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(5290) 株式会社ベルテクスコーポレーション

スタンダード

ブリッジレポート:(5290)ベルテクスコーポレーション 2026年3月期上期決算

ブリッジレポートPDF

 

 

 

土屋 明秀 社長

株式会社ベルテクスコーポレーション(5290)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

ガラス・土石製品(製造業)

代表取締役社長

土屋 明秀

所在地

東京都千代田区麹町五丁目1番地 麴町弘済ビルディング7F

決算月

3月

HP

https://www.vertex-grp.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,255円

49,316,722株

61,892百万円

13.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

32.50円

2.6%

86.50円

14.5倍

721.25円

1.7倍

*株価は11/28終値。発行済株式数は25/3期期末の発行済株式数から自己株式を控除。数値は四捨五入。
*2022年7月1日付で1:3と2025年9月1日付で1:2の株式分割を実施。配当利回り、PER、PBRはこの株式分割を考慮。
*ROE、BPSは25年3月期実績、EPS、DPSは26年3月期会社予想。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2022年3月(実)

37,514

6,143

6,434

4,242

80.45

13.13

2023年3月(実)

39,095

5,560

5,837

3,742

70.43

15.00

2024年3月(実)

36,833

5,727

5,849

3,728

71.93

20.00

2025年3月(実)

38,918

6,285

6,449

4,826

95.30

30.00

2026年3月(予)

41,000

6,350

6,500

4,290

86.50

32.50

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。
*2022年7月1日付で1:3と2025年9月1日付で1:2の株式分割を実施。DPSとEPSは遡及して再計算。

 

株式会社ベルテクスコーポレーションの2026年3月期第2四半期の決算概要と26年3期の業績予想しなどをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2026年3月期第2四半期決算概要
3.2026年3月期業績予想
4.第3次中期経営計画の進捗
5.今後の注目点
<参考1:第3次中期経営計画>
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 26年3月期上期の決算は、売上高が前年同期比2.0%減の176億53百万円、営業利益が同3.6%減の23億61百万円。前年の大型案件減少を補い、前年同期比では僅かに減収減益となったものの、計画に対しては売上高及び営業利益共に上回る着地となった。公共事業の発注の波による影響によるものであり、同社では中期的に見た累計の業績を意識しており課題視していない。

     

  • 第2四半期が終わり、26年3月期の会社計画は、売上高が前期比5.3%増の410億円、営業利益は同1.0%増の63億50百万円の予想から変更なし。大型案件の減少を補う案件の確保により増収および経常利益までの各段階利益は増益の計画。しかし、前年度の繰延譲渡損失の損金算入の影響により、最終利益は減益の計画。2025年9月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行った。配当は、株式分割を考慮し前期より2.50円/株増加の普通配当32.50円/株の予定を据え置き。予想配当性向は37.6%。

     

  • 標準耐用年数である50年を超える下水道管路が今後大幅に増加し、下水道管路のメンテナンス需要が急拡大する見込みである。同社では、下水道管路のメンテナンスにおいて既に様々な補修工法を保有しておりその恩恵が期待される。また、調査・診断や既存の下水道管の複線化や連絡管の敷設についても同社製品への需要を誘発しそうである。拡大する下水道管路のメンテナンス需要が今後同社へどのようなビジネスチャンスをもたらすのか注目される。

     

1.会社概要

暮らしを支える、様々なプレキャストコンクリートの製造・販売を主な事業として展開している。

 

(1)沿革

2014年、日本ゼニスパイプ株式会社、株式会社ハネックス(羽田ヒューム管株式会社が商号変更)、株式会社羽田コンクリート工業の3社が合併し、ゼニス羽田株式会社が発足し、その後「ゼニス羽田ホールディングス株式会社」に商号変更。
2018年10月1日、ゼニス羽田ホールディングス株式会社と株式会社ホクコン(福井県)が共同株式移転により株式会社ベルテクスコーポレーションを設立(ゼニス羽田ホールディングス株式会社と株式会社ホクコンは完全子会社)。
両社が新たな事業グループを創設した。
2019年4月、ゼニス羽田株式会社が存続会社として、ゼニス羽田ホールディングス株式会社(消滅会社)を吸収合併。
2021年4月1日、株式会社ベルテクスコーポレーション傘下の中核事業会社であるゼニス羽田株式会社と株式会社ホクコンが、株式会社ホクコンを消滅会社、ゼニス羽田株式会社を存続会社として吸収合併を行い「ベルテクス株式会社」が誕生。
事業シナジー創出、経営効率化等を進め、成熟市場であるコンクリート及びパイル、並びに成長市場である防災領域でのシェア拡大、収益性向上による売上・利益の成長を目指している。2025年3月27日付「株式会社IHI建材工業の株式を取得(子会社化)し、10月1日付で全株式の取得を完了し、商号を株式会社IKKに変更した。

 

(2)業績推移

経営統合後も経営基盤の整備と利益創出に取り組み、業界最高水準の収益性を確保しながら成長を継続している。25/3期からは次なる成長期入りを目指す。

 

*15/3期~18/3期ゼニス羽田ホールディングス、19/3期〜ベルテクスコーポレーション

 

(3)長期ビジョン

◎パーパス 
「オンリーワンの技術」と「ユニークな発想」で、世界の人々の未来に 安心の新しいカタチを提供します。

 

同社グループは、自然環境や社会の変化に向き合い、新しい価値と安心を創り出してきた。今後も成長し続ける企業として、困難なニーズに応え続ける、オンリーワンの技術と誰も思いつかなかった、ユニークな発想で、どこに住んでいても安心して暮らせる持続可能な社会の実現に貢献していく。これからも、世界の人々の未来に安心の新しいカタチを生み出すために、同社グループは挑み続ける。

 

