ブリッジレポート
(1433) ベステラ株式会社

プライム

ブリッジレポート:(1433)ベステラ 2023年1月期決算

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本田 豊 社長

ベステラ株式会社(1433)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

建設業

代表者

本田 豊

所在地

東京都江東区平野三丁目2番6号 木場パークビル

決算月

1月

HP

https://www.besterra.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

878円

8,990,200株

7,893百万円

-1.5%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.00円

2.3%

45.14円

19.5倍

493.05円

1.8倍

*株価は3/22終値。各数値は2023年1月期決算短信より。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2020年1月

3,436

93

97

59

7.29

16.00

2021年1月

3,682

124

212

142

17.33

16.00

2022年1月

5,966

488

721

1,391

165.48

16.00

2023年1月

5,458

-215

-94

-64

-7.33

20.00

2024年1月(予)

7,800

510

586

400

45.14

20.00

* 予想は会社予想。単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。

 

 

ベステラ(株)の2023年1月期決算概要などについてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2023年1月期決算概要
3.2024年1月期業績予想
4.新中期経営計画「脱炭素アクションプラン2025」
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 23年1月の売上高は前期比8.5%減の54億58百万円。大型解体工事が、計画の延長等により期中の着工が困難となったことなどが影響した。営業利益は2億15百万円の損失計上。売上高減少分を補うため確実な受注を優先し低利益率での積極受注を進めたが、一部の工事において工事損失引当金の計上が発生する等利益率が著しく減少。加えて、経営体制の大幅な変更に伴い役員退職慰労金引当を計上したことなどにより販管費が同27.3%増加した。売上・利益とも期初予想を下回った。工事品質および無事故無災害による施工が客先に評価され、追加の受注があったことから、22年12月公表の修正予想に対しては上回っての着地となった。

     

  • 24年1月期は増収、黒字転換を予想。売上高は前期比42.9%増の78億円、営業利益は前期の損失から5億10百万円へ黒字転換する。堅調な受注状況を見込んでおり、新中期経営計画「脱炭素アクションプラン2025」を推進し、今期を新たな成長への転換点のスタートと位置付け、収益力の向上を図る。配当は、前期と同じく中間配当、期末配当それぞれ10円/株の計20円/株を予定している。予想配当性向は44.3%。

     

  • 2023年1月期、売上・利益ともに当初予想を大きく下回った同社は、2022年1月期から遂行してきた「中期経営計画2025」に代わり、新たな中期経営計画「脱炭素アクションプラン2025」を策定。新経営体制の下、2024年1月期から2026年1月期を新たな成長への転換点として位置付け、国内・業界内の事業環境の変化を考慮した上で脱炭素経営を推進し、企業風土を変革することで、収益力の向上を図ることとした。

     

  • 「脱炭素経営と企業風土の変革による収益力の向上」を基本方針とし、重点戦略として「脱炭素解体ソリューション(工法によるイノベーション)」「DXプラントソリューション(IT活用によるイノベーション)」「人事戦略(さらなるイノベーションを産み出す土台)」の3つを推進。2026年1月期「売上高120億円、営業利益12億円、ROE13%以上」の達成を目指す。

     

  • 前期は2013年4月期以来の損失計上となったが、プラント解体市場の拡大や営業活動強化による元請工事の受注増加を受け、受注工事高は過去最高を記録した。注力するストック型工事(安定的かつ継続的な工事)の受注が増加しており、引き合いは順調である。

     

  • また、「脱炭素アクションプラン2025」の重点戦略である「脱炭素解体ソリューション(工法によるイノベーション)」および「DXプラントソリューション(IT活用によるイノベーション)」とも潜在需要は大きく、事業環境は良好といっていいだろう。

     

  • 新経営体制の下で、同社の強みを活かして市場開拓を想定通りのスピードで進めていくことができるかを注目していきたい。

1.会社概要

プラント解体のスペシャリストとして、製鉄、電力、ガス、石油等、プラント(金属構造物)の解体工事をマネジメントしている。“プラント解体の工法・技術”をコア・コンピタンスとし、国際特許も含めた特許工法を多数有する。エンジニアリング(提案・設計・施工計画)とマネジメント(監督・施工管理)に経営資源を集中しており、実際の解体工事は協力会社に外注するため、工事用重機や工事部隊を保有せず(資産保有リスクを回避)、材料等の仕入・生産取引も発生しない(在庫リスクを回避)。
グループは、同社の他、設計業務等の人材サービスを手掛ける(株)ヒロ・エンジニアリングと3Dスキャン・モデリングや設計業務の3Dビジュアル(株)、高度なアスベスト除去技術を有する(株)矢澤の連結子会社3社。
社名の「べステラ(BESTERRA)」は英語の「Best(goodの最上級)」とラテン語の「Terra(地球)」を合わせたもので、「最高の地球の創造」という思いを込めた。解体からリサイクルの一貫体制を構築する事で高度循環型社会を実現し地球環境に貢献していく考え。

 

1-1 企業理念

「柔軟な発想と創造性、それを活かした技術力により地球環境に貢献します」という企業理念の下、使命として「BEST(最高の)TERRA(地球)の実現」「高度循環型社会(静脈産業発展)への貢献」を掲げている。
また、持続可能な社会の実現に貢献すべく「サステナビリティ基本方針」を制定している。

 

◎サステナビリティ基本方針
私たちベステラは、「柔軟な発想と創造性、それを活かした技術力により地球環境に貢献します」という企業理念のもと、「高度な循環型社会の実現」と「持続的な企業成長」の両立に取り組んでまいります。

 

