ブリッジレポート:(6050)イー・ガーディアン 2025年9月期決算
![]() 高谷 康久 社長 | イー・ガーディアン株式会社(6050) |
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企業情報
市場 | 東証プライム市場 |
業種 | サービス業 |
代表者 | 高谷 康久 |
所在地 | 東京都港区虎ノ門1-2-8 虎ノ門琴平タワー8F |
決算月 | 9月 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数(自己株式を控除) | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
1,696円 | 11,593,845株 | 19,663百万円 | 8.0% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
38.00 | 2.2% | 89.36円 | 19.0倍 | 1,039.62円 | 1.6倍 |
*株価は1/9終値。各数値は2025年9月期決算短信より。
連結業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主帰属利益 | EPS | DPS |
2022年9月(実) | 11,752 | 2,272 | 2,314 | 1,689 | 168.38 | 24.00 |
2023年9月(実) | 11,909 | 1,778 | 1,806 | 1,229 | 122.74 | 26.00 |
2024年9月(実) | 11,391 | 1,705 | 1,708 | 1,057 | 92.08 | 31.00 |
2025年9月(実) | 11,321 | 1,504 | 1,530 | 943 | 81.52 | 35.00 |
2026年9月(予) | 12,009 | 1,604 | 1,629 | 1,033 | 89.36 | 38.00 |
* 予想は会社予想。単位:百万円、円。
イー・ガーディアン(株)の2025年9月期決算の概要と2026年9月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2025年9月期決算概要
3.2026年9月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 25/9期の売上高は前期比0.6%減の113.21億円、営業利益は同11.8%減の15.04億円。業務別では、EC・フリマサイト向けのカスタマーサポートやFintech関連サービスにおける本人確認業務が伸長したソーシャルサポートが同5.7%増と貢献したが、全体としてはわずかながら減収で着地した。利益面では、大型案件の開始に向けた人材獲得・育成コストが先行し、処理能力を向上させるためのセンター移転のコストが生じたことなどが背景。
- 26/9期の売上高は前期比6.1%増の120.09億円、営業利益は同6.7%増の16.04億円を計画している。配当計画は前期比3円増額となる年間38円、予想配当性向は42.5%。「売上高の再成長、収益性の改善」を今期達成目標として掲げている。施策としては、(1)業務執行体制、営業体制の刷新、(2)BPO領域、サイバーセキュリティ領域 新戦略実施、(3)労働集約型ビジネスの脱却に向けたAI開発投資、(4)事業規模拡大に向けたM&Aを設定した。
- 過去最高売上高を更新したソーシャルサポートとサイバーセキュリティ事業も含めて、トップラインの伸び悩み等、複数の対処すべき経営課題が明確になった期ともいえそうだ。執行役員制度を通じて、施策を着実に実行していく方針を新たに示しており、「未解決の社会課題を解決するAI活用サービスを創出」「労働集約型ビジネスからの脱却へ」という方向性に向かって、歩みを具体的に進められるか、まずは今中間期で進捗を確認したいところ。当然ながらAI開発投資は仕切り直しの局面では一定の重しとなるが、中長期的には明確に競争優位性に繋がっていくことになるため、投資継続の方針が確認できたことは安心感。
