ブリッジレポート:(5162)朝日ラバー 2025年3月期決算
![]() 渡邉 陽一郎 社長 | 株式会社 朝日ラバー(5162) |
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企業情報
市場 | 東証スタンダード市場 |
業種 | ゴム製品(製造業) |
代表取締役社長 | 渡邉 陽一郎 |
所在地 | 埼玉県さいたま市大宮区土手町2-7-2 |
決算月 | 3月 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数(自己株式を控除) | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
588円 | 4,562,875株 | 2,682百万円 | -4.8% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
20.00円 | 3.4% | 23.45円 | 25.0倍 | 1,069.60円 | 0.5倍 |
*株価6/5終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式を控除。
* BPS、ROEは、2025年3月期実績、DPS、EPSは、2026年3月期会社予想。
業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 | EPS | 配当 |
2022年3月(実) | 7,024 | 291 | 313 | 238 | 52.56 | 20.00 |
2023年3月(実) | 7,205 | 185 | 194 | 203 | 44.75 | 20.00 |
2024年3月(実) | 7,180 | 156 | 195 | 133 | 29.38 | 20.00 |
2025年3月(実) | 7,639 | 2 | 31 | -236 | -51.74 | 20.00 |
2026年3月(予) | 7,643 | 160 | 159 | 107 | 23.45 | 20.00 |
*単位:百万円、円。
(株)朝日ラバーの2025年3月期決算の概要等をブリッジレポートにてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.中期経営計画
3.2025年3月期決算概要
4.202年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 25/3期は前期比6.4%の増収、同84.0%の経常減益。売上面では、自動車内装照明用のASA COLOR LEDで日系自動車メーカーの中国市場での生産体制の見直しを受け受注が減少したものの、自動車向けのスイッチ用関連製品の受注が増加したことなどにより、売上高が前期比で増加した。一方、利益面では、第2四半期までに新規開発製品のコストが増加したことに加え、既存製品の工場移管の費用を計上したことが影響し各段階利益が前期比で減少した。
- 26/3期の会社計画は前期比横ばいの売上高、同409.8%の経常増益の予想。売上面では、工業用ゴム事業はスイッチ用製品と卓球ラケット用ラバーの受注が堅調に推移するものの、ASA COLOR LEDとRFIDタグ用ゴム製品の受注が減少し減収となる見込み。一方、医療・衛生用ゴム事業の受注は堅調に推移する見込みで増収を計画。利益面では、売上高の増加により大幅な増益となる見込みである。配当予想は前期と同額の1株当たり年20円(上期末10円、下期末10円)の予定。配当性向は85.3%となる。
- 医療シミュレータと自動車向けのスイッチ用製品が育ってきている。これまで、ASA COLOR LEDの好不調に業績が振らされる同社であったが、新製品の拡大により今後事業ポートフォリオの分散が図られる可能性が高い。26/3期においても医療・ライフサイエンス事業では、採血用・薬液混注用ゴム栓、ARチェックバルブなどゴム製品の受注が引き続き堅調に推移する他、医療シミュレータの受注も増加し、過去最高の売上高を更新する見込みである。加えて、前期に量産をスタートした自動車向けのスイッチ用製品もさらに受注が拡大する見込みである。現在積極的に拡売を目指している医療シミュレータと自動車向けのスイッチ用製品の受注が順調に拡大するのか注目される。
1.会社概要
小型電球やLEDに被せる事で様々な発色を可能にする被覆用ゴム製品を主力とする。自動車の内装用照明を中心に、携帯用通信機器、電子・電気機器、産業機器、スポーツ用等、幅広い分野で利用されている。シリコーン(ゴム状の合成樹脂)材料の配合技術と調色技術に強みを有し(色と光のコントロール技術)、シリコーンゴムに蛍光体を配合したLED用ゴムキャップは、LEDの光を波長変換して色調や輝度を調節できるため、10,000色以上の光を出す事やLEDの課題である光のばらつきを均一化する事が可能。また、医療・衛生用ゴム製品や硬質ゴムと軟質ゴムの複合製品等も配合技術を活かしてそれぞれの用途にあったゴム質を実現している。
グループは、同社の他、ゴム・プラスチック等の研究開発を行う(株)朝日FR研究所、米国の販売会社Asahi Crosslink Corporation、及び工業用ゴム製品の販売を手掛ける朝日橡膠(香港)有限公司、工業用ゴム製品の製造・販売を手掛ける東莞朝日精密橡膠制品有限公司、及び工業用ゴム製品の開発・設計・販売を手掛ける朝日科技(上海)有限公司、医療機器・医療機器用製品の販売を行う(株)朝日フロントメディックの連結子会社6社からなる。
【経営方針】
◎社訓
個性を重視し、特徴ある企業に高めよう一、豊かな人間関係、生活の向上を目指し、社会に奉仕しよう
◎経営基本方針
同社グループは、“志”を持った方々が集まり、その志を果たすために、自らの能力を最大限発揮するとともに、その志を果たすために、一人ひとりの仕事が、会社を通じ、社会に貢献するものでなければならないことをしっかりと認識する必要がある。
同社で働く一人ひとりが社会人としての良識や判断力を持ち、人間として成長する努力を続け、朝日ラバーが作り出す製品やサービスは社会の人々に直接、間接的な形で快適さや便利性、そして健康や介護に役立つもので、多くの方々に満足いただけるものである必要がある。
同社は、この様に多くのお客様を始めとし広く社会全体に奉仕、貢献すること、そして、人間として成長をしていくことによって、“自らの志を果たす”という思いを持った社員の方々と、社会全体を結びつけるために存在している。
同社は、この存在理由や会社としての使命や目的といったものを、社訓として表現し、社訓の意味するところを経営の基本方針として位置づけし、あらゆる経営活動においての基本的な考え方、進むべき方向、目標とすべきものとしている。
◎企業行動指針
同社グループは、創業の企業理念と使命の下、企業活動を行っていくうえで、役員と社員が遵守すべき行動指針を定めている。
役員は、その統制環境が与える影響力を深く認識し、誠実性と倫理観によって法令遵守を率先垂範し、社員への周知徹底とグループ内体制の実効あるコーポレート・ガバナンスを推進する。また、役員は、この企業行動指針に反する事象が発生した場合においては、自らの責任において問題解決に当たるとともに、原因究明と適切な措置・改善を図り、再発を防止し、健全で活力ある企業経営を目指して前進する。
社員は、同社の企業理念と使命の下、自己研鑽に励み、企業目標と自己実現のために、真摯に、懸命に努力していく。
1.社員の人格と個性を尊重します
2.特徴ある企業を目指します
3.豊かな人間関係を築きます
4.会社の発展と生活の向上を目指します
5.企業活動を通じて社会への貢献をします
6.コンプライアンスを推進します
7.ステークホルダーを尊重します
8.環境への配慮、安全、安心を確保します
【連結業績の推移】

