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(4849) エン・ジャパン株式会社

プライム

ブリッジレポート:(4849)エン・ジャパン 2025年3月期決算

ブリッジレポートPDF

 

 

越智 通勝 会長兼社長

エン・ジャパン株式会社(4849)

 

 

 

会社情報

市場

東証プライム市場

業種

サービス業

代表取締役

会長兼社長

越智 通勝

所在地

東京都新宿区西新宿 6-5-1 新宿アイランドタワー

決算月

3月

HP

https://corp.en-japan.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,726円

40,862,976株

70,529百万円

22.2%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

24.00円

1.4%

50.66円

34.1倍

905.56円

1.9倍

*株価は5/30終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*BPS、ROEは25/3期実績。数値は四捨五入。
*DPS、EPSは26/3期の会社予想。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属

する当期純利益

EPS

DPS

2022年3月(実)

54,544

9,633

10,138

6,628

147.71

70.10

2023年3月(実)

67,716

4,249

4,072

2,695

60.98

70.10

2024年3月(実)

67,661

5,161

5,369

4,196

102.38

70.10

2025年3月(実)

65,678

5,892

5,943

7,628

186.76

70.10

2026年3月(予)

62,200

2,800

2,983

2,070

50.66

24.00

* 単位:百万円

 

 

エン・ジャパンの2025年3月期決算と2026年3月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.中期経営計画における23/3期~25/3期までの振り返りと今後の方針・戦略
3.2025年3月期決算
4.2026年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

 

今回のポイント

  • 25/3期の業績は、売上高が前期比2.9%の減収、営業利益が同14.2%の増益。売上面ではengageが増加したものの、国内求人サイトの鈍化が全体の売上の減少に影響した。利益面では、HR-tech engageや人材紹介を中心に人員増強を行い人件費が増加したものの、前期まで積極的な投資をしていた広告宣伝費が減少したことなどが寄与した。

     

  • 26/3期の会社計画は、売上高が前期比5.3%減の622億円、営業利益が同52.5%減の28億円の予想。採用決定率の高いエン転職を中心に再強化し、再成長を目指す変革の1年とする。また、ハイクラス、ミドルクラスの人材紹介領域を強化する。一方、強化事業再構築および成長に資する先行投資をおこなうことから減収減益を計画。また、26/3期の配当金については、配当性向50.0%、1株あたりの年間配当計画は24円00銭を予定。

     

  • 26/3期は採用決定率の高いエン転職を中心に再強化し、再成長を目指す変革の1年とする予定である。中でも、エン転職では、投資を再強化し、入社決定数の増加を目指すとともに、成功報酬型の強化を含めてマネタイズの多様化を図る。また、ハイクラス、ミドルクラスの人材紹介領域を強化する。一方、開発費、広告宣伝費など成長に資する投資を実行し、engageでは、投資の最適化を図り、商品の改善を通じて入社決定率の向上を目指す方針である。その他、組織体制の強化、ブランド力の強化、グループ力の強化も図る。新経営体制のもと早期の復活を遂げることができるのか注目される。 

1.会社概要

企業理念
同社のパーパス (社会における自社の存在意義)は、「誰かのため、社会のために懸命になる人を増やし、世界をよくする~Inner Calling & Work Hard~」である。その実現のために、社会的インパクトの大きいポジションや成長産業への適切な労働移動、テクノロジーを活用して質・量ともに担保された求人情報の提供による就業機会の増大を目指している。

 

(同社統合報告書2024より)

 

主な国内グループ企業

(同社統合報告書2024より)

 

HR-Tech engage

 

内容

 

特徴

顧客企業

engage

採用・入社後の活躍を目的としたデジタルプラットフォーム

フリーミアムモデルの採用支援ツール

一般企業

高クオリティな企業の採用ホームページ、求人募集を簡単かつスピーディーに作成可能

作成した求人は自動で「indeed」や「googleしごと検索」等に連携

有料プランの利用により、より多くの応募獲得を顧客

企業に提供し、採用強化をサポート

適性テストやリテンション対策ツール等、関連サービスもengageに連携

 

人財プラットフォーム

 

内容

 

特徴

ユーザー

顧客企業

AMBI

20~30代ハイキャリア

特化型求人サイト

20~30代×年収500万円以上の案件が中心

・20~30代が中心

人材紹介会社

一般企業

一般事業会社、人材紹介会社によるスカウトに軸を置いたサイト設計

ミドルの転職

ミドル世代向け ハイクラス求人サイト

ミドル層の転職に強い500社以上の人材紹介会社及び求人情報を掲載

・30~40代が中心

人材紹介会社

一般企業

コンサルタントの得意領域、実績等に加えユーザーからの評価を公開

 

国内求人サイト

 

内容

 

特徴

ユーザー

顧客企業

エン転職

総合転職情報

サイト

一般事業会社直接募集原稿は、1社1社独自に取材・撮影

・20~30代が中心

一般企業

求職者の立場に立った正直かつ詳細な求人情報

エン派遣

人材派遣会社集合サイト

人材派遣会社の情報及び求人情報を掲載

・20~40代の

女性が中心

人材派遣会社

ユーザーが直感的に操作しやすい検索機能

エンバイト

アルバイト

求人情報サイト

 

主に人材派遣会社が保有するアルバイト求人情報を掲載

ユーザーの閲覧履歴からお勧めバイトを提案する等、ユーザーの希望にあったバイト探しをサポート

・大学生

・既卒

未就業者

・主婦

・フリーター

人材派遣会社

ウィメンズワーク

女性向け

求人情報サイト

正社員として働くことを希望する女性向け求人サイト

・20~30代の

女性が中心

人材派遣会社

「正社員または正社員登用あり」の求人のみ掲載

オフィスワーク系職種を多数掲載

iroots

新卒学生向け

スカウトサービス

 

新卒学生向けの逆求人型就活スカウトサービス

プロフィールや適性診断に基づき、企業が直接新卒学生にスカウトすることができるサービス

・新卒学生

一般企業

フリーランス

スタート

フリーランスエンジニア案件検索

エンジンサイト

 

