ブリッジレポート:(4709)IDホールディングス 2026年3月期決算
![]() 舩越 真樹 社長 | 株式会社 IDホールディングス(4709) |
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会社情報
市場 | 東証プライム市場 |
業種 | 情報・通信 |
代表取締役社長 | 舩越 真樹 |
所在地 | 東京都千代田区五番町12-1 番町会館 |
決算月 | 3月末日 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数(自己株式を控除) | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
1,033円 | 33,982,924株 | 35,104百万円 | 20.2% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
50.00円 | 4.8% | 88.28円 | 11.7倍 | 446.89円 | 2.3倍 |
*株価は5/25終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*ROEとBPSは26年3月期実績、DPSとEPSは27年3月期会社計画。
*2026年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施。
連結業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | DPS |
2023年3月(実) | 31,101 | 2,424 | 2,504 | 1,402 | 42.27 | 22.50 |
2024年3月(実) | 32,680 | 2,769 | 2,860 | 1,777 | 53.21 | 25.00 |
2025年3月(実) | 36,274 | 3,780 | 3,862 | 2,389 | 71.27 | 35.00 |
2026年3月(実) | 39,371 | 4,128 | 4,212 | 2,907 | 85.93 | 40.00 |
2027年3月(予) | 42,000 | 4,500 | 4,550 | 3,000 | 88.28 | 50.00 |
*単位:百万円、円。
*予想は会社予想。
*当期純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益。
*2026年4月1日付で1:2の株式分割を実施。DPSとEPSは2022年3月期まで遡及して再計算。
IDホールディングスの2026年3月期決算概要と2027年3月期業績予想等についてご報告いたします。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2. 新中期経営計画「Next 50 Episode Ⅲ “JUMP!!!”」(2026年3月期~2028年3月期)
3.2026年3月期決算概要
4.2027年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 26/3期の売上高は前期比8.5%の増収、同9.2%の営業増益。売上面では、アプリケーション開発、サイバーセキュリティおよびITインフラが堅調に推移した。利益面では、従業員への還元や、人材育成・確保のための戦略的投資費用が増加したものの、売上高の増加やアプリケーション開発をはじめとした売上総利益率の改善や、のれん償却額の減少が寄与した。
- 27/3期の会社計画は、売上高が前期比6.7%増の420億円、営業利益が同9.0%増の45億円の予想。引き続き中期経営計画「Next 50 Episode Ⅲ “JUMP!!!”」のもと、戦略テーマである「高収益モデルへのシフト」と「カルチャーの革新」の2つを軸に、サービスポートフォリオ戦略、顧客接点の確立、人的資本投資戦略をはじめとした6つの重点戦略を推進する。
- 同社は、2026年4月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施した。2027年3月期の1株当たり年間配当予想は、中間配当25円、期末配当25円の年間配当50円を予定。これは株式分割前の水準に換算すると、実質的に中間配当は15円、期末配当は5円の合計20円の増配となる。予想総還元性向は56.6%となる。
- 同社は中期経営計画においてAIをコントロールする人材の育成を掲げている。将来的にAIと人が共存する労働領域が拡大し、AX化(AIトランスフォーメーション)が進行する中、単純作業はAIに代替され、顧客との調整をはじめとした知的判断力を要する作業のみが残ると同社では考えている。同社はAIによる環境変化を「追い風」にし成長ドライバーとするためには「技術力」、「人間力」、「組織力」の成長が不可欠であり、またこれらを促すための積極的な投資が必要と考えている。AIをコントロールする人材の育成が今後同社へどのようなビジネスチャンスをもたらすのか注目される。
1.会社概要
金融向けITアウトソーシングに強みを持つ独立系の情報サービス会社である株式会社インフォメーション・ディベロプメントを中核とする持株会社。システムマネジメントとソフトウェア開発・保守を二本柱とし、コンサルティングからソフトウェア開発、システムマネジメント等トータルのサービスを提供しており、好不況の波の大きいIT業界にあって、相対的に業績の変動が小さく、高配当を継続している。尚、2013年12月17日、JASDAQから東証2部に市場変更。2014年9月8日、東証1部に上場。2022年4月、市場再編に伴い東証プライム市場に移行。
【経営理念】-IDentity
◎誇り /Pride
私たちは、損か得かで判断するのではなく、正しいか正しくないかで行動します。
◎ミッション /Mission
私たちはWaku-Wakuする未来創りに参加します。
◎三命 /Attributes
卓越した技術(High Technology)はIDグループの生命
高品質のサービス(High Quality)はIDグループの使命
未知への挑戦(Challenge)はIDグループの命題
◎3つの組織 /Organization
「前向きな姿勢」を怠らない組織
「明日の組織造り」を怠らない組織
「人間力作り」を怠らない組織【IDグループのビジネスドメイン】
同社グループは、金融機関、公共(エネルギー)、製造、運輸/交通、情報通信、医療など、日々の暮らしに欠かせない機関・サービスの裏側にあるITをつくり、まもっている。
【IDグループの立ち位置と強み】
IDグループの強みは、国内最大級のシステムマネジメント技術者集団1,600名以上を抱えることである。また、金融向けの売上高が4割超を占め、金融を中心とした多分野にわたる顧客と業界ノウハウを有することである。さらに、収益性の高いDX関連ビジネスに注力し、メタバース、AI、クラウドを活用した高度運用サービスを提供できることである。加えて、直接契約(6割超)と大手SIer経由の案件のバランスにより、安定した収益基盤を確保している。
【IDグループのサービスの特徴】
◎50年の経験、大手優良企業を中心に実績は1,000社以上
同社は、1969年の会社設立以来、大手金融機関や社会インフラ企業を中心に1,000社以上の企業との取引実績がある。コンサルティングからシステム基盤、ソフトウェア開発、システムマネジメント、クラウド、サイバーセキュリティまでワンストップで提供し、顧客の様々な要望に最適な提案で対応することで、顧客より高い評価を得ている。
◎国内最大級の運営管理プロフェッショナル集団
同社は、顧客の業務に精通した1,600名以上ものシステムマネジメントエンジニアを有し、ソフトウェア開発やシステム基盤との連携を図り、トータルサービスの提供によって、安定したシステム運営と業務効率化を実現している。また、マルチクラウドソリューションサービスを提供し、近年需要の高い顧客のクラウドシフトを強力にバックアップしている。
◎ユーザー視点でシステム開発
同社は、長年蓄積した顧客のシステムに関する業務知識やノウハウを持ち、金融機関やエネルギーなど幅広い分野への開発実績がある。また、顧客のニーズに柔軟かつスピーディーに対応できるアジャイル開発も行っており、従来型の手法と使い分けることで、コスト効率の高い、安定したシステムを構築している。
◎DXへの対応
RPA・AIなどのデジタル技術を活用した既存ビジネスの変革(DX)に対するニーズが高まっている。同社はこうした先端技術の調査・研究を行う部門や、DXを推進する専門組織を設置し、顧客の業務変革に貢献する付加価値の高いサービスを提供している。
◎世界各国でグローバルな事業をサポート
2004年に中国武漢市に現地法人を設立して以来、東南アジア、北米、欧州に拠点を設立。海外ネットワークを通じ、時差を利用した24時間/365日体制で、グローバルなサービスをスピーディーに提供している。
◎コンプライアンスの徹底
同社は、個人情報保護や品質管理、情報セキュリティに関するマネジメント体制を確立するとともに、コンプライアンスハンドブックを全グループ社員の行動規範として活用。経営理念のIDentityにも掲げている通り、つねに「私たちは損か得かで判断するのではなく、正しいか正しくないかで行動する」ことを徹底している。
【サービス別の業績動向】
売上高は、システムマネジメント、アプリケーション開発、ITインフラ、サイバーセキュリティ、コンサルティング・教育、その他に分かれ、サービス別の概要と売上構成比は次のとおり。
同社は、26/3期第1四半期より、従来のサービス名「ソフトウェア開発」を「アプリケーション開発」に変更、従来のサービス名「サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育」を「サイバーセキュリティ」、「コンサルティング・教育」に分割して記載している。なお、これらの変更は事業内容の変更をともなうものではない。

