ブリッジレポート
(6193) バーチャレクス・ホールディングス株式会社

グロース

ブリッジレポート:(6193)バーチャレクス・ホールディングス 2023年3月期第2四半期決算

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丸山 栄樹 社長

バーチャレクス・ホールディングス株式会社(6193)

 

 

企業情報

市場

東証グロース市場

業種

サービス業

代表取締役社長

丸山 栄樹

所在地

東京都港区虎ノ門4-3-13 ヒューリック神谷町ビル8階

決算月

3月

HP

https://www.vx-holdings.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,300円

2,989,753株

3,886百万円

43.1%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.00円

-

131.11円

9.9倍

391.96円

3.3倍

*株価は1/26終値。発行済株式数、DPS、EPSは23年3月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

19年3月(実)

6,177

75

70

20

7.06

0.00

20年3月(実)

5,948

-192

-191

-519

-179.59

0.00

21年3月(実)

5,632

164

181

110

38.42

0.00

22年3月(実)

6,223

519

543

364

126.37

0.00

23年3月(予)

6,500

572

572

380

131.11

0.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。

 

バーチャレクス・ホールディングス株式会社の会社概要、成長戦略、業績動向、丸山社長へのインタビューなどをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.成長戦略
3.2023年3月期第2四半期決算概要
4.2023年3月期業績予想
5.丸山社長へのインタビュー
6.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 「コンサルティング」「テクノロジー」「オペレーション」の3つのコアスキルを融合し、クライアント企業のCRM領域をドメインに一気通貫サービスを提供。「Digital & AI」で「SX(Sustainable Transformation)」を実現するという事業ビジョンのもと、クライアント事業のSuccession(=成功の連続)に向けた伴走支援を行っている。

     

  • 「DIGITAL & AI」をテーマに、成長のための3つの戦略「AI関連ビジネスの拡大」「デジタルマーケティングの案件サイズ拡大」「個別事業毎の成長」を展開している。

     

  • 2023年3月期の売上高は前期比4.4%増の65億円、営業利益は同10.0%増の5億72百万円と増収増益を予想。引き続き人材獲得など積極的な投資を実施し、全社費用は約10%増を計画しているが増収効果で吸収する。

     

  • 丸山栄樹社長に、自社の競争優位性、成長戦略、株主・投資家へのメッセージなどを伺った。「全員が幸せになり価値ある結果を生み出していく、そんなビジョンをもって技術力と知見を磨き上げ、持続的な成長を追求してまいりますので、是非、中長期の視点で応援していただきたいと思います」とのことだ。

     

  • 売上・利益とも上期実績は予想を上回ったが、通期予想は下期に偏重した業績見通しであり、今後更なる堅調な積み上げが必要な状況であるため、通期予想は据え置いている。会社側は、通期予想の超過に向け努力するとともに、来期の仕込みのための営業に注力する考えだ。

     

  • 企業は顧客ニーズに対応して、顧客毎に最適なタイミング、チャネル、コンテンツを選択してアプローチしうるCRMの再構築を行うことで、顧客満足度と顧客価値の最大化を図ることが必要不可欠になっている現在、同社グループが持つCRM領域における総合力を活かしたワンストップ・サービスへのニーズは年々高まっている。強力な競争優位性を活かし、今期のみならず来期以降もどのようなスピードで収益を拡大していくか、3つの戦略の進捗を注目していきたい。

     

     

1.会社概要

1999年の創業以来、「コンサルティング」「テクノロジー」「オペレーション」の3つのコアスキルを融合し、クライアント企業のCRM領域をドメインに一気通貫サービスを提供してきた。現在では、「Digital & AI」で「SX(Sustainable Transformation)」を実現するという事業ビジョンのもと、クライアント事業のSuccession(=成功の連続)に向けた伴走支援を行っている。

 

【1-1沿革】

実力主義の世界で自分の力を試そうと考えた丸山 栄樹氏(現 バーチャレクス・ホールディングス株式会社 代表取締役社長)は
コンサルティングファームであるアクセンチュアに入社すると、コンサルタントとして実績を積み、高い評価を得ていった。
そうした中、次は会社の看板無しに自分で何ができるかを試したいと考えた丸山社長は、「一般的にコンサルティングの成果物は提案書やレポートであり、その計画をクライアントが実行しない限りは結果を見ることができないが、そうではなく、始めから最後までクライアントと共に伴走し、結果を提供したい」と考え、1999年6月、株式会社バーチャレクス(現 バーチャレクス・ホールディングス株式会社)を創業した。
企画・提案までを主体とする「コンサルティング」に加えて、その実現手段である「テクノロジー」と業務遂行自体を支援する「アウトソーシング」をワンストップに提供することを理念とする同社は、大手証券会社グループを初めての顧客とすると、独自のスタイルが評価され、紹介で大手小売企業や大手EC企業など顧客数は着実に増大し、業容も拡大。2016年6月に東証マザーズに上場した。2022年4月、市場再編に伴い、東証スタンダード市場に移行。

