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(3645) 株式会社メディカルネット

グロース

ブリッジレポート:インターネットを活用した医療・生活関連情報サービスの提供。 主に、歯科医療情報ポータルサイト運営・歯科クリニック経営支援・歯科関連企業マーケティング支援など歯科医療の総合ビジネス(歯科医療プラットフォームビジネス)を展開。

ブリッジレポートPDF

 

平川 大 会長CEO

株式会社メディカルネット(3645)

 

 

企業情報

市場

東証グロース市場

業種

情報・通信

会長CEO

平川 大

所在地

東京都渋谷区幡ヶ谷1-34-14 宝ビル

決算月

5月末日

HP

https://www.medical-net.com

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

307円

8,731,870株

2,680百万円

-

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

3.00円

1.0%

13.15円

23.3倍

196.50円

1.6倍

* 株価は8/7終値。発行済株式数から自己株式を控除。各数値は25年5月期決算短信より。

 

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2022年5月(実)

3,745

445

449

380

43.44

4.00

2023年5月(実)

4,500

379

431

116

12.97

2.50

2024年5月(実)

5,252

298

322

5

0.66

3.00

2025年5月(実)

6,077

98

134

-68

-

3.00

2026年5月(予)

6,400

270

233

121

13.15

3.00

* 予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。

 

株式会社メディカルネットの2025年5月期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2025年5月期決算概要
3.2026年5月期業績見通し
4.中期経営計画
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 25/5期は前期比15.7%増収、66.9%営業減益。メディア・プラットフォーム事業が小幅な減収、医療BtoB事業も減収だが、医療機関経営支援事業やフル連結となったクラウドインテグレーション事業が大幅な増収。未病・予防プラットフォーム事業も寄与した。利益面では売上総利益率が前期35.1%から32.3%に低下。販管費は成長のための人的投資等による人件費の大幅な増加などにより21.0%増の18億67百万円となり営業利益率が前期5.7%から1.6%に低下した。3Q末に連結除外した子会社ミルテルのセグメント損失の計上が減益の主因、メディア・プラットフォーム事業も減益となった。前期と同じ3.00円/株の期末配当を実施する。

     

  • 26/5期は売上高が前期比5.3%増の64億円、営業利益は同173.3%増の2億70百万円、経常利益は同72.4%増の2億33万円、当期純利益は1億21百万円(前期は68百万円の損失)を見込む。引き続き人材や新規事業への投資を積極的に行う。既存事業の継続的な強化に加え、タイの事業へも注力する。業容拡大に向けて組織体制を強化、成長のための戦略的投資を継続しつつも大幅な営業増益を計画する。配当は前期と同じ3.00円/株の期末配当を予定する。

     

  • 25/5期は同社が成長の主軸に置いていたミルテルの収益化のもたつきにより苦戦を余儀なくされた。しかし、そのミルテルの株式を売却して連結除外したことで、26/5期はすっきりとした形でスタートを迎えることになる。大幅減益となった反動もあり大幅増益を見込んでいる。ただし、中期経営計画を見直しており、やや見通しが不透明な状況にはある。こうした中、株式会社ヨシダとの資本業務提携による、シナジー効果と業績への貢献に注目していきたい。ミルテルの連結除外で成長は一旦頓挫した印象もあったが、新たな動きが出ている。引き続きM&Aには積極的な考えであり、これらの動向にも注目したい。株価は低調に推移しており、売上成長が本格化したここ5年間の安値圏に位置している。利益面で低迷していることが背景にあるが、今後目指す利益水準を考慮すると株価は割安な水準にあると考える。

     

     

1.会社概要

「インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします。」を企業理念とし、歯科医院の経営をトータルで支援する「歯科医療プラットフォームビジネス」、生活者にとって有益な情報を提供する「生活者向けサービス」、歯科関連企業のマーケティング支援などを行う「事業者向けサービス」を展開している。
生活者・医療機関・関連企業を結ぶビジネスモデルを有する唯一の企業。25年5月末で56,101名に上る歯科医療従事者登録数は大きな資産となる。

 

【1-1 沿革】

2000年

4月

前身である日本インターネットメディアセンター創業。ポータルサイト運営事業・ホームページ制作事業を開始

9月

ポータルサイト「インプラントネット」リリース

2001年

6月

日本メディカルネットコミュニケーションズ株式会社(現株式会社メディカルネット)設立

2002年

2月

ポータルサイト「矯正歯科ネット」・「審美歯科ネット」リリース

2005年

4月

ポータルサイト「エステ・人気ランキング」リリース

2006年

1月

西日本支社開設

10月

Webマーケティング・医療機関経営支援開始

2007年

8月

東証一部上場ソネット・エムスリー株式会社(現エムスリー株式会社)と資本業務提携

2009年

3月

「モバイル!歯医者さんネット」リリース

2010年

12月

東京証券取引所 マザーズへ上場

2012年

11月

ブランネットワークス株式会社を連結子会社化、医療BtoB事業を展開

2016年

12月

「株式会社メディカルネット」に商号変更

2017年

9月

Success Sound Co., Ltd.(現 Medical Net Thailand Co., Ltd.)を連結子会社化。タイ国バンコクにおいて、歯科医院運営を開始

 

12月

Medical Net Thailand Co., Ltd.「ゆたかデンタルクリニック」をリニューアルオープン

2018年

2月

福岡支社開設

6月

株式会社ミルテルと資本及び業務提携

12月

株式会社オカムラの株式取得し完全子会社化(歯科ディーラー事業を開始)

2020年

2月

連結子会社であったブランネットワークス株式会社を吸収合併

9月

岡山大学との共同研究により開発した「歯科医院での新しい口臭センサーシステム」について特許を取得

10月

Pacific Dental Care Co., Ltd.を連結子会社(孫会社)化

2021年

6月

ノーエチ薬品株式会社を連結子会社(孫会社)化、医薬品・医薬部外品の製造・販売事業を開始

2022年

3月

NU-DENT Co., Ltd.、D.D.DENT Co., Ltd.、Fukumori Dental Clinic Co., Ltd.をそれぞれ連結子会社(孫会社)化

