念を踏まえ品質管理体制を整備し、業務を的確に監視・測定し記録することにより、データに基づいた業務の継続的な改善と品質向上に努める。

(c)

関連する法律等を順守する。

(d)

品質不良品を撲滅する。

(e)

5s(整理、整頓、清潔、清掃、習慣)を徹底する。

(f)

継続的な社員教育を実施し、上記(a)~(e)を実践するための環境を整える。

 

◎品質・衛生管理体制
食品安全方針の下、安全・安心を支える品質・衛生管理体制を構築している。

 

(主な取り組み・対応)
*フードディフェンス・異物混入防止

工場内の各所に監視カメラを設置し、外部からの不審者の侵入や意図的な異物混入行為のリスクを抑制している。

製造エリアに入場する従業員は、異物混入防止対策のとられた指定のユニフォームを着用し、さらに異物の持ち込みがないように、決められた入場手順を遵守している。

製造エリア外からの虫などの侵入を防ぎ、製造ラインにおいては異物混入を防ぐための管理を徹底している。

 

*食品添加物
おいしさや品質保持のために必要最低限の食品添加物を使用している商品もあるが、それらは全て安全性が確認されており国の使用基準に基づき添加している。

 

*食品安全マネジメントシステム構築への取り組み
食の安全・安心への取り組みとして食品安全マネジメントシステムへの対応を進めている。工場ごとに漬物や惣菜製造におけるHACCPプランを作成し、野菜洗浄方法や漬け込み中の温度推移などの製造現場に関するデータや、法令などの情報収集を行い、安全で、合理的な食品製造の管理方法を構築している。また、品質衛生管理室が、毎月、同社及び子会社の工場を訪問しチェック表により評価・指導を行うとともに、工場でも定期的な内部検証を実施している。食品安全マネジメントシステムとして、FSSC22000や、JFS-Bに取り組んでおり、各事業所・子会社において必要な規格を取得しており、これらの規格を活用し、品質・衛生管理体制の強化を図っている。

 

※対応している主な認証・規格*FSSC22000衛生面を含めた食品安全管理を実践するためのマネジメントシステム規格である「ISO22000」を追加要求事項で補強した食品安全マネジメントシステムに関する国際規格。GFSI(Global Food Safety Initiative)によって、ベンチマーク規格の一つとして承認されている。

 

*JFS-B規格一般財団法人食品安全マネジメント協会が作成した規格であり、組織が、安全な食品を製造するための取組を向上させる目的のために使用することができる。また、その組織の取組を、内部監査者や外部の評価者が検証・評価するためにも使用することができる。

 

認証取得状況

事業所名

 

FSSC22000

JFS-B

ピックルスコーポレーション

所沢工場

-

 

物流管理センター

-

 

千葉工場

-

 

湘南ファクリー

-

 

大宮ファクトリー

-

 

宮城ファクトリー

 

福島工場

-

 

中京工場

ピックルスコーポレーション札幌

-

-

ピックルスコーポレーション関西

京都工場

-

ピックルスコーポレーション関西

広島工場

-

ピックルスコーポレーション西日本

佐賀工場

-

八幡屋

茨城工場

-

東洋食品

-

-

東都食品

-

-

(同社提供資料を基に㈱インベストメントブリッジ作成)

 

*その他の取り組み・対応

調味料の配合工程においては、社内ルールを定め、配合事故の未然防止を徹底している。

消費者に安全な商品を届けるために、輸送会社に対しても、商品の品質を損なわないようなルール設定・協力を要請している。

アレルゲンについては製造機器に対して定期的に残存検査を行っている。

使用原料は厳格な規格を定め、それに対応できる原料メーカーから購入している。原料は、食品衛生法などの法律に違反していないことはもちろん、食品添加物、アレルギー物質など安全・安心に関わる情報を確認している。

原料野菜の段階から温度管理を徹底し、コールドチェーン管理を行うことでおいしさと鮮度を維持している。

 

(2)販売慣行・製品表示
浅漬、キムチに使用する白菜、キュウリ等は全て国産野菜である。惣菜で使用する野菜等には一部輸入品もあるが、基本的には国産野菜を使用している。

 

食品の表示は、消費者が商品を選択し、安心して利用する上で必須の情報であるため、その重要性を認識し、法令で義務付けられている義務表示と、任意表示の2種類それぞれについて以下のように対応している。

義務表示

法令に則った正確な表示を行うため、品質衛生管理室にて確認を行っている。

任意表示

法令に基づいた任意表示に加え、消費者にわかりやすい情報を提供するために、自社で独自に設定した表示も使用している。

 

また、健康に関するアレルギー情報、賞味期限など、消費者が商品を選択する際の重要な情報についても、見やすく分かりやすい表現を行っている。例えば、アレルゲン表示については、特定原材料に加え特定原材料に準じたものも表示しているほか、その他の工夫として「はちみつが入っているので1歳未満のお子様には食べさせないでください」など、任意の記載も行っている。

 

同社が独自開発したピーネ乳酸菌の使用商品については、ピーネ乳酸菌入りと表示している。乳酸菌の効果については現在のところは表示できるものはないが、今後は、機能性表示食品などを通じて消費者に伝えていきたいと考えている。

 

【3‐3 「人的資本」課題におけるマテリアリティ】

(1)従業員の働き甲斐醸成・働きやすさ
◎働き甲斐醸成
社員の成長が会社の成長につながるとの考えの下、若い人に仕事を任せることで実践の中で成長を促すという社風を有している。
そのために従業員の働き甲斐を醸成し、モチベーションを向上させるため、以下のような施策を実施している。

 