1-2 事業内容

プラント解体事業の単一セグメントであり、その他として人材サービス事業や3Dスキャン・モデリング・設計事業を手掛けている。23/1期はプラント解体事業が売上全体の96.0%を占めた。

 

プラント解体事業
プラント解体事業では、製鉄・電力・ガス・石油等あらゆるプラントの解体工事を展開している。工法の提案、設計、施工計画、外注・資機材手配、施工管理、安全管理、原価管理、資金管理及び行政対応等のエンジニアリング全般を提供している。同社自身は、独自の解体技術の設計、施工計画に基づいた工事の管理監督に専念し、施工は専門の外注先を利用している。プラント解体工事は、製鉄・電力・ガス・石油等のプラントを有する大手企業が施主であり、多くの場合、施主系列のエンジニアリング子会社あるいは大手ゼネコンが工事を元請けし、同社が一次下請け、二次下請けとなっている。

 

尚、プラント解体事業では、工事の進行に伴って発生するスクラップ等の有価物を同社が引き取ってスクラップ業者に売却している。このため、受注に際して有価物の価値を、材質、量、価格(鉄、ステンレス、銅等の材質毎の相場)等から総合的に見積り、それを反映した金額で交渉し、請負金額を決めている。会計上、有価物の売却額は解体工事に伴う収益の一部と位置付けられており、完成工事高に含めて計上している。尚、発注者(施主)が独自でスクラップ等の処分(売却)を行う事もある。

 

※2つの収益計上基準と同社収益計上の季節性について
工事契約における収益の計上基準には、工事が完成した時に収益を計上する完成基準と工事の進捗に応じて収益を計上する進行基準がある。同社においては、工事期間3ヶ月超の大型工事について、23/1期以降、原則として工事進行基準を適用している(上記に該当しない工事は完成基準を適用)。完成基準適用工事の収益計上(完工)時期は顧客(施主)の設備投資計画の影響を受ける事が多く、同社の場合、第1四半期(2-4月)と第4四半期(11-1月) に収益が計上される割合が高い(収益計上の季節性)。しかし、四半期業績の変動が投資家をミスリードする可能性があるため、同社は工事進行基準の適用範囲を段階的に広げており、収益計上の平準化に継続的に取り組んでいる。

 

その他
建設技能労働者の慢性的な人手不足に対応するため、2013年1月より人材サービスを開始し、2018年3月に設計業務等の人材サービスを手掛ける(株)ヒロ・エンジニアリングを子会社化した。また、2015年1月に3D計測サービスを開始した。2019年12月には3Dビジュアル(株)を設立し、2020年2月に(株)インターアクション(証券コード:7725)から3Dスキャン・モデリングや設計事業を譲受した。

1-3 強み - 優良な顧客基盤、豊富な工事実績に基づく効率的解体マネジメント、特許工法等の知的財産 -

強みは、優良な顧客資産、豊富な工事実績に基づく効率的解体マネジメント、及び特許工法等の知的財産。顧客は、製鉄、電力、ガス、石油等の大手企業のエンジニアリング子会社等や大手ゼネコンであり、いずれも与信に不安のない優良顧客。これら優良企業から、40年以上の実績に裏打ちされたプラント解体のトータルマネジメント(低コスト・高効率)が高く評価されている。また、環境対策工事等で蓄積してきた様々な技術やノウハウも強みであり、発生材の再資源化も含めて、顕在的・潜在的な知的財産となっている。
「つくった人には壊せない(新たな発想)」「プラント解体に特化したオンリーワン企業」「持たざる経営」をビジネスコンセプトとして事業を展開している。

 

特許工法等
リンゴ皮むき工法と溶断ロボット「りんご☆スター」
「リンゴ皮むき工法」とは、ガスホルダーや石油タンク等の大型球形貯槽の解体において、リンゴの皮をむいていくように、外郭天井部の中心から渦巻状に切断する工法。切断された部分は重力に従って、渦巻きを描きながら徐々に地上に落ちていく。工期、コスト、安全性に優れ、競合優位性の高い工法であり、「より早く、より安く、より安全に」を実現する。また、この工法を自動化する溶断ロボット「りんご☆スター」も提供している(「りんご☆スター」については、新アタッチメント開発による用途拡大にも取り組んでいる)。

 

環境関連工法
火気を使用しない「無火気工法」により、数々の環境関連工事の実績を重ねている。例えば、PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、現在、有害物質として全廃されているが、優れた熱安定性や化学的安定性(電気絶縁特性)から、長年、トランス(変圧器)やコンデンサ(蓄電器)に使われてきた。プラントの解体時にトランスやコンデンサを処理するケースが多いが、PCBを高温で処理するとガス化するため吸引する恐れがあり、解体・撤去に際して火器(ガス溶断等)が使えない。同社はセーバーソー(往復運動する鋸刃により切断する)等による無火気工法・準無火気工法を得意としており、モーター焼きつき対策や刃を再生利用する等の工夫で業界常識を超える厚みを切る事が可能だ。変圧器の解体では、「トランス解体方法並びにトランス解体用冶具、及びトランス解体用切断装置」の特許を(株)日立プラントコンストラクションとの共同で出願している。

 

風車解体工法
発電用風車は世界的に年間20%程度の成長が続いているが、今後、使用期限や経済的陳腐化による解体需要の増加が予想される。同社の資料によると、世界の風力発電量は486,790MWと年率約20%の成長を続けており(陸上約340,000基、洋上約4,000基)、国内でも2021年末で2,574基を数える。ほとんどが陸上型だが洋上型風力へシフトしている。一方、耐用年数が15~20年程のため初期に設置された発電用風車は使用限界を迎えている。また、落雷・台風等により破損や致命的な故障が起きて解体が必要となっている機体も少なくない。

