ブリッジレポート:(3323)レカム 2025年9月期決算
![]() 伊藤秀博 社長 | レカム株式会社(3323) |
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企業情報
市場 | 東証スタンダード市場 |
業種 | 卸売業 |
代表取締役社長兼グループCEO | 伊藤秀博 |
所在地 | 東京都渋谷区代々木三丁目25番3号 あいおいニッセイ同和損保新宿ビル12階 |
決算月 | 9月 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数(期末) | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
79円 | 82,670,255株 | 6,530百万円 | 3.9% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
1.20円 | 1.5% | 3.95円 | 20.0倍 | 62.60円 | 1.3倍 |
*株価は12/16終値。2025年9月期決算短信より。
業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 税引前利益 | 当期利益 | EPS | DPS |
21年9月(実) | 6,628 | 210 | 153 | -316 | -3.88 | 0.00 |
22年9月(実) | 8,920 | 413 | 457 | 351 | 4.32 | 1.00 |
23年9月(実) | 9,510 | 450 | 490 | 314 | 3.87 | 1.60 |
24年9月(実) | 11,687 | 269 | 307 | 83 | 1.03 | 1.60 |
25年9月(実) | 13,088 | 407 | 447 | 196 | 2.43 | 1.00 |
26年9月(予) | 14,800 | 550 | 560 | 320 | 3.95 | 1.20 |
*単位:百万円。IFRS適用。予想は会社側予想。当期利益は親会社の所有者に帰属する当期利益、以下同様。
レカム株式会社の2025年9月期決算概要などをお伝えします。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2025-2027年 中期経営計画
3.2025年9月期決算概要
4.2026年9月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 日本を含む世界9か国の顧客企業に「カーボンニュー トラル」「コストダウン」「サイバーセキュリティ」等のソリューションを提供する「BtoBソリューションプロバイダー」。時代に合った最先端の商材やサービスを、強みであるダイレクトマーケティング力で、全世界の顧客にソリューションとして提案し、グローバル事業の成長を加速させる「グローバル専門商社構想」で大きな成長を追求している。
- 2025年9月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画では、営業DXの実現により、省人体制でも高効率な営業成果が得られる仕組みを構築する。その仕組みはM&Aでグループ化した企業にも移植し、バリューアップを図る。最終年度2027年9月期までに「売上高成長率CAGR 20%以上」「売上高営業利益率10%以上」「ROE 20%以上」の達成を目標としている。
- 25年9月期は増収増益。売上収益は前期比12.0%増の130億88百万円。子会社化したシンガポールのTAKNET社の寄与もあり、18期ぶりに過去最高を記録した。営業利益は同51.4%増の4億7百万円。増収に伴い売上総利益も同9.7%増加。販管費は前年同期並みにコントロール。25年11月7日に業績下方修正を公表した。国内ソリューション事業及びBPR事業における売上低迷及びそれに伴う利益減少、営業利益におけるタイ子会社株式の減損損失計上などが主要因。これに伴い、配当予想も1.60円/株から1.00円/株に修正した。
- 26年9月期の売上収益は前期比13.1%増の148億円の予想、2期連続で過去最高を見込む。全セグメント増収予想。営業利益は同34.8%増の5億50百万円の予想。海外ソリューション事業は引き続き好調。国内ソリューション事業、BPR事業の急回復を見込む。配当は前期比0.20円/株増配の1.20円/株を予定。予想配当性向は30.3%。
- 伊藤社長に株主・投資家へのメッセージを伺った。「第3四半期まではほぼ想定通りに進捗したものの、最も稼ぎ時である第4四半期(7‐9月)に計画通りに売上を伸ばすことができず、業績予想の下方修正、配当も配当性向30%という基本方針に則り減配という結果となってしまったことに関して、改めてお詫び申し上げます。営業人員の増強も進んでおり、今期はまずは売上の拡大に注力してしっかりと計画を達成し、中長期的にも競争優位性の高い商品やサービスを武器に、グループシナジーを発揮して成長を追求してまいりますので是非ご期待ください。」とのことだ。
- 中期経営計画の重要なキーワードである「営業DX」については、社員一人一人の意識や行動(顧客との商談履歴や営業活動の入力など)が不可欠だが、社員の意識は明確に向上しているという。評価制度における項目にも、そうした行動を追加し、より一層の意識向上を図っている。短期的には今期目標の確実な達成、中期的には営業DXを推進する中で、「AIサーバー」「AIエージェント」「SPACECOOL」という重点3商材の販売実績を注視していきたい。
1.会社概要
日本を含む世界9か国の顧客企業に「カーボンニュー トラル」「コストダウン」「サイバーセキュリティ」等のソリューションを提供する「BtoBソリューションプロバイダー」。時代に合った最先端の商材やサービスを、強みであるダイレクトマーケティング力で、全世界の顧客にソリューションとして提案し、グローバル事業の成長を加速させる「グローバル専門商社構想」で大きな成長を追求している。中期経営計画では、2027年9月期までに「売上高成長率CAGR 20%以上」「売上高営業利益率10%以上」「ROE 20%以上」の3指標達成を目標としている。
【1-1上場までの沿革】
元来独立心が旺盛であった伊藤秀博氏(現レカム株式会社 代表取締役社長兼グループCEO)は、将来社長になるためには、まず自分がある程度大きな会社の一兵卒として働いてみないと組織の運営が分からないと考え、22歳の時、新日本工販株式会社(現 株式会社フォーバル)に入社。オフィス機器の営業で大きな実績を積み上げる。同社が事業を拡大する中で、新たに設立された福岡支店長に任命され、見知らぬ土地で顧客ゼロの中、2年間で支店立ち上げを成功させる。