国内最大級のフリーランス案件検索エンジンサイト

フリーランスエージェントの案件情報をまとめて検索・エントリーが可能

・フリーランス

 エンジニア

フリーランス

エージェント

 

国内人材紹介

 

内容

 

特徴

顧客企業

en world

人材紹介

日本国内に営業・サービス・製造等の拠点を設けている外資系企業及びグローバルな展開を行っている日系企業がクライアント。グローバル人材の中間管理職~エグゼクティブレベルの案件を取扱う

外資系企業

日系企業

グローバル人材の紹介領域において、国内トップクラスのシェア

エン エージェント

人材紹介

エン・ジャパンが持つ求職者データベース及び顧客企業と取引実績を活用した人材紹介サービス

日系企業

 

国内その他事業・子会社 

 

内容

特徴

顧客企業

ゼクウ

採用管理システム

業務管理システム

・求人情報、面接者、応募対応、効果測定等の各種管理を一元化

・採用後のスタッフや求人募集案件を一元管理

人材派遣会社

 

TALENT ANALYTICS

活躍できる人材を発見する、見極める適性テスト

・学歴や役職などの肩書では判断が難しい知的能力・考え方・価値観などを検査

・短時間、スマホ等のオンラインで受講可能

・企業が求める人材の発見とミスマッチを防止

一般企業

ASHIATO

入社後活躍までを

見据えたリファレンスレポートサービス

・約15万社の採用支援実績・ノウハウをもとに、独自のアンケートを実施し、候補者の活躍ぶりをヒアリング。選考に活用できる面接アドバイスをレポート

・オンラインを中心としたサービスにより、スピーディーなレポートを実現。導入しやすい価格で提供

一般企業

エンカレッジ

社員向けオンライン研修サービス

新人社員から経営層向けまで400以上の講座を提供するオンライン研修サービス

派遣会社のスタッフ教育として、「派遣スタッフ版エンカレッジオンライン」も提供

一般企業

人材派遣会社

 

HR OnBoard

HR OnBoard NEXT

 

リテンション対策

ツール

「HR OnBoard」の

開発・販売

・入社後の離職リスクを可視化するオンラインアンケートツール

・月1回、対象者へのアンケートにより離職リスクを簡単に可視化。 離職防止への素早い行動が可能に

一般企業

エンSX

セールス・マーケ

ティング支援

・エン・ジャパンのセールス及びマーケティング機能を“B2Bセールスメソッド“として提供

一般企業

VOLLECT

ダイレクトリクルーティングに特化した採用支援サービス

・企業の採用活動を支援する「PRO SCOUT」を主力にサービス提供、700社超の導入実績をもとに採用プロセスの最適化、採用実務代行を行う

・採用活動を戦略的に支援し、内製化までをサポート

一般企業

 

その他新規事業  ※非連結子会社

 

内容

 

特徴

顧客企業

Insight Tech

マーケティング

リサーチ

AIを活用したデータ解析

・消費者から買い取った「不満」をDB化~解析し、商品開発に役立つ商品として企業へ販売

・高度なデータ解析技術を元に企業が保有するデータを解析。課題解決のソリューション提供

一般企業

エン婚活

エージェント

オンライン

婚活支援サービス

・「結婚後の幸せ」をゴールとした新しいコンセプトの婚活サービス

一般消費者

 

海外事業

 

内容

 

特徴

顧客企業

en world

NEW ERA

インド

人材紹介

インドで事業を行う現地企業及びグローバル企業がクライアント

現地企業

グローバル企業

高年収層の案件を中心に取り扱っており、IT関連に強み

Future Focus Infotech

IT人材派遣

IT派遣で20年の実績があり、代表的なIT企業を数多く顧客に持つ

現地企業

グローバル企業

 

AIやIoT等先端技術への投資・教育に力を入れている

米国やUAE等、インド以外からのオフショア開発も受託

Navigos Search

ベトナム

人材紹介

ベトナムにおいてNo.1の人材紹介

現地企業

グローバル企業

日系企業

現地企業・グローバル企業に対し、管理職レベルの人材を紹介。日系企業も強化

VietnamWorks

総合求人

情報サイト

ベトナムにおいてNo.1の求人サイト

現地企業

グローバル企業

日系企業

主に現地の人材と現地企業・グローバル企業が顧客対象。日系企業も強化

(同社決算説明資料より)

 

同社の強み

人材・企業DBとその活用力

・3,000万人を超える人材データベースと15万社超との取引実績。

・「人」「企業」の両面で充実したデータベースの保有に加え、その活用力にも強み。

・文章解析AI等テクノロジーの力を駆使し、精度の高いマッチングを効率的に実現。

・DX 関連事業等の新事業に、既存の営業網を活用することも可能。

HR×Web領域の知見と開発

・1995年に国内初のインターネット求人サイトを立ち上げて以来、Web領域における知見を蓄積。

・サイト構築・運用やWebマーケティング等、デジタル活用に強み。

・近年ではAI等の活用も強化。

・入社後の活躍まで実現するHR領域のノウハウと掛け合わせることで、競合優位性のあ

る独自のプロダクトを開発 (HR OnBoard、engage、ASHIATO等、新サービスを継続的に

リリース)。

変化に即応できる組織力

・新型コロナウイルス拡大の初期段階で在宅勤務に移行。

リモートワーク、ヴァーチャルオフィス等を取り入れた勤務体制を推進。

・訪問ではなくリモートで営業活動を行なう「インサイドセールス」を先駆的に実践していた

素地もあり、生産性に影響はなし。

・書類を介していた手続きも大半を電子化。

主観正義性と収益性の両立

・主観正義性とは「世の中のあるべき姿を独自に考え、その実現に尽力する」姿勢を指す

同社独自の考え方で、HR 以外も含めた全事業に共通する考え方。

・収益性のみに偏ることなく、世の中をより良く変えていくスタンスが独自性と信頼に直結。

・この結果、運営サービスはオリコン顧客満足度®調査等、外部調査で高評価を獲得。

 