 

発電用風車の倒し方法(国際出願)
発電用風車の解体は、通常、支柱の外側に足場を組んで行われるが、山岳部や洋上等にも設置されているため、解体の難易度は高い。同社は、足場を必要としない風車解体工法を考案し、「発電用風車の倒し方法」の国内特許を既に取得しており、「基礎部を活用した搭状構造物の倒し方法」及び「塔型風力発電設備の解体方法」の国際特許を出願中である。これらの特許に基づく工法を使う事で、作業員の安全性が飛躍的に向上し、工期も短縮できる。

 

3D事業による価値の追求
レイアウトシミュレーション、歪み・曲がり・ねじれ計測、Before/After形状比較、ウォークスルー動画等のサービスにより、建設時(30年以上前)の紙データを最新鋭の3Dデータに変換し、工程を「視える化」した解体工事を提供していく。また、2次元への図面化、モデリングBIM/CIM対応、パーフェクト3D、3Dプリント等、最高水準の計測技術とシミュレーションシステムによる、解体工事に伴う独自の3D計測サービスも提供していく。

 

解体工事の工程を「視える化」

レイアウトシミュレーション

3D CADで作成した機器のモデルを3Dデータ上に配置し、入替シミュレーションが可能。機器のモデルを動かしながら、動的な干渉・衝突チェックができる。

歪み・曲がり・ねじれ計測

形状変化の計測が可能。地震や経年劣化等で建物に歪みが発生していないか等、躯体の一時的診断に役立つ。

Before/After形状比較

配管・コンベア・炉等、熱や振動の影響を受けて変化する設備の設置時と稼動後の形状を比較する。3Dデータにより全体の変化を直感的に把握できる。

ウォークスルー動画

合成した点群データを利用して、ウォークスルー動画を作成する。施工計画や物件情報に関するプレゼンテーションや広報用動画として活用できる。

 

独自の3D計測サービス

2次元への図面化

点群データを基にモデリングした3D CADモデルを図面化する。簡易的に点群データを直接、図面化する事もできる。

モデリングBIM/CIM対応

点群データを基に3D CADで対象をモデリングする。施工・改修に必要な部分をBIMデータ(Building information modeling)として作成することもできる。

パーフェクト3D

自動車によるMMS(Mobile Mapping System)や航空レーザー計測、水域計測等を組み合わせた大規模3次元データ計測サービス。

3Dプリント

点群データからのモデリングを経て3Dプリンターで造形できるように、データを加工・デフォルメする。積層ピッチ15μmという微細な出力を実現する。

 

1-4 ROE分析

 

18/1期

19/1期

20/1期

21/1期

22/1期

23/1期

ROE(%)

11.7

23.8

2.3

5.6

40.6

-1.5

売上高当期純利益率(%)

5.87

12.62

1.75

3.87

23.32

-1.18

総資産回転率(回)

1.11

1.08

0.72

0.67

0.80

0.63

レバレッジ(倍)

1.80

1.75

1.85

2.14

2.19

2.01

 

23/1期のROEは損失計上により-1.5%となった。新中期経営計画「脱炭素アクションプラン 2025」(後述)では「2026年1月期 ROE13%以上」を目標としている。

 

 

2.2023年1月期決算概要

2-1 連結決算

 

22/1期 

構成比

23/1期 

構成比

前期比

期初予想比

修正予想比

売上高

5,966

100.0%

5,458

100.0%

-8.5%

-18.5%

+4.0%

売上総利益

1,357

22.7%

889

16.3%

-34.4%

-

-

販管費

868

14.6%

1,105

20.2%

+27.3%

-

-

営業利益

488

8.2%

-215

-

-

-

-

経常利益

721

12.1%

-94

-

-

-

-

当期純利益

1,391

23.3%

-64

-

-

-

-

* 単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。修正予想比は22年12月発表の業績予想に対する比率。

 

減収、損失計上
売上高は前期比8.5%減の54億58百万円。大型解体工事が、計画の延長等により期中の着工が困難となったことなどが影響した。
営業利益は2億15百万円の損失計上。売上高減少分を補うため確実な受注を優先し低利益率での積極受注を進めたが、一部の工事において工事損失引当金の計上が発生する等利益率が著しく減少。加えて、経営体制の大幅な変更に伴い役員退職慰労金引当を計上したことなどにより販管費が同27.3%増加した。売上・利益とも期初予想を下回った。工事品質および無事故無災害による施工が客先に評価され、追加の受注があったことから、22年12月公表の修正予想に対しては上回っての着地となった。

 

 

完成工事高(概算値)

 

22/1期

構成比

23/1期

構成比

前期比

電力

1,205

21%

734

14%

-39%

製鉄

975

17%

1,415

27%

+45%

石油・石化

2,008

35%

1,415

27%

-30%

ガス

57

1%

262

5%

+357%

3D

115

2%

105

2%

-9%

環境

1,205

21%

786

15%

-35%

その他

172

3%

524

10%

+205%

完成工事高

5,736

100%

5,242

100%

-9%

* 単位:百万円。同社資料もとにインベストメントブリッジ作成。

 

ストック型工事(安定的かつ継続的な工事、同一構内常駐工事)の受注増加や、製鉄所の高炉改修に伴う工事を多く受注しており、製鉄業界に占める割合が増加しバランスのとれた構成比となっている。

 

 

顧客(施主)の設備投資計画に応じた季節性があり、下期に完成工事高が増加する傾向がある。利益率の高い元請工事の拡大を営業戦略としているが、新規客先の場合は受注を優先し工事金額を下げて受注するケースがあるため、2023年1月期は利益率が一時的に低下した。