◎VERTEX Vision 2034
同社は、パーパスとともに、10年後目指す姿としてVERTEX Vision 2034を策定した。
第1次中期経営計画(20/3期~21/3期)は、経営統合に伴う事業・経営基盤の基礎固めの期間であり、第2次中期経営計画
(22/3期~24/3期)は持続的成長を確実にするための事業・経営基盤の強化の期間であった。続く第3次中期経営計画(25/3期~27/3期)では、①事業ポートフォリオの強化、②サステナビリティ経営の推進、③人的資本、R&D、DX強化を重点的に実施する。その後の第4次~第5次中期経営計画(28/3期~33/3期)の実施を経て、2034年に売上高1,000億円、営業利益150億円を目指す。
【10年後のありたい姿】
また、同社は労働人口減少、インフラの老朽化、地球温暖化、災害の激甚化など10年後に向けて同社が対応しなくてはならない課題を整理するとともに、その対策として「10年後のありたい姿」を定義した。

10年後のありたい姿

対策

みらい工場

人手不足等を踏まえ、自動化や集中管理等のスマートファクトリー化を進める。

ワンストップ・メンテナンス

インフラの維持・管理を上流から巻き取り、ワンストップで対応可能なプレーヤーとなる。

オンサイトプレキャストプレキャストコンクリートについて工場からの配送という体制から現場でのプレキャスト化に対応。
スマート斜面防災衛星等から様々なデータを収集し災害等の危険を事前に察知し防ぐスマート斜面防災を実現。

 

【長期的な事業ポートフォリオ構想 】
同社は、VERTEX Vision 2034に向け、事業ポートフォリオの強化に取り組んでいく。

(同社資料より)

 

(4)市場環境

同社を取り巻く事業環境を見ていくうえでは、下記のような点を踏まえておく必要がある。

 

◎防災・減災投資需要の継続
建設業界において重要な公共事業関係費は過去10年にわたり安定的に推移している。特に、インフラの補修や公共工事は毎年一定額が拠出されている。また、今後建設後50年を経過する既存インフラの割合が上昇することから、今後も高水準の防災・減災投資需要が継続するものと予想される。こうした中、同社では同社のビジネスモデルに沿って、実績の積み重ね製品の採用シェアを引き上げていくことが成長の上で重要と認識している。

 

(建設後50年以上経過する主な社会資本の割合)

農業用用排水路(約5万km、基幹的農業水利施設)

2019年

2029年

-

50%

67%

-

道路橋(約73万橋、橋梁 2m以上)

2020年

2030年

2040年

30%

55%

75%

下水道管きょ(総延長約47万km)

2020年

2030年

2040年

5%

16%

35%

港湾岸壁(約5,000施設、水深 -4.5m以深)

2020年

2030年

2040年

21%

43%

66%

防火水槽(約52万基)

2020年

2025年

2035年

35%

40%

58%

(同社資料より)

 

 

◎国土強靭化計画の見直し
2024年7月に閣議決定された国土強靭化基本計画に基づき、2025年4月に第1次国土強靭化実施中期計画の素案が発表された。前回の5か年計画加速化対策から事業規模は約3割の上乗せとなり、当社の基盤事業には追い風となる。

(同社資料より)

 

◎建設現場の働き方改革・人手不足:プレキャスト工法の拡大
プレキャストコンクリートとは工場であらかじめ製造されたコンクリート製品であり、作業効率において優れ、現場の人手不足の解決や人件費の高騰に対するソリューションとして期待が高い。一方、現場打ちとは、工事現場で鉄筋を組み、生コンクリートを打設する工法である。プレキャストコンクリートは、現場における作業効率が、現場打ちの1/2~1/5程度とメリットがある反面、工場から運搬する必要があるため輸送路上の制約が発生し、距離によっては運搬費で高コストとなるデメリットがある。一方、現場打ちは、輸送路の制約がない特殊な構造や大型構造にも柔軟な対応が可能というメリットがある反面、作業効率でプレキャストに劣後し、天候や作業者により品質にばらつきが出るというデメリットがある。現在は、直接工事費の観点から予算上は経済性で優位という認定により現場打ち工が大半を占め、プレキャスト工は全体の13%を占める程しかない。しかし、熟練工の不足や現場の働き方改革に伴い施工の効率化が求められる中で、長期的にはプレキャスト工を選択するケースが今よりも高まっていくことが期待される。海外並みの使用比率となれば、中長期的にプレキャスト工の比率が50%を超える可能性もある。

 

(5)事業内容

セグメントは「コンクリート事業」「パイル事業」「防災事業」「その他事業」の4つ。なお、「防災事業」は25年3月期より「斜面防災事業」に名称変更。

 

各事業、以下のグループ会社が事業を担っている。

セグメント

グループ会社

コンクリート事業

ベルテクス株式会社(東京都)

ベルテクス建設株式会社(大阪府)

株式会社ホクコンプロダクト(福井県)

九州ベルテクス株式会社(福岡県)

株式会社IKK(東京都)

パイル事業

ホクコンマテリアル株式会社(福井県)

斜面防災事業

ベルテクス株式会社(東京都)

ベルテクス建設株式会社(大阪府)

九州ベルテクス株式会社(福岡県)

その他事業

株式会社ウイセラ(岐阜県)

アイビーソリューション株式会社(福井県)

プロフレックス株式会社(埼玉県)

株式会社エヌエクス(東京都、持分法適用関連会社)

(同社ウェブサイトより)

 

【コンクリート事業】
プレキャストコンクリートを製造販売。売上高、営業利益ともに約74%を占める同社の主力事業領域である。中でも浸水対策事業・下水道事業を主力とし、当該領域では業界トップの実績を誇る。
(各写真はHPより)

事業名

概要

浸水対策事業・下水道事業

水災害対策や下水道施設の耐震化など「防災・減災」に対し、ニーズを反映した豊富なラインナップとオンリーワンの技術により最善の提案。

 

道路事業

道路インフラの整備だけではなく、人命を守るための製品を数多く保有。「安全・安心」な道路づくりに貢献。

 

メンテナンス事業

先送りできないインフラ老朽化対策として、ライフサイクルコストを考慮した最適な製品・工法を提案。豊かな国民生活、社会経済を支える基盤であるインフラの長寿命化の実現に貢献。

 

鉄道事業

超高硬度コンクリートや特殊モルタルなど、材料まで突き詰めた製品もラインナップ。一つ先行く「安全・安心」を提供。

住宅・開発事業

安心して暮らせるように備える地震や災害に強い街づくりのために、大地震対応の製品を数多くラインナップ。また、No.1ブランドの耐震性貯水槽や独自の災害用トイレを保有。

 