毎年1度、同社グループの社員を対象とした方針説明会を開催し、社長自ら経営方針や年度方針を伝えるなどコミュニケーションをはかるとともに、社内表彰(会社の発展に貢献した部門、個人を対象とした功績に応じた報奨制度)を行い社員のモチベーションを高めている。

社員の誰もが、eメールや書面によって社長に直接意見を伝えることができ、経営への参画意識を醸成している。

人事考課において、各部門の方針の下で従業員各人が自ら設定した目標に対して自ら評価を行う「自己評価制度」を採り入れ、主体性の発揮を促している。

 

 

方針説明会

 

社内表彰式

(提供:ピックルスコーポレーション)

 

◎働きやすさ
働きやすい職場環境作りを重要な経営課題と認識しており、以下のような制度を運用している。

 

出産祝金の他、子供の成長に合わせた子育て支援金を支給している。

育児休業からの職場復帰プログラムを導入している。

長時間残業の抑制、5日間の連続有給休暇(リフレッシュ休暇)取得の義務化、ノー残業デーの設定、時差出勤、在宅勤務(一部部門)などにより、労働時間配分を主体的に考え行動し、労働時間の最適化を推進している。

ウェブ会議システムの整備、文書の電子化、効率的な会議の推進など、働きやすさの改善に取り組んでいる。

業務における「ムリ、ムダ、ムラ」の改善を提案する活動「3ムメモ」を実施している。件数(年間12件以上)及び内容に応じた表彰を行っている。

60歳で定年退職する社員の再雇用希望者全員を対象として再雇用制度(65歳まで)を運用している。

労働安全衛生法等の関係法令を遵守し、50名以上が在籍する事業所において、安全衛生管理者を配置し、安全に仕事ができる職場環境の整備に努めている。月に1度、安全衛生委員会を開催し、各事業所・各部署の活動を報告・共有をする中で安全・健康への意識の向上に取り組んでいる。

 

 

(2)教育・育成制度
社員一人ひとりの能力向上を目指し、自ら学ぶ姿勢を応援する自己啓発支援制度、会社にとって有益な資格を取得した場合に報奨金を出す資格取得報奨金制度を導入している。
また、社員教育を充実させるため、内定者研修、新入社員研修、フォローアップ研修の社内実施ほか、社外研修も実施している。

 

社内研修会の様子

(提供:ピックルスコーポレーション)

 

◎自己啓発支援制度
自己啓発のため、通信講座・語学教室その他習い事をする社員に、年間5万円を上限にその費用の5割を会社で負担する。自己啓発の内容は、仕事に関係するものに限らず、修了を証明できるものであれば広く支援する。
対象者は同社及び子会社の社員。
2020年2月期には、「危険物取扱者乙種」「惣菜管理士2級」「HACCP実践コース」「TOEIC L&Rテストスコアアップ」などの利用があった。

 

◎資格取得報奨金制度
会社にとって有益な資格(会社が対象資格を指定)を取得した社員に報奨金を支給する。
対象者は同社及び子会社の社員。
2020年2月期には、「販売士2級」「食品表示検定中級」「惣菜管理士2級」「第一種衛生管理者」「ビジネス文書技能検定2級」の利用があった。

 

【3‐4 「ビジネスモデル&イノベーション」課題におけるマテリアリティ】

マテリアリティ(1)商品開発体制
急激な高齢化が進み、人々の健康や生活の質向上への関心が高まり続けるなか、「野菜の元気をお届けします。」というモットーの下、野菜を主材料にした商品づくりを通じて、消費者の健康づくりに貢献していくことが社会的な存在意義であると考えている。
健康的な食生活への意識の高まりを受けて、より健康に配慮した製品を提供したいとの思いから、機能性表示食品の開発・提供についても現在検討中である。

 

(商品開発体制概要)
◎スタッフ
開発室など商品開発を担当する社員は約30名(単体)。同業他社と比較してスタッフ数が多く、開発スピードの速さにも繋がっている。

 

◎商品開発の流れ
*顧客ニーズを反映させる商品開発の仕組み
同社では自社商品の特長を以下のように定義し、きめ細かい市場調査に基づいて、これら特長を反映した新商品の開発や既存商品の改善・ブラッシュアップに取り組んでいる。

 

(同社製品の特長)

国産野菜の使用

安全性を確認した原材料を使用

味・コンセプト等を意識した商品パッケージ

特長をわかりやすく伝える商品名

わかりやすい表示

 

(商品開発のプロセス)

市場調査

顧客ニーズを収集・分析

 

試作

商品試作、社内試食

 

提案 

試作品を販売先に提案

 

改善 

問題点の検討・改善

 

商品化 

社内承認後、製造・出荷

 

検証 

販売動向を収集・分析

(同社提供資料を基に㈱インベストメントブリッジ作成)

 

同社では、コンビニエンスストア、量販店、外食産業など、取引先ごとに開発担当と営業担当によるチーム体制を構築して、吸い上げた取引先の声を迅速かつ柔軟に商品開発に反映させ、他社とは違うオリジナリティあふれる商品開発に繋げている。
全国をカバーする営業網によって多数・多様な取引先を有する同社ならではの特長を活かした競争優位性と言えるだろう。
また、季節に合わせて新商品を継続して提案できる点も、規模で劣る他社には難しく、同社の強みとなっている。

 