 

【1-2 グループ企業理念】

以下のような企業理念を掲げ、全てのステークホルダーとの共栄を目指している。

 

「Success for the people, organization and society.」

私たちは生活者・消費者(顧客)、クライアント企業やパートナー企業の皆様、当社の株主やグループ従業員とその家族など、共に歩むすべての人たちの成功に向かいます。

私たちはクライアント企業・団体、パートナー企業、グループ企業の成功に向かいます。

私たちは社会・環境の持続的な成功に向かいます。

私たちはこのような想いのもと、議論し、判断し、行動します。

 

【1-3 事業ビジョン・ビジネスドメイン・事業環境】

コンタクトセンター運営に関するコンサルティング及び運営受託からスタートした同社は、事業領域をCRM、デジタルマーケティングへと拡張してきたが、社会の大きな変化に伴い、今後は「Digital & AI」を用いた持続的な変革(SX:Sustainable Transformation)の実現を通じ、ビジネスドメインを更に拡張していく考えだ。

 

(同社資料より)

 

Digital(DX)およびAIはどちらも急速な市場拡大が見込まれる成長分野であり、積極的な投資により需要を取り込み、売上・利益の拡大を追求する。

 

(同社資料より)

 

【1-4 事業内容】

(1)グループ体制
持株会社バーチャレクス・ホールディングス株式会社及び、子会社6社(連結子会社4社、非連結子会社2社)でグループを構成。グループ一体となってサービスを提供している。

 

企業名

事業内容

バーチャレクス・ホールディングス株式会社

グループ経営戦略・経営管理

バーチャレクス・コンサルティング株式会社

企業と顧客接点に関するコンサルティングとアウトソーシングおよびソフトウェアの提供

バーチャレクス九州株式会社

アウトソーシングサービスおよびBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスの運営拠点

VXアクト株式会社

オンサイトチームエンジニアリング(OTE)、オフショア開発、ITオペレーションアウトソーシング等のITサービスの提供

株式会社タイムインターメディア

Webシステム、文教・教育ソリューションの提供およびソフトウェアの研究・開発(AI等)

Virtualex (Thailand) Co., Ltd.

アウトソーシングサービスおよびBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスの運営拠

Virtualex U.S.A., Inc.

Tソリューションの調査・研究

*バーチャレクス・コンサルティング株式会社、バーチャレクス九州株式会社、VXアクト株式会社、株式会社タイムインターメディアが連結子会社。

 

(2)セグメント
セグメントは、「IT&コンサルティング事業」と「アウトソーシング事業」の2つ。
【1-5 特長・強み・競争優位性】で後述する「ワンストップサービス」が同社事業の大きな特徴である。

 

①IT&コンサルティング事業
バーチャレクス・コンサルティング株式会社、株式会社タイムインターメディアおよびVXアクト株式会社が行っている。
具体的なサービス内容は、「コンサルティングサービス」「CRM製品提供」「ストック型ITサービス」からなる。

 

*コンサルティングサービス
創業当初から行っているコールセンター構築をはじめとする企業の事業戦略、CRM戦略、IT戦略、及びマーケティング戦略等の立案から、それらの実現・導入に向けた業務やシステムの設計・構築の支援を行う。

 

サービス

内容

事業戦略・CRM戦略の立案

企業の事業活動やCRM活動を向上させるための戦略作りや計画作りを支援する。

IT戦略の立案

CRM活動を向上させるためのIT基盤の在り方についての戦略作りや計画作りを支援する。

CRM製品の提供に伴うカスタマイズ

CRMパッケージ製品「inspirX(インスピーリ)」を提供するにあたって、クライアント企業のニーズに基づくカスタマイズ開発を行う。

CRMコールセンターの構築・変革支援

CRM向上に寄与する役割や業務の在り方を踏まえたコールセンターの構築や変革の支援を行う。

コールセンターCALL削減

コールセンターにおけるCALL分析により、無駄な問合せを削減するための様々な施策を打ち、それぞれのチャネルの最適化を図ることで、コールセンターの運営コストの低減を図る。

