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(6050) イー・ガーディアン株式会社

プライム

ブリッジレポート:(6050)イー・ガーディアン 2025年9月期上期決算

ブリッジレポートPDF

 

高谷 康久 社長

イー・ガーディアン株式会社(6050)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

サービス業

代表者

高谷 康久

所在地

東京都港区虎ノ門1-2-8 虎ノ門琴平タワー8F

決算月

9月

HP

https://www.e-guardian.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

2,022円

11,593,845株

23,442百万円

11.3%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

35.00

1.7%

105.49円

19.2倍

988.76円

2.0倍

*株価は5/27終値。各数値は2025年9月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2021年9月(実)

9,933

1,968

2,040

1,086

107.44

14.00

2022年9月(実)

11,752

2,272

2,314

1,689

168.38

24.00

2023年9月(実)

11,909

1,778

1,806

1,229

122.74

26.00

2024年9月(実)

11,391

1,705

1,708

1,057

92.08

31.00

2025年9月(予)

12,365

1,819

1,824

1,220

105.49

35.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。

 

 

イー・ガーディアン(株)の2025年9月期上期決算の概要と2025年9月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2025年9月期上期決算概要
3.2025年9月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 25/9期上期の売上高は前年同期比2.6%増の58.68億円、営業利益は同5.8%増の9.29億円。業務別では、ソーシャルサポートが同11.3%増と貢献した。長期間苦戦が続いているゲームサポートは同11.3%減となったものの家庭用ゲーム、PCゲームの大型案件獲得もあり、減収幅が一定の縮小を見せ始めている。一方、サイバーセキュリティが同1.0%増にとどまり、アド・プロセスも同7.7%減、その他も同21.2%減と厳しい着地となり、全体としては小幅な増収で着地した。利益面では、増収効果に加え、粗利率の改善もあり、株主優待費用を吸収し、増益となった。

     

  • 25/9期の売上高は前期比8.5%増の123.65億円、営業利益は同6.7%増の18.19億円の期初計画を据え置いている。配当計画は前期比4円増額となる年間35円、予想配当性向は33.2%。下期以降の取り組みとしては、BPO領域では「ゲームサポートの拡大」「官公庁案件の獲得」に注力することを掲げている。サイバーセキュリティ領域では、2つの課題を認識している。1つ目の課題は①高価格、高品質な脆弱性診断から安価なツール診断への移行がみられているという点だ。こちらについては、コストパフォーマンスの高い診断サービスを創出することで対応を進める方針だ。また、2つ目の課題は②新規顧客獲得を目的としたリード不足だ。こちらもセキュリティ研修、E-learningコンテンツの整備などを通じて、間口を確保することを目指し、その上でアップセル、クロスセルを積極的に展開していく。

     

  • 全体感としては、前期末の段階で「営業力の強化」「粗利改善」の兆しが見えていたが、小幅ながら増収を維持しつつ、引き続き粗利率の良化が続いており、施策が効いてきている印象。上期計画は減益見込みだったところ、各段階利益で上振れて着地した。ただし、セグメント別で見るとソーシャルサポートのみが2桁増収、ここまで成長エンジンとなっていたサイバーセキュリティの足踏みがみられるなど、強気一辺倒に傾きにくい状況だろう。実際、売上高ベースでは上期計画に若干未達だ。各種対策、種まきは進展しており、高成長回帰となるか注視したい。

1.会社概要

経営理念として「We Guard All」を掲げ、グループでサイバーセキュリティからデバッグ、運用まで、上流から下流までの、ネットセキュリティのワンストップサービスを提供している。20年以上にわたる運用実績を誇り、国内外に拠点を展開。顧客数は1,000社を超える。グループは、投稿監視・カスタマーサポート・広告審査等を手掛ける同社の他、連結子会社5社。サイバーセキュリティ分野においてWAF・脆弱性診断等を提供するEGセキュアソリューションズ(株)、Webシステム・IoTのデバッグ(第三者検証)を手掛けるEGテスティングサービス(株)、投稿監視を中心に展開し、ローコストオペレーションを強みに低単価案件の収益化能力に優れるイー・ガーディアン東北(株)、及びグローバル展開の拠点であるE-Guardian Philippines Inc. E-Guardian Vietnam Co., Ltd.。