【中期事業分野】
事業分野 | 用途 | 方針 |
光学事業 | ・車載内装向けのLED照明 ・殺菌装置用レンズ ・一般照明向けの高反射塗料 など | 当社のコア技術である「色と光のコントロール技術」と「素材変性技術」を用いて、今までにない光の可能性を追求した高付加価値製品を提供する。 |
医療・ライフ サイエンス事業 | ・三方活栓などに使用されている 薬液混注用ゴム栓 ・あらかじめ薬液が充填された注射 器に用いられるガスケット など | 従来の医療器具の部材の領域に加え、診断・治療分野や理化学機器分野に対して設計開発から関わる事で新たな価値を提供する。 |
機能事業 | ・車載スイッチ用ラバー ・卓球ラケット用ラバー ・風車に取り付ける機能部品 など | サーモモジュールや風車製品といった応用製品の拡大を目指すとともに、継続した製品開発にも着実に取り組む。 |
通信事業 | ・RFIDといった通信製品を保護するやわらか保護カバー ・少ない応力で伸縮する伸縮配線 など | 世の中でも使用される機会の増えた自動認識や通信機器の分野に対し、“ゴム”の力でつながる社会に貢献する。 |
【事業内容と主要製品】
事業は、自動車のスピードメーターや内装照明の光源向けの「ASA COLOR LED」や各種センサ向けのレンズ製品「ASA COLOR LENS」、或いは弱電製品に使われる応用製品、更にはスポーツ用ゴム製品(反発弾性、高摩擦抵抗等を追及した高品質の卓球ラケット用ラバー)等の工業用ゴム事業、点滴輸液バッグ用ゴム栓や真空採血管用ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケット等、使い捨てのディスポーザブル用ゴム製品の医療・衛生用ゴム事業に分かれ、24/3期の売上構成比は、それぞれ78.6%、21.4%。今後は、RFIDタグ用ゴム製品、ASA COLOR LENS、医療回路製品用ゴム部品などの販売拡大が期待される。
◎ASA COLOR LED
ASA COLOR LEDとは、青色LEDに蛍光体を配合したキャップを被せた高品質LED。シリコーンゴムキャップ内の蛍光体を調合する事で多彩な色度を創りだすことができる。色度座標をはじめ、相関色温度、色温度偏差で色度規格を設定し、顧客の要望に沿った規格を提案している。すべて日本国内で生産しており、販売開始から19年で売り上げ数23億個を突破。これまで自動車メーカー 計19社(日本9社、欧州7社、北米3社)、150車種以上に採用されている。高品質な色合わせ技術が武器で、①実機を元に、最適な色と明るさのLED選定を手伝う「色合わせ」サービス、②実機の発光面周辺の塗装色や発光面積を加味した、目視による色合せ、③顧客の設計スケジュールに合わせたスピーディーな対応、が可能である。LEDを波長ランクごとに分類・選別しており、ランクに合わせた色のキャップを被せることで色・光度のばらつきを低減。自動車内装照明用に10,000色以上の均質な光を提供。顧客に要求される均一な色を実現している。
ASACOLOR LEDは、主に自動車の内装に採用されている。用途としては、スピードメーター照明・ナビコントロール関連・スイッチ関連・オーディオ関連となっている。

(同社決算説明会資料より)
◎医療用ゴム製品
点滴輸液バッグ用ゴム栓、真空採血管ゴム栓、薬液混注ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケットなど、医療現場で用いられるディスポーザブル商品に使用される。安全性の高い材料を開発し、独自のコーティング技術で“漏れない”と“滑る”を両立し、注射速度の微妙な調節が可能。素材変性技術による安全性の高い材料と表面改質技術による摺動性の向上により、医療ミス防止などの安全性向上に貢献している。
プレフィルドシリンジ向けガスケット(左)とARチェックバルブ(右)

(同社決算説明会資料より)
・RFIDタグ用ゴム製品
RFIDタグ用ゴム製品は、溶剤を使わずに接着させる“分子接着・接合技術”を応用し、IC チップやアンテナ部をゴム素材で覆い、折り曲げに強く、耐水性、耐熱性に優れた、柔らかい小型のRFIDを提供。取り付ける対象がどのようなものかを記憶し、認識させる機能で、今後成長が期待される認証・認識ビジネスに対応。ゴムという弾性体の特徴を生かして、RFIDが使用できなかった用途への利用が可能に。さらに応用し市場拡大を進める。
RFIDタグ用ゴム製品のイメージ

(同社決算説明会資料より)
・卓球ラケット用ラバーのイメージ
球を高速で弾く反発弾性、強烈なスピンをかける高摩擦抵抗などを追及した高性能、高品質の製品。

(同社決算説明会資料より)
*同社では、製造委託のみを行っており、卓球ラケット用ラバーの販売は行っていない。
【コア技術(制御と感性)】
同社は、独自の競争力の源泉である「色と光のコントロール技術」「表面改質及びマイクロ加工技術」「素材変性技術」の3つのコア技術に、「制御と感性」を成長のキーワードとして追加し、人の健康を含めた環境問題の解決に役立つ商品、新たなグリーン市場を創出する画期的な商品にとって、なくてはならないパーツを創り、顧客の期待にクオリティと経済性で応えている。

(同社ウェブサイトより)
色と光のコントロール技術 |
様々な色をつくり出したり、色調を精密に整えるばかりでなく、透明なシリコーン樹脂に集光・拡散という光学的機能を持たせ光をコントールする技術。この技術でつくられた製品はASACOLORブランドを冠し、日米で商標登録した。 ◆調色・色調管理 「ASA COLOR LED」-LEDが持つ環境性能と同社のコア技術がコラボレート。 ◆光学設計 「ASA COLOR LENS」-耐熱性、耐紫外線性に優れ、軽くて光学特性を持つ。 |
素材変性技術 |
ゴムをはじめとするソフトマテリアルは、素材に添加物を配合することで求める機能を持たせることができる。さらに、ナノ・分子レベルで成形することによりその機能をパワーアップすることもできる。これらの技術は、素材変性技術と呼ばれている。 ◆ナノ・分子レベルの加硫配合 「電磁波制御体」-可能性広がるラバーファントム。 ◆ナノ・分子レベルの加硫配合 「サポラス」-化学発泡剤を使わずに発泡する技術。 |
表面改質およびマイクロ加工技術 |
素材の表面を改質処理することによって接着させたり、微細な加工を施すことで機能を持たせる技術。素材変性技術が中身に機能を持たせるのに対し、外側から機能を発揮させる技術。 ◆無溶剤接着ICタグ-折り曲げに強く、耐水性・耐熱性に優れ、小型化された新ソフトICタグ。 ◆マイクロ加工 「医療器具の薬液混注ゴム栓」-点滴の輸液バッグの、針を刺すゴム栓。ここにマイクロ加工 技術が活きている。 |
【強み】
◎柔軟な対応力
同社は、長年にわたりOEM製品に携わってきた経験から、顧客の求める仕様にフレキシブルに対応している。ゴムにかかわらず新しい要素を積極的に取り入れることで、OEMからODMへの変革を進めながら、自動車、医療、通信など幅広い分野に対して様々な製品を展開している。
◎確かな技術力
同社では、コアとなる3つの技術をベースとしてQCDSEのあらゆる角度から製品を提案している。多様な製品開発にかかわる中で蓄積した技術は裾野が広いため、ゴムに縛られない製品の企画・提案やコラボレーションにも積極的に取り組んでいる。
◎誠実な姿勢
これまでの経験では解決することが難しくても、解決の方法を探究し、挑戦してきたことで「朝日ラバーだったら何とかしてくれる」という言葉を得て、同社は大きく成長した。これからも顧客に寄り添いながら、困りごとに真摯に向きあっていく。
【開発体制】
同社は、技術・営業・研究の連携を強化し、会社としての総合力を発揮できるような開発体制を整えている。新規分野の事業や新製品の創出と技術基盤の強化を目的として、社内外の技術の融合や先端技術の取り込みによる「戦略的育成テーマ」を推進している。

(同社ウェブサイトより)
【サステナビリティビジョン2030】
同社は、「ゴムが持つ無限の可能性で未来を創り持続可能で明るく快適で豊かな社会の実現に貢献します」とするサステナビリティビジョン2030を定めた。ゴムには無限の可能性が秘められている。同社はさまざまなパートナーとともにその可能性をさらに追求していくことで、社会課題を解決し、人々の生活を豊かにするような価値を生み出す会社であり続ける。