- 2025年12月に2026年9月期から2028年9月期の3カ年を対象とした中期経営計画を発表した。「システム・プロダクトの開発」「セキュリティ領域の成長」「M&Aによる基盤拡大」を戦略テーマとし、2028年9月期には売上高200億円、EBITDA25億円を目指す。これまでに培ってきた自社ノウハウや教師データをシステム・プロダクト化し、人手不足やセキュリティリスクに直面している国や地方自治体、企業、組織、個人などに幅広く提供していく考えだ。また、「AI×人」をさらに強化し、開発するシステム・プロダクトの高度化かつ教師データの収集やAIのチューニング、サービス開発を行う「人」の専門性の向上に取り組み、「AI×人」のプロ集団を形成する。同計画期間内に売上高に占めるプロダクト/システムの販売比率を30%、5年後には50%を目指す。サイバーセキュリティ戦略では、教育コンテンツの拡大に注力するとともに新事業の創出・収益化に取り組む。M&Aは引き続きあらゆる領域を対象に積極的に行う方針としている。これまでの労働集約型事業モデルから「AI×人」システム新事業モデルへの転換を目指しており、今後の動向に注目したい。
1.会社概要
経営理念として「We Guard All」を掲げ、グループでサイバーセキュリティからデバッグ、運用まで、上流から下流までの、ネットセキュリティのワンストップサービスを提供している。20年以上にわたる運用実績を誇り、国内外に拠点を展開。顧客数は1,000社を超える。グループは、投稿監視・カスタマーサポート・広告審査等を手掛ける同社の他、連結子会社5社。サイバーセキュリティ分野においてWAF・脆弱性診断等を提供するEGセキュアソリューションズ(株)、Webシステム・IoTのデバッグ(第三者検証)を手掛けるEGテスティングサービス(株)、投稿監視を中心に展開し、ローコストオペレーションを強みに低単価案件の収益化能力に優れるイー・ガーディアン東北(株)、及びグローバル展開の拠点であるE-Guardian Philippines Inc. E-Guardian Vietnam Co., Ltd.。

(同社資料より)
1-1 事業区分と成長戦略
事業は、ソーシャルサポート、ゲームサポート、アド・プロセス、サイバーセキュリティ、その他の5業務に区分され、いずれも件数に応じた課金体系を採用しており(一部サービスを除く)、高品質なサービスをリーズナブルな価格で提供している。
ソーシャルサポート
ソーシャルネットワークサービス(SNS)やECメディア等のソーシャルメディアへの投稿を監視する投稿監視や問い合わせ対応を24時間365日体制で提供しており、多様なニーズを取り込むべく、風評調査、多言語対応、サイト運用、分析等にサービスの幅を広げている。人による目視監視(ヒューマンリソース)に加え、投稿監視システム「kotonashi」や人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」の活用で対応している。また、2024年5月にはインターネット上の著名人が使用された画像や不適切画像を検知するための画像認識モデルを自由に構築し運用できるヒューマン・イン・ザ・ループAIシステム「ROKA Custom」も開発しサービスへ導入した。生成AIを活用した翻訳システム「EG Trans Works」の開発、メールテンプレートツール「hinagata」への生成AI実装などAI・システム開発、活用に積極的に取り組んでいる。低単価案件等には、ローコストオペレーションを強みとするイー・ガーディアン東北(株)が対応している。決済事業者の加盟店審査を代行する「加盟店審査・登録申請サポートサービス」やリアルタイムAI動画監視フィルタの開発等も行っている。
足元では、クラウドファンディング事業のバックヤード業務をワンストップで対応する「クラウドファンディング運営サポートサービス」、インターネット上におけるリスク対策を中心とした、芸能事務所向けサポートサービス「エンタメリスクシールド」などさらにサービスの幅を広げている。
ゲームサポート
ゲームの開発から運用までをワンストップでサポートしている。デバッグを手掛けるEGテスティングサービス(株)と連携したサービス、プロモーション、ソーシャルアプリやオンラインゲーム等のカスタマーサポート、更にはフィリピン現地法人E-Guardian Philippines Inc.やベトナム現地法人のE-Guardian Vietnam Co., Ltd.が海外企業の日本進出支援(ローカライズ、運用等)と日本企業の第3国への進出支援を行っている。カスタマーサポートでは、バグ(苦情)、機能の使い方(質問)、更にはゲーム内での不正行為の通報等について、チャットボット(「チャット」と「ロボット」を組み合わせた自動会話プログラム)、メール、電話で対応している。
