ブリッジレポート:(4767)テー・オー・ダブリュー 2025年6月期第3四半期決算
![]() 村津憲一 代表取締役社長 | 株式会社テー・オー・ダブリュー(4767) |
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企業情報
市場 | 東証スタンダード市場 |
業種 | サービス業 |
代表取締役社長 | 村津 憲一 |
所在地 | 東京都港区虎ノ門 4-3-13 ヒューリック神谷町ビル3F |
決算月 | 6月 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数(自己株式を控除) | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
315円 | 40,990,284株 | 12,911百万円 | 15.9% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
15.00円 | 4.8% | 35.17円 | 9.0倍 | 236.93円 | 1.3倍 |
*株価は6/9終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*ROEは24/6期実績、BPSは25/6期3Q実績、EPS、DPSは25/6期予想。
連結業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | DPS |
2021年6月(実) | 12,209 | 655 | 698 | 455 | 10.14 | 12.90 |
2022年6月(実) | 11,134 | 883 | 924 | 598 | 13.22 | 14.00 |
2023年6月(実) | 11,774 | 1,150 | 1,178 | 355 | 8.61 | 14.40 |
2024年6月(実) | 17,503 | 2,006 | 2,058 | 1,405 | 34.71 | 14.00 |
2025年6月(予) | 18,000 | 2,120 | 2,150 | 1,428 | 35.17 | 15.00 |
*単位:百万円、円。予想は会社予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下、純利益については同様)。
(株)テー・オー・ダブリューの2025年6月期第3四半期決算と2025年6月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.今後の成長に向けた戦略と取り組み
3.2025年6月期第3四半期決算
4.2025年6月期業績予想
5.今後の注目点
<参考1:コーポレート・ガバナンスについて>
<参考2:対処すべき課題と取り組み>
今回のポイント
- 25/6期3Q累計は前年同期比4.8%減収、18.0%経常減益。前年度は大型展示会があり、反動により減収となった。カテゴリー別では、統合プロモーションは増収もリアルイベントやハイブリッドイベントは減収となった。利益面では、売上総利益率は前年同期17.6%から16.8%へ低下し売上総利益は同9.0%減の21億1百万円。販管費が14.7%増加し、営業利益率が前年同期12.6%から10.8%へ低下した。高付加価値の提供によるフィー型業務及びグループ内製により高い収益性は維持している。親会社株主に帰属する四半期純利益は同17.9%減。
- 通期予想は修正なく、25/6期は前期比2.8%増収、4.5%経常増益を見込む。主力業種のイベント・プロモーションが堅調な受注、加えて下期には万博関連業務が寄与して増収の見込み。利益面では、持続的な成長に向けて積極的な人的資本投資、AI・環境など強化テーマへの取組を継続し、人件費及び販管費は前年を大きく上回る予定。主力業種のイベント・プロモーションの堅調な需要に加えて、万博関連業務の寄与、Qetic株式会社の合流によりさらなる統合プロモーション領域拡張への取り組みとグループ内製化、高付加価値の提供によるフィー型業務による収益確保を引き続き推進する。期末配当も修正なく7.50円/株、年間で15.00円/株とする予定。