 

(同社資料より)

1-1 事業区分と成長戦略

事業は、ソーシャルサポート、ゲームサポート、アド・プロセス、サイバーセキュリティ、その他の5業務に区分され、いずれも件数に応じた課金体系を採用しており(一部サービスを除く)、高品質なサービスをリーズナブルな価格で提供している。

 

ソーシャルサポート
ソーシャルネットワークサービス(SNS)やECメディア等のソーシャルメディアへの投稿を監視する投稿監視や問い合わせ対応を24時間365日体制で提供しており、多様なニーズを取り込むべく、風評調査、多言語対応、サイト運用、分析等にサービスの幅を広げている。人による目視監視(ヒューマンリソース)に加え、投稿監視システム「kotonashi」や人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」の活用で対応している。また、2024年5月にはインターネット上の著名人が使用された画像や不適切画像を検知するための画像認識モデルを自由に構築し運用できるヒューマン・イン・ザ・ループAIシステム「ROKA Custom」も開発しサービスへ導入、今上期では生成AIを活用した翻訳システム「EG Trans Works」の開発、メールテンプレートツール「hinagata」への生成AI実装などAI・システム開発、活用に積極的に取り組んでいる。低単価案件等には、ローコストオペレーションを強みとするイー・ガーディアン東北(株)が対応している。
決済事業者の加盟店審査を代行する「加盟店審査・登録申請サポートサービス」やリアルタイムAI動画監視フィルタの開発等も行っている。

 

ゲームサポート
ゲームの開発から運用までをワンストップでサポートしている。デバッグを手掛けるEGテスティングサービス(株)と連携したサービス、プロモーション、ソーシャルアプリやオンラインゲーム等のカスタマーサポート、更にはフィリピン現地法人E-Guardian Philippines Inc.やベトナム現地法人のE-Guardian Vietnam Co., Ltd.が海外企業の日本進出支援(ローカライズ、運用等)と日本企業の第3国への進出支援を行っている。カスタマーサポートでは、バグ(苦情)、機能の使い方(質問)、更にはゲーム内での不正行為の通報等について、チャットボット(「チャット」と「ロボット」を組み合わせた自動会話プログラム)、メール、電話で対応している。

 

アド・プロセス
広告審査業務に加え、広告枠管理、入稿管理、広告ライティング及び広告運用代行等の業務受託を行っており、顧客のもとに常駐して業務を実施する常駐型のサービスも提供している。また、画像内物体検知システム「Kiducoo AI(キヅコウエーアイ)」を活用し、マーケティング支援及び著作権侵害のパトロール等のサービスも提供している。

 

サイバーセキュリティ
EGセキュアソリューションズ(株)が提供する、ウェブアプリケーション等の脆弱性診断(脆弱性検査)や各種サイバーセキュリティに関するコンサル・支援、クラウドセキュリティやサイバー攻撃対策に関するソリューション、WAF「SiteGuard(サイトガード)シリーズ」によるWebサイトの脆弱性を悪用した攻撃を防御するソリューション等の収益が計上されており、多くの企業にサービス提供を行っている。

 

その他
EGテスティングサービス(株)によるWebシステム・IoTのデバッグ(第三者検証)等の収益が計上されている。

 