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
システムマネジメント(26/3期売上構成比39.4%)
金融機関、運輸、エネルギーをはじめとする幅広い分野の顧客のシステムを24時間/365日運用・監視し、社会の重要インフラを支える業務である。また、オフショアを活用した高品質・廉価な一括受託にも対応している。他社にとって参入障壁が高く、ストックビジネスとして確実に収益を確保できる事業であり、今後データセンター市場の規模拡大により同事業の需要が増加する見込みである。従来型運用から高度運用への移行を進め、新たなシステムマネジメントを創出し、高付加価値化を推進する。
アプリケーション開発(26/3期売上構成比35.0%)
金融機関、運輸、エネルギーをはじめとする幅広い分野の顧客へ総合システムビルダーとして多くのソフトウェア開発実績を築いている。グループ内にコンサルティング、オフショア(海外子会社に委託開発)、ニアショア(地方事業所での開発)体制を構築しており、多数の高度な専門技術者が高品質なサービスを実現。国内外の有力先進企業と提携し、顧客の既存ビジネスの強化・拡大、新たな領域への挑戦を支援しており、常に技術・品質の向上に努めている。
ITインフラ(26/3期売上構成比11.9%)
豊富な運用経験を活かし、運用しやすいITプラットフォームを構築し、顧客の業務に必要なITインフラを提供している。AWSやAzureなどの大手ITプラットフォームを活用し、クラウド環境の構築や移行を支援しているほか、システム運用部門をはじめ、ソフトウェア開発部門やセキュリティ部門と連携することで、低コストで信頼性の高いシステム稼働環境の設計・構築をしている。
サイバーセキュリティ(26/3期売上構成比8.0%)
海外の大手ベンダーと提携し、各種セキュリティ製品の提供からセキュリティ環境の構築・導入・運用・サポートまで一貫したサービスを提供。同社は、様々なベンダーの製品を取り扱っており、特定ベンダーにこだわることなく、顧客の環境、要望、状況に応じて、最適な製品を柔軟に組み合わせ、提案している。
コンサルティング・教育(26/3期売上構成比4.2%)
上記の業務に付随した各種のコンサルティングや教育・研修を実施している。
その他(26/3期売上構成比1.5%)
システムマネジメント、アプリケーション開発、サイバーセキュリティ環境の構築などに付随した製品販売などがある。
26/3期の売上高は393億71百万円であった。一部顧客における案件の終了等があったコンサルティング・教育の売上高が前期を下回ったものの、それ以外の全てのサービスで売上高が前期を上回った。システムマネジメントは、金融関連顧客や大手ITベンダーを主とした受注拡大や新規案件の開始があった。価格適正化に向けた単価の見直しも寄与した一方、一部案件の縮小やサービス区分の変更がマイナスに影響した。アプリケーション開発は、大手ITベンダーとの連携による新規顧客の獲得、既存顧客における新規案件の開始、金融、製造、エネルギー関連顧客における受注拡大などが寄与した。ITインフラは、エネルギー、金融、製造関連顧客における受注が拡大した他、大手ITベンダーとの連携による取引の拡大が寄与した。サイバーセキュリティは、サイバー攻撃対策の需要増にともなう、官公庁関連をはじめとした複数顧客における受注の拡大が寄与した。
また、システムマネジメントとアプリケーション開発からなる岩盤領域の売上高は292億90百万円となり前期比6.2%増加し、ITインフラ、サイバーセキュリティ、コンサルティング・教育からなる注力領域の売上高は95億2百万円となり同15.6%増加した。


*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
26/3期の売上総利益率は、25.7%となり前期と比べ1.8ポイントの上昇となった。価格適正化に向けた単価の見直しや不採算案件の抑制等が寄与し、アプリケーション開発の売上総利益率が大幅に上昇した他、サイバーセキュリティの売上総利益率も大幅に上昇した。
戦略グループ別の売上高構成では、直接契約(6割超)と大手SIer経由の案件のバランスにより、安定した収益基盤を確保している。
26/3期において、戦略グループ別では、IBMグループ、主要顧客(金融)、その他の売上高が前期比2桁増となった。IBMグループでは、エネルギー、放送関連顧客におけるアプリケーション開発案件の受注拡大、運輸関連顧客における新規大型案件の受注等、エネルギー関連顧客におけるITインフラ案件の受注拡大、官公庁関連顧客におけるサイバーセキュリティ案件の受注拡大が寄与した。主要顧客(金融)では、保険関連顧客におけるアプリケーション開発、ITインフラの新規大型案件、クラウド基盤の移行・構築、脆弱性対応案件の受注拡大、価格適正化に向けた単価の見直しが寄与した。一方、システムマネジメントにおける案件の撤退等が影響した戦略パートナーでは、売上高が前期比を下回った。
なお、IBMグループが売上高の12.0%を占めるが、IBMグループの内訳は、MIデジタルサービス(運用系)が5.0%、日本IBM(開発系)が同7.0%となった。