海外進出の状況
同社は、アジアを中心に海外展開を進めており、現在は特に著しい経済成長が見込まれるベトナムとインドに注力している。ベトナムでは、国内の求人サイトおよび人材紹介事業で圧倒的なシェアを有する「Navigos Group」を2013年4月に子会社化。国内No.1のHR 企業として成長を続けている。今後は、更なる需要拡大が見込まれる管理職クラス向けのサービスも強化し、マーケットへの影響力をより高めていく計画である。また、インドでは、2019年にインドの「Future Focus Infotech Pvt.Ltd.」を子会社化。IT エンジニア人材派遣において20年の実績があり、3,000名を超えるエンジニアを有するインド国内で大きなシェアを持つ企業。今後も高い需要と成長が見込まれる「IT領域」を軸に事業拡大を進める方針である。

 

<海外グループ企業>

(同社統合報告書2024より)

 

商号変更
同社は、2025 年10 月1日よりエン・ジャパン株式会社からエン株式会社への商号変更を予定している。

 

新経営体制
同社は、27/3月期を最終年度とする5カ年の中期経営計画を策定し収益拡大を図ってきた。その間、事業環境は急速に変化し経営方針および事業戦略の見直しが喫緊の経営課題となっている。こうした状況下、同社は事業ポートフォリオの見直しと意志決定の迅速化、ガバナンス強化を図ることを目的に経営体制の変更を実施した。

 

(同社決算説明資料より)

 

自己株式取得
同社は、株主還元水準ならびに資本効率の向上を図り、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を可能とするため自己株式の取得を行うことを決定した。

取得し得る 株式の総数

7,800,000 株(上限)  (発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合 19.1%)

株式の取得価額の総額

50億円(上限)

取得期間

2025年5月16日~2026年4月30日

取得方法

東京証券取引所における市場買付

なお、同社は2025年3月末時点において274億円の保有現預金を保有している。

 

2.中期経営計画における23/3期~25/3期までの振り返りと今後の方針・戦略

23/3期~25/3期までの振り返り

 

23/3期

(中計)

23/3期

(実績)

24/3期

(中計)

24/3期

(実績)

25/3期

(中計)

25/3期

(実績)

26/3期

(中計)

27/3期

(中計)

売上高

620

677

700

676

850

656

1,000

1,200

営業利益

31

42

41

51

99

58

175

240

営業利益率

5%

6.3%

6%

7.6%

12%

9.0%

18%

20%

* 単位:億円

 

同社は、現在中期経営計画(23/3期~27/3期)の進行中である。しかし、23/3期~25/3期までを振り返ると、残念ながら売上高と営業利益が計画を下回り、思い通りの成果をあげることができていない。これは、engageが好調に推移し中期経営計画を上回る成長をとげる一方で、エン転職が競争環境の変化と投資抑制の影響により想定以上に苦戦したため、engageとエン転職の投資バランスが崩れ、会社計画が未達となったものである。また、同社が重視している下記の「事業ガイドライン3」を十分に活かせず、商品の競争力が弱まり収益性にも影響を及ぼした。

 

「事業ガイドライン3」

私たちの存在の価値は、主観正義性と収益性の両立である。その独自性を忘れず、新しい商品・サービスを開発し続けよう

私たちの仕事の成果は、両クライアント(ユーザー・カンパニー)からのロイヤルティである求められるものより、 真に“喜ばれ、人に薦めたくなるもの”とは何か?を考え、ユーザーファースト主義(for カンパニー)に徹しよう

私たちの最大の資産は、仲間のCareerSelectAbility®である“1+1>2”の視点で、個人も組織もスピード感を持ち、絶えず進化し続けよう

 

今後の方針・戦略

方    針

戦    略

パーパス実現に向けたサービス強化

◆エン転職再強化

◆ハイクラス、ミドルクラス強化

組織体制の強化

◆商品企画、プロダクト体制見直し

◆営業体制見直し

ブランド強化

◆商号変更に伴いCI(コーポレート・アイデンティティ)強化

グループ強化

◆単体事業の相互連携

 

 

25/3期

26/3期

エン転職

投資を抑制するなかでもサイト上の入社決定率は

高水準を維持

投資を再強化し、入社決定数の増加を目指すとともに、成功報酬型の強化を含めてマネタイズの

多様化を図る

engage

最大の投資を実行し売上拡大するものの、サイト上の入社決定率には課題が残る

投資の最適化を図り、商品の改善を通じて入社

決定率の向上を目指す

 

 

財務基本方針と株主還元
【資本コスト、ROE、PBR 現状認識】
同社は、株主資本コストや資本収益性を的確に把握できている。
◆株主資本コストは年単位で変動はあるものの概ね10%程度
◆ROEは直近3期平均13%程度を維持
◆PBRは直近3期で約2.6倍と市場からも一定の評価

 

(同社決算説明資料より)

 

【キャッシュ・アロケーション】
同社は、バランスのとれたキャッシュ・アロケーション計画を策定している。

同社決算説明資料より)

 

<キャッシュアウト>

投資【110億円】

◆ブランド投資:CI

◆設備投資:運用・開発システム

◆人材投資:次世代幹部育成・エンジニア

◆M&A投資:国内HR領域を対象

株主還元【80億円】

◆固定配当(70.1円/1株)

◆自己株式取得50億円

運転資金【130億円】

◆有事に備え月商の2.5か月水準

◆余剰資金は成長事業投資へ投下

 

【株主還元(配当計画)】
26/3期は配当性向50%。資本効率向上を意識した株主還元を実施する。

 

(同社決算説明資料より)

 

3.2025年3月期決算

(1)2025年3月期連結業績

 