- 3Q累計では減収減益となったものの、通期の増収増益予想は変えていない。今後は万博関連業務などが本格的に上乗せされるものと思われる。来期を見据えると、冬季オリンピックや期末にはFIFAワールドカップが控えておりその受注動向にも注目していきたい。また、広告業界のイベント・プロモーション分野で独立系No.1の同社だが現在は案件の大型化に取り組んでいる。今後はその成果を発揮して利益率を向上させていくものと思われる。こうした中、動画配信においては23年に子会社化した(株)モットとの連携を強めているが、25年1月にはデジタルコンテンツ制作を幅広く手掛けるQetic(株)を連結子会社化し連携を進めていく。グループ戦略は厚みを増している。株価は伸び悩んでいるが、PERは低位にとどまり配当利回りも高い。ROE・配当利回りがいずれも高いことを市場が認識するにつれて見直しが進むだろう。
1.会社概要
広告業界のイベント・プロモーション分野で独立系No.1。顧客の戦略意図を的確にとらえ、記者発表会、PRイベント、展示会、映像配信、SNSなど、リアル・デジタル両面で様々な施策を提案・実施できる総合力を強みに「体験デザイン」の進化を図り、事業を成長させている。
グループは同社の他、イベントの制作・運営・演出及び映像制作を手掛ける(株)ティー・ツー・クリエイティブ、および23年7月に子会社化したCM制作会社である(株)モット、23年7月に設立した色彩豊かなブランド体験を生み出すプランニグブティック(株)いろいろ、25年1月に子会社化したソーシャルメディアやデジタルコンテンツの企画・制作・運用を幅広く手掛けるQetic(株)の連結子会社4社、及び株式追加取得により24/6期から持分法適用関連会社となったイベント会社(株)エスピー・リング東京。

【1-1 パーパス】
企業の社会的存在意義を示すパーパスとして、「新しい時代の体験を創る」を掲げる。
伴走者として顧客企業の商品・サービスの購買、ファン化、継続利用の促進を支援するにあたり、「人を動かす上で最も強い手段」である体験を重視し、「認知獲得の手段」から「ブランドと生活者の距離を縮めるための施策」へと進化する「体験デザイン」の更なる磨き上げを目指している。

(同社資料より)
【1-2 事業内容】
イベント及びプロモーションの企画から実施まで
イベント及びプロモーションは、主催者や広告主が何らかの目的(対象者に情報を発信したいとの意図)を持った時点で案件が発生する。
同社は、主催者や広告主よりその目的についての説明を受け、分析や調査を経て戦略や企画の作成に入り、その後、幾度かのミーティングを繰り返すことにより、当初の企画から基本計画、実施計画、詳細計画へと段階的に移行し、最終的には手法に応じた成果物となり、各種資料に従って準備を進め、イベント及びプロモーションを実施する。
業務範囲と競争優位性
企画から実施までを受注し、「分析・調査」・「戦略立案・コンセプト策定」・「企画提案」・「実施制作」・「効果検証」並びにそれに付帯する業務を行うが、それぞれの課題に応じて多くの手法がある。
リアルイベント、オンラインイベント、動画制作、SNSキャンペーン、デジタル広告運用、デジタルメディア運用、SNSアカウント運用、デジタルサービスUX設計、PR、SP等、それぞれの領域の専門業者を外注先として業務ごとに発注し、プロモーション全体をトータルにプロデュース、ディレクションすることで主催者や広告主の意図することを生活者に伝えることが同社の業務である。
なお、株式会社ティー・ツー・クリエイティブは、このうちイベントの「制作」・「運営」・「演出」を主として行っている。
顧客の戦略意図を的確にとらえ、伴走者として前述のようなリアル・デジタル両面で様々な施策を提案・実施できる点が圧倒的な強み・競争優位性である。
【1-3 事業戦略】
クライアントの拡張と領域の拡張の「2軸の拡張」による事業拡大を推進している。
クライアント拡張においては、クライアントの開拓と同時に幅広いプレーヤーとの協業に注力する。
領域拡張については、オンライン領域の拡張とアライアンスによる領域拡張を目指している。
「2軸の拡張」を、より高度化された総合プロモーションのプランニング及びプロデュースに繋げていく。

(同社資料より)
【1-4 サステナビリティ】
サステナビリティ方針として「社員一人一人が創り出す体験を通じて、企業課題・社会課題の解決に取り組み、持続的に成長する会社へ」を掲げている。同方針の下、企業価値向上に不可欠な人的資本経営の重視を中心とする4つのマテリアリティへの取り組みを強化しており、取締役兼執行役員であるグループCHROの設置、コーポレート室・HR室の新設など推進体制・環境整備のための投資も行っている。