(同社ウェブサイトより)
SDGs/ESGへの関心が高まるなか、改めて社会における自社の存在意義を見直した。その結果、会社は社会のためにあるべきものであり、「人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社」という将来像を見据えた、2030年までの長期ビジョン「AR-2030VISION」を定めた。同社はかねてから、生活の向上と社会に奉仕することを社訓として事業活動を行ってきましたが、AR-2030VISIONではSDGs/ESGを経営の軸に置くことをより明確にした。また、世界共通の目標であるSDGs達成のためにはさまざまなパートナーとの共創が不可欠と考え、「ステークホルダー・エンゲージメントを高める」という行動指針を定めた。今後もゴムが持つ無限の可能性を追求することで同社らしい価値を磨き、事業を通じて社会に貢献する会社であり続ける。
◎環境(方針・実績/KPI)
環境問題が人類共通の重要課題であることを認識し、「環境にやさしいものづくり」をスローガンとして、地球環境保全と社会への貢献を目指して活動する。

(同社ウェブサイトより)
◎社会(方針・実績/KPI)
働きがいのある職場環境で従業員一人ひとりが生き生きと活躍することで、顧客が満足できる製品を提供し続ける。

(同社ウェブサイトより)
◎SDGsへの貢献
同社は、「AR-2030VISION」で掲げたビジョン「社会に貢献する企業として成長し続ける」ために、まず社会ニーズを認識し事業の方向性を定めることが必須と考えている。サステナビリティビジョン2030を策定するにあたり、同社が得意とするコア技術で期待されるイノベーションが、どのSDGsに貢献できるかを整理した。そしてさまざまなステークホルダーとの対話やパートナーとして事業を推進することで価値を共創していく。

(同社ウェブサイトより)
2.中期経営計画
同社は、中期経営計画を策定するにあたり、「私たちは人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社になる」ことを未来に通ずる姿とし、朝日ラバーらしい価値を磨き、独自の新製品開発による成長を描くため、2030年を見据えたビジョン「AR-2030VISION」を定めた。具体的な内容は、以下の通り。
【AR-2030VISION】
弾性無限の創造で持続的な価値向上がつながる社会に貢献する企業へと成長し続ける
【経営基盤】
SDGs/ESG経営へ ―グローバルな社会課題に挑戦する企業へと邁進しますー
【行動指針】
ステークホルダー・エンゲージメントを高めること
【技術基盤】
制御&感性へ -ゴムが有する無限の可能性に感性技術を加えてQOL向上を目指します-
独自の競争力の源泉となるコア技術は、色と光のコントロール技術、素材変性技術、表面改質およびマイクロ加工技術としている。それらコア技術に対して新たに感性技術を融合させ、現実世界・サイバー空間がシームレスにつながる世界において、それぞれの事業分野における「人と機械(システム)のつながり」を成長の視点と捉え、新たな価値の創造をもって社会課題の解決に挑む。
【事業基盤】
重点4事業分野へ -事業価値を高め続けて10年後にありたい姿の実現を目指します-
これまでの重点3事業分野(車載・照明事業、医療・ライフサイエンス事業、その他事業)について社会が求める2030年の環境から見つめ直すとともに、将来に「実装化」が想定されるテクノロジーを見通しながら、光学事業、医療・ライフサイエンス事業、機能事業、通信事業の重点4事業分野に集中して10年後にありたい姿の実現を目指す。
新中期経営計画(第14次三ヵ年中期経営計画)
同社は、AR-2030VISIONの実現に向けて、第2のステージの2026年3月期までの2024年4月~2026年3月を第14次中期三ヵ年として、中期経営計画を策定した。中期経営方針、テーマ、スローガン、中期経営戦略、及び数値目標は、以下の通りである。
<中期経営方針:魅力を高めて新たな価値を提供しよう>
<テーマ:後継・Well-being>
<スローガン 「新しいカタチ」に向かって 挑戦>
<中期経営戦略>
①事業活動の深化・進化・新化
②スマートファクトリーの実践
③Well-beingを高める
④地域社会貢献
<26/3期数値目標>
売上高 | 85億円以上 |
営業利益率 | 5%以上 |
また、第14次三ヵ年中期経営計画では、エンゲージメント強化により、EX(従業員体験)を通じて従業員やステークホルダーの価値向上を図るとともに、CX(顧客体験)を通じて顧客の価値向上を実現する。更に、単品からモジュールへ、更には完成品へ売上構成の転換を図り、生産のみを行うOEM企業から、設計・生産まで行うODM企業への進化を図る。自らが価値「価格」をコントロールすることが目的であり、同社の独自の技術による付加価値を、ゴム単品の配合・成形からモジュールや完成品を提供できるように進化させることで、「弾性無限」の可能性を製品に表現した新たな価値をもって市場参入機会を増やし、社会に貢献していく。