24/3期 

構成比

25/3期

構成比

前期比

売上高

67,661

100.0%

65,678

100.0%

-2.9%

売上総利益

53,955

79.7%

52,437

79.8%

-2.8%

販管費

48,794

72.1%

46,545

70.9%

-4.6%

営業利益

5,161

7.6%

5,892

9.0%

+14.2%

経常利益

5,369

7.9%

5,943

9.0%

+10.7%

親会社に株主に帰属する

当期純利益

4,196

6.2%

7,628

11.6%

+81.8%

* 単位:百万円
※数値にはインベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

売上高は前期比2.9%減収、営業利益は同14.2%増益
売上高は前年同期比2.9%減の656億78百万円、営業利益は同14.2%増の58億92百万円となった。売上面では、HR-tech engageにおいて前期比で増収となったものの、国内求人サイトにおいてエン転職の投資抑制により利用企業が減少し前期比で減収となった。また、海外事業においては契約形態を見直したことにより売上の計上方法をグロス計上からネット計上へ変更した影響により売上高が9億25百万円減少した。投資事業では、engageにおいて、会社計画が未達となったものの前期比増収で赤字が縮小した。また、ミドルの転職が好調となった反面、AMBIは競争環境激化等により成長が鈍化した。既存事業では、求人サイトにおいて、エン転職の投資抑制により利用企業が減少し、前期比で減収減益となった。人材紹介は、体制強化による中長期的な成長基盤の構築が進み、海外事業は、インド、ベトナムとも環境に大きな変化はなく、今後の市場動向を注視している。
総費用は、HR-tech engageや人材紹介を中心に人員増強を行い人件費が増加したものの、前期まで積極的な投資をしていた広告宣伝費が減少となった結果、前期比で4.3%減少した。売上総利益率は同0.1ポイント上昇し79.8%となった。販管費は、投資事業や国内求人サイトの広告宣伝費の減少などにより、前期比4.6%減となった。売上高販管費率は、前期比1.2ポイント低下の70.9%となり、売上高営業利益率は同1.4ポイント上昇の9.0%となった。その他、経常利益は同10.7%の増益。親会社株主に帰属する当期純利益は、保有する株式会社タイミー株式の売却により特別利益で投資有価証券売却益を54億37百万円計上したことが大きく寄与し同81.8%の増益となった。

 

 

売上原価の主な費用

(同社決算説明資料より)

 

25/3期第4四半期(1-3月)の売上原価は、前年同期比で2.3%増加した。主にengageで減価償却費と支払手数料が増加した。

 

販管費の主な費用

(同社決算説明資料より)

 

25/3期第4四半期(1-3月)の販管費は、前期比で2.1%減少した。投資事業や国内求人サイトの広告宣伝費の減少が主な要因となった。

 

(2)セグメン別動向

 

24/3期

25/3期

前期比

増減額

増減率

投資

HR-Tech engage

売上高

71.9

96.5

+24.6

+34.2%

営業利益

-35.1

-20.1

+14.9

-

営業利益率

-48.8%

-20.9%

+27.9%

-

人財プラットフォーム

売上高

70.9

78.0

+7.1

+10.1%

営業利益

-2.5

8.6

+11.2

-

営業利益率

-3.6%

11.1%

+14.7%

-

既存

国内

国内求人サイト

売上高

293.9

250.0

-43.9

-15.0%

営業利益

80.7

65.9

-14.8

-18.4%

営業利益率

27.5%

26.4%

-1.1%

-

国内人材紹介

売上高

98.7

98.9

+0.2

+0.2%

営業利益

12.4

0.6

-11.8

-94.5%

営業利益率

12.6%

0.7%

-11.9%

-

国内その他

売上高

33.4

51.0

+17.5

+52.3%

営業利益

0.6

7.7

+7.1

-

営業利益率

1.9%

15.2%

+13.3%

-

既存海外

インドIT派遣

売上高

86.5

76.2

-10.2

-11.9%

営業利益

4.9

4.1

-0.8

-16.2%

営業利益率

5.7%

5.5%

-0.2%

-

ベトナム

売上高

24.1

24.1

-0.0

-0.0%

営業利益

3.5

3.7

+0.2

+6.0%

営業利益率

14.8%

15.7%

+0.9%

-

海外その他

売上高

5.4

1.0

-4.4

-37.6%

営業利益

-0.1

-0.6

-0.4

-

営業利益率

-3.0%

-59.2%

-56.2%

-

全社調整

売上高

-8.5

-19.3

-10.7

-

営業利益

-12.9

-11.2

+1.6

-

連結

売上高

676.6

656.7

-19.8

-2.9%

営業利益

51.6

58.9

+7.3

+14.2%

営業利益率

7.6%

9.0%

+1.4%

-

* 単位:億円

 

【投資事業】
◎HR-Tech engage
事業戦略の修正に伴い、第4四半期(1-3月)は黒字化した。 一方で、通期は売上高、利益ともに会社計画を下回った。

企業側のKPI

総アカウント数

68万件、前期比11%増

有料アカウント数

24,269件、前期比11%増

公開求人数

211万件、前期比29%増

有料求人数

24.7万件、前期比24%増

求職者側のKPI

会員数

555万人、前期比 48%増

MAU数

276万人、前期比32%減

*有料アカウント数は、engageの有料サービスに課金した(=売上計上)アカウント数(四半期合計)
*MAUは、 1か月の間に1回以上利用したユニークユーザー数

 

<業績推移>
2024年7月に新コンセプト「すべての人の、仕事選びに」としてブランド刷新を行い、転職、アルバイト・パート、新卒等あらゆる仕事選びを支え、同社が大切にしてきた「入社後活躍」を実現していくブランドとして定義した。また同社の企業クチコミサイトの連携も行い「エンゲージ会社の評判」としてこれまで以上に多面的な情報収集を可能とし、ミスマッチのない仕事選びのサポート実現を目指した。
HR-Tech engageの25/3期の売上高は96億57百万円(前期比34.3%増)、営業損益は20億19百万円の損失計上(前期は35億14百万円の損失計上)となった。新ブランドのもと、求職者獲得を目的としたプロモーションを実施した結果、会員数は555万人(昨年対比+181万人)と増加した。会員数が増えることで利用企業も増え、総利用アカウント数は68万件、公開求人数は211万件と国内トップクラスの採用サービスとして成長を続け、売上高が増加した。一方で掲載求人数、求職者数を活かした十分なマッチングの創出が出来ず、計画を下回った。また、第4四半期(1-3月)は、事業戦略の修正に伴い、営業損益が黒字化した。

