ブリッジレポート:(6537)WASHハウス 2025年12月期第1四半期決算
![]() 児玉 康孝 社長 | WASHハウス株式会社(6537) |
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企業情報
市場 | 東証グロース、福証Q-Board |
業種 | サービス業 |
代表取締役社長 | 児玉 康孝 |
所在地 | 宮崎県宮崎市新栄町86番地1 |
決算月 | 12月末日 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数 | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
483円 | 6,925,400株 | 3,345百万円 | 1.8% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
0.00円 | - | 13.13円 | 36.8倍 | 249.23円 | 1.9倍 |
*株価は7/24終値。時価総額は7/24終値×発行済株式数(四捨五入)。ROE・BPS・PBRは24/12期実績、DPS・EPS・PERは25/12期予想。
業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | DPS |
2021年12月(実) | 2,132 | -140 | -142 | -176 | -25.62 | 0.00 |
2022年12月(実) | 1,921 | -54 | 61 | 11 | 1.70 | 0.00 |
2023年12月(実) | 1,914 | 13 | 26 | -33 | -4.83 | 0.00 |
2024年12月(実) | 2,083 | 22 | 24 | 31 | 4.53 | 0.00 |
2025年12月(予) | 3,292 | 189 | 178 | 90 | 13.13 | 0.00 |
*単位:百万円。
WASHハウス株式会社の2025年12月期第1四半期決算概要などをお伝えします。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2025年12月期第1四半期決算概要
3.2025年12月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 25/12期1Qの売上高は前年同期比23.2%増の5億53百万円。WASHハウスアプリ広告システムによる反応率の高い広告枠を提供するスポンサー広告事業の拡大を推進した。また、同社オリジナルの洗濯機・乾燥機の開発及び市場への投入など「プラットフォームとしてのセルフランドリー事業」の強化を着実に進めている。1QのFC店舗における新規出店は1店舗およびリニューアルは8店舗。営業利益は2百万円(前年同期は35百万円の損失)。利益面では、売上総利益率が前年同期37.9%から35.8%に低下したものの、販管費が減少したことにより営業利益を確保した。
- 通期予想に修正はなく、25/12期は売上高が前期比58.0%増の32億92百万円、営業利益は同748.8%増の1億89百万円を計画する。「プラットフォームとしてのセルフランドリー事業」の成長をさらに加速させていく。FC部門では、自社オリジナル洗濯機・乾燥機を順次店舗導入させるとともに、店舗網も拡大させていく。ランドリーサービス以外の価値もさらに提供し続けていく考え。このほか、コンテナ型セルフランドリー店舗の販売や、ホテルを始めとするコンテナを活用した店舗開発、販売、運営も行っていく。出店はFCで30店舗計画しており、25/12期末は直営65店舗、FC548店舗になる見通し。なお、上期は売上高15億96百万円、営業利益78百万円の計画。
