ブリッジレポート
(4767) 株式会社テー・オー・ダブリュー

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ブリッジレポート:(4767)テー・オー・ダブリュー vol.36

(4767:東証1部) テー・オー・ダブリュー 企業HP
江草 康二 社長兼CEO
江草 康二 社長兼CEO

【ブリッジレポート vol.36】2014年6月期業績レポート
取材概要「日経広告研究所(平成26年1月発表)は、平成26年度の国内総広告費が前年度比1.7%増加すると予測している。企業収益の回復が続いており、今後同・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年9月30日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社テー・オー・ダブリュー
社長兼CEO
江草 康二
所在地
東京都港区虎ノ門 4-3-13 ヒューリック神谷町ビル
決算期
6月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年6月 12,188 1,026 1,035 638
2013年6月 12,346 850 864 428
2012年6月 13,935 973 987 508
2011年6月 10,570 378 377 131
2010年6月 12,575 671 670 357
2009年6月 14,210 1,401 1,392 876
2008年6月 14,397 1,362 1,343 729
2007年6月 13,070 1,051 1,041 551
2006年6月 12,341 781 784 423
2005年6月 10,705 771 782 465
2004年6月 9,638 781 765 466
2003年6月 9,441 1,103 1,073 537
2002年6月 8,600 940 920 462
2001年6月 7,555 756 730 371
2000年6月 5,995 556 537 238
株式情報(8/20現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
710円 10,996,260株 7,807百万円 11.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
31.00円 4.4% 56.67円 12.5倍 511.64円 1.4倍
※株価は8/20終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
テー・オー・ダブリューの2014年6月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
イベントプロデュース業においては独立系NO.1のトップカンパニー。同業他社が約8000社あり、その大半が中小・零細企業といわれる中、当社は頭一つ抜け出た存在。現在はイベントをはじめとするデジタル・プロモーションのみならず、Webサイト、ノベルティグッズ、印刷ツール、キャンペーン事務局といった各種セールスプロモーションメニューも取り揃え、ワンストップ体制とプロモーション提案力の強化を図り、マスメディア以外は全て当社で対応できる、総合プロモーション事業を展開。

日本では大半のイベントが、イベント主催者(クライアント)からの発注を受けた大手広告代理店によって開催されている。このため、同社を含めた実際にイベントの企画・制作・運営を行う会社は、イベント主催者から直接受注するのではなく、大手広告代理店を介して受注するケースが多い。競合他社が限られた大手広告代理店とだけ取引している中、 当社は国内外の大手広告代理店10社以上と取引し、イベント/セールスプロモーション業のスペシャリストとして信頼を得ている。また、東京ドーム、幕張メッセ、国際フォーラム、東京ビッグサイトなど、 大型会場でのイベントを1社単独で全て対応できることが強みとなっている。

企業のコミュニケーションの中でのプロモーション展開を考える際に、様々な知識と経験を持ったプロモーションの専門家によるトータルプランニングこそが、プロモーション効果を高めるために最も重要であるとの考えのもと、イベント制作における実績を生かしたライブコミュニケーションに加えて、プレミアム、ツール、WEBなど、セールスプロモーションコンテンツの専門部署を発足させ、プロデューサー・プランナー・ディレクターが一元的にクライアントのプロモーションニーズに応えるよう取り組んでいる。
「プロモーション・パートナー」という新しい業態としてワンストップソリューションの提供を実現させる、総合プロモーションカンパニーとして機能している。
 
 
また、広告主が変われば、各社抱えている課題や要望も変わる。また商品ブランドが変われば、それを届ける消費者も変わる。いかにその時々の状況下において広告主・商品ブランド・消費者にとって最適な媒体メニューを組合せ、コーディネートして提示できるかが求められる複合媒体時代になっている。同社は、パートナーである広告代理店に対して、マスメディア以外は全て当社で対応できる一社完結型の「プロモーション総合制作会社」として、あらゆるプロモーションニーズに対応できる体制を整えている。
 
 
更に、複合媒体時代においては、幅広く展開する複数の媒体やプロモーション施策を一括りに束ね上げる企画力が必要とされる。
同社には、他の制作会社には例を見ない、企画専門セクションを置き、「企画」「営業・制作」の分業体制を確立している。企画に特化した20数名のイベントプランナーが企画業務をリードし、クオリティを確保した形で年間約2000本の企画を世に送り出している。これにより、広告代理店様と一緒に、プロモーションの全体企画を作成・提案し、採用された企画・コンセプトを押さえたまま、実施までつなげることを可能にしている。
 