 

CEM領域で培ったノウハウを、デジタルマーケティングやビジネス・アナリティクスといったマーケティング領域に融合展開し、サービス領域及び提供価値の拡充を図っている。

 

サービス

内容

マーケティングデータ分析

企業のマーケティング活動に有益な種々のデータ(ビッグデータ)の分析を行い、マーケティング戦略作りを支援する。

マーケティングプロセス設計

策定したマーケティング戦略を実践するためのプロセス設計(業務・システム)を行う。

マーケティングプラットフォーム構築

マーケティング活動に必要となるITプラットフォームの構築を行う。

 

Web領域、文教・教育ソリューション領域にも事業ドメインを拡大しているほか、遺伝的アルゴリズム(進化計算)をベースとしたAIの利活用、デジタルトランスフォーメーション支援、分散コールセンターやマザーセンターの技術基盤構築など、ソリューション領域を拡張しビジネスを成長させている。

 

*CRM製品提供
コンサルティングやプロセス運営で培った知見をITソリューションとして形にしたCRMパッケージ製品「inspirX(インスピーリ)」をライセンス販売している。

 

CRMパッケージ製品「inspirX」は、長年にわたるコールセンター運営の経験を活かして自社開発した顧客対応履歴管理ソフトウェア。電話、FAX、メール、SMS、LINE等のマルチチャネルに対応しており、同製品の導入により、顧客からの問い合わせ、意見、クレーム、受発注情報などのやりとりや実際の訪問など、あらゆる顧客とのコミュニケーションを統合的に管理することが可能となる。

 

*ストック型ITサービス
企業のCRM基盤を戦略的かつ効率的に支援している。
近年急速にニーズが高まっている「inspirX」のクラウド型サービスを中心に、オンプレミス型導入後の保守サービス、他社(パートナー企業)製品の代理店型サービスなども提供している。

 

 

②アウトソーシング事業
バーチャレクス・コンサルティング株式会社、バーチャレクス九州株式会社が行っている。

 

創業以来、クライアント企業のCRM推進の中心的な役割を果たすコールセンター業務等の受託運営を行ってきた。
コールセンターの受託運営は、大別すると、同社グループセンターで同社のグループ要員が業務を遂行するサービス形態と、クライアント企業のセンターで同社のグループ要員がクライアント社員と共同で業務を遂行するサービス形態とがあり、クライアントの要望に合わせてサービスを提供している。
近年では、通常の問い合わせセンターや受発注センターの運営のみならず、同社グループのコンサルティング力を活かすことによって、業務標準(KPI、プロセス)構築や新規取り組みを実施(仮説検証)するマザーセンターの運営、デジタルマーケティングのバックオフィス業務のアウトソーシング受託(Marketing Process Outsourcing)等のサービスを展開している。

 

サービス

内容

マザーセンターのアウトソーシング

コンサルティング、テクノロジー、アウトソーシングのノウハウを集約し、コールセンターのベストプラクティスを追求するラボ(実験)機能を有するセンターの運営を行う。

CALL削減のための一部業務の運営

顧客からの問い合わせ内容を分析することにより、問い合わせ原因を解消したり、自己解決に導いたり、対応チャネルを効率化させることを目的としたセンターの運営を行う。

新規顧客獲得業務の代行・共同運営

マーケティングデータ分析やマーケティングプロセス設計に基づいた新規顧客獲得業務の代行や共同運営を行う。

広告・ソーシャルチャネルの運用

デジタルマーケティングによる広告やソーシャルチャネルを利活用したマーケティング業務の運用を行う。

キャンペーンマネジメント業務の運用

マーケティング計画やマーケティングプラットフォームに基づくマーケティングキャンペーン活動等のマネジメント業務を行う。

マーケティングデータ管理・レポーティング

マーケティング活動で蓄積されるデータの管理や分析レポートの作成を行う。

マーケティングプラットフォームの運用

より効果的なマーケティングを実践するためのプラットフォームを構築した上で、そのプラットフォームの運用を代行する。

 

【1-5 特長・強み・競争優位性】

(1)CRM領域における総合力を活かしたワンストップ・サービス
企業がより有効なCRMを実践するには、店舗や営業マンなどの「対面チャネル(接点)」と、コールセンターやインターネットなどの「非対面チャネル」の両者を通じた顧客接点全体の再構築を行い、それらをCRMプロセスとして導入する必要がある。
企業がこれらの再構築やプロセス導入を行う際には、広告代理店、コンサルティング会社、SIベンダー、テレマーケティング会社など様々な会社に支援を求めることが必要となる。

