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(3645) 株式会社メディカルネット

グロース

ブリッジレポート:(3645)メディカルネット 2021年5月期第3四半期決算

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平川 大 会長CEO

株式会社メディカルネット(3645)

 

 

企業情報

市場

東証マザーズ

業種

情報・通信

会長CEO

平川 大

所在地

東京都渋谷区幡ヶ谷1-34-14 宝ビル

決算月

5月末日

HP

https://www.medical-net.com

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,148円

4,308,785株

4,946百万円

6.0%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

8.00円

0.7%

-

-

246.64円

4.7倍

*株価 4/9終値。発行済株式数は直近期決算短信より。発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年5月(実)

1,482

176

176

186

34.54

3.00

2017年5月(実)

1,480

123

124

82

15.30

2.00

2018年5月(実)

1,740

152

154

88

16.36

2.00

2019年5月(実)

2,236

176

182

102

18.98

2.00

2020年5月(実)

2,917

106

103

79

18.51

1.50

2021年5月(予)

3,209

300

250

~300

未定

-

8.00

*予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。

 

株式会社メディカルネットの2021年5月期第3四半期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年5月期第3四半期決算概要
3.2021年5月期業績見通し
4.今後の注目点
<参考1:今後の成長戦略 ~予防医療・未病医療へ注力~>
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 21/5期3Q累計は前年同期比13.5%増収、155.6%営業増益。メディア・プラットフォーム事業でGoogleのアルゴリズムの変動の影響への対応が進むなど、いずれの事業も増収となった。歯科診療医療費の伸び悩みなど厳しい状況が続く中、スマートフォン広告の拡充など新たなサービス構築に取り組んだ。利益面では、売上総利益率の改善とともに販管費も抑制し、大幅増益となった。いずれの事業も損益が改善した。

     

  • 通期予想は昨年12月の予想から修正なく、前期比10.0%増収、182.1%営業増益を見込む。新型コロナウイルス感染症の影響は不確定であるが、同社の運営するサイト価値の向上や販売強化により収益性の高い広告サービス販売が好調に推移することが見込まれ、売上高、営業利益とも前年を上回る見込み。配当は1株8.00円の期末配当を実施予定。20.5期1.50円から大幅な増額を見込んでいる。

     

  • 21/5期2Q(9~11月)に売上高・営業利益とも水準が大きく伸長したが、今3Q(12~2月)はその水準を維持した形となった。前回レポートでは「今後の課題は2Qの勢いの持続性」としたが、勢いを維持しておりワンステップ収益レベルが向上したといえるだろう。2Qに続き前期に苦戦したGoogleアルゴリズム変動への対応を進めたことや、ブランネットワークスを吸収合併するなど効率化にも取り組んでいたがその成果が現れた。新型コロナの影響も、結果としてはポジティブに働いたといえる。また、業界初のオンライン診断サービスを開始するなど今後の成長にもつなげている。好決算を受けてこの1年で株価は2倍超に上昇した。それでも時価総額は60億程度。今後の成長余力を十分には織り込まれていない水準にあると考える。

     

1.会社概要

「インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより笑顔を増やします。」を企業理念とし、歯科医院の経営をトータルで支援する「歯科医療プラットフォームビジネス」、歯科のみでなく医療、美容、ライフスタイルなど生活者にとって有益な情報を提供する「生活者向けサービス」、歯科関連企業のマーケティング支援などを行う「事業者向けサービス」を展開している。
生活者・歯科医院・歯科関連企業を結ぶビジネスモデルを有する唯一の企業。2020年11月末で41,748名に上るメディカルネットグループ会員数が大きな資産。

 

【1-1 沿革】

2000年

4月

前身である日本インターネットメディアセンター創業。ポータルサイト運営事業・ホームページ制作事業を開始

9月

ポータルサイト「インプラントネット」リリース

2001年

6月

「日本メディカルネットコミュニケーションズ株式会社(現 株式会社メディカルネット)設立」

2002年

2月

ポータルサイト「矯正歯科ネット」・「審美歯科ネット」リリース

2005年

4月

ポータルサイト「エステ・人気ランキング」リリース

2006年

10月

SEM事業開始

2007年

9月

東証一部上場ソネット・エムスリー株式会社(現エムスリー株式会社)と業務資本提携

2009年

3月

「モバイル!歯医者さんネット」リリース

2010年

12月

東京証券取引所 マザーズへ上場

2012年

11月

ブランネットワークス株式会社を連結子会社化、医療BtoB事業を展開

2014年

9月

ヘルスケア情報サイト「4healthcare」リリース

10月

美容情報サイト「美LAB.」リリース

2015年

1月

ママ向け子育て情報サイト「まんまみーあ」リリース

2015年

9月

株式会社ミルテルと業務資本提携

2016年

12月

「株式会社メディカルネット」に商号変更

2017年

4月

「公開育児アプリ「Moopen(モープン)」リリース

 

5月

「デンタルトリビューンインターナショナル社」と業務提携

 

9月

「Success Sound Co., Ltd.(現 Medical Net Thailand Co., Ltd.)」を連結子会社化。タイ国バンコクにおいて、歯科医院運営を開始

 

10月

日本の総代理店として「デンタルトリビューン日本版」オープン

 

12月

Medical Net Thailand Co., Ltd.「ゆたかデンタルクリニック」をリニューアルオープン

2018年

2月

福岡支社開設

 

12月

株式会社オカムラの株式取得し完全子会社化(歯科ディーラー事業を開始)

2020年

2月

連結子会社であったブランネットワークス株式会社を吸収合併

9月

岡山大学との共同研究により開発した「歯科医院での新しい口臭センサーシステム」について特許を取得。

10月

Pacific Dental Care Co., Ltd.を連結子会社(孫会社)化

 