アド・プロセス
広告審査業務に加え、広告枠管理、入稿管理、広告ライティング及び広告運用代行等の業務受託を行っており、顧客のもとに常駐して業務を実施する常駐型のサービスも提供している。また、画像内物体検知システム「Kiducoo AI(キヅコウエーアイ)」を活用し、マーケティング支援及び著作権侵害のパトロール等のサービスも提供している。
サイバーセキュリティ
EGセキュアソリューションズ(株)が提供する、ウェブアプリケーション等の脆弱性診断(脆弱性検査)や各種サイバーセキュリティに関するコンサル・支援、クラウドセキュリティやサイバー攻撃対策に関するソリューション、WAF「SiteGuard(サイトガード)シリーズ」によるWebサイトの脆弱性を悪用した攻撃を防御するソリューション等の収益が計上されており、多くの企業にサービス提供を行っている。足元では、生成AIや大規模言語モデル(LLM)を活用したサービスに潜む脆弱性を専門的に診断する「LLM脆弱性診断サービス」の提供なども開始した。
その他
EGテスティングサービス(株)によるWebシステム・IoTのデバッグ(第三者検証)等の収益が計上されている。
1-2 強み - 人とAI&システムによる低コスト・高品質の実現、リスク高度化とサービス多様化への対応力 ―
TVゲーム・携帯ゲームがソーシャルゲーム・クラウドゲームに、電話問い合わせがメール・チャットに、現金決済・クレジットカード決済が電子決済・仮想通貨・Fintechにそれぞれ代わり、SNSやブログ等のソーシャルWebサービスが、CtoC、シェアリングサービス、VR、ARと多様化している。これに伴い、標的型攻撃、ランサムウェアによる被害、脆弱性対策情報の悪用、インターネットバンキングの不正利用、スマートフォンへの攻撃、個人情報の窃取、更にはサービスの妨害を目的とした攻撃等、リスクも高度化しており、セキュリティ侵害は年々深刻化している。
こうした中、同社は、セキュリティのワンストップサービスを構築し、ネットの安心・安全に必要なものを全て提供している。強みは、「①人とAI&システムによる低コスト・高品質の実現」と「②リスク高度化とサービス多様化への対応力」にある。
「①人とAI&システムによる低コスト・高品質の実現」では、人による目視監視(ヒューマンリソース)と、人工知能型テキスト監視システム、人工知能型画像認識システム、画像内物体検知システム、及びRPAによる低コスト・高品質なサービスを24時間・365日提供している。
「②リスク高度化とサービス多様化への対応力」では、2017年以降M&Aによりサイバーセキュリティ領域へ進出。既存の投稿監視やカスタマーサポートだけでなく、脆弱性診断やWAF、セキュリティコンサル等、ニーズが高まるサイバーセキュリティ領域のサービスを拡充し、一気通貫したサービス提供を可能にしている。
1-3 ESGの取り組み
Environment(環境)の観点からは、自社開発AIによる事業効率化(「kotonashi」による投稿監視の自動判定、「hinagata」によるメールの工数削減等)により、環境負荷の低減や書類の電子化(ペーパーレス化)、資源の有効活用などに取り組んでいる。
Social(社会)の観点からは、インターネットセキュリティ事業を通じて貢献する他、働く環境づくりにも注力。具体的には、短時間勤務制度、時差出勤、在宅勤務など様々な働き方を取り入れる他、残業削減や誕生日休暇などの制度を導入することで労働環境の整備やワークライフバランスに取り組んでいる。希望受講者の社外研修も約5.5回/年と充実している。また、女性社員や若手社員の抜擢人事などにも積極的。その結果、女性管理職比率は約30%(※2025年9月末時点)となっている。
Governance(企業統治)については、任意の指名・報酬委員会、特別委員会を設置している他、取締役会における社外取締役数は7名中3名と客観性・透明性の確保に努めている。
1-4 株主還元
2024年5月7日開催の取締役会において、配当方針の変更を決議した。従来は長期的な企業価値拡大のために事業投資に優先配分するとともに株主への利益還元と内部留保充実のバランスを総合的に判断してきたが、株主への利益還元を強化することを目的に以下の通り配当性向を高める決定をした。
■新たな配当方針