新商品の開発のほか、既存商品の改良による利便性の向上や、「環境」課題への対応にも積極的に取り組んでいる。

少子化・高齢化を考慮し、「ご飯がススム キムチ 食べきり2パック」のように、小分け容器を使用した商品を開発した。

1パックあたりの内容量を食べ切りに適した量に変更することにより、食べ残しの可能性を減少させ、開封後に家庭で発生するロスを減少させる。

「ご飯がススム キムチ」の包装フィルムを薄膜化するなど、容器に使用するプラスチック使用量の削減にも取り組んでいる。

既存商品及び新規商品ともに賞味期限の延長に取り組んでおり、例えば、キムチで従来の20日を30日に、浅漬で6日を8日に延長した商品がある。

容器包装には環境に配慮した素材を使用し、原材料となるプラスチック使用量削減、温室効果ガスの排出削減などの環境負荷の軽減に取り組んでいる。

 

 

*シーズの発見による独自製品の開発
ニーズの吸い上げ・対応のみでなく、安全・安心・健康という切り口から、シーズの発見による独自製品の開発にも取り組んでいる。
基礎研究を担う研究開発室では、将来を見据えた研究開発に取り組んでおり、新製品に結び付いたのが「ピーネ乳酸菌」である。また、機能性表示食品などについても研究を進めている。

 

≪ピーネ乳酸菌 概要≫
*ピーネ乳酸菌とは?
漬物は、日本の伝統的な発酵食品として昔から整腸作用や美肌効果など健康に良いと言われてきたが、詳細な研究はなされていなかった。
そこで同社では、確かなエビデンスのある発酵漬物・発酵キムチを提供するために、健康効果への期待が高い乳酸菌の研究をスタートさせた。

 

野菜や穀物などを発酵させる植物由来の乳酸菌は、乳などを発酵させる動物由来の乳酸菌に比べて、一般的に胃酸に強く、腸まで生き抜くことができると言われている。
同社では、日本で作られている全国各地の所謂ご当地発酵漬物を収集し、116種類の乳酸菌を単離し、個々に胃酸に対する強さを調査した。
116種類の中には、木曽地方で作られている無塩乳酸発酵漬物の「すんき」やラブレ乳酸菌の単離源である「すぐき」由来のものについて比較的胃酸に強い評価を得られたが、それよりも強い胃酸耐性を持っていたのがピーネ乳酸菌であった。

 

ピーネ乳酸菌の強い胃酸耐性と野菜への発酵特性について研究を進めた同社は、2015年10月、「乳酸菌及びそれを用いた食品添加剤、漬物用発酵調味物、食品、漬物の製造方法」について特許を取得。ピーネ乳酸菌を同社独自の乳酸菌として特許化した。
また、よりアカデミックにピーネ乳酸菌のメカニズムを究明するために明治大学農学部農芸化学科発酵食品学研究室と共同研究を行い、その結果を2016年3月に農芸化学会で発表した。
更に、ピーネ乳酸菌とフラクトオリゴ糖含有食品における体脂肪および腸内フローラに及ぼす影響について研究を行い、2020年2月発刊の雑誌への論文投稿や2019 年 3 月に日本農芸化学会で発表した。

 

*ピーネ乳酸菌の効果
ピーネ乳酸菌は、野菜をおいしく発酵させるほか、腸内の抗体量(IgA:生体を守るための免疫物質の一つ)を増やす働きが確認されている。
また、体脂肪の低減や便通・腸内フローラの改善に効果があることが確認されている。

 

*商品展開
2018年より、「Piene(ピーネ)」ブランドで商品展開している。
現在、ピーネオンラインショップにおいてマーケティングを兼ねたインターネット販売を行っているが、将来的な小売事業を見据え期間限定で実店舗での小売事業も行っている。
例えば、2019年9月12日から25日にかけて、渋谷ヒカリエShinQs(東京都渋谷区)にポップアップショップをオープンし、ブランド初となる惣菜や弁当の販売を行った。また、オープンに合わせて、糀ソースや糀調味料の新商品を発売している。

 

主な「Piene(ピーネ)」商品

 

 

やさい糀甘酒

 

糀ソース

 

やさいアイススイーツ

(同社資料より)

 

マテリアリティ(2)サプライチェーンの管理・原材料調達
◎契約農家との信頼関係構築
主たる原材料である野菜については、品質の維持と安定供給力を重視し、使用する野菜の約8割を国内約500の契約農家から仕入れており、消費者に対し「顔の見える野菜」として安心感を提供している。
野菜の年間購入量は約38,000t。
契約にあたっては、生産品目・圃場規模・出荷期間・仕入価格等のほか、農薬や肥料の使用状況等を品質基準として選定している。

 

同社は、最も重要なステークホルダーの一人である契約農家が安心かつ計画的に生産に取り組むことができるように、各野菜について必要な時期、数量、単価などの計画を伝えているほか、原料野菜の生育中・収穫中に計画修正や見直しの必要が生じることもあるため、定期的に畑の状況の確認や連絡・相談を行うことで、契約農家が安心して生産に取り組むことのできる環境作りに注力している。
また、原料契約分は責任をもって購入することを原則としているため、仲介業者の冷蔵庫に貯蔵してもらうなどの協力を得て需給量の調整を行うこともあり、こうした対応も契約農家との信頼関係構築に繋がっている。

 

農家や農業協同組合との具体的な取り組みとしては以下の様なケースがある。

 

*ケース1:(株)ピックルスコーポレーション 宮城ファクトリー
加美よつば農業協同組合(宮城県加美郡加美町)は、転作作物として園芸作物を奨励し、白菜の市場出荷を試みたが、
新興産地のため知名度が低く、市況低迷等により、思うような販売額が得られなかった。
しかし、加美町が誘致した宮城ファクトリーが2000年に完成したことに伴い、生産者が地元産野菜の使用を同社に要望。農協、町、種苗会社等の関係機関と連携して、導入準備を進め、2002年から加工野菜生産部会による白菜の本格的な出荷が始まった。
原価計算に基づき、所得を確保できる単価契約を締結することにより、生産者の経営が安定したことに加え、工場見学等により、加工・業務用に求められる条件(規格、品質等)を生産者が理解できたことから、取組意欲が向上し、出荷量が大幅に拡大するなど、同社及び生産者双方に大きなメリットを生み出している。