起業のための経験を積み自信を持った伊藤氏は、1991年に独立して株式会社アイ・シー・エスを設立し、フォーバル在籍時と同様、オフィス機器の営業を開始するが、想定通りには売上が上がらない。その理由として、一つは信用力の不足、もう一つは社長であるがゆえに、自分が最も得意とする営業に集中、専念できていないということに気付いた伊藤氏は、「独立はしたものの、自分と同じように苦労している社長が世の中には大勢いるだろう。では、彼らに信用力と営業に専念できる環境を提供し、スムーズな立ち上げを支援してあげよう」と考え、1994年に通信機器・OA機器の販売を目的とした株式会社レカムジャパン(現レカム株式会社)を設立し、1995年に業界初となる「営業のフランチャイズ」の加盟店募集を開始した。
レカムはNTTの通信機器をメインで扱っていたため、レカムのFC加盟店は「NTT特約店」という看板を使うことができることに加え、信用力で劣っていてもレカムを通じてリース会社とも取引が可能であるため、商品調達にも何ら支障がない。2003年には中国・大連にコールセンターを開設し、FC加盟店のアウトバウンド営業(アポ取り電話)の支援も開始した。こうした「営業のフランチャイズサービス」は高く評価され、加盟店数増加とともに同社の収益も順調に拡大。
2004年、大阪証券取引所ニッポン・ニューマーケット「ヘラクレス」に上場した。
【1-2 企業理念】
以下の企業理念の4項目すべてに「私たちは」「社会貢献」を掲げている。全社員で社会貢献することに自社の社会的存在意義があると考えている。
* | 私たちは、お客様にとって最適の、情報通信システムの構築をすることにより、社会に貢献致します。 |
* | 私たちは、お客様にとって最大限の、経費削減のお手伝いをすることにより、社会に貢献致します。 |
* | 私たちは、お客様に迅速かつ安心していただける、保守サービスを提供することにより、社会に貢献致します。 |
* | 私たちは、私たち自身が人間として成長することにより、社会に貢献致します。 |
社名「レカム」は以下の社是を表わしたものである。
特に「C」は、チャレンジの「C」であり、創業以来、常に他社がやらない業界初、日本初のビジネスにチャレンジを続けている。

(同社ウェブサイトより)
グループ経営ビジョンとして「A&A111+」(Action & Achievement 「行動、そして達成」)を掲げている。
「111」は、
・ 株主にとって リターン 「No.1」
・顧客にとって「オンリー 1」
・業界で質量共に 「No.1」
を、「+」は、
・従業員にとって最も魅力的な「Best1」企業グループを意味し、全てのステークホルダーにとって「1番の企業グループ」であることを目標としている。
こうした理念やビジョンをベースに、「BtoBソリューションプロバイダーとして世界を代表する企業グループ」を目指している。
【1-3 事業内容】
(1)ビジネスモデル
5つのソリューション「BtoBソリューション5(Five)」を国内外の顧客企業にワンストップで提供している。製品やサービスは国内外のメーカーやシステム開発会社との独占販売権を含んだ販売契約に基づきラインアップしている。
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(同社資料より)
(2)セグメント
報告セグメントは、「国内ソリューション事業」「海外ソリューション事業」「BPR事業」の3つ。

①国内ソリューション事業
同社の祖業。主として、「コストダウンソリューション」「カーボンニュートラル&コストダウンソリューション」「サイバーセキュリティソリューション」「感染症対策ソリューション」を提供している。
ソリューション | 概要 |
コストダウンソリューション | 1994年9月に事業開始。ビジネスホン、複合機等やサービスによる省力化・省スペース化を図るコストダウンのソリューションを提供している。
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カーボンニュートラル&コストダウンソリューション | LED照明、業務用エアコン等の商材やサービスにより、 CO2排出量や電気代等の販管費を削減するカーボンニュートラルやコストダウンのソリューションを提供している。
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サイバーセキュリティソリューション | 2015年3月に中国ヴィーナステック本社との合弁によるヴィーナステックジャパン株式会社を設立し事業を開始。ワークスタイルの変化に対応したUTM(統合脅威管理)をメインとしたサイバーセキュリティソリューションを提供している。
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感染症対策ソリューション | 2020年5月に事業開始。新型コロナウイルス、インフルエンザ、ノロウイルス等の除菌、消臭効果がある商材やサービスによる感染症対策のソリューションを提供している。
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加えて、「ファイナンスソリューション」により、顧客は提携リースを利用することで、最小の初期コストで製品・サービスの利用を開始することができる。
累計顧客数は6万社に上る。
②海外ソリューション事業
中国、インド、ASEAN地域において、主として、「カーボンニュートラル&コストダウンソリューション」「AIサーバー」「感染症対策ソリューション」を提供している。
M&A戦略を積極的に推進し、ローカル企業の顧客開拓に注力していく考えだ。
ソリューション | 概要 |
カーボンニュートラル&コストダウンソリューション | 2015年10月に中国大連市でLED照明の販売を開始。LED照明や業務用エアコンを活用し、CO2排出量や電気代を削減するコストダウンソリューションを提供している。
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AIサーバー | 2024年7月にシンガポールのTAKNET SYSTEMSを子会社化。高性能GPUを多数搭載し、優れた冷却技術を備えた、生成AI向けの高効率かつ拡張性の高いソリューションを提供している。 |
感染症対策ソリューション | 2020年6月及び9月にウイルス除菌装置の海外8か国における独占販売権を取得し、感染症対策ソリューションの提供を開始した。
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海外においても、「ファイナンスソリューション」により、顧客は提携リースを利用することで、最小の初期コストで製品・サービスの利用を開始することができる。