 

一方、「コンサルティング(=戦略や計画の策定力)」「テクノロジー(=ITソリューションの開発力)」「アウトソーシング(=業務の実行力)」の3つのノウハウを合わせ持つ同社グループでは、この3つの力を活用することで、多様化する顧客との接点を通じた企業のCRM再構築を、ワンストップでトータルに支援している。

 

具体的には、戦略策定や計画策定等の上流工程及び継続的な業務実施・運用を支援する「コンサルティングサービス」、コンサルティングやプロセス運営で培った知見をITソリューションとして形にした「CRM製品提供」、企業のCRM基盤を戦略的かつ効率的に支えるための「CRM ITサービス」、さらには実際の顧客接点業務を企業と共同あるいは請け負って実行する「CRMプロセスサービス」を、継ぎ目なくシナジーを発現しながら提供している。

 

同社グループが事業展開のドメインとする「企業と顧客の接点」は、かつては店舗や訪問での対面チャネルが中心だったが、その後コールセンターのような非対面チャネルに広がり、近年では、インターネットが普及し、e-コマースやe-メール、スマートフォンアプリの利用が浸透したことで、企業と顧客の接点も多様化や複雑化など飛躍的な変革が生じている。
例えば、企業の製品やサービスを利用した消費者は、問題や欲求を解決する際に、電話やe-メール等を介してコールセンターに問合せをするのではなく、スマートフォンやタブレット端末等でホームページやソーシャルメディアを検索して解決しようとする傾向が強まっている。

 

企業はこうした変革や顧客ニーズに対応して、顧客毎に最適なタイミング、チャネル、コンテンツを選択してアプローチしうるCRMの再構築を行うことで、顧客満足度と顧客価値の最大化を図ることが必要不可欠になっている。
このため、同社グループが持つCRM領域における総合力を活かしたワンストップ・サービスへのニーズは年々高まっており、自社の強力な競争優位性であると考えている。

 

 

 

(同社資料より)

 

(2)ストックビジネス化による安定収益構造
自社製品やITソリューションの導入の伴う保守サービスや拡張サービスの提供、自社ITサービスの提供による月額利用料の収受といった一般的なリカーリングのみではなく、コンサルティングにおける同社の特長である伴走型サービス、アウトソーシングサービスについてもストックビジネス化を進め、安定収益構造構築を図っている。

 

(同社資料より)

 

(3)ビジネスモデルはビジネスの【ストック化】と実績・ノウハウの【自社製品化】
前述した3つのスキルによって顧客企業を支援する中で培った実績やノウハウをソリューション化、自社製品・サービス化しストックビジネスとして安定的な収益を確保しながら利益を再投資することで、持続的な成長を目指すのが同社のビジネスモデルである。

 

(同社資料より)

 

2.成長戦略

【2-1 成長戦略】

良好な事業環境の中で、「DIGITAL & AI」をテーマに、成長のための3つの戦略「AI関連ビジネスの拡大」「デジタルマーケティングの案件サイズ拡大」「個別事業毎の成長」を展開する。

 

(1)AI関連ビジネスの拡大
同社グループでは「進化計算:TENKEI」」を用いてAI関連ビジネスの拡大を目指している。

 

AIシステムでは機械学習やディープラーニングの名を耳にすることが多いが、進化計算はこれらとは別のAIシステムである。
機械学習やディープラーニングが大量のデータを学習することで法則を導き出すのに対し、「進化計算」は、大量の学習データを必要とせず、与えられた条件をもとに課題の最適解を求めることが可能である。問題・課題の答えを一つの「個体」とし、生物が進化しながら長い年月を通じて環境に適応していく過程、生物の進化の仕組みをアルゴリズム化したものであることから、進化計算は「遺伝的アルゴリズム」とも呼ばれる。

 

同社グループでは、この進化計算をベースに独自の最適化AIプラットフォーム「TENKEI」を開発した。
「TENKEI」は「組み合わせの複雑さ」が生み出す課題を解決するDX推進アプリケーションであり、与えられた条件をもとに、特に人間では到底処理することができない無限に近い組み合わせの数の中から最適な答えを素早く導き出すことを得意としている。
2018年に「TENKEI」を用いて世界最大のナンプレ(数字パズルの一種)を作成し、ギネスを取得してその実力を証明した。
研究開発の継続の過程で、論文が国際会議に採択された。

 