- 前期に開発を進め、昨年12月に初めて自社オリジナルの洗濯機・乾燥機を設置した店舗をオープン。25/12期はいよいよその設置が本格的になる。1Qの売上高は上期予想に対して34.6%と進捗にはやや遅れが見られるがキャッチアップしていくものと見ている。また、1Qの営業利益は前年同期の損失からわずかながら利益に転じており、利益面においてもしっかりとしたスタートだったといえよう。6月には九州から梅雨入りし、2Q以降は繁忙期にも入る。また、WASHハウスアプリのダウンロード数は5月には100万ダウンロードを突破しており、顧客基盤は着実に強化されている。引き続き注目しておきたいのが海外展開。画期的なオリジナル洗濯機・乾燥機が世界で競争力を発揮しそうだ。株価は低迷しているが、実績を積み上げていくとともに株式市場での評価も大きく変わることになりそうだ。
1.会社概要
セルフランドリー業界のグローバルスタンダードの創造を目指し、FCを中心にセルフランドリー店舗を展開。
全店舗一括管理運営方式によるクオリティ統一化という今までにない新たなFCビジネスの仕組みを創り出し、FC本部と加盟店の共栄を実現。ストック型の安定した収益構造なども大きな強み。
大阪、東京への進出を契機に全国展開を本格化へ。将来は海外展開も視野に入れている。
2025年3月現在、1都1府25県に581店舗(FC516店舗、直営65店舗)を出店。
【1-1 上場までの沿革】
児玉社長が起業するにあたり、少子高齢化や人口減少が確実な時代に永続的に売上・利益を伸ばしていくためにはどうしたらよいか、社会的意義がある事業か、先行事業者がいるか、競争に勝てるか、容易に真似されないか、ストック型の事業にできるかなど様々な観点から事業を検討した結果たどり着いたのがセルフランドリー事業だった。
事業規模拡大のためにはFC展開が適しているが、FC本部と加盟店との対立というFCビジネスの問題点解決のために24時間365日受付のコールセンター、管理カメラと遠隔コントロールによる即時サポートなどからなる「全店舗一括管理運営方式」をいち早く導入しFC加盟店の負担を大きく低減。働く女性の増加に伴うニーズの拡大も追い風となりビジネスは順調に成長していった。
創業の地、宮崎県を含む九州地区中心から、出店エリアを順次拡大し、2015年12月大阪、16年7月には東京へも進出。
16年11月、東証マザーズ、福証Q-Boardに同時上場した。22年4月に東証グロース市場に移行。
【1-2 経営理念など】
経営理念として、「全ての発想をお客様の立場で考えることを基準とし、真に社会から必要とされる存在であり続ける。」を掲げている。
この経営理念の下、従来のような「単にセルフランドリー機器を販売し、それを購入したオーナーが運営するセルフランドリー」ではなく、出店後における店舗の完全管理を行うことを目的として、FCオーナーに代わり店舗利用者に気持ち良く利用してもらえるようなサービスを提供し続けることを目指し、「セルフランドリー業界のグローバルスタンダードの創造」に取り組んでいる。
【1-3 市場環境】
◎セルフランドリーが必要とされる社会的背景
アレルギー疾患の増加や、共働き世帯の増加による家事労働時間の節約志向の高まりから、健康・衛生に寄与し、時間を有効活用できるセルフランドリーは、利用者層の拡大と需要の伸張が期待されている。
また、マンションで洗濯機・乾燥機を設置できない、布団などの大物を洗う機器がない、ベランダに干せないといった物理的な理由や、共働きで時間を効率的に使いたい、子どもがいて大量の洗濯物を処理しなければならないといった背景から、セルフランドリーの重要性は日増しに高まっている。
◎期待されるセルフランドリーの将来性
厚生労働省の調査では、日本のセルフランドリーの店舗数は毎年5%前後の伸び率で増えており、28,000店舗前後存在していると同社では推測している。こうした成長の背景としては共働きの増加による「洗濯時間を減らしたい」という働く女性のニーズ、花粉症などアレルギー対策、良品廉価の衣料品の増加によるクリーニング利用の減少、清潔意識の向上などがあげられる。

(同社資料より)
日本におけるセルフランドリーの利用率(2~3カ月に一回以上利用)は9%程度であり、今後膨大な利用者の開拓余地を残している市場である。