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
大手優良企業を中心に1,000社以上の実績があり、エンドユーザー業種別では特に金融とエネルギー・官公庁向けの売上高が6割以上を占めている。中でも金融向けの売上高が4割超を占める。26/3期におけるエンドユーザー業種別売上高は、エネルギー・官公庁が前期比11.9%増、製造が同15.7%増、情報・通信が同15.2%増と伸びが大きくなった。

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
*その他は、「メディア」、「ヘルスケア」、「建設・不動産」、「卸売・小売業・飲食店」等
【グローバル展開】
同社グループは2004年に中国(武漢市)に現地法人を設立して以来、シンガポール、アメリカに子会社を設立。また、欧州における業務の拡大を見据え、2024年4月、オランダに子会社を設立した。
これらの拠点及び海外アライアンスパートナーとの協業により、中国(武漢、無錫、上海)、シンガポール、アメリカ、イギリス、オランダにおいて、ITサービスを提供している。今後も日系企業の海外拠点向けビジネス獲得を中心として、事業拡大を目指す。

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
【情報通信業の動向】

(総務省統計局「サービス産業動態統計調査」を基に株式会社インベストメントブリッジ作成)
総務省統計局発表の「サービス産業動態統計調査」(5月25日発表)によると、3月の情報サービス業の月間売上高は前年同月比6.3%増となった。48か月連続でプラス成長が継続しており、同社を取り巻く業界環境は引き続き堅調に推移しているものと思われる。
2.新中期経営計画「Next 50 Episode Ⅲ “JUMP!!!”」(2026年3月期~2028年3月期)
◎中期ビジョン Episode Ⅱの延長ではなく、非連続な成長へ
◆収益力/成長性の高いビジネスモデルへJUMP!!!⇒「サービスポートフォリオ」
◆IT業界をサバイブする高プレゼンス組織へJUMP!!!⇒「顧客接点の確立」
◆プロアクティブな「攻め」のカルチャーへJUMP!!!⇒「人的資本投資」
中長期ビジョンの実現に向けて、Next 50 Episode Ⅲ “JUMP!!!”では、筋肉質な「高収益モデルへのシフト」と下支えとなる「カルチャーの革新」の2つのテーマを設定した。創立60周年となる30/3期において高収益・高評価(筋肉質なID Group)の実現を目指す。さらに、「高収益モデルへのシフト」と「カルチャーの革新」の2つのテーマの実現に向け、6つの重点戦略を推進する。
◎Next 50 Episode Ⅲ “JUMP!!!”全体像
「サービスポートフォリオ」、「顧客接点の確立」、「人的資本投資」をはじめとする6つの重点戦略を推進する。

(同社資料より)
①同社グループを取り巻く環境
同社は、将来的にAIと人が共存する労働領域が拡大し、AX化(AIトランスフォーメーション)が進行し、単純作業はAIに代替され、顧客との調整をはじめとした知的判断力を要する作業のみが残ると予想している。

(同社資料より)
<AIに代替されない領域>
コンサルティング・教育 | •AIと顧客事業の知見に基づく、顧客の経営意思決定支援 •AIを管理する新たな業務(AI監査等) |
サイバーセキュリティ | •AIにより高度化・自動化されたセキュリティ攻撃に対抗するための、AIツールを活用した検知・分析・防御体制の構築と監督 |
ITインフラ | •ITインフラ環境へのAI導入や、AX化を見据えた更改案件 •AIガバナンス設計や非機能要件の組み込み |
アプリケーション開発 | •AIを作業者(レイバー)として管理するPMO業務 ・コードを作成するAIエージェントを指揮し、品質と倫理を保証する監督役 |
システムマネジメント | ・金融系基幹システムをはじめとした、大規模かつミッションクリティカルなシステムの運用 ・複雑なシステムのAI・自動化対応 ・人材不足による需要増が見込まれる、シェアードなリモート運用 |
<AIに代替される領域>
•単純なプログラミング作業、テスト作業
•運用の一次対応(監視、ヘルプデスク等)
②AI共創時代に求められる戦略(3つの力)
同社は、AIによる環境変化を「追い風」と捉え、真に成長ドライバーとするには「技術力」、「人間力」、「組織力」の成長とそれを促す投資が不可欠と判断しており、今後AIをコントロールする人材の育成に注力する。
技術力 (AI Skills) | •AI共創の時代において、AI「活用」から「共創」「統括」へアップスキルするための技術力・サービス提供力を養う(Dify研修の拡充、ISO42001取得に向けた取組み) •コンテナ技術(OpenShift等)や自動化ソリューション(ServiceNow等)、各種AIプラットフォーム(IBM watsonx/Bob、Hitachi iQ、LITRON(NTTデータ)等)を高度に活用できる技術者の育成を推進 |
人間力 (Liberal Arts) | •顧客とともにAIをコントロールしていくための、深い思考力と想像力の獲得 (Udemy Businessのアカウントを全社員に付与) |
組織力 (Organizational Skills) | •失敗を恐れず、許容する企業風土の醸成 (ISO56001(イノベーション・マネジメントシステムの国際規格)を世界で12社目、国内で6社目として取得) •働き方の変化 |
③サービスポートフォリオ戦略
<全体像>
注力領域における事業規模と、岩盤領域における収益性の両軸で “JUMP!!!”を目指す。