(1)重点事業分野の取り組み
◎光学事業 23/3期の連結売上高約26億円に対し、26/3期の売上高は30億円を計画
「再構築と挑戦」をキーワードに光の可能性を追求した高付加価値向上で市場に貢献する。
◆車載照明のみならず、通信・セキュリティ、機能性照明、殺菌用途などで標準製品の付加価値向上と複合モジュールの開発を展開する。
◎医療・ライフサイエンス事業 23/3期の連結売上高約15億円に対し、26/3期の売上高は20億円を計画
「第二の柱へ成長させる」 をキーワードに、同社らしさで世界の医療現場と患者のQOL向上に貢献する。
◆ODM設計・複合デバイスやシステム機器へ挑戦する。また、診断・治療機器を製造販売する企業を目指し、診断治療機器と診断治療デバイスへ貢献するとともに、新事業を開拓する。
◎機能事業 23/3期の連結売上高約25億円に対し、26/3期の売上高は29億円を計画
「新たな柱を創る」をキーワードに、ラストワンマイルを安心・安全につなぐ制御で貢献する。
◆サーモモジュールの開発を推進し、フェローテックマテリアルテクノロジーズ社との販売連携活動を進める。
<F-TEMの事業展開>
サーモモジュールは、ペルチェ素子、または熱電素子とも呼ばれる半導体の電子部品で、コンパクトなヒートポンプ部品として機能する。同社では、サーモモジュールに使用される素子をゴムで覆うことで、“やわらかく曲げられる”サーモモジュールを開発・販売している。従来のサーモモジュールは固いセラミックスを使用しており、曲げることができなかった。市場が変化する中で、「曲げることができれば良いのに」という顧客の声を受け、F-TEMの開発が始まった。同社は、フェローテックマテリアルテクノロジーズ社と販売特約店契約を締結し、今後F-TEMを製造するとともに、フェローテックマテリアルテクノロジーズ社製サーモモジュールの販売を行う。
◆風力発電分野において、施設や設備の完工後に、保守操業を実施するO&M(Operation and Maintenance)を事業化する。
◎通信事業 23/3期の連結売上高約6億円に対し、26/3期の売上高は6億円を計画
「基礎基盤を固める」をキーワードに、伝える・伝わる価値でつながる社会に貢献する。
◆「モノ・センサ・通信規格・情報処理アプリケーション」を駆使し、新たな社会価値への取り組みに参画してスマート社会の発展に貢献する。病院向けでは施設内のIoT機器などを、交通インフラ向けでは保護・施工管理などを、環境センシングでは農業スマート化、発電設備の故障検知などを対象とする。
(2)EX(従業員体験)の取り組み
EXの推進により、成長基盤を構築し、社員全員で「好きのカタチ」を築く。
成長エンジン <スマートファクトリーの実践> | ◆ものづくりの自動化・合理化・省人化 ◆内外作政策の促進 ◆設計技術、生産技術の強化 ◆知的財産力を高める |
地球と太くつながる <地域社会貢献> | ◆地域の方々との交流 ◆地域活性化への支援 |
来たくなる会社 <well-beingの向上> | ◆従業員の声を聞き反映させていく環境と体制整備 ◆ワークライフバランスの向上 ◆健康、福利厚生活動の充実 ◆ITを利用した業務改善と働く環境整備 |
無形資産価値の向上 <非財務情報の向上・開示> | ◆人材育成計画に基づく活動 ◆労働環境の整備 ◆温室効果ガス削減活動 ◆コンプライアンス実行力を高める |
(3)24/3期の主な取り組み
◎医療・ライフサイエンス事業
【手技シミュレータ関係】
大腸内視鏡シミュレーター mikoto | 穿刺トレーニング レベラップ | 心臓の血管位置を学ぶ CAトレーナー |
大腸の内視鏡手術をトレーニング するためのシミュレータ。内視鏡のリアルな挿入感と術中の様子を採点できる機能によって、手技レベル向上を図ることができる。 | 採血など穿刺を練習するためのトレーニングモデル。実際の注射器を使用し、穿刺~採血までの流れを一通りトレーニングすることがでる。 | X線画像では分かりにくい心臓の 周りの血管を学ぶための学習用 ツール。このモデルと実際のX線 撮影画像を照らし合わせることで、どの血管がどこにあるのかを正しく理解することができる。 |
鳥取大学発ベンチャー R0社と 共同開発 | 近畿大学、タナック社と 共同開発 | 国際医療看護福祉大学校と 共同開発 |
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(同社決算説明会資料より)
同社は、今後手技シミュレータ分野への取り組みを通じて、医療現場に関わる人達との接点を増やし、市場の課題とニーズに触れて、同社が事業オーナーとして参画できる分野を見出す。また、引き続き既存顧客との取り組みを継続し、付加価値のある製品を提案する活動を進めるとともに、既存製品・新製品のさらなる拡売のため、新規顧客の開拓にも注力する。更に同社だからできた付加価値のある製品を、国内外含めて広く拡売する方針である。
【今後の拡大】
同社は、2023年4月から第14次三ヵ年中期経営計画をスタートし、光学事業、医療・ライフサイエンス事業、機能事業、通信事業の4事業の成長による企業価値の向上に努めている。そのうち、医療・ライフサイエンス事業は、「朝日らしさで世界の医療現場と患者のQOL向上に貢献する」をビジョンとし、光学事業に続く収益の第二の柱として成長すべく活動を続けている。
第二福島工場の増築 | 今後の開発製品の受注見通しを踏まえて、第二福島工場の生産能力を増強させるために、同工場の増築のタイミングを図る。 |
販売子会社の設立 | 35年にわたる実績を基盤に、医療分野の最前線でメーカー機能とネットワークを活かした提案・サービスを進めていくことが、医療・ライフサイエンス事業の拡大に寄与すると判断し、商社機能を持った新たな販売子会社の設立を決定し、2024 年8月8日に設立登記した。 |
◎機能事業
【筋電計測スターターキット】
ナノシート電極 | 伸縮配線 |
ナノシート電極は生体適合性を持つシリコーンゴムと導電性高分子で構成された極薄の電極。シートの厚みは1,000nm以下で接着剤を仕様せず水のみで肌へ貼り付けることができる。 | フィルム状の配線表面にシリコーンゴムを同社独自の分子接着接合技術を用いて被覆させ、立体的に構造変化するよう「切り紙」加工された配線。ゴムの復元力により低応力で伸縮させることができる。 |
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(同社決算説明会資料より)
筋電計測スターターキットでは、同社の伸縮配線を使用することで、課題であった動きの範囲に関係なく測定することが可能となる。また、極薄のナノシート電極を用いることにより、 今まで測定が難しかった表面の凹凸が複雑な手のひらや足の裏にも電極を貼り付けて測定することが可能となった。
◎通信事業
【やわらか保護カバー】
やわらか保護カバーRFIDタグ | やわらか保護カバーEnOcean |
やわらか保護カバーRFIDタグは、単品では屋外での使用が制限されるRFIDタグをやわらか保護カバーで保護することで、工事現場や物流など過酷な屋外での使用を可能にした。中身のRFIDタグの種類を変えることで、様々な種類のRFIDタグを屋外向け仕様に することができる。 | EnOceanは、独EnOcean社が開発したバッテリー不要の無線通信規格。EnOceanデバイスの正規代理店である丸紅情報システムズ社と共同で、EnOceanを 「やわらか保護カバー」で保護し、防塵防水機能を追加した製品をラインナップした。 |
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(同社決算説明会資料より)
3.2025年3月期決算概要
(1)連結業績
| 24/3期 | 構成比 | 25/3期 | 構成比 | 前期比 |
売上高 | 7,180 | 100.0% | 7,639 | 100.0% | +6.4% |
売上総利益 | 1,678 | 23.4% | 1,605 | 21.0% | -4.4% |
販管費 | 1,522 | 21.2% | 1,602 | 21.0% | +5.3% |
営業利益 | 156 | 2.2% | 2 | 0.0% | -98.5% |
経常利益 | 195 | 2.7% | 31 | 0.4% | -84.0% |
親会社株主に帰属 する当期純利益 | 133 | 1.9% | -236 | -3.1% | - |
*単位:百万円
前期比6.4%の増収、同84.0%の経常減益
25/3期の売上高は、前期比6.4%増の76億39百万円となった。売上面では、工業用ゴム事業と医療・衛生用ゴム事業がともに主力製品の受注が増加した。工業用ゴム事業では、自動車向け製品の受注において同社採用車種の販売低迷により内装照明用のASA COLOR LEDの受注が減少したものの、機能事業の精密用ゴム製品は新規受注の拡大により売上高が増加した。また、卓球ラケット用ラバーも前期から受注増加傾向が続き売上高が増加した。一方、RFIDタグ用ゴム製品は、経済環境や生産調整影響により売上高が減少した。これにより、工業用ゴム事業の売上高は、前期比4.1%増の58億74百万円となった。また、医療・衛生用ゴム事業では、引き続き診断・治療向けの採血用・薬液混注用ゴム栓や医療用逆止弁、医療シミュレータなどの受注が増加した。これにより、医療・衛生用ゴム事業の売上高は前期比15.0%増の17億64百万円となった。
利益面では、31百万円の経常利益(前期は1億95百万円の経常利益)となった。工業用ゴム事業のセグメント利益は、上期までの機能性ゴム製品の開発製品の立上げに関するコスト、生産性合理化につながる設備投資に係るコストの計上等により、前期比62.3%減の1億14百万円となった。また、医療・衛生用ゴム事業のセグメント利益は、売上高の増加により前期比45.2%増の1億74百万円となった。売上総利益率は、21.0%と前期比2.4ポイント低下。コストダウンの実施などにより、売上高販管費率が同0.2ポイント低下。以上により、2百万円の営業利益(前期は営業利益1億56百万円)となった。また、営業外損益では、営業外収益で計上した補助金収入28百万円(前期は19百万円)と雑収入17百万円(同26百万円)が大きなものとなった。その他、工業用ゴム事業において、光学事業の内装照明用のASA COLOR LEDの事業環境や今後の業績等を勘案し、将来の回収可能性を精査した結果、減損処理が適当であると判断し2億88百万円の減損損失を特別損失で計上した。法人税等調整額(益)70百万円の計上があったものの、親会社株主に帰属する当期純損失は2億36百万円(前期は当期純利益1億33百万円)となった。