現在では、「工場の生産ラインの最適化」「介護事業所毎のシフト計画管理」「在庫と発注の最適化」「時間割の自動生成」「各種スケジューリングの最適化」など、大企業とのプロジェクトが複数立ち上がり実績を着実に積み上げている。
直近では、某大企業の新規事業の根幹に「TENKEI」が導入されたほか、ASKULの在庫配置の進化計算を電通大学と共同実施した。三井不動産では「動くお店MIKKE」に「TENKEI」が導入された。
また、より大きな売上を実現すべく、TENKEIプラットフォームをSI(開発型)から、横展開が可能なツール(SaaS)型に進化させていく。事例公開による更なる認知度向上も目指す。

 

(同社資料より)

 

(2)デジタルマーケティングの案件サイズ拡大
顧客企業はDXによってお客様中心・お客様起点でのマーケティング・セールス・カスタマーサクセスの実現を目指しており、同社グループはコンサルティングサービス、テクノロジー導入サービス、伴走サービスの各領域で顧客企業を支援していく考えで、超上流から実行・定着までワンストップで伴走するパートナーを目指している。

 

そうした中、受注件数が増大するとともに、案件規模も拡大しており、個別の案件サイズは平均120%に拡大している。
また、単発支援型から一気通貫型サービスへと拡張しているほか、博報堂を始めとした他社との連携・提携による総合的マーケティング戦略支援の体制づくりも進捗している。
加えて、Salesforceビジネスの実績・案件規模拡大を足掛かりに、サービス・支援範囲を拡充する。特に、DX人材が不足する中、顧客企業内におけるDX人材の育成サービスを展開することでビジネスの拡大スピードを加速させる。

 

(同社資料より)

 

(3)個別事業毎の成長
人手によるBPOにテクノロジーをかけ合わせ、ヒトとテクノロジーを融合したハイブリッドな業務オペレーションであるスマートBPOや、AIを導入したAI-BPOの更なる拡大を図るほか、CRMパッケージ関連のストック化にも取り組んでいる。(株)LIXILなど、大規模プロジェクトの受注が進展している。
スマートBPO関連コンサルは前期約3割増加したが、今期も更に拡大が続いている。

 

また、AWS(Amazon Web Service)内のサービスであるAMAZONコネクト(※)をプラットフォームとして、同社グループがメール対応、ソフトフォン、顧客対応、顧客管理、他システム連携といった業務に関する拡張機能を付加した独自サービスである「コネクトレック」の強化にも取り組んでいる。

 

(同社資料より)

 

※AMAZONコネクト
数回のクリックでコンタクトセンターの設定や変更が可能なAWSのサービス。従来のコンタクトセンターソリューションと比較して、最大 80%のコスト削減が可能。

 

【2-2 中期3か年目標】

21年3月期決算発表時に公表した「3年合計連結経常利益目標」を大幅に上方修正した。
初年度22/3期は当初計画を大幅に上回り、3か年合計8億円以上という目標に対する進捗率も初年度で67%を超えたため。
重要な経営指標とする【売上成長率】【経常利益成長率】【経常利益率】についても、初年度の飛躍的成長を踏まえ年度毎に見直した。
この上方修正は企業としての実力がついてきたことの現れと考えており、今後はさらに成長スピードの加速を図る考えだ。

 

 

 

 

通期指標(対前期)

22/3期実績

23/3期予想

24/3期想定

売上成長率

+8.0%

+10.0%

+4.4%

+10.0%

経常利益成長率

+20.0%

+200.0%

+5.2%

+21.0%

経常利益率

+0.4%

+5.5%

+0.1%

+0.8%

 

 

3.2023年3月期第2四半期決算概要

【3-1業績概要】

 

22/3期2Q

構成比

23/3期2Q

構成比

前年同期比

予想比

売上高

2,999

100.0%

3,242

100.0%

+8.1%

+4.6%

売上総利益

712

23.8%

851

26.3%

+19.5%

-

販管費

540

18.0%

600

18.5%

+11.1%

-

営業利益

172

5.8%

251

7.8%

+45.7%

+39.8%

経常利益

200

6.7%

258

8.0%

+28.8%

+43.5%

四半期純利益

148

4.9%

185

5.7%

+25.0%

+54.3%

*単位:百万円。

 

増収増益、予想を上回る。
売上高は前年同期比8.1%増の32億42百万円。両事業とも増収。
経常利益は同28.8%増の2億58百万円。IT&コンサルティング事業における増収および好採算のプロジェクトにより売上総利益が同19.5%増加し、人材採用など積極投資により販管費の増加を吸収。前年同期に計上した助成金収入がなくなり、投資事業組合運用益が減少したが、経常利益率は同1.3ポイント上昇した。

