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(5290) 株式会社ベルテクスコーポレーション

スタンダード

ブリッジレポート:(5290)ベルテクスコーポレーション 2022年3月期決算

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土屋 明秀 社長

株式会社ベルテクスコーポレーション(5290)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

ガラス・土石製品(製造業)

代表取締役社長

土屋 明秀

所在地

東京都千代田区麹町五丁目7番地2

決算月

3月

HP

https://www.vertex-grp.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

3,430円

10,184,450株

34,932百万円

15.4%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

25.00円

2.2%

161.30円

7.1倍

3,230.95円

1.0倍

*株価は6/9終値。各数値は22年3月期決算短信より。2022年7月1日付で1:3の株式分割を予定。配当利回り、PERはこの株式分割を考慮。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2019年3月(実)

29,701

2,516

2,694

5,934

712.28

70.00

2020年3月(実)

39,014

3,788

3,959

2,336

262.01

60.00

2021年3月(実)

37,763

5,290

5,635

3,759

428.41

90.00

2022年3月(実)

37,514

6,143

6,434

4,242

482.89

80.00

2023年3月(予)

39,000

6,200

6,500

4,350

161.30

25.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。21年3月期の配当には記念配当30.00円/株を含む。2022年7月1日付で1:3の株式分割を予定。EPS、DPSは遡及調整していない。

 

株式会社ベルテクスコーポレーションの2022年3月期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2022年3月期決算概要
3.2023年3月期業績予想
4.第2次中期経営計画の進捗
5.今後の注目点
<参考1:第2次中期経営計画>
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 「安心のカタチを造る。」を掲げ、コンクリート製品を始めとした社会資本・生活インフラの整備に欠かせない各種製品の供給や据付工事などを行なう。製品の優位性・技術提案力・豊富な知的財産を強みに、業界内で有数の高い収益性を実現している。グループによる幅広い対応力も強み。

     

  • 22年3月の売上高は前期比0.7%減の375億14百万円。防災事業のみ増収。コンクリート事業は仕入れ商品の取り扱い見直し、パイル事業はコロナ禍の長期化による工事の遅延が発生した。営業利益は同16.1%増の61億43百万円。コンクリート事業において低採算製品の取扱い見直しなどにより販売単価が上昇したほか、プロダクトミックスが改善。売上総利益は同5.9%増加し、粗利率も1.9ポイント改善した一方、販管費は同3.3%減少した。売上高は予想未達も、各利益とも予想を上回った。

     

  • 23年3月期の売上は前期比4.0%増の390億円、営業利益は同0.9%増の62億円の予想。資材価格高騰や物流コストの上昇など厳しい事業環境ではあるが、販売単価への反映、製品ミックスの更なる改善及びコスト削減に取り組み増収増益を目指す。配当は普通配当25.00円/株を予定。予想配当性向は15.5%。自社株式の取得は、215,000株を上限とし、今期中に実施予定。株式数は分割前。2022年7月1日付で1:3の株式分割を予定している。

     

  • 現在進行中の第2次中期経営計画の第2次中期経営計画では、最終年度(2024年3月期)に、営業利益61億円、ROE10.0%以上の維持を目標としていたが、計画値を1年目の22年3月期に前倒しで達成した。3つの基本方針、「主力事業の深堀りによるオーガニック成長の推進」「成長事業の育成と新たな収益機会の獲得」「持続的成長を可能とするための経営基盤整備」についても、オリジナル製品の投入、体制や機能強化に取り組み、着実に進捗している。

     

  • 中計経営計画では「23/3期 売上高400億円、営業利益58億円、営業利益率14.5%」を目標としているが、今期の売上高は計画を下回るものの、営業利益、営業利益率は今期・最終年度とも計画を上回る見込みである。依然として原材料高騰という不安定要因はあるものの、「工事案件の設計段階から製品PRや技術提案を行うことで価格競争になりにくい独自のビジネスモデル」を武器に収益性を継続して向上させていくことができるかを注目したい。

     

1.会社概要

「安心のカタチを造る。」を掲げ、コンクリート製品を始めとした社会資本・生活インフラの整備に欠かせない各種製品の供給や据付工事などを行なう。製品の優位性・技術提案力・豊富な知的財産を強みに、業界内で有数の高い収益性を実現している。グループによる幅広い対応力も強み。

 

【1-1 沿革】

2014年、日本ゼニスパイプ株式会社、株式会社ハネックス(羽田ヒューム管株式会社が商号変更)、株式会社羽田コンクリート工業の3社が合併し、ゼニス羽田株式会社が発足し、その後「ゼニス羽田ホールディングス株式会社に商号変更。
2018年10月1日、ゼニス羽田ホールディングス株式会社と株式会社ホクコン(福井県)が共同株式移転により株式会社ベルテクスコーポレーションを設立(ゼニス羽田ホールディングス株式会社と株式会社ホクコンは完全子会社)。
両社が新たな事業グループを創設した。
2019年4月、ゼニス羽田株式会社が存続会社として、ゼニス羽田ホールディングス株式会社(消滅会社)を吸収合併。
2021年4月1日、株式会社ベルテクスコーポレーション傘下の中核事業会社であるゼニス羽田株式会社と株式会社ホクコンが、株式会社ホクコンを消滅会社、ゼニス羽田株式会社を存続会社として吸収合併を行い「ベルテクス株式会社」が誕生。

 

事業シナジー創出、経営効率化等を進め、成熟市場であるコンクリート及びパイル、並びに成長市場である防災領域でのシェア拡大、収益性向上による売上・利益の成長を目指している。

 

【1-2 存在意義】

ステートメントとして「安心のカタチを造る。」を掲げている。

自然災害の絶えないこの国で、どこに住んでいても安心して暮らせるように。

遠く離れた家族や友人の無事を信じられるように。

子どもたちが心豊かに成長できるように。

 

私たちは、追求し続けなければならない。

 

困難なニーズに応え続ける、オンリーワンの技術を。

誰も思いつかなかった、ユニークな発想を。

あらゆる事態に対応する、全国規模のネットワークを。

 

いかなる災害にも打ち勝つために。

まだここにない安心を生み出すために。

 

造るのは、モノだけじゃない。

知恵を絞って、安心の新しいカタチを造ろう。

これからも、すべての人が笑顔で暮らせるように。

 

