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(5290) 株式会社ベルテクスコーポレーション

スタンダード

ブリッジレポート:(5290)ベルテクスコーポレーション 2025年3月期決算

ブリッジレポートPDF

 

 

 

土屋 明秀 社長

株式会社ベルテクスコーポレーション(5290)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

ガラス・土石製品(製造業)

代表取締役社長

土屋 明秀

所在地

東京都千代田区麹町五丁目7番地2

決算月

3月

HP

https://www.vertex-grp.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

2,237円

25,159,220株

56,281百万円

13.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

65.00円

2.9%

173.42円

12.9倍

1,442.51円

1.6倍

*株価は6/9終値。発行済株式数は25/3期期末の発行済株式数から自己株式を控除。数値は四捨五入。
*2022年7月1日付で1:3の株式分割を実施。配当利回り、PER、PBRはこの株式分割を考慮。
*ROE、BPSは25年3月期実績、EPS、DPSは26年3月期会社予想。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2022年3月(実)

37,514

6,143

6,434

4,242

160.90

26.27

2023年3月(実)

39,095

5,560

5,837

3,742

140.86

30.00

2024年3月(実)

36,833

5,727

5,849

3,728

143.86

40.00

2025年3月(実)

38,918

6,285

6,449

4,826

190.60

60.00

2026年3月(予)

41,000

6,350

6,500

4,290

173.42

65.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。
*2022年7月1日付で1:3の株式分割を実施。DPSとEPSは遡及して再計算。2021年3月期の配当には記念配当10.00円/株(1:3の株式分割前30円)を含む。

 

株式会社ベルテクスコーポレーションの2025年3月期の決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2025年3月期決算概要
3.2026年3月期業績予想
4.第3次中期経営計画の進捗
5.今後の注目点
<参考1:第3次中期経営計画>
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 25年3月期決算は、売上高が前期比5.7%増の389億18百万円、営業利益が同9.8%増の62億85百万円。売上高については計画対比で僅かに下振れも、収益性の高い大型案件が寄与し、営業利益では上振れた。グループ会社の資本関係再編により、過去の繰延譲渡損失の損金算入の影響で当期純利益は大きく上振れた。中期経営計画に沿った各施策について実行中であり、中計目標達成に向けた中長期の見込案件については順調に積み上がっている。

     

  • 26年3月期の会社計画は、売上高が前期比5.3%増の410億円、営業利益は同1.0%増の63億50百万円の予想。大型案件の減少を補う案件の確保により増収および経常利益までの各段階利益は増益の計画。しかし、前年度の繰延譲渡損失の損金算入の影響により、最終利益は減益の計画。また、配当は前期より5.00円/株増加の普通配当65.00円/株の予定。予想配当性向は37.5%。自己株式については昨年8月、本年4月の株価急落時に機動的に実施するなど市場環境を注視しながら実施する。

     

  • 同社は都市インフラに欠かせないセグメント製品等を扱う株式会社IHI建材工業との経営統合を2025年3月27日付で発表した。同社とIHI建材工業が経営統合することにより、同社グループが強みを発揮する下水道・浸水対策事業に、IHI建材工業のセグメント製品群が加わることで、地下トンネル調節池や地下河川事業への参画が可能となる。また、全国各地で計画・実施されている、高規格道路や地下鉄などの大規模なインフラ事業や大型プロジェクトへの参画が加速度的に進む。更に、両社の技術融合による新製品・新材料開発などが可能となる。今後どの様なシナジー効果を創出することができるのか注目される。

     

1.会社概要

暮らしを支える、様々なプレキャストコンクリートの製造・販売を主な事業として展開している。

 

(1)沿革

2014年、日本ゼニスパイプ株式会社、株式会社ハネックス(羽田ヒューム管株式会社が商号変更)、株式会社羽田コンクリート工業の3社が合併し、ゼニス羽田株式会社が発足し、その後「ゼニス羽田ホールディングス株式会社」に商号変更。
2018年10月1日、ゼニス羽田ホールディングス株式会社と株式会社ホクコン(福井県)が共同株式移転により株式会社ベルテクスコーポレーションを設立(ゼニス羽田ホールディングス株式会社と株式会社ホクコンは完全子会社)。
両社が新たな事業グループを創設した。
2019年4月、ゼニス羽田株式会社が存続会社として、ゼニス羽田ホールディングス株式会社(消滅会社)を吸収合併。
2021年4月1日、株式会社ベルテクスコーポレーション傘下の中核事業会社であるゼニス羽田株式会社と株式会社ホクコンが、株式会社ホクコンを消滅会社、ゼニス羽田株式会社を存続会社として吸収合併を行い「ベルテクス株式会社」が誕生。
事業シナジー創出、経営効率化等を進め、成熟市場であるコンクリート及びパイル、並びに成長市場である防災領域でのシェア拡大、収益性向上による売上・利益の成長を目指している。

 

(2)業績推移

経営統合後も経営基盤の整備と利益創出に取り組み、業界最高水準の収益性を確保しながら成長を継続している。25/3期からは次なる成長期入りを目指す。

 

*15/3期~18/3期ゼニス羽田ホールディングス、19/3期〜ベルテクスコーポレーション

 

(3)長期ビジョン

◎パーパス 
「オンリーワンの技術」と「ユニークな発想」で、世界の人々の未来に 安心の新しいカタチを提供します。

 

同社グループは、自然環境や社会の変化に向き合い、新しい価値と安心を創り出してきた。今後も成長し続ける企業として、困難なニーズに応え続ける、オンリーワンの技術と誰も思いつかなかった、ユニークな発想で、どこに住んでいても安心して暮らせる持続可能な社会の実現に貢献していく。これからも、世界の人々の未来に安心の新しいカタチを生み出すために、同社グループは挑み続ける。

 

