ブリッジレポート
(4767) 株式会社テー・オー・ダブリュー

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ブリッジレポート:(4767)テー・オー・ダブリュー vol.18

(4767:東証1部) テー・オー・ダブリュー 企業HP
川村 治 会長
川村 治 会長
秋本 道弘 社長
秋本 道弘 社長
【ブリッジレポート vol.18】2009年6月期業績レポート
取材概要「国内経済は引続き厳しい状況が続くものと思われるが、顧客(広告主)が「売り」への直接的効果をプロモーションに対して求める傾向を強めている・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年10月6日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社テー・オー・ダブリュー
会長
川村 治
社長
秋本 道弘
所在地
東京都港区虎ノ門 4-3-13 神谷町セントラルプレイス
決算期
6月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年6月 14,210 1,401 1,392 876
2008年6月 14,397 1,362 1,343 729
2007年6月 13,070 1,051 1,041 551
2006年6月 12,341 781 784 423
2005年6月 10,705 771 782 465
2004年6月 9,638 781 765 466
2003年6月 9,441 1,103 1,073 537
2002年6月 8,600 940 920 462
2001年6月 7,555 756 730 371
2000年6月 5,995 556 537 238
株式情報(8/14現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
533円 11,511,813株 6,136百万円 17.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
32.00円 6.0% 59.45円 9.0倍 449.52円 1.2倍
※株価は8/14終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
テー・オー・ダブリューの2009年6月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
イベント・プロモーション業界のトップカンパニー。イベント及びセールスプロモーション(SP)の「企画」・「制作」・「運営」・「演出」を手掛けており、SPに関するグッズ・印刷物の企画・制作も行っている。約8,000社がしのぎを削る業界にあって、売上高が140億円を超える同社は頭一つ抜け出た存在。また、競合他社が限られた大手広告代理店とだけ取引しているのに対して、同社は国内外の大手広告代理店10社以上と取引しており、東京ドーム、幕張メッセ、国際フォーラム、東京ビッグサイト等、大型会場でのイベントを1社で受注できる制作力と資本力を有する。2000年7月に株式を店頭登録。07年6月の東証2部上場を経て、08年6月25日に東証1部指定替えとなった。
 
 
<事業領域と市場規模>
同社は創業以来のイベント(市場規模4兆円)の強みを生かしながら、市場拡大が見込めるプロモーション領域(市場規模4兆円)を拡大していく考え。
 
 
<強みと課題>
同社は、自社の強みと課題について、次のように分析している。10/6期(~12/6期)よりスタートする中期事業計画では強みに磨きをかけつつ、課題解決に取り組んでいく考え。
 
強み
①プロモーション業界における優位性
・業界随一の企画力実績(業界変革期、低迷期だからこそ一層求められる企画力)
・唯一の総合的プロモーション制作会社(専門会社で構成される業界の現状)