業務用セルフランドリー機器には、①布団や毛布を丸洗い・乾燥できる、②家庭用の洗濯機や乾燥機より、スピーディーに仕上がる時短効果、③熱風による殺菌効果、④ホコリをバキュームで吸い取るダスター効果、といった優位性がある。同社が業界の中心的な役割を果たすことで利用率を高め、さらに出店を拡大させていく。
◎ビジネスの特徴とプレーヤー
セルフランドリーは他に類のないユニークなビジネス。利用料金を決済して初めて機器が稼働し、洗剤やガスを使うシステムであるため在庫やロスが発生しない。そのため、少人数の利用者でも経営が成り立つという特殊性を持っている。また無人店舗であることから事業運営が個人の能力に左右されることがなく、人件費も最低限に抑えることが可能。さらにほとんどが個人経営であり、経営意識も低く法令への対応が遅れた旧態依然とした業界。
セルフランドリー市場のメインプレーヤーは同社を含め4~5社と言われており、同社は最多の同一ブランド管理店舗数を有し、かつ、唯一の上場企業である。
また多くの企業が成長(出店数増)のためにFCビジネスで事業展開しているが、同社は徹底したオペレーションの効率化とクオリティの統一化を追求した「全店舗一括管理運営方式」という他に類を見ない新たなFCビジネスの仕組みを構築している。(詳細は、「1-5 特長と強み」を参照。)
【1-4 事業内容】
1.部門構成
FC部門、店舗運営部門の2部門。

*同社資料よりインベストメントブリッジが作成
①FC部門
他社にはない独自のオペレーション受託型FC部門をしている。
店舗出店を企画し、セルフランドリー機器や店舗装飾など、開店するために必要な全ての内容をセットにした「WASHハウスパッケージ」一式を販売する。このほか、オープン時の広告等開業準備費用、FC加盟金を受領している。
出店時のFC部門収益構造
![]() ※標準例、実際には物件によって異なる。 | オーナーの出店時支出例
![]() ※標準例、実際には建築条件やテナント物件の状況等で異なる。 |
FC店舗の月間運営収益モデル
![]() ※1ヶ月あたりの収益構造モデル。 | オーナーの月間収支モデル
![]() ※1ヶ月あたりの収益構造モデル。 |
(同社資料より)
FC加盟店開拓に関してはシミュレーション算出や契約書作成等の作業も営業担当から切り離すことで、「動く作業」に専念できる環境を提供している。加えて、金融機関等とのビジネスマッチング契約を締結することにより、出店場所やオーナー候補の情報を増やし、出店数拡大につなげるという「仕組み」作りに注力している。
長年にわたり蓄積してきた「営業担当者の経験年数とFC店舗開発実績」の相関関係データを基に毎期の新規開店計画を立てている。
②店舗運営部門
FC店舗、直営店舗に関わらず全ての店舗で一括管理運営方式を導入することによりクオリティを統一化。24時間365日受付のコールセンター、管理カメラと遠隔コントロールによる即時サポート、毎日の点検・清掃、洗剤の補充、メンテナンス、広告活動などのサービスを加盟店に提供し、係る対価をFCオーナーから受領している。直営店舗については店舗利用者から洗濯機・乾燥機の利用料を受領する。また、「WASHハウスアプリ」による収入等も含まれる。
直営店は、主に新規エリアへの進出時に出店しており、「安心・安全・清潔」なセルフランドリーとしての「WASHハウス」ブランドのローカル認知度を高めるとともに、セルフランドリー潜在ユーザーへの利用喚起、FCオーナーと土地オーナー(不動産の有効利用を検討している個人・法人)への店舗モデルの提供など、アンテナ店としての役割を担っている。
FCオーナーは店舗管理業務から解放されるため、初期投資コストさえ負担できれば複数の店舗を保有し、収益拡大と共に地域分散による収益変動リスクを低減することが容易である。
2.店舗展開
2025年3月現在、27都府県に581店舗(FC516店舗、直営65店舗)を出店。今後も全国展開を進めていく。

*同社資料よりインベストメントブリッジが作成
【1-5 特長と強み】
①新たなFCビジネスの仕組みを創造
同社を最も特徴づけているのが、同社独自のFC事業モデルだ。
一般的なFC事業では、FC本部と加盟店の間に対立が生じやすいという問題が指摘されている。