 

販管費の内訳

 

22/1期

構成比

23/1期

構成比

前期比

主な増減要因

人件費

434

7.3%

673

12.3%

+55.0%

人員増、役員退職金

研究開発費

13

0.2%

16

0.3%

+15.5%

ロボット開発

支払手数料・報酬

69

1.2%

79

1.4%

+15.2%

営業協力、システム改良

採用費

24

0.4%

18

0.3%

-23.6%

広告媒体、紹介手数料

広告宣伝費

8

0.1%

30

0.5%

+272.4%

ブランディング、展示会

教育研修費

0

0.0%

4

0.1%

+613.5%

社員研修、資格取得

その他

317

5.3%

281

5.1%

-11.2%

-

販管費合計

868

14.6%

1,105

20.2%

+27.3%

-

* 単位:百万円。構成比は対売上高比率。

 

新中期経営計画達成のための経営体制変更に伴い役員退職慰労引当金を計上したため、人件費が増加した。

 

 

積極的な採用活動により工事監督者数は50名となり、当初計画通り。2024年1月期は工事監督者数18名純増を予定しており、既に4月までに10名増員を見込んでいる。

2-2 受注高・受注残高

 

22/1期

23/1期

前期比

期首受注残高

2,545

1,594

-37.4%

受注工事高

4,785

7,000

+46.3%

完成工事高

5,736

5,242

-8.6%

期末受注残高

1,594

3,352

+110.3%

* 単位:百万円

 

プラント解体市場の拡大や営業活動強化による元請工事の受注増加を受け、受注工事高は過去最高を記録。注力するストック型工事(安定的かつ継続的な工事)の受注が増加しており、引き合いは順調である。

 

受注残高(概算値)

 

22/1期

構成比

23/1期

構成比

前期比

電力

271

17%

302

9%

+11%

製鉄

383

24%

335

10%

-12%

石油・石化

622

39%

2,480

74%

+299%

ガス

-

-

34

1%

-

環境

255

16%

168

5%

-34%

その他

64

4%

34

1%

-47%

受注残高

1,594

100%

3,352

100%

+110%

* 単位:百万円

 

23/1期は元請工事への積極的な営業活動により、石油化学業界で大型工事の受注があり、受注残高構成比が一時的に高くなったが、業界を問わず受注見込の有力案件が多数控えている。

 

2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

22年1月

23年1月

 

22年1月

23年1月

現預金

2,122

1,337

仕入債務

1,199

786

売上債権

2,212

1,761

借入金

2,389

2,426

流動資産

4,561

3,568

負債

4,674

4,048

投資その他

3,905

4,435

純資産

4,278

4,379

固定資産

4,391

4,859

負債・純資産合計

8,953

8,427

* 単位:百万円。売上債権は、受取手形・完成工事未収入金及び契約資産等。

 

現預金、売上債権の減少等で総資産は前期末比5億円減少し84億円。
仕入債務の減少などから、負債合計は同6億円減少の40億円。
純資産はほぼ変わらず43億円。
自己資本比率は前期末から4.2ポイント上昇し51.8%となった。

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

22/1期 

23/1期

前期比

営業キャッシュ・フロー(A)

537

-354

-892

投資キャッシュ・フロー(B)

-32

-515

-482

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

505

-869

-1,374

財務キャッシュ・フロー

250

85

-164

現金及び現金同等物期末残高

2,122

1,337

-784

* 単位:百万円

 

税金等調整前当期純損失の計上などで営業CF及びフリーCFはマイナスに転じた。
キャッシュポジションは低下した。

 

2-4 トピックス

①新経営体制を発表
急速な事業環境の変化に対応するため、従来進めてきた事業の選択と集中をさらに推進し、脱炭素化社会への貢献をより明確にした「脱炭素アクションプラン 2025」を策定するとともに、変革をより早期に実現するため、社長並びに代表取締役の交代を含む役員人事により、執行体制の強化を図ることとした。
新体制では 2023年2月1日付けで取締役企画部長の本田豊氏が代表取締役社長に就任し、同社全体の経営戦略を担う。また、執行役員事業本部長の長泰治氏が脱炭素アクションプランにそった業務執行を統括する。なお、長泰治氏は 2023年4月下旬開催予定の第50期定時株主総会及び取締役会の決議を経て、専務取締役に就任する。

 

②監査等委員会設置会社へ移行
コーポレート・ガバナンス機能の強化による企業経営の透明性向上、意思決定の迅速化による事業環境変化等への対応強化を目的として、監査等委員会設置会社に移行することとした。
2023年4月下旬開催予定の第50期定時株主総会において、必要な定款変更、その他関連議案について承認を得たのち、監査等委員会設置会社へ移行する予定である。

 

3.2024年1月期業績予想

3-1 通期連結業績予想

 

23/1期 実績

構成比

24/1期 予想

構成比

前期比

売上高

5,458

100.0%

7,800

100.0%

+42.9%

営業利益

-215

-

510

6.5%

-

経常利益

-94

-

586

7.5%

-

当期純利益

-64

-

400

5.1%

-

* 単位:百万円

 

増収、黒字転換を予想
売上高は前期比42.9%増の78億円、営業利益は前期の損失から5億10百万円へ黒字転換の予想。
堅調な受注状況を見込んでいる。後述する新中期経営計画「脱炭素アクションプラン2025」を推進し、今期を新たな成長への転換点のスタートと位置付け、収益力の向上を図る。
配当は、前期と同じく中間配当、期末配当それぞれ10円/株の計20円/株を予定している。予想配当性向は44.3%。

 