(同社資料より)
(1)人的資本強化
新しい時代の体験を創る多様な人材の拡大、多様な人材の活躍を目指し、採用や育成の強化、評価制度のアップデート、待遇改善に取り組むほか、活躍の場の提供、持続的な活躍のための環境づくりにも注力している。
25年6月期上期は、労働時間管理、各種面談、エンゲージメントサーベイなどに取り組み、労働時間は対前年同期比約12%減少し、離職率も同約6%低下した。
社員面談、教育研修などを実施し、個々人の環境や適性にあわせた各種取組や業務効率化を推進している。制度のアップデートや生産性向上に向けた取り組みにも着手している。
加えて、AIやテクノロジーを活用したプロモーション・イベントの高度化と効率化にも積極的に取り組んでいる。
社員向けAI習得プログラム全12回を実施したほか、Microsoft365 Copilotの全社導入、画像・動画生成関連の有料AIツールの導入を進めた結果、社員のスキルは向上し、8割の社員がAIツールを活用し、業務効率化および高度化を実現している。
(2)環境
同社独自開発のイベントCO2排出量算定ツール「EventGX」の運用を2024年8月に開始した。
一定基準に該当する約200案件でCO2排出量を算出し、クライアントへレポートしている。再生素材やリース品の積極活用や代替エネルギーの使用による化石燃料使用の削減などを取り入れた環境配慮型イベントプロデュース案件の提案・実施が増加している。
2.今後の成長に向けた戦略と取り組み
25/6期、領域の拡張に取り組む戦略
生活者と社会が急速にデジタルシフトし、リアルとデジタルの融合が加速している。企業マーケティングにおいても成果の最大化を追求するために、リアルとデジタルによる統合プロモーションが求められるケースが増加している。
TOWグループのリアルとデジタルを統合する強みを活かして領域の拡大を実践=体験デザインの進化 |
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(同社資料より)
25/6期、リアルイベントの取り組み
体験価値最大化に向けて、デジタル活用型のリアルイベントが増加している。体験型プロモーションの企画力と実行力を強みに街頭イベントが構成比44%と高水準で推移。各種ステークホルダーに向けたカンファレンスや推し活を背景としたIP企業の展示会出展なども活況。気運醸成に向けて実体験を重視する官公庁・自治体のイベントも伸びている。

(同社資料より)
25/6期、ハイブリッドイベントの取り組み
オフラインとオンラインを融合したハイブリッドイベントで、リアルをデジタルに拡張・成果の最大化へ。外資系プラットフォーマーやクラウド上のサービスを提供するSaaS系企業を中心とした情報通信においてハイブリッドイベントが定番化している。対面による深いコミュニケーションとオンライン配信でリーチが拡大できるハイブリッドイベントで効果的なマーケティングを実現させていく。
ハイブリッドイベントのメリット |
●PCやスマートフォンからの参加を可能にし、参加者数の最大化に貢献
●オンライン参加者のアクションを配信・リアル会場に反映し双方向性を実現
●配信を介すことでリアルイベントの演出がアップデートし、深い共感・理解を獲得
インタラクティブ性を重視したハイブリッドイベント | オンラインを活用したビジネスカンファレンス |
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(同社資料より)
|
![]() ●メディア向け新商品発表会 ●パートナー企業向けカンファレンス ●従業員向け方針説明会 |
25/6期、統合プロモーションの取り組み
TVCMを含めた動画、SNS・デジタルコンテンツを組み合わせて領域を拡大させていく。前期に子会社化した映像制作会社「MOTTO」との連携により動画を主体とした統合プロモーションが増加している。TOWが培ってきたイベント、デジタルコンテンツ、SNS、動画を統合する力とグループ連携によって、効果の高いマーケティングをクライアントに提供する。

(同社資料より)
3.2025年6月期第3四半期決算
(1)連結業績
| 24/6期 3Q累計 | 構成比 | 25/6期 3Q累計 | 構成比 | 前年同期比 |