加盟店がFC本部に加盟金や売上ロイヤリティを支払う対価として、FC本部はブランド名の使用を許可するほか、加盟店にノウハウを提供したり、商品を卸したりするが、店舗の運営、人材の確保などは加盟店がその責任において行わなければならない。
店舗の運営管理は加盟店にとっては相当の負担であり、事業が好調な際は良いが、売上が上がらなくなると、加盟店は「本部の仕組みが悪い」、FC本部は「加盟店の教育が悪い」などと互いのせいにしがちで、苦情に留まらず訴訟にまで進むケースも多い。
これに対し同社では、「全店舗一括管理運営方式」を導入し、前述のように、24時間365日受付のコールセンター、管理カメラと遠隔コントロールによる即時サポート、毎日の点検・清掃、洗剤の補充、メンテナンス巡回、広告活動といった、店舗運営・管理に必要な活動を全て同社が提供しており、加盟店の店舗運営に関する負担を実質ゼロにしている。
これに加え、同社は月商100万円以上となる物件を基準としているため、地域の人口、年齢分布、収入状況などについてきめ細かい市場調査を実施し、優良物件を開拓するノウハウが蓄積されている。
店舗の完全管理システムと優良物件開拓力、この2つが相まって、加盟店の満足度は極めて高く、これまで業績不振による撤退がゼロという群を抜いた実績に結び付いている。
②明るく清潔な店舗。使いやすさにも配慮。
セルフランドリーというと、「暗い・怖い・汚い」というイメージを持つのが一般的だが、同社が提供するセルフランドリー「WASHハウス」は、女性や小さい子供のいるファミリー層をターゲットとする「安心・安全・清潔」な店舗を統一ブランドで提供している。

(同社HPより)
以前は「家事の手抜き」の一つにも数えられたセルフランドリーの利用だが、女性就労率の増加や高層マンションの普及、ライフワークの変化などから、自宅の洗濯機よりも一度に大量にかつ洗濯・乾燥の時間を短縮できるセルフランドリーへの関心が高まっており、特に健康志向の高まりのなかで、ダニやアレルギー対策として布団やじゅうたんなどの大物洗いの利用が注目されている。
また、子供のスニーカーを洗濯・乾燥できる機器を備えるセルフランドリーへのニーズが高まりつつある。
こうしたなかで同社は、以下のような設備を備え消費者ニーズに対応している。
*布団の丸洗いも可能な最大22㎏までの洗濯機や最大25㎏に対応する乾燥機(標準的店舗)
*スポーツシューズや通学用のスニーカー等が洗えるスニーカーランドリー
*無料で使用できるシミ抜き用の機器(スポットリムーバー)
さらに全ての店舗において管理カメラで24時間店舗をモニターで管理しているほか、本社から遠隔操作でランドリー機器をコントロールできるIoT型ランドリー機器を導入するなど、無人店舗でありながら、有人店舗であるようなリアルタイムのサポートを提供しており、ユーザーが安心して利用することのできる仕組みを構築している。

(同社HPより)
加えて、使用している洗剤の成分表示や乾燥機の温度表示を明示することで、安心して消費者が利用できるよう配慮しているほか、清潔な店舗を維持するため乾燥機のフィルター清掃や洗濯機の消毒など店舗の清掃を毎日行っている。
また、20年4月にはセルフランドリー用スマホ決済アプリ「WASHハウスアプリ」をリリースした。
同アプリは、「プラットフォームとしてのセルフランドリー事業」を強化することを目的とし、キャッシュレス決済機能やお得なクーポンなどの情報配信機能を搭載したもので、20年5月末にWASHハウス全店舗への導入を完了した。
他にも多種多様な業種とのコラボレーションを生み出す機能を組み込んでおり、ユーザーに対して、生活に密着した有意義な情報を届けたり、利便性が高いサービスを提供したりすることで今後もユーザーに必要とされる店舗作りに取り組んでいく考えだ。
③ストック型の安定した収益構造
店舗運営部門における売上高は、1店舗当たり月額で店舗管理手数料6万円、システムメンテナンス料 1万円、広告分担金3万円、清掃費3.9~5.1万円等から成っており、合計約14~15万円/月。

(同社資料より)