◎VERTEX Vision 2034
同社は、パーパスとともに、10年後目指す姿としてVERTEX Vision 2034を策定した。
第1次中期経営計画(20/3期~21/3期)は、経営統合に伴う事業・経営基盤の基礎固めの期間であり、第2次中期経営計画
(22/3期~24/3期)は持続的成長を確実にするための事業・経営基盤の強化の期間であった。続く第3次中期経営計画(25/3期~27/3期)では、①事業ポートフォリオの強化、②サステナビリティ経営の推進、③人的資本、R&D、DX強化を重点的に実施する。その後の第4次~第5次中期経営計画(28/3期~33/3期)の実施を経て、2034年に売上高1,000億円、営業利益150億円を目指す。

 

【10年後のありたい姿】
また、同社は労働人口減少、インフラの老朽化、地球温暖化、災害の激甚化など10年後に向けて同社が対応しなくてはならない課題を整理するとともに、その対策として「10年後のありたい姿」を定義した。

10年後のありたい姿

対策

みらい工場

人手不足等を踏まえ、自動化や集中管理等のスマートファクトリー化を進める。

ワンストップ・メンテナンス

インフラの維持・管理を上流から巻き取り、ワンストップで対応可能なプレーヤーとなる。

オンサイトプレキャストプレキャストコンクリートについて工場からの配送という体制から現場でのプレキャスト化に対応。
スマート斜面防災衛星等から様々なデータを収集し災害等の危険を事前に察知し防ぐスマート斜面防災を実現。

 

【長期的な事業ポートフォリオ構想 】
同社は、VERTEX Vision 2034に向け、事業ポートフォリオの強化に取り組んでいく。

(同社資料より)

 

(4)市場環境

同社を取り巻く事業環境を見ていくうえでは、下記のような点を踏まえておく必要がある。

 

◎防災・減災投資需要の継続
建設業界において重要な公共事業関係費は過去10年にわたり安定的に推移している。特に、インフラの補修や公共工事は毎年一定額が拠出されている。また、今後建設後50年を経過する既存インフラの割合が上昇することから、今後も高水準の防災・減災投資需要が継続するものと予想される。こうした中、同社では同社のビジネスモデルに沿って、実績の積み重ね製品の採用シェアを引き上げていくことが成長の上で重要と認識している。

 

(建設後50年以上経過する主な社会資本の割合)

農業用用排水路(約5万km、基幹的農業水利施設)

2019年

2029年

-

50%

67%

-

道路橋(約73万橋、橋梁 2m以上)

2020年

2030年

2040年

30%

55%

75%

下水道管きょ(総延長約47万km)

2020年

2030年

2040年

5%

16%

35%

港湾岸壁(約5,000施設、水深 -4.5m以深)

2020年

2030年

2040年

21%

43%

66%

防火水槽(約52万基)

2020年

2025年

2035年

35%

40%

58%

(同社資料より)

 

 

◎国土強靭化計画の見直し
2024年7月に閣議決定された国土強靭化基本計画に基づき、2025年4月に第1次国土強靭化実施中期計画の素案が発表された。前回の5か年計画加速化対策から事業規模は約3割の上乗せとなり、当社の基盤事業には追い風となる。

(同社資料より)

 

◎建設現場の働き方改革・人手不足:プレキャスト工法の拡大
プレキャストコンクリートとは工場であらかじめ製造されたコンクリート製品であり、作業効率において優れ、現場の人手不足の解決や人件費の高騰に対するソリューションとして期待が高い。一方、現場打ちとは、工事現場で鉄筋を組み、生コンクリートを打設する工法である。プレキャストコンクリートは、現場における作業効率が、現場打ちの1/2~1/5程度とメリットがある反面、工場から運搬する必要があるため輸送路上の制約が発生し、距離によっては運搬費で高コストとなるデメリットがある。一方、現場打ちは、輸送路の制約がない特殊な構造や大型構造にも柔軟な対応が可能というメリットがある反面、作業効率でプレキャストに劣後し、天候や作業者により品質にばらつきが出るというデメリットがある。現在は、直接工事費の観点から予算上は経済性で優位という認定により現場打ち工が大半を占め、プレキャスト工は全体の13%を占める程しかない。しかし、熟練工の不足や現場の働き方改革に伴い施工の効率化が求められる中で、長期的にはプレキャスト工を選択するケースが今よりも高まっていくことが期待される。海外並みの使用比率となれば、中長期的にプレキャスト工の比率が50%を超える可能性もある。

 

(5)事業内容

セグメントは「コンクリート事業」「パイル事業」「防災事業」「その他事業」の4つ。なお、「防災事業」は25年3月期より「斜面防災事業」に名称変更。

 

 

各事業、以下のグループ会社が事業を担っている。

セグメント

グループ会社

コンクリート事業

ベルテクス株式会社(東京都)

ベルテクス建設株式会社(大阪府)

株式会社ホクコンプロダクト(福井県)

北関コンクリート工業株式会社(群馬県)

九州ベルテクス株式会社(福岡県)

パイル事業

ホクコンマテリアル株式会社(福井県)

斜面防災事業

ベルテクス株式会社(東京都)

ベルテクス建設株式会社(大阪府)

九州ベルテクス株式会社(福岡県)

その他事業

株式会社ウイセラ(岐阜県)

アイビーソリューション株式会社(福井県)

プロフレックス株式会社(埼玉県)

株式会社エヌエクス(東京都、持分法適用関連会社)

 

【コンクリート事業】
プレキャストコンクリートを製造販売。売上高の約69% 、営業利益の約67%を占める同社の主力事業領域である。中でも浸水対策事業・下水道事業を主力とし、当該領域では業界トップの実績を誇る。
(各写真はHPより)

 

事業名

概要

浸水対策事業・下水道事業

水災害対策や下水道施設の耐震化など「防災・減災」に対し、ニーズを反映した豊富なラインナップとオンリーワンの技術により最善の提案。

 

道路事業

道路インフラの整備だけではなく、人命を守るための製品を数多く保有。「安全・安心」な道路づくりに貢献。

 

メンテナンス事業

先送りできないインフラ老朽化対策として、ライフサイクルコストを考慮した最適な製品・工法を提案。豊かな国民生活、社会経済を支える基盤であるインフラの長寿命化の実現に貢献。