(同社資料より)
<数値目標>
| 25/3期実績 | 26/3期目標 | 26/3期実績 | 28/3期目標 |
連結売上高 | 362 | 385 | 393 | 440 |
注力領域売上高 | 82 | 87 | 95 | 157 |
岩盤領域売上高 | 275 | 298 | 292 | 283 |
連結売上総利益率 | 23.9% | 26.2% | 25.7% | 28.0% |
注力領域売上総利益率 | 29.7% | 28.5% | 28.9% | 30.6% |
岩盤領域売上総利益率 | 22.2% | 25.1% | 25.2% | 26.5% |
岩盤領域から注力領域への人材シフト | - | - | 54名 | 26/3期~28/3期の 3年間で225名 |
アプリケーション開発 からの人材シフト | - | 100名 | ||
システムマネジメント からの人材シフト | - | 125名 | ||
*単位:億円
人材シフト | 教育研修費 | ビジネスパートナー戦略強化 |
岩盤領域から注力領域への人材シフトを推進 26/3期実績:54名(累計) (年間目標:+4名) | アップスキルを含む教育研修の拡充
26/3期実績:3.8億円(累計) (年間目標に対する進捗率:88.7%) | コアパートナー認定強化と相助型の 人材育成で高付加価値人材を確保 (コアパートナー数) ・25/3期500名、26/3期972名、 28/3期目標2,000名 |
<R&D戦略>
既存ビジネスの進化や新規サービスの創出に向けた研究開発・実用化に注力することにより、競争力の向上を図る。
AI | VR | 特許 |
お客さまの業務領域でのAI活用推進 ・コンサルティングにおけるAI活用推進 ・AIを前提とした開発プロセスの整備 | ID-VROPの展開拡大 ・次世代システム運用の浸透 ・顧客環境でのPoCが完了、 本格商用化やAI機能の実装(Ver5)に向けた取組みを進行 | 特許技術の活用拡大に向けた研究 ・特にブロックチェーン、AIに関する 特許を6件取得(ブロックチェーンを利用した診療情報の共有管理ソリューションに関する特許等) ・産学連携で技術研究推進 |
④人的資本投資戦略
社員への還元や教育研修費、求人費等を含む、人的資本投資を戦略的に強化し、3年間で60億円を投資。
顧客から選ばれ、リスペクトされる企業を目指して、IDグループの歴史から哲学(IDentity)を学ぶ。
キャリア啓発 | 企業文化 | 健康経営 |
社員の「なりたい」「やりたい」を かなえる会社 ・社員の長期キャリアビジョンに沿った機会付与 ・キャリアビジョンを実現する創造力と 変革力強化の支援 ・実力主義に基づいた人事評価制度とアップスキルにリンクする処遇 | 自律思考の社員集団 ・「期待以上」の成果を発揮するために繰り返し考え続ける文化 ・多様性や人権を尊重する「心理的 安全性」の高い組織 ・仕事へのプライドを持ち、互いへの リスペクトがあふれる組織 ・イノベーションマネジメントの強化(ISO56001の取得) | 社員のウェルビーイングを重視 ・時間外労働の削減、有給休暇の取得率向上 ・職場を問わず、活き活きと働くための健康サポート ・個々のライフイベントに応じて柔軟に働ける選択肢を拡充
|
⑤M&A戦略
「人材」、「技術/ライセンス」、「顧客」の拡充を目的としたM&Aおよび資本業務提携によるJUMP!!!
M&Aと資本業務提携のターゲットは、事業売上高が50億円以上で、人材、技術・ライセンス、顧客基盤が補完できる案件とする。人材面では、コンサルタントやプロジェクトマネージャーなど上流工程人材が確保できる企業をターゲットとする。技術・ライセンスでは、サイバーセキュリティ、ITインフラ領域など注力領域に関する技術を確保できる企業をターゲットとする。加えて、顧客面では、既存業界の新規顧客や新規の業界顧客など優良顧客が開拓できる企業をターゲットとする。
⑥グローバル戦略
日本品質のITサービスをもって顧客を国内外で支える真のIT戦略パートナーを目指す。
日系企業の海外拠点向けビジネス獲得を中心とし、25/3期に14.5億円の海外売上高を、28/3期に20億円まで拡大する。
Vision | 日系企業の海外拠点向けビジネス獲得を中心として、事業拡大を目指す | |
Target | マーケティング | デリバリー |
金融機関をはじめとした主要顧客の海外展開をサポート | 海外の現地案件を国内グループ会社で受託 | |
グローバルデリバリーセンターの確立 | ||
Plan | 技術・リソースの共有 | 逆オフショア体制の構築 |
市場動向や先進ソリューションの情報収集による、営業およびカスタマー・マネジメント | ||
⑦資本コストと株価を意識した経営
<キャッシュフロー・アロケーション>
収益力の向上および財務レバレッジの活用により、原資を確保し、戦略的な配分を実行することで、企業価値の向上を図る。
キャッシュイン | |
調整営業CF 〔営業CF+成長投資(費用計上分)〕 160億円 | ◆持続的な収益力の向上 注力事業へのシフト、EBITDA150億円 |
借入金+10億円~ | ◆財務健全性維持範囲でのレバレッジの活用 |
キャッシュアウト | |
成長投資 130億円~ | ◆人的資本投資(60億円) 人材の採用、教育研修、アップスキル、平均年収の向上など ◆経営改革投資(10億円) 生産性の向上、収益力の可視化のための社内ITシステム投資 ◆研究開発投資(10億円) AI、VR、ブロックチェーンなど先端技術研究への注力 ◆M&A/アライアンス投資 ITインフラ、サイバーセキュリティなど注力領域とシナジーのある会社の買収 |
株主還元 40億円~ | ■配当 安定した継続的な配当を基本、総還元性向50%~60%以上を目標 ■自己株式の取得 機動的に実施 |
<ROEとROIC>
過去10年間にわたりROE(自己資本利益率)とROIC(投下資本利益率)が改善傾向にある。また、ROEは、株主資本コスト(7.2%~7.7%)を上回る水準にあり、ROICは、WACC(7.0%~7.4%)を上回る水準にある。今後のM&Aは、ROICの向上に資するものを目指す。今後も持続的に株主資本コストを上回るROE、WACC(資本コスト)を上回るROICの実現を目指す。