四半期業績の推移

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
25/3期第4四半期(1-3月)は、前期比で、増収減益となり、前四半期(10-12月)比でも増収減益となった。第2四半期(7-9月)に、将来に向けた開発投資、合理化投資、工場間の製造場所の移管が同時期にあり、一時的に費用が増加。第3四半期以降は回復基調となった
(2)セグメント別動向
セグメント別売上高・利益
| 24/3期 | 構成比 | 25/3期 | 構成比 | 前期比 | |
工業用ゴム事業 | 5,645 | 78.6% | 5,874 | 76.9% | +4.1% | |
医療・衛生用ゴム事業 | 1,535 | 21.4% | 1,764 | 23.1% | +15.0% | |
連結売上高 | 7,180 | 100.0% | 7,639 | 100.0% | +6.4% | |
工業用ゴム事業 | 304 | 71.7% | 114 | 39.7% | -62.3% | |
医療・衛生用ゴム事業 | 120 | 28.3% | 174 | 60.3% | +45.2% | |
全社費用 | -268 | - | -287 | - | - | |
連結営業利益 | 156 | 100.0% | 2 | 100.0% | -98.5% |
*単位:百万円
工業用ゴム事業、医療・衛生用ゴム事業とも主力製品の受注が増加した。
事業別売上高(中期事業分野別)
| 24/3期 | 構成比 | 25/3期 | 構成比 | 前期比 |
光学事業 | 2,485 | 34.6% | 2,311 | 30.3% | -7.0% |
医療・ライフサイエンス事業 | 1,563 | 21.8% | 1,774 | 23.2% | +13.5% |
機能事業 | 2,688 | 37.4% | 3,100 | 40.6% | +15.3% |
通信事業 | 442 | 6.2% | 452 | 5.9% | +2.3% |
売上高合計 | 7,180 | 100.0% | 7,639 | 100.0% | +6.4% |
*単位:百万円

(同社決算説明会資料より)

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
光学事業は、自動車内装照明用のASA COLOR LEDの受注が低調に推移し、売上高が前期比で7.0%減少した。医療・ライフサイエンス事業は、全般的に受注は堅調で、特に医療用手技シミュレータ製品の受注が増加し、売上高が同13.5%増加した。機能事業は、自動車向けのスイッチ用製品の受注が大きく増加自動車のスイッチ向け製品の受注が大きく増加し、売上高が同15.3%増加した。通信事業は、RFIDタグ用ゴム製品の受注が低水準で推移し、売上高が同2.3%の増加にとどまった。
国内・海外別売上高
| 24/3期 | 構成比 | 25/3期 | 構成比 | 前期比 |
国内 | 5,302 | 73.8% | 5,825 | 76.3% | +9.8% |
海外 | 1,878 | 26.2% | 1,814 | 23.7% | -3.4% |
アジア | 1,748,358 | 24.3% | 1,692 | 22.2% | -3.2% |
北米 | 108 | 1.5% | 92 | 1.2% | -14.6% |
欧州 | 21 | 0.3% | 29 | 0.4% | +37.0% |
合計 | 7,180 | 100.0% | 7,639 | 100.0% | +6.4% |
*単位:百万円

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
25/3期において、国内売上高は前期比9.8%の増収となった。海外売上高は規模の大きいアジアの減少が影響し、同3.4%の減収となった。
(3)主力製品の売上推移
| 23/3期 4Q | 24/3期 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 25/3期 1Q | 2Q | 3Q | 4Q |
ASA COLOR LED | 502 | 531 | 535 | 609 | 574 | 547 | 509 | 509 | 504 |
医療用ゴム製品 | 370 | 372 | 357 | 368 | 418 | 432 | 398 | 474 | 445 |
卓球ラケット用ラバー | 163 | 171 | 175 | 177 | 178 | 163 | 181 | 204 | 178 |
RFIDタグ用ゴム製品 | 75 | 83 | 89 | 83 | 84 | 69 | 78 | 69 | 58 |
*単位:百万円
25/3期において、ASA COLOR LEDの売上高は、前期比8.0%減の20億70百万円となった。国内自動車メーカーの中国市場での販売不振や生産体制見直しの影響を受け売上高が減少した。医療用ゴム製品の売上高は、同15.3%増の17億50百万円となった。ARチェックバルブや回路製品、医療用シミュレータなどの受注が好調に推移し、過去最高の売上高を更新した。卓球ラケット用ラバーの売上高は、同3.7%増の7億28百万円となった。第4四半期(1-3月)は一部調整があったものの、パリオリンピック後の受注増加傾向は変わらず通期で過去最高の売上高を更新した。RFIDタグ用ゴム製品の売上高は、同18.8%減の2億76百万円となった。北米市場での顧客の事業状況が不透明で、受注は低水準で推移した。
(4)連結子会社の動向
子会社の動向
| (株)朝日FR研究所 | 株式会社朝日フロントメディック | Asahi Crosslink Corporation | |||
| ゴム・プラスチック等の研究開発 1987年4月設立 | 医療機器・医療機器用製品の販売 2024年8月設立 | 工業用ゴム製品の販売 1999年6月設立 | |||
| 25/3期 | 前期比 | - | 前期比 | 24/12期 | 前期比 |
研究収入/売上高 | 107,400 | -3.6% | 0 | - | 105,7499 | -7.2% |
経常利益 | 20,518 | - | 0 | - | -8,407 | - |
当期純利益 | 12,851
| - | 0 | - | -8,407 | - |
円換算レート | - | - | 1米ドル=152.27円 |
| ||
| 朝日橡膠(香港)有限公司 | 東莞朝日精密橡膠制品有限公司 | 朝日科技(上海)有限公司 | |||
| 工業用ゴム製品の販売 2005年11月設立 | 工業用ゴム製品の製造・販売 2010年7月設立 | 工業用ゴム製品の開発・設計・販売 2012年1月設立 | |||
| 24/12期 | 前期比 | 24/12期 | 前期比 | 24/12期 | 前期比 |
研究収入/売上高 | 177,045 | -43.8% | 1,213,615 | +21.9% | 197,853 | -16.4% |
経常利益 | -11,671 | - | 101,238 | +90.2% | 5,838 | -21.9% |
当期純利益 | -11,671 | - | 75,311 | +65.9% | 5,519 | -22.2% |
円換算レート | 1香港ドル=19.52円 | 1人民元=21.13円 | 1人民元=21.13円 |
*単位:千円
*連結子会社のARI INTERNATIONAL CORPORATIONは、2023年4月1日付でAsahi Crosslink Corporationに社名を変更した。
東莞朝日精密橡膠制品有限公司の回復傾向が際立った。
(4)財政状態及びキャッシュ・フロー
財政状態
| 24年3月末 | 25年3月末 |
| 24年3月末 | 25年3月末 |
現預金 | 2,282 | 1,968 | 仕入債務 | 299 | 334 |
売上債権 | 1,619 | 1,650 | 短期有利子負債 | 1,004 | 1,306 |
棚卸資産 | 1,106 | 1,040 | 流動負債 | 2,611 | 2,840 |
流動資産 | 5,418 | 5,073 | 長期有利子負債 | 755 | 610 |
有形固定資産 | 3,300 | 3,486 | 固定負債 | 1,760 | 1,577 |
無形固定資産 | 57 | 41 | 純資産 | 5,042 | 4,880 |
投資その他 | 637 | 695 | 負債・純資産合計 | 9,414 | 9,299 |
固定資産・繰延資産 | 3,995 | 4,223 | 有利子負債合計 | 1,760 | 1,917 |
*単位:百万円。有利子負債=借入+リース債務
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*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
25年3月末の総資産は前期末比1億15百万円減の92億99百万円。資産サイドでは、流動資産のその他、機械装置及び運搬具、繰延税金資産などが増加したものの、現預金、電子記録債権が減少機械装置及び運搬具などが減少した。負債・純資産サイドでは、仕入債務、短期借入金、流動負債のその他、為替換算調整勘定、退職給付に係る調整累計額などが増加したものの、電子記録債務、一年内返済予定の長期借入金、長期借入金、親会社株主に帰属する当期純純損失の計上による利益剰余金などが減少した。25年3月末の自己資本比率は、52.5%と前期末から1.1ポイント低下した。有利子負債は、前期末比で1億57百万円増加した。
キャッシュ・フロー
| 24/3期 | 25/3期 | 前期比 | |
営業キャッシュ・フロー | 641 | 482 | -158 | -24.8% |
投資キャッシュ・フロー | 71 | -746 | -818 | - |
フリー・キャッシュ・フロー | 712 | -264 | -976 | - |
財務キャッシュ・フロー | -239 | 37 | +277 | - |
現金及び現金同等物の四半期末残高 | 1,386 | 1,205 | -181 | -13.1% |
* 単位:百万円