 

鉄道事業

超高硬度コンクリートや特殊モルタルなど、材料まで突き詰めた製品もラインナップ。一つ先行く「安全・安心」を提供。

住宅・開発事業

安心して暮らせるように備える地震や災害に強い街づくりのために、大地震対応の製品を数多くラインナップ。また、No.1ブランドの耐震性貯水槽や独自の災害用トイレを保有。

 

【パイル事業】
建築の基礎工事に用いるコンクリートパイルの事業を展開。建築の基礎工事に用いられるコンクリートパイルの製造販売および杭打ち工事などを提供。

 

【斜面防災事業】
斜面防災のための製品を製造販売。石、土砂崩れなどの災害が予想される山岳道路や住宅地域に対して、性能検証実験を経て自社開発した工法・製品を多くラインナップ。

 

【その他事業】
その他事業は、油圧ホースメンテナンス、セラミック事業、RFID事業、コンクリートの調査・試験事業、システム開発・販売事業、乳酸菌事業などで、子会社群にて手掛けている。

 

(6)特徴と強み

◎ビジネスモデルの特徴
同社の直接の製品の販売先はゼネコンであるものの、案件の初期段階から設計コンサルタントや発注者 (官庁・デベロッパ)に対して提案・サポートを行い、自社製品を売り込むことができるモデルとなっている。また、社会課題対策として他社に先駆けて新製品を市場に投入し、先行メーカーとして実績を積み上げ市場を開拓すると同時に当該分野でのブランドを確立し、売上を伸ばしていくモデルにもなっている。

 

(同社資料より)

 

 

◎強み
①技術力・開発力
取得特許の数やNo.1ブランド製品の数などが示す技術力・開発力を軸に営業や技術など全てのスタッフが組織的に連携を取ることで高い提案力・競争力を実現している。

 

(同社資料より)

 

②業界内で最も高い水準の利益率
技術力・開発力・営業力・組織力を掛け合わせ、業界内で最も高い水準の利益率を達成している。

 

(同社資料より)

 

(7)株主還元

25/3期の配当は期初計画を上方修正し60円/株にて実施予定(4/30開示)。配当性向31.5%、総還元性向58.7%と中期経営計画における目標水準と同程度で着地。26/3期は、当期純利益は減益の一方、配当は65円/株と増配の計画。
自己株式については昨年8月、本年4月の株価急落時に機動的に実施するなど市場環境を注視しながら実施。

 

 

(8)資本コストを意識した経営

現在の資本コストを8~9%と捉え、引き続き長期的なROE向上と資本コスト抑制を目指す。

 

また、中期経営計画期間においては英文対応や開示の拡大等をはじめ、IR活動の充実化も意識し、株主・投資家との対話を通した企業価値向上を目指す。

 

(同社資料より)

2.2025年3月期決算概要

(1)連結業績

 

24/3期

構成比

25/3期

構成比

前期比

会社計画

計画比

売上高

36,833

100.0%

38,918

100.0%

+5.7%

40,000

-2.7%

売上総利益

12,173

33.0%

13,236

34.0%

+8.7%

-

-

販管費

6,446

17.5%

6,950

17.9%

+7.8%

-

-

営業利益

5,727

15.5%

6,285

16.2%

+9.8%

6,000

+4.8%

経常利益

5,849

15.9%

6,449

16.6%

+10.3%

6,200

+4.0%

当期純利益

3,728

10.1%

4,826

12.4%

+29.4%

4,050

+19.2%

*数値には株式会社インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。
*単位:百万円

 

同期比5.7%の増収、同9.8%の営業増益
25/3期の売上高は、前期比5.7%増の389億18百万円となった。売上面では、その他事業を除き、コンクリート事業、パイル事業、斜面防災事業ともに増加したものの、期初の会社予想を2.7%下回った。
営業利益は、同9.8%増の62億85百万円となった。利益面でも、その他事業を除き、コンクリート事業、パイル事業、斜面防災事業ともに増加し、期初の会社予想を4.8%上回った。収益性の高い大型案件の計上が寄与した。売上総利益率は、前期比1ポイント上昇の34.0%となった。売上高対販管費比率が前期比0.4ポイント上昇したものの、売上高営業利益率は16.2%と同0.7ポイント上昇した。その他、期に営業外費用で計上した損害補償費用54百万円が今期は4百万円に減少したことなどにより、経常利益の増益率は営業利益の増益率を上回った。その他、グループ会社の資本関係再編により、過去の繰延譲渡損失の損金算入の影響で当期純利益は前期比29.4%の大幅な増益となった。
中期経営計画に沿った各施策について実行中であり、中計目標達成に向けた中長期の見込案件については順調に積み上がっている。

 

下期の業績推移

 

25/3期下期は、前期比で増収増益となり、売上高営業利益率も前期比1.1ポイント上昇の18.3%となった。売上高、営業利益、売上高営業利益率ともに高水準で安定している。

 

(2)セグメント動向

 

24/3期 

構成比

25/3期 

構成比

前期比

コンクリート事業

25,726

69.8%

26,918

69.2%

+4.6%

パイル事業

2,783

7.6%

3,689

9.5%

+32.5%

斜面防災事業

4,765

12.9%

4,890

12.6%

+2.6%

その他事業

3,557

9.7%

3,419

8.8%

-3.9%

売上高合計

36,833

100.0%

38,918

100.0%

+5.7%

コンクリート事業

4,899

19.0%

5,410

20.1%

+10.4%

パイル事業

81

2.9%

246

6.7%

+200.7%

斜面防災事業

1,557

32.7%

1,659

33.9%

+6.6%

その他事業

788

22.2%

779

22.8%

-1.2%

調整額

-1,600

-

-1,810

-

-

営業利益合計

5,727

15.5%

6,285

16.2%

+9.8%

*単位:千円。営業利益の構成比は売上高営業利益率。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

◎コンクリート事業(前期比4.6%増収、同10.4%増益)
上期の九州地区で受注した収益性の高い大型案件に加え、販売単価の見直しによる収益性の向上が順調に推移した。その結果、売上高は前期比4.6%増の269億18百万円、セグメント利益は同10.4%増の54億10百万円となった。また、売上高営業利益率は、前期比1.1ポイント上昇の20.1%となった。会社計画との比較では、売上高は会社計画を下回ったものの、セグメント利益は会社計画を上回った。