利益配分は、持続的な成長と企業価値向上のための投資や、様々なリスクに備えるための財務健全性とのバランス、経営成績の見通しなどを考慮したうえで、業績に応じた利益配分を行うことを基本方針とし、連結配当性向30%程度を目安に配当する。また、株式への投資の魅力を高め、より多くの方々に、中長期的に株式を保有してもらうことを通じて、事業理解を深めてもらうことを目的として、株主優待制度を新設している(※同社では株主総会において議決権を有効に行使した株主に、株主名義1件につき、QUOカード500円分を贈呈していたが、優待制度の新設に伴い終了)。毎年9月30日現在の同社株主名簿に記載された100株(1単元)以上を保有している株主を対象として、継続保有年数に応じて、デジタルギフトを贈呈する。
1年未満・・・5,000円相当のデジタルギフト
1年以上・・・8,000円相当のデジタルギフト
※1年以上継続して保有する株主とは、毎年9月末日時点を基準として、同一株主番号で3月末日及び前年9月末日の株主名簿に、3回以上連続で記載または記録された株主。
※対象となるデジタルギフトの交換先は次の通り(※変更となる可能性もある)
Amazon ギフトカード / QUO カード Pay / PayPay マネーライト / d ポイント / au PAYギフトカード /Visa e ギフト vanilla / 図書カード NEXT / Uber Taxi ギフトカード /Uber Eats ギフトカード /Google Play ギフトコード / PlayStation®Store チケット / すかいらーくご優待券
2.2025年9月期決算概要
2-1 連結業績
| 24/9期 | 構成比 | 25/9期 | 構成比 | 前期比 | 期初計画 |
売上高 | 11,391 | 100.0% | 11,321 | 100.0% | -0.6% | 12,365 |
売上総利益 | 3,367 | 29.6% | 3,287 | 29.0% | -2.4% | - |
販管費 | 1,661 | 14.6% | 1,783 | 15.8% | 7.3% | - |
営業利益 | 1,705 | 15.0% | 1,504 | 13.3% | -11.8% | 1,819 |
経常利益 | 1,708 | 15.0% | 1,530 | 13.5% | -10.4% | 1,824 |
親会社株主帰属利益 | 1,057 | 9.3% | 943 | 8.3% | -10.8% | 1,220 |
* 単位:百万円
前期比0.6%の減収、同11.8%の営業減益
売上高は前期比0.6%減の113.21億円。業務別では、EC・フリマサイト向けのカスタマーサポートやFintech関連サービスにおける本人確認業務が伸長し、ソーシャルサポートが同5.7%増と貢献した。一方、成長けん引役のサイバーセキュリティが同4.0%増にとどまった他、苦境が続くゲームサポートも同12.2%減となった。アド・プロセスも同7.7%減、その他も同25.4%減と厳しい着地となり、全体としてはわずかながら減収という結果となった。
営業利益は同11.8%減の15.04億円。大型案件の開始に向けた人材獲得・育成コストが先行し、処理能力を向上させるためのセンター移転のコストが生じたことなどが背景。
なお、期初計画比では全項目で下振れて着地している。
2-2 業務別動向
| 24/9期 | 構成比 | 25/9期 | 構成比 | 前期比 |
ソーシャルサポート | 6,758 | 59.3% | 7,141 | 63.1% | 5.7% |
ゲームサポート | 1,578 | 13.9% | 1,386 | 12.2% | -12.2% |
アド・プロセス | 1,407 | 12.4% | 1,298 | 11.5% | -7.7% |
サイバーセキュリティ | 903 | 7.9% | 939 | 8.3% | 4.0% |
その他 | 744 | 6.5% | 555 | 4.9% | -25.4% |
売上高合計 | 11,391 | 100.0% | 11,321 | 100.0% | -0.6% |
* 単位:百万円。

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
ソーシャルサポート