現在の進出国は、中国(2015年10月)、ベトナム(2017年8月)、マレーシア(2018年2月)、インド(2018年10月)、タイ(2019年6月)、インドネシア(2019年6月)、シンガポール(2024年7月)の7か国。
顧客数は約3,000社。カーボンニュートラルソリューションのニーズを有する大手日系製造業の工場が主要販売先である。
国内でIT機器の営業経験を積んだ日本人社員が海外に赴任して、海外でソリューションを販売している。
営業担当者と日本語でコミュニケーションが取れる点は、日系企業の顧客、特に日本人経営層に対し大きな安心感を提供しており、顧客開拓及び契約継続という点で大きなアドバンテージとなっている。
③BPR(Business Process Re-engineering)事業
2003年10月に大連に自社内向けアウトソーシングを行うセンターを設立し、2009年10月より外部受託を開始。
2019年10月に間接業務受託のBPO(Business Process Outsourcing)事業から、業務再構築支援のBPR事業に事業領域を拡大。
2023年5月にRobo Workerの日本での独占販売を開始。企業のDX推進を支援している。

(同社資料より)
顧客数は約100社。売上構成では、ECサイト運営会社からの受託が最も大きい。サイト利用者の発注データの入力を、人件費コストの安いオフショアで行っている。顧客にとっては、コストを受注量に応じた変動費化できる点が大きなメリットである。
また一旦取引が始まると顧客には他社に乗り換えるインセンティブは働きにくく、同社は安定的な収益を獲得することができる。
【1-4 特長・強み・競争優位性】
「変化に対応して成長を続けるレジリエンス。源泉は企業理念、チャレンジ精神、リーダーシップ」
24年9月期に久しぶりに売上高100億円を超え、25年9月期は18期ぶりに過去最高売上を記録した同社だが、創業以来30年間、決して順風満帆であったわけではない。
【1-1上場までの沿革】にあるように、創業直後は想定通りには販売が伸びない時期を経験したが、そこから「営業フランチャイズ」という仕組みを産み出し、「IT機器販売会社」として成長し、2004年には株式を上場させた。
2006年にPHSの製造会社を買収し、その販売によって2007年9月期には初めて売上高100億円を突破したが、その後のリーマンショックによって売上は急減。2009年9月期には大幅な損失を計上せざるを得ず、経営危機を迎えた。
この雌伏の期間に事業再構築に取り組み、IT機器販売に加えBPO事業にも進出し、2014年9月期を底にV字回復を果たす。2017年9月期からは「グローバル専門商社構想」をスタートさせた。コロナ禍の影響を大きく受けたものの、「BtoBソリューションプロバイダー」として、2020年からは再々成長のフェーズに入り、25年9月期は18期ぶりに過去最高売上を記録し、26年9月期も2期連続で過去最高更新を見込んでいる。
経営危機を経験しながらも、ここまで回復、成長を続けてきたレジリエンス(※)は同社の大きな特長である。
※レジリエンス:困難をしなやかに乗り越え回復する力
その源泉は、全社員で社会貢献することが自社の社会的存在意義であるとの企業理念の下、創業以来、常に他社が手掛けない新しい事業、新しい商材を探究し、いち早く多国化展開を志向したチャレンジ精神や、それを全社に浸透させている伊藤社長の経営力、リーダーシップであろう。

(同社資料より)
2.2025-2027年 中期経営計画
2025年9月期を初年度、2027年9月期を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画を推進中である。
【2-1 基本戦略】
基本戦略として「グローバル専門商社構想」を掲げている。
これは、時代に合った最先端の商材やサービスを、同社の強みであるダイレクトマーケティング力で、全世界の顧客にソリューションとして提案し、グローバル事業の成長を加速させるもの。
各国の事業会社が、「ステージ1:顧客開拓」「ステージ2:顧客囲い込み」「ステージ3:ローカル市場開拓」「ステージ4:新規事業創出」の4つのステージを推進してそれぞれ独自の成長を目指す。

(同社資料より)
◎各ステージの状況
現時点では、「ステージ1:顧客開拓」はインド、中国、「ステージ2:顧客囲い込み」はベトナム、タイ、インドネシア、「ステージ3:ローカル市場開拓」はマレーシア、シンガポールが対応する。
各国ごとにビジネスのステージを上げ、グローバル展開を加速する考えだ。
「ステージ3:ローカル市場開拓」においては、2021年にSLWL社がグループ入りし、マレーシアのLEDローカル市場に進出したほか、Greentech International Pte. Ltd.の株式を30%取得し、間接的にシンガポールに進出した。
2023年にはSLWE社がグループ入りし、マレーシアの電気部品ローカル市場への進出を開始。2024年にはTAKNET社がグループ入りし、シンガポールのAIサーバーローカル市場に進出した。2025年に照明器具卸売事業会社Lumitron社M&Aを発表した(株式譲受は2026年1月の予定)。
各地域で着実に実績を積み上げ、「ステージ4:新規事業創出」へのステップアップを目指している。
◎戦略商品の投入
グローバル専門商社に向けて、ユニークで時代に合った最先端の商材やサービスのラインアップ拡充も進んでいる。
2020年に取り扱いを開始した空気浄化装置「ReSPR(レスパー)」は海外8か国で独占販売権を取得している。
2023年にはAI-RPA「RoboWorker」の日本語版の独占販売を開始したほか、2024年には放射冷却性能素材「SPACECOOL」の国内外での販売を開始した。シンガポールのTAKNET社子会社化により、AIサーバーの取扱いも開始している。
【2-2 新中期経営計画達成に向けての課題と方針】
前回の中期経営計画では目標として「売上高成長率CAGR31.3%」を掲げたものの未達であった。
脱炭素のための自社ブランドLED照明「レンティア」の高性能な省力化商品投入、海外における戦略的パートナーシップの拡大など想定通り進展した戦略もあったが、「新規顧客開拓と新商品開発の両立が困難」「営業担当者1人当たり生産性の低迷」「営業担当者採用が困難」「海外ローカル企業向けのブランド不足」などの課題が浮き彫りとなり、「商品・サービス開発力」及び「顧客開拓」を強力に推進するためには、人的リソースに依存しない仕組み(営業DX)を確立の上、M&Aを積極的に推進して成長スピードアップを図ることが不可欠と考えている。
中期経営計画の方針
VISION:営業DX×M&A
* | 既存営業の高度化により、顧客データ基盤を整え、データに基づいたアプローチを実行する。 |
* | 営業DXの実現により、従来型営業よりも大幅な営業効率向上の実現を目指す。 |