 

◎パイル事業(前期比32.5%増収、同200.7%増益)
上期を中心に前期からの継続案件や期首に予定していた新規案件が順調に進捗した。その結果、売上高は前期比32.5%増の36億89百万円、セグメント利益は同200.7%増の2億46百万円となった。また、売上高営業利益率は、前期比3.7ポイント上昇の6.7%となった。会社計画との比較では、売上高、セグメント利益ともに会社計画を上回った。

 

◎斜面防災事業(前期比2.6%増収、同6.6%増益)
製品販売量が堅調に推移したことに加え、工事受注量が計画を上回る水準で増加した。その結果、売上高は前期比2.6%増の48億90百万円、セグメント利益は前期比6.6%増の16億59百万円となった。また、売上高営業利益率は、前期比1.3ポイント低下の33.9%となった。会社計画との比較では、売上高は会社計画を下回ったものの、セグメント利益は会社計画を上回った。

 

◎その他(前期比3.9%減収、同1.2%減益)
油圧ホースメンテナンス事業において、受注が順調に進捗したものの、セラミックス事業において、自動車(EV)関連及び半導体製造装置関連の出荷が低調に推移した。その結果、売上高は前期比3.9%減の34億19百万円、セグメント利益は前期比1.2%減の7億79百万円となった。また、売上高営業利益率は、前期比0.6ポイント上昇の22.8%となった。会社計画との比較では、売上高、セグメント利益ともに会社計画を下回った。

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

24年3月

25年3月

 

24年3月

25年3月

現預金

13,921

17,323

仕入債務

7,145

6,103

売上債権

13,283

10,935

短期有利子負債

3,294

3,065

たな卸資産

4,904

5,492

流動負債

13,817

11,960

流動資産

32,803

34,690

長期有利子負債

1,458

844

有形固定資産

12,538

11,297

固定負債

4,348

3,371

無形固定資産

3,784

3,424

純資産

33,859

36,534

投資その他

2,898

2,455

負債・純資産合計

52,024

51,866

固定資産

19,221

17,176

有利子負債合計

4,755

3,910

*単位:百万円。売上債権には電子記録債権を、仕入債務には電子記録債務を含む。有利子負債にリース債務を含む。

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

25年3月末の総資産は、前期末比1億58百万円減少の518億66百万円となった。資産面では、現預金、たな卸資産、投資有価証券などが主な増加要因となり、売上債権、土地、のれんなどが主な減少要因となった。負債・純資産面では、賞与引当金、親会社株主に帰属する当期純利益の増加に伴う利益剰余金などが主な増加要因となり、仕入債務、短期と長期の有利子負債、未払法人税等、退職給付に係る負債などが主な減少要因となった。25年3月末の自己資本比率は70.0%と前期末比5.5ポイント上昇した。
キャッシュ・フロー

 

24/3期 

25/3期 

前期比

営業キャッシュ・フロー

5,592

6,376

783

+14.0%

投資キャッシュ・フロー

-526

215

741

-

フリー・キャッシュ・フロー

5,066

6,591

1,525

+30.1%

財務キャッシュ・フロー

-2,152

-3,185

-1,033

-

現金及び現金同等物の中間期末残高

13,896

17,303

3,406

+24.5%

*単位:百万円

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

CFの面から見ると、減損損失の減少、売上債権の減少などにより営業CFのプラスが拡大した。また、事業譲渡による収入により投資CFがプラスに転じ、フリーCFのプラスも拡大した。その他、短期借入金の減少、自己株式の取得の増加、配当金の支払額の増加などにより財務CFのマイナスは拡大した。この結果、期末のキャッシュ・ポジションは前期比で24.5%増加した。

 

(4)株主還元

◎株主還元方針 (現中期経営計画期間:2025年3月期〜2027年3月期)
◆配当性向      30%
◆総還元性向    50%以上

 

◎配当金
配当金は、1株あたり前期より20円増加の 60円 の予定で、配当性向は31.5%となる見込み。

 

◎自己株式の取得状況
同社は、株主還元の充実と資本効率の向上及び経営環境の変化に応じた機動的な資本政策を実行するため、継続的に自己株式の取得を実施している。総還元性向58.7%と中期経営計画における目標水準と同程度で着地した。
◆取得期間      ①5月14日~7月22日  ②8月13日~10月11日
◆取得総額      13億円(①8億円、②5億円)

 

3.2026年3月期業績予想

(1)連結業績

 

25/3期

構成比

26/3期 予想

構成比

前期比

売上高

38,918

100.0%

41,000

100.0%

+5.3%

営業利益

6,285

16.2%

6,350

15.5%

+1.0%

経常利益

6,449

16.6%

6,500

15.9%

+0.8%

当期純利益

4,826

12.4%

4,290

10.5%

-11.1%

*単位:百万円

 

前期比5.3%増収、同1.0%営業増益の予想
2024年4月1日にパーパス『「オンリーワンの技術」と「ユニークな発想」で、世界の人々の未来に安心の新しいカタチを提供します。』を制定した。また、新たに制定したパーパスの実現に向けて、10年後の2034年に目指す姿「長期ビジョンVERTEX Vision 2034」と、2024年~2026年までの「第3次中期経営計画」を新たに策定した。「第3次中期経営計画」において掲げた経営戦略を着実に実行することで、未来の安心と更なる企業価値向上を実現する。
大型案件の減少を補う案件の確保により増収および経常利益までの各段階利益は増益の計画。しかし、前年度の繰延譲渡損失の損金算入の影響により、最終利益は減益の計画。売上高営業利益率は、前期比0.7ポイント低下の15.5%の想定。
また、配当は前期より5.00円/株増加の普通配当65.00円/株の予定。予想配当性向は37.5%。自己株式については昨年8月、本年4月の株価急落時に機動的に実施するなど市場環境を注視しながら実施する。26年3月期の会社計画は、売上高が前期比5.3%増の410億円、営業利益は同1.0%増の63億50百万円円の予想。
なお、2025年3月発表の㈱IHI建材工業の買収については精査中であり計画に織り込まず、M&A後の統合プロセスを通じた中期経営計画への影響は精査後の開示を予定している。