売上高 | 13,152 | 100.0% | 12,524 | 100.0% | -4.8% |
売上総利益 | 2,309 | 17.6% | 2,101 | 16.8% | -9.0% |
販管費 | 655 | 5.0% | 751 | 6.0% | +14.7% |
営業利益 | 1,653 | 12.6% | 1,349 | 10.8% | -18.4% |
経常利益 | 1,686 | 12.8% | 1,382 | 11.0% | -18.0% |
親会社株主に帰属する 四半期純利益 | 1,116 | 8.5% | 916 | 7.3% | -17.9% |
*単位:百万円。数値には株式会社インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。
前年同期比4.8%の減収、同18.0%の経常減益
25/6期3Q累計の売上高は前年同期比4.8%減の125億24百万円。前年度は大型展示会があったためその反動により減収となったが、イベント等のリアルな体験への需要や広告におけるプロモーション市場の堅調さは維持している。
同社ではセグメント別の開示を行っていないため、①「リアルイベント」、②「ハイブリッドイベント」、③「統合プロモーション」、④「その他」に分けて公表している。
カテゴリー別では、統合プロモーションは増収するもリアルイベントやハイブリッドイベントは減収となった。
営業利益は前年同期比18.4%減の13億49百万円。利益面では、売上総利益率は前年同期17.6%から16.8%へ低下し売上総利益は同9.0%減の21億1百万円。販管費が14.7%増加し、営業利益率が前年同期12.6%から10.8%へ低下した。今後の成長に向けた先行投資として、積極的な人的資本投資、AI・環境など強化テーマへの取組による人件費及び販管費が増加した影響もあり減益となったが、高付加価値の提供によるフィー型業務及びグループ内製化により高い収益性は維持している。経常利益は同18.0%減の13億82百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同17.9%減の9億16百万円。
カテゴリー別売上高
①リアルイベント
売上高は前年同期比4.0%減の74億9百万円。飲料や嗜好品の街頭プロモーションのほか、ビジネスカンファレンスや官公庁・団体の大型案件、万博関連などリアル体験への需要は継続した。前年度開催の自動車大型展示会の反動により減収。
②ハイブリッドイベント
売上高は前年同期比10.9%減の15億92百万円。情報通信関連、IPコンテンツ等の案件が堅調に増加した。しかし、昨年開催の大型ハイブリッドイベントの影響もあり減収。
③統合プロモーション
売上高は前年同期比0.9%増の34億53百万円。リアル、デジタル、SNS等を統合した案件に加えて、株式会社モット、Qetic株式会社とのグループ連携が進み、統合プロモーション案件が増加したことにより増収。
④その他
売上高は前年同期比69.0%減の69百万円。事務局系業務が減少した。
(2)財政状態
| 24年6月 | 25年3月 | 増減 |
| 24年6月 | 25年3月 | 増減 |
現預金 | 8,452 | 7,292 | -1,159 | 仕入債務 | 2,046 | 2,620 | +574 |
売上債権 | 3,541 | 3,796 | +254 | 短期借入金 | 840 | 532 | -307 |
未成業務支出金 | 79 | 159 | +80 | 未払法人税等 | 611 | 68 | -543 |
未収入金 | 40 | 26 | -14 | 退職給付負債 ・役員退職慰労金 | 325 | 343 | +18 |
前払費用 | 199 | 271 | +71 | 負債 | 4,782 | 3,606 | -1,176 |
流動資産 | 12,326 | 11,556 | -769 | 純資産 | 9,302 | 9,722 | +419 |
投資その他 | 1,497 | 1,423 | -74 | 負債・純資産合計 | 14,085 | 13,329 | -756 |
固定資産 | 1,759 | 1,772 | +12 | 有利子負債合計 | 840 | 532 | -307 |
*単位:百万円。未収入金:ファクタリング方式により譲渡した売上債権の未収額