【パイル事業】
建築の基礎工事に用いるコンクリートパイルの事業を展開。建築の基礎工事に用いられるコンクリートパイルの製造販売および杭打ち工事などを提供。

 

【斜面防災事業】
斜面防災のための製品を製造販売。石、土砂崩れなどの災害が予想される山岳道路や住宅地域に対して、性能検証実験を経て自社開発した工法・製品を多くラインナップ。

 

【その他事業】
その他事業は、油圧ホースメンテナンス、セラミック事業、RFID事業、コンクリートの調査・試験事業、システム開発・販売事業、乳酸菌事業などで、子会社群にて手掛けている。

 

(6)特徴と強み

◎ビジネスモデルの特徴
同社の直接の製品の販売先はゼネコンであるものの、案件の初期段階から設計コンサルタントや発注者 (官庁・デベロッパ)に対して提案・サポートを行い、自社製品を売り込むことができるモデルとなっている。また、社会課題対策として他社に先駆けて新製品を市場に投入し、先行メーカーとして実績を積み上げ市場を開拓すると同時に当該分野でのブランドを確立し、売上を伸ばしていくモデルにもなっている。

 

(同社資料より)

 

◎強み
①技術力・開発力
取得特許の数やNo.1ブランド製品の数などが示す技術力・開発力を軸に営業や技術など全てのスタッフが組織的に連携を取ることで高い提案力・競争力を実現している。

(同社資料より)

 

②業界内で最も高い水準の利益率
技術力・開発力・営業力・組織力を掛け合わせ、業界内で最も高い水準の利益率を達成している。

 

(同社資料より)

 

(7)株主還元

25/3期の配当は期初計画を上方修正し60円/株にて実施予定(4/30開示)。配当性向31.5%、総還元性向58.7%と中期経営計画における目標水準と同程度で着地。26/3期は、当期純利益は減益の一方、配当は32.5円/株(株式分割考慮後)と増配の計画。自己株式については、市場環境を注視しながら実施する方針。

 

 

(8)資本コストを意識した経営

現在の資本コストを8~9%と捉え、引き続き長期的なROE向上と資本コスト抑制を目指す。

 

また、中期経営計画期間においては英文対応や開示の拡大等をはじめ、IR活動の充実化も意識し、株主・投資家との対話を通した企業価値向上を目指す。

 

(同社資料より)

2.2026年3月期上期決算概要

(1)連結業績

 

25/3期上期

構成比

26/3期上期

構成比

前年同期比

会社計画

計画比

売上高

18,006

100.0%

17,653

100.0%

-2.0%

16,800

+5.1%

売上総利益

6,043

33.6%

5,993

34.0%

-0.8%

-

-

販管費

3,592

20.0%

3,631

20.6%

+1.1%

-

-

営業利益

2,450

13.6%

2,361

13.4%

-3.6%

2,290

+3.1%

経常利益

2,539

14.1%

2,428

13.8%

-4.4%

2,360

+2.9%

中期純利益

1,451

8.1%

1,442

8.2%

-0.7%

1,560

-7.6%

*数値には株式会社インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。
*単位:百万円

 

前年同期比2.0%の減収、同3.6%の営業減益
第3次中期経営計画期間は「VERTEX Vision2034」に基づく1期目と位置付け、事業ポートフォリオの強化に向けた成長投資を推進するとともに、基盤を整えたコア事業の再成長と、長期的な成長の軸となる新規事業の育成に取り組んでいる。重点施策として掲げる「事業ポートフォリオの強化」、「人的資本・R&D・DXの推進強化」、「サステナビリティの推進」に注力し、更なる企業価値の向上に努めた。26/3期上期の売上高は、前年同期比2.0%減の176億53百万円となった。売上面では、コンクリート事業と斜面防災事業で増加したものの、パイル事業とその他事業で減少した。営業利益は、同3.6%減の23億61百万円となった。利益面でも、コンクリート事業と斜面防災事業とその他事業で増加したものの、パイル事業で減少した。
26/3期上期は、前年の大型案件減少を補い、前年同期比では僅かに減収減益も、計画に対しては売上高及び営業利益共に上回る着地となった。利益については収益性の高い大型案件の計上が寄与した。
公共事業の発注の波による影響のため、同社は中期的に見た累計の業績を意識しており課題視していない。売上総利益率は、前年同期比0.4ポイント上昇の34.0%となった。売上高対販管費比率が前年同期比0.6ポイント上昇した結果、売上高営業利益率は13.4%と同0.2ポイント低下した。また、今上期に営業外費用で損害補償費用43百万円(前年同期は4百万円)を計上したことなどにより、経常利益の減益率は営業利益の減益率を上回った。その他、減損損失が前年同期の3億6百万円から今上期は24百万円に減少したことなどにより中間純利益は前年同期比0.7%の減益となった。

 

上期の業績推移

26/3期上期は、前年同期比で減収減益となったものの、売上高、営業利益、売上高営業利益率ともに高水準で安定している。

 

(2)セグメント動向

 

25/3期上期 

構成比

26/3期上期 

構成比

前年同期比

コンクリート事業

12,824

71.2%

13,054

73.9%

+1.8%

パイル事業

1,970

10.9%

1,224

6.9%

-37.9%

斜面防災事業

1,539

8.5%

1,787

10.1%

+16.1%

その他事業

1,672

9.3%

1,587

9.0%

-5.1%

売上高合計

18,006

100.0%

17,653

100.0%

-2.0%

コンクリート事業

2,351

18.3%

2,519

19.3%

+7.1%

パイル事業

223

11.3%

-20

-1.7%

-

斜面防災事業

446

29.0%

537

30.0%

+20.3%

その他事業

375

22.5%

385

24.3%

+2.5%

調整額

-946

-

-1,059

-

-

営業利益合計

2,450

13.6%

2,361

13.4%

-3.6%

*単位:千円。営業利益の構成比は売上高営業利益率。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

◎コンクリート事業(前期比1.8%増収、同7.1%増益)
大型浸水対策案件の出荷が順調に進んだことに加えて、付加価値の高い製品の売上が堅調に推移した結果、昨年度上期の九州地区の大型案件減少を補い、収益性は着実に向上した。その結果、売上高は前年同期比1.8%増の130億54百万円、セグメント利益は同7.1%増の25億19百万円となった。また、売上高営業利益率は、前年同期比1ポイント上昇の19.3%となった。通期会社計画との進捗率は、売上高で46.5%、セグメント利益で46.7%となった。