 

また、同社の事業は大部分が国内公共工事に関連するものであり、内需に起因するものとなっているため、現時点ではトランプ政権における関税措置が実行された場合でも大きな影響は無いと思われる。加えて、プレキャスト・コンクリートの原材料に関しても主に国内より調達しているため、為替の影響は極めて少ない。

 

(2)セグメント動向

 

25/3期 実績

構成比

26/3期 予想

構成比

前期比

コンクリート事業

26,918

69.2%

28,100

68.5%

+4.4%

パイル事業

3,689

9.5%

3,400

8.3%

-7.8%

斜面防災事業

4,890

12.6%

5,500

13.4%

+12.5%

その他事業

3,419

8.8%

4,000

9.8%

+17.0%

売上高合計

38,918

100.0%

41,000

100.0%

+5.3%

コンクリート事業

5,410

20.1%

5,400

19.2%

-0.2%

パイル事業

246

6.7%

240

7.1%

-2.6%

斜面防災事業

1,659

33.9%

1,760

32.0%

+6.1%

その他事業

779

22.8%

850

21.3%

+9.0%

調整額

-1,810

-

-1,900

-

-

営業利益合計

6,285

16.2%

6,350

15.5%

+1.0%

*単位:百万円。営業利益の構成比は売上高営業利益率。
*防災事業は、25/3期より斜面防災事業に名称が変更となった。

 

コンクリート事業は、前期比4.4%の増収、同0.2%の減益見込み。また、売上高営業利益率は、前期比0.9ポイント低下の19.2%の会社予想。
パイル事業は、前期比7.8%の減収、同2.6%の減益見込み。また、売上高営業利益率は、前期比0.4ポイント上昇の7.1%の会社予想。
斜面防災事業は、前期比12.5%の増収、同6.1%増益見込み。また、売上高営業利益率は、前期比1.9ポイント低下の32.0%の会社予想。
その他事業は、前期比17.0%の増収、同9.0%増益見込み。また、売上高営業利益率は、前期比1.6ポイント低下の21.3%の会社予想。

 

(3)上期の業績推移

 

上期は、前年比減収、減益の予想。前期に収益性の高い大型案件の計上があった反動。

 

(4)自己株式の取得

同社は、2025年4月11日~2025年7月31日の間で、421,000株(上限)の自己株式の取得を行う予定である。
取得価額の総額 は、800,000,000円(上限)で、発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合は1.65%となる。

 

4.第3次中期経営計画の進捗

VERTEX Vision 2034 に基づく1期目の計画として、オーガニックで売上430億、営業利益65億を計画する。将来の売上1,000億、営業利益150億を見据えた第1歩として事業ポートフォリオの強化に向けた成長投資を行い、基盤を整えたコア事業の再成長と長期的な成長の軸となる新規事業の育成に取り組む。

 

【数値目標】

数値目標(計画発表時の数値)

 

24/3期(実績)

25/3期(中計)

26/3期(中計)

27/3期(中計)

3か年累計

Vision 2034

売上高

368

400

410

430

1,240

1,000

営業利益

57

60

62

65

187

150

ROE

11%

-

-

14%

-

20%

*単位:億円

 

【重点項目】

事業ポートフォリオの強化

◆基盤事業 - コンクリート・斜面防災

市場成長を踏まえた安定的な収益拡大を図る。

◆育成事業 - メンテナンス・鉄道・防衛・油圧ホースメンテナンス

将来の注力ドメイン化を考えた成長投資を実施する。

人的資本・R&D・DXの推進強化

サステナビリティ経営の推進

 

(同社資料より)

 

【施策】

①事業ポートフォリオの強化

◆基盤事業のコンクリート・斜面防災において市場成長を踏まえた安定的な収益拡大の推進

◆育成事業のインフラメンテナンス、鉄道、防衛及び油圧ホースメンテナンス事業に対する成長投資を推進

◆オーガニック成長に加え、M&Aを通した事業ポートフォリオの強化・拡大を推進

②サステナビリティ経営の推進

◆10年後のありたい姿」を目指し、「みらい工場」・「ワンストップ・メンテナンス」・「オンサイトプレキャスト」・「スマート斜面防災」の実現に向けての体制構築

◆カーボンニュートラルに向けた取り組みの推進

③人的資本・R&D・DXの推進強化

◆人材開発プログラム・採用プログラムの更なる推進強

◆通常の研究開発や設備投資に加え、「10年後のありたい姿」を意識した成長投資を推進

◆情報システムやICTインフラの整備とDXの更なる推進

 

①事業ポートフォリオの強化の進捗状況
【基盤事業:コンクリート事業】
国土交通省が上下水道の再構築等のあり方として、大規模下水道システムの代替えルート(リダンダンシー)確保の方向性を提言。同社の主力商品であるスパイラルホールやエスホール、ヒューム管などの需要拡大が見込まれる。

 

(同社資料より)

【基盤事業:工場の統廃合による効率化】
市場動向を踏まえ、工場配置の最適化と生産効率化を目的に、工場の統廃合を実施する。

(同社資料より)

 

【育成事業:計画・実績】
今中計においては将来の注力ドメインとしてコンクリート事業におけるインフラメンテナンス、鉄道、防衛及び油圧ホースメンテナンス事業に対する成長投資を推進する。中計終了時点での売上合計80億円程度を目指し、今期は約63億円と順調な成長を目指す。