 
 
2014年6月期決算
 
 
前期比1.3%の減収、同19.7%の経常増益
売上高は前期比1.3%減の121億88百万円、経常利益は同19.7%増の10億35百万円。政府の経済対策や金融政策等による企業収益・個人消費の持ち直しを受けて、同社グループが属する広告業界においても大手広告代理店の業績回復傾向が顕著となっており、同社の事業領域であるプロモーション領域においても回復感が強まっている。こうした環境下、主要顧客にフォーカスした営業活動や収益力向上と販管費の効率化などの施策を実施したことが同社の業績の回復に結びついた。
売上面では、イベント関連が好調に推移したものの、グッズ制作の低迷などによりセールスプロモーションにおける制作物などが減少した。
営業利益は同20.7%増の10億26百万円。収益力向上をための施策を実施した効果により、売上総利益率は14.4%と同1.5ポイント上昇した。販管費の効率化を図ったものの、売上高対販管費率は6.0%と前期比横ばいとなった。また、平成24年11月に判明した不適切な会計処理の調査過程で発見され、仮受金と計上していた37百万円の不明入金を、一定期間が経過し今後返還請求がなされる可能性が低いとの判断により特別利益として計上したことにより当期純利益の増益率が高まった。
通期業績が会社計画を上回ったことから、配当も平成25年12月2日に上方修正した1株当たり年26.5円から28円へ上方修正された(上期末14円を含む)。
 
(2)通期決算の傾向
受注案件数は前期比36件減の1,324件。物産展案件や周年イベントなどが寄与し、1億円以上の案件受注が13件と前期に比べて5件増加。一方、1,000~2000万円の案件が22件減少(170件→148件)した。
引合形態別では、競合案件(138件→138件)や提案案件(269件→269件)は横ばいであったものの、指定案件が前期の953件(76億59百万円)から917件(65億33百万円)に減少した。しかし、案件単価は、前期の8.5百万円から8.7百万円に上昇した。
また、今期は1,722件(前期1,912件)の提案を行い、594件(同617件)の受注を得た。この結果、勝率は前期を2.2ポイント上回った。
 
 
 
 
 
14/6末の総資産は前期末比2億22百万円増加の89億79百万円。借方では未収入金が、貸方では利益剰余金が主な増加要因。総資産の約86%を流動資産が占める等、資産の流動性が高い。自己資本比率も約63%と、高水準を維持している。
 
 
未収入金が増加した事などで営業CFが悪化し、前期は14億62百万円のプラスだったフリーCFが14億30百万円減少し32百万円となった。配当金の支払額の減少で財務CFのマイナス幅は縮小。現金及び現金同等物の期末残高は21億96百万円と前期末比2億82百万円減少した。
 
 
2015年6月期業績予想
 
 
2015年6月期は、前期比1.9%の増収、同2.9%の経常減益の計画
15/6期の会社計画は、前期比1.9%増収の124億23百万円、同2.9%経常減益の10億5百万円。政府の経済対策の効果や円安による輸出企業を中心とする企業収益の回復により、国内広告市場も緩やかな回復が予想される(平成26年1月発表の日経広告研究所の予測)。しかし、消費税引き上げに伴う影響や消費税の再増税の可能性などの不透明要因があることから、各種リスク要因を織り込んだ計画としている。同社では、引き続き積極的な営業活動や収益力向上と販管費の効率化に努める方針。今期の会社前提の売上総利益率は13.9%(前期14.4%)、売上高対販管費率は5.9%(同6.0%)。
配当は、前期比3円増配の1株当たり年31.0円の予定(上期末15.5円を含む)。これは、決算発表日(平成26年8月7日)前日の終値に配当利回り4.5%を乗じた数字。

第4四半期は例年同社の稼ぎ時であるが、14/6期第4四半期の売上が不振であったとの反省のもと、今後同社は「新・マネジメントフォーマット」を導入する。「新・マネジメントフォーマット」の導入により、2ヵ月先の引合い状況と受注見込み(3~5ヵ月先の売上見込みとなる)状況を常にチェックしながら、目標達成のために必要な具体的な活動プランを2ヶ月分逆算して立てることが可能となる。また、チーム毎に全社で同じフォーマットを活用する。
 
 
個別の売上は、子会社の営業強化を目的に、本社社員を子会社に異動した影響で減少する予定となっているが、連結業績への影響はない見込み。受注残は順調に積み上がっているものの、今後良質の竹・梅の獲得が必要と同社は判断している。
 