このように、店舗運営部門売上高は、その期以前からの継続店舗からの売上高をベースに、その期中の新規店舗からの売上高がオンされるという形で、期を追うごとに着実にストックが積み上がっていく。
一方、現在まで事業不振による閉店はゼロという実績が示す通り加盟店の満足度は極めて高く、店舗数が減少する可能性は低い。
WASHHOUSEフィナンシャルからの収入もストック型収益であり、同社の安定した収益構造は一段と強固なものとなっている。
④業界健全化に向けた取り組み
成長が続くセルフランドリー市場ではあるが、児玉社長によれば課題も山積しているのが現状だという。
その一つが法令順守の問題。
例えば、セルフランドリーは乾燥機で大量のガスを使用するため安全性の観点から排気ダクトの材質や取り付け方などが消防法や建築基準法などで詳細に規定されているが、実態は違法な設置が多く見られるという。
また、セルフランドリー業者の中には差別化を図り、ユーザーにアピールするために「洗濯代行サービス」を謳っているものもあるが、クリーニング業法に抵触し違法である可能性が極めて高い店舗が多い。
1950年に施行されたクリーニング業法は、国民の公衆衛生を保護する観点から下記の様な規定を設けている。
(クリーニング業法 抜粋)
条項 | 条文 | 意味 | |
第2条 | 2 | この法律で「営業者」とはクリーニング業を営む者(洗たくをしないで洗たく物の受取及び引渡しをすることを営業とする者を含む。)をいう。 | 手たたみを行う者もクリーニング業営業者となる。 |
3 | この法律で「クリーニング師」とは、第六条に規定する免許を受けた者をいう。 | クリーニング業を行うにはクリーニング師の免許を取らなければならない。 | |
4 | この法律で「クリーニング所」とは、洗たく物の処理又は受取及び引渡しのための営業者の施設をいう。 | クリーニング所を開設する時は、都道府県知事に届出をしなくてはならない。また、クリーニング所は、都道府県知事の使用前の検査確認を受けなければ使用してはならない。 クリーニング所には、クリーニング師を置かなくてはならない。 |
同法の趣旨や運用を要約すると意味するところは以下の通りとなる。
*セルフランドリー業者がクリーニング師の免許を取得しても、クリーニング所ではないセルフランドリー施設で洗濯物の出し入れ、たたみ仕上げ等のサービスを行うことはできない。
*クリーニング所として届け出た施設内の洗濯・乾燥機はクリーニング業営業者が使用するためのものであり、衛生上の観点から他者(セルフランドリーの場合のユーザー)に利用させることはできない。
こうした法律があるにもかかわらず、保健所からの指導を逃れるために、店内にカウンターを設けて、その中に洗濯機を設置し、「この洗濯機で洗濯しています。」と説明しながらも、実際にはその洗濯機を使わず、カウンターから外に出てクリーニング所として届け出ていないセルフランドリー機器でユーザーの洗濯物を預かって洗濯したり、手たたみサービスを行なったりしているケースも見られるという。
こうした状況に対し児玉社長は、セルフランドリーの利用を普及促進させるためには、自社においては「安心・安全・清潔」なセルフランドリー作り等に取り組むと共に、業界の健全化を進めることが不可欠と考え、一般社団法人全国コインランドリー管理業協会を2003年12月に設立した。
同協会は、法令等に準拠した設備と衛生管理についての運営基準を定め、現時点では同社の直営店及びFCオーナーの加盟店が店舗単位で加入しており、業界の健全化と一般消費者への啓蒙活動(セルフランドリー利用の有用性告知など)を担っている。
【1-6 事業展開】
2016年、WASHハウスの上場後、セルフランドリー出店ブーム!
2万店舗だった店舗数が現在2万8千店舗超へ、セルフランドリーを使う習慣は明らかに拡大している。
こうした中、同社は創業以来、『洗濯屋のつもりはない!』と唱えてきた。
将来、「無料」で洗濯・乾燥を提供することを視野に入れていたためである。
そしてついに無料化実験を実施し広告を収益化することができた。
「無料」で洗濯・乾燥ができ、「無料」でコーヒーも飲めて、宮崎牛や鰻も当たる!! しかも家で洗うよりも安い!
更にお得な情報や商品が購入できる!