4月

東京証券取引所の市場区分の見直しに伴い、東京証券取引所マザーズ市場から東京証券取引所のグロース市場に移行

5月

連結子会社(孫会社)株式会社オカムラOsaka設立

7月

株式会社ライトアップと資本・業務提携

2023年

9月

「矯正歯科ネットプラス」リリース

10月

「インプラントネットプラス」リリース

11月

連結子会社の株式会社オカムラが、連結子会社(孫会社)の株式会社オカムラOsakaを吸収合併

2024年

1月

株式会社ミルテルを連結子会社化し、未病・予防プラットフォーム事業を開始

3月

AVision Co., Ltd.を連結子会社(孫会社)化し、タイにてクラウドインテグレーション事業を開始

5月

「審美歯科ネットプラス」リリース

2025年

3月

連結子会社であった株式会社ミルテルを連結除外

3月

有限会社吉見歯科器械店を連結子会社(孫会社)化

6月

株式会社ヨシダと資本業務提携

 

歯科医院にターゲットを絞り、インターネット広告を中心としたビジネスを展開しようとした企業は多数あったが、個人事業主が多数を占める歯科医院に対し継続的な営業を展開することが出来ず、ほとんどの企業が撤退していった。
これに対し同社は、歯科医院の中でも自由診療に対象を絞り込んだうえ、ビジネスの成功のみでなく、創業時のビジョンを重視し、歯科医院に対しては「新しい治療の理解と普及」や「地域医療の改善や治療に専念できる環境の提供」を、患者に対しては「より良い治療方法の情報提供」を目指し地道な努力を継続した結果、多くの歯科医師から圧倒的な共感を勝ち取り、生活者・歯科医院・歯科関連企業を結ぶビジネスモデルを有するオンリーワン企業となった。
2010年代に事業が停滞した時期もあったが、新規事業とM&Aにより立て直し19/5期からは再成長。足元まで売上規模が急速に拡大している。

 

(同社資料より)

 

【1-2 経営理念】

「インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします。」を企業理念とし、以下のMISSION、VISION、VALUEからなるミッションステートメントを掲げている。

 

口腔まわりから全身の健康を導き、元気で笑顔が溢れる世界を創る

MISSION

社会的存在意義

インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします。

VISION

目指す姿

生活者・事業者に革新的なサービスを提供し続け、歯科医療プラットフォームビジネス・領域特化型プラットフォームビジネスにおいて、国内外でトップ企業となります。

VALUE

組織的価値観

変化なくして進歩なし あくなき挑戦である

◇情熱:向上心であり、自発性であり責任であり、マインドである

◇スピード:意識であり、発想であり判断であり、言動であり、行動である

◇チームワーク:協調であり、協力であり、競争であり、シナジーであり、利他である

◇リスペクト:感謝であり、思慮であり、尊敬であり、真摯さである

 

【1-4 市場環境】

◎歯科診療市場
厚生労働省の調査によれば、2023年度の歯科診療医療費は約3兆2,925億円で、前年比1.9%増。新型コロナウイルス感染症拡大により、口腔衛生意識の高まりからインプラントや矯正治療等の自費診療への需要が増大し21年度、22年度に続いて堅調に伸びた。
歯科診療所については、25年5月末で前年同月比微減の65,793施設であった。

 

インプラントや歯列矯正、ホワイトニングなどの自費診療の普及や口腔衛生意識の高まりはあるものの、医療費抑制政策が続く中、過当競争状態にあると言われている歯科医院の取り巻く経営環境は引き続き厳しい。
集患増を中心とした有効な施策に対する歯科医院のニーズは極めて大きいと思われる。

 

 


【1-5 事業内容】

<サービス概要>
『インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします』という経営理念の下、生活者、医療機関、関連企業に対しそれぞれ以下のようなサービスを提供している。

 

(生活者向け)
歯科治療の「理解」と「普及」をテーマに、自分に最適な歯科医院についての情報や、歯の基礎知識、インプラントなどの専門治療の説明など、生活者にとって有益な情報を、各種ポータルサイトを通じて提供している。

 

(医療機関向け)
競争の激しい歯科医療業界に対し、様々な角度から経営支援サービスを提供している。
集患に結び付くホームページ制作やWebマーケティング、歯科従事者のための求職サイト運営による人材・キャリアサポート、日々の歯科治療で必要となる消耗品や歯科材料および高度管理医療機器導入のトータルサポートに加え、歯科医院の新規開業に伴う、物件、設備・インフラ、HP、集患及び歯科医師個人に対しての資産形成サポートサービス等を提供している。

 

(関連企業向け)
主に歯科関連企業のサポートを行っている。
ここで重要な役割を担っているのが、同社が運営する、歯科医療従事者登録数が25年5月末時点で55,101名と日本最大級である歯科医療総合情報サイト「Dentwave」である。
「Dentwave」におけるバナー広告やメールマガジンといった広告掲載に加え、登録者を対象としたネット調査「デントリサーチ」も、マーケティングのための有効なツールとして高い評価を受けている。スピーディに精度の高い調査が可能であることに加え、職種、専門、年代、エリアなど細かいスクリーニングにも柔軟に対応しており、多くの歯科関連企業が導入している。
ほかにも、学会や企業のWebサイトやランディングページおよびカタログなどの制作、来場者数1万人規模のオンラインデンタルショー等の歯科コンベンションや歯科イベントの企画・集客・運営支援も行っている。

 

<報告セグメント>
開示上の報告セグメントは、「メディア・プラットフォーム事業」、「医療機関経営支援事業」、「医療BtoB事業」、「クラウドインテグレーション事業」。25/5期に「未病・予防プラットフォーム事業」が加わったが、期中に連結から除外した(下表においてはその他に含まれる)。