歯科医にターゲットを絞り、インターネット広告を中心としたビジネスを展開しようとした企業は多数あったが、個人事業主が多数を占める歯科医に対し継続的な営業を展開することが出来ず、ほとんどの企業が撤退していった。
これに対し同社は、歯科医の中でも自由診療に対象を絞り込んだうえ、ビジネスの成功のみでなく、創業時のビジョンを重視し、歯科医に対しては「新しい治療の理解と普及」や「地域医療の改善や治療に専念できる環境の提供」を、患者に対しては「より良い治療方法の情報提供」を目指し地道な努力を継続した結果、多くの歯科医師から圧倒的な共感を勝ち取り、生活者・歯科医院・歯科関連企業を結ぶビジネスモデルを有するオンリーワン企業となった。

 

【1-2 企業理念など】

「インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします。」を企業理念とし、以下のMISSION、VISION、VALUEからなるミッションステートメントを掲げている。

 

MISSION

社会的存在意義

インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします。

 

VISION

目指す姿

生活者・事業者に革新的なサービスを提供し続け、歯科医療プラットフォームビジネス・領域特化型プラットフォームビジネスにおいて、国内外でトップ企業となります。

VALUE

組織的価値観

 

変化なくして進歩なし。(あくなき挑戦である。)

◇情熱:向上心であり、自発性であり責任であり、マインドである。

◇スピード:意識であり、発想であり判断であり、言動であり、行動である。

◇チームワーク:協調であり、協力であり競争であり、シナジーであり、利他である。

◇リスペクト:感謝であり、思慮であり尊敬であり、真摯さである。

 

同社では、全社員に理念、VISIONを浸透させることを重視して、様々な取り組みを行っている。
2016年12月の社名変更も理念経営をこれまで以上に徹底して行っていくという経営からの社内外へのメッセージである。
中堅層育成のための2か月に1回の集合研修の場や中途採用時には平川会長・平川社長自らが同社の価値観を繰り返し語りかけている。
また、各事業ユニットおよび社員各人のVISION実現に向けた取り組みや実績を定量的・定性的に評価する仕組みもスタートさせた。
この評価制度を通じてビジョンや理念の更なる浸透を図り、より強固な組織づくりを目指している。

 

【1-3 市場環境】

◎歯科診療市場
厚生労働省の調査によれば、2019年度の歯科診療医療費は約3.02兆円で、前年比1.9%増と微増にとどまった。日本の健康保険財政状況からは今後も大きな伸びは予想できない。
一方、歯科診療所は2020年12月末で前年比0.4%減の68,088施設であった。4年連続の減少ながら高水準が続いている。

 

インプラントやホワイトニングなどの自費診療の普及や口腔衛生意識の高まりはあるものの、医療費抑制政策が続く中、歯科医院は過当競争状態にあると言われており、取り巻く経営環境は引き続き厳しい。
集客増を中心とした有効な施策に対する歯科医院のニーズは極めて大きいと思われる。

 

 

 

◎インターネット広告市場
医療機関経営支援事業における歯科医の集客のための重要なソリューションである「インターネット広告」は高成長が続いている。
電通が発表している「2020年 日本の広告費」によれば、日本の総広告費は19年が6.2%の増加と大きく伸びたものの、20年は新型コロナの影響もあり11.2%減となった。
一方、インターネット広告は、19年は19.7%と6年連続で2桁の伸びが続いており、20年についても5.9%増となった。19年には初めてテレビ広告を上回ったが、さらに大きな差をつけ、日本の広告市場を牽引している。
こうした傾向は今後も続くと思われ、歯科医にとってのマーケティングツールとしてインターネット広告はますます重要なものとなるだろう。

 

【1-4 事業内容】

<サービス概要>
『インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします』という企業理念の下、生活者、歯科医院、歯科関連企業に対しそれぞれ以下のようなサービスを提供している。

 

(生活者向け)
歯科治療の「理解」と「普及」をテーマに、自分に最適な歯科医院についての情報や、歯の基礎知識、インプラントなどの専門治療の説明など、生活者にとって有益な情報を、各種ポータルサイトを通じて提供している。
また、対象は歯科のみでなく医療、美容、ライフスタイルなど幅広い。

 

(歯科医院向け)
競争の激しい歯科医院業界に対し、様々な角度から経営支援サービスを提供している。
送客集客に結び付くホームページ制作やWebマーケティング、歯科従事者のための求職サイト運営による人材・キャリアサポート、日々の歯科治療で必要となる消耗品や歯科材料および高度管理医療機器導入のトータルサポートに加え、歯科医院の新規開業に伴う、物件、設備・インフラ、ホームページ、集客などのトータルサポートも提供している。

 

(歯科関連企業向け)
歯科医院向けビジネスを拡大させたい歯科関連企業のサポートを行っている。
ここで重要な役割を担っているのが、同社が運営する、歯科医療従事者登録数が2020年11月末時点で32,936名と日本最大級である歯科医療総合情報サイト「Dentwave.com」である。
「Dentwave.com」におけるバナー広告やメールマガジンといった広告掲載に加え、登録者を対象としたネット調査「デントリサーチ」も、マーケティングのための有効なツールとして高い評価を受けている。スピーディに精度の高い調査が可能であることに加え、職種、専門、年代、エリアなど細かいスクリーニングにも柔軟に対応しており、多くの歯科関連企業が導入している。
ほかにも、学会や企業のWebサイトやランディングページおよびカタログなどの制作、歯科コンベンションや歯科イベントの企画・集客・運営支援も行っている。

 

<報告セグメント>
開示上の報告セグメントは、「メディア・プラットフォーム事業」、「医療機関経営支援事業」、「医療BtoB事業」の3つ。

 


 

(1) メディア・プラットフォーム事業
「からだ」・「健康」・「美」に特化した情報を提供するサイトの開発・運営を行っている。
様々な切り口で、歯科分野、美容・エステ分野、子育て分野合わせて、61のメディアを運営している。

 

(歯科分野)

インプラントネット

歯科インプラント治療という特定の自由診療に関する情報発信に特化したポータルサイト

・インプラントネット(全国版)

・Dental Implants Net(US全国版・US地域版2地域)

・インプラントネット(スマートフォン版)