洗濯の概念を変えていく。
同社では22年前から無料化への準備を進め、洗剤工場、自社洗濯機・乾燥機、自社基幹システムで価格競争になることを想定し、徹底したコストダウンを追求してきた。グローバル展開も見据えたWASHハウス完全オリジナルの洗濯機・乾燥機・システムを研究・開発し洗濯機・乾燥機のサイネージ化を図ってきた。
【1-7 新商品】
創業当時より目指してきた「洗濯を無料で提供する」ことを実現するために開発を続けてきた、自社オリジナルの洗濯機・乾燥機が完成した。今回の開発を通じてメーカーとしての機能を構築する。また、この新しいランドリー機械を市場投入していくことは、今後の当社グループの事業展開はもちろんのこと、業界の常識を大きく変えるものになる。
また、自社オリジナルの洗濯機・乾燥機を初めて設置したコンテナ型セルフランドリー店舗(WASHハウス宮崎小松店)を昨年12/26にオープンした。

(同社資料より)
【1-8 WASHハウスアプリ】
広告システム
広告枠への出稿を受付け、WASHハウスアプリにて配信する。広告システムから収入を得ることにより、将来は洗濯を無料で提供する考え。セルフランドリー利用者は、終了時間確認時、終了時等でアプリ内の広告を目にする。このため、広告主にとってヒット率の高い広告出稿が可能となる。
酒造メーカー、引越業者、食品メーカー、自治体などで実績。
キャッシュレス決済システム
アプリでコードを読み取り、洗濯や乾燥などの利用コースや決済サービスを選択することが可能。これにより、硬貨を使用することなくキャッシュレス決済が可能となる。現在13種の決済サービスに対応している。
予約システム
WASHハウスアプリの「洗濯予約画面」から利用したい店舗・機械を選択し、利用したい洗濯コースや乾燥時間を選択、空いている日時から利用日時を選択することで予約が完了する。予約時間に店舗の機械に表示のQRコードをスキャンして、WASHハウスアプリで決済し、運転開始。
予約システムを利用することで、「洗濯物をもってきたけど、洗濯機が空いていない」という従来の問題を改善させる。店内の混雑緩和にも大きく寄与する。
相互送客システム
WASHハウスで洗濯を開始すると直後に近隣のスーパーマーケットなどで使えるクーポンを獲得する。利用者は洗濯・乾燥の待ち時間に、近隣の店でお得な買い物が可能となる。スーパーマーケットなどにおいては、レシートにWASHハウスの割引クーポンを印刷。お得に洗濯することができる。
これにより、WASHハウスと店舗が相互の来店を誘導し、双方の利用者増と認知向上を狙う。
アプリのダウンロード数は着実に伸びており、2月には92万ダウンロード達成。5月31日には100万ダウンロードを達成。
あわせて、EC事業にも取り組んでいく考え。
ランドリーサービス以上の価値を提供
WASHハウスアプリを使った全店舗を対象としたキャンペーンなども行うことによりセルフランドリーサービス以上の価値をもたらしていく考え。
アプリをダウンロードすると抽選で宮崎牛が当たるなどのキャンペーンを実施。
【1-9 海外展開】
昨年完成させたオリジナル洗濯・乾燥機を中国向けにローカライズして展開していく計画。
3/20には上海で開かれる「中国国際家電博覧会」へ出展。
10月までには済南市に、02年に国内で初出店した際と同様にモデル店舗2店舗を出店する見通し。
26年にはタイでの出店も予定しているなどコロナの影響で遅れていた海外展開が始まろうとしている。
【1-10新規事業の開始、子会社の設立】
新たに「コンテナ事業」を開始。2016年の上場時に掲げていた7つの事業戦略の内の1つである「建物のユニット化」に関連。丈夫で移設可能なコンテナを活用し、コンテナ型セルフランドリー店舗の展開を行う。
また、このコンテナ事業をさらに加速させるため、3社共同出資により連結子会社「WASHハウスサステナブル株式会社」を設立。今後はこの連結子会社を通じ、ホテルを始めとするコンテナを活用した施設の企画、店舗開発、販売を行うとともに、再生可能エネルギー設備等の導入を推進。太陽光で発電し店舗で使用する電気を賄うなどの温室効果ガス(GHG)の排出削減に努めながら、持続可能な社会づくりに貢献することが期待される。

【1-11プラットフォームビジネスを推進し事業を拡大】
セルフランドリー事業を核とし、このプラットフォームに関連する付帯事業を派生的に何倍にも広げ、事業を拡大することを基本戦略としている。将来的には洗濯の無料化を目指している。

(同社資料より)
2.2025年12月期第1四半期決算概要
(1)業績概要
| 24/12期 1Q | 構成比 | 25/12期1Q | 構成比 | 前年同期比 |