社会資本・生活インフラの整備に欠かせない各種製品の供給を通じて安心・安全な日常の実現に貢献することを自社の社会的な存在意義であると認識している。

 

【1-3 市場環境】

同社を取り巻く事業環境を見ていくうえでは、下記のような点を踏まえておく必要がある。

 

(1)加速する国土強靭化計画
兵庫県南部地震、東北地方太平洋沖地震等の大地震や毎年のように各地で被害をもたらす大型台風等の対策として2014年6月に閣議決定された「国土強靱化基本計画」は、4年経った2018年12月に見直しが行われ、2021年6月17日には「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」が発表された。
これにより国土強靱化は加速化・深化する段階に入った。

 

年次計画2021では、「国土強靱化の取組をパワーアップさせるとともに、ハード・ソフトを組み合わせた対策を総動員できる態勢を整えていく。その上で、令和4年度以降も、基本計画に基づき、必要な予算を確保し、オールジャパンで防災・減災、国土強靱化を進め、国家百年の大計として、災害に強いふるさとを創り上げていく」(いずれもP2 (1)年次計画策定の趣旨より)と述べている。

 

また、令和3年度から7年度までの「5か年加速化対策」の実施にあたっては、2050年までのカーボンニュートラルの実現に資することも目指しており、具体的な施策として、「気候変動、大規模地震等への対応」「インフラ老朽化対策」「デジタル技術等最新の科学技術の活用、イノベーションの導入」などを挙げている。

 

このように、国土強靭化計画は、気候変動、カーボンニュートラルというキーワードにも結びついた、最も重要な政策の一つとして今後も加速していくものと思われる。

 

(2)老朽化が進む社会資本
国土交通省によれば、我が国の社会資本ストックは高度経済成長期に集中的に整備され、今後急速に老朽化することが懸念されている。道路橋、トンネル、河川、下水道、港湾等は今後20年間で、建設後50年以上経過する施設の割合は加速度的に高くなる見込みである。

 

(建設後50年以上経過する主な社会資本の割合)

 

2018年3月

2023年3月

2033年3月

道路橋(約73万橋)

約25%

約39%

約63%

トンネル(約1万1千本)

約20%

約27%

約42%

河川管理施設(水門等約1万施設)

約32%

約42%

約62%

下水道管きょ(総延長:約47万km)

約4%

約8%

約21%

港湾岸壁(約5千施設)

約17%

約32%

約58%

*国土交通省「インフラメンテナンス情報」より。

 

また、約52万基の防火水槽は2035年に58%が、約5万kmに及ぶ農業用の用排水路は2027年に約40%が建設後50年を経過する。

 

このように一斉に老朽化するインフラを戦略的に維持管理・更新することが求められており、国土強靭化計画では、下水道について浸水被害の防止・軽減のための雨水排水施設など下水道による都市浸水対策を2040年度までに100%実施、砂防について2045年度までに土砂災害対策を100%実施する計画である。

 

(3)建設事業従事者の高齢化・人手不足:プレキャスト工法の拡大
建設業就業者の減少が続いている。また、国土交通省資料によれば建設業就業者は、55歳以上が約3分の1なのに対し、29歳以下が約1割と高齢化が進行し、2025年時点で技能労働者数は最低でも約50万人不足するとの試算もあり、少子高齢化による人手不足は、建設業界において大きな課題となっている。

 

この課題解決に向け、様々な取り組みがなされており、工場であらかじめ製造した側溝、管、マンホール、くい、橋げたや建物の一部などのコンクリート製品である「プレキャストコンクリート」を工事現場に運搬し、建設現場での据付けと組立てを行う工法である「プレキャスト工法」もその一つである。

 

これに対し、現在の主流工法が、建設現場で木製や鉄製の型枠を組み、型枠の中にコンクリートを打設し固めることで、現場でコンクリート製品を完成させる「現場打ち工法」。
直接工事費のみの比較から現場打ち工が経済性で優位とされているが、設計費、施工期間、通行規制とそれに関連する経済損失に加え、品質の優位性といった点で優れている「プレキャスト工」の施工比率は今後確実に上昇すると見られる。

 

【1-4 事業内容】

報告セグメントは「コンクリート事業」「パイル事業」「防災事業」「その他事業」の4つ。


 

各事業、以下のグループ会社が事業を担っている。

セグメント

グループ会社

コンクリート事業

ベルテクス株式会社(東京都)

ベルテクス建設株式会社(大阪府)

株式会社ホクコンプロダクト(福井県)

北関コンクリート工業株式会社(群馬県)

ユニバーサルビジネス企画株式会社(福井県)

東北羽田コンクリート株式会社(山形県)

九州ベルテクス株式会社(福岡県)

パイル事業

ホクコンマテリアル株式会社(福井県)

防災事業

ベルテクス株式会社(東京都)

ベルテクス建設株式会社(大阪府)

その他事業

株式会社ウイセラ(岐阜県)

株式会社M・T技研(大阪府)

アイビーソリューション株式会社(福井県)

株式会社ハネックス・ロード(東京都)

株式会社エヌエクス(東京都、持分法適用関連会社)

 

(1)コンクリート事業
「浸水対策事業/下水道事業」「道路事業」「メンテナンス事業」「鉄道事業」「住宅・開発事業」の各事業において、コンクリート二次製品の製造・販売、その関連商品の販売、製品の据付工事を行っている。

 

事業名

概要・主要製品

浸水対策事業/下水道事業

水災害対策や下水道施設の耐震化など「防災・減災」に対し、ニーズを反映した豊富なラインナップとオンリーワンの技術により最善の提案を行っている。

 

(主要製品)

◎プレキャスト遊水池(地下貯留槽)

河川への雨水流出を抑制する施設である。地下式プレキャスト遊水池は雨水流出抑制施設を地下に設け、地上を公園、運動場、駐車場等多目的に利用できる。

 

 

◎ボックスカルバート

主に地中に埋設され、水路や通信線などの収容に使われる箱型のコンクリート構造物。用途は多岐に渡り、地下道・貯留槽など様々なインフラ事業で活用されている。

 

 

◎組立式円形マンホール

「組立マンホールのパイオニア」として、マンホール設置工事のさまざまなニーズに応えるため、小型(内径300mm)から特大型(内径2200mm)まで幅広いラインナップを有する。

道路事業

道路インフラの整備に加え、人命を守るための製品を数多く保有しており、「安全・安心」な道路づくりに貢献している。

 