1-2 強み - 人とAI&システムによる低コスト・高品質の実現、リスク高度化とサービス多様化への対応力 ―

TVゲーム・携帯ゲームがソーシャルゲーム・クラウドゲームに、電話問い合わせがメール・チャットに、現金決済・クレジットカード決済が電子決済・仮想通貨・Fintechにそれぞれ代わり、SNSやブログ等のソーシャルWebサービスが、CtoC、シェアリングサービス、VR、ARと多様化している。これに伴い、標的型攻撃、ランサムウェアによる被害、脆弱性対策情報の悪用、インターネットバンキングの不正利用、スマートフォンへの攻撃、個人情報の窃取、更にはサービスの妨害を目的とした攻撃等、リスクも高度化しており、セキュリティ侵害は年々深刻化している。

 

こうした中、同社は、セキュリティのワンストップサービスを構築し、ネットの安心・安全に必要なものを全て提供している。強みは、「①人とAI&システムによる低コスト・高品質の実現」と「②リスク高度化とサービス多様化への対応力」にある。
「①人とAI&システムによる低コスト・高品質の実現」では、人による目視監視(ヒューマンリソース)と、人工知能型テキスト監視システム、人工知能型画像認識システム、画像内物体検知システム、及びRPAによる低コスト・高品質なサービスを24時間・365日提供している。
「②リスク高度化とサービス多様化への対応力」では、2017年以降M&Aによりサイバーセキュリティ領域へ進出。既存の投稿監視やカスタマーサポートだけでなく、脆弱性診断やWAF、セキュリティコンサル等、ニーズが高まるサイバーセキュリティ領域のサービスを拡充し、一気通貫したサービス提供を可能にしている。

 

1-3 ESGの取り組み

Environment(環境)の観点からは、自社開発AIによる事業効率化(「kotonashi」による投稿監視の自動判定、「hinagata」によるメールの工数削減等)により、環境負荷の低減や書類の電子化(ペーパーレス化)、資源の有効活用、グリーン購入法による備品等の購入推進に取り組んでいる。
Social(社会)の観点からは、インターネットセキュリティ事業を通じて貢献する他、働く環境づくりにも注力。具体的には、短時間勤務制度、時差出勤、在宅勤務など様々な働き方を取り入れる他、残業削減や誕生日休暇などの制度を導入することで労働環境の整備やワークライフバランスに取り組んでいる。希望受講者の社外研修も約5.4回/年と充実している。また、女性社員や若手社員の抜擢人事などにも積極的。その結果、女性管理職比率は約26%(※2024年9月末時点)となっている。
Governance(企業統治)については、任意の指名・報酬委員会、特別委員会を設置している他、取締役会における社外取締役数は7名中3名と客観性・透明性の確保に努めている。

 

1-4 株主還元

2024年5月7日開催の取締役会において、配当方針の変更を決議した。従来は長期的な企業価値拡大のために事業投資に優先配分するとともに株主への利益還元と内部留保充実のバランスを総合的に判断してきたが、株主への利益還元を強化することを目的に以下の通り配当性向を高める決定をした。

 

■新たな配当方針
利益配分は、持続的な成長と企業価値向上のための投資や、様々なリスクに備えるための財務健全性とのバランス、経営成績の見通しなどを考慮したうえで、業績に応じた利益配分を行うことを基本方針とし、連結配当性向30%程度を目安に配当する。
また、株式への投資の魅力を高め、より多くの方々に、中長期的に株式を保有してもらうことを通じて、事業理解を深めてもらうことを目的として、株主優待制度を新設している(※同社では株主総会において議決権を有効に行使した株主に、株主名義1件につき、QUOカード500円分を贈呈していたが、優待制度の新設に伴い終了)。

 

毎年9月30日現在の同社株主名簿に記載された100株(1単元)以上を保有している株主を対象として、継続保有年数に応じて、金券(QUOカード)を贈呈する。

 

1年未満・・・5,000円相当のQUOカード
1年以上・・・8,000円相当のQUOカード

 

※1年以上継続して保有する株主とは、毎年9月末日時点を基準として、同一株主番号で3月末日及び前年9月末日の株主名簿に、3回以上連続で記載または記録された株主。

 