4.新中期経営計画「脱炭素アクションプラン2025」

2023年1月期、売上・利益ともに当初予想を大きく下回った同社は、2022年1月期から遂行してきた「中期経営計画2025」に代わり、新たな中期経営計画「脱炭素アクションプラン2025」を策定。新経営体制の下、2024年1月期から2026年1月期を新たな成長への転換点として位置付け、国内・業界内の事業環境の変化を考慮した上で脱炭素経営を推進し、企業風土を変革することで、収益力の向上を図ることとした。

 

4-1 中期経営計画2025の振り返り

22年1月期は計画を上回る実績となったが、23年1月期は売上・利益とも計画を大きく下回った。

 

 

一方、各種施策については以下のような実績を残すことができた。「脱炭素アクションプラン2025」においても更に注力、推進していく。

 

(同社資料より)

 

4-2 事業環境分析

(1)国内
2050年のカーボンニュートラル実現に向け、建設から50年以上を経過した建設物を中心に解体が進み、解体市場の更なる拡大が予想される。

 

電力市場においては2030年へ向けエネルギーミックスが大幅に見直され、低効率な石炭火力発電所の大幅な削減などが見込まれる。
製鉄市場においては、企業再編や老朽化の進行に伴い、重複した設備の撤去や改修が必要となっている。
石油・石油化学市場においては、多くのコンビナートは高度経済成長期に建造されており、国際競争力・生産能力過剰の観点から設備の高度化や再編等が進むと見られる。
その他製造業市場では、第4次産業革命と呼ばれるテクノロジーの進化や国内需給の変化による事業合理化の影響で、設備の刷新、解体が予想される。

 

各市場の市場規模を同社は以下のように試算している。

市場

市場規模

電力

約13兆円

製鉄

約2兆円

石油・石油化学

約8兆円

その他製造

約20兆円+α

*同社試算

 

(2)業界
以下のような事業環境の変化、ニーズが見られる。

分離発注の増大

施主が解体専門会社に工事を発注する際、新規取引先としての信用力が問題となるケースも多く、あらゆる法規制に対応し、各プラントの高い安全基準を満たす企業に発注する必要がある。直接発注においては、信用力の高い上場企業、工事自体の安全性だけではなく環境への安全性も高い技術を有する企業が求められている。

 

従来のプラント解体工事は、新たな設備の建設工事と同時に、解体と建設をまとめて施主が発注するケースが多数見られたが、更新を伴わない解体工事の増加、様々な法規制に伴う解体工事の難易度向上により、解体工事は専門工事会社に発注するケースが増加している。

情報化施工への対応

少子高齢化による建設業界での人手不足等により、情報化施工への取り組みが業界の課題となっている。

脱炭素に配慮した工事への新たなニーズ

施主であるメーカー各社は、製造過程だけではなく、工事においても、環境への配慮や再資源化率の向上を求めるようになっている。

 

(3)同社の強み
以上のようなニーズや変化に対し同社では、プラント専業としてのポジション優位性(豊富な工事実績)、技術力(脱炭素解体®、特許工法、技術開発、DXへの取り組み)、業務提携効果(静脈産業全体へのソリューション力)、信用力、プラント解体トータルマネジメント(工法提案、環境関連法規制等の対応、有価物の購買力、産廃の適正処理、施工会社の動員力等)といった強みを活かして、需要の取り込みを図る。

 

4-3 脱炭素アクションプラン2025の概要

(1)基本方針
「脱炭素経営と企業風土の変革による収益力の向上」を基本方針としている。
事業環境の変化を機会と捉え、脱炭素経営を推進し、企業風土を変革することにより、収益力の向上を図るとともに、26年1月期までの3年間を「新たな成長への転換点」と位置付けている。

 

(2)数値目標
グループで以下のような数値目標を掲げている。
26年1月期については、前回の中期経営計画から売上高・利益とも上方修正を行っている。
ROEは早期に2ケタ台への回復を目指す。

 

重点戦略である「脱炭素解体ソリューション(工法によるイノベーション)」および「DXプラントソリューション(IT活用によるイノベーション)」による売上高推移は以下のとおり。両ソリューションとも高成長を見込んでいる。

 

 

(3)戦略・施策
基本方針実現に向け、以下のような戦略・施策を推進する。
重点戦略は、「脱炭素解体ソリューション(工法によるイノベーション)」「DXプラントソリューション(IT活用によるイノベーション)」「人事戦略(さらなるイノベーションを産み出す土台)」の3つ。

 

脱炭素経営を通じて企業価値・ブランドの向上を実現するために、新たに脱炭素事業推進部を新設した。
「脱炭素解体®に資する工法開発」「解体工事のリユース・リサイクル率向上、GHG排出量削減、およびそれらの可視化」「脱炭素経営に紐づいた新規ビジネスの創出」を推進する。

 

①重点戦略の概要:脱炭素解体ソリューション
地球環境に配慮した各種解体工法を開発し、世界に先駆けた脱炭素解体を実現する解体ソリューションを提供する。

 

(同社資料より)

 

(主な脱炭素解体ソリューション)
◎脱炭素解体®
工期、コスト、安全性に優れ、競合優位性の高い解体工事。ガスホルダーや石油タンク等の球形貯槽の解体において、リンゴの皮をむいていくように、外郭天井部の中心から渦巻状に切断するリンゴ皮むき工法など、環境に配慮した多彩な解体工法で、さまざまなプラントを解体する。
リンゴ皮むき工法や転倒工法をはじめとして、タンク、ボイラ、煙突、クレーン、3D、風車など各対象建設物・領域において数多くの技術特許を保有又は申請中である。
安全性・コスト削減・工期短縮・CO2排出量削減を実現する競争力のある特許工法を用いた解体方法を提案し、実用化に繋げていく。