(同社資料より)

 

【M&A(IHI建材工業)】
M&Aを通した事業ポートフォリオの強化・拡大を目的に、都市インフラに欠かせないセグメント製品等を扱う「株式会社IHI建材工業」の全株式を取得について、2025年3月27日付で株式譲渡契約を締結した。IHI建材工業との経営統合により、同社グループは新たなステージへの飛躍を目指す。

 

近年のゲリラ豪雨の増加などを踏まえ、各地で治水のための地下トンネル調節池の整備が計画されており、2020年以降に合成セグメントの活用が期待出来る市場として、事業費で約4,500億円の潜在的な市場があると同社では試算している。

(同社資料より)

 

<狙いと今後の展開>
◎コア事業である下水道・浸水対策事業領域における幅広い展開による基盤強化とシナジー創出
同社グループが強みを発揮する下水道・浸水対策事業に、IHI建材工業のセグメント製品群が加わることで、地下トンネル調節池や地下河川事業への参画が可能となる。合成セグメント等のIHI建材工業が保有する製品群をラインナップに加えることで、当社が強みを持つ下水道・浸水対策領域において更に幅広い事業展開を目指し、事業ポートフォリオの強化を進める。

 

(同社資料より)

 

◎両社の力を結集することによる、大規模なインフラ事業や大型プロジェクトへの参画
全国各地で計画・実施されている、高規格道路や地下鉄などの大規模なインフラ事業や大型プロジェクトへの参画が加速度的に進むことで社会インフラの発展への貢献が可能となる。道路・鉄道等で2020年以降に、事業費で約2,500億円の潜在的な市場があると同社では試算している。IHI建材工業の持つ実績等をフックとして、全国各地で計画・実施されている高規格道路や地下鉄などの大規模なインフラ事業や大型プロジェクトへの参画を目指す。

(同社資料より)

 

◎両社の生産・技術・営業のノウハウを融合し、革新的な新素材や新製品の開発を推進
両社の技術融合による新製品・新材料開発などで、持続可能な社会の構築に貢献する。特に、下水道管内で発生する硫化水素や硫酸などの腐食環境対策製品などへの展開を視野に入れる。

 

 

(同社資料より)

 

【M&A戦略:今後の方向性】
IHI建材工業の買収後も、依然85〜135億円程度のM&A投資枠を確保しており、引き続きM&Aを通した事業ポートフォリオの強化・拡大を狙う。

本中期経営計画期間のM&A戦略投資枠

M&A投資枠100~150億円(主に借入を活用したM&A戦略投資枠を設定)

IHI建材の買収額は1,264百万円であり依然85〜135億円程度のM&A投資枠を確保

今後のM&A強化に向けた社内体制

M&A対応人員強化により案件情報の量と質を高める

◆量:あらゆるチャネルを駆使して案件情報を収集

◆質:良好な関係性を構築し、良質な情報収集を目指す

M&Aターゲットの方向性

◆防災・減災・国土強靭化を軸とし、既存事業の機能強化・周辺領域展開が見込める企業

◆同社が選定する育成事業(インフラメンテナンス、鉄道、防衛)に対して提供するプロダクト・サービスを有する企業

◆官公庁に強いプロダクト・サービスを提供する企業

◆事業ポートフォリオの強化・拡大が見込める事業を有する企業(既存事業の強みを活用しシナジーが期待できる事業)

 

②サステナビリティ経営の推進
【10年後のありたい姿】
高付加価値製品へのシフトや蒸気ボイラー燃料のガス化などにより、Scope1,2のCO2削減を着実に推進し、今後、蒸気養生を不要とした製造の導入などによりCO2削減を加速させる。

(同社資料より)

 

【ワンストップ・メンテナンス】
同社が保有する「調査・診断→ 試験分析・診断→ 設計・提案(製品〜補修補強)→工事→点検」までの一連の業務をパッケージ化した「V-PACKAGE」を提供することで、付加価値を高めることを目指す。

 

(同社資料より)

 

また、埼玉県八潮市で発生した道路陥没を受け、国土交通省が大規模陥没につながる要素と事故時の影響度の観点から、「内径2m以上かつ1994年以前に設置・改築された管路」を対象に全国特別重点調査の実施が提言された。更に、耐用年数50年を超過する下水道管路は今後20年間で急速に増加する見込みであり、今後の下水道インフラマネジメントへの対応が急務となっている。

(同社資料より)

 

【オンサイトプレキャスト】
モバイルプラントの実用化に向けて移動式プラントを初導入した。10年後のプレキャストコンクリート事業に向けて工場立地を問わないサービス体制構築を目指す。

 

(同社資料より)

 

③人的資本・R&D・DXの推進強化
【人材育成】
「次世代リーダー育成塾」の開始や、「キャリアデザイン研修」の実施など下記のプログラムをベースに人材育成プログラムを着実に推進する。

 

(同社資料より)

 

5.今後の注目点

同社の25/3期決算は、前期比5.7%の増収、同9.8%の営業増益となった。25/3期は売上高では計画対比で僅かに下振れたものの、収益性の高い大型案件が寄与し、営業利益では上振れとなった。同社は中期経営計画に沿った各施策について実行中であり、中計目標達成に向けて中長期の見込案件が順調に積み上がっている模様である。中期経営計画の2年目となる26/3期についても期初の段階で中期経営計画の2年目の数値目標を上回る会社見通しが示された。中期経営計画の達成に向けてどこまで貯金が作れるのか、上期の業績動向が注目される。
また、同社は都市インフラに欠かせないセグメント製品等を扱う株式会社IHI建材工業との経営統合を2025年3月27日付で発表した。同社とIHI建材工業が経営統合することにより、同社グループが強みを発揮する下水道・浸水対策事業に、IHI建材工業のセグメント製品群が加わることで、地下トンネル調節池や地下河川事業への参画が可能となる。また、全国各地で計画・実施されている、高規格道路や地下鉄などの大規模なインフラ事業や大型プロジェクトへの参画が加速度的に進む。更に、両社の技術融合による新製品・新材料開発などが可能となる。同社では、現在IHI建材工業買収の影響額を精査中であり、期初の段階では、26/3期の会社計画に各種のシナジー効果を織り込んでいない。これらは、M&A後の統合プロセスを通じた中期経営計画への影響額を精査後に開示される見通しである。今後どの様な数値目標が示されるのか今から楽しみである。今後のIHI建材工業とのシナジー効果に注目したい。
加えて、同社はIHI建材工業の買収後も、依然85〜135億円程度のM&A投資枠を確保している。同社は、①防災・減災・国土強靭化を軸とし、既存事業の機能強化・周辺領域展開が見込める企業、②同社が選定する育成事業(インフラメンテナンス、鉄道、防衛)に対して提供するプロダクト・サービスを有する企業、③官公庁に強いプロダクト・サービスを提供する企業、④事業ポートフォリオの強化・拡大が見込める事業を有する企業をM&Aのターゲットと定めている。今後のM&A戦略についても期待を込めて注目していきたい。