売上高71.41億円(前期比5.7%増)。EC・フリマサイト向けのカスタマーサポート、Fintech関連サービスにおいては本人確認業務が伸長。また、営業体制を強化し新規顧客の開拓に取り組んだ結果、ソーシャルサポート全体の新規顧客の売上高が増加した。加えて、チェンジHDグループとの協業の取り組みに関しては、同グループの既存外注業務の同社への移管が拡大するとともに、エンタープライズ系デジタルBPO領域の拡大に向けた共同提案を進め、受注に至った。
ゲームサポート
売上高13.86億円(前期比12.2%減)。家庭用ゲームやPCゲームの案件獲得に注力しカスタマーサポートの大型案件を受注したものの、当該案件の売上高が想定を下回った。既存顧客への深耕及び新規案件の獲得にも取り組んだが、既存顧客の売上高の減少を吸収できず、減収での着地となった。
アド・プロセス
売上高12.98億円(前期比7.7%減)。広告関連業務にて新規顧客の売上高が伸長。一方で、広告審査業務にて新規顧客の売上高が伸び悩み、減収での着地となった。
サイバーセキュリティ
売上高9.39億円(前期比4.0%増)。クラウド型WAF及びコンサルティングサービスが伸長した。また、中間期に事業責任者及び営業責任者の採用を行い、引き続きサイバーセキュリティ事業の体制強化を進めた結果、下期に仕切り直しが進み、新規顧客の売上高が増加した。さらに、セキュリティエンジニアの採用、教育の強化やマーケティング施策を実施するとともに、チェンジHDグループとの共同提案などの取り組みに注力した結果、増収での着地となった。
その他
売上高5.55億円(前期比25.4%減)。完全子会社であるEGテスティングサービス社が、30年以上の経験とノウハウ、そして信頼と実績に裏打ちされた高品質なサービスを訴求し、新規開拓に取り組んだものの、案件獲得が計画通り進まず減収での着地となった。
2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
財政状態
| 24年9月 | 25年9月 |
| 24年9月 | 25年9月 |
現預金 | 10,402 | 10,986 | 未払金・未払費用 | 824 | 844 |
売掛金 | 1,342 | 1,258 | 未払法人税・未払消費税等 | 646 | 437 |
流動資産 | 11,870 | 12,378 | 賞与・役員株式給付引当金 | 208 | 203 |
有形固定資産 | 570 | 537 | 有利子負債 | - | - |
無形固定資産 | 417 | 315 | 負債 | 1,956 | 1,675 |
投資その他 | 502 | 497 | 純資産 | 11,404 | 12,053 |
固定資産 | 1,490 | 1,350 | 負債・純資産合計 | 13,360 | 13,728 |
* 単位:百万円

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
期末の流動資産は前期末との比較で5.07億円増の123.78億円。現預金が増加した一方、売掛金が減少したことが背景となっている。なお、のれんの減少等を主な理由として、固定資産全体も減少した。負債は同2.81億円減の16.75億円。純資産については剰余金の配当を実施した一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上によって、前期末との比較で6.48億円増の120.53億円になった。なお、自己資本比率は同2.4pt増の87.8%(前期末85.4%)。
キャッシュ・フロー(CF)
| 24/9期 | 25/9期 | 増減 | 前期比 |
営業キャッシュ・フロー(A) | 1,741 | 1,045 | -696 | -40.0% |
投資キャッシュ・フロー(B) | -48 | -122 | -74 | - |
フリー・キャッシュ・フロー(A+B) | 1,693 | 922 | -770 | -45.5% |
財務キャッシュ・フロー | 2,957 | -339 | -3,297 | - |
現金及び現金同等物期末残高 | 10,402 | 10,986 | 584 | 5.6% |
* 単位:百万円
税金等調整前当期純利益が15.01億円(前期16.39億円)と前期からやや減少した他、賞与引当金の減少や資本業務提携・増資関連費用の剥落等によって営業CF自体は縮小。法人税等の支払増加の影響も大きい。投資CFのマイナス幅も拡大した結果、フリーCFは大幅に縮小した。なお、財務CFは前期にあった株式発行による収入の剥落に加え、配当金の支払増加や自己株式の取得による支出等でマイナスに転じた。この結果、キャッシュポジションについては、前期末から厚みを増している。