 

*ケース2:(株)ピックルスコーポレーション関西 広島工場
(株)ピックルスコーポレーション関西は、2013年に広島工場(広島県府中市)を新設し、地元の府中市や農協の協力を得て、工場稼働前から生産者向けの説明会、試験栽培等を進め、工場稼働時から地場産野菜を使用した商品を製造している。
生産者は契約栽培により収入の安定が見込めることに加え、規格外品の出荷も可能となったことから、契約生産者は2013年の39名から2016年には91名に増加している。
米価の下落や担い手の高齢化により、地域の離農者が増加する中、市や農協との連携により、米作地域から白菜を中心とした野菜の産地への転換に寄与し、生産者の所得向上と地域農業の活性化、地域雇用への貢献に繋がっている点を評価され、平成28年度 地産地消等優良活動表彰【消費拡大部門】において中国四国農政局長賞を受賞した。

 

 

*ケース3:(株)ピックルスコーポーレーション西日本 佐賀工場
(株)ピックルスコーポレーション西日本は、2018年に佐賀工場(佐賀県三養基郡みやき町)を新設した。工場所在地のみやき町の主な農産物は米、麦などであるが、加工用原料として安定した出荷先が確保され安定した収入が見込まれることなどから、みやき町内の契約農家では佐賀工場で使用する白菜などの野菜作りにも取り組んでいる。

 

このように、同社グループでは生産拠点新設に併せ、その地元において契約農家数の拡大を進めており、品質の維持向上や安定した原材料調達能力強化に結び付けている。加えて、生産拠点の地元農家から仕入れることは「フード・マイレージ(※)」の短縮化にも繋がり、流通コスト削減および環境負荷低減にも寄与している。
相場変動の影響軽減や継続的な契約分の適期収穫を通じたより一層の原料安定確保=契約農家の経営安定は、同社バリューチェーンの更なる強化につながるため、契約農家の確保及び信頼関係構築は最も重要な経営課題の一つと位置付けて今後も注力していく考えである。

 

(※)フード・マイレージ
「食料の ( = food) 輸送距離 ( = mileage) 」という意味で、食料の輸送量に輸送距離を掛け合わせて算出する。輸送コストや二酸化炭素排出量の多寡を定量的に把握することを目的とする。

 

◎国内農業基盤の強化
同社では、自社の企業経営は日本の農業を基盤として成り立っているとの認識から、日常の公正な取引等を始めとして、農家の良きパートナーとして信頼関係を深めること、国産野菜の需要拡大を実現することによる国内農業の基盤の強化と持続的発展への貢献を重視している。
新入社員研修として、入社1年目に産地見学などを行い野菜の生産者の仕事に対する理解を深めるほか、野菜生産の基礎知識や流通経路について学び、農業に関する知識を身につける機会を創出している。
国内農業基盤の強化に向けたより具体的な施策や取り組みは、中長期的な持続可能性のためには重要な課題であると認識している。

 

◎その他の取り組み

調味料、包材、仕入半製品及び仕入商品については、品質、生産能力、価格、納期等を総合的に判断し、主にメーカー等から仕入れている。

調達開始後は、年1回、納期・品質・価格などの項目について評価を行っている。

調達する原料などの品質については、品質衛生管理室等が仕入先を訪問し、生産工程、衛生管理状況等のチェックを行っている。

各工場において、初回納品時には、品質・規格等を、規格書等との確認を行い検証している。 

原料・製品の搬入・配送についてもコールドチェーン管理として低温での維持管理を行っている。

包装材料では強度を保ちながら、可能な限り軽薄化を進めている。使用後の廃棄物、品質・価格と共に環境配慮にも取り組んでいる。

メーカーからの情報に基づき、正確なアレルギー表示を行うと共に、メーカーにおける工程の管理状況、アレルゲンの混入の可能性やその防止策などについても確認を行っている。

遺伝子組み換え農作物は、原則として使用していない。

 

マテリアリティ(3)気候変動の影響
同社事業においては、白菜、キュウリ等の産地における多雨や日照不足など異常気象等の影響により、国産野菜の生育不良や生育遅れが発生した場合、仕入価格の高騰や歩留まりの悪化による製造コストの増加や、必要量の確保が困難になり販売機会損失に繋がる可能性がある。
特に近年は地球温暖化等の影響により異常気象の発生頻度が増加し、加えて発生時の規模も拡大しており、国産野菜の生育状況に長期間かつ広域に渡り影響を及ぼす可能性が高くなりつつある。
こうしたリスクを軽減するために、同社では主要製品の原料である白菜やキュウリ等の国産野菜を主に契約農家からの調達や産地の分散を図る等、年間を通じた仕入の数量及び価格の安定を図るほか、生産性の向上等による製造コストの削減などにも努めている。
また、国産野菜の調達可能量を考慮して可能な範囲で製品構成の調整を図るといった販売方法の見直しなども行い、気候変動が業績に与える影響の軽減に仕入・販売の両面から取り組んでいる。
以前より生産拠点の地元契約農家の拡大を進めてきたが、仕入数量及び価格の安定化について着実に成果を上げている。
今後は自社独自の原料冷蔵施設建設も検討課題であると認識している。