 

矯正歯科ネット

矯正歯科治療という特定の自由診療に関する情報発信に特化したポータルサイト

・矯正歯科ネット(全国版)

・矯正歯科ネット(スマートフォン版)

審美歯科ネット

 

審美治療という特定の自由診療に関する情報発信に特化したポータルサイト

・審美歯科ネット(全国版)

・審美歯科ネット(スマートフォン版)

その他歯科関連

「歯医者さんネット」

主に虫歯治療、歯周病治療などの保険診療を行う歯科医院を紹介し、幅広い顧客層をターゲットにしたポータルサイト

「Ask Dentist」

インターネットユーザーからの歯や口腔に関する質問・相談に歯科医師が回答する歯科Q&Aサイト

歯科求人サイト「Denty」

歯科医療業界に特化した求人サイト。歯科ポータルサイトの運営実績を活かして、求職者の目線を意識した求人情報の発信に努めている。

 

主なポータルサイトは歯科医院検索、歯科医院紹介、歯科医師の紹介に加え、患者に対する情報提供として、治療説明、よくある質問と回答のQ&Aといったコンテンツも掲載している。

 

(美容・エステ分野)

エステ関連サイト

 

美意識の高い女性をターゲットに、エステに関する情報を提供するポータルサイト「エステ・人気ランキング」をはじめ9サイトを運営している。

美容整形関連サイト

 

美意識の高い女性をターゲットに、美容整形に関する情報を提供するポータルサイト「気になる!美容整形・総合ランキング」をはじめ2サイトを運営している。

主なコンテンツは、エステサロン検索、エステサロン紹介、総合人気ランキング、キャンペーン人気ランキング、コース人気ランキング、実際にエステサロンで受けた施術の感想等を掲載した体験レポートなど。

 

*ビジネスモデル
各ポータルサイトは、歯科医院やエステサロン等を顧客として、広告料収入を得て運営している。
インターネットユーザーは、各ポータルサイトにおいて、無料で歯科医院、エステサロン等の情報を検索・閲覧することができる。
広告料収入の具体的内容は、主に①クライアント紹介ページの初期制作料及び月額掲載料、②クライアントのホームページへのリンクを貼ったバナー広告の月額掲載料となっている。
契約形態は原則12カ月の継続契約(自動更新)であるため、収益モデルは積上げ式のストックビジネスとなっている。

 

(2)医療機関経営支援事業
①SEM事業
検索エンジンの検索結果において検索順位を上位表示させることを目的としたSEO(検索エンジン最適化)サービスや、ヤフー株式会社及びGoogle LLCが運営するポータルサイトにおけるリスティング広告(検索連動広告)の運用代行サービスを提供している。

 

(A)SEO
検索エンジンを活用してホームページへの集客やホームページから情報配信を行うクライアントに対して、検索エンジンの表示順位判定基準(アルゴリズム)を分析し、ホームページの状態を最適化することにより、ホームページの検索エンジンからのキーワードに対する評価を高め、検索エンジンの検索結果において検索順位を上位表示させることを目的としたSEOサービスを提供している。
定額料金により複数のキーワードでYahoo! JAPAN又はGoogleの検索結果を上位表示させる月次定額型サービスと、特定のキーワードでYahoo! JAPAN又はGoogleの検索結果の順位に応じた料金が発生する成功報酬型サービスがある。

 

(B)リスティング広告(検索連動広告)
ヤフー株式会社及びGoogle LLCが運営するポータルサイトにおいてリスティング広告(検索連動広告)の運用代行サービスを行っている。
「リスティング広告」とは、検索エンジンの検索結果ページに設定された広告枠に表示される広告のことで、インターネットユーザーが広告をクリックした場合にのみ広告主に広告料が発生する。
クライアントにとって費用対効果の高い広告運用を実現するため、キーワードや広告原稿の提案から、運用面における入札価格の調整や予算管理までの総合的なサービスを提供している。

 

②事業者向けホームページ制作・メンテナンス事業
主に「からだ」・「健康」・「美」に関連する事業者(歯科医院、エステサロン等)をクライアントとしてホームページ制作・メンテナンス事業を行っている。
インターネットユーザーが、その歯科医院やエステサロン等に対して安心感を持ってもらえるように「清潔感・高級感」を重視したウェブデザインを手掛けるほか、歯科分野及び美容・エステ分野に特化している同社ならではの医療・美容知識を活かして、患者や医療・美容に対するクライアントの考え方など、インターネットユーザーに情報を分かりやすく伝えることができるホームページを制作している。
また、人工知能(AI)機能を搭載したWeb接遇支援システムの提供も開始した。これは歯科業界初の取り組みである。

 

③販売代理事業
クライアントを中心に、新聞折込広告をはじめとする広告出稿、他社商材等の販売代理業務を行っている。

 

④海外での歯科医院経営
タイ・バンコクで歯科医院の経営を開始。タイでの歯科医院経営を皮切りに、海外諸国において日本の先進歯科医療の普及を図る。

 

⑤歯科ディーラー事業
18年12月より連結化した(株)オカムラが展開する歯科機材卸事業。

 

(3)医療BtoB事業
歯科医療従事者と歯科関連企業等をつなぐBtoB型の歯科医療総合情報サイト「Dentwave.com」の運営を行っている。
同サイトの歯科医療従事者登録は2020年11月末時点で32,936名と日本最大級。
この会員を基盤として、歯科関連企業等に対する広告ソリューション、リサーチ、コンベンション運営受託等のサービスを提供している。20年2月には運営するブランネットワークスを吸収合併した。
また、世界最大規模の歯科メディアであるデンタルトリビューンインターナショナルと業務提携し、世界90カ国、65万人の歯科医師をユーザーにもつ「DENTAL TRIBUNE」日本版のメディアの運営とマガジンの発行をしている。

 

【1-5 特長と強み】

(1)生活者・歯科医院・歯科関連企業を結ぶプラットフォームを構築している唯一の企業

(同社資料より)

 