 

◎転倒工法
煙突・タワー・塔槽類等の鋼構造物には、堅固なコンクリート基礎部とアンカーボルトにより固定された重心となる転倒軸が存在する。
同社の転倒工法は、転倒軸を綿密に計算し、コンクリート基礎部を切断することで、転倒方向を確実に制御し、予め定めた方向へ安全に転倒させることができる工法。
更に大型クレーンの回送や組み立てなどで生じるコスト削減・工期短縮も可能であり、通常のクレーンで吊り取りしながら解体する工法に比べ最大で10分の1までCO2排出量の削減が可能である。

 

◎風力発電設備解体
世界での風力発電量は486,790MWで毎年約20%増加しており、発電量の多い洋上型風力発電にシフトしている。
国内でも同様に現在はほとんどが陸上型だが、洋上型へシフトしている。一方、陸上型の耐用年数は15~20年程であり、初期に設置された発電用風車は使用限界が到来している。さらに、落雷・台風などにより破損や致命的な故障が起きて解体が必要な機体も相当数発生していると想定される。
このような市場環境の下、国内陸上風力発電設備の解体工事において、同社が保有する特許技術「解体工法」の実施許諾契約を(株)日立パワーソリューションズと締結した。
(株)日立パワーソリューションズの強み(日立グループとしての実績、風力発電設備に関する豊富な技術、発電プラント設計・保守の高度な技術)と同社の強み(独自の解体工法及びノウハウ、プラント解体の豊富な施工実績、環境関連工事の豊富な実績)を組み合わせ、工期短縮・CO2排出量削減・安全性といった優位性を確立。風力発電設備解体市場の需要取り込みを強化する。

 

◎無火気工法
火気使用が限定されるプラント構内の解体作業や有害物質(PCB)含有の変圧器(トランス)等の解体作業において同社の火気を使用しない「無火気工法」が需要を取り込み、工事実績が積み上がっている。
特殊なノウハウにより、大型の設備を、業界常識を超える厚みで切る事が可能であり、今後は原子力発電所の廃炉においても活用が期待できる。同工法に使用する新たな切断刃の開発も行っている。

 

◎PCBやアスベストへの対応
*PCB含有膜剥離
PCB(ポリ塩化ビフェニル)とは、化学的に合成された有機塩素化合物の一つ。無色透明で化学的に安定で、耐熱性、絶縁性や非水溶性など優れた性質を持っていたため変圧器やコンデンサ・安定器などの電気機器用絶縁油や感圧紙、塗料、印刷インキの溶剤などに、その有用性から幅広く利用されたが、生体内にたやすく取り込まれしかも残留性が高く、皮膚障害などの慢性毒性が認められたため、1972年に製造中止となった。
環境省が建設物(化学プラント、石油貯蔵タンク、ガスタンク、橋梁など)を対象にPCBの使用状況を調査したところ、1966年から1974年までに建設又は塗装の塗替えが行われた調査対象施設の内、PCB塗膜の適正処理が必要となるものは全体の1%、約900億円程度と推計される。調査対象は主に地方自治体の有する公共構造物であることから、今後は民間構造物についても需要拡大が見込まれる。

 

同社では、球形ガスホルダーの解体時における表面塗装剥離作業において、三谷産業(株)と業務提携契約を締結。三谷産業(株)の保有するショットブラスト(表面塗装剥離)技術と同社の解体技術の融合により、除去が困難なPCB含有塗膜を安全に除去する技術を確立した。

 

*アスベスト除去
石綿(アスベスト)は天然に産出する繊維状のけい酸塩鉱物で、その繊維が極めて細いため、研磨機、切断機などの施設での使用や飛散しやすい吹付け石綿などの除去等において所要の措置を行わないと石綿が飛散して人が吸入してしまうおそれがあり、肺がんや悪性中皮腫を引き起こす可能性がある。
2022年4月にはアスベスト関連法令が改正され、建築物等の解体工事におけるアスベスト飛散防止対策が強化されている。
同社はアスベスト除去市場の拡大を見込み、アスベスト除去の高度な技術を持つ(株)矢澤を2021年12月にグループ会社化し、アズベスト除去工事を内製化した。

 

◎土壌汚染対策工事
土壌汚染とは、土壌が有害物質(重金属、揮発性有機化合物、薬品および油等)に汚染されることで、使用を廃止した有害物質使用特定施設に係る工場等の土地所有者は、指定機関による調査のもと、土壌汚染の無害化が義務付けられている。
同社が解体するプラントは対象敷地面積が広大であり、土壌汚染に対し適切な処理が求められる。今後設備の更新・廃止措置に伴う同対策工事が多く発生すると見ている。

 

(主な施策・方針)
脱炭素解体ソリューション拡大に向け、以下のような施策を推進する。

 

◎拠点の充実
ストック型(顧客からの継続的な受注案件、同一構内常駐工事)の受注獲得、全国的な受注拡大を目指すため、北九州工場地帯に近い福岡県北九州市に事務所を開設したほか、岡山県倉敷市に作業所を新設するなど、西日本における拠点拡充を進めている。
名古屋、大阪、仙台の開設も検討中である。

 

◎協業先企業との連携強化
協業各社と互いの強みを活かした提携を進めることで、廃止措置関連ビジネスのための仕組み「プラント解体技術のプラットフォーム」を構築する。

 

主な提携先

企業名

強み・特徴

業務提携

(株)日立プラントコンストラクション

・原子力発電設備(廃止措置・改修他)の営業/現場管理/工事

・大型バンドソー等の工事技術による解体作業

・放射線管理

2018年7月

第一カッター興業(株)