 

 

 

(1) メディア・プラットフォーム事業
「からだ」・「健康」・「美」に特化した情報を提供するサイトの開発・運営を行っている。
歯科分野を中心とした様々な切り口で、合わせて、11のサイトを運営している。
(歯科分野)

インプラントネット

歯科インプラント治療という特定の自由診療に関する情報発信に特化したポータルサイト

・インプラントネット(全国版)

・インプラントネット(スマートフォン版)

・インプラントネットプラス

矯正歯科ネット

矯正歯科治療という特定の自由診療に関する情報発信に特化したポータルサイト

・矯正歯科ネット(全国版)

・矯正歯科ネット(スマートフォン版)

・矯正歯科ネットプラス

審美歯科ネット

審美治療という特定の自由診療に関する情報発信に特化したポータルサイト

・審美歯科ネット(全国版)

・審美歯科ネット(スマートフォン版)

・審美歯科ネットプラス

その他歯科関連

「歯医者さんネット」

主に虫歯治療、歯周病治療などの保険診療を行う歯科医院を紹介し、幅広い顧客層をターゲットにしたポータルサイト

主なポータルサイトは歯科医院検索、歯科医院紹介、歯科医師の紹介に加え、患者に対する情報提供として、治療説明、よくある質問と回答のQ&Aといったコンテンツも掲載している。

 

*ビジネスモデル
各ポータルサイトは、歯科医院を顧客として、広告料収入を得て運営している。
インターネットユーザーは、各ポータルサイトにおいて、無料で歯科医院の情報を検索・閲覧することができる。
広告料収入の具体的内容は、主に①クライアント紹介ページの初期制作料及び月額掲載料、②クライアントのホームページへのリンクを貼ったバナー広告の月額掲載料となっている。
契約形態は原則12カ月の継続契約(自動更新)であるため、収益モデルは積上げ式のストックビジネスとなっている。解約率は低く、利益率が高い。

 

(2)医療機関経営支援事業
①Webマーケティング
検索エンジンの検索結果において検索順位を上位表示させることを目的としたSEO(検索エンジン最適化)サービスや、ヤフー株式会社及びGoogle LLCが運営するポータルサイトにおけるリスティング広告(検索連動広告)の運用代行サービスを提供している。

 

(A)SEO
検索エンジンを活用してHPへの集客やHPから情報配信を行うクライアントに対して、検索エンジンの表示順位判定基準(アルゴリズム)を分析し、HPの状態を最適化することにより、HPの検索エンジンからのキーワードに対する評価を高め、検索エンジンの検索結果において検索順位を上位表示させることを目的としたSEOサービスを提供している。
定額料金により複数のキーワードでYahoo! JAPAN又はGoogleの検索結果を上位表示させる月次定額型サービスと、特定のキーワードでYahoo! JAPAN又はGoogleの検索結果の順位に応じた料金が発生する成功報酬型サービスがある。

 

(B)リスティング広告(検索連動広告)
ヤフー株式会社及びGoogle LLCが運営するポータルサイトにおいてリスティング広告(検索連動広告)の運用代行サービスを行っている。
「リスティング広告」とは、検索エンジンの検索結果ページに設定された広告枠に表示される広告のことで、インターネットユーザーが広告をクリックした場合にのみ広告主に広告料が発生する。
クライアントにとって費用対効果の高い広告運用を実現するため、キーワードや広告原稿の提案から、運用面における入札価格の調整や予算管理までの総合的なサービスを提供している。

 

②HP制作・メンテナンスサービス
「からだ」・「健康」・「美」に関連する事業者(歯科医院)を中心にHP制作・メンテナンスサービス等を提供している。
これらの歯科医院やに対して、インターネットユーザーから安心感を持ってもらえるように「清潔感・高級感」を重視したウェブデザインを手掛ける。また、歯科分野に特化している同社ならではの医療知識を活かして、患者や医療に対するクライアントの考え方など、インターネットユーザーに情報を分かりやすく伝えることができるホームページを制作している。

 

③歯科医院運営
タイ・バンコクで歯科医院の経営を展開する。連結子会社のMedical Net Thailand Co., Ltd.と連結子会社(孫会社)のPacific Dental Care Co., Ltd.、及びFukumori Dental Clinic Co., Ltd.において歯科医院を運営している。患者ファーストをモットーに人材育成、組織開発を行い、日本の医療を現地で展開している。

 

④歯科商社事業
国内では(株)オカムラ及び25年3月に連結子会社化した吉見歯科器械店において、また、タイ・バンコクではNU-DENT Co., Ltd.、D.D.DENT Co., Ltd.において、歯科商社事業を行っている。

 

⑤大衆医薬品・医薬部外品の企画・卸販売
ノーエチ薬品(株)において、大衆医薬品・医薬部外品の企画・卸販売を行う。

 

⑥歯科医院総合支援
「歯科医師が、歯科医療に専念できる環境を創る。」というミッションを掲げ、業界随一の歯科医院の開業から経営支援までをワンストップで支援するサービスを提供している。経営支援のサービスメニューの拡充や専門ポータルサイト「medicalnet DOCTOR SUPPORT」を開設。歯科医師個人のライフサポートとしての不動産販売も堅調に推移。

 

(3)医療BtoB事業
歯科医療従事者と歯科関連企業等をつなぐBtoB型の歯科医療総合情報サイト「Dentwave」での広告ソリューションの提供を中心とし、リサーチ、コンベンションの運営受託等、様々なサービスを行っている。同サイトの歯科医療従事者登録は25年5月末時点で56,101名と日本最大級。
この会員を基盤として、歯科関連企業等に対する広告ソリューション、リサーチ、コンベンション運営受託等のサービスを提供している。

 