増益要因は、各エリアの浸水対策案件の出荷が順調だったことに加え、雨水貯留槽やボックスカルバート等の付加価値の高い製品の販売価格改定効果となった。減益要因は、前年の九州地区大型案件の商品売上の減少の影響となった。

 

◎パイル事業(前年同期比37.9%減収、同2億43百万円減益)
米関税の影響により民間投資が鈍化し、期初に予定していた民間工事案件の中止や延期の影響を受けた。その結果、売上高は前年同期比37.9%減の12億24百万円、セグメント損失は20百万円(前年同期はセグメント利益2億23百万円)となった。
また、売上高営業利益率は、前年同期比13ポイント低下の-1.7%となった。通期会社計画との進捗率は、売上高で36.0%、セグメント利益で2億60百万円の不足となった。

 

◎斜面防災事業(前期比16.1%増収、同20.3%増益)
期初に予定していた案件の一部が上期に前倒しとなった。その結果、売上高は前年同期比16.1%増の17億87百万円、セグメント利益は同20.3%増の5億37百万円となった。また、売上高営業利益率は、前年同期比1.1ポイント上昇の30.0%となった。通期会社計画との進捗率は、売上高で32.5%、セグメント利益で30.5%となった。

 

◎その他(前年同期比5.1%減収、同2.5%増益)
油圧ホースメンテナンス事業において、期初の計画を下回ったものの、セラミックス事業において、半導体製造装置関連の出荷が順調に推移した。その結果、売上高は前年同期比5.1%減の15億87百万円、セグメント利益は同2.5%増の3億85百万円となった。また、売上高営業利益率は、前年同期比1.8ポイント上昇の24.3%となった。通期会社計画との進捗率は、売上高で39.7%、セグメント利益で45.3%となった。

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

25年3月

25年9月

 

25年3月

25年9月

現預金

17,323

16,932

仕入債務

6,103

5,240

売上債権

10,935

9,882

短期有利子負債

3,065

3,040

たな卸資産

5,492

5,737

流動負債

11,960

11,453

流動資産

34,690

33,172

長期有利子負債

844

745

有形固定資産

11,297

11,235

固定負債

3,371

3,302

無形固定資産

3,424

3,226

純資産

36,534

35,439

投資その他

2,455

2,561

負債・純資産合計

51,866

50,196

固定資産

17,176

17,023

有利子負債合計

3,909

3,786

*単位:百万円。売上債権には電子記録債権を、仕入債務には電子記録債務を含む。有利子負債にリース債務を含まず。

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

25年9月末の総資産は、前期末比16億70百万円減少の501億96百万円となった。資産面では、受取手形、売掛金及び契約資産、のれんなどが主な減少要因となった。負債・純資産面では、電子記録債務、長期借入金、自己株式の取得などが主な減少要因となった。25年9月末の自己資本比率は70.0%と前期末と同じだった。

 

キャッシュ・フロー

 

25/3期上期 

26/3期上期 

前年同期比

営業キャッシュ・フロー

2,592

2,852

+259

+10.0%

投資キャッシュ・フロー

32

-338

-370

-

フリー・キャッシュ・フロー

2,624

2,513

-110

-4.2%

財務キャッシュ・フロー

-2,847

-2,903

-55

-

現金及び現金同等物の中間期末残高

13,673

16,912

+3,239

+23.7%

*単位:百万円

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

CFの面から見ると、棚卸資産の増加額と法人税等の支払額の減少などにより営業CFのプラスが拡大した。一方、事業譲渡による収入の減少などにより投資CFがマイナスに転じ、フリーCFのプラスが縮小した。その他、配当金の支払額の増加などにより財務CFのマイナスが拡大した。この結果、期末のキャッシュ・ポジションは前期比で23.7%増加した。

 

(4)株主還元

◎株主還元方針 (現中期経営計画期間:2025年3月期〜2027年3月期)
◆配当性向      30%
◆総還元性向    50%以上

 

◎配当金
同社は、2025年9月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施した。株式分割を考慮した配当金は1株あたり前期より2.5円増加の 32.5円 の予定で、配当性向は37.6%となる見込み。

 

◎自己株式の取得状況
同社は、株主還元の充実と資本効率の向上及び経営環境の変化に応じた機動的な資本政策を実行するため、継続的に自己株式の取得を実施している。
◆取得期間      ①4月11日~7月31日  ②9月19日
◆取得総額      ①799,974,100円(367,600株) ②456,600,000円(300,000株)

 

3.2026年3月期業績予想

(1)連結業績

 

25/3期

構成比

26/3期 予想

構成比

前期比

売上高

38,918

100.0%

41,000

100.0%

+5.3%

営業利益

6,285

16.2%

6,350

15.5%

+1.0%

経常利益

6,449

16.6%

6,500

15.9%

+0.8%

当期純利益

4,826

12.4%

4,290

10.5%

-11.1%

*単位:百万円

 

前期比5.3%増収、同1.0%営業増益の予想
上期が終わり、期初計画から変更なし。26年3月期の会社計画は、売上高が前期比5.3%増の410億円、営業利益は同1.0%増の63億50百万円の予想。2024年4月1日にパーパス『「オンリーワンの技術」と「ユニークな発想」で、世界の人々の未来に安心の新しいカタチを提供します。』を制定した。また、新たに制定したパーパスの実現に向けて、10年後の2034年に目指す姿「長期ビジョンVERTEX Vision 2034」と、2024年~2026年までの「第3次中期経営計画」を新たに策定した。「第3次中期経営計画」において掲げた経営戦略を着実に実行することで、未来の安心と更なる企業価値向上を実現する。
大型案件の減少を補う案件の確保により増収および経常利益までの各段階利益は増益の計画。しかし、前年度の繰延譲渡損失の損金算入の影響により、最終利益は減益の計画。売上高営業利益率は、前期比0.7ポイント低下の15.5%の想定。
また、配当も期初の予想を据え置き。同社は、2025年9月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行った。当該株式分割の影響を考慮した配当は前期より2.5円/株増加の普通配当32.50円/株の予定となる。予想配当性向は37.6%。自己株式については株価急落時に機動的に実施するなど市場環境を注視しながら実施する。
なお、(株)IKKの株式取得を10月1日に完了。PMIを通じた中期経営計画への影響は精査中であり、精査完了後に開示を予定しており、のれん等に関する数値が確定後、当期計画の修正を予定している。