同社は、歯科医療を中心に生活者・歯科医院・歯科関連企業を結んだプラットフォームを構築しているが、こうしたプラットフォームを構築している企業は他には無く、同社の大きな特徴となっている。
この強固でユニークなプラットフォームを活かし、生活者・歯科医院・歯科関連企業、それぞれに向けて様々なサービスを提供しており、これが強力な競合優位性となっている。
創業から約20年をかけて構築してきたポジショニングは強固であり、新規参入は極めて難しいと同社では考えている。

 

◎対生活者:自社メディアで信頼性の高い公平・中立な情報を提供
歯科医師など専門家と直接やりとりしながら、多くのメディアを構築・運営してきた同社は、歯科医療における豊富な専門知識を有している。
そのため、生活者に対し信頼性が高くかつ分かりやすい情報を提供することが可能であり、そのクオリティの高さは、医師が患者に説明する際に、同社が運営するWebサイトのコンテンツを利用することもあるほどである。
より専門性の高いテーマについては、長年築き上げた信頼関係に基づき、歯科医師に執筆を依頼している。
様々な見解があるテーマについては、複数の歯科医師に意見を述べてもらったり、治療方法のデメリットなどについても言及してもらったりしており、生活者に公平・中立な情報を提供している。
同社の売上高の多くは歯科医向けサービスによるものではあるが、ビジョンや理念の下、常に「生活者・利用者の視点」を重視したアドバイスを歯科医に提供しており、これが同社に対する一層の信頼性向上に結び付いている。

 

◎対歯科医:ワンストップWebサービス×多彩なリアルサービス×コンサルティング
さまざまな自社メディア、および事業者向けWebサイトを構築してきた同社は、Webサイト構築からSEM施策の立案・実施までをワンストップで提供することが可能であり、これに加え、人材紹介、保険、専門機材、オフィスサプライなど、リアルな領域においても全方位的なサービスを提案している。
さらに、歯科医師の専門領域や課題を理解した上で、経営実態を把握・分析し、インターネットを活用した効果的な送客・集客や、リアルビジネスを組み合わせた人員・設備・事業計画の提案など、歯科医院に対する経営支援コンサルティングを幅広く提供することができる。

 

◎対歯科関連企業:優良歯科医院へのアプローチやマーケットリサーチが可能
前述のように、同社は、会員数トップクラスの歯科医療従事者向けサイト「Dentwave.com」を運営している。
会員の多くは、経営状態が良好でかつ事業拡大にも前向きであり、医療機器メーカー・卸などメーカー・サプライヤーは、こうした優良顧客に対して広告展開や、製品・サービスの提案をすることが可能である。

 

(2)ストックビジネスによる安定した収益構造
同社売上の過半を占めるポータルサイト運営事業における広告出稿は、原則として12カ月の継続契約(自動更新)であるため、収益モデルは積上げ式のストックビジネスであり、同社の収益基盤に安定性をもたらしている。
同社では新規顧客開拓を進めて事業基盤の更なる強化を図る考えだ。

 

(3)圧倒的な会員数
歯科医療従事者会員からなるメディカルネットグループ会員数は20年11月末で41,748名と、上場時の5.3倍にまで拡大している。
この会員は、対歯科医院向けビジネスの顧客であると同時に、対歯科関連企業向けビジネスにおいても重要な資産として同社の事業基盤を支えている。
日本全国には約10万人の歯科医師がいると同社では想定しており、今後は8割、8万人の会員化を目指している。


 

【1-6 ROE分析】

 

14/5期

15/5期

16/5期

17/5期

18/5期

19/5期

20/5期

ROE (%)

5.7

3.8

14.0

5.6

5.8

6.4

6.0

 売上高当期純利益率(%)

5.22

3.67

12.55

5.56

5.06

4.57

2.72

 総資産回転率(回)

0.80

0.74

0.87

0.86

0.95

1.14

1.54

 レバレッジ(倍)

1.37

1.40

1.29

1.18

1.20

1.24

1.44

ROEは16/5期を除けば、日本企業が一般的に目指すべきと言われている8%を下回っている。
売上高当期純利益率の改善が期待される。

2.2021年5月期第3四半期決算概要

(1)業績概要

 

20/5期 3Q累計

構成比

21/5期 3Q累計

構成比

前年同期比

売上高

2,173

100.0%

2,468

100.0%

+13.5%

売上総利益

735

33.8%

871

35.3%

+18.6%

販管費

625

28.8%

590

23.9%

-5.6%

営業利益

110

5.1%

281

11.4%

+155.6%

経常利益

110

5.1%

286

11.6%

+158.5%

四半期純利益

96

4.4%

133

5.4%

+38.4%

* 単位:百万円
* 四半期純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益。以下同様。

 

増収、大幅増益
売上高は前年同期比13.5%増の24億68百万円。いずれの事業も増収となった。
20年の広告市場の総広告費は前年比11.2%減の6兆1,594億円と低迷した。しかし、同社グループが関連するインターネット広告市場における広告費は、5.9%増の2兆2,290億円となった。世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響により日本の総広告費は前年を大きく下回ったが、インターネット広告費は社会のデジタル化加速が追い風となり、前年を上回った。また、同社が属するインターネット附随サービス業においても、売上高が概ね前年を上回る水準で推移している。一方、歯科市場においては、インプラントやホワイトニング等の自費診療の普及や口腔衛生意識の高まりもあったものの、歯科診療医療費の伸び悩みや歯科医院の過当競争の進展に加え、新型コロナウイルス感染拡大により厳しい状況が続いている。このような経済情勢のもと、顧客満足度の向上を図るため、スマートフォン広告の拡充など新たなサービス構築に取り組んだ。
営業利益は同155.6%増の2億81百万円。利益面では、売上総利益率が前年同期33.8%から35.3%に改善、販管費は減少し大幅増益となった。メディア・プラットフォーム事業で効率化を推し進めるなどしていずれの事業も損益が改善した。支払手数料の減少はあったものの、保険解約返戻金がなくなったことなどで経常利益は前年同期比158.5%増の2億86百万円、税負担が増加したことにより、四半期純利益は同38.4%増の1億33百万円となった。