・ダイヤモンド、ウォータージェット工法技術提供

・高い工事施工品質

2018年9月

リバーホールディングス(株)

・マテリアルリサイクル(静脈)メジャー

・産業廃棄物処理

2019年9月

 

◎元請案件の受注拡大
直接受注を増やし、元請工事、公共工事の比率を高めることで、収益率の向上を目指す。元請工事の施工体制強化のために、資格取得制度の推進、営業サポート人員の増員、人事制度改革に取り組んでいる。

 

②重点戦略の概要:DXプラントソリューション
グループ会社の3Dビジュアル(株)、(株)ヒロ・エンジニアリングを中心に独自のノウハウと最新技術で新しいサービスを創造し、DX技術を活かしたソリューションを提供する。

 

(同社資料より)

 

(主な取り組み)
◎3D計測、モデリング(設計・施工業務の変革)
30年以上前の建設時の紙データを最新鋭の3Dデータに変換することにより、工程を「視える化」した解体工事を提供する。

 

◎遠隔・無人化施工
同社独自の解体技術とロボットの制御技術を組み合わせ、遠隔や無人でも実施できる人とロボットの協働施工を建設現場へ導入する。

 

◎配管・プラント設計システム AUSE/V3の拡販
AUTODESK®が提供するAutoCADの世界のユーザー数は約7億人で、CADソフトにおいては最大のコミュニティを構築している。
グループ会社の3Dビジュアル(株)では、AutoCADのアドオンソフトである「AUSE(アウゼ)」を開発し、更なる機能改修、互換性強化を図り、商品力を強化するとともにサブスクリプションモデルによる拡販を図る。

 

◎クレーンレール検査ロボット(検査手法の変革)
プラント・工場設備に設置され重量物や部品の運搬等に用いられる天井クレーンは、経年劣化等により歪みが発生し、放置すれば重大な事故につながる。そのため、労働安全衛生法のクレーン等安全規則は、クレーン設置企業に年1回および1ヶ月に1回の自主検査を義務付けている。
ただ、従来の目視による検査は、作業員が天井に上るため事故の危険があるほか、目視によりムラが生じる、工場の稼働を止めるため機会損失が発生する、といった課題があった。

 

同社では、この定期的検査を安全かつ効率的に行うためにクレーンレール上を自走し検査を行うロボットを(株)イクシスと共同開発した。
クレーン設置企業に、作業員が事故に遭う危険が少ない、常に正確かつ精密なデータを取得できる、検査は短時間であり空き時間に点検可能といったメリットを提供する。

 

◎(株)クラッソーネとの資本業務提携
22年9月、解体工事のプラットフォームを運営する株式会社クラッソーネと、解体DX技術に関する資本業務提携契約を締結した。
同社が長年の解体事業で培った実際の工事や廃材処理の循環再生等に関するノウハウと、クラッソーネがマッチングプラットフォーム事業で蓄積した IT や Web の知見等、互いに異なる得意分野を相互提供する体制を整えることで、今後増加が予測される解体ビジネスにDX化をもたらし、両社の事業拡大を目指す。

 

③重点戦略の概要:人事戦略
HRトランスフォーメーションを推進。従業員エンゲージメントの高い企業風土へ変革し、さらなるイノベーションを生みだす。

 

(同社資料より)

 

(主な取り組み)
◎採用の強化
将来への投資として工事監督の採用を積極的に進める。採用体制強化に向けた採用担当者の増員、女性の採用拡大によるダイバーシティの推進にも取り組む。

 

(同社資料より)

 

◎教育プログラムの確立
経験豊富な技術者から経験の浅い技術者への技術継承を図るための制度として、「高度解体技術者 教育プログラム」を確立する。
入社研修からスタートし、フォローアップ研修における資格取得を経て、中堅研修において専門職かマネージメント職かのコースを選択。その後は管理職研修で企業家精神を醸成することも可能。
個人の働き方を重視した人事制度を策定し、運用する。

 

◎ナレッジマネジメント
社内に偏在する個人の経験や知識に基づく技術・知識「暗黙知」を、情報データベースの作成、コミュニケーションツールの活用などにより共有された組織の知識「形式知」として可視化し、効率的に活用することで、情報の非対称性を解消し、組織の成長を促す。

 

◎表彰制度の導入
全社員を表彰対象とし、企業風土を体現した者、優秀な実績を残した者を毎月および年1 回表彰する定期的な表彰制度(月間MVP表彰等)を導入し、主体的に行動する人を褒めて感謝する企業風土を強化する。

 

◎安心して長く働ける環境整備
同社では日本最高水準の所得補償保険、退職金制度、持株会への手厚い助成(奨励金は積立額の15%)、特別な有給休暇(労働基準法の最大保有日数40日を上回る80日の保有)など、環境整備に力を入れている。

 

(4)投資計画
成長スピード加速に向け、DXプラントソリューションを中心に、3年で総額35億円の積極的な投資を実行する。

 

(同社資料より)

 

(5)株主還元
配当性向40%を目安として安定的な配当を実施する。
2023年1月期より株主優待内容を変更(拡充)し、「ベステラ・プレミアム優待倶楽部」を新設した。
「ベステラ・プレミアム優待倶楽部」詳細は下記URLを参照。
https://besterra.premium-yutaiclub.jp/

 