 

(2)セグメント動向

 

25/3期 実績

構成比

26/3期 予想

構成比

前期比

コンクリート事業

26,918

69.2%

28,100

68.5%

+4.4%

パイル事業

3,689

9.5%

3,400

8.3%

-7.8%

斜面防災事業

4,890

12.6%

5,500

13.4%

+12.5%

その他事業

3,419

8.8%

4,000

9.8%

+17.0%

売上高合計

38,918

100.0%

41,000

100.0%

+5.3%

コンクリート事業

5,410

20.1%

5,400

19.2%

-0.2%

パイル事業

246

6.7%

240

7.1%

-2.6%

斜面防災事業

1,659

33.9%

1,760

32.0%

+6.1%

その他事業

779

22.8%

850

21.3%

+9.0%

調整額

-1,810

-

-1,900

-

-

営業利益合計

6,285

16.2%

6,350

15.5%

+1.0%

*単位:百万円。営業利益の構成比は売上高営業利益率。
*防災事業は、25/3期より斜面防災事業に名称が変更となった。

 

コンクリート事業は、前期比4.4%の増収、同0.2%の減益見込み。また、売上高営業利益率は、前期比0.9ポイント低下の19.2%の会社予想。
パイル事業は、前期比7.8%の減収、同2.6%の減益見込み。また、売上高営業利益率は、前期比0.4ポイント上昇の7.1%の会社予想。
斜面防災事業は、前期比12.5%の増収、同6.1%増益見込み。また、売上高営業利益率は、前期比1.9ポイント低下の32.0%の会社予想。
その他事業は、前期比17.0%の増収、同9.0%増益見込み。また、売上高営業利益率は、前期比1.5ポイント低下の21.3%の会社予想。

 

(3)下期の業績推移

 

今下期は増収増益予想ながら、前下期の収益性の高い大型案件がなくなる影響により売上高営業利益率が低下する予想。

 

(4)業績予想に対する進捗率

 

26/3期 上期実績

26/3期 会社予想

進捗率

売上高

17,653

41,000

43.1%

営業利益

2,361

6,350

37.2%

経常利益

2,428

6,500

37.4%

当期純利益

1,442

4,290

33.6%

*単位:百万円

 

26/3期上期の業績は、通期の会社予想に対し、売上高及び各段階利益で50%を下回っているものの、同社は上期よりも下期の方が売上高と各段階利益が多くなる季節性があること、公共事業の発注の波による影響が要因で上期の実績が会社予想を上回ったことを考慮すると、達成に向けて無理のない通期の会社予想と言えよう。

 

(5)東京証券取引所プライム市場への市場変更申請に向けた対応開始

同社は、2025 年 11月13日開催の取締役会において、東京証券取引所プライム市場への市場区分変更申請に向け
た本格的な対応を開始する方針を決議した。
今後は、プライム市場の厳格な基準への着実な適合に向けて、体制整備、株主・投資家をはじめとするステークホルダーとの建設的な対話の充実、ガバナンス体制のさらなる強化、英文開示やTCFDへの対応、サステナビリティ経営・リスクマネジメントの推進等に引き続き取り組む。また、引き続き企業価値最大化とサステナビリティ経営の実現に向けて、株主・投資家・取引先・従業員をはじめとするすべてのステークホルダーの期待に誠実に応えていく。

 

4.第3次中期経営計画の進捗

VERTEX Vision 2034 に基づく1期目の計画として、オーガニックで売上430億、営業利益65億を計画する。将来の売上1,000億、営業利益150億を見据えた第1歩として事業ポートフォリオの強化に向けた成長投資を行い、基盤を整えたコア事業の再成長と長期的な成長の軸となる新規事業の育成に取り組む。

 

【数値目標】

数値目標(計画発表時の数値)

 

24/3期(実績)

25/3期(中計)

26/3期(中計)

27/3期(中計)

3か年累計

Vision 2034

売上高

368

400

410

430

1,240

1,000

営業利益

57

60

62

65

187

150

ROE

11%

-

-

14%

-

20%

*単位:億円

 

【施策】

事業ポートフォリオの強化

① 基盤事業のコンクリート・斜面防災において市場成長を踏まえた安定的な収益拡大の推進

② 育成事業のインフラメンテナンス、鉄道、防衛及び油圧ホースメンテナンス事業に対する成長投資を推進

③ オーガニック成長に加え、M&Aを通した事業ポートフォリオの強化・拡大を推進

サステナビリティ経営の推進

①「10年後のありたい姿」を目指し、「みらい工場」・「ワンストップ・メンテナンス」

・「オンサイトプレキャスト」・「スマート斜面防災」の実現に向けての体制構築

② カーボンニュートラルに向けた取り組みの推進

人的資本・R&D・DXの推進強化

①人財開発プログラム・採用プログラムの更なる推進強化

②通常の研究開発や設備投資に加え、「10年後のありたい姿」を意識した成長投資を推進

③ 情報システムやICTインフラの整備とDXの更なる推進

 

【市場の背景】

内閣官房が今年6月に公表した「第1次国土強靱化実施中期計画」において推進が特に必要となる施策に対して数値目標が示された。同社が関係する項目の1つとして浸水対策があげられる。浸水実績地区等(全国37万ha(令和5年度末時点))に
おける下水道による気候変動の影響を踏まえた浸水対策完了率は、令和5年度時点でわずか5%にとどまっている。これを令和40年度までに100%まで引き合あげる大きな目標が掲げられている。また、下水管路の老朽化対策では、口径2m以上かつ20年以上経過した大口径下水道管路の健全性を確保することが求められている。損傷リスクが高く、事故発生時に社会的影響が大きい大口径下水道管路(「下水道管路の全国特別重点調査」の対象※:約5,000km)の健全性の確保率は令和6年度において0%であるがこれを令和12年度までに100%とする計画となっている。特に今年2月の八潮市の道路陥没事故をきっかけに下水管路の老朽化対策は喫緊の課題と一気に注目が高まっている。これらの国の方針は同社にとって大きな追い風となる。同社では、市場のニーズが顕在化してから取り組みを始めても急速に拡大する需要には追い付くことはできないとの判断のもと、これまで同社は時代の変化を先取りし製品や開発を進めてきた。トレンドが表面化する前から研究開発を進めてきたこの姿勢こそがこれからの市場の急拡大に確実に応えていける同社の最大の強みと言えよう。

