ブリッジレポート
(7590) 株式会社タカショー

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ブリッジレポート:(7590)タカショー vol.24

(7590:JASDAQ) タカショー 企業HP
高岡 伸夫 社長
高岡 伸夫 社長

【ブリッジレポート vol.24】2013年1月期第3四半期業績レポート
取材概要「住宅ローンの金利優遇や住宅エコポイント制度といった政策効果もあり、新設住宅着工数は低水準ながら増加基調を辿っている。しかし、足下の・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年12月25日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社タカショー
社長
高岡 伸夫
所在地
和歌山県海南市南赤坂20-1
決算期
1月
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年1月 14,969 708 690 315
2011年1月 13,019 687 657 339
2010年1月 12,756 580 584 296
2009年1月 13,118 440 393 246
2008年1月 13,437 597 474 289
2007年1月 12,420 424 414 183
2006年1月 11,112 528 541 305
2005年1月 10,895 528 498 270
2004年1月 10,153 466 346 213
2003年1月 10,057 360 257 162
2002年1月 9,457 -17 -83 -89
2001年1月 9,045 523 467 177
2000年1月 8,535 580 575 258
株式情報(11/29現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
402円 9,978,510株 4,011百万円 7.1% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
15.00円 3.7% 42.83円 9.4倍 544.01円 0.7倍
※株価は11/29終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
タカショーの2013年1月期Q3決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
「やすらぎのある空間づくり」を基本コンセプトに、人工・天然の竹木製フェンスやガーデンファニチャー、緑化資材等の庭園資材を製造・販売。LED(発光ダイオード)ライト等の照明機器、池・滝・噴水等のウォーターガーデンや坪庭等も手掛けている。
製造は国内及び中国、販売は国内のみならず、欧州、アジア、オセアニアへも展開。商品の企画から製造、販売までを一貫して手掛けるグループ力を強みとし、日本においても確立した市場となりつつある「ガーデニング市場」のリーディングカンパニーとして期待されている。
 
【販売ルート】
営業部門は、販売ルート別に設計・施工が必要な工務店向け「プロユース」、ホームセンターへの卸売を中心にした一般消費者向け「ホームユース」、「e-コマース・通信販売」、「輸出」に分かれる。個別ベースの売上構成比は、それぞれ47.3%、46.1%、2.8%、3.8%(12/1期実績)。
「プロユース」では、プロユーザー向けのカタログ「PROEX(プロエクス)」を業界最大の約25万冊印刷し、造園業者、設計士、エクステリア施工店、商業施設等にダイレクトメールで配布している。カタログには商品を使った庭園イメージの写真が掲載されており、この写真を見ながら実際に施工する場所と庭園の簡単な図面を書いてファックスもしくはWebで発注すると、CAD(コンピュータによる設計支援システム)、CG(コンピュータ映像)を駆使した完成予想図と共に見積書を当日中に返送し、正式な注文があれば商品を短納期する仕組み作りが確立している。
 
 
 
事業戦略
 
同社は今後の事業展開のキーワードとして、垂直ビジネス、グローバルビジネス、トータル化ビジネス、及び近代化ビジネスの4つを挙げている。
 
垂直ビジネスでは、商品の企画・製造・販売だけでなく、最下流に当たるサービスにも注力していく考え。ネットと他のメディアによるメディアミックスと商品・サービスのコンテンツの充実により、ガーデンに係る全てをサポートしていく。尚、販売については、ガーデンセンター、各地域展示場、ガーデニング関連雑誌「BISES」(連結子会社(株)日本インテグレート)等を展開しており、この一環として2012年4月に日本初の本格的なガーデンセンターを本社隣接地にオープンした。オープンガーデンのように、施設全体の半分が緑に包まれ、長時間滞在したくなる楽しい空間に造り込んだと言う。
 
グローバルビジネスでは、中国の生産工場を拡大し、日本品質の製品を、米、英、独、豪、中国、韓国に展開していく。また、米の提携先企業とは、サービス・商材・施工等をセットにした展開を、ネット対応を含めて進めている。尚、ホームユース商材については、九江高秀(中国江西省)をはじめ中国各地の工場で生産しており、プロユース商材は、100店舗ものフランチャイズを有する企業(正特集団)との合弁会社である正特高秀(中国浙江省)においてエバーアートウッド等を生産し日本向けの出荷が始まっており、中国国内での販売も計画している。
 
トータル化ビジネスでは、プロユース、ホームユース、ネット関連等、「ガーデン」を起点にトータル化して展開していく。具体的には、「ガーデン」にかかる国際ビジネス、アジア・中国ビジネス、国内ビジネス、環境・エコビジネス、小売ビジネス、ネットビジネス等すべてを国内外のクループネットワークでつなぎ、利益を確保しながら積極的に投資していく。
 