3Q末の総資産は、現預金の減少などにより前期末比(以下同)7億56百万円減少し、133億29百万円。
負債合計は、未払法人税等や短期借入金の減少などにより11億76百万円減の36億6百万円。
純資産は、利益剰余金の増加などにより4億19百万円増の97億22百万円。
自己資本比率は前期末比6.9ポイント増の72.9%となった。
4.2025年6月期業績予想
(1)連結業績
| 24/6期 実績 | 構成比 | 25/6期 予想 | 構成比 | 前期比 |
売上高 | 17,503 | 100.0% | 18,000 | 100.0% | +2.8% |
営業利益 | 2,006 | 11.5% | 2,120 | 11.8% | +5.7% |
経常利益 | 2,058 | 11.8% | 2,150 | 11.9% | +4.5% |
親会社株主に帰属する 当期純利益 | 1,405 | 8.0% | 1,428 | 7.9% | +1.6% |
*単位:百万円
25/6期は前期比2.8%増収、4.5%経常増益を見込む
通期予想は修正なく、25/6期は売上高が180億円(前期比2.8%増)、営業利益21億20百万円(同5.7%増)、経常利益21億50百万円(同4.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は14億28百万円(同1.6%増)を見込む。
主力業種のイベント・プロモーションが堅調な受注、加えて下期には万博関連業務が寄与して増収の見込み。なお、例年の売上構成比は上期55%程度・下期45%程度だが、25/6期は一昨年開催の自動車大型展示会の反動減と下半期の万博関連業務が寄与するため、上期の売上高は88億円で売上構成比49%、下期の売上高は91億円で売上構成比51%を計画する。
利益面では、持続的な成長に向けて積極的な人的資本投資、AI・環境など強化テーマへの取組を継続し、人件費及び販管費は前年を大きく上回る予定。主力業種のイベント・プロモーションの堅調な需要に加えて、万博関連業務の寄与、Qetic株式会社の合流によりさらなる統合プロモーション領域拡張への取り組みとグループ内製化、高付加価値の提供によるフィー型業務による収益確保を引き続き推進する。
予想期末配当も修正なし。決算発表日の前日(24年8月7日)の終値に株価配当利回り4.5%を乗じて算出された14.13円が最低配当金となるが株式市場の相場急変動を受けたことを考慮し期末7.50円/株、年間で15.00円/株とする予定。
(2)下期のトピックス
今後の強化方針
●25年1月15日に、エンターテイメント・カルチャー領域に強いデジタル制作会社Qeticを子会社化
●グループ連携を加速し、体験価値をコアに統合プロモーション・イベントのプランニング及びプロデュースを推進する
●イベント制作、動画制作、デジタル制作のグループ体制を整備、またクオリティ・収益向上を実現させていく
Qetic×TOWの連携による体験デザインの進化
TOWのプランニング・プロデュース力とQeticのエンタメ・カルチャーを軸としたネットワーク・デジタル・編集力によって、イベントやプロモーションにカルチャー文脈を掛け合わせてクリエイティブ力・共感性・リーチ数等を向上させ、体験価値の最大化を実現させる。
万博関連業務
25年4月に開幕した「大阪・関西万博」では、同社の強みを活かして幅広い領域の業務を推進中。主催者催事・パビリオンの運営、演出制作業務に加え、集客を目的とした事前PR業務や事前啓蒙イベント、パビリオン全体のプロデュース、展示体験コンテンツの企画制作、デジタルを活用したプロモーション業務など、多岐にわたる業務で同社グループの強みを活かした体験価値を提供予定
◇主催者催事 主催催事演出業務、パビリオン展示体験演出 催事管理業務、事前PRイベントなど
◇民間関連業務 パビリオン全体プロデュース、展示体験コンテンツの企画制作、デジタルを活用したプロモーション業務など
◇その他 海外出展社の事前PRイベント制作、 官公庁主体の事前啓蒙イベントなど |
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(同社資料より)
5.今後の注目点