 

【3‐5 「競争力・ガバナンス」課題におけるマテリアリティ】

マテリアリティ(1)競争力強化に向けた取り組み
「1.会社概要 【1-4. 特長・強み・競争優位性】」で紹介したように、同社は、以下のような特長・強み・競争優位性を有している。
*漬物業界でトップシェア
*独自性の高い商品開発力
*全国をカバーする生産・物流体制
*販売先に密着した提案型営業
*販売先のニーズに対応するベンダー機能

 

これらの競争優位性を強化し、持続的な成長を追求するために、今後の戦略として「商品開発力の強化」「販売エリアの拡大」「販売先の拡大」「新規事業の拡大」を挙げている。
具体的な取り組みや施策は「4.中期経営戦略と経営目標」を参照。

 

マテリアリティ(2)コーポレートガバナンス体制の拡充
法律と社会倫理に基づいて行動し、経営方針を実現し、継続的な成長をするため、コーポレートガバナンスが経営の重要課題であると考えている。
組織形態は監査役設置会社。取締役は9名で、うち社外取締役は3名。3名全員が独立役員で、1名は女性である。

 

2020年4月1日から執行役員制度を導入している。
執行責任者としての権限と責任を明確にし、取締役会で決定した会社の経営方針を実務レベルでより迅速に実行すること及び、経営陣の後継候補の輩出・育成を促進し、社内の業務の執行に優れた人材を執行役員に登用することで、執行役員本人及びその他の社員のモチベーション向上を図ることが、同制度導入の目的である。

 

(コーポレートガバナンス報告書からの抜粋:2020年6月1日更新)

【原則1-4.政策保有株式】

当社は、上場株式については保有しないことを原則としております。しかしながら、取引関係の維持・強化等経営上の合理的な目的に基づき保有する場合には、その目的に応じた保有であることを定期的に確認しております。

なお、個別の政策保有株式の保有の適否の検証及びその内容の開示方法については、今後、検討してまいります。

政策保有株式に係る議決権行使については個別に判断いたしますが、当社及び投資先企業の中長期的な企業価値向上に資するものか等を総合的に判断し適切に行使しております。

【補充原則 4-10-1】

当社は独立社外取締役を3名選任しており、取締役会等において独立かつ客観的な立場から意見を行うことで、実効性の高い経営の監督体制を確保しておりますが、 独立した諮問委員会は設置しておりません。今後、取締役会の下に独立社外取締役を主要な構成員とする任意の指名委員会・報酬委員会などの独立した諮問委員会の設置について検討してまいります。

【補充原則4-11-1.取締役会の全体としてのバランス、多様性及び規模】

【原則4-11】に記載の通り、経営、財務、マーケティング、システム、物流等の各分野において専門的知識と豊富な経験を有した者で構成されており、取締役会としての役割・責務を実効的に果たすための多様性と適正規模を両立した形で構成していると認識しております。なお、取締役の選任に関する方針・手続きは、【原則3-1】(4)に記載の通りであります。

 

マテリアリティ(3)リスク管理
従業員一人ひとりが、企業は社会の一員であることを自覚し、日々誠実かつ適切な行動をするために遵守すべき事項をまとめた「ピックルスコーポレーション グループ行動規範」を制定している。
また、全社的なコンプライアンス体制の強化・推進を目的としてコンプライアンス規定を定めており、同規定のもとコンプライアンス室を統括部門として定め、コンプライアンスへの理解のため、研修会を開催しているほか、コンプライアンス違反に対する通報システムとして、内部通報等管理規定を制定し、総務部を通報窓口とするコンプライアンス通報制度を設けている。
また、法令遵守の観点から外部の弁護士に依頼し、専門的なアドバイスを受けている。

 

ピックルスコーポレーション グループ行動規範

商品

私たちは、おいしくて安全、安心な商品をお届けします。

法令順守

私たちは、各種法令、社会規範、社内規定を遵守し、企業倫理に基づいた事業活動を行います。

職場環境

私たちは、安全で働きやすい職場環境づくりを行います。

人権尊重

私たちは、従業員の人権を尊重し、宗教・思想信条・性別・その他業務に関係しない理由に基づいた処遇は行いません。

ハラスメントの防止

私たちは、社内外を問わず、相手を傷つけるような言動やあらゆるハラスメントを行いません。

環境問題

私たちは、自然の恵みである野菜を扱う企業として、環境問題に積極的、自主的に取り組みます。

社会貢献

私たちは、積極的に社会貢献活動を行い、地域社会に貢献いたします。

公正・自由な競争・透明な関係

私たちは、公正かつ自由な競争を行い、健全な市場の発展に貢献します。また、取引先、政治、行政などに対しても透明で健全な関係を保ちます。

取引先への節度ある対応

私たちは、業務上のコミュニケーションを通じて取引先との信頼関係を構築し、不当な接待、贈答、寄付、その他便宜や利益の供与及び要求を行いません。

公務員等に対する贈賄の禁止

私たちは、国内外を問わず、事業上の便益の確保などを目的として、公務員等に対して、直接または間接に、金銭その他便宜や利益の供与とみられる行為もしくはその約束を行いません。

反社会勢力への姿勢

私たちは、市民社会に脅威を与える反社会的勢力と一切の関係を持たず、また不当な要求にも一切応じません。

インサイダー取引の禁止

私たちは、インサイダー取引に関わる法令、社内規定などを遵守します。

利益相反の回避

私たちは、個人的な利益のために、お客様、会社などに、不利益を与えません。

情報開示

私たちは、適時・適切に情報開示やIR活動を行うとともに、消費者、取引先、株主など社会からの声を大切にし、事業活動に反映させます。

情報保護

私たちは、個人情報、取引先から受けた営業上の情報などの外部流出、不正な利用を防止するための厳格な管理を行います。

知的財産権の尊重

私たちは、知的財産が会社の重要な資産であることを認識し、その保護に万全を期すとともに、他者の知的財産も尊重します。

 