 

(2)セグメント別動向

 

20/5期 3Q累計

構成比

21/5期 3Q累計

構成比

前年同期比

メディア・プラットフォーム事業

613

28.2%

657

26.6%

+7.1%

医療機関経営支援事業

1,515

69.7%

1,710

69.3%

+12.8%

医療BtoB事業

44

2.0%

98

4.0%

+122.1%

その他

2

0.1%

2

0.1%

+1.6%

調整額

-2

-

-0

-

-

売上合計

2,173

100.0%

2,468

100.0%

+13.5%

メディア・プラットフォーム事業

421

68.7%

441

67.1%

+4.6%

医療機関経営支援事業

-3

-

50

3.0%

-

医療BtoB事業

-17

-

48

49.1%

-

その他

2

100.0%

2

100.0%

+1.6%

調整額

-293

-

-261

-

-

営業利益合計

110

100.0%

281

100.0%

+155.6%

* 単位:百万円
* 営業利益の構成比は売上高営業利益率。その他は報告セグメントに含まれない事業セグメントで管理業務受託事業。

 

◎メディア・プラットフォーム事業
売上高は前年同期比7.1%増の6億57百万円、営業利益は同4.6%増の4億41百万円。
インターネット広告市場における広告費は拡大基調にあるものの、歯科分野では、歯科診療医療費の伸び悩みや歯科医院の過当競争の進展により厳しい状況が続いた。こうしたなか、歯科分野においては、Googleのアルゴリズムの変動の影響への対応が進み、主力サイトの「矯正歯科ネット」の売上高が前年同期比10.9%増、「インプラントネット」の売上高が同6.6%増となるなど好調に推移している。美容・エステ分野では、20年のエステティックサロン総市場規模は減少推移となった。施術分野が新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受け、厳しい状況が続いたが、緊急事態宣言解除後は一定の戻りが見られた。こうしたなか、美容整形専門サイト「気になる!美容整形・総合ランキング」、エステ専門サイト「エステ・ 人気ランキング」等のポータルサイトの収益化を目指した。また、同社グループが運営する各ポータルサイ トの認知度の向上を図ると共に引き続きスマートフォン広告の拡充を進め、新たなサービスの提供を実現するための体制を整備してきた。しかし、美容・エステ分野においてはポータルサイトへの広告出稿については 厳しい状況が続いている。こうしたなか、「気になる!美容整形・総合ランキング」の売上高は大型の広告出稿を獲得したことにより、前年同期比7.7%増、「エステ・人気ランキング」も大型の広告出稿を獲得したことにより同57.1%増となるなど前年同期比で増加した。

 

◎医療機関経営支援事業
売上高は前年同期比12.8%増の17億10百万円、営業利益50百万円(前年同期は3百万円の損失)。
(SEMサービス)
20年もインターネット広告媒体費は好調に推移した。このうち、運用型広告市場規模は、大型プラットフォーマーを中心に高成長となった。こうしたなか、運用型広告へのシフトが進んだことによる市場規模の拡大の影響を受け、リスティング広告運用代行サービスの顧客数が増加したことや、提供するサービスの多様化により売上高は増加した。
(SEOサービス)
複数キーワードへの対策結果を短期的に求めることが難しい仕組みへと変化したことにより、比較的効果の現れやすい検索連動広告をSEO対策に代わる手法として求める顧客が増えている。そのようななか、Googleなどの検索エンジンで利用されているアルゴリズム(検索キーワードに対して最適なページを判定するための処理手順)への対応が進み、顧客のサイトの検索順位を回復させることにより売上高は増加した。
(事業者向けホームページ制作・メンテナンスサービス)
20年のインターネット広告制作費は前年比1.4%増、ワンストップソリューションサービスの一環である事業者向けホームページ制作・メンテナンスは制作案件の受注が堅調に推移し売上高は増加した。
(販売代理)
同社独自のサービスと関連性のある他社Web商材・歯科医療機器・材料の販売及び歯科 医院経営支援サービスの営業活動が新型コロナウイルスの感染拡大により制約を受けたことなどにより売上高は減少した。
(歯科医院運営)
在バンコクの日系企業へ積極的に検診実施の営業活動を行った。また、在バンコクの邦人コミュニティーへ積極的に働きかけることにより患者数の増加に努めた結果、売上高は増加した。また、今上期よりPacific Dental Care Co.,
Ltd.を連結子会社(孫会社)化し、タイ・バンコクで2院目の歯科医院を運営している。
(歯科器械材料・医薬品卸売)
歯科医院開業に伴う大型機器の販売があったことや、新型コロナウイルス感染予防の補助金の影響により関連機器の販売が好調に推移し、売上高は増加した。

 

◎医療B to B事業
売上高は前年同期比122.1%増の98百万円、営業利益48百万円(前年同期は17百万円の損失)。
20年2月1日付でブランネットワークス株式会社を吸収合併し、経営資源の有効活用、柔軟な人材配置による業務の効率化により、業績の拡大を図ってきた効果が現れ、新規顧客の獲得、大口案件を受注するなど好調に推移した。

 

(3)財務状態

◎主要BS

 

20年5月末

21年2月末

 

20年5月末

21年2月末

流動資産

1,205

1,540

流動負債

677

803

現預金

605

853

仕入債務

104

174

売上債権

441

499

負債合計

730

913

固定資産

531

634

純資産

1,006

1,261

有形固定資産

38

39

利益剰余金

1,179

1,287

無形固定資産

167

208

負債純資産合計

1,736

2,174

投資その他の資産

325

387

 

 

 

資産合計

1,736

2,174

 

 

 

* 単位:百万円

 