2.2025年9月期上期決算概要

2-1 連結業績

 

24/9期上期

構成比

25/9期上期

構成比

前年同期比

上期計画

売上高

5,718

100.0%

5,868

100.0%

+2.6%

6,044

売上総利益

1,681

29.4%

1,827

31.1%

+8.7%

-

販管費

803

14.0%

898

15.3%

+11.8%

-

営業利益

878

15.4%

929

15.8%

+5.8%

781

経常利益

872

15.3%

933

15.9%

+7.0%

782

親会社株主帰属利益

536

9.4%

607

10.4%

+13.4%

522

* 単位:百万円

 

前年同期比2.6%の増収、同5.8%の営業増益
売上高は前年同期比2.6%増の58.68億円。業務別では、ソーシャルサポートが同11.3%増と貢献した。長期間苦戦が続いているゲームサポートは同11.3%減となったものの家庭用ゲーム、PCゲームの大型案件獲得もあり、減収幅が一定の縮小を、見せ始めている。一方、サイバーセキュリティが同1.0%増にとどまり、アド・プロセスも同7.7%減、その他も同21.2%減と厳しい着地となり、全体としては小幅な増収で着地した。
営業利益は同5.8%増の9.29億円。各センターの採算性管理の強化、問い合わせ対応システムへの生成AIの実装や、生成AIを活用した固有名詞などを認識する翻訳システムの開発、既存システムを含めたより効率的なシステム運用、原価計算ルールの再整備・厳格化に注力した結果、粗利率が改善。株主優待費用を吸収して着地した。なお、第2四半期単体の営業利益は5.18億円となっており、四半期ベースで営業利益が5億円を超えたのは、10四半期ぶりとなる。

 

2-2 業務別動向

 

24/9期上期

構成比

25/9期上期

構成比

前年同期比

ソーシャルサポート

3,317

58.0%

3,693

62.9%

+11.3%

ゲームサポート

840

14.7%

744

12.7%

-11.3%

アド・プロセス

706

12.4%

651

11.1%

-7.7%

サイバーセキュリティ

472

8.3%

477

8.1%

+1.0%

その他

382

6.7%

301

5.1%

-21.2%

売上高合計

5,718

100.0%

5,868

100.0%

+2.6%

* 単位:百万円。

 

 


*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

ソーシャルサポート
売上高36.93億円(前年同期比11.3%増)。EC・フリマサイト向けのカスタマーサポート、監視業務が伸長するとともに、Fintech関連サービスにおいても、カスタマーサポート及び本人確認業務の既存案件が拡大した。加えて、前期から取り組んできた顧客とのコミュニケーション/リレーション強化の結果、取引先調査、コンプライアンス調査といった新種の案件数も増加している。また、事業基盤の拡大を目的として、エンタープライズや官公庁向けの提案に注力した結果、中央省庁から大型案件を受注。さらに、チェンジHDとの協業の一環として、同グループ会社の既存外注業務の当社への移管も進捗した。加えて、エンタープライズ系デジタルBPO領域の拡大に向けた共同提案を実施するとともに、官公庁向け案件への入札を行った結果、増収で着地した。

 

ゲームサポート
売上高7.44億円(前年同期比11.3%減)。ソーシャルゲーム向けの売上の減少を受けて、家庭用ゲーム機やPCゲームの案件獲得に注カした結果、カスタマーサポートの大型案件を受注した。一方で、国内のソーシャルゲーム市場は変わらず大型のヒットタイトルに恵まれず、減収着地となった。

 

アド・プロセス
売上高6.51億円(前年同期比7.7%減)。引き続き闇バイトなどデジタル広告市場における時流に即した需要を捉え、新規顧客開拓に注力した他、消費者庁 「インターネット通信販売等適正化事業」 を受注したものの、既存顧客の売上高の減少を吸収できず、減収での着地となった。