4.中期経営戦略と経営目標

【今後の戦略】

商品開発強化、販売エリア拡大、販売先拡大、及び新規事業により、業容拡大を図る。

 

商品開発では、「個食」、「中食」等の多様化するニーズへの対応を念頭に惣菜の新商品開発を強化すると共に、ピーネ乳酸菌関連の製品等、新機軸の商品開発を進める。また、浅漬、キムチ等の新商品開発・リニューアルも継続する。

 

販売エリア拡大では、佐賀工場の稼働で生産余力のできた(株)ピックルスコーポレーション関西・広島工場や増築・改修が完了した(株)手柄食品の供給力を活かして、近畿地区、中国・四国地区、九州地区での生産・販売を強化する。

 

販売先拡大では、百貨店や量販店の惣菜売場でのシェアアップと共に、食料品を強化しているドラッグストアや高齢者向け等の配食事業者の開拓に力を入れる。

 

新規事業では、「ピーネオンラインショップ」(ピーネ乳酸菌を活用した商品)と「八幡屋オンラインショップ」(本格漬物)の2つのECサイトや、2019年3月に設立した子会社(株)OHによる外食・小売事業(発酵・健康のテーマパーク「OH!!!発酵・健康・食の魔法!!!」(以下「OH!!!」とする))に取り組んでいる。

 

この他、漬物メーカーとしては国内唯一の全国ネットワークを活かした営業戦略を進める他、広告宣伝活動にも力を入れ、従来からの、TVCM、ラッピングバス、屋外看板に加え、SNSの活用にも力を入れる。

 

◎商品開発

浅漬・キムチ
食品新聞記事を基に同社が作成した売上ランキングをみると、連結売上高414億円の同社がトップで、以下、東海漬物202億円、秋本食品122億円、備後漬物106億円。売上高が100億円を超えるのは、この4社のみ。ただ、2位以下を大きく引き離す同社でも、シェアは13.4%にとどまり、同社を含めた上位10社でもシェアは43.9%にとどまる。漬物業界は中小零細企業が多く、こうした企業は、後継者難に加え厳しい品質管理や、健康志向・惣菜化・機能性訴求等をキーワードとした商品開発に対応できず、淘汰再編が進みつつある。同社はシェア15%を当面の目標としており、M&Aへの対応を含めてシェアアップを図っていく考え。

 

惣菜
同社の資料によると(日本チェーンストア協会調べ)、2019年の惣菜市場(和・洋・中華惣菜、弁当、サンドウィッチ等の惣菜類)の市場規模は1兆508億円(2018年1兆357億円)。単身世帯増加、高齢化、女性の社会進出、健康や栄養バランス等の食への関心の高まり、更には家事の簡便化や時間短縮ニーズを反映して拡大が続いている。この分野では、フジッコ(売上高661億円、純利益31億円)、ケンコーマヨネーズ(売上高744億円、純利益20.5億円)、エバラ食品(売上高512億円、純利益14.8億円)といった上場企業や、デリア食品(キユーピーグループ)、イニシオフーズ(日清製粉グループ)といった上場企業の子会社等と競合する事になる。

 

同社は後発ではあるが(2003年参入)、直販ならではのきめ細かい営業と、健康志向にマッチした野菜を使った惣菜にフォーカスする事で、18/2期63億84百万円、19/2期73億82百万円、20/2期83億21百万円と惣菜の売上を伸ばしている。21/2期は85億19百万円を計画しており、サラダ、おつまみ商品、新規商品(ホットメニュー等)の開発に力を入れている。

 

◎販売エリア拡大

同社は、関東地区における売上が全体の51%を占めており、中国・四国地区や九州・沖縄地区は売上構成比がそれぞれ5%にとどまる。地域別人口比率を考えると、関東地区以外での販売拡大余地は大きく、売上構成比15%の近畿地区を加えた西日本(近畿地区、中国・四国地区及び九州・沖縄地区)で売上構成比30%以上を目標としている。

 

(同社資料より)

 

◎新規事業

新規事業として「ピーネオンラインショップ」と「八幡屋オンラインショップ」の2つのECサイトを2018年4月にオープンした。「ピーネオンラインショップ」は、ピーネ乳酸菌を活用した商品を展開し、「八幡屋オンラインショップ」では国産・化学調味料不使用にこだわった本格漬物を展開している。ピーネ乳酸菌の関連商品は2019年4月に工場が完成し、6月に出荷を開始した。工場の稼働により、糀甘酒等の製品を冷蔵品から常温品として扱えるようになった。

 

2019年3月に設立した子会社(株)OHが、発酵・健康のテーマパーク「OH!!!」(埼玉県飯能市)をオープンして外食事業及び小売事業を開始。発酵食品の啓蒙活動を兼ねたB to C事業である。
曹洞宗武陽山「能仁寺」の敷地の一部に、ショッピング棟、レストラン棟、カフェ棟及び体験・ワークショップ棟の4棟を2020年7月に竣工。設備投資額は10億円、初年度は売上高75百万円を見込んでいる。

 

配置図(イメージ)

(同社資料より)

 

建物外観

ショッピング棟 八幡屋

ピーネカフェ

 

 

 

レストラン Femy_

体験棟 パリシャキ研究所

 

 

(同社提供)

 