* | M&Aによりグループ化した企業にも営業DXを移植しバリューアップを図る。 |
* | レカム自身の高度化とM&Aの加速の両輪により、持続的な成長を実現する。 |
真の「営業DX」実現に向けては、データベース構築がカギを握る。潜在見込み客も含めたデータベースを基に、人間の感性・記憶・価値観に頼ることなく、最もタイムリーなタイミングで、最も適した商材・サービスの営業に行くことが営業DXの目指す姿であり、そのためには各営業スタッフが商談内容を始めとした顧客情報をきめ細かく入力していく必要がある。
営業スタッフからすれば手間のかかる作業ではあるが、「営業DXが会社にとっても自身にとっても極めて重要である」という認識を全員で共有することが真の「営業DX」実現には不可欠であり、この意識改革が最も重要であると、同社では考えている。
【2-3 新中期経営計画達成に向けた取組み】
(1)基本的な考え方
営業DXの実現により、省人体制でも高効率な営業成果が得られる仕組みを構築する。その仕組みはM&Aでグループ化した企業にも移植し、バリューアップを図り、年率20%を超える持続的な成長を実現する。

(同社資料より)
(2)具体的な取り組み
<営業DX>
「Phase1:短期達成目標」として「既存営業の高度化」を掲げている。
営業データの統合や深い顧客理解、データに基づくアプローチなど、現時点ではクリアすべき課題は多いが、営業スキルの底上げと早期戦力化を図る。
「Phase2:中期達成目標」としては、「提案ソリューション磨きこみ」と「反響型営業スタイル確立」を掲げている。
こちらにおいても、業種別成功事例、インサイドセールスなどが未だ確立できていない点が課題だが、提案効率を高めるアプローチや、労働集約型ではない営業の実現を目指す。
以上のような目標の下、営業DXでは、CRMシステムへのデータ連携を短期間で実施し、システムを軸とした営業を徹底する。
顧客情報に基づいた営業活動を行うことで、「営業」「育成」「商品開発」の全ての側面における経営改善効果が期待でき、前中計の課題であった「商品・サービス開発力」及び「顧客開拓力」を一段と強化する。
◎営業
顧客の求めるタイミングで営業社員がアプローチする。リプレイス時期が来たタイミングでの訪問を100%実行することで、受注率の向上を実現する。
◎育成
データに基づく営業実施により、経験年数の少ない若手営業社員でも受注率の高まる営業アクションを取ることができるなど、早期戦力化を実現し、人材育成のスピードアップを図る。
◎商品開発
新商品開発に充てる時間を確保することで開発力を向上させる。これまでマネジメントに奔走していた管理層の意識を新商品開発へシフトさせる。
【2-4 各事業における重点施策】
同社では、CRM活用を軸とした営業DXによる各事業部への波及効果も見込んでいる。
(1)国内ソリューション事業
<重点施策>
「新規開拓」「ストック売上比率上昇」「顧客満足度の向上」を強化する。
各施策において目標とする売上を定め、厚い収益基盤へのモデルチェンジを図る。
「新規開拓」においては、カーボンニュートラルソリューション、コストダウンソリューション、サイバーセキュリティソリューションにおける成長力のある新商品開発が不可欠である。
「ストック売上比率上昇」においても、新たなストック商材・ストックサービスの導入が必要である。
「顧客満足度の向上」には、サービス&サポートセンター体制の強化と訪問保守の迅速化がカギとなる。
CRM活用を軸とした営業DXは、最適な営業活動を推進し人材育成を加速化するほか、新規商材開発が新規顧客獲得へ繋がると考えている。
また、新ストックモデルの構築によるストック比率の向上、離脱率の抑止、1顧客当たりの商品導入率の向上、DX活用による訪問保守の迅速化にも繋がる。

(同社資料より)
(2)海外ソリューション事業
<重点施策>
「ローカル人材の育成」と「ターゲティングの精度アップ」によって各国のローカル企業を攻略する。
ローカル企業へ自社ブランド製品の高い品質・魅力をローカル言語で伝えられる人材の育成とターゲットの絞り込みによって攻略を加速させる。
ローカル人材の育成においては、研修・OJT・改善のサイクルを回すことで、仕組みを構築し、育成効率を向上させる。
ここにおいても、CRMを軸とした行動基準を設定することで、より効果的な仕組みの構築に繋げていく。
ローカル事業のターゲティング先としては、日系企業に対しては引き続きアプローチするほか、日系企業と取引のある有力企業も重点ターゲットと位置づけ、事例づくりのための営業を推進する。
ローカル企業内でも品質に対して感度の高い有力企業は上記の事例を基に積極的に開拓を推進するが、低価格商品のみ求めるローカル企業はターゲット外とする。
(3)海外M&A企業
<重点施策>
M&A企業とレカムグループの両社が持つ優位性を生かした相乗効果により、更なる業績アップを狙う。
レカムグループによる現地日系企業の開拓、M&A企業によるローカル企業の開拓を連携しながら推進する。
それぞれの製品・サービスを相手チャネルで既存顧客企業に展開するほか、例えばシンガポールでは、レカムがTAKNET社のAIサーバーを商材に現地日系企業を、TAKNET社はレカムのUTMやRobo Workerを商材にローカル企業を開拓する。

(同社資料より)
(4)DX事業
<重点施策>
ターゲットを細分化し業種ニーズにマッチした提案をRPA・BPOの双方で推進する。
加えて、RPAとBPOを組み合わせた「BPR提案」を武器に市場開拓を推進する。
「BPR提案」は、導入先の総コストを削減し、育成・営業・企画といったコア業務に注力できる環境を整備する同社ならではの差別化の利いたソリューションであることから、業種別成功事例を創出し、水平展開で市場開拓を推進する。

(同社資料より)
(5)管理部門
<重点施策>
既存業務の業務フローを見つめ直し、業務による無駄をなくし生産性を向上させる。
最適な業務と人員数での管理を推進することで、利益を生み出す管理部門へとシフトチェンジする。
最終2027年9月期には現在と比較し、生産性を10%向上させることを目標としている。
【2-5 達成目標】
2027年9月期までに「売上高成長率CAGR 20%以上」「売上高営業利益率10%以上」「ROE 20%以上」の3指標達成を目標としている。
前回の中期経営計画では、各期の全社及びセグメントの売上・利益計画まで細かく開示していたが、事業環境や時代の変化への対応が難しいことから、今回はこの3点のみを掲げることとした。
項目 | 前回中計 | 今回中計 |
売上高成長率(CAGR) | 20.8% | 20%以上 |
売上高営業利益率 | 3.9% | 10%以上 |
ROE | 5.8% | 20%以上 |