CFの面から見ると、税金等調整前当期純損失の計上やたな卸資産の減少などにより、営業CFのプラスが縮小した。また、有形固定資産の取得による支出の増加などにより投資CFがマイナスに転じ、フリーCFもマイナスに転じた。一方、短期借入金の増加などにより財務CFはマイナスに転じた。以上により、期末のキャッシュ・ポジションは前期比13.1%減少した。
(5)設備投資と減価償却費
連結ベースの25/3期の設備投資額は10億38百万円、減価償却費は5億13百万円。
事業分野別 | 設備投資額 | 内訳 |
光学事業 | 127 | ASA COLOR LED設備他 |
医療・ライフサイエンス事業 | 101 | 回路製品の生産設備他 |
機能事業 | 693 | 自動車向けゴム製品生産設備他 |
通信事業 | 11 | タグ関係生産設備 |
事業共通 | 103 | - |
| ||
法人別 | 設備投資額 | 内訳 |
朝日ラバー | 973 | 全事業 |
朝日FR研究所 | 1 | 基礎研究など |
朝日フロントメディック | 1 | 医療関連製品 |
東莞朝日精密橡膠制品 | 61 | 機能事業など |
*単位:百万円
25/3期は、医療・ライフサイエンス事業においてARチェックバルブ(逆止弁)など回路製品の生産・効率化投資を実施した。また、機能事業では、自動車向けゴム製品の生産効率化の投資とスイッチ製品の開発投資を実施した。
(6)医療・ライフサイエンス事業の戦略
◎医療・ライフサイエンス事業の歴史
医療・ライフサイエンス事業は、1989年に輸液バッグ用、真空採血管用ゴムの販売を開始し、1999年 にプレフィルドシリンジ用ゴムの販売を開始した。その後、2002年に第二福島工場が稼働を開始し、2017年に白河第二工場が 稼働を開始した。更に、2021年にARチェックバルブの販売が開始し、2022年に白河第二工場においてISO13485を取得した。2023年以降は、手技シミュレータ関連の取り組みを拡大している。
◎手技シミュレータ関係
心電図の理解を助ける「3D 心電図Ⅻ-12lead」を国際医療看護福祉大学校と共同開発した。心電図で観測される波形は、心臓をどの方向から見ているかによって分かれている。どの方向から心臓を観察した波形であるかは、アイントーベンの三角形のような簡略図を使うが、平面であるため立体的な心臓の形を理解しにくいという課題があった。「3D 心電図Ⅻ-12lead」は、心臓を見る方向を立体的に示し、心臓がどのように見えるかを的確に表した学習用シミュレーターである。製品中央に立体的な心臓を配置し、それを取り巻くように心電図で心臓を見る方向や位置を三次元的にあらわすことで、心臓との位置関係や心臓の見え方が明確化し、心電図をより正確に理解する手助けとなる。

(同社決算説明会資料より)
◎拡売領域を広げる活動
手技シミュレータ関連の取組拡大は、医療現場との関わりの増加に繋がる。医療・ライフサイエンス事業の成長に向けて、医療現場の関係者との接点を増やし、市場の課題とニーズに触れて、同社が事業オーナーとして参画できる分野を見出すのが同社の戦略である。今後は、引き続き既存顧客との取り組みを継続し、付加価値のある製品を提案する活動を進めるとともに、既存製品・新製品のさらなる拡売のため、新規顧客の開拓にも注力する。加えて、同社だからできた付加価値のある新製品を、国内外含めて広く拡売する方針である。
◎医療・ライフサイエンス事業-(株)朝日フロントメディックの設立
同社は、35年にわたる実績を基盤に、医療分野の最前線でメーカー機能とネットワークを活かした提案・サービスを進めていくことが、医療・ライフサイエンス事業の拡大に寄与すると判断し、商社機能を持った新たな販売子会社である(株)朝日フロントメディックを設立した。
同社はこれまで、同社製のゴム製品の製造販売を行ってきた。部品の販売のみを行い顧客が組み立てていた。今後、(株)朝日フロントメディックは同社製ゴム部品とともに他社部材の仕入れ、外部の組み立てメーカーへ組み立てを依頼する役割を担う。今後完成品として販売することで顧客の裾野の拡大が期待される。また、(株)朝日フロントメディックは他社部材の仕入・販売を行う商社機能も担う。今後、今まで取引のなかったサプライヤー・顧客の開拓が期待される。将来的には、ワールドワイドで取引を行う予定である。
(7)広報関係の取り組み
同社はコーポレートサイトを全面リニューアルした。早わかりのページの新設、コンテンツの追加、スマホ・タブレットへの対応、IR情報の改修、採用サイトの新設など、コーポレートサイト拡充が図られた。

(同社決算説明会資料より)
4.2026年3月期業績予想
(1)連結業績
| 25/3期 | 構成比 | 26/3期(予) | 構成比 | 前期比 |
売上高 | 7,639 | 100.0% | 7,643 | 100.0% | +0.0% |
売上総利益 | 1,605 | 21.0% | 1,819 | 23.8% | +13.3% |
販管費 | 1,602 | 21.0% | 1,659 | 21.7% | +3.5% |
営業利益 | 2 | 0.0% | 160 | 2.1% | +6,911.0% |
経常利益 | 31 | 0.4% | 159 | 2.1% | +409.8% |
親会社株主に帰属する当期純利益 | -236 | -3.1% | 107 | 1.4% | - |
*単位:百万円
26/3期は、前期比横ばい、同409.8%の経常増益予想
26/3期の会社計画は、売上高が前期比横ばいの76億43百万円、経常利益が同409.8%増の1億59百万円の予想。売上面では、工業用ゴム事業において、スイッチ用製品と卓球ラケット用ラバーの受注が堅調に推移するものの、ASA COLOR LEDとRFIDタグ用ゴム製品の受注が減少し減収となる見込みである。引き続き合理化投資、新たな生産体制の構築を進め、顧客へのより良い製品・サービス提供のための施策を積極的に展開する。一方、医療・衛生用ゴム事業では、診断・治療向けの採血用・薬液混注用ゴム栓や医療用逆止弁、医療シミュレータの受注が増加し増収となる見込みである。
利益面では、売上高の増加により各段階利益が大幅に増加する見込みである。売上総利益率が前期比2.8ポイント上昇し23.8%となり、売上高対販管費率が同0.7ポイント上昇し21.7%となる予定である。この結果、営業利益は前期比6,911.0%増の1億60百万円となる見込みである。その他、前期に特別損失で計上したASA COLOR LEDの2億88百万円の減損損失がなくなる反動により、営業外収益で保険解約返戻金が発生した反動により、親会社株主に帰属する当期純利益が大幅に増加する。
配当予想は前期と同額の1株当たり年20円(上期末10円、下期末10円)の予定。連結配当性向は85.3%となる。