尚、飯能市は、本国フィンランド以外では世界初となるムーミンテーマパーク「メッツァ」の誘致に成功しており、2018年11月に北欧ライフスタイルを体験できる「メッツァビレッジ」がオープンし、2019年3月にはムーミンの世界を体験できる「ムーミンバレーパーク」がオープンした(「OH!!!」から車で10分程度)。

 

◎広告宣伝活動

「ご飯がススム」ブランドの知名度向上に向けたコラボ商品の企画、更にはTV・ラジオCM、屋外看板(メットライフドーム)、SNSキャンペーン、ラッピングバス等での広告宣伝活動にも引き続き力を入れていく。

 

◎生産面等での取り組み

人手不足への対応・労務費削減の取り組みとして、自動計量機・自動芯取り機等の省力化機械の導入を進めている。また、コスト削減策として、野菜調達の見直し(地域毎の調達等)、資材調達の見直し(容器の軽量化・フィルムの厚さ変更)、ロスの削減(フードバンクへの提供)、更には廃棄物処理委託先の見直し等に取り組んでいる。
フィルムの厚さ変更では、「ご飯がススム キムチ」のフィルムを薄くする事でプラスチック使用料年間約4トンの削減効果が期待できる(コスト削減及び環境負荷の軽減)。人材確保も課題であり、福利厚生制度や人事制度等の充実を図る。

 

【中期経営目標】

 

20/2期

21/2期

(計画)

22/2期

(計画)

23/2期

(計画)

CAGR

売上高

41,417

45,000

44,350

45,700

+3.3%

営業利益

1,871

2,300

2,005

2,083

+3.6%

経常利益

1,973

2,400

2,125

2,203

+3.7%

当期純利益

1,290

1,600

1,400

1,473

+4.5%

* 単位:百万円。CAGRは、20/2期を起点とした年平均成長率で、㈱インベストメントブリッジが計算。

 

 

20/2期

23/2期

(計画)

CAGR

浅漬・キムチ

17,308

20,936

+6.6%

惣菜

8,321

9,391

+4.1%

ふる漬

831

873

+1.7%

商品

14,955

14,498

-1.0%

合計

41,417

45,700

+3.3%

* 単位:百万円。CAGRは、20/2期を起点とした年平均成長率で、㈱インベストメントブリッジが計算。

 

現状、23/2期の売上・利益の目標として、売上高457億円、営業利益20.8億円を掲げているが、21/2期の業績動向を考慮し、2021年4月には中期経営目標を見直す予定。
なお、上記期間の設備投資については、21/2期はOH施設及び設備更新等で19億円を予定しており(減価償却費8億93百万円)、22/2期は中京工場増床及び設備更新等で13億52百万円(同6億80百万円)を、23/2期は設備更新等で10億80百万円(同6億9百万円)を、それぞれ計画している。

 

5.財務:非財務データ

(1)財務データ(連結)

◎PL/BS

 

16/2期

17/2期

18/2期

19/2期

20/2期

売上高

30,152

35,801

37,616

40,670

41,417

営業利益

931

780

1,131

1,409

1,871

売上高営業利益率(%)

3.1

2.2

3.0

3.5

4.5

経常利益

975

867

1,233

1,561

1,973

当期純利益

692

548

872

920

1,290

EPS(円)

139.35

105.63

144.81

143.88

201.67

ROE(%)

9.8

6.5

8.6

8.0

10.4

ROA(%)

6.0

4.9

6.2

7.2

8.5

総資産

16,849

18,524

21,123

22,132

24,271

純資産

7,885

9,308

11,129

11,904

13,016

自己資本比率(%)

45.1

50.0

52.5

53.5

53.2

*単位:百万円。ROEは自己資本当期純利益率、ROAは総資産経常利益率

 

◎CF

 

16/2期

17/2期

18/2期

19/2期

20/2期

営業CF

1,285

1,100

1,685

1,577

2,303

投資CF

93

-1,409

-933

-2,630

-1,777

フリーCF

1,378

-309

752

-1,053

526

財務CF

13

194

241

81

-52

現金・現金同等物

2,926

2,812

3,806

2,835

3,309

*単位:百万円

 

(2)非財務データ

①環境関連(単体)

 

◎環境データ

 

18/2期

19/2期

20/2期

産業廃棄物排出量(t)

5,126

5,344

5,954

食品廃棄物の再生利用等実施率(%)※1

100

100

100

CO2排出量(t・CO2)※2

5,657

5,660

5,441

※1.食品リサイクル法に基づく
※2.省エネ法に基づく

 

②社会資本関連

 

18/2期

19/2期

20/2期

取引先調査件数(件)(単体)

6

7

8

製品告知回収(件)(連結)

0

0

0

寄付金額(百万円)(連結)

6.8

5.2

10.1

 

③人的資本関連
◎従業員構成(連結)

 

18/2期

19/2期

20/2期

【正社員合計】

377

399

418

男性

258

277

280

比率

68.4%

69.4%

67.0%

女性

119

122

138

比率

31.6%

30.6%

33.0%

臨時雇用者数

775

910

993

*単位:人

 

◎各支援制度利用者(連結)

 

18/2期

19/2期

20/2期

自己啓発支援制度

4

8

7

資格取得支援制度

1

7

24

*単位:人

 

◎3ムメモ関連(連結)

 

18/2期

19/2期

20/2期

3ムメモの件数

1,490

1,936

1,943

3ムメモの年間達成者

(12件以上)

91

125

139

*単位:人

 