3.2026年9月期業績予想
3-1 連結業績
| 25/9期 実績 | 構成比 | 26/9期 予想 | 構成比 | 前期比 |
売上高 | 11,321 | 100.0% | 12,009 | 100.0% | 6.1% |
営業利益 | 1,504 | 13.3% | 1,604 | 13.4% | 6.7% |
経常利益 | 1,530 | 13.5% | 1,629 | 13.6% | 6.5% |
親会社株主帰属利益 | 943 | 8.3% | 1,033 | 8.6% | 9.6% |
* 単位:百万円
前期比6.1%の増収、同6.7%の営業増益予想
売上高は前期比6.1%増の120.09億円、営業利益は同6.7%増の16.04億円を計画している。配当計画は前期比3円増額となる年間38円、予想配当性向は42.5%。「売上高の再成長、収益性の改善」を今期達成目標として掲げている。施策としては、(1)業務執行体制、営業体制の刷新、(2)BPO領域、サイバーセキュリティ領域 新戦略実施、(3)労働集約型ビジネスの脱却に向けたAI開発投資、(4)事業規模拡大に向けたM&Aを設定した。
例えば、(1)業務執行体制については、執行役員制度を採ることで、市場変化に迅速に対応し、成長を加速させることを目指す。なお、テスト事業では「主要取引先への売上依存」サイバーセキュリティ事業では「市場変動に伴う成長鈍化」、チェンジホールディングスグループとのアライアンス推進では「グループ内シナジーの進捗遅延」を課題として認識しており、これらにそれぞれの担当役員がスピード感をもって対処していくことになる。
(2)BPO領域、サイバーセキュリティ領域 新戦略実施についても、それぞれ方向性を開示している。BPO領域では、「既存BPO領域の拡張」「新規BPO領域への進出」「AI開発投資の推進」の3点に注力しつつ、新たな領域・サービスを模索していく。サイバーセキュリティ領域については、セキュリティ教育をドアノックツールとして事業拡大を目指す。また、主要サービスとのクロスセルに注力するほか、クロスセル先の新事業創出も積極的に検討していく。なお、サイバーセキュリティ領域では自社創発ないしM&Aを活用し、創出した新規事業をサイリーグHD、SMBCサイバーフロント社を通して展開していく流れも視野にいれている。
また、2025年9月期にM&A専門部署を立ち上げていたが、成約はなかった。2026年9月期は案件創出のためのネットワークをさらに広げるとともに、対象企業へのアプローチの量を増やすことにより、更なるパイプラインの充実を図って成約を目指す方針を示している。

(同社資料より)

(同社資料より)

(同社資料より)

(同社資料より)
4.今後の注目点
2025年9月期中間期段階では、売上高ベースでは中間計画に若干未達だったものの、各段階利益では上振れて着地していた。ただ、下期で失速する形となり、通期では期初計画から下振れる結果となった(2025年10月10日付で下方修正)。ソーシャルサポートの大型案件の減収幅が想定を上回る見込みとなったこと、中間期に受注した家庭用ゲーム向けカスタマーサポートの大型案件の拡大が想定を下回ったことが売上高の面での主要因であり、利益面では売上減少と労務費調整の時間的なズレによって一時的に労務費率が上昇していることが背景だった。中間期進捗も相まって、結果的に下期失速でサプライズ感がやや強まってしまった印象。サイバーセキュリティ事業は、下半期で対応施策効果もあり挽回したことは一定の安心感になりそうだ。
ただ、過去最高売上高を更新したソーシャルサポートとサイバーセキュリティ事業も含めて、トップラインの伸び悩み等、複数の対処すべき経営課題が明確になった期ともいえそうだ。執行役員制度を通じて、施策を着実に実行していく方針を新たに示しており、「未解決の社会課題を解決するAI活用サービスを創出」「労働集約型ビジネスからの脱却へ」という方向性に向かって、歩みを具体的に進められるか、まずは今中間期で進捗を確認したいところ。説明会でも言及があった通り、チェンジHDとのシナジー発揮についても、ここまで当初想定よりも進捗は芳しくなかったようだ。株式市場からもこの点は不透明とみられていたポイントであるように思われ、今回担当が任命され責任が明確になったことは、加速に向けて追い風だろう。当然ながらAI開発投資は現在のような仕切り直しの局面では一定の重しとなるが、中長期的には明確に競争優位性に繋がっていくことになるため、投資継続の方針が確認できたことはポジティブ。