 

【これまで取り組んできた雨水対策事業】

同社の主力商品であった汚水下水管用途のヒューム管は1972年に412万トンの出荷数量を記録したものの全国の下水道の普及率の上昇とともに需要は減少し現在では10万トン程となっている。汚水の整備が一段落したことにより国の施策は徐々に雨水対策にシフトすることとなった。こうした中、同社は汚水整備に使用されるヒューム管の需要が減少したこと、国の施策が雨水対策にシフトしていくであろうという市場予測をもとに雨水関連製品の開発に注力していち早く製品を市場に投入してきた。
シェアトップのエスホール(組立式箱型マンホール)は、1989年に製造販売を開始し、シェアトップのM.V.P.システム(雨水地下貯留槽)は、1996年に製造販売を開始し、シェアトップのSJ-BOX(耐震性ボックスカルバート)は、2003年に製造販売を開始した。

 

また、2021年に流域治水関連が制定されて以降、雨水貯留施設の設置の必要性が更に高まっている。雨水貯留施設は、降雨時に発生する過大な雨水流量を一時的に受け止め下流河川の氾濫リスクを軽減する機能を有する施設である。この地下貯留・浸透施設は1997年に約10万㎡の施工実績であったが現在は約95万㎡と約10倍まで施工実績が拡大している。同社は、1996年にM.V.P.システム(雨水地下貯留槽)の製造販売を開始し、トップシェアを維持している。

 

【地下調節池事業への進出】

現在の降雨量の急激な増加は、ボックスカルバートの管渠や雨水貯留施設だけでは処理しきれなくなってきている。そこで現在大都市で新たに計画されているのがセグメント部材を用いた地下トンネル型調節池の築造である。これまで同社が手掛けてこなかった事業領域であるが、1つ1つの事業規模が大きく今後の市場拡大が期待できる分野である。こうした背景のもと同社は、合成セグメント部材の製造大手であるIHI建材工業(10月1日よりIKKへ名称変更)をグループ化した。雨水が流入するトンネルを築造する場合、管路に内水圧が生じることから内水圧に強い合成セグメントが採用されることが多い。合成セグメントは競合が少ない領域であり、更にIKKの製品は競合他社と比較しコスト面で優位性があると同社では試算している。この合成セグメントを軸に同社が保有する営業ネットワークを活用することでシナジーを発揮させ大きな需要が見込まれる地下トンネル型調節池の事業への展開を図る。

 

(同社資料より)

 

【土砂災害対策への貢献】

同社は、「第1次国土強靱化実施中期計画」でもふれられている山地災害危険地区等における治山対策の一つとして更なる製品ラインナップを増強することを目的とした土砂災害用の土砂柵に関する製品実験場を兵庫県西脇市に新設する。山を削り土砂崩れを再現する斜面を作り、設置したフェンスに向け実験場の最上部から土砂を流しフェンスの性能を確認する。将来的には自社製品の実験場のみならず他社との共同実験や研究機関の使用も可能とする社会貢献を行える日本を代表する土砂実験場にしたいと同社では考えている。

 

(同社資料より)

 

【社会インフラ老朽化対策における取り組み】

全国の下水道管路の総延長は、約50万㎞であるが、下水道管路の標準耐用年数である50年を超えている延長は現時点で約4万㎞となっている。しかし、10年後には標準耐用年数を超える延長が約10万㎞、20年後には約21万㎞を超える見通しとなっている。国は持続的な下水道機能確保のため計画的な維持管理・改築事業の実施を重要施策として位置付けており、今後は下水道管路の新設よりもメンテナンスが主流となることが予想されている。国土交通省からは業界に対し下水道管路メンテナンス技術の高度化・実用化に向けた要請も行われており、今後下水道管路のメンテナンスにおける技術革新が本格化しそうである。

 

【メンテナンス事業の推進】

同社はこれまでメンテナンス事業においても新工法や新材料開発を積極的に進めてきたことにより、既に優れたメンテナンス工法を保有しておりコンクリートの二次製品メーカーや施工会社など約60社とともにインフラ保全協会を組織しこれら工法の普及促進や工法に使用される材料の拡販に取り組んでいる。

(同社資料より)

 

【コンクリートの調査・診断事業】

メンテナンスを実施するためには管路の状況を正確に調査・診断が不可欠であるが、その調査・診断技術を有していることが同社の強みとなっている。同社は一般的に用いる調査・診断技術はもちろん、地中レーダー探査、ファイバースコープ、水中ドローンによる構造物目視検査、水中ROVと水中ソナー洗堀形状調査などの技術で優位性を有している。更に、同社は現在の技術では解決できない課題に対応するため次世代の調査・診断技術の開発にも積極的に取り組んでいる。同社は、調査・診断から多様なメンテナンス技術を有している強みを活かして、今後は需要拡大が見込まれる下水道メンテナンス分野において高い優位性の確立を目指している。

(同社資料より)

 

【リダンダンシーの確保】

現在国はリダンダンシーという考え方を強く打ち出している。リダンダンシーとは、主要なインフラが機能不全に陥った際でも
代替ルートや余裕度を確保することで社会機能を維持し続けるための仕組みである。今後は既存下水道管の複線化や連絡管の敷設が増加することが予想され、組立式マンホール「ユニホール」「エスホール」の需要拡大が期待される。

 