近代化ビジネスでは、成長分野である「スマートリビングガーデン」と「景観建材」(非住宅)に注力していく。前者では、「スマートハウス」に力を入れているハウスメーカーのとの提携の中で、「庭からできる省エネ・節電」と銘打って「スマートリビングガーデン」を提唱している。「スマートリビングガーデン」では、庭の緑化やグリーンカーテン等、昔からの知恵をうまく取り込んだ生活を基板としつつ、ソーラーパネルやソーラーライト等の利用により更に省エネ機能を高める。 一方、「景観建材」(非住宅)では1県に1社の代理店を設置して、病院・施設等非住宅の市場開拓を進める。ポイントは、高齢化、情報化への対応、快適性の向上、空間の有効利用、防災・安全化、省エネ・省力化、イメージ向上等で、中でも内外装のイメージ向上が非常に重要であり、外装分野で同社の商品や技術・ノウハウを活用する余地が大きい。
 
 
 
 
2013年1月期Q3決算
 
(1)
 
 
前年同期比12.3%増収、同47.4%営業増益
売上高は前年同期比12.3%増の13,321百万円。プロユース部門では、家と庭をつなぐ空間となる「ポーチガーデン」シリーズの販売が好調だったことに加え、部材として使われるエバーアートウッド等の販売も堅調に推移した。更には夜の庭を演出するローボルトライトの新商品(12ボルトLEDライト及び100ボルトLEDライト等)の投入、同社の認定制度である「エクステリア&ガーデンライティングマイスター制度」の認定者拡大により、照明機器の販売も堅調に推移した。
一方、ホームユース部門では、原発の稼働問題により消費者の間で節電意識が高まったことを受け、シェードやよしずといった日除け商品・木製品の販売が好調に推移した。自社海外製造拠点となる九江高秀園芸製品有限公司の本格稼働により、生産体制の強化・在庫の集約化が機能するようになり、需要時期に合わせた供給が可能になったことも販売好調を支える要因となった。
収益面では、営業利益が前年同期比47.4%増の1,112百万円となった。売上高営業利益率は同1.9ポイント改善の8.3%に上昇した。先行投資負担等により売上高総利益率は前年同期比0.4ポイント低下したうえ、子会社の設立費用負担もあったものの、増収効果で吸収した格好である。なお、特別損益の改善を受け、四半期純利益は前年同期比70.7%増となった。
 
(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
 
 
2012年10月末の総資産は14,632百万円と、前期末比2,445百万円の増加となった。新株発行により株主資本が1,096百万円増加したこと、販売好調を受け買入債務が増加したこと等が影響した。売上増加に呼応する形で売上債権、棚卸資産も増加している。
 
 
2013年1月期業績予想
 
Q3においての進捗状況は、当初の通期計画に対して売上高86.8%、各利益はすでに通期会社計画を達成している。東日本大震災の影響により平成24年1月期の売上が大きく伸びていたことから、平成25年1月期の売上高は微減を予想しており、会社計画は据え置かれていたが、消費者の節電意識の高まりにより、暑さ対策関連商品の販売が好調に推移したことや海外製造拠点の本稼働により、需要時期にタイミングよく商品供給できたことが奏功し、個別業績の売上高、利益面ともに当初予想を上回ったため、12月10日に業績予想の修正を発表した。連結業績はヨーロッパにおける市場競争や国内外の工場に対する設備投資による償却費の増加を見込み、ほぼ予定通りの推移ながらも売上高、利益面ともに微増の修正を発表した。配当は1株当たり1円増配の年15円を予定。
なお、通期連結業績予想において「1株当たり当期利益」が減少(50.00円 →46.10円)しているのは、平成24年4月2日に新株式を161万株発行したことにより発行済株式総数が増加したためである。
 
12月10日発表の業績予想の修正
 
 
 
今後の注目点
住宅ローンの金利優遇や住宅エコポイント制度といった政策効果もあり、新設住宅着工数は低水準ながら増加基調を辿っている。しかし、足下の経済状況を鑑みると決して楽観視できるような状況にはない。このような環境下、庭は家での暮らしにおける5番目の部屋である「5thROOM」という考えに基づき「ポーチガーデン」での暮らしのデザインを提唱し、更には庭からできる省エネ、節電、安全をテーマにした「SMART LIVING GARDEN」という新規分野の拡充に注力していることが功を奏し、マクロ環境に左右されにくい体質が確立しつつある。これは産業型から文化型へシフトさせる事で潜在需要を掘り起こすことにも繋がっており、今後の動向には注目していきたい。