(4)クラウドインテグレーション事業
24/5期に連結子会社(孫会社)化したAVision Co., Ltd.において、タイ国内で小売業、製造業や病院向けにPOSシステムの開発・導入・メンテナンスサービスを行っている。

 

(5)その他
管理業務受託事業等において、経理、人事総務等の管理業務を受託。

【1-6 特長と強み】

(1)生活者・医療機関・関連企業を結ぶプラットフォームを構築している唯一の企業

(同社資料より)

 

同社は、歯科医療を中心に生活者・医療機関・関連企業を結んだプラットフォームを構築しているが、こうしたプラットフォームを構築している企業は他には無く、同社の大きな特徴となっている。
この強固でユニークなプラットフォームを活かし、生活者・医療機関・関連企業、それぞれに向けて様々なサービスを提供しており、これが強力な競合優位性となっている。
創業から20年超をかけて構築してきたポジショニングは強固であり、新規参入は極めて難しいと同社では考えている。

 

◎対生活者:自社メディアで信頼性の高い公平・中立な情報を提供
歯科医師など専門家と直接やりとりしながら、多くのメディアを構築・運営してきた同社は、歯科医療における豊富な専門知識を有している。
そのため、生活者に対し信頼性が高くかつ分かりやすい情報を提供することが可能であり、そのクオリティの高さは、医師が患者に説明する際に、同社が運営するWebサイトのコンテンツを利用することもあるほどである。
より専門性の高いテーマについては、長年築き上げた信頼関係に基づき、歯科医師に執筆を依頼している。
様々な見解があるテーマについては、複数の歯科医師に意見を求め、治療方法のデメリットなどについても言及してもらうことで、生活者に公平・中立な情報を提供している。
同社の売上高の多くは歯科医院向けサービスによるものではあるが、ビジョンや理念の下、常に「生活者・利用者の視点」を重視したアドバイスを歯科医院に提供しており、これが同社に対する一層の信頼性向上に結び付いている。

 

◎対医療機関:ワンストップWebサービス×多彩なリアルサービス×コンサルティング
さまざまな自社メディア、および事業者向けWebサイトを構築してきた同社は、Webサイト構築からSEM施策の立案・実施までをワンストップで提供することが可能であり、これに加え、開業時の不動産紹介、開業後の事務長代行サービス、人材紹介、専門機材、オフィスサプライ、助成金申請サポートなど、リアルな領域においても全方位的なサービスを提案している。
さらに、歯科医院の専門領域や課題を理解した上で、経営実態を把握・分析し、インターネットを活用した効果的な送患・集患や、リアルビジネスを組み合わせた人員・設備・事業計画の提案など、歯科医院に対する経営支援コンサルティングを幅広く提供することができる。
◎対関連企業:優良歯科医院へのアプローチやマーケットリサーチが可能
前述のように、同社は、会員数トップクラスの歯科医療従事者向けサイト「Dentwave」を運営している。
会員の多くは、経営状態が良好でかつ事業拡大にも前向きであり、医療機器メーカー・卸などメーカー・サプライヤーは、こうした優良顧客に対して広告展開や、製品・サービスの提案をすることが可能である。

 

(2)ストックビジネスによる安定した収益構造
ポータルサイト運営事業における広告出稿は、原則として12カ月の継続契約(自動更新)であるため、収益モデルは積上げ式のストックビジネスであり、同社の収益基盤に安定性をもたらしている。
同社では新規顧客開拓を進めて事業基盤の更なる強化を図る考えだ。

 

メディア・プラットフォーム事業のビジネスモデル
(同社資料より)

 

(3)圧倒的登録数
歯科医療従事者登録数は56,101名。
登録者は対歯科医院向けビジネスの顧客であると同時に、対歯科関連企業向けビジネスにおいても重要な資産として同社の事業基盤を支えている。今後も増加させていく考え。

 

【1-3 グループ経営】

◎M&Aの沿革と将来の展望
成長戦略としてのM&Aを積極的に実施。現在までに実施した14件のM&A及びPMI (Post Merger Integration、経営統合プロセス)の経験を活かし、今後もM&Aによる戦略的な企業価値最大化を推進していく。
 

(同社資料より)

 

「口腔まわりから全身の健康を導き、元気で笑顔が溢れる世界を創る」ため、M&Aを重要な成長戦略と位置づけ、今後も積極的に検討・実施していく方針。

 

◎メディカルネットの価値提供
業界課題、社会からの要求として以下のことが挙げられる。
〇健康長寿社会の実現
〇地域包括ケアシステムの構築
〇2025年問題への対応
〇未病・予防医療の推進
〇医科歯科連携/介護との連携
〇業界のDX化
〇国民医療費の抑制
これら、歯科業界の概況に概況に対して、歯科医療領域において未病予防領域を中心に新たな価値を提供していく考えである。

 

【1-7 ROE分析】

 

19/5期

20/5期

21/5期

22/5期

23/5期

24/5期

25/5期

ROE (%)

6.4

6.0

11.6

25.8

6.4

0.3

-3.8

 売上高当期純利益率(%)

5.20

3.09

4.46

10.15

2.58

0.11

-1.12

 総資産回転率(回)

1.00

1.36

1.51

1.43

1.36

1.41

1.51

 レバレッジ(倍)

1.24

1.44

1.72

1.79

1.83

1.95

2.23

* 22/5期より「収益認識に関する会計基準」等を適用。18/5期以降の売上高当期純利益率及び総資産回転率は、当該会計基準等を遡って適用した後の数値。

 


*同社資料を元に(株)インベストメントブリッジが作成。

 

ROEは21/5期に、総資産回転率とレバレッジの改善が顕著に表れて日本企業が一般的に目指すべきと言われている8%を大きく上回った。22/5期は売上高当期純利益率が大幅に上昇したことで更に向上した。しかし、23/5期から24/5期については、一時的な要因もあり売上高当期純利益率が低下してROEも低下した。25/5期は固定資産の減損に伴う当期純損失の計上によりマイナスとなった。
営業利益率の低下傾向が続いており、利益率の改善は課題といえそうだ。