(2)今後の方針と対策
最大の強みであるリアル・プロモーションを、デジタル&アイディアで武装し価値を高め、顧客が求める効果最大化の追求を通じて、デジタルに強いリアル・プロモーション会社というオンリーワンのポジションを構築することが経営目標。
デジタルXリアル=ハイブリッド型のプロモ案件の売上高は、14/6期に21.0億円(前期10.7億円)と大幅に拡大した。物産展関連の大口のスポット受注があったことを考慮する必要があるものの順調に拡大している。
 
 
同社では、上記方針の実現のために、以下の5つの対策を実行中である。
①デジタル力の強化
リアルとデジタルをハイブリッド=良いとこ取りに組み合わせ、プロモーション効果を最大化するインタラクティブ・プロモーション(以下IP)を武器にする。IP力を強化するため以下の施策を行う。(1)「1→TOW」の推進、(2)DP室をIP室へ名称変更し採用・増員、(3)IP数字と責任者を各本部に設定・予算化、(4)IPプランナー育成を始動(今期)6名X3年=18名、(5)IPプロデューサー育成を始動(現8名を3年間)、(6)「IPスクール」の開講(今年11月以降)。
②つくる力の強化
2014年新卒10名採用。2015年新卒8~9名を採用予定。OJTの強化により、AD1級昇格まで、「キャリアシート」により成長をフォロー。新入社員を稼ぎ頭であるDへ早期に育成する。2014年7月より人事制度を改訂し、「プロダクション力(自身のスキルアップ・部下の育成)」を重点評価項目とする。
③顧客力の強化
「僅差は大差」の実践・指導を強化。「ファン作り(主要顧客との関係値を社員ごとにベンチマーク)」を重点評価項目とする。
④グループ力の強化
子会社T2クリエイティブ(T2C)の外部受注力を強化。T2Cは制作力と提案力を強化し、顧客が発注しやすい環境を作り、外部売上を拡大する。同社のディレクター3名をT2Cへ出向、同社のプランナー7名がT2Cのプランナーを兼務。また、新卒採用、契約・業務委託から社員登用(6名増)で内製対応する。
⑤安心力の強化
各本部の本部長をメンバーとした情報セキィリティ委員会の運営(前期より継続)。コンプライアンス担当者が、各現場での危険予知シートの作成を指導。
 
(3)「1→TOW」がスタート
デジタルマーケティングを総合的にプロデュースするインタラクティブスタジオの株式会社ワン・トゥー・テン・デザインと同社が業務提携(2014/1/10)。リアル×デジタル=ハイブリッド業務の企画・制作の体制をより強化していくことを目的に本ユニットを発足。既存の手法にとらわれない“新しい形のリアル・プロモーションを提供”し、顧客が期待する「効果の最大化」を目指す方針。
新ユニット「1→TOW」は、2014年1月~7月の間で、34案件の引合いがあり、そのうち6案件を受注(進行中6案件)するなど、順調に推移している。
 
 
今後の注目点
日経広告研究所(平成26年1月発表)は、平成26年度の国内総広告費が前年度比1.7%増加すると予測している。企業収益の回復が続いており、今後同社を取り巻く業界環境が急速に悪化するリスクは小さいと思われる。14/6期決算を見ると、収益力向上の取り組みによる売上総利益率の向上に加え、低営収案件(売上総利益率15%未満)の平均売上総利益率の改善が確認できた点極めて評価が高い。また、販管費の効率化に積極的な点も評価できる。業界環境にフォローの風が吹く中で、企業体質の改善が進んでいることから、非常に利益が拡大しやすいステージに入ってきたと期待される。しかし、14/6期の第4四半期は、同社の稼ぎ時であるにもかかわらず、会社が考えていたほどの成果をあげることができなかった。この反省により、同社では今期より「新・マネジメントフォーマット」を導入する。これにより、目標達成のために必要な具体的な活動プランを2ヶ月分逆算して立てることが可能となるなど、今後の同社の受注獲得に貢献するものと期待される。「新・マネジメントフォーマット」の運営が、期待通りの成果に結びついていくのか注目される。
また、現在積極的に実施しているデジタルに強いリアル・プロモーション会社へ向けた各種施策の成果により、デジタルXリアル=ハイブリッド型のプロモ案件の売上高が順調に拡大していくのかについても引き続き注目していきたい。