 

<参考1:第3次中期経営計画>

同社は、2025年3月期から2027年3月期までの3か年を対象とする第3次中期経営計画を策定した。
VERTEX Vision 2034 に基づく1期目の計画として、オーガニックで売上430億、営業利益65億を計画する。将来の売上1,000億、営業利益150億を見据えた第1歩として事業ポートフォリオの強化に向けた成長投資を行い、基盤を整えたコア事業の再成長と長期的な成長の軸となる新規事業の育成に取り組む。

 

【数値目標】

数値目標(計画発表時の数値)

 

25/3期

(中計)

25/3期

(実績)

26/3期

(中計)

26/3期

(会社予想)

27/3期

(中計)

3か年累計

Vision 2034

売上高

400

289.1

410

410

430

1,240

1,000

営業利益

60

62.8

62

63.5

65

187

150

ROE

-

13.8%

-

-

14%

-

20%

*単位:億円

 

【重点項目】

事業ポートフォリオの強化

◆基盤事業 - コンクリート・斜面防災

市場成長を踏まえた安定的な収益拡大を図る。

◆育成事業 - メンテナンス・鉄道・防衛・油圧ホースメンテナンス

将来の注力ドメイン化を考えた成長投資を実施する。

人的資本・R&D・DXの推進強化

サステナビリティ経営の推進

 

◎基盤事業における施策

【コンクリート事業】
主力事業であり、市場環境が堅調である雨水浸水対策領域のコンクリート事業については更なる強化を推進する。前中計までで製品ポートフォリオの体制は整い、今後は販売強化や更なる付加価値化を通してより売上と利益を積み上げていくフェーズとして取り組む。

 

(主な取組み)
◆既存製品・新製品の販売強化
<コンクリート事業の新製品群>

ボルテックスバルブ

 

スパイラルホール

 

無動力で貯留槽からの流量を水位に応じてコントロールし、雨水貯留施設の貯留

機能を従来式から最大20%向上させる装置。

雨水をマンホール内壁に沿ってらせん状に落水させることで騒音と振動の発生を回避し、スムーズに流出

管に流し込むことが出来るマンホール。

 

◆絞り込んだ製品群の更なる付加価値化
◆コンクリート工場の統廃合による効率化
過去の経営統合を通して保有する工場や拠点についての統廃合に着手。2024年運送問題や市場動向を踏まえ、各工場から
の運送範囲の再設定と効率化に取り組む。

 

【斜面防災事業】
近年激甚化する自然災害への対策として、防災・減災や国土強靭化に対する意識は高まる傾向にある。また、国土強靭化に向けた対策の拡大も予定されている。こうした環境下、引き続き崩壊土砂対策や落石対策に向けた製品の拡販と更なる研究開発・付加価値化に取り組む。
<主な製品>

ループフェンス

崩壊土砂防護工・土石流・流木対策工

 

◆メンテナンス性の高さ

◆ケーブル取り付け位置の調整による柔軟な配置の実現

◆土砂、落石、積雪などに対応可能

◎育成事業における施策

将来の注力ドメインとしてコンクリート事業におけるインフラメンテナンス、鉄道、防衛及び油圧ホースメンテナンス事業に対する成長投資を推進する。第3次中期経営計画終了時点では合計で80億円程度の売上規模を目指す。

 

事業

主な施策

インフラメンテナンス

◆設置シェアNo1の防火水槽関連や農業水利関係に注力し販売を強化

◆調査・診断に始まり維持保守管理までワンストップでの対応を通し顧客の拡大・深掘り

鉄道

◆同社、ゼネコン、鉄道事業者の連携を深め、同社が有する新材料を活用し、顧客ニーズに合致した製品開発を推進

油圧ホースメンテナンス事業

◆2023年に完全子会社化したプロフレックスは、豊富な在庫品番数で1個から全国へ即納する優れたオペレーションとオリジナル加締機自社企画品の設計力を強みとしている。関東圏で既に強みを活かして成功した事業モデルを他地域へ横展開する。

 

◎M&A戦略

オーガニック成長に加え、M&Aを通した事業ポートフォリオの強化・拡大を狙う。

中期経営計画期間のM&A戦略投資枠

◆M&A投資枠は、100~150億円を予定、主に借入を活用したM&A戦略投資枠を設定

今後のM&A強化に向けた社内体制

◆M&A対応人員強化により案件情報の量と質を高める

◆量:あらゆるチャネルを駆使して案件情報を収集

◆質:良好な関係性を構築し、良質な情報収集を目指す

M&Aターゲットの方向性

◆防災・減災・国土強靭化を軸とし、既存事業の機能強化・周辺領域展開が見込める企業

◆同社が選定する育成事業(インフラメンテナンス、鉄道、防衛)に対して提供するプロダクト・サービスを有する企業

◆官公庁に強いプロダクト・サービスを提供する企業

◆事業ポートフォリオの強化・拡大が見込める事業を有する企業(既存事業の強みが活かせシナジーが期待できる事業)