5.今後の注目点

上期が終わり通期会社予想の達成に向けた進捗率は、売上高及び各段階利益で50%を下回っている。同社は上期よりも下期の方が売上高と各段階利益が多くなる季節性があること、公共事業の発注の波による影響が要因で上期の実績が会社予想を上回ったことを考慮すると、達成に向けて無理のない通期会社予想と思われる。こうした中、㈱IHI建材工業の株式取得を10月1日に完了し、同時に商号を㈱IKK(以下IKK)へ変更した。PMIを通じた中期経営計画への影響は精査中であり、 精査完了後の開示を予定している。また、のれん等に関する数値が確定後、通期会社予想の修正も行う見込みである。どのような通期会社予想が示されるのか楽しみである。加えてIKKは、今後急拡大が見込まれるセグメント部材を用いた地下トンネル型調節池の需要に対し、競合他社と比較しコスト面での優位性を持っている。今後同社は、IKKが有するこの合成セグメントを軸に同社が保有する営業ネットワークを活用することでシナジー効果を発揮し、需要拡大が見込まれる地下トンネル型調節池に関連する事業を強力に推進する予定である。今後のIKKとのシナジー効果に注目したい。
更に、標準耐用年数である50年を超える下水道管路が今後大幅に増加し、下水道管路のメンテナンス需要も急拡大しそうである。同社では、下水道管路のメンテナンスにおいて既に様々な補修工法を保有しておりその恩恵が期待される。また、調査・診断や既存の下水道管の複線化や連絡管の敷設についてもかなりの恩恵を受けそうである。拡大する下水道管路のメンテナンス需要をどのように取り込んでいくのか今後の取り組みが注目される。
加えて、同社はIKK買収後も、依然85〜135億円程度のM&A投資枠を確保している。同社は、①防災・減災・国土強靭化を軸とし、既存事業の機能強化・周辺領域展開が見込める企業、②同社が選定する育成事業(インフラメンテナンス、鉄道、防衛)に対して提供するプロダクト・サービスを有する企業、③官公庁に強いプロダクト・サービスを提供する企業、④事業ポートフォリオの強化・拡大が見込める事業を有する企業をM&Aのターゲットと定めている。今後のM&Aについても引き続き注目したい。

 

<参考1:第3次中期経営計画>

同社は、2025年3月期から2027年3月期までの3か年を対象とする第3次中期経営計画を策定した。
VERTEX Vision 2034 に基づく1期目の計画として、オーガニックで売上430億、営業利益65億を計画する。将来の売上1,000億、営業利益150億を見据えた第1歩として事業ポートフォリオの強化に向けた成長投資を行い、基盤を整えたコア事業の再成長と長期的な成長の軸となる新規事業の育成に取り組む。

 

【数値目標】

数値目標(計画発表時の数値)

 

25/3期

(中計)

25/3期

(実績)

26/3期

(中計)

26/3期

(会社予想)

27/3期

(中計)

3か年累計

Vision 2034

売上高

400

289.1

410

410

430

1,240

1,000

営業利益

60

62.8

62

63.5

65

187

150

ROE

-

13.8%

-

-

14%

-

20%

*単位:億円

 

【重点項目】

事業ポートフォリオの強化

◆基盤事業 - コンクリート・斜面防災

市場成長を踏まえた安定的な収益拡大を図る。

◆育成事業 - メンテナンス・鉄道・防衛・油圧ホースメンテナンス

将来の注力ドメイン化を考えた成長投資を実施する。

人的資本・R&D・DXの推進強化

サステナビリティ経営の推進

 

◎基盤事業における施策

【コンクリート事業】

主力事業であり、市場環境が堅調である雨水浸水対策領域のコンクリート事業については更なる強化を推進する。前中計までで製品ポートフォリオの体制は整い、今後は販売強化や更なる付加価値化を通してより売上と利益を積み上げていくフェーズとして取り組む。

 

(主な取組み)
◆既存製品・新製品の販売強化
<コンクリート事業の新製品群>

ボルテックスバルブ

 

スパイラルホール

 

無動力で貯留槽からの流量を水位に応じてコントロールし、雨水貯留施設の貯留

機能を従来式から最大20%向上させる装置。

雨水をマンホール内壁に沿ってらせん状に落水させることで騒音と振動の発生を回避し、スムーズに流出

管に流し込むことが出来るマンホール。

 

◆絞り込んだ製品群の更なる付加価値化
◆コンクリート工場の統廃合による効率化
過去の経営統合を通して保有する工場や拠点についての統廃合に着手。2024年運送問題や市場動向を踏まえ、各工場から
の運送範囲の再設定と効率化に取り組む。

【斜面防災事業】

近年激甚化する自然災害への対策として、防災・減災や国土強靭化に対する意識は高まる傾向にある。また、国土強靭化に向けた対策の拡大も予定されている。こうした環境下、引き続き崩壊土砂対策や落石対策に向けた製品の拡販と更なる研究開発・付加価値化に取り組む。
<主な製品>

ループフェンス

崩壊土砂防護工・土石流・流木対策工

 

◆メンテナンス性の高さ

◆ケーブル取り付け位置の調整による柔軟な配置の実現

◆土砂、落石、積雪などに対応可能

 

◎育成事業における施策
将来の注力ドメインとしてコンクリート事業におけるインフラメンテナンス、鉄道、防衛及び油圧ホースメンテナンス事業に対する成長投資を推進する。第3次中期経営計画終了時点では合計で80億円程度の売上規模を目指す。

 

事業

主な施策

インフラメンテナンス

◆設置シェアNo1の防火水槽関連や農業水利関係に注力し販売を強化

◆調査・診断に始まり維持保守管理までワンストップでの対応を通し顧客の拡大・深掘り

鉄道

◆同社、ゼネコン、鉄道事業者の連携を深め、同社が有する新材料を活用し、顧客ニーズに合致した製品開発を推進

油圧ホースメンテナンス事業

◆2023年に完全子会社化したプロフレックスは、豊富な在庫品番数で1個から全国へ即納する優れたオペレーションとオリジナル加締機自社企画品の設計力を強みとしている。関東圏で既に強みを活かして成功した事業モデルを他地域へ横展開する。

 