(主要製品)

◎プレキャスト・ガードフェンス(PGF)

乗員の安全性を確保しつつ、車両の突破を防ぐプレキャストコンクリート製の剛性防護柵。道路の路側、分離帯、壁高欄などで使用される。

 

◎スパンザアーチ

トンネルや道路の立体交差(アンダーパス)を造る際に、分割された部材を現地でアーチ状に組み上げる超大スパン対応型のカルバート。地震や軟弱地盤、偏荷重に対して高い性能を有している。

 

メンテナンス事業

インフラ老朽化対策として、ライフサイクルコストを考慮した最適な製品・工法を提案している。豊かな国民生活、社会経済を支える基盤であるインフラの長寿命化の実現に貢献している。

 

(主要製品)

◎ダクタルパネル

塩害、凍害及び摩耗等の発生する劣悪な環境下において高い耐久性を付与できる超高強度繊維補強コンクリートを用いた高耐久性薄肉埋設パネル。構造物の長寿命化、維持管理費を削減することができる。

 

 

◎防火水槽メンテナンス

老朽化した防火水槽の地震による漏水や道路陥没事故による二次災害の対策ができる補修・補強工法。

 

鉄道事業

超高強度繊維補強コンクリートや特殊モルタルなど、材料まで突き詰めた製品もラインナップし、「安全・安心」を提供している。

 

(主要製品)

◎ホームドアスラブ

駅ホームからの転落防止設備の設置が広まっているが、既存のホーム用床版では可動式ホーム柵(ホームドア)の荷重に耐えられないなど設置が困難なケースがある。同製品は軽量化を実現するとともに、設置も容易である。

 

住宅・開発事業

地震や災害に強い街づくりのために、大地震対応の製品を数多くラインナップしている。No.1ブランドの耐震性貯水槽や独自の災害用トイレを有している。

 

(主要製品)

◎HC式防火水槽・HC式耐震性貯水槽

プレキャスト防火水槽、耐震性貯水槽。阪神大震災にも耐えた実績が、信頼性の高さと安全性を証明している。豊富な施工実績を有する。

 

 

(2)パイル事業
遠心力プレストレスコンクリートパイルの製造・販売、杭打工事を行っている。

 

(3)防災事業
高エネルギー吸収型落石防護柵や崩壊土砂、雪崩、土石流防止対策等の防災製品の製造・販売、その関連商品の販売、設置工事を行っている。

 

◎ループフェンス(高エネルギー吸収型落石防護柵)

大きなエネルギー吸収能力を持ちながら落石捕捉時の変異が小さい変位制御型落石防護柵

 

◎MJネット(超高エネルギー吸収型落石防護柵)

特殊ワイヤリングと支柱の組み合わせにより落石エネルギー3000kJまで対応できる世界最大級の落石防護柵

 

(同社資料より)

 

(4)その他事業
ニューセラミックス製品の製造・販売、機器レンタル及び資材販売、RFID(非接触ICタグ)の販売、コンクリートの調査・試験、システム開発・販売、不動産の賃貸等を行っている。

 

【1-5 特徴と強み】

(1)製品の優位性&技術提案力
工事案件の設計段階から製品PRや技術提案を行うことで価格競争になりにくい独自のビジネスモデルを構築している。

 

(同社ウェブサイトより)

 

この強みを支えているのが、「情報収集力」「開発実験」「人材力」の3つである。

 

①情報収集力
製品の販売だけではなく、設計を受け持つ設計コンサルタントや、最終顧客である官公庁に対し、常時情報収集を実施することで、川上で求められているニーズを的確に把握している。また、製品PRや技術提案も積極的に実施している。

 

②開発実験
収集した情報やニーズをもとに、新たな自社製品の開発及び実験を行ない、他社に先駆けた新製品の開発や活用法を考案している。また、大学と連携等を行うことで、効率的な開発及び実験を可能としている。
同社の源流であるゼニス羽田株式会社、株式会社ホクコンとも技術重視の社風であった点も技術に強みを持つ同社の競争優位性に繋がっているようだ。

 

③人材力
市場のニーズを的確に捉える優れた提案力のある営業スタッフや、ニーズや情報を活かした新製品開発・提案を可能とする技術スタッフ等、探求心溢れる優れた人材が「情報収集」「開発実験」を担っている。

 

(2)高い収益性とその源泉となる豊富な知的財産
技術力の高さを活かした上記のビジネスモデルにより、高い収益性を実現している。

(同社資料より。水色のバブルが同社コンクリート事業の同業。グレーのバブルがパイル事業の同業)

 

また、積極的な研究開発投資から生み出される知的財産が高収益の源泉にもなっている。

 

(同社資料より)

 

(3)業界をリードする数多くの高シェア製品
他社に先駆けて研究・技術開発を行ない、新製品を市場に投入し、新市場を創出。投入後は顧客の声を適宜聞きながら改善や改良を加える。他社の類似品が参入することで市場が活性化する中、先行メーカーとしてコスト・クオリティの両面で優位性を発揮し、No.1ブランドとしての地位を確立している。
こうした製品開発プロセスにより、以下のようなNo.1製品を有している。

 

浸水対策事業

下水道事業

 

住宅・開発事業

 

 

 

(4)グループによる幅広い対応力
ベルテクス株式会社を中心とした各グループ企業は様々な業務を担っており、川上から川下まで幅広い需要を取り込むことができる。今後はグループシナジーの更なる発揮・強化に取り組んでいく。

【1-6 配当政策・株主還元】

安定的な普通配当に加え、適宜、特別配当・記念配当を検討するほか、自己株式の取得により、総還元性向30%を目処として、株主還元を実施する方針。
自己株式の取得は、17万5,000株(発行済株式総数の約1.7%)を、22年3月期中に実施済みである。

 

【1-7 ROE分析】

 

20/3期

21/3期

22/3期

ROE(%)

10.4

15.3

15.4

 売上高当期純利益率(%)

5.99

9.95

11.31

 総資産回転率(回)

0.91

0.86

0.80

 レバレッジ(倍)

1.91

1.80

1.70

 

2022年3月期のROEは総資産回転率、レバレッジは低下したが、マージン上昇で前期比0.1ポイント向上した。
中期経営計画では2024年3月期、10%以上のROE維持を目標としている。

 