*前回中計の売上高成長率(CAGR)は、21/9期から24/9期までのCAGR、売上高営業利益率及びROEは3期の平均、インベストメントブリッジが計算。
3.2025年9月期決算概要
【3-1業績概要】
| 24/9期 | 構成比 | 25/9期 | 構成比 | 前期比 | 期初予想比 |
売上収益 | 11,687 | 100.0% | 13,088 | 100.0% | +12.0% | -11.6% |
売上総利益 | 2,874 | 24.6% | 3,153 | 24.1% | +9.7% | - |
販管費 | 2,810 | 24.0% | 2,732 | 20.9% | -2.7% | - |
営業利益 | 269 | 2.3% | 407 | 3.1% | +51.4% | -41.7% |
EBITDA | 445 | 3.8% | 614 | 4.7% | +37.8% | -26.1% |
税引前利益 | 307 | 2.6% | 447 | 3.4% | +45.8% | -36.0% |
当期利益 | 83 | 0.7% | 196 | 1.5% | +134.3% | -54.3% |
*単位:百万円。EBITDA=営業利益+減価償却費及び償却費。当期利益は親会社株主に帰属する当期利益。
増収増益。売上収益は18期ぶりに過去最高を記録も、売上・利益とも期初予想を下回る。配当予想も修正。
売上収益は前期比12.0%増の130億88百万円。子会社化したシンガポールのTAKNET社の寄与もあり、18期ぶりに過去最高を記録した。
営業利益は同51.4%増の4億7百万円。増収に伴い売上総利益も同9.7%増加。販管費は前年同期並みにコントロール。
25年11月7日に業績下方修正を公表した。国内ソリューション事業及びBPR事業における売上低迷及びそれに伴う利益減少、営業利益におけるタイ子会社株式の減損損失計上などが主要因。これに伴い、配当予想も1.60円/株から1.00円/株に修正した。
【3-2 セグメント別動向】
売上収益 | 24/9期 | 構成比 | 25/9期 | 構成比 | 前期比 | 期初予想比 |
国内ソリューション事業 | 4,471 | 38.3% | 4,096 | 31.3% | -8.4% | -18.1% |
海外ソリューション事業 | 6,617 | 56.6% | 8,417 | 64.3% | +27.2% | -6.5% |
BPR事業 | 598 | 5.1% | 573 | 4.4% | -4.2% | -28.3% |
売上収益合計 | 11,687 | 100.0% | 13,088 | 100.0% | +12.0% | -11.6% |
セグメント利益 | 24/9期 | 構成比 | 25/9期 | 構成比 | 前期比 | 期初予想比 |
国内ソリューション事業 | 423 | 9.5% | 194 | 4.7% | -54.2% | -34.2% |
海外ソリューション事業 | 342 | 5.2% | 485 | 5.8% | +41.8% | -22.3% |
BPR事業 | 30 | 5.1% | 11 | 2.0% | -62.6% | -83.8% |
調整 | -526 | - | -283 | - | - | - |
セグメント利益合計 | 269 | 2.3% | 407 | 3.1% | 51.4% | -41.7% |
*単位:百万円。25年9月期決算短信より(国内ソリューション事業のセグメント利益は、調整前セグメント利益)。売上高は外部顧客への売上高。調整には、セグメント間取引消去、全社費用を含む。
(1)国内ソリューション事業
減収減益(FC加盟店の事業譲渡益を除いた調整後営業利益は同13.0%減の1億94百万円)。
サイバーセキュリティ分野の価格競争激化と、主要代理店の取扱縮小でUTMの売上減少が影響し、減収。営業体制再構築と販管費削減で改善を進めるものの効果は限定的となり減益となった。来期内定社員を中心とした新入社員の早期戦力化及び営業生産性向上が課題である。
*販売チャネル別売上収益
| 24/9期 | 構成比 | 25/9期 | 構成比 | 前期比 |
直営店 | 2,461 | 55.0% | 2,549 | 62.2% | +3.6% |
FC加盟店 | 918 | 20.6% | 760 | 18.6% | -17.2% |
代理店 | 1,090 | 24.4% | 786 | 19.2% | -27.9% |
合計 | 4,471 | 100.0% | 4,096 | 100.0% | -8.4% |
*単位:百万円
(2)海外ソリューション事業
大幅な増収増益。
シンガポールのTAKNET社の子会社化が通期で大きく寄与した。商材では、脱炭素化に取り組む企業へLED照明や業務用エアコン等に加え、24年9月期後半より販売を開始したSPACECOOLを加えた省エネソリューション営業に注力した。
直販チャネルにおいては、営業の生産性向上に向けた営業体制再構築による販管費削減及び原価率改善により、セグメント利益は大幅に改善した。一方、一部子会社では売上減や利益率低下も散見されており、今後は地域別課題への対応が引き続き重要と認識している。
(3)BPR事業
減収減益。
業種特化型の新規顧客開拓営業を強化したが、成果に結びつかず減収となった。徴兵制開始による退職者増加の影響を受けミャンマーセンターが赤字転落した。事業全体で販売管理費削減に努めたものの、効果は限定的となり減益。今後はDX事業としてAIエージェントを中心としたDX×BPO推進による新規顧客開拓強化が課題である。
【3-3 財務状態とキャッシュ・フロー】
◎主要BS
| 24年9月末 | 25年9月末 | 増減 |
| 24年9月末 | 25年9月末 | 増減 |
流動資産 | 8,257 | 8,178 | -186 | 流動負債 | 5,175 | 5,369 | +356 |
現金等 | 2,439 | 2,680 | -295 | 営業債務等 | 1,449 | 1,460 | +9 |
営業債権等 | 2,805 | 2,631 | -72 | 借入金 | 3,041 | 3,132 | +344 |
棚卸資産 | 2,397 | 2,405 | +54 | 非流動負債 | 2,164 | 1,924 | -412 |
非流動資産 | 4,230 | 4,525 | +244 | 借入金 | 1,421 | 1,206 | -429 |
有形固定資産 | 639 | 689 | +34 | 負債合計 | 7,339 | 7,294 | -56 |
のれん | 2,368 | 2,395 | +19 | 資本合計 | 5,148 | 5,409 | +114 |
資産合計 | 12,487 | 12,703 | +58 | 負債純資産合計 | 12,487 | 12,703 | +58 |