3Q累計では減収減益となったものの、通期の増収増益予想は変えていない。今後は万博関連業務などが本格的に上乗せされるものと思われる。来期を見据えると、冬季オリンピックや期末にはFIFAワールドカップが控えておりその受注動向にも注目していきたい。また、広告業界のイベント・プロモーション分野で独立系No.1の同社だが現在は案件の大型化に取り組んでいる。今後はその成果を発揮して利益率を向上させていくものと思われる。こうした中、動画配信においては23年に子会社化した(株)モットとの連携を強めているが、25年1月にはデジタルコンテンツ制作を幅広く手掛けるQetic(株)を連結子会社化し連携を進めていく。グループ戦略は厚みを増している。
株価は伸び悩んでおり、PERは低位にとどまり配当利回りも高い。24/6期のROEは15.9%を確保、高い利回りを維持できる配当方針に加えて、自己株式の取得も随時行っており、株主還元にも積極的。ROE・配当利回りがいずれも高いことを市場が認識するにつれて見直しが進むだろう。
<参考1:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査等委員会設置会社 |
取締役 | 8名、うち社外4名(独立社外取締役4名) |
◎コーポレート・ガバナンス報告書 更新日: 2025年2月25日
<基本的な考え方>
当社では、コーポレート・ガバナンスの意味を「企業価値の継続的な向上を目指して、経営層による適正かつ効率的な意思決定と業務執行、並びにステークホルダーに対する迅速な結果報告、及び健全かつ公正で透明性の高い経営を実現する仕組みの構築・運用」と考えております。
株主をはじめ、顧客、従業員その他のステークホルダーに対する責任を果たすとともに、当社の継続的成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを目的として、以下の基本方針に則って、実効性あるコーポレート・ガバナンスを実現してまいります。
1.株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
2.株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、適切に協働する。
3.会社情報を適切に開示し、透明性を確保する。
4.取締役会による業務執行に対する監督機能の実効性を向上させる。
5.中長期的な株主の利益と合致する投資方針を有する株主との間で建設的な対話を行う。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
【補充原則4-1-2 中期経営計画に対するコミットメント】 【原則5-2 経営戦略や経営計画の策定・公表】
当社は、単年度の業績目標の達成を最重要課題としており、また事業環境の不連続性から中期経営計画の策定は現在凍結しておりますが、持続的な成長およびパーパスの実現に向け、2021年6月期第2四半期決算説明会において策定、公表した、クライアントの拡張と領域の拡張の「2軸の拡張」による事業拡大戦略を推進しております。なお、持続的な成長を実現していくためにも、中期的な視点に立った経営ビジョンの策定や戦略立案が重要であると考えているとともに、環境変化に合わせた機動的な対応が重要であると考えております。その具体的な内容につきましては、有価証券報告書の「優先的に対処すべき課題」にも記載をしております。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>
【原則1-4 政策保有株式】
当社の純投資目的以外の投資を行う際の基本方針は、投資対象会社との業務提携、情報共有等を通じて当社の統合プロモーション事業におけるシナジー効果が期待されることであり、中長期的な視点で価値向上を図るために、取引先との関係強化の観点等を踏まえ、効果が見込まれると判断した場合に限り、必要最小限の上場株式を保有することとしています。
政策保有株式の議決権の行使については、適切な対応を確保するために、議案毎に、保有先企業の中長期的な企業価値の向上、当社及びグループ会社の中長期的な経済的利益の増大等の観点から総合的に判断するものとし、主要な政策保有株式については、議決権行使の状況を取締役会に報告します。
【原則2-3 社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題】
【補充原則2-3-1 サステナビリティを巡る課題への対応】
【補充原則3-1-3 サステナビリティについての取組み】
【補充原則4-2-2 サステナビリティを巡る取組みに関する方針の策定】