 

 

 

2.2025年5月期決算概要

(1)業績概要

 

24/5期

構成比

25/5期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

5,252

100.0%

6,077

100.0%

+15.7%

6,400

-5.0%

売上総利益

1,841

35.1%

1,965

32.3%

+6.8%

-

-

販管費

1,542

29.4%

1,867

30.7%

+21.0%

-

-

営業利益

298

5.7%

98

1.6%

-66.9%

330

-70.1%

経常利益

322

6.1%

134

2.2%

-58.1%

305

-55.7%

当期純利益

5

0.1%

-68

-

-

136

-

* 単位:百万円、当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。
* 22/5期より「収益認識に関する会計基準」等を適用。

 

2桁増収ながら減益
売上高は前期比15.7%増の60億77百万円。メディア・プラットフォーム事業が小幅な減収、医療BtoB事業も減収だが、医療機関経営支援事業や前期3カ月からフル連結となったクラウドインテグレーション事業が大幅な増収。
既存事業のさらなる効率化を進めるとともに歯科業界でのメディカルネット経済圏を構築し、歯科医療業界のデジタル化の中核を担うプラットフォームの確立を進めている。さらに、口腔まわりから始まる健康寿命増進プラットフォームビジネスの構築に取り組んだ。
営業利益は前期比66.9%減の98百万円。利益面では売上総利益率が前期35.1%から32.3%に低下。販管費は成長のための人的投資等による人件費の大幅な増加などにより21.0%増の18億67百万円となり営業利益率が前期5.7%から1.6%に低下した。3Q末に撤退した連結子会社したミルテルのセグメント損失の計上が減益の主因、メディア・プラットフォーム事業も減益となった。
営業利益の増減要因は以下の通り。
 

(同社資料より)

 

営業外では補助金収入を計上しており、経常利益は前期比58.1%減の1億34百万円。固定資産の減損や貸倒引当金繰入により、当期純損失は68百万円(前期は5百万円の利益)となった。
売上高、各利益とも会社予想を下回った。
配当は前期と同じ3.00円/株の期末配当を実施する。

 

 

(2)セグメント別動向

 

24/5期

構成比

25/5期

構成比

前期比

メディア・プラットフォーム事業

1,125

21.4%

1,083

17.8%

-3.7%

医療機関経営支援事業

3,865

73.6%

4,419

72.7%

+14.3%

医療BtoB事業

184

3.5%

158

2.6%

-14.3%

クラウドインテグレーション事業

47

0.9%

375

6.2%

+688.9%

未病・予防プラットフォーム事業

25

0.5%

41

0.7%

+58.5%

その他

3

0.1%

0

0.0%

-71.8%

売上合計

5,252

100.0%

6,077

100.0%

+15.7%

メディア・プラットフォーム事業

626

55.7%

541

50.0%

-13.6%

医療機関経営支援事業

187

4.9%

190

4.3%

+1.1%

医療BtoB事業

20

10.9%

-13

-

-

クラウドインテグレーション事業

-6

-

34

9.1%

-

未病・予防プラットフォーム事業

-66

-

-154

-

-

その他

3

100.0%

0

100.0%

-71.8%

調整額

-467

-

-499

-

-

営業利益合計

298

5.7%

98

1.6%

-66.9%

* 単位:百万円
* 営業利益の構成比は売上高営業利益率。その他は報告セグメントに含まれない事業セグメントで管理業務受託事業等。

 

◎メディア・プラットフォーム事業
売上高は前期比3.7%減の10億83万円、営業利益は同13.6%減の5億41百万円。

 

◎医療機関経営支援事業
売上高は前期比14.3%増の44億19百万円、営業利益は同1.1%増の1億90百万円。
(Webマーケティング)
売上高は前期比で増加した。SEOサービスではアクセス増加と順位対策を同時に行えるサービスなどサービスメニューの多様化を進めた。リスティング広告においては、多様化・細分化するユーザーニーズに応えるべく、従来のYahoo!やGoogleのリスティング広告、LINEに加え、TikTok広告などの運用代行を開始するなどサービスの拡充に努めた。
(HP制作・メンテナンスサービス)
売上高は前期比で増加した。情報過多かつ専門知識がなくとも手軽に情報を取得・発信できることができるようになった現代において正確な情報発信を継続し、販売活動に注力した。この結果、受注制作案件は好調に推移した。
(歯科医院運営)
売上高は前期比で増加した。タイ・バンコクの連結子会社及び連結子会社(孫会社)において歯科医院を3院運営しており、患者ファーストをモットーに人材育成、組織開発を行い、日本の医療を現地で展開している。3院ともバンコクの頼れるインターナショナルクリニックへの成長を遂げた。
(歯科商社事業)
売上高は前期比で増加した。国内において、東京と大阪の他、新たに宮崎と鹿児島が加わり4拠点体制となった。国内外において堅調に推移した。
(大衆医薬品・医薬部外品の企画・卸販売)
売上高は前期比で減少した。主力製品であるプライベートブランド商品の販売強化等により概ね順調には推移した。
(歯科医院総合支援)
売上高は前期比で増加した。積極的な人材の採用を継続して不動産事業は堅調に推進し、経営支援サービスの契約数が順調に増加した。

 

(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

◎医療BtoB事業
売上高は前期比14.3%減の1億58百万円、営業損失13百万円(前期は20百万円の利益)。

 

 

歯科関連企業の広告出稿動向は、従来は学会や展示会等リアルな場での活用が主だった。しかし、コロナ禍においてWEB広告の需要が高まり、普及した。現在は学会や展示会の機会も復活し、広告手法の多様化が見られる。こうした中、適切な広告ソリューションの提供を行ったが減収となった。