 

【3-2 セグメント動向】

 

22/3期2Q

構成比

23/3期2Q

構成比

前年同期比

 IT&コンサルティング事業

1,722

57.4%

1,917

59.1%

+11.3%

 アウトソーシング事業

1,276

42.6%

1,324

40.9%

+3.7%

売上高合計

2,999

100.0%

3,242

100.0%

+8.1%

 IT&コンサルティング事業

308

17.9%

379

19.8%

+23.1%

 アウトソーシング事業

248

19.5%

253

19.2%

+2.0%

調整

-384

-

-381

-

-

セグメント利益合計

172

5.8%

251

7.8%

+45.7%

*単位:百万円。利益の構成比は売上高利益率。

 

(1)IT&コンサルティング事業
増収増益。
大型コンサル案件に加え、大型IT案件の新規受注も順調に拡大した。増収効果に加え、低採算プロジェクトや未稼働人員コストの減少により、プロジェクト利益率およびセグメント利益率がさらに向上した。

 

(2)アウトソーシング事業
増収増益。
クライアントの廃業により前期末で終了したプロジェクトのマイナスインパクトを、新規受注や既存拡大でカバーした。先行投資を実施し利益率は若干低下したが、増益を確保した。

 

【3-3 財務状態とキャッシュ・フロー】

◎主要BS

 

22年3月末

22年9月末

増減

 

22年3月末

22年9月末

増減

流動資産

1,515

1,752

+236

流動負債

1,215

1,318

+102

 現預金

292

519

+227

 仕入債務

116

161

+44

 売上債権

1,116

1,083

-33

 短期借入金

233

346

+113

固定資産

1,337

1,330

-7

固定負債

490

459

-31

 有形固定資産

99

104

+5

 長期借入金

415

400

-15

 無形固定資産

126

173

+46

負債合計

1,706

1,777

+71

 投資その他の資産

1,112

1,052

-59

純資産

1,146

1,305

+158

資産合計

2,853

3,082

+229

 利益剰余金

65

250

+185

 

 

 

 

負債純資産合計

2,853

3,082

+229

*単位:百万円

 

現預金の増加などで資産合計は前期末比2億29百万円増加し30億82百万円。短期借入金の増加などで負債合計は同71百万円増加し17億77百万円。利益剰余金の増加などで純資産は同1億58百万円増加し13億5百万円。
自己資本比率は同0.5ポイント上昇し40.3%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

22/3期2Q

23/3期2Q

増減

営業CF

33

214

+180

投資CF

-13

-97

-83

フリーCF

19

116

+96

財務CF

-181

110

+291

現金同等物残高

285

519

+233

*単位:百万円

 

税金等調整前四半期純利益の拡大などで営業CF、フリーCFのプラス幅は拡大。
短期借入金が純減から純増に転じ、財務CFはプラスに転じた。
キャッシュポジションは上昇した。

 

4.2023年3月期業績予想

【4-1 業績予想】

 

22/3期

構成比

23/3期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

6,223

100.0%

6,500

100.0%

+4.4%

49.9%

営業利益

519

8.4%

572

8.8%

+10.0%

44.0%

経常利益

543

8.7%

572

8.8%

+5.2%

45.1%

当期純利益

364

5.9%

380

5.8%

+4.4%

48.7%

*単位:百万円。予想は会社側予想。

 

増収増益を予想、業績予想は据え置き
売上高は前期比4.4%増の65億円、営業利益は同10.0%増の5億72百万円の予想。
引き続き人材獲得など積極的な投資を実施し、全社費用は約10%増を計画しているが増収効果で吸収し増収増益を見込んでいる。両事業とも増収増益を予想。
上期実績は予想を上回ったが、通期予想は下期に偏重した業績見通しであり、今後更なる堅調な積み上げが必要な状況であるため、通期予想は据え置いた。
通期予想の超過に向け努力するとともに、来期の仕込みのための営業に注力する。

 

 

22/3期

構成比

23/3期(予)