 

 

(同社資料よりインベストメントブリッジ作成)

 

 

◎人財プラットフォーム
利用企業の増加により求人数も拡大し、各KPIは堅調に推移した。

企業側のKPI

利用社数

11,518社、前期比44%増

求人数

46.3万件、前期比32%増

求職者側のKPI

会員数

433万人、前期比13%増

 

 

<業績推移>
人財プラットフォームの25/3期の売上高は78億6百万円(前期比10.1%増)、営業損益は8億69百万円の利益計上(前期比11億26百万円増加)となった。求職者獲得を目的とした広告宣伝費投資を積極的に実施した結果、会員数は433万人(昨年対比+51万人)に増加した。ミドルの転職を中心にハイキャリア層の採用需要は高く、人材紹介会社、一般企業ともに利用企業が増加したことが売上高の増加に寄与した。ハイキャリア領域の採用需要が旺盛で、ミドルの転職が売上・利益の成長と黒字化を牽引した。

 

 

(同社資料よりインベストメントブリッジ作成)

 

 

【既存事業】
◎国内事業【国内求人サイト】
国内求人サイトの25/3の売上高は250億円(前期比15.0%減)、営業損益は65億91百万円の利益計上(前期比14億82百万円減)となった。エン転職において効率化を目指し、広告宣伝費を減らしたことにより利用企業が減少した結果、売上高が減少した。派遣会社向け求人サイトでは大手派遣企業が出稿を抑えており、売上高が減少した。一方、新卒向けのスカウト型求人サイトは新卒採用におけるスカウト型採用の広まりを背景に売上高が増加した。
となりましたエン転職の広告宣伝費を絞ったことで、応募効果が減り、結果掲載件数が減少し、減収となった。費用については人件費の削減や広告宣伝費の削減が進んだ結果、減少した。

 

<業績推移>

 

(同社資料よりインベストメントブリッジ作成)

 

◎国内事業【国内人材紹介】
国内人材紹介の25/3期の売上高は98億95百万円(前期比0.2%増)、営業損益は68百万円の利益計上(前期比11億80百万円減)となった。エンエージェントは期初に新卒を多く増員したものの、既存人員に対しての新卒社員数が多く生産性向上に苦戦し、売上高が減少した。エンワールド・ジャパンではハイキャリア層の採用需要の高まり、またコンサルタントの生産性向上により売上高が増加した。セグメント全体では、期初に苦戦していたコンサルタントの生産性が改善基調となり、第4四半期(1-3月)に黒字化を達成した。

 

 

 

(同社資料よりインベストメントブリッジ作成)

 

◎国内事業【その他】
国内その他の25/3の売上高は51億2百万円(前年同期比52.3%増)、営業損益は7億74百万円の利益計上(前期比7億11百万円増)となった。売上高は、人材活躍支援事業・エンSXが順調な伸びを継続。営業利益は、派遣会社向け採用管理システムを販売するゼクウが貢献した。

 

 

(同社資料よりインベストメントブリッジ作成)

 

◎海外事業【インドIT派遣】
海外インドIT派遣の25/3期の売上高は76億29百万円(前年同期比11.9%減)、営業損益は4億16百万円の利益計上(前期比80百万円減)となった。世界的なIT需要は堅調であるものの、主力の北米需要は低調となった。インドIT派遣は契約形態を見直し売上高の計上方法を一部グロス計上からネット計上へ変更したことが前期比9億25百万円の減収要因となった。また、IT需要も前期並みで推移したことにより減収となった。

 

 

(同社資料よりインベストメントブリッジ作成)

 

◎海外事業【ベトナム】
海外ベトナムの25/3期の売上高は24億12百万円(前年同期比0.0%減)、営業損益は3億77百万円の利益計上(前期比21百万円増)となった。ベトナムは国内でトップシェアである求人サイトをメイン事業としており、中国・アメリカの景気影響を受け、国内の景況感が回復せず売上高が前期並みとなった。ベトナム経済は底を打ったものの景気回復の兆しは見えず、コストコントロールを継続した。

 

 

(同社資料よりインベストメントブリッジ作成)

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー

◎財政状態

 

24年3月

25年3月

 

24年3月

25年3月

現預金

21,768

27,481

仕入債務

841

913

売上債権

6,017

6,439

未払金

4,117

4,445

有価証券

2,000

2,000

流動負債

14,129

16,540

流動資産

31,060

37,089

固定負債

2,683

2,783

有形固定資産

1,019

681

負債

16,813

19,323

無形固定資産

9,357

10,073

純資産

32,161

37,618

投資その他

7,537

9,097

負債・純資産合計

48,974

56,942

固定資産

17,914

19,853

有利子負債合計

0

0

* 単位:百万円
*有利子負債=借入金(リース債務含まず)
*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

25年3月末の総資産は前期末比79億68百万円増加の569億42百万円。資産サイドでは、現預金、ソフトウエア、投資有価証券等が主な増加要因となり、リース資産、のれん、長期貸付金等が主な減少要因となった。負債・純資産サイドでは未払金、未払法人税等、前受金、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金、為替換算調整勘定等が主な増加要因となり、リース債務等が主な減少要因となった。総資産の約65%を流動資産が占める等、資産の流動性が高い。自己資本比率も65.0%と、高水準を維持している。

 

 

 

◎キャッシュ・フロー

 

24/3期

25/3期

前期比

営業キャッシュ・フロー

6,430

8,062

+1,632

+25.4%

投資キャッシュ・フロー

-4,060

-843

+3,217

-

フリー・キャッシュ・フロー

2,370

7,219

+4,849

+204.6%

財務キャッシュ・フロー

-7,855

-3,021

+4,834

-

現金及び現金同等物の当期末残高

19,178

23,584

+4,406

+23.0%

*単位:百万円

 

 