 

 

(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

◎クラウドインテグレーション事業
売上高は前期比688.9%増の3億75百万円、営業利益は34百万円(前期は6百万円の損失)。

 

同事業は、24/5期4Qから連結子会社(孫会社)化したAVision Co.,Ltd.において、タイ国内で小売業、製造業や病院向けにPOSシステムの開発・導入・メンテナンスサービスを行っている。タイ国内における歯科クリニックのIT化を促進し、タイ国内での歯科プラットフォームの構築を目指している。連結子会社化後、経営環境の見直しや適切なPMIを実施したことにより、順調に売上を創出している。

 

 

(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

 

◎未病・予防プラットフォーム事業
売上高は前期比58.5%増の41百万円、営業損失1億54万円(前期は66百万円の損失)。
同事業は、24/5期に連結子会社化した株式会社ミルテルにおいて、生活者や医療機関への受託臨床検査サービスを提供していた。同社が保有する株式のすべてを譲渡し連結対象子会社から除外されたため、実績は3Qまで。
ミルテルは新規事業の創出と事業領域の多角化を目的に子会社化したが、売上の拡大や収益化のスピードが遅れ、想定していた歯科領域での取組みなどのシナジー効果を得ることが困難である状況等を鑑みたもの。経営資源の選択と集中を行い企業価値の向上を図るため、株式を譲渡することとした。

 

(3)財務状態及びキャッシュ・フロー(CF)
◎主要BS

 

24年5月末

25年5月末

 

24年5月末

25年5月末

流動資産

2,834

2,958

流動負債

1,622

1,931

現預金

1,528

1,456

仕入債務

436

408

売上債権

842

944

固定負債

435

380

固定資産

1,154

1,122

長期借入金

387

336

有形固定資産

125

133

負債合計

2,057

2,311

無形固定資産

460

428

純資産

1,931

1,768

投資その他の資産

568

561

利益剰余金

1,693

1,598

資産合計

3,989

4,080

負債純資産合計

3,989

4,080

* 単位:百万円

 

*同社資料を元に(株)インベストメントブリッジが作成。

 

資産合計は、長期貸付金の増加などにより前期末比90百万円増の40億80百万円。
負債合計は、短期借入金の増加などにより前期末比2億54百万円増の23億11百万円。
純資産合計は、自己株式の増加などにより前期末比1億63百万円減の17億68百万円。
自己資本比率は42.1%(前期末47.8%)となった。

 

◎キャッシュ・フロー(CF)

 

24/5期

25/5期

増減

前期比

営業CF

119

-80

-200

-

投資CF

-285

-259

25

-

FCF

-165

-340

-174

-

財務CF

144

219

75

+52.1%

現金及び現金同等物の期末残高

1,507

1,403

-104

-6.9%

* 単位:百万円

 

営業CF、投資CFともマイナスとなりFCFのマイナス幅が拡大した。
財務CFのプラス幅は拡大したが、キャッシュポジションは減少した。

3.2026年5月期業績見通し

(1)通期業績予想

 

25/5期

構成比

26/5期(予)

構成比

前期比

売上高

6,077

100.0%

6,400

100.0%

+5.3%

営業利益

98

1.6%

270

4.2%

+173.3%

経常利益

134

2.2%

233

3.6%

+72.4%

当期純利益

-68

-

121

1.9%

-

* 単位:百万円 
* 予想は会社側発表。

 

26/5期は5.3%増収、173.3%営業増益を見込む
26/5期は売上高が前期比5.3%増の64億円、営業利益は同173.3%増の2億70百万円、経常利益は同72.4%増の2億33万円、当期純利益は1億21百万円(前期は68百万円の損失)を見込む。
引き続き人材や新規事業への投資を積極的に行う。既存事業の継続的な強化に加え、タイの事業へも注力する。業容拡大に向けて組織体制を強化、成長のための戦略的投資を継続しつつも大幅な営業増益を計画する。
以下、各セグメントの見通し。

 

①メディア・プラットフォーム事業
主力である従来のポータルサイトのサービス改善・拡充させる。新メディアのPLUSについては、引き続き積極的な販売を推進する。
②医療機関経営支援事業
歯科医院の開業・経営・事業承継に加え、歯科医師個人のライフサポートまで総合的に支援する。また、子会社オカムラを中心に、歯科医療向け納品プラットフォーム事業を確立し、歯科ディーラーと歯科クリニック間におけるアナログ中心の取引をデジタル化していく。歯科ディーラーと歯科クリニックの双方に取引の効率化を提供して、歯科業界にとって価値のあるDX化を推進する。
③医療BtoB事業
リニューアルした「Dentwave」のサービス拡充、及び「Dentwave Prime」や在庫管理システムなどの新サービスの提供を推進するとともに、さらなる会員数の獲得に繋げていく。
④クラウドインテグレーション事業
タイ国内においてAVision Co., Ltd.の持つPOSシステム特化型ビジネスのノウハウを活用し、タイにおける 歯科クリニックのIT化を促進し、タイにおける歯科プラットフォームの構築及び連結子会社(孫会社)のNU DENT Co.,Ltd.が掲げる「タイ歯科商社事業のDX化」を推進する。

 

配当は、前期と同じ3.00円/株の期末配当を予定。安定的な利益還元を実施する。
内部留保をM&Aや人材投資に対して活用し、中長期的な企業価値向上を目指す方針。

 

26/5期も成長のために引き続き、積極的な投資を実施する。

人的投資

・ 中途18名採用

・ 26年5月新卒7名採用予定

事業投資

・ 新規事業

・ 医療BtoB事業の更なる拡大

・ 歯科事業の海外展開拡大

・ 歯科ディーラー事業を拡大

・ 医薬品・医薬部外品販売事業のシナジー

・ 大学との共同研究

・ クラウドインテグレーション事業の推進

 

 