(2)セグメント別売上高(中期事業分野別)の見通し
| 25/3期 実績 | 構成比 | 26/3期 会社計画 | 構成比 | 前期比 |
光学事業 | 2,311 | 32.2% | 2,178 | 29.6% | -5.8% |
医療・ライフサイエンス事業 | 1,774 | 24.7% | 2,006 | 27.2% | +13.1% |
機能事業 | 3,100 | 43.2% | 3,086 | 41.9% | -0.5% |
通信事業 | 452 | 6.3% | 371 | 5.0% | -18.0% |
売上高合計 | 7,639 | 106.4% | 7,643 | 103.8% | +0.0% |
*単位:百万円
光学事業は、自動車内装照明用のASA COLOR LEDの受注の減少傾向が続き、売上高が前期比5.8%減少する見込みである。シリコーンレンズ製品の量産準備をスタートする。医療・ライフサイエンス事業は、採血用・薬液混注用ゴム栓、ARチェックバルブなどゴム製品の受注が引き続き堅調となり、医療シミュレータの受注も増加し、売上高が前期比13.1%増加し過去最高を更新する見込みである。機能事業は、自動車向けなどのスイッチ向けゴム製品の受注が好調に推移し、卓球ラケット用ラバーの受注も引き続き堅調に推移する見込みであるものの、売上高が同0.5%減少する見込みである。通信事業は、RFIDタグ用ゴム製品の受注が上期に集中し、下期は大幅に減少することから、売上高が同18.0%減少する見込みである。また、やわらか保護カバーの市場供給を進める方針である。
主要製品の売上見通し
| 25/3 実績 | 26/3 会社計画 | 前提・方針 |
ASA COLOR LED | 2,070 | 1,948 | ◆採用自動車メーカーの販売不振と生産体制見直しの影響が続き売上高は横ばいの見込み。 ◆タッチパネル化による内装照明ニーズの変化の見通し が不透明。 |
医療用ゴム製品 | 1,750 | 2,006 | ◆診断・治療向け製品の受注は引き続き堅調に推移する見通し。 ◆医療用シミュレータの受注が増加する見込み。 |
卓球ラケット用ラバー | 728 | 765 | ◆需要拡大により受注増傾向はさらに進む見通し。 ◆生産体制の増強に向けて準備を進める。 |
RFIDタグ用ゴム製品 | 276 | 197 | ◆北米市場の顧客の事業環境の影響で上期に受注が集 中。下期は数量大幅減の見込み。 ◆やわらか保護カバーRFIDタグの販売に注力する。 |
*単位:百万円
(3)設備投資と減価償却費の計画
連結ベースの26/3期の設備投資額は7億43百万円、減価償却費は5億2百万円を計画。
事業分野 | 設備投資額(単位:百万円) | 内訳 |
光学事業 | 147 | シリコーンレンズ設備他 |
医療・ライフサイエンス事業 | 165 | 回路製品の生産設備他 |
機能事業 | 180 | 自動車向けゴム製品・新規開発製品の生産設備他 |
通信事業 | 1 | タグ関係生産設備 |
事業共通 | 248 |
|
法人 | 設備投資額(単位:百万円) | 分野 |
朝日ラバー | 696 | 全事業 |
東莞朝日精密橡膠制品 | 46 | 機能事業など |
設備投資は、主に光学事業のシリコーンレンズ製品の量産体制構築に向けた投資、医療・ライフサイエンス事業の量産投資と生産効率化投資、機能事業の環境投資と卓球ラケット用ラバーの増産設備を計画している。
(4)配当計画

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
配当金は、中間配当金、期末配当金とも一株当たり10円の前期と同額の年20円を計画。配当性向は85.3%となる見込みである。
(5)資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対策
◎現状把握

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
同社は、今後資本コストをWACCと定め4%に固定とするとともに、資本収益性はROICを指標として用いている。現状、ROICがWACCを下回っており市場が期待しているリターンを創出できていない状態が継続している。
第14次三ヵ年中期経営計画の定量目標である「営業利益率5%」を達成した場合、ROICは4.25%と想定される。
さらに各事業に対する資本収益性の算出を行うことで現状を把握し、各事業の特色に合った事業拡大を目指す。
恒常的にROICがWACCを上回る状態を維持するため、今後成長が見込まれる事業に対しての投資を継続するとともに、経営資源を効率的に配分することにより収益性の改善に取り組む方針である。
◎PBR1倍割れ対策
同社は、現状PBRが1倍を割れた状態が継続している。第14次三ヵ年中期経営計画では営業利益率を5%に高めるという目標を掲げ、4事業で新商品を開発し市場供給を進めるとともに既存製品の生産性向上に取り組んでいる。営業利益率の向上は、ROEの構成要素である当期純利益の向上にもつながることから、今まで継続してきた活動に加え新たな取り組みにより営業利益率を達成することでPBRの向上を目指す。また、総資産回転率は継続して設備投資を行いつつ投資効率を高める活動を進め、財務レバレッジは投資計画と金利状況を踏まえて資金調達を機動的に実施していく方針である。