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
*投下資本利益率(ROIC)=(営業利益-法人税等)÷(純資産+有利子負債)×100
*株主資本コスト、WACC(資本コスト)参考値(みずほ証券(株)、みずほ信託銀行(株)算出)
・株主資本コスト(7.2~7.7%)=リスクフリーレート(2.49~2.52%程度)+β(0.61~0.88)×市場リスクプレミアム(6.0~7.62%)
・WACC=有利子負債÷(時価総額+有利子負債)×(1-実効税率)×負債コスト+時価総額÷(時価総額+有利子負債)×株主資本コスト
時価総額:317億円(2026年3月31日時点、自己株式控除後)、負債コスト:0.88%~1.0%、実効税率:30%~31.1%
3.2026年3月期決算概要
(1)連結業績
| 25/3期 | 構成比 | 26/3期 | 構成比 | 前期比 |
売上高 | 36,274 | 100.0% | 39,371 | 100.0% | +8.5% |
売上総利益 | 8,658 | 23.9% | 10,117 | 25.7% | +16.9% |
販管費 | 4,877 | 13.4% | 5,989 | 15.2% | +22.8% |
営業利益 | 3,780 | 10.4% | 4,128 | 10.5% | +9.2% |
経常利益 | 3,862 | 10.6% | 4,212 | 10.7% | +9.1% |
当期純利益 | 2,389 | 6.6% | 2,907 | 7.4% | +21.7% |
*単位:百万円。当期純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益。
前期比8.5%の増収、同9.2%の営業増益
26/3期の売上高は前期比8.5%増の393億71百万円、営業利益は同9.2%増の41億28百万円。新規案件の獲得や価格適正化に向けた取り組みが奏功し、5期連続の増収増益を達成し、売上総利益は、初の100億円を突破した。
同社グループが属する情報サービス業界では、社会全体のデジタル化にともないIT投資ニーズが引き続き堅調に推移。特に、企業の生産性向上や経営課題の解決を目指したAI技術やクラウドソリューションの需要から、社内IT環境の整備やコンサルティングのニーズも拡大している。また、企業のサプライチェーンを狙ったサイバー攻撃が増加しており、事業継続を目的としたセキュリティ対策やITガバナンスに関る投資意欲も高まっている。
こうした環境下、同社グループは収益性の高い高度運用・ITインフラ領域への経営資源の戦略的投入や受注単価の見直しなどを実施した。
売上面では、アプリケーション開発、サイバーセキュリティおよびITインフラが堅調に推移した。
利益面では、従業員への還元や、人材育成・確保のための戦略的投資費用が増加したものの、売上高の増加やアプリケーション開発をはじめとした売上総利益率の改善、のれん償却額の減少が寄与した。売上総利益率は25.7%と前期比1.8ポイント上昇した。販管費比率は、従業員への還元や、人材育成・確保のための戦略的投資の増加が影響し15.2%と同1.8ポイント上昇し、営業利益率は10.5%と同0.1ポイント上昇した。また、経常利益は同9.1%増の42億12百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同21.7%増の29億7百万円となった。営業外損益は、営業外収益における補助金収入70百万円(前年同期15百万円)、為替差益20百万円(前年同期はなし)や営業外費用における持分法による投資損失72百万円(同11百万円)などが増減額の大きなものとなった。特別損益は、事業譲渡益35百万円、投資有価証券評価損19百万円が大きなものとなった。EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)は、前期比2.9%増の45億18百万円となった。
同社は、26/3期第1四半期より、従来のサービス名「ソフトウェア開発」を「アプリケーション開発」に変更、従来のサービス名「サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育」を「サイバーセキュリティ」、「コンサルティング・教育」に分割して記載している。なお、これらの変更は事業内容の変更をともなうものではない。

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
サービスごとの業績動向
| 25/3期 | 26/3期 | 前期比 | ||
増減額 | 増減率 | ||||
システムマネジメント | 売上高 | 15,102 | 15,509 | +407 | +2.7% |
売上総利益 | 3,608 | 3,663 | +54 | +1.5% | |
売上総利益率 | 23.9% | 23.6% | -0.3P | - | |
アプリケーション 開発 | 売上高 | 12,481 | 13,781 | +1,299 | +10.4% |
売上総利益 | 2,517 | 3,718 | +1,201 | +47.7% | |
売上総利益率 | 20.2% | 27.0% | +6.8P | - | |
ITインフラ | 売上高 | 4,224 | 4,699 | +475 | +11.2% |
売上総利益 | 1,279 | 1,253 | -26 | -2.1% | |
売上総利益率 | 30.3% | 26.7% | -3.6P | - | |
サイバーセキュリティ | 売上高 | 2,198 | 3,143 | +944 | +43.0% |
売上総利益 | 631 | 944 | +312 | +49.5% | |
売上総利益率 | 28.7% | 30.0% | +1.3P | - | |
コンサルティング・教育 | 売上高 | 1,796 | 1,659 | -137 | -7.6% |
売上総利益 | 639 | 551 | -87 | -13.7% | |
売上総利益率 | 35.6% | 33.3% | -2.3P | - | |
その他 | 売上高 | 470 | 577 | +106 | +22.7% |
売上総利益 | -18 | -14 | +4 | - | |
売上総利益率 | - | - | - | - | |
合計 | 売上高 | 36,274 | 39,371 | +3,096 | +8.5% |
売上総利益 | 8,658 | 10,117 | +1,459 | +16.9% | |
売上総利益率 | 23.9% | 25.7% | +1.8P | - | |
*単位:百万円

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
システムマネジメントの売上高は、前期比2.7%増の155億9百万円となった。一部案件の縮小やサービス区分の変更による減収があったものの、金融関連顧客や大手ITベンダーを主とした受注拡大および新規案件の開始、価格適正化に向けた単価の見直しなどが寄与した。売上総利益は、同1.5%増の36億63百万円、売上総利益率は同0.3ポイント低下の23.6%となった。
アプリケーション開発の売上高は、前期比10.4%増の137億81百万円となった。大手ITベンダーとの連携による新規顧客の獲得や既存顧客における新規案件の開始、金融、製造、エネルギー関連顧客における受注拡大などが寄与した。売上総利益は、同47.7%増の37億18百万円、売上総利益率は同6.8ポイント上昇の27.0%となった。
ITインフラの売上高は、前期比11.2%増の46億99百万円となった。金融、エネルギー、製造関連顧客における受注拡大や、大手ITベンダーとの連携による取引の拡大などが寄与した。売上総利益は、同2.1%減の12億53百万円、売上総利益率は同3.6ポイント低下の26.7%となった。売上総利益率の低下は、事業規模拡大のため、システムマネジメント部門、アプリケーション開発部門からの人員受け入れを進めているため。売上・利益への転嫁に時間を要しているものの、中期経営計画の施策の実行が反映されている。
サイバーセキュリティの売上高は、前期比43.0%増の31億43百万円となった。サイバー攻撃対策の需要増にともない、官公庁関連をはじめとした複数顧客における受注拡大が寄与した。売上総利益は、同49.5%増の9億44百万円、売上総利益率は同1.3ポイント上昇の30.0%となった。
コンサルティング・教育の売上高は、前期比7.6%減の16億59百万円となった。一部顧客における案件の終了などが影響した。売上総利益は、同13.7%減の5億51百万円、売上総利益率は同2.3ポイント低下の33.3%となった。
その他の売上高は、前期比22.7%増の5億77百万円となった。エネルギー関連顧客における受注拡大などが寄与した。売上総利益は、同4百万円改善の14百万円の損失となった。
営業利益の増減要因


*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。費用項目の▲は費用の増加を示す。
第4四半期(1-3月)の業績推移