CFの面から見ると、税金等調整前当期純利益、減価償却費、未払金の増加などにより営業CFのプラス幅が拡大した。また、投資有価証券の売却による収入の増加などにより投資CFのマイナスも減少し、フリーCFのプラス幅が拡大した。その他、自己株式の取得による支出の減少などにより財務CFのマイナス幅が縮小した。以上により、25/3期末のキャッシュ・ポジションは前期比23.0%増加した。

 

4.2026年3月期業績予想

(1)連結業績予想

 

25/3期

構成比

26/3期 予想

構成比

前期比

売上高

65,678

100.0%

62,200

100.0%

-5.3%

売上総利益

52,437

79.8%

51,404

82.6%

-2.0%

販管費

46,545

70.9%

48,603

78.1%

+4.4%

営業利益

5,892

9.0%

2,800

4.5%

-52.5%

経常利益

5,943

9.0%

2,983

4.8%

-49.8%

親会社株主に帰属する

当期純利益

7,628

11.6%

2,070

3.3%

-72.9%

*単位:百万円

 

26/3期の業績予想は、前期比5.3%減収、同52.5%営業減益
26/3期の会社計画は、売上高が前期比5.3%減の622億円、営業利益が同52.5%減の28億円。26/3期は事業再構築の年と位置づけ、売上高・営業利益ともに前期を下回る計画となった。
採用決定率の高いエン転職を中心に再強化し、再成長を目指す変革の1年とする。中でも、エン転職では、投資を再強化し、入社決定数の増加を目指すとともに、成功報酬型の強化を含めてマネタイズの多様化を図る。また、ハイクラス、ミドルクラスの人材紹介領域を強化する。一方、開発費、広告宣伝費など成長に資する投資を実行する。更に、engageでは、投資の最適化を図り、商品の改善を通じて入社決定率の向上を目指す。
同社は26/3期より戦略に合わせた情報開示を目的に、セグメント区分および名称を変更する。従来のHR-Tech engage、人財プラットフォーム、国内求人サイトをメディアセグメントとする。また、国内人材紹介をエージェントセグメント、国内その他をHR・DXソリューションセグメント、海外をグローバルセグメントとする。26/3期は、特にメディアセグメントにおいて、エン転職を中心に先行投資で商品力を強化しながら、成長基盤の再構築に注力する。更に、エージェントセグメントでは、ミドル年収帯に注力しつつ、エンDB活用を強化する仕組みづくりを推進する。
売上面では、エージェントとHR・DXソリューションで売上高の増加を見込むものの、メディアとグローバルは減少する見通し。
(グローバルの減収要因は主にインドIT派遣事業における売上計上基準変更によるもの)
費用面では、広告宣伝・販促費、人件費、支払手数料などが増加する一方で、業務委託費が減少する計画。総費用は前期比0.6%減少する見込みである。売上高総利益率は前期比2.8ポイント上昇し82.6%となる予定である。また、販管費が同4.4%増となり、売上高販管費比率は同7.2ポイント上昇の78.1%を計画。広告宣伝・販促費は161億52百万円と前期から3億23百万円(前期比2.0%増)増加し、人件費は190億93百万円と前期から6億50百万円(前期比3.5%増)増加する見込みである。この結果、売上高営業利益率は4.5%と前期比4.5ポイント低下する予想となった。
また、26/3期の配当金については、配当性向50.0%、1株あたりの年間配当計画は24円00銭を予定。

 

(2)セグメント変更

26/3期より、戦略に合わせた情報開示を目的にセグメント区分および名称を変更した。

(同社決算説明資料より)

 

(3)26/3期のセグメント別業績予想

メディアでは、エン転職を中心に先行投資で商品力を強化しながら、成長基盤の再構築を行う。エージェントは、ミドル年収帯に注力しつつ、エンDB活用を強化する仕組みづくりを推進する。

 

25/3期

通期実績

26/3期

通期計画

前年同期比

増減額

増減率

連結

売上高

656

622

-34

-5.3%

営業利益

58

28

-30

-52.5%

営業利益率

9%

5%

-4%

-

メディア

売上高

424

415

-9

-2.3%

営業利益

54

34

-20

-37.1%

営業利益率

13%

8%

-5%

-

エージェント

売上高

98

102

+3

+3.1%

営業利益

0

0

0

-

営業利益率

0%

0%

0%

-

HR・DXソリューション

売上高

51

55

+4

+7.8%

営業利益

7

4

-3

-51.3%

営業利益率

14%

7%

-7%

-

グローバル

売上高

101

65

-36

-36.0%

営業利益

7

6

-1

-17.9%

営業利益率

7%

9%

+2%

-

全社調整

売上高

-19

-15

+4

-

営業利益

-11

-16

-5

-

* 単位:百万円

 

 

5.今後の注目点

同社の25/3期決算は、売上高は前期比2.9%の減収、同14.2%の営業増益となった。売上面では、engageにおいて、前期比増収で赤字が縮小したものの会社計画を下回った。また、エン転職では、効率化を目指し、広告宣伝費を減らしたことにより利用企業が減少し、売上高が減少した。前期まで積極的な投資をしていた広告宣伝費が減少となったことにより、増益にはなったものの、数字以上に厳しい決算内容となった。24/3期までの期間でengageが好調に推移し中期経営計画を上回る成長となる一方で、エン転職が競争環境変化と投資抑制の影響により想定以上に苦戦したため、engageの投資を前倒しで実行したことが、engageとエン転職の投資バランスの崩れにつながり、会社計画の未達に影響を及ぼしたものである。続く26/3期の会社計画は、前期比で5.3%の減収、同52.5%の営業減益となった。想像以上に厳しい見通しとなったことに驚きであるが、早期の復活に向けた同社の強い意気込みの表れと言えよう。26/3期は採用決定率の高いエン転職を中心に再強化し、再成長を目指す変革の1年とする予定である。中でもエン転職では、投資を再強化し、入社決定数の増加を目指すとともに、成功報酬型の強化を含めてマネタイズの多様化を図る。また、ハイクラス、ミドルクラスの人材紹介領域を強化する。一方、開発費、広告宣伝費など成長に資する投資を実行する。更に、engageでは、投資の最適化を図り、商品の改善を通じて入社決定率の向上を目指す方針である。その他、組織体制の強化のために商品企画、プロダクト体制の見直しと営業体制の見直しも図る。加えて、商号変更を通じてCI(コーポレート・アイデンティティ)を強化しブランド力を高める他、単体事業の相互連携を通じて、グループ力の強化を図る。新経営体制のもと早期の復活を遂げることができるのか注目される。中でも、主力事業であるエン転職がいつの時期から成長力を取り戻すのか期待を込めて注目したい。
また、同社は今回発行済株式数の最大19%の自己株式の取得を発表した。しかし、同社は財務体質が優れており、2025年3月末時点で274億円の現預金を保有している。加えて、毎年営業CFを安定的に稼ぐ力も備わっている。同社ではこうしたキャッシュインフローを今後も積極的に経営基盤強化と成長事業への投資へ投じる方針である。ブランド投資、設備投資、人材投資、M&A投資など投資分野は多岐にわたる。積極的な投資が今後どの様な成果をもたらすのか、その費用対効果に注目したい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