*単位:百万円。現金等は現金及び現金同等物、営業債権等は営業債権及びその他の債権、営業債務等は営業債務及びその他の債務。
海外子会社における事業拡大に伴う本社および倉庫の移転による使用権資産の増加、海外子会社における販売用ソフトウエアの資産計上などから、資産合計は前期末比58百万円増加し127億3百万円。借入金減少などで負債合計は同56百万円減少し72億94百万円。資本合計は同1億14百万円増加し54億9百万円。
自己資本比率は前期末から0.5ポイント上昇し、39.8%となった。
◎キャッシュ・フロー
| 24/9期 | 25/9期 | 増減 |
営業CF | 841 | 472 | -369 |
投資CF | -1,348 | -332 | +1,016 |
フリーCF | -506 | 139 | +645 |
財務CF | 816 | -443 | -1,259 |
現金同等物残高 | 2,975 | 2,680 | -295 |
*単位:百万円
キャッシュポジションは低下した。
【3-4 トピックス】
(1)有限会社カワハラ事務機を子会社化へ
2025年11月、有限会社カワハラ事務機を子会社化することを決議し、株式譲渡契約を締結した。
(有限会社カワハラ事務機概要)
創業1980年5月。本社、岩手県盛岡市。45年にわたりIT機器およびオフィス用品の販売・リース・メンテナンスなどを展開し、岩手県を中心に官公庁、建設業、医療・福祉施設等の顧客を有する地域密着型企業。
(子会社化の背景、理由)
「クロスセルによる事業拡大」「マーケティング力および顧客対応力の共有」「東北地方における地域密着型体制の確立」といった相乗効果の創出を見込んでいる。
クロスセルによる事業拡大 | レカムグループの商品・サービス群をカワハラ事務機の既存顧客層に展開することで、カワハラ事務機における新たな収益機会を創出するとともに、レカムの取引先ネットワークの拡張を図る。これにより、両社の営業資源を活かした相互補完的な事業成長を目指す。 |
マーケティング力および顧客対応力の共有 | レカムが強みとしているダイレクトマーケティング手法を活用し、顧客のニーズに応じた最適な提案活動を行う体制を整備する。カワハラ事務機が有する「顧客第一主義」に基づく企業文化とレカムの営業ノウハウを融合することで、地域顧客への提案力および満足度の一層の向上を図る。 |
東北地方における地域密着型体制の確立 | レカムグループが念願としていた東北地方への本格進出を実現する。カワハラ 事務機の地域に根差した営業・保守体制を基盤として、きめ細やかなアフターサポートを提供することで、東北エリアにおけるブランド力と市場競争力の強化を推進する。 |
(株式取得の概要など)
取得価額は秘密保持契約により非開示。株式譲受実行日は2026年1月9日の予定。
業績等に与える影響は、公表済の2026 年9月期の連結業績予想に織り込み済み。
(2)「AIエージェント事業」を開始
2025年9月、中国の先進AI企業であるIntelligence Indeed社との合弁会社「Intelligence Indeed Recomm株式会社」(2023年4月設立、合弁比率はIntelligence Indeed 社 51% 、レカム株式会社 49%)と共同で進めてきた「AIエージェントプラットフォーム日本語版」のローカライズ開発を完了し、社内に導入したと発表した。
(AIエージェントプラットフォームの概要)
<主要機能>
社員が日本語または英語で指示を入力するだけで、事務作業からデータ分析、意思決定支援までを自律的に実行可能とするシステム。
*会話型AIによる自然言語理解
*RPAによるPC操作自動化
*AI-OCRによる書類処理効率化(請求書・契約書対応)
*社内規程・FAQを統合したナレッジベース
*データ分析・経営指標の自動レポート化
など、従来人手で行っていた定型業務を削減し、社員がより付加価値の高い業務に集中できる環境を実現する。同社はこのプラットフォームの日本語版を日本市場向けに、英語版をマレーシア市場向けに展開する計画を進めている。
Intelligence Indeed社は元々RPAで中国第2位という実力を有する企業で、OCRでも実績を有している。このため、今回開発した「AIエージェントプラットフォーム」はRPAやOCRといった機能が既に実装済である点が他のAIエージェントとの大きな違いであり、レカムでは社内利用を通じてその優位性を十分に確認、認識している。
(市場ポテンシャルと今後の展開)
合弁先Intelligence Indeed社では、既に受注案件の約30%がこのプラットフォーム関連であり、市場ニーズの高さは明らかである。レカムは、まず社内利用により日本語版の実用性・安定性を検証し、その後、日本およびマレーシア市場に向けた展開を加速する。
短期的には業務効率化による内部コスト削減と顧客導入準備、 中期的には既存顧客基盤へのクロスセル展開による収益拡大、長期的には国内外への展開を通じてAI/DX事業の収益の柱とする。
(今後の取組み)
「AIエージェントプラットフォーム日本語版」の実用性と安定性を検証し社内導入を予定通り完了したことを受け、2025年10月1日より、AIエージェント事業の本格立上げに向けたプリセールス活動を開始した。プリセールスでは、「自社運用で得られた検証結果を活用した導入シナリオの提供」「既存RPA・BPO事業との連携による業務自動化支援の強化」「 AI-OCRやナレッジベース活用による定型業務削減の実証」「国内外展開を見据えた導入パターンの標準化」に取り組み、現場のニーズを踏まえた最適な導入モデルの確立を目指す。 また、プリセールス開始に合わせ、これまで展開してきたDX関連事業であるBPR事業を統合し、新たに「DX事業部」を設立した。これにより、開発から販売、サポートに至るまで、一貫した体制のもと、事業拡大を目指す。
2026年1月以降日本市場での本格展開を開始し、2026年下期以降にマレーシアをはじめとした海外市場への展開を図る。
短期的には顧客への検証を通じた案件の創出を図り、中期的には既存顧客基盤を活用したクロスセル展開により収益拡大を目指し、長期的にはAI・DX事業を新たな収益の柱として確立する考えだ。
(3)シンガポールの照明器具卸売事業会社を子会社化
2025年12月、シンガポールに本社を置く照明器具卸売事業会社Lumitron Pte. Limitedの発行済株式の80%を取得し、連結子会社化すると発表した。取得価額は概算で約10.5億円。株式譲受実行日は2026年1月9日の予定。
(Lumitron社概要)
1981年創業、シンガポールにおいて照明機器、照明制御システム等の販売・設計支援を行う老舗企業であり、主要顧客には政府関連施設、医療機関、民間開発プロジェクト(例:Universal Studio、Sports Hub、State Court、One Holland Village等)が含まれる。 シンガポール国内照明市場におけるシェアは約5%。バランスのとれた顧客基盤と堅実な収益構造を有している。