売上高 | 449 | 100.0% | 553 | 100.0% | +23.2% |
売上総利益 | 170 | 37.9% | 198 | 35.8% | +16.4% |
販管費 | 205 | 45.7% | 195 | 35.4% | -4.6% |
営業利益 | -35 | - | 2 | 0.4% | - |
経常利益 | -31 | - | 6 | 1.2% | - |
当期純利益 | -6 | - | 6 | 1.1% | - |
*単位:百万円。
前年同期比23.2%増収、営業利益に転換
売上高は前年同期比23.2%増の5億53百万円。
必ず待ち時間が発生するというセルフランドリーの特徴を活かし、WASHハウスアプリ広告システムによる反応率の高い広告枠を提供するスポンサー広告事業の拡大を推進した。また、同社オリジナルの洗濯機・乾燥機の開発及び市場への投入など「プラットフォームとしてのセルフランドリー事業」の強化を着実に進めている。加えて、国内の店舗展開ではFCオーナーや新規出店用地の開発にも取り組んでいる。1QのFC店舗における新規出店は1店舗およびリニューアルは8店舗。
営業利益は2百万円(前年同期は35百万円の損失)。利益面では、売上総利益率が前年同期37.9%から35.8%に低下したものの、販管費が減少したことにより営業利益を確保した。
(2)部門別動向
| 24/12期 1Q | 構成比 | 25/12期 1Q | 構成比 | 前年同期比 |
売上高 |
|
|
|
|
|
FC部門 | 16 | 3.6% | 106 | 19.2% | +558.6% |
店舗運営部門 | 433 | 96.4% | 446 | 80.7% | +3.2% |
合計 | 449 | 100.0% | 553 | 100.0% | +23.2% |
売上総利益 |
|
|
|
|
|
FC部門 | -0 | - | 31 | 30.0% | - |
店舗運営部門 | 170 | 39.4% | 166 | 37.2% | -2.2% |
合計 | 170 | 37.9% | 198 | 35.8% | +16.4% |
*単位:百万円。売上総利益の構成比は売上総利益率。

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
①FC部門
売上高1億6百万円(前年同期比558.6%増)、売上総利益31百万円(前年同期は0百万円の損失)。
FC新規出店は1店舗、リニューアルは8店舗を行った。売上総利益率は30.0%で前年同期比31.9ポイント上昇した。
②店舗運営部門
売上高4億46百万円(前年同期比3.2%増)、売上総利益1億66百万円(同2.2%減)。
店舗売上高の継続的な増加に伴い各種収入が増加した。人員体制の見直しに伴って運営コストが増加したことを主因に売上総利益率は37.2%で前年同期比2.2ポイント低下した。
(3)財務状態
◎主要BS
| 24年12月末 | 25年3月末 |
| 24年12月末 | 25年3月末 |
流動資産 | 2,367 | 2,242 | 流動負債 | 1,214 | 1,134 |
現預金 | 999 | 778 | 預り金 | 366 | 319 |
売上債権 | 162 | 123 | 固定負債 | 1,048 | 1,036 |
営業貸付金 | 853 | 822 | 預り保証金 | 750 | 754 |
固定資産 | 1,715 | 1,741 | 借入金残高 | 754 | 734 |
有形固定資産 | 1,150 | 1,180 | 負債合計 | 2,263 | 2,170 |
無形固定資産 | 133 | 124 | 純資産 | 1,820 | 1,813 |
投資その他の資産 | 431 | 436 | 株主資本 | 1,686 | 1,692 |
資産合計 | 4,083 | 3,984 | 負債純資産合計 | 4,083 | 3,984 |
*単位:百万円。借入金残高=長期借入金+短期借入金+ 1年内返済予定の長期借入金

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
1Q末の資産合計は、現預金の減少などにより前期末比(以下同)98百万円減少の39億84百万円となった。負債合計は預り金の減少などにより92百円減少の21億70百万円となった。純資産合計は為替換算調整勘定額の減少などで6百万円減少の18億13百万円となった。
自己資本比率は前期末から1.0ポイント改善し43.3%となった。
3.2025年12月期業績予想
連結業績予想