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
26/3期第4四半期(1-3月)は、前年同期比で増収・営業増益となった。前四半期(10-12月)との比較でも増収・営業増益となった。
(2)サービス別受注残高の状況
| 2025年3月末 | 2026年3月末 | 増減額 | 増減率 |
システムマネジメント | 4,985 | 4,839 | -146 | -2.9% |
アプリケーション開発 | 2,733 | 2,645 | -88 | -3.2% |
ITインフラ | 1,022 | 1,375 | +353 | +34.5% |
サイバーセキュリティ | 2,153 | 2,010 | -143 | -6.6% |
コンサルティング・教育 | 239 | 186 | -53 | -22.2% |
その他 | 154 | 104 | -50 | -32.5% |
合計 | 11,288 | 11,161 | -127 | -1.1% |
※単位:百万円
2026年3月末の受注残高は、前期末比で1.1%の減少となった。ITインフラで受注残高が増加したものの他のサービス分野は全て減少した。受注残高は、前期末比で微減となったものの高水準を維持している。
(3)経営施策の取組み状況
同社グループは、2026年3月期を初年度とする3か年の中期経営計画「Next 50 Episode Ⅲ “JUMP!!! ”」を策定し、戦略テーマとして「高収益モデルへのシフト」と「カルチャーの革新」の2つを軸に、サービスポートフォリオ戦略、顧客接点の確立、人的資本投資戦略をはじめとした6つの重点戦略を推進している。
サービスポートフォリオ戦略では、岩盤事業領域(注1)の収益性改善と、注力事業領域(注2)の事業規模拡大という二軸での飛躍的成長を掲げている。26/3期は、岩盤事業領域のうちアプリケーション開発において価格適正化や、事業現場単位での利益改善に向けた見直しを実施した結果、大幅な収益性の改善を実現した。注力事業領域においては、昨今の市場需要を的確にとらえたサイバーセキュリティ事業の躍進により、売上規模が当初目標を大きく超過達成した。中期経営計画1年目の進捗が順調に推移していることと、今後の市場動向を踏まえて、27/3期の業績予想を当初の計画目標を上回る水準に設定した。また、アップスキルを推進した結果、3か年での目標225名のうち、54名の注力領域への技術者シフトを達成した。人的資本投資戦略について、3年間で60億円の投資を目標に掲げている。26/3期は17億円の投資実績を達成し、施策としては、自律思考の社員集団を育てるべくグループ全従業員に向けたオンライン動画学習サービス「Udemy Business」の開始や、心理的安全性の高い組織を目指したメンター制度の導入など、積極的な人材育成や社員エンゲージメントに向けた取組みを実施した。
ほかにも顧客接点の確立やグローバル戦略など、当初策定した項目についても引き続き推進していく。
(注1)岩盤事業領域:システムマネジメント、アプリケーション開発
(注2)注力事業領域:ITインフラ、サイバーセキュリティ、コンサルティング・教育
(4)研究開発活動
26/3期の同社グループ全体の研究開発活動の金額は2億11百万円となった。同社グループでは、最先端技術を活用した新たなビジネス展開を目的とし、積極的に研究開発に取り組んでいる。その結果として、26/3期では組織によるイノベーションマネジメントシステムの国際規格であるISO56001について、世界で12社目、国内企業で6社目となる認定取得を達成した。
おもな取組みとして、AI技術の研究を積極的に進めている。特に、AIエージェントの調査・研究に注力しているほか、システム開発におけるAIの利用を前提とした開発標準の検討を完了し、実案件での活用に向けて準備を進めている。こうした知見を活かし、AI初心者でも業務に役立つスキルを短期間で学べるDifyの研修や、AIOps(注1)の導入支援、JUAS(注2)と連携したAIエージェント講座などの新しい研修・サービスの提供を開始した。AIマネジメントシステムの国際規格であるISO42001の取得に向けた取組みも引き続き進める。
さらに、同社の主力事業であるシステムマネジメントと先端技術を組み合わせた、次世代システム運用の構築を目指している。なかでも、同社グループが開発した「バーチャルオペレーションセンター(ID-VROP)」について、顧客環境でのPoCが完了し、27/3期での本格的商用化に向けて取り組んでいる。また同社は、「次世代システム運用」の実現に向けて40社以上の企業が参画するコンソーシアムにも参加している。くわえて、同社が保有・取得を目指す特許技術の活用について、逐次学習AIアーキテクチャの研究開発を推進した。対話AIやロボティクス等への応用を視野に、ブロックチェーン技術との融合実装および検証も進めている。このほか、米国ベンチャーファンドへの出資をつうじて、先端技術に関する情報収集の強化に努めている。
今後も、同社グループの技術力を強化し、さらなるイノベーションの創出を促進する。
(注1)AIOps:AIを活用してシステム運用業務を自動化・効率化する手法
(注2)JUAS:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会
(5)財政状態及びキャッシュ・フロー
財政状態
| 25年3月 | 26年3月 |
| 25年3月 | 26年3月 |
現預金 | 5,683 | 6,520 | 仕入債務 | 2,051 | 2,411 |
売上債権 | 7,877 | 9,098 | 短期有利子負債 | 1,950 | 1,000 |
未収入金 | 28 | 28 | 賞与・役員賞与引当金 | 1,487 | 2,080 |
流動資産 | 14,396 | 16,410 | 長期有利子負債 | - | - |
有形固定資産 | 1,463 | 1,440 | 負債 | 8,874 | 8,739 |
無形固定資産 | 564 | 338 | 純資産 | 13,615 | 15,253 |
投資その他 | 6,066 | 5,803 | 負債・純資産合計 | 22,490 | 23,992 |
固定資産 | 8,094 | 7,582 | 有利子負債合計 | 1,950 | 1,000 |
*単位:百万円
売上債権=受取手形+売掛金+契約資産、仕入債務=買掛金+契約負債。

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
2026年3月末の総資産は前期末比15億2百万円増加の239億92百万円。資産面では、現預金、売掛金などが主な増加要因となり、投資有価証券、のれんなどが主な減少要因となった。負債・純資産面では、賞与引当金、契約負債、親会社株主に帰属する当期純利益による増加、利益剰余金、為替換算調整勘定などが主な増加要因となり、短期借入金、未払法人税等などが主な減少要因となった。有利子負債は、前期末比9億50百万円の減少となった。自己資本比率は63.3%と前期末比3.0ポイント上昇した。
キャッシュ・フロー
| 25/3期 | 26/3期 | 前期比 | |
営業キャッシュ・フロー | 3,557 | 3,060 | -496 | -14.0% |
投資キャッシュ・フロー | -2,279 | -271 | 2,008 | - |
フリー・キャッシュ・フロー | 1,278 | 2,789 | 1,511 | +118.2% |
財務キャッシュ・フロー | -1,509 | -2,328 | -819 | - |
現金及び現金同等物の期末残高 | 5,432 | 6,046 | 613 | +11.3% |
*単位:百万円