*主要指標(2024年12月期、1SGD=120.5円で換算)
売上高11.2億円、営業利益1.5憶円、総資産7.8億円、純資産5.6億円、
(子会社化の背景・理由)
成長戦略「グローバル専門商社構想」の一環として、東南アジア地域における事業基盤およびプレゼンスの拡大を推進しており、以下の目的を持つ戦略的投資としてLumitron社を子会社化することとした。
・ シンガポールにおける新たな事業拠点の確立
・ 政府系及び民間双方の大型建設案件に多数の実績を持つ照明関連ソリューション事業への参入
・Lumitron社が保有する顧客ネットワーク(政府機関・不動産・建設)とレカムグループの販売網とのシナジー創出
・レカムグループ全体の照明器具販売量拡大による同商品の原価率改善
(4)ベトナムで相互顧客紹介契約を締結
2025年11月、子会社であるベトナムレカム有限会社が、Sumitomo Forestry Vietnam Co. Ltd.(ベトナム住友林業)との間で、相互に顧客を紹介する契約を本日締結した。
ベトナム住友林業が推進する屋根置き太陽光発電事業に関しベトナムレカムが事業パートナー候補を紹介するとともに、ベトナム住友林業がレカムの商材の取引可能性のある顧客を紹介し合うことで、双方の事業機会拡大を図る。
(ベトナム住友林業概要)
2012年設立。ベトナムにおいて木材建材の流通・販売および輸出入、再生エネルギー事業等を展開。
(契約締結の背景と目的)
ベトナムレカムは、レカムグループの成長戦略の柱であるカーボンニュートラルソリューション分野における事業基盤拡大を目的に、ベトナム住友林業との強固な協業体制の構築を図るため、同契約を締結した。双方の持つ顧客基盤と専門性を活かし、相互の商品の新規取引機会の創出を加速し、持続的な成長と収益基盤の強化を目指す。
(5)人的資本経営の強化
「BtoBソリューションプロバイダーとして世界を代表する企業グループ」を目指す同社では、グローバル競争力の向上と持続可能な成長を実現するために人的資本経営の強化に注力している。
事業拡大に向け営業人員の大幅増強を進めている。2025年10月1日に、2026年4月入社予定の内定式を実施した。内定者は過去最多の43名となった。
人財育成プログラムも推進している。業務能力及び個人のスキルアップ(語学、ITなど)のために1年間で100時間(1か月8時間)の研修を必ず受講する「100時間研修」の年間終了率は95%と高水準(2025年度実績)。AIスキル受講者は196名(2025年度実績)。
グローバル人財育成に向けては、2025年10月よりASEAN地域のローカル社員を対象に、社是である「実力主義」を反映した評価報酬制度を導入。レカムグループ共通評価報酬制度の運用を開始した。
中期経営計画達成を目指し、経営陣および従業員等の士気向上のために業績連動型有償ストックオプションを発行した。業績連動指標として、①売上高年平均成長率20%以上、②営業利益率10%以上、③ROE 20%以上を掲げており、目標達成度に応じ、付与株式数(10,000個)の70~100%の行使が可能である。行使期間は2027年11月28日から2035年11月27日の8年間。
4.2026年9月期業績予想
【4-1 業績予想】
| 25/9期 | 構成比 | 26/9期(予) | 構成比 | 前期比 |
売上収益 | 13,088 | 100.0% | 14,800 | 100.0% | +13.1% |
営業利益 | 407 | 3.1% | 550 | 3.7% | +34.8% |
EBITDA | 614 | 4.7% | 757 | 5.1% | +23.3% |
税引前利益 | 447 | 3.4% | 560 | 3.8% | +25.0% |
当期利益 | 196 | 1.5% | 320 | 2.2% | +62.7% |
*単位:百万円。予想は会社側予想。
増収増益、売上は2期連続で過去最高、営業利益はコロナ禍後では最高見込む
売上収益は前期比13.1%増の148億円の予想、2期連続で過去最高を見込む。全セグメント増収予想。
営業利益は同34.8%増の5億50百万円の予想。海外ソリューション事業は引き続き好調。国内ソリューション事業、BPR事業の急回復を見込む。
配当は前期比0.20円/株増配の1.20円/株を予定。予想配当性向は30.3%。

【4-2 セグメント動向】
売上収益 | 25/9期 | 構成比 | 26/9期(予) | 構成比 | 前期比 |
国内ソリューション事業 | 4,097 | 31.3% | 4,691 | 31.7% | +14.5% |
海外ソリューション事業 | 8,418 | 64.3% | 9,499 | 64.2% | +12.8% |
BPR事業 | 573 | 4.4% | 611 | 4.1% | +6.5% |
売上収益合計 | 13,088 | 100.0% | 14,800 | 100.0% | +13.1% |
セグメント利益 | 25/9期 | 構成比 | 26/9期(予) | 構成比 | 前期比 |
国内ソリューション事業 | 194 | 4.7% | 350 | 7.5% | +80.4% |
海外ソリューション事業 | 486 | 5.8% | 552 | 5.8% | +13.7% |
BPR事業 | 11 | 2.0% | 49 | 8.0% | +332.6% |
調整 | -283 | - | -400 | - | - |
セグメント利益合計 | 408 | 3.1% | 550 | 3.7% | +34.8% |
*単位:百万円。売上高は外部顧客への売上高。調整には、セグメント間取引消去、全社費用を含む。
(1)国内ソリューション事業
増収増益予想。
営業を前期末比40%増員し営業DX推進による早期戦力化を実現する。カワハラ事務機のようなM&A及びFC加盟店の出店による営業エリアの拡大を図るほか、上期低調だったセキュリティー分野をカバーすべく、商品ラインナップの拡大による卸売チャネルの販売を強化する。

(2)海外ソリューション事業
増収増益予想。
「SPACECOOL」の販売強化に向け、従来のエアコン室外機用商品に加え、屋根用商品など、顧客の状況に応じた商品ラインナップの拡充を進め、販売ターゲット拡大を図る。 ベトナム住友林業のような、相互の商品販売を推進する販売パートナーの拡充にも取り組んでいく。
AIサーバーについては、販売強化のために、エンジニア増員を通じたサポート体制強化による新規受注比率向上を目指す。営業増員計画(前期末比で25%増)を達成するとともに営業DX推進による早期戦力化を実現する。

(3)BPR事業
増収増益予想。