 

サイバーセキュリティ
売上高4.77億円(前年同期比1.0%増)。クラウド型WAFの拡販が伸長するとともに、コンサルティングサービスの売上高が前年同期比で増加。また、事業責任者及び営業責任者の採用を行い、引き続きサイバーセキュリティ事業の体制強化を図るとともに、簡易診断の開発に着手するなど市場の変化への対応に注力。さらに、採用、教育の強化やマーケティング施策を実施するとともに、チェンジHDとの共同提案等の取り組みに注力。加えて、中堅・中小企業向けのサイバーセキュリティ対策の支援を目的にSMBCサイバーフロント社への出資を行うなど今後の成長加速に向けた取り組みを優先的に進めた結果、小幅な増収での着地となった。

 

その他
売上高3.01億円(前年同期比21.2%減)。完全子会社であるEGテスティングサービス社が、30年以上の経験とノウハウ、そして信頼と実績に裏打ちされた高品質なサービスを訴求し、深耕営業、新規開拓に取り組んだものの、案件獲得が計画通り進まず減収着地となった。

 

2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

24年9月

25年3月

 

24年9月

25年3月

現預金

10,402

10,320

未払金・未払費用

824

759

売掛金

1,342

1,527

未払法人税・未払消費税等

646

517

流動資産

11,870

12,027

賞与・役員株式給付引当金

208

215

有形固定資産

570

532

有利子負債

-

-

無形固定資産

417

342

負債

1,956

1,708

投資その他

502

523

純資産

11,404

11,717

固定資産

1,490

1,398

負債・純資産合計

13,360

13,425

* 単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

上期末の流動資産は前期末との比較で1.56億円増の120.27億円。現預金がやや減少した一方、売掛金が増加したことが背景となっている。なお、有形固定資産とのれんの減少を主な理由として、固定資産全体も減少した。負債は同2.48億円減の17.08億円。純資産については剰余金の配当を実施した一方、親会社株主に帰属する中間純利益の計上によって、前期末との比較で3.13億円増の117.17億円になった。なお、自己資本比率は同1.9pt増の87.3%(前期末85.4%)。

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

24/9期上期

25/9期上期

増減

前年同期比

営業キャッシュ・フロー(A)

693

296

-397

-57.3%

投資キャッシュ・フロー(B)

-30

-41

-11

-

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

663

255

-408

-61.5%

財務キャッシュ・フロー

2,957

-339

-3,297

-

現金及び現金同等物期末残高

9,377

10,320

+943

+10.1%

* 単位:百万円

 

税金等調整前中間純利益が9.33億円(前年同期8.07億円)と前年同期から増加したものの、法人税等の支払額、売上債権等の増加によって営業CF自体は縮小。投資CFのマイナス幅も若干拡大した結果、フリーCFは大幅に縮小した。なお、財務CFは株式の発行による収入の剥落に加え、配当金の支払増加等でマイナスに転じた。キャッシュポジションについては、前年同期から厚みを増している。

3.2025年9月期業績予想

3-1 連結業績

 

24/9期 実績

構成比

25/9期 予想

構成比

前期比

売上高

11,391

100.0%

12,365

100.0%

+8.5%

営業利益

1,705

15.0%

1,819

14.7%

+6.7%

経常利益

1,708

15.0%

1,824

14.8%

+6.8%

親会社株主帰属利益

1,057

9.3%

1,220

9.9%

+15.4%

* 単位:百万円

 

前期比8.5%の増収、同6.7%の営業増益予想
売上高は前期比8.5%増の123.65億円、営業利益は同6.7%増の18.19億円の計画を据え置いている。配当計画は前期比4円増額となる年間35円、予想配当性向は33.2%。今期の取り組みとしては、期初段階で大きく3つを計画していた。まずは、「既存BPO領域」である。こちらについては、既存顧客の新規案件創出の他、伸長するEC・フリマ、Fintech関連業務の拡大に注力する。また、ゲームサポートにおけるCS取引の既存顧客に対するSNS運用、風評調査等のクロスセルも実施していく。