構成比

前期比

進捗率

 IT&コンサルティング事業

3,658

58.8%

3,800

58.5%

+3.9%

50.5%

 アウトソーシング事業

2,565

41.2%

2,700

41.5%

+5.2%

49.1%

売上高合計

6,223

100.0%

6,500

100.0%

+4.4%

49.9%

 IT&コンサルティング事業

815

22.3%

900

23.7%

+10.3%

42.2%

 アウトソーシング事業

519

20.2%

567

21.0%

+9.2%

44.8%

 調整

-815

-

-895

-

-

-

セグメント利益合計

519

8.4%

572

8.8%

+10.0%

44.0%

*単位:百万円。利益の構成比は売上高利益率。

 

5.丸山社長へのインタビュー

丸山栄樹社長に、自社の競争優位性、成長戦略、株主・投資家へのメッセージなどを伺った。

 

Q:まず初めに御社の競争優位性や特長・強みについてお話しください。

 

上流(計画)から下流(現場での実行)までをワンストップで伴走し、顧客の現場を熟知しているという点が、当社グループの大きな競争優位性です。
一般的なコンサルティング会社では世界のトレンドを踏まえ、新しい技術を使ってこんなことができるという、いわゆる「あるべき論」を書くことはできますが、それが結果に結び付く本当の答えであるとは限りません。
これに対し当社は、顧客の実際の現場を知っているからこそ言えることが多く、また現場を知っているからこそ必要な機能をソフトウェアに埋め込むことができ、こうした点をお客様に高くご評価いただいています。

 

また「コンサルティング(=戦略や計画の策定力)」「テクノロジー(=ITソリューションの開発力)」「アウトソーシング(=業務の実行力)」の3つのノウハウを合わせ持ち、多様化する顧客との接点を通じた企業のCRM再構築を、ワンストップでトータルに支援している点も当社グループの大きな強みです。
広告代理店、コンサルティング会社、SIベンダー、テレマーケティング会社など様々な会社に支援を求めることがまだまだ一般的ですが、この場合、最終的にお客様が期待する結果に各社ともコミットすることはありませんし、各社とも最大の売上・利益を追求するため投資コストの最適化も困難です。
これに対し当社グループは一気通貫で結果に至るまで伴走しますから、お客様にとっても費用対効果を見ながらのマネージメントが容易です。

 

 

Q:続いて成長戦略について伺います。まず初めに「AI関連ビジネスの拡大」についてのポイントは何でしょうか?

 

現在よく目にする「AI」は、機械学習やディープラーニングと言われている領域ですが、当社が取り扱っているのは「進化計算」と呼ばれている領域です。
同じAIでも両者では解決できる課題、いわば得意技が異なります。

 

機械学習やディープラーニングが大量のデータを学習することで法則を導き出すのに対し、「進化計算」は、大量の学習データを必要とせず、与えられた条件をもとに課題の最適解を求めることが可能です。問題・課題の答えを一つの「個体」とし、生物が進化しながら長い年月を通じて環境に適応していく過程、生物の進化の仕組みをアルゴリズム化したものであることから、「遺伝的アルゴリズム」とも呼ばれています。

 

当社グループでは、この進化計算をベースに独自の最適化AIプラットフォーム「TENKEI」を開発しました。
進化計算に関して本当の技術を持っているプレーヤーは数少なく、優秀なエンジニアから成る日本有数のチームを社内に有する点も、当社グループの強力な競争優位性と言えます。

 

「TENKEI」は「組み合わせの複雑さ」が生み出す課題を解決するDX推進アプリケーションであり、与えられた条件をもとに、特に人間では到底処理することができない、無限に近い組み合わせの数の中から最適な答えを素早く導き出すことを得意としています。
「工場の生産ラインの最適化」「介護事業所毎のシフト計画管理」「在庫と発注の最適化」「時間割の自動生成」「各種スケジューリングの最適化」など、大企業とのプロジェクトが複数立ち上がり実績を着実に積み上げており、また、より大きな売上を実現すべく、TENKEIプラットフォームのSI(開発)型からツール(SaaS)型への進化にも取り組んでいます。

 

実績の更なる獲得、事例の公開による認知度向上に注力していきます。

 

 

Q:「デジタルマーケティングの案件サイズ拡大」についてはいかがでしょうか?

 

デジタルマーケティングへ注力し始めたのは4、5年前からです。
これまでの当社ビジネスの中心であるCRMは既存顧客の顧客管理や顧客満足度最大化のための領域です。これに加え、お客様の新規顧客獲得をお手伝いするのがデジタルマーケティングであり、CRMの領域拡大と位置付けています。

 

現在デジタルマーケティング事業ではSalesforceの利用を中心としているのですが、その基本機能に加え、もっと幅広い領域をカバーしたいというニーズがあります。
これに対しては、専用のソフトウェアやモジュールを提供しているプレーヤーが世界には多く存在しますので、そうした企業とアライアンスを組むことで、デジタルマーケティングの幅を大きく広げてお客様の多様なニーズに対応していきます。

 

これまでの取り組みによりここ数年で案件規模はほぼ倍化していますが、今後は案件の規模・件数ともさらに大きく拡大させてまいります。
DX人材育成サービスの強化にも取り組んで行きます。

 

 

Q:「個別事業毎の成長」はどうでしょう?