2.2022年3月期決算概要

【2-1連結業績概要】

 

21/3期

構成比

22/3期

構成比

前年同期比

予想比

売上高

37,763

100.0%

37,514

100.0%

-0.7%

-3.8%

売上総利益

11,248

29.8%

11,907

31.7%

+5.9%

-

販管費

5,958

15.8%

5,763

15.4%

-3.3%

-

営業利益

5,290

14.0%

6,143

16.4%

+16.1%

+11.7%

経常利益

5,635

14.9%

6,434

17.2%

+14.2%

+12.9%

当期純利益

3,759

10.0%

4,242

11.3%

+12.9%

+11.6%

*単位:百万円

 

増収増益。利益は予想を上回る。
売上高は前期比0.7%減の375億14百万円。防災事業のみ増収。コンクリート事業は仕入れ商品の取り扱い見直し、パイル事業はコロナ禍の長期化による工事の遅延が発生した。
営業利益は同16.1%増の61億43百万円。コンクリート事業において低採算製品の取扱い見直しなどにより販売単価が上昇したほか、プロダクトミックスが改善。売上総利益は同5.9%増加し、粗利率も1.9ポイント改善した一方、販管費は同3.3%減少した。
売上高は予想未達も、各利益とも予想を上回った。

 

 

 

【2-2 セグメント動向】

(1)収益

 

21/3期

構成比

22/3期

構成比

前期比

予想比

コンクリート事業

28,539

75.6%

28,414

75.7%

-0.4%

-2.7%

パイル事業

2,892

7.7%

2,343

6.2%

-19.0%

-29.0%

防災事業

4,170

11.0%

4,565

12.2%

+9.5%

+6.2%

その他事業

2,161

5.7%

2,190

5.8%

+1.4%

-0.4%

売上高合計

37,763

100.0%

37,514

100.0%

-0.7%

-3.8%

コンクリート事業

4,885

17.1%

5,549

19.5%

+13.6%

+11.0%

パイル事業

73

2.6%

85

3.6%

+15.3%

-34.4%

防災事業

1,173

28.2%

1,194

26.2%

+1.7%

-2.9%

その他事業

458

21.2%

459

21.0%

+0.2%

+4.4%

調整額

-1,300

-

-1,144

-

-

-

営業利益合計

5,290

14.0%

6,143

16.4%

+16.1%

+11.7%

*単位:百万円。営業利益の構成比は売上高営業利益率。

 

◎コンクリート事業
減収増益。

 

戦略的な高付加価値製品へのシフトに伴う製品ミックスの改善と汎用品、仕入れ商品を中心とした取扱い及び販売単価の見直しを進めた。

 

◎パイル事業
減収増益。

 

コロナ禍による民間企業を中心とした設備投資の回復遅れなどにより、売上高は前期実績、予想を下回った。
一方、販売単価を意識した選別受注により、増益となった。

 

◎防災事業
増収増益。

 

防災・減災、国土強靱化対策の推進に伴い、堅調だった。売上高前期実績、予想を共に上回った。

 

◎その他
増収増益。

 

半導体装置用部品の需要増に伴い、セラミックス事業が好調に推移したことや賃貸事
業も安定的な収益を計上したことなどにより。

 

(2)投資
以下のような投資を行った。

セグメント

概要

金額

コンクリート事業

型枠、機械装置、プラント等

1,078

パイル事業

設備補修等

32

防災事業

製造設備等

61

その他事業

ホテル建設、金型等

505

全社共通

本社設備等

108

合計

 

1,783

単位:百万円。

【2-3 財務状態とキャッシュ・フロー】

◎主要BS

 

21年3月末

22年3月末

増減

 

21年3月末

22年3月末

増減

流動資産

30,376

31,143

+766

流動負債

14,190

13,171

-1,019

 現預金

11,761

12,905

+1,144

 仕入債務

6,519

6,476

-43

 売上債権

13,593

12,689

-903

 短期有利子負債

3,687

3,205

-482

固定資産

15,888

16,276

+387

固定負債

5,826

5,052

-774

 有形固定資産

11,881

12,396

+515

 長期有利子負債

1,618

836

-781

 無形固定資産

280

360

+80

 退職給付に係る負債

2,068

2,086

+17

 投資その他の資産

3,726

3,520

-206

負債合計

20,016

18,223

-1,793

資産合計

46,265

47,419

+1,154

純資産

26,248

29,196

+2,948

 

 

 

 

 利益剰余金

21,708

25,161

+3,452

 

 

 

 

負債純資産合計

46,265

47,419

+1,154

*単位:百万円。売上債権には電子記録債権を、仕入債務には電子記録債務を含む。

 

現預金、有形固定資産の増加などで資産合計は前期末比11億円増加し474億円。有利子負債の減少などで負債合計は同17億円減少し182億円。利益剰余金の増加などで純資産は同29億円増加の291億円。
自己資本比率は前期末より4.7ポイント上昇し61.3%となった。D/Eレシオは前期末から0.06低下し0.14倍。

 

◎キャッシュ・フロー

 

21/3期

22/3期

増減

営業CF

4,223

4,995

+772

投資CF

-397

-1,141

-743

フリーCF

3,825

3,854

+28

財務CF

-638

-2,617

-1,979

現金同等物残高

10,893

12,130

+1,236

*単位:百万円。

 

税金等調整前当期純利益の増加などで営業CF、フリーCFのプラス幅は拡大。
長短借入れによる収入の減少、自己株式の取得による支出の増加などで財務CFのマイナス幅は拡大。
キャッシュポジションは上昇した。

 

【2-4 トピックス】

(1)ベトナムに孫会社設立
22年5月、ベルテクス株式会社がベトナム社会主義共和国に子会社(ベルテクスコーポレーションの孫会社)を設立すると発表した。
更なる成長を目的に、設計・開発業務の強化、新市場開拓を推進することを目的としている。
設立は22年10月1日を予定している。

 

(2)株式分割を実施
投資単位当たりの金額を引き下げることにより、株式の流動性の向上及び投資家層の拡大を図るため、22年7月1日付で
1:3の株式分割を実施することとした。

 

(3)自己株式の取得を実施
株主還元の充実と、資本効率の向上及び経営環境の変化に応じた機動的な資本政策を実行するため、自己株式の取得を実施することとした。
(概要)
取得する株式の総数:215千株(上限)、自己株式を除く発行済株式総数の2.39%。
取得価額の総額:7億円(上限)
取得期間:22年5月31日~22年11月30日(予定)
取得方法:東京証券取引所における市場買い付け
なお215千株は、前述の株式分割実施前の株数。