(同社資料より)
また、同社は2025年12月に2026年9月期から2028年9月期の3カ年を対象とした中期経営計画を発表した。
「システム・プロダクトの開発」「セキュリティ領域の成長」「M&Aによる基盤拡大」を戦略テーマとし、2028年9月期には売上高200億円、EBITDA25億円を目指す。これまでに培ってきた自社ノウハウや教師データをシステム・プロダクト化し、人手不足やセキュリティリスクに直面している国や地方自治体、企業、組織、個人などに幅広く提供していく考えだ。また、「AI×人」をさらに強化し、開発するシステム・プロダクトの高度化かつ教師データの収集やAIのチューニング、サービス開発を行う「人」の専門性の向上に取り組み、「AI×人」のプロ集団を形成する。同計画期間内に売上高に占めるプロダクト/システムの販売比率を30%、5年後には50%を目指す。サイバーセキュリティ戦略では、教育コンテンツの拡大に注力するとともに新事業の創出・収益化に取り組む。M&Aは引き続きあらゆる領域を対象に積極的に行う方針としている。
これまでの労働集約型事業モデルから「AI×人」システム新事業モデルへの転換を目指しており、今後の動向に注目したい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査等委員会設置会社 |
取締役 | 6名、うち社外3名(うち独立役員3名) |
監査等委員 | 3名、うち社外3名(うち独立役員3名) |
◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2025年12月19日)
基本的な考え方
当社は、コーポレート・ガバナンスの基本的な目的を企業価値の安定的な増大と株主重視の立場に立って経営の健全性の確保と透明性を高めることであると認識しております。そのために、財務の健全性を追求すること、タイムリーディスクロージャーに対応した開示体制を構築すること、取締役及び独立性の高い社外取締役が経営の最高意思決定機関として法令に定める重要事項の決定機能及び各取締役の業務執行に対しての監督責任を果たすことを経営の最重要方針としております。また、コーポレート・ガバナンスの効果を上げるため、内部統制システム及び管理部門の強化を推進し、徹底したコンプライアンス重視の意識の強化とその定着を全社的に推進してまいります。
また、当社は、以下の5点をコーポレート・ガバナンスの基本方針として掲げております。
・全ての株主に対して実質的な平等性を確保するとともに、株主の権利の確保と適切な権利行使に資するための環境整備を行います。
・株主をはじめとする全てのステークホルダーとの適切な協働を実践するため、ステークホルダーの権利・立場や企業倫理を尊重する企業風土の醸成に努めます。
・法令に基づく開示以外にも、株主をはじめとするステークホルダーにとって重要と判断される情報(非財務情報も含む)を、様々な手段により積極的に開示を行います。
・取締役会は、取締役の職務執行に対する独立性の高い監督体制を構築し、経営の健全性の確保と透明性の高い経営の実現に取り組みます。
・総務部を中心とするIR体制を整備し、株主や投資家との対話の場を設けます。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
【対象コード】
プライム市場向けの内容を含めた2021年6月の改訂後のコードに基づき記載しています。
【補充原則4-1-3 最高経営責任者等の後継者の計画】
取締役の選任・選定については、指名・報酬委員会の諮問により、社外取締役からの客観的な意見も踏まえて指名することで、透明性・公平性の高い手続きを行っております。
また、代表取締役は年齢的にも若いため、具体的な後継者の計画は策定しておりませんが、今後、その要否を含めて、指名・報酬委員会による検討及び取締役会における各取締役の行動・発言等の中から、将来の最高経営責任者の候補者を見極めていきたいと考えております。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則1-4 政策保有株式】