<組織形態および取締役・監査役の構成>

 

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

11名、うち社外5名

監査役

3名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日: 2024年6月27日

 

<基本的な考え方>
当社は、その事業を通じて、株主やクライアント等様々なステークホルダーをはじめ、広く社会に役立つ存在でありたいと考えております。そのために、当社グループ全体として経営環境の変化に対応できる組織体制を構築することを重要な施策と位置付けており、当社グループの健全な成長のため、コーポレート・ガバナンスの強化と充実を図り、公正な経営システム作りに取り組んでおります。また、役職員の倫理観・誠実さを高めることは、様々なステークホルダーの真の信頼を得るうえで、基本的な前提となると考えております。今後もコンプライアンスに関する教育の徹底等内部管理体制の更なる整備を進め、これを適正に機能させることによって、健全な経営を確保してまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく主な開示>
【補充原則2-4 ①】
当社グループでは、画一的な視点や従来からの固定観念にとらわれないイノベーティブな事業創造のために、「多様な人材の活躍」が必要不可欠であると考えています。従来より注力している女性活躍推進に加え、グローバル人材紹介を手掛けるenworldを中心とした海外人材の採用、既存社員のキャリアパス多様化、LGBTフレンドリーな制度整備、障がい者雇用の促進など様々な施策を通じ、ダイバーシティ&インクルージョンを推進しております。
なお、当社では一般事業主行動計画(計画期間:2021年8月1日~2025年3月31日)において「女性社員(管理職)の割合を20%以上」を目標に掲げましたが、達成をしましたので新たな測定可能目標は設定しておりません。実績値は以下の通りです。女性役員2名、女性管理職者比率が24%、中途採用者の管理職者比率36%(いずれも2024年6月27日現在)でありますが、「チャレンジ管理職制度」等の施策を通じ、それぞれの管理職者比率を現状より増加させるよう、取り組んでおります。また、当社グループでは外国人役員5名(2024年6月27日現在)の他、複数の外国人管理職者が在職しておりますが、在職者数を現状の維持又はより増加するように取り組んでまいります。

 

【原則3-1】
(ⅰ)当社は、「誰かのため、社会のために懸命になる人を増やし、世界をよくする~InnerCalling&WorkHard~」をパーパス(社会における当社の存在意義)として掲げております。

 

(ⅱ)コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方を当社ホームページに記載しております。

 

(ⅲ)当社の役員の報酬等の額は、株主総会で決議された報酬枠の範囲内で支給し、毎月の定期同額給与(基本報酬)によって構成されております。取締役の報酬(監査等委員である取締役を除く。)に関しては、社外取締役を主要な構成員とする任意の指名・報酬委員会が、確認・検証を行っており、その答申結果を踏まえ、取締役会により決定しております。各監査等委員である取締役の報酬に関しては監査等委員会の協議により決定しております。また、取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く。)に関しては、基本報酬の他に業績連動報酬(現金賞与)も定めております。これは、株主の皆様と業績向上によるメリット及び業績下落によるリスクを経営陣が共有する仕組みであり、事業年度ごとの業績向上に対する意識を高め、持続的な企業価値の上昇を図るインセンティブを有する報酬として位置付けております。なお、中長期的な業績連動報酬としての株式報酬型ストックオプションに関しては、2023年3月期に導入しております。

 

これにより、取締役の業績連動報酬実績および今後の想定に関しては下記の通りです。
(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く。)
2024年3月期    固定報酬68%、業績連動報酬32%
2027年3月期(予) 固定報酬56%、業績連動報酬44%
※2027年3月期以降の業績連動報酬は、目標指標に対して100%達成した前提で構成比を算出しています。

 

なお、業績連動報酬(現金賞与)の評価指標に関しては下記の通りです。
<各指標の評価ウエイト>
指標          評価ウエイト
連結売上高       40%
連結営業利益      40%
連結当期純利益  20%
<各指標の目標達成率に応じた支給率>
達成率             支給率
80%未満             0%
80%以上100%未満     50%
100%以上120%未満    100%
120%以上           120%
また、株式報酬型ストックオプションの評価指標に関しては下記の通りです。
<各指標の評価ウエイト>
指標           評価ウエイト
連結売上高        40%
連結営業利益       40%
連結当期純利益     20%
<各指標の目標達成率に応じた支給率>
達成率        支給率
90%未満        0%
90%以上100%未満  50%
100%以上       100%

 