 

【既存事業成長とM&A成長のイメージ】
第3次中期経営計画期間において、売上成長についてはM&Aによる成長ポテンシャルは大きい一方、利益についてはオーガニック成長が中心となる想定 (M&A初期の利益貢献は見込まずPMIフェーズの改善想定)としている。

 

(同社資料より)

 

◎財務戦略

同社は、資本効率を意識したバランスシートを目指し、今中計のキャッシュ・アロケーションを策定した。

(同社資料より)

【成長投資・更新投資の詳細】
同社は、通常の研究開発や設備投資に加え、「10年後にありたい姿」を意識した投資予算を設定した。

 

<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

8名、うち社外4名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2024年7月1日

 

<基本的な考え方>
当社は、経営の透明性・健全性を確保しつつ、効率的な意思決定を可能とするコーポレート・ガバナンス体制の構築が重要であるとの認識のもと、当社グループ経営において主体的な役割を果たし、グループの戦略・方針の策定、グループ各社に対する指導・助言を通じ、コーポレート・ガバナンスの充実に努めております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
コーポレートガバナンス・コードの各原則について全てを実施しております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>

原則

開示内容

【原則 3-1 情報開示の充実】

(i)経営理念等や経営戦略、経営計画

当社の経営計画等を当社ホームページで開示しております。

(ii)コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針 コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方を定めたガイドラインを当社ホームページで開示しております。

(iii)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するにあたっての方針と手続

取締役(社外取締役を除く)の報酬は、固定報酬としての基本報酬と業績指標を基礎としてその数が算定される非金銭報酬(以下「業績連動非金銭報酬」という。)としてのストックオプションにより構成し、社外取締役については、その職務に鑑み、基本報酬のみとしております。

取締役(監査等委員である取締役を除く。以下同じ。)の種類別の報酬割合の目安は、基本報酬:業績連動非金銭報酬等(短期インセンティブ):業績連動非金銭報酬(長期インセンティブ)=70:15:15(業績指標を 100%達成の場合)とし、任意の報酬委員会が審議並びに取締役会に対する答申を行い、取締役会は当該答申内容を尊重し、決定いたします。

取締役の個人別の報酬額については、任意の報酬委員会が審議並びに取締役会に対する答申を行い、取締役会は当該答申内容を尊重し、決定いたします。

監査等委員である取締役の報酬については、任意の報酬委員会が審議並びに監査等委員である取締役全員に対する答申を行い、監査等委員である取締役全員が当該答申内容を尊重し協議した上で決定いたします。

(ⅳ)経営陣幹部の選解任と取締役候補の指名を行うに当たっての方針と手続

(方針)

 監査等委員でない取締役候補は、当社グループの企業価値向上のために、グループの発展に寄与できる幅広い視野と経験を有し、マネジメント能力と経営センスを持った人材を選任しています。

監査等委員である取締役候補は、数多くの経験や見識からの視点より、監査等委員でない取締役の業務執行を公正に監査・監督できる人材を選任しています。

(選任手続き)

当社は任意の指名委員会を設置しております。指名委員会は取締役選解任案を審議し、取締役候補者の提言をいたします。それぞれの提言を踏まえ、監査等委員でない取締役候補者案は監査等委員会に報告、監査等委員である取締役候補者案は監査等委員会の同意を得た上で、取締役会において決議しております。

 

(v)経営陣幹部の選解任と取締役候補の指名を行う際の、個々の選解任・指名についての説明

取締役の選解任につきましては、株主総会招集ご通知参考書類において、指名委員会の推薦に基づいて取締役会が決定した新任取締役候補者の個々の略歴、選解任理由等を掲載してまいります。

(経営計画:https://www.vertex-grp.co.jp/ja/ir/management/plan.html)

(コーポレートガバナンスガイドライン:https://www.vertex-grp.co.jp/ja/ir/management/governance.html)

【補充原則3-1③ サステナビリティについての取組み等】

当社グループでは、経営理念(ブランド・ビジョン)「安心のカタチを造る。」の実現に向け、「持続可能な社会の実現への貢献」 と「企業の持続的成長の実現」の両立が経営課題の一つであるとの認識に立ち、マテリアリティ(重要課題)の特定を行い、具体的な対応策や目標設定を推進させてまいります。

今後もサステナブルな社会の実現に向けた取リ組みを強化し、新たな価値創造の創出を通じて社会とステークホルダーからの満足と信頼が得られる企業を目指してまいります。

なお、当社におけるサステナビリティについての取組み及びTCFDに基づく開示の詳細は、当社ホームページをご覧ください。

(当社ホームページ:https://www.vertex-grp.co.jp/ja/sustainability.html)

【原則5-1 株主と建設的な対話に関する方針】

当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のために、株主総会以外における株主や投資家との建設的な対話が重要であると認識し、経営企画部広報・IR室をIR担当部署として個別面談への対応、会社情報のホームページへの掲載、東京証券取引所の任意開示を活用した情報公開を行うほか、個別面談においては、株主の希望や面談の内容の重要性等によって取締役の中から適任者が対応するなど、社内体制を整備しております。

また、半期に1回決算説明会を開催し、代表取締役社長を含めた役員が登壇し、決算報告や事業戦略等について説明しております。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】

当社の資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応については、当社ホームページの第3次中期経営計画をご覧ください。

(第3次中期経営計画:https://www.vertex-grp.co.jp/ja/ir/library/midplan/main/00/teaserItems1/07/linkList/00/link/3nd_midterm-plan__.pdf)

 

 

 

本レポートは、情報提供を目的としたものであり、投資活動を勧誘又は誘引を意図するものではなく、投資等についてのいかなる助言をも提供するものではありません。また、本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、当社は、本レポートに掲載されている情報又は見解の正確性、完全性又は妥当性について保証するものではなく、また、本レポート及び本レポートから得た情報を利用したことにより発生するいかなる費用又は損害等の一切についても責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は、当社に帰属します。なお、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申し上げます。

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