| 24/12期 | 構成比 | 25/12期(予) | 構成比 | 前期比 |
売上高 | 2,083 | 100.0% | 3,292 | 100.0% | +58.0% |
営業利益 | 22 | 1.1% | 189 | 5.8% | +748.8% |
経常利益 | 24 | 1.2% | 178 | 5.4% | +615.3% |
当期純利益 | 31 | 1.5% | 90 | 2.8% | +190.1% |
*単位:百万円。
通期予想は修正なく、25/12期は売上高が前期比58.0%増の32億92百万円、営業利益は同748.8%増の1億89百万円を計画する。
「プラットフォームとしてのセルフランドリー事業」の成長をさらに加速させていく。FC部門では、自社オリジナル洗濯機・乾燥機を順次店舗導入させるとともに、店舗網も拡大させていく。店舗運営部門では、24/12期を超える利用促進キャンペーンを実施していく。広告主提供の景品が当たるプレゼント企画はもとより、特別価格で宮崎牛を購入できる情報の提供や新しい商品広告など、ランドリーサービス以外の価値もさらに提供し続けていく考え。このほか、コンテナ型セルフランドリー店舗の販売や、ホテルを始めとするコンテナを活用した店舗開発、販売、運営も行っていく。再生可能エネルギー設備等の導入も推進していく。
出店はFCで30店舗計画しており、25/12期末は直営65店舗、FC548店舗になる見通し。
上期予想は以下の通り
上期連結業績予想
| 24/12期 上期 | 構成比 | 25/12期 上期(予) | 構成比 | 前年同期比 |
売上高 | 982 | 100.0% | 1,596 | 100.0% | +62.5% |
営業利益 | -17 | - | 78 | 4.9% | - |
経常利益 | -14 | - | 72 | 4.6% | - |
当期純利益 | 7 | 0.7% | 29 | 1.9% | +314.9% |
*単位:百万円。
4.今後の注目点
前期に開発を進め、昨年12月に初めて自社オリジナルの洗濯機・乾燥機を設置した店舗をオープン。25/12期はいよいよその設置が本格的になる。1Qの売上高は上期予想に対して34.6%と進捗にはやや遅れが見られるがキャッチアップしていくものと見ている。また、1Qの営業利益は前年同期の損失からわずかながら利益に転じており、利益面においてもしっかりとしたスタートだったといえよう。6月には九州から梅雨入りし、2Q以降は繁忙期にも入る。また、WASHハウスアプリのダウンロード数は5月には100万ダウンロードを突破しており、顧客基盤は着実に強化されている。
1Qに大きな動きは見られなかったが引き続き注目しておきたいのが海外展開。25/12期中には中国で初出店を見込んでおり、いよいよ海外へ本格進出の足掛かりとなるだろう。画期的なオリジナル洗濯機・乾燥機が世界で競争力を発揮しそうだ。
16年に新規上場し、17年以降長きにわたり株価は低迷、現在上場時の公開価格(遡及修正後で1,150円)から大きく下落した水準。しかし、収益構造の変革に向けた活動の成果が現れ、24/12期は前期比で増収・増益を果たし、25/12期はオリジナルランドリー機器の店舗導入により大幅な増収・増益を見込んでいる。今後は実績を積み上げていくとともに株式市場での評価も大きく変わることになると見ている。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態、取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査役設置会社 |
取締役 | 6名、うち社外1名 |
監査役 | 3名、うち社外2名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2025年3月28日
<基本的な考え方>
当社は、法令を遵守し、公正かつ透明性のある企業活動を推進し、会社の成長を通じて地域社会に貢献するとともに、企業を取り巻く株主、顧客、従業員、取引先、地域社会等、全てのステークホルダー(利害関係者)からの信頼が得られる企業であるよう努め、将来に向けグローバルな事業活動を展開していく方針であります。
また、経営の透明性と公正性の向上および環境変化への機敏な対応と競争力の強化を目指して、当社の成長に応じたコーポレート・ガバナンス体制の構築に努め、企業価値の最大化を目指してまいります。
<実施しない主な原則とその理由>
「基本原則の全てを実施してまいります」と記述している。
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