 

(4)従業員向け株式給付信託を導入
22年5月、同社及び同社グループ従業員を対象としたインセンティブ・プランとして「従業員向け株式給付信託」を導入すると発表し、5月30日に受託者である株式会社りそな銀行と信託契約を締結した。

 

中期的な業績の向上および企業価値の増大に向けた従業員の貢献意欲や士気を高めることを目的としている。
設定に当たり、同社株式13.4万株(約4億円)を5月30日に取得した。

 

3.2023年3月期業績予想

【3-1 業績予想】

 

22/3期

構成比

23/3期(予)

構成比

前期比

売上高

37,514

100.0%

39,000

100.0%

+4.0%

営業利益

6,143

16.4%

6,200

15.9%

+0.9%

経常利益

6,434

17.2%

6,500

16.7%

+1.0%

当期純利益

4,242

11.3%

4,350

11.2%

+2.5%

*単位:百万円。

 

増収・増益を予想。
売上は前期比4.0%増の390億円、営業利益は同0.9%増の62億円の予想。
資材価格高騰や物流コストの上昇など厳しい事業環境ではあるが、販売単価への反映、製品ミックスの更なる改善及びコスト削減に取り組み増収増益を目指す。
配当は普通配当25.00円/株を予定。予想配当性向は15.5%。
自社株式の取得は、215,000株を上限とし、今期中に実施予定。株式数は分割前。
※2022年7月1日付で1:3の株式分割を予定している。

 

【3-2 セグメント動向】

 

22/3期

構成比

23/3期(予)

構成比

前期比

コンクリート事業

28,414

75.7%

28,910

74.1%

+1.7%

パイル事業

2,343

6.2%

2,910

7.5%

+24.2%

防災事業

4,565

12.2%

4,780

12.3%

+4.7%

その他事業

2,190

5.8%

2,400

6.2%

+9.5%

売上高合計

37,514

100.0%

39,000

100.0%

+4.0%

コンクリート事業

5,549

19.5%

5,550

19.2%

+0.0%

パイル事業

85

3.6%

130

4.5%

+52.9%

防災事業

1,194

26.2%

1,240

25.9%

+3.8%

その他事業

459

21.0%

480

20.0%

+4.6%

調整額

-1,144

-

-1,200

-

-

営業利益合計

6,143

16.4%

6,200

15.9%

+0.9%

*単位:百万円。営業利益の構成比は売上高営業利益率。

 

全セグメント、増収増益の予想。

4.第2次中期経営計画の進捗

第2次中期経営計画(詳細は、後述の参考1を参照)の各事業の進捗などは以下の通りである。

 

(1)経営指標について

最終年度(2024年3月期)に、営業利益61億円、ROE10.0%以上の維持を目標としていたが、計画値を1年目の22年3月期に前倒しで達成した。

 

 

22/3期(実績)

22/3期(計画)

23/3期(計画)

24/3期(計画)

売上高

375.1

390.0

400.0

410.0

営業利益

61.4

55.0

58.0

61.0

営業利益率

16.4%

14.1%

14.5%

14.9%

経常利益

64.3

57.0

60.0

63.0

当期純利益

42.4

38.0

40.0

42.0

ROE

15.4%

 

 

10.0%以上

*単位:億円

 

(2)基本方針の進捗

以下の基本方針を掲げている。

(1)主力事業の深堀りによるオーガニック成長の推進

主力事業のオーガニック成長により営業キャッシュ・フローの創出力を高めることで、将来キャッシュ・フローの最大化を目指します。

(2)成長事業の育成と新たな収益機会の獲得

更なる成長に向けて、成長事業の育成と新たな収益機会(新エリア・新カテゴリー展開、新製品、新事業)の獲得に向けた取り組みを強化します。

(3)持続的成長を可能とするための経営基盤整備

前中計から継続して、グループガバナンスの強化、リスク管理体制の構築など経営基盤整備を進めると同時に、ESGの取組みを進め、持続的な企業価値向上を目指します。

 

それぞれの基本方針の進捗状況は以下のとおりである。

 

①主力事業の深堀りによるオーガニック成長の推進
◎製品ミックスの改善と製品販売単価アップの推進
汎用品の取扱い見直しとオリジナル製品の営業強化など製品ミックスの改善を進めることにより、付加価値製品比率が2021年3月期から 5%向上した。
また、同時に、全製品の販売価格アップを積極的に進めたことにより、平均販売単価は、2020年3月期比 125% となった。
資材高騰による原価高など厳しい環境にあるが、引き続き販売単価アップと付加価値製品へのシフトを進めていく。

 

◎オリジナル製品の事例
*北陸新幹線・敦賀駅高架橋他工事(福井県)において、調整池と消雪用貯水槽の設置において、従来の現場打ちではなくプレキャスト化を進めた結果、現場製造では8か月かかるところ、約4か月の工期短縮を実現した。

 

*勝どき駅(東京)に直結する歩行者専用の地下通路設置工事において、工事中は周辺住民への影響を考慮し非開削で地下道を構築した。築造後には利便性が向上した。
推進工法の採用では国内最大のボックスカルバートを使用した。

 

*岡山自動車道4車線化工事(岡山県)における高速道路のトンネル坑口における落石対策工事では、落石防護柵 「ライトバリア」を使用した。
「ライトバリア」は、対応可能エネルギーは低いものの、メートル当たりの施工単価は安い従来型防護柵市場へ対応した製品。
同社ではこのほか、中位レベルには「LOOPフェンス」、高位レベルには「MJネット」と市場別にオリジナル製品をラインアップしており、落石対策市場全般をカバーすることができる。

 

*横浜市中山小学校における浸水対策のための地下式雨水貯留施設設置工事の際、施設内に『壁画アート』を作成するイベントを実施した。
工事期間は校庭が半分しか使えない児童のために、楽しめるイベントを横浜市と建設業者と共に構想し、製品の壁面に児童たちに思い思いの絵を書いてもらい、雨水地下貯留が身近な存在であることを感じてもらうこととした。

 