かつてのTVCFのような決定打のない時代だけに効果を生む企画力が求められる。このためには、総合的な企画力が必要であり、特定領域の専門性だけでは課題解決できない。
 
②広告業界における優位性
・大手広告代理店の全てとの取引実績を有し、広告業界での圧倒的な営業力を誇る。
 
③着実な若手成長による対応力と収益力の伸長
・若手社員の着実な成長により、量と質への対応力と収益性が向上
 
課題
①営業力強化
②プロモーション推進
③提案力強化
④収益力強化
⑤モチベーション強化
 
2009年6月期決算
 
 
前期比1.3%の減収、同3.7%の経常増益。期初予想を下回ったものの、6月23日の修正値(売上高14,133百万円、営業利益1,360百万円、経常利益1,351百万円、当期純利益848百万円)を上回った。
08年まで4年連続の増加を続けていた国内総広告費が09年は6兆6,926億円と前年比4.7%の減少に転じた(電通「日本の広告費」09年2月発表)。また大手広告代理店の08年(1月~12月)の売上高も総じて前年実績を下回り、09年1月以降(1月~6月)も同様の傾向が続いている(「広告と経済」09年8月1日発行)。
こうした中、同社は東京モーターショーの反動減(約10億円)を吸収してほぼ前期並みの売上高を維持したものの、昨秋以降、広告主の広告予算見直しの影響等からSP分野の事業環境が急速に悪化した。利益面では、値引きに頼らない企画提案重視の営業が成果を上げた他、新設した制作管理チームの寄与で外注費の効率化など原価管理が進み売上総利益率が改善。経費節減により販管費がわずかに減少した事もあり、減収による影響を吸収して営業利益は同2.8%増加した。尚、当期純利益の増益率が高いのは、東京都の再開発事業に伴う本社移転に対して支払われた移転補償金349百万円を特別利益に計上したため。
 
(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
期末総資産は現預金及び純資産を中心に前期末比702百万円増の9,093百万円。借方では、現預金及び本社移転に伴い有形固定資産や敷金補償金が増加。一方、貸方では、仕入債務や純資産が増加した。尚、未収入金とは売上債権のファクタリングに伴うもの。また、投資CFのマイナス幅が拡大したのは、本社移転に伴う敷金の差入や有形固定資産の取得による。
 
 
(3)2009年6月期の傾向・特色
昨秋以降の広告主の広告予算の見直しを受けて競合・指定共に案件が減少し、自主的な「提案」による需要開拓の必要性が高まった。このため、自社企画案件の提案営業を積極化したものの(この結果、企画本数は増加した)、クライアント企業の広告・プロモーション予算見直しが進む中では案件獲得に至らないケースが多く、勝率(制作移行案件獲得数÷企画本数)が大幅に低下した。同社では、「企画の質の向上と企画本数の一層の拡大」を課題として挙げている。
 
 
 
価格帯別では、大きな効果が期待される大型案件が堅調に推移したものの、小・中型案件が前期実績を下回った。特に1,000~2,000万円の価格帯で予算削減の影響が顕著だった。
 
 
業種別では、「情報・通信」、「自動車」に続く“第三の柱”つくりに注力したものの、「化粧品・トイレタリー」が微増にとどまった他、「食品・飲料・嗜好品」、「精密機器その他製造」は下期の苦戦が響き通期では減収となった。一方、横浜開港150周年関連で官公庁・団体が大きく伸びた。
 
 
カテゴリー別では、横浜開港150周年関連で博展が増加したものの、モーターショー(約10億円)の反動をカバーできず、主力の販促が減少した。尚、下表の通り博展、文化・スポーツ、広報及び販促の一部がイベントと呼ばれる分野で、売上高は前期比27.7%増の3,881百万円。また、イベントに含まれた一部を除く販促と制作物がSPと呼ばれる分野で売上高は同9.4%減の10,031百万円。
 
2010年6月期業績予想
 
 
前期比0.7%の増収、同13.3%の経常減益予想。
企画提案の積極化による期中受注・期中売上の積み上げで前期並の売上確保を目指す。ただ、利益面では、売上総利益率が悪化する他、人件費や地代家賃を中心に販管費が増加するため、営業利益は同12.8%減少する見込み。配当は、1株当たり第2四半期末16円、期末16円の通期32円を予定している。
 
 
受注残(A・B・松)が減少しているため、企画案件(竹・梅)獲得に一層注力し期中受注・期中売上の増加で業績予想の達成を目指す。期中受注・期中売上につながる竹・梅の合計が08/6期末を11億円強上回っているが、勝率が低下傾向にあるため楽観できない。
 
中期事業計画
 
「代替わりに伴う課題」(代表取締役の交代と若手役員の登用)と「広告業界の低迷」という2つの課題を踏まえ、中期事業計画を見直した。
 
(1)事業環境と同社の活動状況
①事業環境
広告業界は、昨秋以降、4マス広告ばかりでなく、過去数年間成長が続いていたプロモーション分野も苦戦が続いている。しかし、「売り」への直接的効果を求め、4マス広告からプロモーションへの流れは変わっておらず、4マス広告を主要な収益源としている大手広告代理店もプロモーション領域の対策強化に本格的に乗り出した。このため、同社では、唯一伸びる可能性のあるプロモーションに本腰を入れ始めた大手広告代理店への対応が重要と考えている。
 