社内運用事例を活用したRobo WorkerとBPOサービスのセット販売を強化する。社内DX推進による販管費の削減や、受託業務割り振りの最適化推進による国内及びミャンマーセンターの収益率改善を図る。

5.今後の注目点
伊藤社長に株主・投資家へのメッセージを伺った。「第3四半期まではほぼ想定通りに進捗したものの、最も稼ぎ時である第4四半期(7‐9月)に計画通りに売上を伸ばすことができず、業績予想の下方修正、配当も配当性向30%という基本方針に則り減配という結果となってしまったことに関して、改めてお詫び申し上げます。営業人員の増強も進んでおり、今期はまずは売上の拡大に注力してしっかりと計画を達成し、中長期的にも競争優位性の高い商品やサービスを武器に、グループシナジーを発揮して成長を追求してまいりますので是非ご期待ください。」とのことだ。
中期経営計画の重要なキーワードである「営業DX」については、社員一人一人の意識や行動(顧客との商談履歴や営業活動の入力など)が不可欠だが、社員の意識は明確に向上しているという。評価制度における項目にも、そうした行動を追加し、より一層の意識向上を図っている。
短期的には今期目標の確実な達成、中期的には営業DXを推進する中で、「AIサーバー」「AIエージェント」「SPACE COOL」という重点3商材の販売実績を注視していきたい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態、取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査等委員会設置会社 |
取締役 | 7名、うち社外取締役4名(うち独立役員4名) |
監査等委員 | 3名、うち社外取締役2名(うち独立役員2名) |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2025年1月20日
<基本的な考え方>
当社は、上場企業としての責務を全うし、かつ企業価値増大の永続的な追及を可能とするため、強力なガバナンス体制の構築を目指してまいります。
その構築のため、以下の3つを重点項目と位置づけ取り組んでまいります。
・ディスクロージャーの充実
経営の透明性と健全性を確保するため、投資家に対して適時適切に情報を開示いたします。
・アカウンビリテイの徹底
当社のステークホルダーに対して、十分な説明責任を果たしてまいります。
・コンプライアンス
法令遵守にとどまらず、その趣旨および精神を尊重し、コンプライアンス意識の醸成を図ってまいります。
また、当社は、経営監督機能と業務執行機能を明確にするため、執行役員制度を導入するとともに、監査等委員会設置会社に移行しております。
<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
本報告書は、2021年6月の改定後のコードに基づいて記載しております。
【補充原則3-1②】(英語での情報開示・提供)
当社の外国人株主は5%未満であり、費用対効果の観点から英語での情報開示を行っておりませんが、今後、外国人株主の比率が増加する状況が見込まれる場合は、英語での情報開示を検討する考えであります。
【補充原則4-1③】(最高経営責任者等の後継者の計画)
当社では、現時点において最高経営責任者である代表取締役社長の後継者の計画を明確には策定しておりませんが、将来の後継者になり得る経営幹部らに対して、代表取締役社長自らが講師となる研修会を定期的に開催しております。
<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則1-4】(政策保有株式)
当社は、中長期的な企業価値向上の観点から、必要に応じて取引先等の株式を保有する場合があります。現状、政策保有している上場株式は1銘柄であり、かつ、保有割合も僅少であることから、現状では縮減の方針はありません。なお、政策保有株式の議決権の行使にあたっては、当社の企業価値向上の観点から対応を判断しております。
【補充原則2-4①】(中核人財の登用等における多様性の確保)
当社は、日本国内にとどまらず、アジア圏7か国で事業展開していることから、雇用や管理職への登用等において、国籍、ジェンダー等による制限は一切設けず、人財の多様性の確保を図っております。
当社の従業員の男女比はほぼ半々であり、近年における新卒採用の男女比も同様であり、管理職候補となる人財の層も厚くなりつつあることから、今後は女性の役員、管理職者の増加を見込んでおります。
当社は、多様な働き方やキャリアパスを実現できるように人財育成に注力しており、社員一人につき年間100時間の教育時間を設けるなどの取り組みを行っております。
【補充原則3-1③】サスティナビリティについての取組など
当社は、サスティナビリティ・ESGについて以下のとおり取り組んでおります。
(ⅰ) E:環境
・エネルギーソリューション商材の販売による脱炭素社会への貢献
・ReSPR、サーモカメラなど、オフィスの感染症対策商材の販売により、従業員の感染予防対策への貢献
(ⅱ) S:社会
・進出国に対する雇用&利益拡大により各国の経済発展に貢献
・多種多様な人財を採用や育成をし、ダイバーシティを推進
・内閣府「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」の活動を通じて、女性管理職の登用及びジェンダーフリー企業の実現
(ⅲ) G:ガバナンス
・経営の執行に対する監視機能強化の目的のため、独自の取締役選任基準制定(半数の社外取締役、取締役任期は1年)
・内部監査として経営も監視する業務監査が、経営改善、経営の効率化の機能にも役立てている
・世界共通の人事評価とその国にあった評価のハイブリッド型グローバル人事評価による報酬の適性化
・内部通報制度の充実
(ⅳ) DXを推進することでESG経営がさらに向上
・環境 非効率資源の是正により脱炭素化
・社会 労働生産性の向上、人財開発
・ガバナンス 情報偏在の解消、評価・報酬の適性化
【原則5-1】(株主との建設的な対話に関する方針)
当社は、株主との対話は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するものと考えており、そのため、株主および投資家との建設的な対話を行うべく、IR専任担当者を置き、株主等からの電話やメールでの質問に対応しております。
また、本決算、第2四半期決算発表後の年2回、アナリストおよび機関投資家向けに決算説明会を開催し、代表取締役社長が直接説明、対話を行う機会を設けております。さらに、株主総会の終了後には株主を対象とした会社説明会を実施しており、株主との直接対話を行っております。
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