*単位:百万円
売上債権の増加、法人税等の支払額の増加などにより営業CFのプラスが縮小したものの、投資有価証券の取得による支出が減少したことなどにより投資CFのマイナスが縮小し、フリーCFのプラスが拡大した。その他、短期借入金が減少し、配当金の支払額が増加し、財務CFのマイナスが拡大した。以上により、26/3末のキャッシュポジションは、前期比11.3%増加した。
(6)株価収益率(PER)の推移
26/3期のPER実績は、アンソロピックショック等にともなう株価下落の影響により一時的に低下した。しかし、決算発表後の株価上昇を受け、足元では過去平均※と同程度の水準まで回復している。

(同社資料より)
4.2027年3月期業績予想
(1)連結業績
| 26/3期 実績 | 構成比 | 27/3期 会社計画 | 構成比 | 前期比 |
売上高 | 39,371 | 100.0% | 42,000 | 100.0% | +6.7% |
営業利益 | 4,128 | 10.5% | 4,500 | 10.7% | +9.0% |
経常利益 | 4,212 | 10.7% | 4,550 | 10.8% | +8.0% |
当期純利益 | 2,907 | 7.4% | 3,000 | 7.1% | +3.2% |
*単位:百万円
*当期純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益
売上高420億円、営業利益45億円の計画
27/3期の会社計画は、売上高が前期比6.7%増の420億円、営業利益が同9.0%増の45億円の予想。
同社グループが属する情報サービス業界は、社会全体のデジタル化が進むなかで、IT投資ニーズが引き続き堅調に推移している。特に、企業の生産性向上や経営課題の解決において、AI技術やクラウドソリューションの活用が定着しつつあり、これに伴い、社内IT環境の整備やAI導入に関するコンサルティングのニーズもますます増加している。また、企業のサプライチェーンを狙ったサイバー攻撃が増加しており、事業継続を目的としたセキュリティ対策やITガバナンスに関する投資意欲も高まっている。こうした状況下、同社グループは、引き続き中期経営計画「Next 50 Episode Ⅲ “JUMP!!!”」のもと、戦略テーマである「高収益モデルへのシフト」と「カルチャーの革新」の2つを軸に、サービスポートフォリオ戦略、顧客接点の確立、人的資本投資戦略をはじめとした6つの重点戦略を推進する。同社の事業を担う「人材」の価値をこれまで以上に高めるとともに、社会に急速に浸透してきているAI技術を取り入れ、収益力・成長性の高いビジネスモデルへの変革を図る。激動のIT業界をサバイブすべく、「筋肉質なIDグループ」の実現に向けて邁進する。
EBITDAは、前期比7.3%増の48億50百万円を予定している。売上高営業利益率は、前期比0.2ポイント上昇の10.7%の計画。
同社は、2026年4月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施した。2027年3月期の1株当たり年間配当予想は、中間配当25円、期末配当25円の年間配当50円を予定。これは株式分割前の水準に換算すると、実質的に中間配当は15円、期末配当は5円の合計20円の増配となる。予想総還元性向は56.6%となる。
※総還元性向=(配当総額+自己株式取得額)÷親会社株主に帰属する当期純利益×100
(2)株式分割
同社は、2026年1月30日開催の取締役会の決議に基づき、2026年4月1日付で株式分割を実施した。
◎株式分割の目的
同社株式の投資単位当たりの金額を引き下げることにより、投資家がより投資しやすい環境を整えるとともに、株式の流動性の向上と投資家層の拡大を図ることを目的としている。
◎株式分割の概要
①分割の方法
2026年3月31日を基準日として、同日最終の株主名簿に記載または記録された株主が所有する当社普通株式1株につき2株の割合をもって分割した。
②分割により増加する株式数
株式分割前の発行済株式総数:17,229,712株
株式分割により増加する株式数:17,229,712株
株式分割後の発行済株式総数:34,459,424株
株式分割後の発行可能株式総数:108,000,000株
③分割の日程
基準日公告日:2026年3月6日
基準日:2026年3月31日
効力発生日:2026年4月1日
(3)自己株式の取得
2026年4月、経営環境の変化に柔軟に対応した機動的な資本政策を遂行し、資本効率の向上および株主還元の充実を図るため自己株式の取得を発表した。中期経営計画期間(2026年3月期~2028年3月期)においては、総還元性向の目標を50~60%としており、今回の自社株買いはこれに沿うものである。
取得株式総数(上限):15万株(自己株式を除く発行済株式総数に対する割合は0.44%)
取得価額(上限):1億円
取得期間:2026年5月1日~2026年10月30日
5.今後の注目点
同社の26/3期決算は、前期比8.5%の増収、同9.2%の営業増益となった。新規案件の獲得や価格適正化に向けた取り組みが奏功し、5期連続の増収増益を達成した。売上面では、アプリケーション開発、サイバーセキュリティおよびITインフラが堅調に推移した。利益面では、従業員への還元や、人材育成・確保のための戦略的投資費用が増加したものの、売上高の増加やアプリケーション開発をはじめとした売上総利益率の改善や、のれん償却額の減少が寄与した。26/3期の実績は、中期経営計画1年目の数値目標を超過し、28/3期を最終年度とする中期経営計画の達成に向けて順調なスタートを切った。中期経営計画の2年目となる27/3期についても、期初計画が中期経営計画の2年目の数値目標を上回る期初予想の発表となった。先行きに対する同社の自信の表れと言えよう。27/3期の会社計画の達成に向け好調なスタートが切れるのか、続く第1四半期の業績動向が注目される。好調な業界環境が継続する中、どのサービス領域が業績拡大を牽引するのか注目したい。
また、同社は中期経営計画においてAIをコントロールする人材の育成を掲げている。将来的にAIと人が共存する労働領域が拡大し、AX化(AIトランスフォーメーション)が進行する中、単純作業はAIに代替され、顧客との調整をはじめとした知的判断力を要する作業のみが残ると同社では認識している。情報サービス業界を中心にAIに代替され必要がなくなるサービスが増加するとの懸念が高まっている。しかし同社では、全てのサービス領域においてAIと人が共存し、拡大するチャンスがあると認識している。また、同社ではAIによる環境変化を「追い風」にし成長ドライバーとするためには「技術力」、「人間力」、「組織力」の成長が不可欠であり、これらを促すための積極的な投資が必要と考えている。「技術力」では、AI共創の時代において、AI「活用」から「共創」「統括」へアップスキルするための技術力・サービス提供力を養う。また、コンテナ技術(OpenShift等)や自動化ソリューション(ServiceNow等)、各種AIプラットフォーム(IBM watsonx/Bob、Hitachi iQ、LITRON(NTTデータ)等)を高度に活用できる技術者の育成を推進する。「人間力」では、顧客とともにAIをコントロールしていくための、深い思考力と想像力の獲得を推進する。「組織力」では、失敗を恐れず、許容する企業風土の醸成と働き方の変化を推進する。こうしたAIをコントロールする人材の育成状況に加え、AI活用が今後同社にどのようなビジネスチャンスをもたらすのかについても期待を込めて注目していきたい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査役設置会社 |
取締役 | 7名、うち社外4名 |