②成長事業の育成と新たな収益機会の獲得
◎事例紹介
*平塚市日向岡1号遊水池(神奈川県)工事において、流量制御装置「ボルテックスバルブ」を使用した。
同製品は、渦流により雨水排出量を効果的にコントロールするもの。同社のボルテックスバルブにより、既設調整池の機能向上を図り、周辺地域と放流先の河川で頻発していた浸水被害の解消に貢献するものである。

 

*金沢駅前歩道整備工事(石川県)における融雪対策として、「無散水融雪平板」を使用した。
骨材に珪石を使用することにより、熱伝導の高効率化を実現したもので、降雪時の安全で快適な歩行空間の確保に貢献する。

 

*地中熱を利用した新たな冷暖房システムを商品化した。
同社が開発した、「ライニング地中熱交換器」は、「蓄熱量を確保しつつ、施工時の掘削コストを半減」することができる。さらに同じく同社が開発した、熱の利用効率を向上させる「熱収支制御ユニット」と組み合わせることで、空冷式と比べて電気代を約50%削減し、施工コストは従来工法から約30%削減することができ、省エネ・低コストのシステム化を実現した。

 

③持続的成長を可能とするための経営基盤整備
以下のような経営基盤の整備・強化を進めた。

 

*人材開発プログラム・採用プログラムの再整備
ベルテクスグループの教育・研修機関の中心的な位置づけとなるベルテクスアカデミーを設立した。
2022年7月に第1回を開催予定。対象はベルテクス株式会社全社員で、自主参加で開催する。
ベルテクス株式会社に人材開発グループを設置した。

 

更なる人材の強化と次世代の人材育成を目指して22年4月から教育プログラムの再整備に着手した。
グループ全役職員(約1,100人)を対象として、コンプライアンス、ハラスメントなどの知識・意識の定着を図る「全社員研修」のほか、新入社員、若手社員、中堅社員、新任管理職、新任上位管理者を対象に階層別の役割要件と求められる能力・資質の開発、意識の醸成を図る「階層別研修」、グループ全社からの公募に基づき、ゼネラリストに求められる能力の開発、意識の醸醸成を図る「アカデミック研修」、部門毎に対象者を選定し、専門的な知識習得と能力の開発を図る「部門別研修」を実施。
全階層における人的資本強化に取り組む。

 

*情報システム・ICTインフラの整備、DXの推進
ベルテクスでは、新基幹システムを準備中で、22年8月からの稼働を予定している。
人事・就業システムは22年2月から稼働している。
ベルテクス建設では21年4月より新基幹システムが稼働している。

 

*グループガバナンス体制・リスク管理体制の構築
グループ全社員を対象としたコンプライアンス研修を21年度に実施した。22年度も準備中である。
内部監査を1名増強した。3年かけて約150拠点の内部監査を計画通り実施中である。

 

*事業ポートフォリオマネジメント機能の整備・強化
小規模事業の戦略・施策について精査を実施した。事業ポートフォリオマネジメント機能の整備を継続して行っている。

 

*サステナビリティ推進体制の整備
21年10月、サステナビリティ協議会を設置した。

 

(3)財務・投資戦略

①設備投資
生産能力、品質向上、生産性向上を目的に、ベルテクス株式会社千葉工場に最先端技術を装備したバッチャプラントを整備した。
CO2排出量を70%削減する 長寿命コンクリート「LLクリート」の製造も汎用的に可能となり、今後、ESGへの取り組みも積極的に進めていく。

 

②スタートアップ投資
現中期経営計画に掲げる財務・投資戦略に則り、2021年11月に、株式会社otta(福岡県)への新規投資を実施した。
株式会社ottaは、IoTを活用した、スマート見守りプラットフォーム「あんしん見守りサービス」を開発・運営するスタートアップ。
ベルテクスコーポレーションは、安心・安全な街づくりに取り組むotta社事業の成長を支援するとともに、中長期的なシナジー創出や新規事業創造を検討していく。

 

5.今後の注目点

売上高は減収で期初予想を下回ったが、営業利益、売上高営業利益率は過去最高を記録し、最終年度(2024年3月期)の営業利益61億円、ROE10.0%以上の維持の目標を前倒しで達成した。
中計経営計画では「23/3期 売上高400億円、営業利益58億円、営業利益率14.5%」を目標としているが、売上高は計画を下回るものの、営業利益、営業利益率は今期も最終年度を含めて計画を上回る見込みである。
依然として原材料高騰という不安定要因はあるものの、「工事案件の設計段階から製品PRや技術提案を行うことで価格競争になりにくい独自のビジネスモデル」を武器に収益性を継続して向上させていくことができるかを注目したい。

 

 

<参考1:第2次中期経営計画>

2022年3月期から2024年3月期までの3か年を対象とする第2次中期経営計画を策定・公表した。

 

【前中期経営計画の振り返り】

(1)前中期経営計画の位置付けと数値目標の達成状況
前中期経営計画(20年3月期-21年3月期)では、「既存事業の更なる深耕」「統合シナジーの早期具現化」「経営基盤整備」を重点施策として掲げ、最終2022年3月期「売上高389億円、営業利益39億円、営業利益率10%、ROE10%」を目標としていたが、「売上高389億円」に関しては2020年3月期に、「営業利益39億円、営業利益率10%、ROE10%」については2021年3月期に1年前倒しで達成することができた。

 

(2)経営統合後2年半の取組みと今後の課題
ガバナンス、グループ再編・M&A、経営統合シナジーの具現化等において着実に成果が出ていると認識している。
経営基盤整備については今後も継続的に取り組んでいく考えだ。

 

課題

経営統合時

現在

ガバナンス強化

監査役会設置会社

役員総数15

社外役員4(比率26.7%)

監査等委員会設置会社

役員総数8

社外役員3(比率37.5%)

グループ再編&M&A

連結子会社14社

持分法適用関連会社3社

連結子会社12社

持分法適用関連会社1社

20年4月:ディーシー(現 九州ベルテクス) 連結子会社化

事業拠点の統廃合

営業拠点数47

生産拠点数16

営業拠点数33

生産拠点数15

製品戦略

主力製品の統一ブランド化、販売品目の選別を積極的に実施

研究開発

基礎研究から物件対応に至る様々な過程において、研究開発を推進

経営基盤の整備

*合併新会社の新人事制度を21年4月より運用開始

*人材開発プログラム・採用プログラム:ウィズコロナを前提とした再整備が必要

*新基幹システムを2022年春のリリースに向け構築フェーズを推進中

*M&A、新規領域進出、事業ポートフォリオマネジメント機能は引き続き整備・強化

 