5.今後の注目点

前期は2013年4月期以来の損失計上となったが、プラント解体市場の拡大や営業活動強化による元請工事の受注増加を受け、受注工事高は過去最高を記録した。注力するストック型工事(安定的かつ継続的な工事)の受注が増加しており、引き合いは順調である。
また、「脱炭素アクションプラン2025」の重点戦略である「脱炭素解体ソリューション(工法によるイノベーション)」および「DXプラントソリューション(IT活用によるイノベーション)」とも潜在需要は大きく、事業環境は良好といっていいだろう。
新経営体制の下で、同社の強みを活かして市場開拓を想定通りのスピードで進めていくことができるかを注目していきたい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

6名、うち社外3名

監査役

3名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2023年1月16日)
基本的な考え方
当社では、健全な経営の推進と社会的信頼に十分に応えるべく、コーポレート・ガバナンスを最も重要な経営課題として位置付け、経営の健全性・透明性および公平性を高めることに重点を置き、法令遵守を社内に徹底させることは当然のこととし、役員全員が常に「法令違反は即経営責任に直結する」との危機感を持ち経営に臨んでおります。具体的には、経営の意思決定、職務執行および監督ならびに内部統制等について、適切な体制を整備・構築することにより、法令・規程・社内ルールに則った業務執行を組織全体に周知徹底しております。また、株主重視の経営に徹するべく、「適正な株価形成」・「株価の持続的上昇」のための経営改革を実現し、経営のチェック機能を強化することでグローバルに通用するコーポレート・ガバナンスを確立することも重要であると考えております。その結果が、社会からの信頼の獲得に繋がることとなり、自ずと企業価値も高まり、株主の皆様にも満足して頂けるものと考えております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
2021年6月の改訂後のコードに基づき記載しています。

 

【補充原則4-1-3】
最高経営責任者の後継者の具体的な計画はございません。取締役会における後継者選定の方針としては、人格・識見・実績を勘案して適当と認められる者の中からその人物を選定することとしております。後継者計画を策定・運用する場合には、取締役会が積極的に関与するとともに、社外取締役が過半を占める取締役会の諮問機関である指名・報酬委員会が関与することで、決定プロセスの公正性・透明性・客観性を確保し、適切に選定を進めてまいります。

 

【補充原則4-3-3】
当社は社長やCEOを解任するための客観性・適時性・透明性ある手続きを明確に確立しておりませんが、取締役会の実効性評価を毎年実施し、取締役の指名、報酬に関しては、社外取締役が過半を占める指名・報酬委員会が関与することで客観性・適時性・透明性のある手続きを進めてまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則1-4 政策保有株式】
当社は、取引先等との長期的・安定的な取引関係の維持・強化及び関係強化による当社事業の拡大等の観点から、当社の中長期的な企業価値の向上に資すると判断した場合、取引先等の株式を取得及び保有する場合があります。業務提携を前提とした投資株式については、当社経営陣が相手先代表者と面談し、経営環境、事業戦略および資本提携の目的などの説明を受け、当社取締役会において株価算定書の妥当性などを総合的に検討し取得の是非について判断を行っております。保有する株式(政策保有株式)に関し、継続的に取締役会において、当社の企業価値向上に繋がるかを検証し、これを反映した保有のねらい・合理性の確認を行っております。株式取得・売却及び議決権行使に関しては、当社の企業価値向上の観点から総合的に判断し、政策保有株式管理規程に基づき適切に意思決定を行っております。

 

【補充原則3-1-2 開示情報の英訳化】
当社は、2022年1月期末の決算短信より英訳化の開示を実施しております。また、株主総会の招集通知については2022年4月下旬開催の第49期定時株主総会より英訳化し当社ホームページで開示しております。なお、その他の開示書類のうち必要とされる情報の英語での開示・提供については、海外投資家の比率を勘案し開示の充実を進めてまいります。

 

【補充原則3-1-3】
当社は、サステナビリティに関する取り組みを中期経営計画、当社ホームページに開示しております。また、サステナビリティに対する取組みを明確化するため、サステナビリティ基本方針を制定するとともに取締役会の諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置し取組みの統括管理を行ってまいります。また、中長期的な企業価値の向上に向け人材の採用、教育が重要課題と考えており、自律的にキャリアを構築できる仕組みづくりや多様性による自由で活気のある企業風土の構築を進め、人的資本の強化を図って参ります。
気候変動に係るリスク及び収益機会に関しては、TCFD提言への対応を進めるため、TCFD賛同表明及びTCFDコンソーシアムへの参加をし、TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実に積極的に取組み、当社ホームページ等で開示の充実を進めてまいります。

 

【補充原則4-11-1 取締役会のバランス、多様性、規模に関する考え方及びスキルの可視化】
当社の取締役会は、定款で定める取締役9名以内、監査役は3名の員数の範囲内で、各事業に伴う知識、経験、能力等のバランスに配慮しつつ、適切と思われる人員で構成することとしております。全体のバランス、多様性、規模に関する考え方は、経営理念等の方針を推進していくために必要な知識・経験・能力等を鑑みて取締役候補者の人選を行っております。取締役会の実効性のさらなる向上と構成バランスを可視化できるよう、取締役会の実効性評価を毎年実施し取締役会の実効性を高めるとともに、取締役会を構成する人員に必要なスキルを検討するとともに、独立社外取締役を含めたスキルマトリックスを作成し開示いたします。また、独立社外取締役には他社での経営経験を有するものを含め適切に選定を進めてまいります。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、株主からの対話(面談)の申込みに対しては、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、合理的な範囲で前向きに対応すべきと考えております。当社は、株主との建設的な対話を促進するため、企画部をIR担当部署として、金融機関や投資家に対して決算説明会を半期に1回開催し、適宜会社情報をホームページ、㈱東京証券取引所の任意開示を活用し、情報公開を行っております。

 

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