 

ヒトとテクノロジーを融合した業務オペレーションであるスマートBPOビジネスは、大規模案件も含め着実に拡大しています。
加えて、直近では簡単にコンタクトセンターの設定が可能なアマゾンのサービス「AMAZONコネクト」をプラットフォームとした同社グループのサービス「コネクトレック」の強化にも取り組んでいます。
当社グループは創業時よりクライアント企業のCRM推進に向けコールセンター業務の受託運営を行ってきましたので、メール対応、ソフトフォン、顧客対応、顧客管理、他システム連携といったソフトウェアを持っており、それらを拡張機能として付加し、お客様に付加価値の高いコールセンター機能を低コストで提供するのが「コネクトレック」です。

 

 

Q:2020年3月期は、子会社における大型システム開発案件における品質トラブルで損失計上となりました。その後は安定的に売上・利益とも伸長していますが、現状をどのように見ておけばよろしいのでしょうか?

 

当社グループの主力事業であるコンサルティングとアウトソーシングは安定的に成長するビジネスです。
加えて、当社のビジネスモデルは、「お客様を支援する中で培った実績やノウハウをソリューションや自社製品・自社サービスとして提供してストックビジネスで安定的な収益を確保しながら利益を再投資することで持続的な成長を目指す」というものですので、安定性は今後さらに高まると期待しています。
ソフトウェア開発に関しては、前回の反省から見積もりの適正化やグループによるガバナンスの強化を進めており、売上規模の拡大と共に、仮に不具合が発生してもその影響は相対的に低下していくと考えています。

 

Q:では最後に株主・投資家へのメッセージをお願いします。

 

当社グループは理念として、「Success for the people, organization and society.」を掲げています。
つまり我々のクライアント、パートナー、株主、従業員とその家族を含むすべてのステークホルダーの成功のみならず、社会や環境の成功も目指して行動しています。
全員が幸せになり価値ある結果を生み出していく、そんなビジョンをもって技術力と知見を磨き上げ、持続的な成長を追求してまいりますので、是非、中長期の視点で応援していただきたいと思います。

 

6.今後の注目点

売上・利益とも上期実績は予想を上回ったが、通期予想は下期に偏重した業績見通しであり、今後更なる堅調な積み上げが必要な状況であるため、通期予想は据え置いている。会社側は、通期予想の超過に向け努力するとともに、来期の仕込みのための営業に注力する考えだ。

 

企業は顧客ニーズに対応して、顧客毎に最適なタイミング、チャネル、コンテンツを選択してアプローチしうるCRMの再構築を行うことで、顧客満足度と顧客価値の最大化を図ることが必要不可欠になっている現在、同社グループが持つCRM領域における総合力を活かしたワンストップ・サービスへのニーズは年々高まっており、強力な競争優位性を活かし、今期のみならず来期以降もどのようなスピードで収益を拡大していくか、3つの戦略の進捗を注目していきたい。

 

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

5名、うち社外取締役2名(うち独立役員2名)

監査役

3名、うち社外監査役2名(うち独立役員2名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2022年6月29日

 

<基本的な考え方>
当社は、株主の利益を最大化するためには、「当社の企業としての成長」「より良い社会作りへの貢献」「クライアント企業への結果での貢献」が不可欠と考え、以下の企業理念を掲げております。

 

Success for the people, organization and society.

 

・私たちは生活者・消費者(顧客)、クライアント企業やパートナー企業の皆様、当社の株主やグループ従業員とその家族など、共に歩むすべての人たちの成功に向かいます。
・私たちはクライアント企業・団体、パートナー企業、グループ企業の成功に向かいます。
・私たちは社会・環境の持続的な成功に向かいます。

 

私たちはこのような想いのもと、議論し、判断し、行動します。

 

当社グループは、これらの企業理念を達成するために、コーポレート・ガバナンスの強化充実を重要な経営課題と認識しており、経営の健全性、機動性及び透明性を確保する体制の構築に取り組んでまいります。

 

<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を、全て実施しております。

 

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