 

2つ目は、「エンタープライズ向けデジタルBPO領域」である。ここについては、同社はこれまで動画やゲームなどのエンターテイメント業界をメインターゲットにしていたこともあり、あまり取り組めていなかった領域となっている。一方、チェンジHDは、大手の金融機関やメーカーがいる他、ふるさとチョイスを通じて97%の自治体と繋がっている強みがあり、シナジー発揮する中で一緒になって開拓していく方針だ。具体的には、大企業、公的機関などのチェンジHDの顧客に対するEGサービスの展開を図る他、チェンジHDのDXコンサルと同社のデジタルBPOの連携による新規顧客創出にも取り組む。

 

3つ目は、「サイバーセキュリティ」だ。こちらは、セキュリティエンジニアの採用拡大、育成を進める他、マーケティング施策の精度向上による脆弱性診断、WAFの販売促進に傾注して業績貢献を強める計画である。加えて、既存サービスである脆弱性診断、WAF、コンサルティングサービスを軸に、市場の需要に応じてワンストップでサイバーセキュリティサービスを提供できるよう、サービスラインナップの拡充を続ける。

 

下期以降の取り組みとしては、BPO領域では「ゲームサポートの拡大」「官公庁案件の獲得」に注力することを掲げている。サイバーセキュリティ領域では、2つの課題を認識している。1つ目の課題は①高価格、高品質な脆弱性診断から安価なツール診断への移行がみられているという点だ。こちらについては、少し前から会社側としても市場動向として認識していたものの、想定より移行の流れが速かった面もあり、早急にコストパフォーマンスの高い診断サービスを創出することで対応を進める方針だ。また、2つ目の課題は②新規顧客獲得を目的としたリード不足だ。こちらもセキュリティ研修、E-learningコンテンツの整備などを通じて、間口を確保することを目指し、その上でWAF等の商材を念頭に置いたアップセル、クロスセルを積極的に展開していく。

 

(同社資料より)

(同社資料より)

 

4.今後の注目点

全体感としては、前期末の段階で「営業力の強化」「粗利改善」の兆しが見えていたが、小幅ながら増収を維持しつつ、引き続き粗利率の良化が続いており、施策が効いてきている印象。上期計画は減益見込みだったところ、各段階利益で上振れて着地した。ただし、セグメント別で見るとソーシャルサポートのみが2桁増収、ここまで成長エンジンとなっていたサイバーセキュリティの足踏みがみられるなど、強気一辺倒に傾きにくい状況だろう。実際、売上高ベースでは上期計画に若干未達だ。人手不足の中、受注案件の必要人員数未達で案件の開始が遅れ、対応件数の減少に繋がったことが背景にある。同社がセンターを持っている熊本ではTSMCの工場建設、大阪では大阪万博とそれぞれの要因の影響を受けて、人材調達が難化していたと説明会の中で追加補足があった。4月23日リリースの通り、タイミーとの取り組みを対応策として既に開始しており、人材確保の安定化が図られるか注視したい。

 

また、求人サイト運営事業者や一般企業向けに、SNSや求人サイトなどに掲載された闇バイトの募集情報を検知する「闇バイト求人検知サービス」を提供開始すると2025年1月22日付で発表している。2025年2月17日には、三井住友フィナンシャルグループ、MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上火災保険、サイリーグホールディングス、イー・ガーディアンの4社は、株主間契約を締結し、企業のサイバーセキュリティ対策を支援するSMBCサイバーフロント社を設立したと発表。2025年3月31日からは、フィッシング詐欺等に悪用される偽サイトを検知・通報する「フェイクサイトテイクダウン」を提供開始するなど、ソーシャルサポート、サイバーセキュリティ関連の取り組みを進めている。種まき自体は活発とみられ、高成長回帰となるか注視したい。加えて、チェンジHDとの協業についても一段の具体的なシナジーが期待される局面だろう。