資産合計は、前期末比4億38百万円増の21億74百万円となった。これは主に、投資有価証券が25百万円減少したが、現預金が2億47万円、長期前払費用が94百万円、のれんが41百万円増加したため。
負債合計は、前期末比1億82百万円増の9億13百万円となった。これは主に、短期借入金が30百万円減少したが、長期借入金が60百万円、買掛金が69百万円、未払法人税等が61万円、未払消費税が29百万円増加したため。
純資産合計は、前期末比2億55百万円増の12億61百万円となった。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益1億33百万円の計上と、剰余金配当6百万円を行ったこと等により利益剰余金が増加したことに加え、自己株式が1億40百万円減少したため。
自己資本比率は57.3%(前期末57.4%)となった。

 

(4)トピックス

◎新型コロナウイルス感染症の影響
長期的な視点で見れば、株主価値への影響はポジティブという考え
20年4月に緊急事態宣言が発出された際には、歯科医院において特に保険診療分野で患者数が減少するなど、先行きが不透明であったため、歯科医院の広告出稿が減少した。しかし、同社への影響は限定的だった。緊急事態宣言が解除されたのちは、特に自由診療分野において患者数が増加するなどコロナショックの影響は見られず、逆に歯科医院の広告意欲が高まってきている。同社では新型コロナウイルス感染症の影響は短期的にはマイナスと見込んでいたが、メディア・プラットフォーム事業の広告サービスの売上は増加、医療機関経営支援、医療BtoB事業においても前年同期を上回って推移し、上期では売上高、営業利益、経常利益は過去最高を達成している。
今後のプラスの影響としては良好な口腔環境が感染症リスクを減らす効果に対する需要が増大することがあげられる。口の中を清潔にして細菌の数を減らすことが、誤嚥性肺炎やウイルス性疾患の予防につながる。さらに今後、ウイルスの院内感染を防ぐための各種予防器具の販売などを拡大していくことも長期的なプラスになると考えらる。例として、20年3月に外部企業との協業により、歯科クリニック向け「まるごと抗菌コーティング」の販売を強化することにした。以上から、25年5月までの長期的な視点でみれば、コロナショックの株主価値への影響はポジティブとの考え。むしろ攻めるタイミングと捉えている。

 

◎歯科医院向けハイブリッド型事務代行サービスの提供を開始
歯科専門に完全オンラインで診療外の事務代行サービスを提供する株式会社SABUと協業し、2月8日より歯科医院向けハイブリッド型事務代行サービスの提供を開始する。
メディカルネットは1月より新規開業・分院開業に伴う物件選定の支援を実施し、歯科医院の開業における大きな課題解決に寄与するため宅地建物取引業を開始していた。さらに、この協業により開業後の歯科医院経営の運営サポート、歯科医院のプロモーションや集患までをオンライン、オフラインで幅広くカバーすることで、ワンストップで歯科医院の経営支援を可能にし、同社が目指す歯科医療のプラットフォームビジネスの構築を進める。

 

医療機関経営支援事業における歯科医院の事務代行サポートについて
内閣府の「経済財政運営と改革の基本方針2017」の医療項目において、「疾病予防と重症化予防を推進し、重症化予防などに向けた保険事業との連携の観点から診療報酬を検討する。口腔の健康は全身の健康にもつながることから、生涯を通じた歯科検診の充実、入院患者や要介護者に対する口腔内機能管理の推進など歯科保健医療の充実に取り組む。」と発表した。
また、疾病予防・重症化予防の中で、歯科検診の役割が言及され、19年においてはさらに踏み込んだ内容が盛り込まれた。
歯科業界では歯科医療の「虫歯治療中心から、予防歯科・歯から予防医療」への変化が起きると予想され、近い将来に、その変化が本格化することで、健康寿命増進につながると考えられる。
日本は、諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行している。このような状況の中、団塊の世代(約800万人)が75歳以上となる25年以降は、国民の医療や介護の需要が、さらに増加することが見込まれている。
このため、厚生労働省では、25年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進している。
超高齢社会に突入し、虫歯治療や口腔ケアが全身の健康に大きく寄与することが証明されはじめ、病院だけではなく地域包括ケアシステムにおけるキーステーションとして歯科医療機関が注目されている。そのような中で同社は、歯科医師が歯科医療に専念できる環境を創り、歯科医師がより最善な治療を生活者に提供することで、当社のミッションである「インターネットを活用し、健康と生活の質を向上させることにより、笑顔を増やします。」の実現を目指す。
同社の経営支援サービスにおいては「歯科医師が歯科医療に専念できる環境を創る」という目的のもと、歯科医院経営に関わる経営戦略策定・経理業務支援・採用支援・マニュアル作成・動画制作サービスなど、歯科医療機関の診療時間外に必要なバックオフィス業務をサポートする。

 

ハイブリッド型事務代行サービス開始の目的
歯科医師の80%以上が開業医である歯科医療機関の経営における課題は、歯科医師である院長自身が経営者であることが多く、診療をしながら多くのバックオフィス業務や人事業務の他、経営全般に関する業務を行なっていること。また専門的な知識がない場合が多く、かつ診療時間外に行う必要があるため、歯科医師にとって大きな負担となっていた。
今般、同社とSABUが協業することで、オフラインだけでは解決できない課題及び業務をSABUのオンラインサービスと組み合わせ、より効率的かつコロナ禍でも対応可能な、ハイブリッド型事務代行サービスを提供し、全国の歯科医院経営における大きな課題の解決に寄与する。1年後には120の歯科医療機関に対し本サービスを提供することを目標とする。

 

◎相談から口腔内チェックまで歯科のDX を実現、業界初・口腔内カメラを活用した「デンタルオンライン」提供開始
株式会社アイリッジと共同で、オンラインの歯科相談サロンと歯科用口腔内カメラを活用した歯科向けオンライン診察サービス「デンタルオンライン」を2021年2月17日に提供開始。
「デンタルオンライン」を利用することで、歯科医院は相談受付から新規患者の獲得、通院開始後の口腔内チェックまで、トータルで業務のDX(デジタル・トランスフォーメーション)が実現可能。患者は受診前に自分に合った歯科医院が選びやすくなり、通院負担も少なくなることから、居住地域にとらわれない良い歯科医院選びが可能になる。なお、歯科用口腔内カメラを通じた画像をもとに診察や相談を行う歯科向けサービスは業界初となる。