監査役 | 4名、うち社外3名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2025年11月18日
<基本的な考え方>
当社では、「継続的に企業価値を高める」ことを経営における最重要項目と位置づけ、(1)経営と執行の分離による透明性と健全性の確保、(2)スピーディーな意思決定と事業遂行の実現、(3)アカウンタビリティー(説明責任)の明確化および(4)迅速かつ適切で公平な情報開示を基本方針として、コーポレートガバナンスの強化および監視機能の充実に取り組んでいます。
なお、当社のコーポレートガバナンスに関する考え方を「コーポレートガバナンス・ガイドライン」(以下、「ガイドライン」という)として取りまとめ、当社ウェブサイトにおいて公開しています。(https://www.idnet-hd.co.jp/corporate/policy.html)
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コ―ドの各原則を実施しています。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
原則 | 開示内容 |
【補充原則2-4① 中核人材の登用等における多様性の確保】 | 多様性を重視する企業文化のもと、さまざまな考え方を積極的に融合し結集することによって、グループ全体の力を最大限に発揮し、Waku-Wakuする未来創りを実現します。そのため、国籍、経験、専門性、価値観、ライフスタイル、障がい、LGBTQ+など、多様なバックグラウンドを持つ人材の採用と登用を積極的に進め、そうした個性が活きるよう、ワークライフバランスの推進や異文化コミュニケーション研修の実施、社内文書の多言語対応の充実など、人材育成と社内環境整備を進めています。測定可能な数値目標に関しては、管理職に占める女性比率に関する目標値を定め、女性がキャリアを継続しやすい環境や制度の整備を行っています。2025年3月末時点における管理職に占める女性比率は15.0%です。中期的には20%達成を目指して取り組みます。 管理職に占める外国籍ならびにキャリア採用者の比率については、昇進や管理職への登用にあたり、国籍や入社年度による、その他の社員との差異は生じておりませんので、特段の目標は設定しておりません。その他、人材の多様性確保や育成方針、社内環境に関する整備方針、管理職に占める外国籍比率ならびにキャリア採用比率の状況については、当社ウェブサイトに掲載しています。 <サステナビリティ(数字で見るIDグループ)> https://www.idnet-hd.co.jp/sustainability/numbers.html <サステナビリティ(人的資本経営に向けて)> |
【原則3-1(i)会社の目指すところ(経営理念等)】 | 当社グループは、経営理念IDentityのもと、お客さまのニーズにあった付加価値の高い情報サービスを提供し、情報化社会に貢献することを経営の基本方針とし、ミッションである「私たちはWaku-Wakuする未来創りに参加します」の実現に努めています。 経営理念や中期経営計画については当社ウェブサイトに掲載しています。また、機関投資家および個人投資家向けの説明会を定期的に開催し、積極的に情報を開示します。 <経営理念> https://www.idnet-hd.co.jp/corporate/vision.html <中期経営計画> |
【補充原則3-1③ サステナビリティについての取組み等】 | (1)自社のサステナビリティについての取組み IDグループは、持続可能な社会の実現とWaku-Wakuする未来創りに向けて、サステナビリティ基本方針を定め、重要課題(マテリアリティ)を特定し、情報サービスの提供を通じた社会課題の解決に積極的に取り組みます。サステナビリティの取組みについては、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4つのフレーム毎に情報開示を行っています。また、環境への取組みとして、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組みに沿って「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」毎に、情報開示を行っています。 サステナビリティについての方針と取組み、および環境への取組みについては当社ウェブサイトに掲載しています。 <サステナビリティ> https://www.idnet-hd.co.jp/sustainability <環境への取組み> https://www.idnet-hd.co.jp/sustainability/environment.html
(2)人的資本や知的財産への投資等 人的資本への投資については、中期経営計画の6つの重点戦略のひとつに「人的資本投資戦略」を定め、社員のエンゲージメント向上を実現すべく、個々人の長期的なキャリアビジョンに沿った機会提供や、ビジョン実現に向けた創造力と変革力強化の支援、自律思考を促進する企業文化の育成などに取り組みます。 また、知的財産への投資については、同じく中期経営計画においてR&D戦略を定め、当社サービスのプロセス効率化を実現するAI活用研究や、メタバースを活用した次世代システム運用の実現、ブロックチェーンをはじめとした特許技術の活用拡大に向けた研究開発に取り組んでいます。人的資本等については当社ウェブサイトに掲載しています。 <人的資本経営に向けて> |
【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】 | 当社は以下の方針を定め、実践しています。 ①株主・投資家等からの対話(面談)の申込みに対しては、株主・投資家等の希望と面談のおもな関心事を踏まえたうえで、合理的な範囲で社外取締役を含む取締役または監査役、経営陣幹部、IR担当者が臨むことを基本とする。 ②IR担当部門は関係各部署と協力し、建設的な対話の実現に努力する。 ③個別面談のほか、決算説明会等を開催し、IR活動の充実を図る。 ④対話において把握した株主・投資家等からの意見・要望について、取締役会および関連する経営陣幹部へ適時適切にフィードバックするよう努める。 ⑤未公表の重要な内部情報(インサイダー情報)が外部に漏洩することを防止するため、当社の情報セキュリティスタンダードに基づき、情報管理を徹底する。 ⑥対話における実効性の確保の観点から、株主名簿に基づき、定期的に株主構造の把握を行い、取締役会に報告する。 また、株主との対話の実施状況の詳細については、当社ウェブサイトに掲載しています。 <IR基本方針> |
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応 | 前中期経営計画の確実な実行により、4期連続で増収増益を達成し、過去最高の業績を更新しました。株主資本利益率(ROE)が直近3期において増加傾向にあり、当社が計算した資本コストを上回る資本収益性を達成し、株価純資産倍率(PBR)も堅調に推移しており、1倍割れの懸念はありません。 2025年4月に発表した中期経営計画「Next 50 Episode Ⅲ “JUMP!!!”」で、「高収益モデルへのシフト」と「カルチャーの革新」を戦略テーマに掲げ、6つの重点戦略を推進しています。そのひとつの「資本コストと株価を意識した経営」においては、戦略的な人的資本投資を推進します。 上記計画の実行と株主還元施策を通じて、企業価値の向上に努めます。 詳細については、下記をご参照ください。 <中期経営計画> |
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