ブリッジレポート
(2687) 株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア

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ブリッジレポート:(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア vol.7

(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア 泉澤 豊社長
2003年10月9日(木)

CVSベイエリアの中間決算説明会に出席しました。
泉澤社長、谷取締役が説明されました。

 


泉澤 豊社長

2004年2月期中間決算概要
谷取締役が中間決算の概況を説明されました。

実績
対前年同期比
営業総収入
 (加盟店含む売上高)
8,392
(12,241)
+6.3%
(+13.7%)
営業利益
553
+4.8%
経常利益
565
-2.6%
中間純利益
267
-13.1%
  • 高額ハイウェイカードの販売ができなくなったこと、冷夏の影響、などから既存店売上高の対前年同期比は -5.6%と非常に厳しい状況でした。(計画は-3%)
  • 「出店7店、閉店6店」で店舗数は107店となっています。通期では「出店17店、閉店8店」店舗数115店を予定しています。
  • 既存店は厳しかった一方、新店7店の平均日販は669千円と高水準となっています。
  • 新店の中では「成田空港エアカーゴターミナル内店(4月25日開店。一般利用客ではなく、24時間体制の積卸業務従事者向け)」、「お台場路面店(8月30日開店。お台場のコンビにはほとんどがビル内で、駐車場がない。当店は国道沿いで駐車場完備)」など、これまで培ってきた同社ならではの店舗運営ノウハウによる、ユニークな店舗が注目されます。
  • 新規事業のクリーニング取次ぎは、ローソン、ミニストップ、サンクス、ニューデイズ、チコマートなど他のチェーン店への導入が始まっていますが、店舗数がまだ少ないため業績への影響はほとんどありません。

通期業績予想は以下のとおりで変更していません。
引き続き厳しい環境が予想されますが、既存店売上前年比97%を目標にし、一方新店の好調を維持させたいと考えています。

通期予想
対前年比
営業総収入
 (加盟店含む売上高)
16,200
(24,300)
+7.0%
(+15.5%)
営業利益
1,054
+19.8%
経常利益
1,054
+20.0%
当期純利益
515
+32.1%

 

今後の取り組み「高齢者サービスの充実」

続いて、泉澤社長が今後の事業展開についてお話されました。

コンビニエンス業界は、同業者のみならず他業種との競合が益々激しくなっており、取り巻く環境は厳しいものがあると泉澤社長は認識しています。
そうした中、現状の同社ならではのコンビニ事業を進めていきながら、「日常生活のコンビニエンス化」を目指し新規事業に取り組んでいますが、なかでも「層が厚く、売上も見込みやすい消費者=高齢者」を対象としたサービス事業を、そのメインに据える考えです。


F.A.24サービス図(クリックすると大きい画像で御覧いただけます。)

携帯電話&スキャナーによる宅配サービス
以前の説明会でも、泉澤社長がアイデアの一端を説明されましたが、スキャナーを用いた会員制宅配注文サービスが来年春から開始されます。
同社の100%子会社「F.A.24」がシステムを企画・運営します。
会員に対し、携帯電話と小型スキャナーが無料で貸し出され、毎週配送される商品カタログのバーコードをスキャナーでなぞると注文が送信されます。FA24が受けた注文は、チェーン展開しているスーパーマーケットから商品を供給してもらい、外部委託業者が配達する仕組みです。
当面は生鮮食品など生活必需品を軸に据え、状況に応じて出前、タクシーの配車、クリーニング集配などにも取り組んでいきます。
同社の投資額は、電話会社と価格交渉中の携帯端末を除いて約5000万円。
スーパーマーケットなどからの運営手数料の他に、携帯電話の大口ユーザーとし通信費の一部が同社の売上となります。
運営にあたっては、低コストでの宅配の仕組みを徹底的に研究しました。


バーコード利用図

このサービスによる大きな意味として、「個々人のデータベースを構築することができる」点をあげています。
従来のコンビニ業界では、「20代男性」とか「40代女性」といったように、ある程度の塊のデータがあれば十分でしたが、右肩上がりの売上増が見込めない今後は、より効果的なマーケティングのために個別データが大変重要になります。その意味でこのサービス提供による個別データの入手は大きな意味をもっていると考えています。

千葉県から地域福祉への貢献、独創的なアイデアが評価され「先駆的地域福祉事業」第一号へ指定されました。お年寄りに対する信用力、安心感という点で大きな意味を持つと考えています。
ただこれも、このサービスがいきなり評価されたのではなく、同社がこれまでに行ってきた「ネットランドリー」、「クリーニング取次ぎ」等のサービスを、高齢者を対象として実績を積み上げてきたことも大きな要因です。高齢者向けサービスの事業化に対し、地方自治体など高齢者マーケットに対する意識が強い協力者が増加しているのが最近の特徴であり、同社にとってフォローの風となっているようです。

 

取材を終えて

宅配サービスの他にも、東京ディズニーランド(TDR)周辺の空きマンションを短期宿泊用に貸し出すサービスを、同社を含む7社で実験的に開始しました。TDR周辺は宿泊施設が不足気味な一方、都心回帰で空きマンションが増加しており、これを1室2泊3日39,000円で提供するというもので、4人で利用すれば1人約5,000円となります。


マンション室内

同社店舗で鍵、代金の受け渡しを行います。 現時点で空き部屋は約1,000室あるということで、将来的には年間30万人の利用を見込んでいます。

本業のコンビニ業界は厳しい環境が続くと見ていますが、更なる成長のために、高齢者向けサービスを中心とした新規サービス事業を、「時間はかかるかもしれないが、本当に便利で多くの人に喜んでもらえるいいものを作り上げていきたい」と泉澤社長は考えています。新規事業の展開を今後もフォローアップしていきたいと思います。