 

(同社資料より)

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

7名、うち社外3名

 

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2024年12月20日)
基本的な考え方
当社は、コーポレート・ガバナンスの基本的な目的を企業価値の安定的な増大と株主重視の立場に立って経営の健全性の確保と透明性を高めることであると認識しております。そのために、財務の健全性を追求すること、タイムリーディスクロージャーに対応した開示体制を構築すること、取締役及び独立性の高い社外取締役が経営の最高意思決定機関として法令に定める重要事項の決定機能及び各取締役の業務執行に対しての監督責任を果たすことを経営の最重要方針としております。また、コーポレート・ガバナンスの効果を上げるため、内部統制システム及び管理部門の強化を推進し、徹底したコンプライアンス重視の意識の強化とその定着を全社的に推進してまいります。

 

また、当社は、以下の5点をコーポレート・ガバナンスの基本方針として掲げております。

・全ての株主に対して実質的な平等性を確保するとともに、株主の権利の確保と適切な権利行使に資するための環境整備を行います。
・株主をはじめとする全てのステークホルダーとの適切な協働を実践するため、ステークホルダーの権利・立場や企業倫理を尊重する企業風土の醸成に努めます。
・法令に基づく開示以外にも、株主をはじめとするステークホルダーにとって重要と判断される情報(非財務情報も含む)を、様々な手段により積極的に開示を行います。
・取締役会は、取締役の職務執行に対する独立性の高い監督体制を構築し、経営の健全性の確保と透明性の高い経営の実現に取り組みます。
・総務部を中心とするIR体制を整備し、株主や投資家との対話の場を設けます。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【補充原則4-1-2 中期経営計画】
当社では、激しく変化するインターネットビジネス分野において、中期的な業績予測を掲げることは、必ずしもステークホルダーの適切な判断に資するものではないとの立場から、数値目標をコミットメントする中期経営計画は公表しておりませんが、経営陣は中期経営計画を定めるとともに、その進捗状況の確認、分析を行っております。取締役会は、その中期経営計画を決議するとともに、進捗状況や分析結果について報告を受け、監視、監督をすることとしております。

 

【補充原則4-1-3 最高経営責任者等の後継者の計画】
取締役の選任・選定については、指名・報酬委員会の諮問により、社外取締役からの客観的な意見も踏まえて指名することで、透明性・公平性の高い手続きを行っております。また、代表取締役は年齢的にも若いため、具体的な後継者の計画は策定しておりませんが、今後、その要否を含めて、指名・報酬委員会による検討及び取締役会における各取締役の行動・発言等の中から、将来の最高経営責任者の候補者を見極めていきたいと考えております。

 

<開示している主な原則>
【原則1-4 政策保有株式】
当社は、事業戦略、取引関係などを総合的に勘案し、中長期的な観点から当社グループの企業価値の向上に資することを確認したうえで上場株式を新規保有し、また、継続保有する場合は毎年判断することとしております。その議決権行使は、中長期的な視点で企業価値向上につながるか、または当社の株式保有の意義が損なわれないかを判断基準として行うこととしております。なお、現在、当社は政策保有に係る株式は保有しておりません。

 

【原則1-7 関連当事者間の取引】
当社は、当社役員、及び当社役員が実質的に支配する法人との取引を行う場合は、法令および当社「取締役会規則」および「取締役会付議事項」の定めに従い、第三者との取締役会にて承認、確認等を行っております。また、親会社である株式会社チェンジホールディングスとその連結子会社との取引については、「グループ間取引に関するガイドライン」を定め、第三者との間で実施する同一、同種又は類似の取引と比較して不当に有利又は不利な条件での取引の禁止や、利益または損失・リスクの移転を目的とする取引の禁止を明確にしており、双方の株主の利益を不当に害さぬよう努めております。
なお、当社は独立社外取締役で構成される特別委員会を設置しており、親会社、そのグループ会社との重要な取引等について、審議し、取締役会に対して答申を行うこととしております。加えて、当社役員全員、株式会社チェンジホールディングスに対して、毎年1回、関連当事者間取引の有無について、確認をするアンケート調査を実施しており、関連当事者間の取引について管理する体制を構築しております。