当社取締役会は、パーパスの実現に向けてサステナビリティ課題への取り組みを行うことは経営上の重要課題として認識し、取締役会の諮問機関として設置したサステナビリティ委員会での審議・答申を行うガンバナンス体制を構築するとともに、取締役会による監督体制を構築いたしました。当社グループのサステナビリティ方針を「社員一人一人が創り出す体験を通じて企業課題・社会課題の解決に取り組み、持続的に成長する会社へ」とし、この方針の下、「持続可能な社会に貢献」及び「持続的な企業価値の向上」の2軸の持続可能性に鑑み、4つのマテリアリティを特定し、戦略として策定しております。その具体的な内容につきましては、有価証券報告書の「サステナビリティに関する考え方及び取り組み」にも記載をしております。
https://tow.co.jp/ir/library/report/
【補充原則2-4-1 中核人材の登用等における多様性の確保】
当社は、多様性を確保するため、性別や年齢、国籍、経歴等に関わらず採用を行っております。また、中途採用者を積極的に中核人材として登用し、取締役及び執行役員を除く管理職における中途採用者の割合は40%を超え、当社の取締役及び執行役員においては75%の状況です。また、女性社員の管理職への登用に関しては、2024年9月末現在で7名、全管理職の17.1%という状況であり、女性取締役も選任しております。外国人の登用については、当社の事業のほとんどが国内中心に行われており、測定可能な目標は設定しておりません。また、中途採用の管理職についても、当社が必要とする能力は採用ルートとの関連性が低いため、測定可能な目標は設定しておりません。なお、当社の方針、環境整備につきましては、有価証券報告書の「サステナビリティに関する考え方及び取組」にも記載をしております。
https://tow.co.jp/ir/library/report/
【補充原則4-11-1 取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方】
当社は、定款により、取締役の員数を14名以内と定めており、2024年9月末現在8名(うち社外取締役4名)で取締役会を構成しています。取締役会を構成するメンバーについては、経験、知見、能力等における多様性に配慮しています。スキルマトリックスについては、株主総会招集ご通知においても開示しております。
https://tow.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/
第48期定時株主総会招集通知及び株主総会資料.pdf
【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、株主・投資家との双方向の建設的な対話を促進し、これにより当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた実効的なコーポレート・ガバナンスの実現をはかることを、当社の責任を果たす上での最重要課題の1つと位置付けます。このような考えに基づき、当社は以下のような施策を実施します。
1.株主との対話に関する担当取締役の指定
当社は、経営トップ自らが株主との対話に取り組み、管理本部長がIR実務を統括します。
2.社内部署の有機的な連携のための方策
当社は、IR担当部署でもあるコーポレートサービスチームが経理チームと日常的に打ち合わせや意見交換を実施しており、開示資料作成に際しても連携し、経営トップを交えて内容の検討を行っております。
3.個別面談以外の対話の手段の充実に関する取組み
当社は、株主総会を株主との重要な対話の場と位置付け、株主総会において、当社事業に関する十分な情報開示の確保をはじめ、株主の皆様からの信認を得られるような運営につとめます。
また、当社は、定期的に決算説明会を開催することにより、株主・投資家の皆様とのより緊密なコミュニケーションの実現につとめます。
4.株主の意見・懸念のフィードバックのための方策
当社は、株主・投資家との対話において把握されたご意見や当社に関する懸念を担当部署において取りまとめ、その重要性や性質に応じ、これを定期的に経営陣幹部や取締役会に報告するための体制を整備します。
5.インサイダー情報の管理に関する方策