 

「デンタルオンライン」イメージ

(同社HPより)

 

取り組みの背景
厚生労働省は20年4月、新型コロナウイルスの感染が医療機関で広がるのを防ぐため、初回の診療からオンラインや電話で医師の診断などを受けられる仕組みを、歯科診療にも適用することを決めた。
しかし、口腔内状態をスマートフォン等のカメラで鮮明に確認するのは難しく、既存の医科向けオンライン診療サービスでは診療を行える範囲が限られるのが現状。メディカルネットが約200 医院を対象に実施した調査では、そのような状況下で7割以上の歯科医院にコロナ下での患者数減少が起きており、歯科診療に適した専用オンライン診察サービスの開発が求められている。
また、歯科においては、医科に比べて自由診療を組み合わせた幅広い治療の選択肢があるのに加え、専門用語が並ぶ歯科医院のホームページ上の情報だけでは患者が治療方法や料金の違いを理解した上で歯科医院を選択することが難しく、受診に至るまでの患者側のハードルが高いという課題もあった。
そこでメディカルネットとアイリッジは、受診前の相談から予約、歯科用口腔内カメラを組み合わせた診察、アフター
フォローまでをオンラインで実現できる、歯科向けオンライン診察サービス「デンタルオンライン」を開発した。

(同社HPより)

 

歯科向けオンライン診察サービス「デンタルオンライン」概要
「デンタルオンライン」は、歯科医と患者のマッチング機能およびコミュニケーション機能を持つ歯科相談サロン「デンタルオンラインサロン」と口腔内カメラ「デンタルオンラインカメラ」を組み合わせたオンライン診察を可能にする、歯科向けオンライン診察サービス。
歯や口腔内の悩みを持つユーザー(患者)は、「デンタルオンラインサロン」で気になる歯科医師を選び、SNSアカウント等でログインするだけで、個人情報を追加入力することなくチャットやビデオでの無料相談が可能。その後、「デンタルオンラインサロン」からのフォローや相談した歯科医院からのフォローあるいは受診を希望する場合は、氏名やメールアドレス等の追加登録を行う。
治療開始後は、「デンタルオンラインカメラ」を導入済みの歯科医院であれば、事前に歯科医院から患者に提供される口腔内カメラを使ったビデオ通話により、リアルタイムに口腔内状況を確認しながら診察を受けられる。歯科医の指示に従って患者自ら口腔内カメラを操作し患部の状態を動画で送信することで、問診だけの診察に比べ適切なアドバイスが期待できる。
「デンタルオンラインサロン」は歯科医院・患者とも登録無料(歯科医院は管理画面に対応するAndroidタブレットがない場合は端末費用が発生)で、歯科医院はサロン経由で受診につながった際に成果報酬を支払う仕組み。また、「デンタルオンラインカメラ」は初期費用と月額費用で利用できる。なお、「デンタルオンラインサロン」と「デンタルオンラインカメラ」は、セットで使うことでより快適なユーザー(患者)体験と歯科医院の業務効率化が期待できるが、どちらか一方のみの利用も可能。

 

今後の展望
メディカルネットはこれまで、生活者への歯科医療情報サービスの提供、歯科医療従事者への情報サービスの提供、歯科医療機関の経営支援、歯科関連企業のマーケティング支援など歯科医療の総合ビジネス(プラットフォームビジネス)を展開してきた。一方、アイリッジはスマートフォンアプリの開発やマーケティング支援を通じた企業のDX を支援してきた。
今後は両社の強みを活かし、まずは処置を伴わない診察機会が多く、本サービスを最大限活用しやすい矯正歯科を中心に利用拡大を進めるとともに、一般歯科での利用拡大に向けた技術検証およびサービス検証を進め、22 年3月末時点で「デンタルオンラインサロン」登録歯科医院数100 院を目指す。

 

◎ヘルスケアのプラットフォーム『for health care』をリリース
ヘルスケアの総合サイト「for health care(フォーヘルスケア)」https://forhealthcare.jp/)を刷新し20年11月4日にリリースした。
『for health care(フォーヘルスケア)』の主要コンテンツ
・「お口の悩み」・・・虫歯、口内炎、知覚過敏、歯肉炎、ドライマウス、口臭など、お口のお悩みを抱えている方へ向けて解決方法を提供します
・「お口の健康」・・・歯磨き、デンタルグッズ、歯周病、糖尿病、心筋梗塞、悪性腫瘍など、オーラルケアから病気の予防、健康促進に役立つ情報を発信します
・「お口の美容」・・・歯並び、ホワイトニング、口内マッサージ、オーラルスパ、エステ、スキンケアなど、オーラルケアから美容、エステの情報をお届けします

 

(『for health care』トップページの一部)

 

◎歯科医療従事者のための総合情報サイト『Dentwave.com 』のサイトをフルリニューアル
歯科医療従事者のための総合情報サイト『Dentwave.com』(https://www.dentwave.com/)を全面リニューアルし、20年11月18日にリリースした。

 

サイトリニューアルのポイント
①ニュース・記事の検索機能の充実
ニュース・記事がカテゴリやタグにより分類され、関連ニュースや記事をスムーズに閲覧することができるようになったため、ニュース・記事が検索しやすくなりました。
②アンケート機能の拡充
従来メールマガジン経由でのみ回答可能であった会員向けアンケートについて、トップページからも回答募集中アンケートの確認と募集中アンケートへの回答が行えるようになりました。
③会員ランク制度の導入(2020年12月1日~予定)
サイトリニューアルに伴い、20年12月1日より会員ランク制度のリリースを予定しています。会員ランク制度により、Amazonギフト券へ交換可能な「Dentwaveポイント」が貯めやすくなります。

 

3.2021年5月期業績見通し

(1)通期業績予想

 

20/5期

構成比

21/5期(予)