研究開発に関しては、現在、グループで49の継続テーマと、31の新規テーマを推進中である。

 

(例)
*環境(CO2排出量削減、天然資源の温存)、耐久性、低コストを実現する「長寿命コンクリート(LLクリート)」の開発
*次世代型路面電車(LRT)用ハーフプレキャスト軌道スラブ
*落石対策製品

 

(3)セグメント別実績
「コンクリート事業」「防災事業」は計画を超えたが、パイル事業は計画未達で戦略の見直しを行った。

 

(同社資料より)

 

【第2次中期経営計画】

(1)事業環境についての認識
「1.会社概要 【1-3 市場環境】」で触れたように、国土強靭化計画の加速化、社会資本の老朽化、建設業界における少子高齢化による人手不足などの外部環境に加え、内部環境(自社要因)として、

 

*高い技術力・設計力・開発力・営業力と幅広い顧客基盤
*自社開発によるシェアNo1製品、差別化製品を多数保有
*健全な財務、潤沢な資金
などの強みを有する一方、

 

*社員平均年齢の上昇、採用難
*コンクリート事業に続くコア事業の育成
*資本効率を重視した事業ポートフォリオマネジメント機能の整備
といった点が課題であると認識しており、生産・販売体制を中心に、合併後のさらなる効率化に余地があると考えている。

 

こうした環境下、同社の対象市場は中長期的に拡大するものと期待している。中でも、中長期の視点では、「人手不足を背景としたプレキャスト化比率の上昇」「老朽化が進む社会資本の維持更新需要」が市場拡大のドライバーと見ている。
「プレキャスト化比率の上昇」については、コンクリート製品の需要増が期待される。
「社会資本の維持更新需要増」に関しては、グループ内で川上「インフラの点検・強化」から川下「補修・補強、更新」まで幅広く提案、材料・製品提供、工事実施が可能な優位性を活かして幅広く需要を取り込む考えだ。

 

(同社資料より)

 

(2)第2次中期経営計画の基本方針と位置付け
以下の基本方針を掲げている。

主力事業の深堀りによるオーガニック成長の推進

主力事業のオーガニック成長により営業キャッシュ・フローの創出力を高めることで、将来キャッシュ・フローの最大化を目指します。

成長事業の育成と新たな収益機会の獲得

更なる成長に向けて、成長事業の育成と新たな収益機会(新エリア・新カテゴリー展開、新製品、新事業)の獲得に向けた取り組みを強化します。

持続的成長を可能とするための経営基盤整備

前中計から継続して、グループガバナンスの強化、リスク管理体制の構築など経営基盤整備を進めると同時に、ESGの取組みを進め、持続的な企業価値向上を目指します。

 

今回の中期経営計画を、「持続的成長を確実にするため事業、経営基盤の両面の強化に取り組む期間」と位置付け、2028年10月の設立10周年および『「安心・安全」を提供する企業ブランド力No.1へ』という、BHAG(Big Hairy Audacious Goals:社運を賭けた大胆な目標)実現に向けて邁進していく考えである。

 

(3)各セグメントにおける施策・目標
①コンクリート事業

事業環境見通し

*新型コロナウイルスの影響により、民間投資は先行き不透明感が残るものの、公共投資は堅調に推移する

*甚大化する自然災害への対策として、遊水池(雨水貯留槽)や雨水排水施設の整備、耐震化やインフラの老朽化対策などに対し、今年度から5年間で総事業費15兆円程度の「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」が始まる

主な施策・取組方針

1. 強みとなる技術開発力を活かした高付加価値製品群の提案

2. 顧客満足度を高める汎用品出荷対応センターの充実

3. 既設インフラの維持更新事業への深耕、浸水・減災製品、交通インフラ関連製品群の販売促進

4. 工場集約化による生産および出荷効率の向上

 

②パイル事業

事業環境見通し

*新型コロナウイルスの影響により、民間建設投資は低迷

*今期の回復は緩やかと見られ、前期並みに回復するのは23/3期頃と想定する一方で、ドラッグストア等の郊外型店舗や物流施設・倉庫等の需要は見込まれる

*防災・減災の観点から、建物基礎への安全性要求は高まる傾向

主な施策・取組方針

1. 高採算製品群(高支持杭・SC杭)の販売促進と、低採算製品群の選別受注の推進

2. Withコロナに対応した営業活動の強化・推進

3. 既存工法の改良・新規工法の開発

 

③防災事業

事業環境見通し

*激甚化・頻発化する自然災害への対策として、流域治水対策(砂防)、山地災害危険地区等における治山対策、道路の法面・盛土の土砂災害防止対策、豪雨による鉄道隣接斜面の崩壊対策などに対し、今年度から5年で総事業費15兆円程度の「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」が始まる

*各交通インフラの自然災害対策への取り組みが強化される

主な施策・取組方針

1. 落石対策、崩壊土砂対策、雪崩対策分野での新製品開発

2. 既存製品の改良及びラインナップの充実

3. 交通インフラ分野への営業強化

 

④その他事業

事業

主な施策

セラミックス事業

新たな業界や成長分野への参入と生産技術の進化

例)電波吸収セラミックス

コンクリートの調査・試験事業

防火水槽点検の事業拡大と調査業務に係る基礎研究ならびに技術の確立

システム開発・販売事業

ネットワークやセキュリティ関連と特殊業務向け開発による事業拡大

RFID事業

保守・予防保全向けに加え、現場帳票のペーパーレス化市場全体をターゲットに拡販

 

(4)グループ共通施策
持続的成長を実現するため、以下の施策を中心に経営基盤の整備・強化に取り組む。

 

*人材開発プログラム・採用プログラムの再整備
*情報システム・ICTインフラの整備、DXの推進
*グループガバナンス体制・リスク管理体制の構築
*事業ポートフォリオマネジメント機能の整備 ・強化
*サステナビリティ推進体制の整備

 

(5)財務・投資戦略
3か年累計の営業キャッシュ・フローを140億円と想定。
「設備更新投資」「高付加価値化・競争力強化のための設備投資」「研究開発投資」「生産性向上のためのDX投資」「スタートアップ投資、M&A」など、主力事業の強化・成長事業の育成・新たな収益機会の獲得に98億円を振り向ける。
総還元性向30%を目途に、42億円の株主還元を行う。