◎M&A戦略
オーガニック成長に加え、M&Aを通した事業ポートフォリオの強化・拡大を狙う。

中期経営計画期間のM&A戦略投資枠

◆M&A投資枠は、100~150億円を予定、主に借入を活用したM&A戦略投資枠を設定

今後のM&A強化に向けた社内体制

◆M&A対応人員強化により案件情報の量と質を高める

◆量:あらゆるチャネルを駆使して案件情報を収集

◆質:良好な関係性を構築し、良質な情報収集を目指す

M&Aターゲットの方向性

◆防災・減災・国土強靭化を軸とし、既存事業の機能強化・周辺領域展開が見込める企業

◆同社が選定する育成事業(インフラメンテナンス、鉄道、防衛)に対して提供するプロダクト・サービスを有する企業

◆官公庁に強いプロダクト・サービスを提供する企業

◆事業ポートフォリオの強化・拡大が見込める事業を有する企業(既存事業の強みが活かせシナジーが期待できる事業)

 

【既存事業成長とM&A成長のイメージ】

第3次中期経営計画期間において、売上成長についてはM&Aによる成長ポテンシャルは大きい一方、利益についてはオーガニック成長が中心となる想定 (M&A初期の利益貢献は見込まずPMIフェーズの改善想定)としている。

 

(同社資料より)

 

◎財務戦略
同社は、資本効率を意識したバランスシートを目指し、今中計のキャッシュ・アロケーションを策定した。

(同社資料より)

【成長投資・更新投資の詳細】
同社は、通常の研究開発や設備投資に加え、「10年後にありたい姿」を意識した投資予算を設定した。

 

<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

7名、うち社外3名(うち独立役員3名)

監査等委員

4名、うち社外3名(うち独立役員3名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2025年7月1日

 

<基本的な考え方>
当社は、経営の透明性・健全性を確保しつつ、効率的な意思決定を可能とするコーポレート・ガバナンス体制の構築が重要であるとの認識のもと、当社グループ経営において主体的な役割を果たし、グループの戦略・方針の策定、グループ各社に対する指導・助言を通じ、コーポレート・ガバナンスの充実に努めております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
コーポレートガバナンス・コードの各原則について全てを実施しております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>

原則

開示内容

【原則 3-1 情報開示の充実】

(i)経営理念等や経営戦略、経営計画

当社の経営計画等を当社ホームページで開示しております。

(ii)コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針 コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方を定めたガイドラインを当社ホームページで開示しております。

(iii)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するにあたっての方針と手続

取締役(社外取締役を除く)の報酬は、固定報酬としての基本報酬と業績指標を基礎としてその数が算定される非金銭報酬(以下「業績連動非金銭報酬」という。)としてのストックオプションにより構成し、社外取締役については、その職務に鑑み、基本報酬のみとしております。

取締役(監査等委員である取締役を除く。以下同じ。)の種類別の報酬割合の目安は、基本報酬:業績連動非金銭報酬等(短期インセンティブ):業績連動非金銭報酬(長期インセンティブ)=70:15:15(業績指標を 100%達成の場合)とし、任意の報酬委員会が審議並びに取締役会に対する答申を行い、取締役会は当該答申内容を尊重し、決定いたします。

取締役の個人別の報酬額については、任意の報酬委員会が審議並びに取締役会に対する答申を行い、取締役会は当該答申内容を尊重し、決定いたします。

監査等委員である取締役の報酬については、任意の報酬委員会が審議並びに監査等委員である取締役全員に対する答申を行い、監査等委員である取締役全員が当該答申内容を尊重し協議した上で決定いたします。

(ⅳ)経営陣幹部の選解任と取締役候補の指名を行うに当たっての方針と手続

(方針)

 監査等委員でない取締役候補は、当社グループの企業価値向上のために、グループの発展に寄与できる幅広い視野と経験を有し、マネジメント能力と経営センスを持った人材を選任しています。

監査等委員である取締役候補は、数多くの経験や見識からの視点より、監査等委員でない取締役の業務執行を公正に監査・監督できる人材を選任しています。

(選任手続き)

当社は任意の指名委員会を設置しております。指名委員会は取締役選解任案を審議し、取締役候補者の提言をいたします。それぞれの提言を踏まえ、監査等委員でない取締役候補者案は監査等委員会に報告、監査等委員である取締役候補者案は監査等委員会の同意を得た上で、取締役会において決議しております。

 

(v)経営陣幹部の選解任と取締役候補の指名を行う際の、個々の選解任・指名についての説明

取締役の選解任につきましては、株主総会招集ご通知参考書類において、指名委員会の推薦に基づいて取締役会が決定した新任取締役候補者の個々の略歴、選解任理由等を掲載してまいります。

経営計画

https://www.vertex-grp.co.jp/ja/ir/management/plan.html

コーポレートガバナンスガイドライン

https://www.vertex-grp.co.jp/ja/ir/management/governance.html

【補充原則3-1③ サステナビリティについての取組み等】

当社グループでは、経営理念(ブランド・ビジョン)「安心のカタチを造る。」の実現に向け、「持続可能な社会の実現への貢献」 と「企業の持続的成長の実現」の両立が経営課題の一つであるとの認識に立ち、マテリアリティ(重要課題)の特定を行い、具体的な対応策や目標設定を推進させてまいります。

今後もサステナブルな社会の実現に向けた取リ組みを強化し、新たな価値創造の創出を通じて社会とステークホルダーからの満足と信頼が得られる企業を目指してまいります。

なお、当社におけるサステナビリティについての取組み及びTCFDに基づく開示の詳細は、当社ホームページをご覧ください。

当社ホームページ

https://www.vertex-grp.co.jp/ja/sustainability.html

【原則5-1 株主と建設的な対話に関する方針】

当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のために、株主総会以外における株主や投資家との建設的な対話が重要であると認識し、経営企画部広報・IR室をIR担当部署として個別面談への対応、会社情報のホームページへの掲載、東京証券取引所の任意開示を活用した情報公開を行うほか、個別面談においては、株主の希望や面談の内容の重要性等によって取締役の中から適任者が対応するなど、社内体制を整備しております。

また、半期に1回決算説明会を開催し、代表取締役社長を含めた役員が登壇し、決算報告や事業戦略等について説明しております。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】

当社の資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応については、当社ホームページの第3次中期経営計画をご覧ください。

第3次中期経営計画

https://www.vertex-grp.co.jp/ja/ir/library/midplan/main/00/teaserItems1/07/linkList/00/link/3nd_midterm-plan__.pdf

 

 

 

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