成長に向けた今後の投資と人員推移

成長に向けた26/5期の投資(百万円)

 

人的投資(名)

 

(同社資料より)

 

26/5期も引き続き中途採用に注力し人員を拡充させる。
業容及び事業の拡大を図る組織体制の強化のため、中途では18名の採用を予定している。

 

(2)事業別の主な取り組み

事業

取り組み

メディア・プラットフォーム

歯科・美容

・人材・システム開発強化

・サービスの改善・拡充、セールスとのサービス販売強化

・専門コンテンツ強化

・口腔まわりから全身の健康へつながる橋渡し

医療機関経営支援

・新規チャネル開拓と収益モデル構築

・歯科医院の開業・経営に対する多チャンネルでの支援から歯科医師個人のライフサポートまで総合的に支援

・セミナー、大学及びスタディグループの開業支援及び経営支援案件の掘り起こし

・歯科ディーラー事業を拡大

・医薬品・医薬部外品の販売

・タイでの歯科事業の拡大

・不動産事業におけるサービスラインナップの拡大

医療BtoB

・会員数増加に向けた施策強化

・新サービスの開発、販売強化

・デジタル及びリアルのイベント開催

クラウドインテグレーション

・タイにおけるPOSシステムの開発、導入、メンテナンスサービス

その他

メディア・プラットフォーム、医療機関経営支援、医療BtoBにおいて株式会社ヨシダと連携し、事業拡大

 

(3)計画の前提
各事業で増収を見込む。

事業

売上状況

メディア

・プラットフォーム

・歯科分野はPLUS媒体受注が好調に推移する見込み

・サービスの販促強化で収益拡大を目指す

医療機関

経営支援

・体制を強化し新事業、新商材の取扱いに加え、既存事業も収益力を強化し収益拡大。

・医薬品・測定機器販売事業と歯科ディーラー事業とのシナジーを生み、両事業の拡大を見込む

・タイにおいて、歯科ディーラー事業、歯科医院経営支援および新規サービスの歯科開業コンサルで、サービスを一気通貫サポートし、収益拡大を目指す

・不動産事業におけるサービスラインナップの拡大

医療B to B

・Dentwaveのサービス拡充及びDentwave Primeや在庫管理システムなどの新サービスの投入で売上増を図る

クラウド

インテグレーション

・タイにおけるPOSシステムの開発、導入、メンテナンスサービス事業の推進。

 

費用についても仕入原価、人件費とも増加する見通し。

費用

見通し

売上原価

(仕入高)

・歯科ディーラー事業の売上増加及び不動産事業本格開始に伴い商品仕入高が増加。

・既存サイト拡充、新サイト開発等サービスの多様化に伴う業務拡大により労務費増加。

販管費(人件費)

組織体制強化のための人件費、新サービス投入等に係るコストが増加する見込み。

 

(4)セグメント情報
メディア・プラットフォーム事業
4Qにおける付加価値向上に向けた取り組みと中期経営計画に対する進捗は以下の通り。

 

中期経営計画

4Qの進捗

①主要メディアシステム刷新

開発進行中

②コンテンツ(ランキング)リニューアル

「インプラントネット」、「審美歯科ネット」、「矯正歯科ネット」では全国・都道府県+市区町村・こだわり条件を絞り込み

機能を拡充して9月にリニューアル

③おすすめ記事コンテンツ拡充

「みんなの歯医者さんネット」では、

地域のおすすめ医院記事コンテンツを拡充

9月より開始予定で記事を拡充中

 

医療機関経営支援事業(Webマーケティング、HP制作・メンテナンス)
4Qにおいて、新商材の開発やサービス品質の向上等を実施した。26/5期につなげていく考えである。

 

 

(同社資料より)

 

医療機関経営支援事業(歯科商社事業)
4Qにおいて、システムのDXとBIツール(*)の統合を、東京・大阪に宮崎・鹿児島の㈲吉見歯科器械店を加えて、4拠点で推進する。
(*)BIツール:Business Intelligenceツールの略、企業のデータを収集・分析して経営戦略を支援するツール

 

25年3月28日に有限会社吉見歯科器械店の全株式を取得、連結子会社(孫会社)化。
関東、関西に続き、九州へ進出。歯科商社事業を拡大。

 

 

完全子会社であるオカムラは、東京都福生市に本社を置く創業36年の歯科ディーラー。18年に同社グループに加わった。歯科業界での経験豊富な社員に、同社グループの強みであるITサービスが加わり、クライアントである歯科医院・歯科技工所・専門学校に対して歯科器械材料・医薬品に加え、OEM製造によるプライベートブランド商品を提供している。また、22年に設立株式会社オカムラOsakaを吸収合併し商圏を関西にも広げている。
吉見歯科器械店は、宮崎県宮崎市に本社を置く創業51年の歯科ディーラー。宮崎県及び鹿児島県の歯科医院・歯科技工所に歯科医療用品、歯科用機器材の販売を行っており、宮崎県内のディーラーでは1位の25%のシェアを誇っている。「お客様との信頼関係をたいせつにします」をミッションに掲げる同社とオカムラは、これまで培ってきた商品力・営業力を共有・協力することでさらに強化し、南九州地区No.1ディーラーを目指す。

 

医療機関経営支援事業(タイ歯科商社事業)
4Qは受注していた開業2件が実績化、見込案件も3Qに続き増加。フランチャイズ展開にさらに注力する。
外資(日系メイン)の開業支援が増加、タイ国内クリニックの開業案件にも注力。

(同社資料より)

 

また、4QはECアプリの売上が増加している。
BtoCのみならず、BtoB向け(他社歯科ディーラー)への販売にも注力していく考え。
タイ国内の歯科業界DX化と販売リソース拡大を促進する。

 

医療機関経営支援事業(歯科医院経営事業)
4Qには日本人以外の外国籍患者数が増加した。今後も来院患者の属性に幅を持たせ、バンコクにおけるインターナショナルクリニックとしての立ち位置を盤石にしていく。