 

【補充原則2-4-1 中核人材の登用等における多様性の確保】
当社は、中核人材の登用等に際し、人種・国籍・性別等による区別を行わず、個々の能力や実績を重視した人物本位の登用を行っております。また、当社は、管理者育成研修の実施や、昇進基準の整備、育児休暇等の社内整備を行うことで、中核人材の多様性の確保に努めております。女性の中核人材への登用に関しましては、女性活躍推進法に基づく行動計画を作成しており、管理職に占める女性割合を30%以上とすることを目標としております。なお、2024年9月末時点の当該女性割合は15.4%となっております。中途採用・外国人の中核人材への登用に関しましては、属性ごとに具体的な数値目標を設定しておりませんが、中長期的な企業価値の向上の観点から策定を検討してまいります。

 

【補充原則3-1-3 サステナビリティについての取り組み等】
当社は、サステナビリティを巡る課題については、当社が社会的責任を果たしつつ中長期的な企業価値向上を図るうえで極めて重要な経営課題だと認識しております。当社は取締役会における監督のもと、各事業部においてサステナビリティに関する具体的な施策等の推進及びリスク管理を行い、またサステナビリティに関する情報収集及びリスク・機会の評価並びに管理を行っております。具体的な取組みとしては、事業所における電気使用量及び温室効果ガス削減等の各種取り組み、階層別研修の実施や資格取得支援制度、正社員登用制度等の各種取り組みを行っており、その他の取り組み等につきましても有価証券報告書に記載の通りでございます。

 

【補充原則4-11-1 取締役会の構成】
当社の取締役会は、当社事業に精通した業務執行取締役と、法律、財務・税務等の専門性の素養を有する社外取締役で構成されております。また、「定款」で定める監査等委員である取締役4名以内、監査等委員以外の取締役10名以内の員数の範囲で構成され、実効性ある議論を行うのに適正な規模、また、各事業に伴う知識、経験、能力等のバランスを配慮し多様性を確保した人員で構成することを基本的な考え方としております。現在は、当社事業の各分野に精通した取締役4名に加え、専門的分野で相当程度の知見と経験を有する独立社外取締役3名の計7名で構成しております。当社の取締役の選任は、【原則3-1】(ⅳ)記載のとおりであり、株主総会招集ご通知参考書類に取締役のスキルマトリックスを開示しております。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社では、総務部管掌役員が、IR担当部署である総務部を統括し、IR活動を行うこととしております。株主や投資家に対しては、個別面談に加えて、経営トップによる決算説明の動画配信を半期に1回行っております。加えてこれらの資料公開をWebサイト上にて実施し、積極的に情報開示を行うこととしております。なお、株主との対話においては、インサイダー情報の漏洩防止に留意しております。2024年度においては、国内外の機関投資家を中心に個別面談を実施しております。対話におけるテーマは、業績トレンド、マーケット動向、資本政策等多岐にわたり、これらの内容は適宜、経営会議等で報告するとともに今後の経営の参考にしております。

 

【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】
当社は、資本コストや株価への意識は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するために重要であると認識しております。当社の資本収益性(ROE)は11.3%、PBRは1倍を上回っており、いずれも一般的に優良と判断される基準を達成していると考えております。その結果、各指標の具体的な目標値を設定はしておりませんが、今後も高い収益を安定的に獲得できるよう、各指標については定期的なモニタリングを行い、更なる向上を目指して参ります。

 

 

 

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