(同社決算説明会資料より)
◎株価向上対策
同社は、株価の向上策としては、4事業をさらに成長させることにより利益率を高め、EPS(一株当たり利益)などの指標を向上させていくことを通じて企業価値を高め、株価へ反映させることが基本と考えている。また、資本コストを意識しつつ収益性をより高めることが企業価値向上につながると判断している。
対策① 配当の考え方 |
安定配当を基本とした業績連動としていく。成長分野への投資と株主還元のバランスを取りつつ、株主や投資家が魅力的と判断する水準を踏まえて実施する。配当性向などの指標は判断の参考値として捉えつつ、安定的な配当を目指す。 |
対策② IRによる情報提供 |
顧客との契約を遵守しつつ、できる限り新製品・開発製品の発表と各事業の進捗状況の開示を行っていく。 また、個人投資家も意識した情報発信としてホームページのリニューアルを実施し、よりわかりやすい情報開示を目指す。 |
5.今後の注目点
同社の25/3期決算は、前期比6.4%の増収ながら、同84%の経常減益の厳しい内容となった。これは、日系自動車メーカーの中国市場での生産体制の見直しを受け、自動車内装照明用のASA COLOR LEDの受注減少が影響したものである。加えて、第2四半期までに新規開発製品のコスト増と既存製品の工場移管の費用を計上したことも影響した。同社は、ASA COLOR LEDの事業環境や今後の業績等を勘案し、将来の回収可能性を精査した結果、減損処理が適当であると判断し25/3期において2億88百万円の減損損失を計上した。これまで、同社の成長を支えてきた主力製品であるASA COLOR LEDの先行きに不透明感が増していることは非常に心配である。一方で、こうした環境下、前期比で売上高が6%以上増加したことは評価が高い。医療・ライフサイエンス事業では、全般的に受注が堅調に推移し、特に医療用手技シミュレータ製品の受注が増加した。加えて、機能事業では、自動車向けのスイッチ用製品の受注が大きく増加した。これまで、ASA COLOR LEDの好不調に業績が振らされる同社であったが、次なる主役の候補が育ってきたことは明るい材料と言えよう。続く26/3期においても医療・ライフサイエンス事業では、採血用・薬液混注用ゴム栓、ARチェックバルブなどゴム製品の受注が引き続き堅調に推移する他、医療シミュレータの受注も増加し、過去最高の売上高を更新する見込みである。加えて、前期に量産をスタートした自動車向けのスイッチ用製品もさらに受注が拡大する見込みである。現在積極的に拡売を目指している医療シミュレータと自動車向けのスイッチ用製品の受注が今後どこまで拡大するのか注目される。
また、2024年8月に設立した(株)朝日フロントメディックの今後の展開からも目が離せない。同社はこれまで、同社製のゴム製品の製造販売を行ってきた。部品の販売のみを行い顧客が組み立てていた。今後、(株)朝日フロントメディックは同社製ゴム部品とともに他社部材の仕入れ、外部の組み立てメーカーへ組み立てを依頼する役割を担う。今後完成品として販売することで顧客の裾野の拡大が期待される他、(株)朝日フロントメディックは他社部材の仕入・販売を行う商社機能も担う。今後、今まで取引のなかったサプライヤー・顧客の開拓も期待され、将来的には、ワールドワイドで取引を行うことも視野に入れている。同社製品の今後の販売拡大の起爆剤と期待される(株)朝日フロントメディックの事業展開にも期待を込めて注目していきたい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態、取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査等委員会設置会社 |
取締役 | 7名、うち社外2名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2024年6月25日
<基本的な考え方>
当社及び当社グループのコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、「継続的な成長を通して、企業価値を高めていくという経営の基本方針を実現するために、経営の透明性・健全性を高め、コンプライアンス経営を徹底する」であり、経営上の重要な課題のひとつと位置付けております。
【実施をしないコード:その主な原則と理由】
原則 | 実施しない理由 |
【補充原則1-2④】 | 当社の株主構成で機関投資家また外国人株主の比率が低いため、議決権電子行使プラットフォームや決算資料および招集通知の英訳は実施しておりません。それぞれ一定程度の株主構成比率になった場合または要望が多くなった場合に検討いたします。 |
【補充原則2-4①】 | 当社では、必要に応じて適材適所での人員配置とすることを基本方針としているため、女性、外国人等の区分で管理職の構成割合や人数の目標値、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方等は定めておりませんが、今後も、従業員が最大限の能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に努め、意欲と能力のある従業員を育成し、適性のある人材を管理職として登用していく方針であります。 |
【補充原則3-1②】 | 海外投資家、外国人投資家の株主構成比率は少ないため、英語での決算情報など開示資料の公開は行っておりません。 |
【原則4-11.取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】 | 女性取締役や外国人取締役は在籍しておりません。当社では女性の管理職が7名、また現場でのリーダーは30名でございます。いろいろな考え方を尊重して、多様性を高めた人事を進めていきたいと考えています。当社では、出産や育児のあとも短時間勤務制度を利用しながら継続して働いている女性社員が増えてきており、こうした方たちが、将来、活躍できるように体制を整えてまいりたいと考えております。財務・会計に関する十分な知見を有している社外取締役は1名で、旧大蔵省での財務・会計業務を長年にわたって携わってきたことによる豊富な知識と弁護士としての幅広い見識を、当社の監査業務やコンプライアンス活動等に活かしていただくため、社外取締役に指定しております。 |
【コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示】
原則 | 開示をしている主な原則 |
【原則1-4.政策保有株式】 | 方針として、中長期的な企業価値向上を図ることを基本とし、その保有の合理性を得られない場合は保有いたしません。政策保有株式の目的は取引関係の強化、情報収集などが主な目的であり、それぞれの目的が効果をあげているかの状況等を検討して、適宜判断しております。 当社が保有している法人の株式については、その簿価と株価とを比較し、また当該会社の事業状況等も踏まえて、保有するか売却するかの判断を行っております。 特に定量的な数値指標はございません。取引状況、情報収集状況、また相手先の会社の経営状況等を総合的に判断して、議決権を行使してまいります。 |
【原則3-1.情報開示の充実】 | ⅰ)会社の社訓、経営基本方針を会社ホームページにて開示しております。また中期経営計画を策定し、説明会を開催して公表して会社ホームページにて開示しております。 ⅱ)当社は、当社グループ全体の企業価値の最大化を図るためにはコーポレート・ガバナンスの強化が重要であると認識しており、経営の透明性と健全性の確保、適時・適切な情報開示を行うことに努めています。また、「内部統制システムに係る基本方針」に基づき、当社および子会社の内部統制システムを整備し運用しております。 ⅲ)当社の取締役の報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして十分に機能するよう株主利益と連動した報酬体系とし、個々の取締役の報酬の決定に際しては各職責を踏まえた適正な水準とすることを基本方針としております。決定の手続きについては、他社水準及び対従業員給与とのバランスを考慮しながら総合的に勘案して、取締役会で了承された方法により決定いたします。 ⅳ)取締役候補者の選任について、当社の持続的な発展と中長期的な企業価値の向上に貢献できる人物を役員とすることを基本方針とし、経営の意思決定および業務執行の監督に携わる者としてふさわしい経歴、能力、リーダーシップ、中長期的視野および高い倫理観を持つ者の中から、人格、経験を総合的に勘案し、取締役候補者といたします。その手続きは、候補者を代表取締役社長が監査等委員会に提案し、監査等委員会で確認後、取締役会で候補者を決定し、取締役の選任に関する議案を株主総会に提出いたします。執行役員の選解任については、代表取締役社長が取締役会に提案し、取締役会でその提案について審議し、決定いたします。 ⅴ)役員等の候補者選定の手続きについては、管理部門が候補者の経歴書、推薦書等の資料を準備し、監査等委員会にて面談を実施し、審議、取締役会への答申内容を決定し、取締役会で審議結果を答申し決定いたします。 |
【補充原則3-1③】 | 当社では「サステナビリティビジョンとして「ゴムが持つ無限の可能性で未来を創り持続可能で明るく快適で豊かな社会の実現に貢献します」を掲げ、ゴムの無限の可能性を追求し、さまざまなパートナーとともにその可能性をさらに追求していくことで、社会課題を解決し、人々の生活を豊かにするような価値を生み出す会社であり続けます。 当社事業におけるSDGsの各ゴールの設定と環境・社会の課題に対するKPIを定め、従業員の働く環境に関する施策の実施状況とあわせて、ホームページにて活動を報告しております。 https://www.asahi-rubber.co.jp/company/sustainability/ 知的財産の基本的な考え方と知財戦略について、当社は、研究開発活動の成果を知的財産として、権利化したりノウハウとすることにより、経営計画、経営戦略の一環として推進し、中長期経営戦略の事業の企画・戦略と知的財産を結びつけた知財戦略とすることを基本としています。知的財産をけん引する組織としては、知的財産グループが主導して各工場(事業)に知財実行委員を配置し、知財実行委員会を開催し、事業戦略に基づいた知財戦略について、部門横断的な連携がとれる体制としています。さらに、特許出願の職務発明報奨制度により、社員の出願インセンティブを高めることで、積極的な知的財産の創出を図っています。一方、他社の知的財産権に対しては、これを尊重し係争を未然に回避するため、テーマ提案・事業化・仕様変更などの事業開発の節目および継続的に特許調査を実施し、知財実行委員会で討議し、設計段階において工程全体のパテントクリアランスの確保に努めております。 |
【原則5-1.株主との建設的な対話に関する方針】 | IR活動を強化し、頻度をあげております。外部からの意見もいただきながら、問い合わせ窓口を広げてまいります。今後も株主の皆様や投資家の皆様のご意見をいただきながら、体制を整備していきたいと考えております。 |
【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】 | <現状評価・取組方針> 当社は、2026年3月までの第14次三カ年中期経営計画において、連結売上高85億円、連結営業利益率5%を定量目標としています。この目標達成に向けて、資本コストをWACC(加重平均資本コスト)とし、資本収益性の指標としてのROIC(投下資本利益率)が資本コストを上回ることで達成可能と分析しています。これを着実に実行していくため、持続的な成長と当社独自の付加価値を高めて市場に貢献していく活動を進めながら、株主・投資家との対話や開示の充実も図ってまいります。 <ご参考> 詳細は、当社ウェブサイト「IR情報」に掲載の「2024年3月期決算説明会資料」29~33ページの「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対策」に記載していますので、以下URLをご参照ください。 |
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