 

(6)研究開発投資と知的財産
ビジネスモデルの進化に向けて、積極的な研究開発投資を行う。

 

事業セグメントを横断したR&Dを強化する。既存事業の強化、将来の収益につながる研究・製品開発・生産技術開発などを産学官民と連携して進める。
また、対顧客において、保有する数多くのノウハウや実績、パテントなどをベースに、新たな営業スタイルを確立していく。

 

研究開発投資のアウトプットとして成長・収益力を支える重要な経営資源である「知的財産」を重視。
「知財創出力」を更に強化し、事業競争力の維持・強化を図る。

 

(7)数値目標(計画発表時の数値)

 

◎全社

 

21/3期

22/3期(予)

23/3期(計画)

24/3期(計画)

CAGR

売上高

377.0

390.0

400.0

410.0

2.8%

営業利益

52.9

55.0

58.0

61.0

4.9%

営業利益率

14.0%

14.1%

14.5%

14.9%

-

経常利益

56.3

57.0

60.0

63.0

3.8%

当期純利益

37.5

38.0

40.0

42.0

3.8%

*単位:億円。CAGRは21/3期から24/3期までの年平均成長率。同社資料をもとにインベストメントブリッジが計算。

 

ROEは10%以上を維持することを目標としている。

 

◎セグメント別
*コンクリート事業

 

21/3期

22/3期(予)

23/3期(計画)

24/3期(計画)

CAGR

売上高

285.0

292.0

296.0

298.0

1.5%

営業利益

48.9

50.0

51.2

52.0

2.1%

営業利益率

17.1%

17.1%

17.3%

17.5%

-

*単位:億円。CAGRは21/3期から24/3期までの年平均成長率。同社資料をもとにインベストメントブリッジが計算。

 

*パイル事業

 

21/3期

22/3期(予)

23/3期(計画)

24/3期(計画)

CAGR

売上高

29.0

33.0

36.0

40.0

11.3%

営業利益

0.7

1.3

1.8

2.4

50.8%

営業利益率

2.5%

4.0%

5.0%

6.0%

-

*単位:億円。CAGRは21/3期から24/3期までの年平均成長率。同社資料をもとにインベストメントブリッジが計算。

 

 

*防災事業

 

21/3期

22/3期(予)

23/3期(計画)

24/3期(計画)

CAGR

売上高

42.0

43.0

45.0

47.0

3.8%

営業利益

11.7

12.3

13.1

14.1

6.4%

営業利益率

28.1%

28.5%

29.0%

30.0%

-

*単位:億円。CAGRは21/3期から24/3期までの年平均成長率。同社資料をもとにインベストメントブリッジが計算。

 

 

*その他事業

 

21/3期

22/3期(予)

23/3期(計画)

24/3期(計画)

CAGR

売上高

22.0

22.0

23.0

25.0

4.4%

営業利益

4.6

4.4

4.9

5.6

6.8%

営業利益率

21.2%

20.0%

21.0%

22.0%

-

*単位:億円。CAGRは21/3期から24/3期までの年平均成長率。同社資料をもとにインベストメントブリッジが計算。

 

 

<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

8名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2021年12月9日

 

<基本的な考え方>
当社は、経営の透明性・健全性を確保しつつ、効率的な意思決定を可能とするコーポレート・ガバナンス体制の構築が重要であるとの認識のもと、当社グループ経営において主体的な役割を果たし、グループの戦略・方針の策定、グループ各社に対する指導・助言を通じ、コーポレート・ガバナンスの充実に努めております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜)>
【対象コード】
 2021年6月の改訂後のコードに基づき記載しております。

 

原則

実施しない理由

【補充原則2-4 ① 中核人材の登用等における多様性確保】

当社は、人材の多様化とそれら人材の育成が中長期的な企業価値向上に繋がるものと考え、女性・中途採用者を積極的に採用しております。

 中途採用者についてはスキル・経験等を総合的に判断し、管理職への登用を行っている一方、女性につきましては、管理職への登用数が現状、十分ではないと認識しており、今後、当社の中核人材として、その比率が高まるよう人材育成及び社内環境の整備に努めてまいります。

 外国人の管理職登用については当社グループの事業ドメインが国内に限られていることから実績がないものの、今後の事業ドメインの拡大及び企業規模の拡大に応じて、スキル・経験等を総合的に判断してまいります。

【補充原則3-1③ サステナビリティについての取組み等】

当社は、事業を通じて社会課題の解決に取り組んでまいりました。近年、企業を取り巻く環境が大きく変化する中、当社グループではサステナビリティが重要な経営課題であると認識し、これまで以上に社会課題の解決と事業の成長を両立したサステナビリティの取組みを強化することを目的に、2021年10月にサステナビリティ協議会を設置いたしました。今後、計画の立案、人的資産及び知的財産への投資等の検討を進めて行くとともに、来年度を目途に取り組み状況をホームページやIR資料等で公開してまいります。

 

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>

原則

開示内容

<原則1-4 政策保有株式>

(1)政策保有株式に関する方針

 当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資する場合のみ保有していく方針です。

(2)政策保有株式にかかる検証の内容

 株式の政策保有の可否判断は、保有の経済合理性(保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか)、保有継続のメリット、今後の取引見通し等の多面的な観点から定期的に取締役会で検証し、保有の妥当性が確認できない株式については、取引先企業の十分な理解を得たうえで売却を進めます。なお、当該検証内容については有価証券報告書にて開示しております。

(3)政策保有株式にかかる議決権行使基準

 当社の企業価値の向上に資することを前提に、投資先企業の持続的成長と中長期的な企業価値に資するものであるかを総合的に判断し、議決権を行使します。

【原則5-1 株主と建設的な対話に関する方針】

当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のために、株主総会以外における株主や投資家との建設的な対話が重要であると認識し、経営企画部をIR担当部署として個別面談への対応、会社情報のホームページへの掲載、東京証券取引所の任意開示を活用した情報公開を行うほか、個別面談においては、株主の希望や面談の内容の重要性等によって取締役の中から適任者が対応するなど、社内体制を整備しております。

 また、半期に1回決算説明会を開催し、代表取締役社長を含めた役員が登壇し、決算報告や事業戦略等について説明しております。

 

 

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