構成比

前期比

売上高

2,917

100.0%

3,209

100.0%

+10.0%

営業利益

106

3.6%

300

9.3%

+182.1%

経常利益

103

3.6%

250~300

7.8~9.3%

+140.4~188.5%

当期純利益

79

2.7%

未定

-

-

* 単位:百万円 * 予想は会社側発表。

 

営業利益・経常利益を大幅上方修正、大幅な増配も実施
通期予想は修正なく、売上高が前期比10.0%増の32億9百万円、営業利益は同182.1%増の3億円。新型コロナウイルス感染症の影響は不確定であるが、当社の運営するサイト価値の向上や販売強化により収益性の高い広告サービス販売が好調に推移することが見込まれ、売上高、営業利益とも前年を上回る見込み。尚、この予想は20年12月11日に1Q決算発表時(前回)の予想から修正されている。売上高は前回レンジ予想の中央値近辺、営業利益は1億10百万円~2億円から上方修正された。経常利益については新型コロナウイルス感染拡大の影響など不確定要素が多く存在するためレンジ予想だが、前回1億10百万円~2億円から2億50百万円~3億円へと大きくレンジを引上げた。メディア・プラットフォーム事業及び医療BtoB 事業において、同社の運営するサイト価値の向上や販売を強化した。これにより収益性の高い広告サービス販売が好調に推移することが見込まれる。更に、適切な人員配置と業務の効率化による固定費(人件費等)の減少などにより、前回予想値を上回る見込み。
配当予想も修正なく、1株8.00円(うち記念配当3.00円、普通配当5.00円)の期末配当を実施予定。20.5期1.50円から大幅な増額を見込んでいる。

 

(2)事業別取り組み(上期決算発表時)

事業別取り組み

事業

取り組み

メディア・プラットフォーム

歯科・美容

◇人材強化

◇サービスの改善・拡充、セールスとのサービス販売強化

◇専門コンテンツ強化

医療機関経営支援事業

◇新規チャネル開拓と収益モデル構築

◇AI搭載およびユーザーコミュニケーション型web開発・販売

◇セミナー、大学及びスタディグループの開業支援及び経営支援案件の掘り起こし

◇歯科ディーラー事業を拡大

医療B to B

◇会員数増加に向けた施策強化

◇新サービスの開発、販売強化

ビジネスディベロップメント・経営企画

◇新規事業

◇岡山大学との共同研究

 

(3)計画の前提(上期決算発表時)

各事業で増収を見込む。

事業

売上状況

メディア・プラットフォーム

 

歯科分野、美容分野とも前年のGoogleアルゴリズムの変動、医療広告ガイドライン改正に伴う落ち込みからの回復を見込む。

医療機関経営支援事業

体制を強化し新事業、新商材の取扱いに加え、

既存事業も収益力を強化、歯科医院運営事業も軌道に乗り収益拡大。

歯科ディーラー事業も前年を上回る見込み。

医療B to B

吸収合併した効果をDentwave.comのサービス拡充及び新サービス投入により売上増を図る。

 

費用についても仕入原価、人件費とも増加する見通し。

費用

見通し

売上原価(仕入高)

 

歯科ディーラー事業の売上増加に伴い商品仕入高が増加。既存サイトの拡充、新サイト開発等サービスの多様化を図り、業務拡大により労務費が増加。

販管費(人件費)

営業力強化のための人件費、新サービス投入に係るコストが増加する見込み。

 

4.今後の注目点

21/5期2Q(9~11月)に売上高・営業利益とも水準が大きく伸長したが、今3Q(12~2月)はその水準を維持した形となった。前回レポートでは「今後の課題は2Qの勢いの持続性」としたが、勢いを維持しておりワンステップ収益レベルが向上したといえるだろう。2Qに続き前期に苦戦したGoogleアルゴリズム変動への対応を進めたことや、ブランネットワークスを吸収合併するなど効率化にも取り組んでいたがその成果が現れた。新型コロナの影響も、結果としてはポジティブに働いたといえる。また、業界初のオンライン診断サービスを開始するなど今後の成長にもつなげている。
好決算を受けてこの1年で株価は2倍超に上昇した。それでも時価総額は60億程度。今後の成長余力を十分には織り込まれていない水準にあると考える。

 

(決算短信よりインベストメントブリッジ作成)

 

<参考1:今後の成長戦略 ~予防医療・未病医療へ注力~>

今後の更なる成長を目指す同社では「予防医療・未病医療」が重要なキーワードであると考えている。
同社がオンリーワン企業としてポジショニングを構築している歯科業界において大きな環境変化が起きている。
日本では歯科治療というとこれまでは虫歯治療が中心であった。
一方欧米では虫歯治療だけではなく、歯周病が動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、アルツハイマーなど様々な疾病の原因の一つであり、歯の健康を保つことがこれらの疾病予防につながるという考え方が中心となっている。
このような、全身の健康・長寿につながる「予防歯科・未病歯科」という考え方が今後日本でも重視されるといわれている。
既存のストックビジネスに歯科医院運営やDENTAL TRIBUNEの活用などの「海外事業」と予防医療・未病医療など「新規事業」を積み上げるとともに、成長を加速させるブランディング創りにも取り組み、2025年5月期売上高100億円を目指している。

 

~2025年5月期売上高100億円に向けて~

(同社資料より)

 

(同社資料より)

<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

6名、うち社外1名

監査役

3名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2020年8月31日

 

<基本的な考え方>
当社は、株主の利益の最大化を図りつつ、株主・クライアント・エンドユーザー・従業員・地域の方々等すべてのステークホルダーに対して、経営の健全性・効率性・透明性を通じて企業社会の一員としての社会的責任を果たしていくことをコーポレート・ガバナンスの基本方針としております。

 

その実現のために、現状に満足することなく経営環境の変化に応じてコーポレート・ガバナンス体制を強化し、企業価値の最大化を図ってまいります。

 

<実施しない主な原則とその理由>
「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。」と記述している。

 

 

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

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