当社は、事業戦略、取引関係などを総合的に勘案し、中長期的な観点から当社グループの企業価値の向上に資することを確認したうえで上場株式を新規保有し、また、継続保有する場合は毎年判断することとしております。その議決権行使は、中長期的な視点で企業価値向上につながるか、または当社の株式保有の意義が損なわれないかを判断基準として行うこととしております。なお、現在、当社は政策保有に係る株式は保有しておりません。
【補充原則2-4-1 中核人材の登用等における多様性の確保】
当社は、中核人材の登用等に際し、人種・国籍・性別等による区別を行わず、個々の能力や実績を重視した人物本位の登用を行っております。また、当社は、管理者育成研修の実施や、昇進基準の整備、育児休暇等の社内整備を行うことで、中核人材の多様性の確保に努めております。
女性の中核人材への登用に関しましては、女性活躍推進法に基づく行動計画を作成しており、管理職に占める女性割合を30%以上とすることを目標としております。なお、2025年9月末時点の当該女性割合は28.6%となっております。
中途採用・外国人の中核人材への登用に関しましては、属性ごとに具体的な数値目標を設定しておりませんが、中長期的な企業価値の向上の観点から策定を検討してまいります。
【補充原則3-1-3 サステナビリティについての取り組み等】
当社は、サステナビリティを巡る課題については、当社が社会的責任を果たしつつ中長期的な企業価値向上を図るうえで極めて重要な経営課題だと認識しております。当社は取締役会における監督のもと、各事業部においてサステナビリティに関する具体的な施策等の推進及びリスク管理を行い、またサステナビリティに関する情報収集及びリスク・機会の評価並びに管理を行っております。具体的な取組みとしては、事業所における電気使用量及び温室効果ガス削減等の各種取り組み、階層別研修の実施や資格取得支援制度、正社員登用制度等の各種取り組みを行っており、その他の取り組み等につきましても有価証券報告書に記載の通りでございます。
【補充原則4-11-1 取締役会の構成】
当社の取締役会は、当社事業に精通した業務執行取締役と、法律、財務・税務等の専門性の素養を有する社外取締役で構成されております。また、「定款」で定める監査等委員である取締役4名以内、監査等委員以外の取締役10名以内の員数の範囲で構成され、実効性ある議論を行うのに適正な規模、また、各事業に伴う知識、経験、能力等のバランスを配慮し多様性を確保した人員で構成することを基本的な考え方としております。現在は、当社事業の各分野に精通した取締役3名に加え、専門的分野で相当程度の知見と経験を有する独立社外取締役3名の計6名で構成しております。当社の取締役の選任は、【原則3-1】(ⅳ)記載のとおりであり、株主総会招集通知参考書類に取締役のスキルマトリックスを開示しております。。
【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社では、総務部管掌役員が、IR担当部署である総務部を統括し、IR活動を行うこととしております。
株主や投資家に対しては、個別面談に加えて、経営トップによる決算説明の動画配信を半期に1回行っております。加えてこれらの資料公開をWebサイト上にて実施し、積極的に情報開示を行うこととしております。
なお、株主との対話においては、インサイダー情報の漏洩防止に留意しております。
2025年度においては、国内外の機関投資家を中心に個別面談を実施しております。
対話におけるテーマは、業績トレンド、マーケット動向、資本政策等多岐にわたり、これらの内容は適宜、経営会議等で報告するとともに今後の経営の参考にしております。。
【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】
英文開示:あり
当社は、資本コストや株価への意識は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するために重要であると認識しております。当社の資本収益性(ROE)は8.0%、PBRは1倍を上回っております。各指標の具体的な目標値を設定はしておりませんが、今後も高い収益を安定的に獲得できるよう、各指標については定期的なモニタリングを行い、更なる向上を目指して参ります。
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