当社は、株主・投資家の実質的な平等性を確保すべく、公平な情報開示につとめることを基本方針とします。当該方針に基づき、当社に関する重要情報については、適時かつ公平にこれを開示することとし、一部の株主・投資家に対してのみこれを提供することがないよう、その情報管理の徹底につとめます。
【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(検討中)】
当社のPBRは1倍を超えており、また企業価値向上に向けた取り組みは継続して実施しておりますが、将来に向けての方針や施策については議論を重ねております。
<参考2:対処すべき課題と取り組み>
対処すべき課題
2024年6月期は、通期を通して主力事業であるリアルイベント回帰の動きが本格化し、コロナ禍においての業績の落ち込みと、特定のBPO業務による影響が混在する状況から、売上高、経常利益ともにコロナ前の2019年6月期水準を上回るところまで回復いたしました。
2025年6月期においては、緩やかな景気回復基調が期待されるものの、世界的な金融面・地政学面・供給面での変動影響が懸念される等、先行き不透明な状況が予想されます。
このような事業環境の中、当社グループは、持続的な成長及びパーパスの実現に向けて、体験デザインの進化による事業成長と、人的資本をはじめとした基盤強化によってサステナビリティ経営を推進してまいります。
◎事業成長について
コロナ禍における3年間の取り組みとして「2軸の成長戦略」を掲げ、「クライアントの拡張」と「領域の拡張」による事業拡大を推進してまいりました。今後も、体験価値を軸としたマーケティングに対する期待を背景に、既存取引先に加えて新規取引先の開発を強化し、受注先の拡大を進めてまいります。また、生活者や社会のデジタルシフトが急速に進み、リアルとデジタルによる統合プロモーションが求められるケースが増加しております。今後も、当社グループのリアルとデジタルを統合する強みを活かして事業領域の拡大を実践し、体験デザインの一層の進化を図ってまいります。なお、収益面においては、高付加価値の提供によるフィー型業務及びグループ内製化を継続して推進してまいりましたが、2025年6月期は、高い収益力の維持向上のうえ、基盤強化に向けて戦略的な費用投下を進め、中期的な成長を目指してまいります。
◎基盤強化について
当社グループのサステナビリティ方針である「社員一人一人が創り出す体験を通じて企業課題・社会課題に向き合い、持続的に成長する会社へ」に基づき、人的資本経営を中心とする4つのマテリアリティへの取り組みを推進しております。そのための体制強化として、グループCHROの任命、部署の新設、人員の配置を行ったほか、環境整備のための投資を進めております。
①人的資本経営の推進
中長期的な業績拡大を目指し、社員数の持続的な拡大を進め、提供価値の高い人材を増やしてまいります。そのために、新卒・キャリア採用の強化、人事制度やベースアップを含めた評価・報酬体系のアップデート、女性活躍の取り組み等を通じて、新しい時代の体験を創る多様な人材が活躍できる会社を目指してまいります。
②AI・テクノロジー活用
2025年6月期は積極的な投資を行い、「体験デザインの向上」と「業務効率化」に取り組みます。専門部署を新設し、AIツールを導入したほか、全社員向けの施策として当社独自の実践型研修プログラムをスタートしており、全社員の8割が業務にAIを活用できる状態を目指してまいります。
③環境に関する取り組み
クライアントのESG意識の加速や、生活者のSDGsへの関心の高まりを背景に、取り組みを強化いたします。これまでも環境配慮型イベントをプロデュースするために「サステなイベントガイドライン」を進めてまいりましたが、更なる強化へ向けて、イベントCO2排出量可視化ツール「EventGX」を開発し、2024年8月からサービスを提供おります。
②コンプライアンス
委員会体制を再編・強化し、重点管理項目を定めて実行推進を図ってまいりました。また、コンプライアンス基本方針も再整備し、「全ての行動、判断において利益よりもコンプライアンスを優先する」を定めております。ほか、専門部署の設置や、各現業部門に専門人材を配備することで、業務プロセスにおける法令遵守を管理してまいります。
今後も、当社のパーパスである「新しい時代の体験を創る」の実現に向けて、持続的な成長と企業価値の向上の実現を図ってまいります。
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