 

日本の先進歯科医療技術を普及させ、タイの人々の口腔内環境向上に寄与し、健康な社会の構築に貢献


(同社資料より)

 

医療機関経営支援事業(大衆医薬品・医薬部外品の企画・卸販売)
3Qは脳健康ステーション(*)での脳活動の見える化と脳健康のアドバイスが設置のドラッグストア全店で大きな反響を得る。26/5期は設置店が増加する見通し。
(*)東北大学+日立ハイテクによる脳科学カンパニー、株式会社NeUが開発した前頭前野の脳血流を計測する装置
詳しくはこちら ☞ https://www.noechi.co.jp/product/product-13.html

 

医療機関経営支援事業(歯科医院総合支援)
4Qでは、基盤となるコンサルティング契約数を計画通り積み上げた。
歯科医院だけでなく歯科医師のライフプランを考えた戦略設計サポート

 

(同社資料より)

 

多くの歯科医師はライフプランに関する相談をスムーズにできる環境がなく、保険や資産形成などライフプランに関わる準備を効率的かつ効果的に取り入れることができていない。
それらをワンストップで行えるよう、カスタマイズされたサービスを構築し、提供していく考え。

 

医療BtoB事業
4QはDentwaveのリブランディングを実施。引き続きオンラインを中心としたイベント案件の開拓に注力する。
「zaico for dental」は導入医院のオンボーディング支援を進行。

 

(同社資料より)

 

クラウドインテグレーション事業
4Qは売上高・利益とも過去最高。営業組織とエンジニアチームを再編し、さらなる増収増益を図る。
タイ国内POS/ERPビジネスNo.1へ。タイ国内POS/ERPシステム取り扱い20年の実績を基盤として、メディカルネットグループのタイにおける事業推進の重要なファクターとなる。
4Qは「予約管理・カルテ管理・会計」を連動させたプログラムの開発を進めた。しかし、当初の計画からビハインドしており、26/5期の販売に向けて推進中。

 

システムからプラットフォーム化し歯科業界を網羅

(同社資料より)

 

歯科医院の「カルテ管理」「治療案内」「患者予約」「金銭管理」などトータルサポートが可能になり、タイ国内6,000件のクリニックを対象にサブスク販売する。

 

(5)トピック
株式会社ヨシダとの資本業務提携
6月に1906年創業・日本最古の歯科機械メーカーである株式会社ヨシダと資本業務提携を締結した。
株式会社ヨシダは本社を東京都台東区上野に置く。日本全国各地に支店、営業所、SC(サービスセンター)を配置し、歯科医療機器・材料・情報機器(コンピュータなど)や歯科医院内の環境全般にわたるハードやソフトの開発・販売・修理・保守メンテナンスを実施している。
また、世界各国のブランドメーカーと連携して自社ブランドの製品開発、サービス開発にも注力している。さらには、歯科医療情報の提供のために、歯科機械・材料・医院経営に関わる出版物を刊行し、歯科医院の開業・経営に関する企画・調査などの総合コンサルティングも行っている。
この提携により、日本国内における歯科事業並びに臨床教育システム導入支援、さらには予防を含むヘルスケア事業 開業・承継支援、歯科医療従事者メディア関連事業等での連携を図る。

 

(同社資料より)

 

開業から経営・運営支援、事業承継・M&Aまで、ワンストップで支援する事業を両社で確立させていく。メディカルネットは歯科器材に弱みがあり、株式会社ヨシダが補うことによりシナジーを大きくしていく考え。

 

4.中期経営計画

24年8月に売上高120億円、営業利益15億円を目指す中期経営計画を発表した。
しかし、前提条件が変化しており、目標値は適切な時期に見直す予定。

 

5.今後の注目点

25/5期は同社が成長の主軸に置いていたミルテルの収益化のもたつきにより苦戦を余儀なくされた。しかし、そのミルテルの株式を売却、連結除外とした。これにより26/5期はすっきりとした形でスタートを迎えることになる。25/5期が大幅減益となった反動もあり大幅増益を見込んでいる。ただし、中期経営計画を見直しており、やや見通しが不透明な状況にはある。
こうした中、株式会社ヨシダと業務提携した。シナジー効果と業績への貢献には注目していきたい。ミルテルの連結除外で成長は一旦頓挫した印象もあったが、新たな動きが出ている。引き続きM&Aには積極的な考えであり、これらの動向にも注目したい。
株価は低調に推移しており、売上成長が本格化したここ5年間の安値圏に位置している。利益面で低迷していることが背景にあるが、今後目指す利益水準を考慮すると株価は割安な水準にあると考える。

 

*決算短信より(株)インベストメントブリッジが作成。

 

◎株主優待
同社株式の中長期的に保有する株主との関係を、より一層大切にしていくことを目的として株主優待制度を継続していく。基準日を24年5月31日とする株主優待制度より、株主優待として引き渡すクオカードの金額を引き上げた。

5月末で

100株以上

1年以上保有 1,000円

600株以上

1年以上3年未満保有 1,500円

3年以上保有2,000円

1,000株以上

1年以上3年未満保有 2,000円

3年以上保有 5,000円

 

(同社資料より)

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

6名、うち社外2名

監査役

4名、うち社外4名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2024年9月2日

 

<基本的な考え方>
当社は、株主の利益の最大化を図りつつ、株主・クライアント・エンドユーザー・従業員・地域の方々等すべてのステークホルダーに対して、経営の健全性・効率性・透明性を通じて企業社会の一員としての社会的責任を果たしていくことをコーポレート・ガバナンスの基本方針としております。

 

その実現のために、現状に満足することなく経営環境の変化に応じてコーポレート・ガバナンス体制を強化し、企業価値の最大化を図ってまいります。

 

<実施しない主な原則とその理由>
「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。」と記述している。

 

 

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