<参考>

ESG Bridge Reportの発行に際しては、柳 良平氏(京都大学経済学博士、エーザイ株式会社専務執行役CFO、早稲田大学大学院会計研究科客員教授)に多大なご協力を頂いた。
この「参考」のパートでは、ESG Bridge Report発行の趣旨についても述べさせていただくとともに、同氏の提唱する「ROESGモデル」の概要を同氏の著作「CFOポリシー」から引用する形で紹介する。

 

(1)ESG Bridge Reportについて

ESG投資がメインストリーム化する中で、投資家からは日本企業に対し積極的なESG情報開示が求められ、これに呼応する形で統合報告書作成企業数は増加傾向にあります。
ただ、統合報告書の作成にあたっては経営トップの理解・関与が不可欠であることに加え、人的リソース及び予算負担から多くの企業が踏み出すことができていないのが現状です。
また、統合報告書の作成にあたっては各種データの整理、マテリアリティの特定、指標や目標値の設定など多くのステップが必要ですが、現状の準備不足のために二の足を踏んでいるケースも多いようです。

 

しかし、柳氏が「CFOポリシー」で、「日本企業が潜在的なESGの価値を顕在化すれば、少なくとも英国並みのPBR2倍の国になれるのではないだろうか」「ROESGの実現により日本企業の企業価値は倍増でき、それは投資や雇用、年金リターンの改善を経由して国富の最大化に資する蓋然性が高い」と述べているように、日本企業のESG情報提供は、日本全体にとっても有意で積極的に推進すべき事項であると株式会社インベストメントブリッジは考えています。

 

そこで、一気には統合報告書作成には踏み出せないものの、ESG情報開示の必要性を強く認識している企業向けに、現時点で保有するデータやリソースをベースに、投資家が必要とするESG情報開示に少しでも近づけるべく、弊社がご協力して作成しているのが「ESG Bridge Report」です。
日本企業のESG情報開示を積極的に後押ししている日本取引所グループが発行している「ESG情報開示実践ハンドブック」のP6には「ここで紹介している要素が全て完璧にできていないと情報開示ができないということでもない。自社の状況を踏まえてできるところから着手し、ESG情報の開示を始めることで、投資家との対話が始まり、そこから更なる取組みを進めていく際に、本ハンドブックが手がかりになることを期待している」とありますが、「ESG Bridge Report」は、まさに「できるところから着手し、ESG情報の開示を始める」ためのツールであると考えています。

 

柳氏によれば「ROESG」の本格的な展開のためには、ESGと企業価値の正の相関を示唆する実証研究の積み上げ、企業の社会的貢献が長期的な経済価値に貢献する具体的事例の開示などが必要とあり、実際のハードルは高いのですが、各企業のESGへの取り組みがいかにして企業価値向上に繋がっているかをわかりやすくお伝えしたいと考えています。

 

お読みいただいた多くの投資家からのフィードバックを基に、よりクオリティの高いレポートへと改善してまいりますので、是非忌憚のないご意見を賜りたいと存じます。

 

株式会社インベストメントブリッジ
代表取締役会長 保阪 薫
k-hosaka@cyber-ir.co.jp

 

(2)「ROESGモデル」について

(拡大する非財務資本の価値、ESG投資の急増、ESGと企業価値をつなぐ概念フレーム策定)
近年、多数の実証研究において企業価値評価における非財務情報の重要性拡大が証明されており、今や、企業価値の約8割は見えない価値(無形資産)、非財務資本の価値と推察される。
加えて、非財務情報と企業価値の関係を調べた多数の実証研究の結果から、ESGと企業価値は正の相関を持つ蓋然性があると考えられる。
一方、グローバルにESG投資のメインストリーム化が進む中、潜在的なESGの価値にもかかわらず多くのケースでPBRが1倍割れもしくは低位に留まる日本企業は、PBR上昇のために「ROESGモデル」により、非財務資本を将来の財務資本へと転換すること、つまりESGと企業価値をつなぐ概念フレームを策定して開示する必要がある。

 

(「ROESGモデル」の概要)
株主価値のうち、「PBR1倍相当の部分」にあたる株主資本簿価は現在の財務資本・財務価値により構成される。
一方、株主価値のうち「PBR1倍超の部分」にあたる市場付加価値は、(将来の財務資本ともいえる)非財務資本により構成されると同時に、残余利益モデルにおいてはエクイティス・プレッド(ROE-株主資本コスト)の金額流列の現在価値の総和でもある。
このことから柳氏は、非財務戦略の結論として「非財務資本とエクイティ・スプレッドの同期化モデル」=「ROESGモデル」を、ESGと企業価値を同期化する概念フレームワークとして提案している。

 


 

「ROESGモデル」においては、「市場価値(MVA)」を通じて残余利益の現在価値の総和としてのエクイティ・スプレッドと非財務資本が相互補完的である、つまり、エクイティ・スプレッドによる価値創造はESGを始めとする非財務資本の価値と市場付加価値創造を経由し、遅延して長期的には整合性を持つ。
そのため、ESG経営は資本効率を求める長期投資家とは市場付加価値を経由して同期化でき、協働が可能であろう。
これを傍証するように、柳氏が実施した投資家サーベイにおいては、世界の投資家の大多数が「ESGとROEの価値関連性を説明してほしい」と要望していると同時に、「ESGの価値の100%あるいは相当部分をPBRに織り込む」と回答しており、「ROESGモデル」は間接的にも長期投資家の大半から支持されていると解釈できよう。
(同氏の「ROESGモデル」の詳細については、柳良平著「CFOポリシー」中央経済社(2020)
をご参照されたい。

 

 

 

 

 

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は(株)インベストメントブリッジが公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、(株)インベストメントブリッジが信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

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