(ⅳ)社内取締役(監査等委員である取締役を除く。)の選任については、当社の経営理念を共創し、その実現に向け、日々注力できていることを前提として、担当分野において高度な専門性を有するのみならず、経営環境の変化に対して迅速、柔軟且つ的確に対応できる効率性の高い経営システムを推進していくにふさわしい人材を指名しております。社外取締役の選任については、当社の経営理念に共感し、経営陣や特定の利害関係者の利益に偏ることなく、客観的な立場から独立性をもって経営を監視することが可能で、且つ幅広い見識をもった人材を指名しております。社外を含めた取締役の解任については、職務の執行について善管注意義務・忠実義務を適切に果たしていないと認められる場合や当社の持続的な利益成長と企業価値向上に貢献していないと認められる場合等取締役としての資質に疑義が存在する場合は解任を検討することとし、不正または重大な法令違反等があった場合は、解任することとしております。取締役(監査等委員である取締役を除く。)候補の指名に際しては、社外取締役を主要な構成員とする任意の指名・報酬委員会の意見を踏まえた上で、取締役会で検討し決定しております。また、監査等委員である取締役候補の指名に際しては、社外取締役の意見を踏まえ、且つ監査等委員会の同意を得た上で、代表取締役が提案した内容を取締役会で検討し決定しております。

 

(ⅴ)取締役候補者(監査等委員である取締役を含む)について、株主総会参考書類において経歴その他の事項を開示し、これと合わせてそれぞれの推薦の理由を開示しております。
 〔取締役候補者(監査等委員である取締役を除く)推薦理由〕
  第24期定時株主総会招集ご通知を参照
 〔監査等委員である取締役候補者推薦理由〕
  第24期定時株主総会招集ご通知を参照

 

【補充原則3-1 ③】当社グループのサステナビリティについての取組みやペーパーレス化やテレワークの推進などによる環境負荷軽減への取組み、人的資本や知的財産への投資等については、統合報告書(https://corp.en-japan.com/IR/annual.html)にて開示しております。また、気候変動緩和策・適応策として「環境基本方針」を定め、環境負担軽減への取り組みとともに当社ホームページ(https://corp.en-japan.com/sustainability/)にて公表しております。
気候変動に係るリスク及び収益機会について、気候変動が様々な企業の経済活動に影響を及ぼし、当社事業に間接的に影響する可能性があると認識しております。ただし、当社事業の特性を鑑みると、気候変動が当社事業に及ぼす直接的な影響は限定的であると考えております。しかしながら、地球環境の保護により持続可能な開発目標の達成を支援することは、重要な責務の一つであると考えて、GHG排出量削減を目的とした数値計測を実施しております。

 

【原則5-1】
(1)基本的な考え方
当社グループの中長期的な企業価値および株主価値の向上を目的に、株主、国内外機関投資家、アナリスト等との積極的な対話を通じて長期的な信頼関係を構築し、適正な企業評価を得ることを基本といたします。

 

(2)IR体制
代表取締役社長を最高責任者とし、経営企画部門にIR業務を選任で行うチームを設置しております。経営戦略の企画・管理を行う経営企画部門内に設置することにより、経営戦略および経営実績ならびに資本市場動向を連携させ、当社グループの状況を正確に把握し適時適切な情報発信を行います。

 

(3)対話の方法
IR活動にあたっては、経営方針・戦略の進捗状況および財務状況、また事業環境や競争環境など、資本市場関係者の関心の高い項目を中心にコミュニケーションツールを作成し、対話の機会を創出します。具体的には、毎四半期決算公表後に、代表取締役社長および経営幹部が出席する決算説明会を開催し、国内外機関投資家、アナリスト等の資本市場関係者に対し決算の概況、経営計画の進捗状況、今後の方針・戦略などの説明およびこれらに対する質疑応答などを通じて対話を深めるほか、証券会社主催のカンファレンス、ラージミーティングおよびスモールミーティングへの参加、国内外の機関投資家オフィスへの訪問、証券会社およびIR支援会社等主催の個人投資家向け説明会への参加などを実施いたします。また、コーポレートサイトにおける積極的な情報開示や統合報告書の充実等にも取り組み、対話の促進に努めております。個人投資家や海外の資本市場関係者対しては専用ツールや英語版資料の作成など情報格差を最小限にしております。

 

(4)経営へのフィードバック及びインサイダー情報の管理
IR活動で得られた情報や資本市場関係者からのフィードバックコメントは、四半期毎に取締役会にて「IRレポート」として報告し、重要性の高い案件や迅速な対応を必要とする案件については、四半期毎の報告機会を待つことなく、代表取締役社長に適宜フィードバックしており、資本市場及び資本市場関係者の要請や期待を正確に把握することで、企業価値・株主価値の向上を意識した経営戦略や財務・資本戦略等に役立てております。また、インサイダー情報の管理は、機密情報管理規定を策定し、未然防止に注力しております。特に、自社株売買については自社株式売買取引規則により一定のルールの下で実施しており、役員及び社員に対しては、継続的な教育を行っております。

 

(5)実質株主調査の実施
原則として年に2回実質株主調査を実施し、株主構成の把握に努め、その後のIR活動に反映しております。

 

【原則5-2】
【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】
当社は、2027年3月期を最終年度とする5か年の中期経営計画において、「持続的な売上および利益成長、資本コストを上回る資本効率、中長期的な企業価値向上に資する財務戦略の実行」を財務基本方針としております。財務健全性確保と資本効率追求を両立すべく、あるべき水準感を意識した自己資本比率目標を設定するとともに、ROE(自己資本利益率)は、当社が独自に算出した資本コストを上回る11%程度を維持し、中長期的にはそれを超える水準を目指すべく企業価値の向上に努めております。
なお、直近年度においては資本コストを上回る資本収益性を達成していることを確認しております。また、当社は、自社の資本コストおよび資本収益性については的確に把握できており、原則として年に一度算出した株主資本コストを適用し、事業ポートフォリオ適正化や業務執行、新規投資判断や撤退基準などに活用するなど、資本効率を意識した経営に取組んでおり、中期経営計画3年目である2025年3月期はROE17%程度(2024年5月9日公表の業績予想数値ベース)を目指しております。今後も、IR活動を通じ資本市場からのニーズを常に注視し、当社の企業価値向上に向けた経営方針や具体的施策の理解促進に努めてまいります。
また、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の今後の方針および具体的な目標値等につきましては、現在進めている中期経営計画の見直しに併せ分析・評価フローを再整備し、詳細につきましては、改めて公表いたします。

 

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