②同社の活動状況
一方、同社は、自動車、通信に続く、第3、第4の業種開発に取り組み、提案を拡大さえてきたが、十分な成果を得る事ができなかった(窓口拡大の遅れ)。また、プロモーションへの対応を強化し、成果も上がっていたが、課題収集力格差や提案領域拡大力格差などチーム間格差が広がっていた。また、プロモーション全般の専門的なノウハウの不足による社員格差も大きかった(プロモーション推進の遅れ)。
このため、今後の取り組みとして、次の4項目を挙げている。

①営業窓口開発拡大の一層の強化
②イベント中心の営業から「総合的プロモーション営業」へ
③広告代理店の戦略に対応した新規窓口開発
④新規クライアントを想定した、プロモーション提案力の強化
 
(2)数値計画
当面の目標は、2012年6月期に売上高14,910百万円、経常利益1,230百万円(売上高経常利益率8.2%)。
「イベント及びプロモーションを通して人と人とのコミュニケーションを大切に心豊かな社会作りに貢献すること」と言う企業理念を再認識し、現状に即した新たな目標達成を目指している。
 
 
(3)計画達成のための施策
上記の中期事業計画を達成するために、①営業力強化、②プロモーション推進、③提案力強化、④収益力強化、⑤モチベーション強化の5項目を基本戦略として進めていく。具体的な施策は次の通りである。
 
①営業力強化
若手役員を本部長に登用し率先して営業開発に当たらせる他、広告代理店のプロモーション強化策への早期対応、SPチーム(販売促進に関するグッズ・印刷物・WEBの企画・制作等を担当するチーム)との連携強化による新規業種の営業窓口開発に注力する。
 
②プロモーション推進
新SPチームを設置し、SPチームが有する専門的なノウハウ、知識、経験を活かし、各本部の営業サポートや総合的プロモーションの共同営業を行う。また、Webやプレミアム制作、或いはCG等の制作体制を拡充する事でプロモーションの強化を図る広告代理店への対応力を高める。
 
③提案力強化
異業種とのアライアンスによる提案領域の拡大に加え、専門性強化や新たなプロモーションモデルの開発、更には同社の企画顧問を務める おちまさと氏を活用した商品開発を行い、同社独自のプロモーション企画提案力を強化する。
 
④収益力強化
制作管理チームの貢献数値目標を設定し、低営収案件を中心に指導を強化する(原価管理の徹底)他、社員教育や子会社ティ-・ツ-・クリエイティブの制作体制強化によりグループ収益力の向上を図る。
 
⑤モチベーション強化
学資保険制度や育児手当制度の更なる充実や、新たな休暇制度の導入により社員の更なるモチベーションアップを図る。
 
取材を終えて
国内経済は引続き厳しい状況が続くものと思われるが、顧客(広告主)が「売り」への直接的効果をプロモーションに対して求める傾向を強めている状況に変わりは無い。しかし、同社の現状を考えた場合、こうした顧客ニーズを収益の拡大につなげていくためには力不足であり、顧客ニーズを取り込むための新規営業窓口開発と顧客ニーズに対応するための企画力や提案力の強化が欠かせない。そのための具体的な施策が中期事業計画において示された。
中期事業計画の数値目標に物足りなさを感じる投資家も少なく無いと思われる。しかし、同社は04/6期から06/6期にかけての低迷期を経て、07/6期以降、高い利益成長が続いた。このため、一旦は踊り場を作り、足下を固める事は、中期的にはプラスと考える。中期事業計画を進める3年間は、成長のための基盤作りに取り組む期間である。