ブリッジレポート
(2687) 株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア

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ブリッジレポート:(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア vol.14

(2687:東証1部) シー・ヴイ・エス・ベイエリア 企業HP
泉澤 豊 社長
泉澤 豊 社長

【Infomation Box】
10月24日(火)東京証券会館にてブリッジサロン・プレミアムセミナー開催
企業基本情報
企業名
株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア
社長
泉澤 豊
所在地
千葉県浦安市入船1-5-2 明治安田生命ビル9F
決算期
2月
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2006年2月 22,332 1,018 1,055 600
2005年2月 20,956 1,081 1,101 578
2004年2月 17,236 946 1,048 499
2003年2月 14,024 880 878 390
2002年2月 12,358 847 873 445
2001年2月 11,835 753 722 386
2000年2月 9,840 641 673 306
株式情報(10/16現在データ)
株価 時価総額 発行済株式数 単元株数 決算データ年月 1株配当
242円 6,127百万円 25,320,000株 1,000株 2006年2月 8.50円
配当利回り PER 1株利益 PBR 1株株主資本 ROE
3.51% 10.16倍 23.83円 1.47倍 164.52円 15.40%
シー・ヴイ・エス・ベイエリアの2007年2月期中間決算について、会社概要と共にブリッジレポートにてご報告いたします。
 
会社概要
 
千葉県及び東京都のベイエリア地域を中心に、コンビニエンス・ストアを直営店舗主体で展開しています。
(株)サークルKサンクスと企業フランチャイズ契約を締結し、東京都9区(新宿区、千代田区、中央区、江東区、江戸川区、港区、葛飾区、足立区、台東区)及び千葉県全域に直営店方式のコンビニエンス・ストア「サンクス」を展開。また、同地域のエリアフランチャイズ本部として、コンビニエンス・ストア経営希望者とサンクス・フランチャイズ・チェーン加盟店契約を締結し、経営ノウハウとその情報等の供与及び資金面の支援等を行なっています。
2006年8月末現在の店舗数は132店舗、内訳は直営店106店舗、加盟店26店舗。
 
<沿革>
1981年2月、コンビニ経営を目的にしたシビルサービス(株)として、千葉県市川市に設立されました。89年11月、(株)サンクスアンドアソシエイツ(現サークルKサンクス)とフランチャイズ・チェーン加盟店契約を締結、97年には東京都9区、千葉県10市におけるサンクス地域本部となりました。
2000年7月には、クリーニング24時間取次ぎ、ヘアカットサービスを開始。また、同年12月にナスダックジャパン(現ヘラクレス)に株式を上場(03年上場廃止)。02年10月の東証2部上場を経て、06年2月に東証1部に指定替えとなりました。
 
 
<特徴>
コンビニでありながら、規定のコンビニの概念にとらわれない便利さの追求が、同社の特徴です。
既存店売上高の前年割れ状態が続くなどコンビニ業界は厳しい事業環境が続いていますが、同社は従来のコンビニの概念にとらわれない独自の店舗戦略と商品・サービス戦略により、一店舗当たりの平均日販で業界トップクラスの座を維持しています。
 
1.店舗戦略
店舗戦略は、量(店舗数)よりも質(1店舗の売上高)を重視しており、店舗の約8割は直営店。社員が実際に運営する事で効率的な店舗運営を実現しています。また、居住人口のない倉庫街へ出店して成功を収める等、立地創造型の店舗展開も特徴です。例えば、1998年10月のオープン以来、好成績を上げ続けている「サンクス品川埠頭店」です。同店は運河に周辺を囲まれた島に立地。周辺の居住人口はわずか2人ですが、昼間、周辺の倉庫街で働く人たちは5,000人に及びます。また、倉庫街であるだけにトラックの出入りも多く、実際の昼間人口はそれ以上と推定されます。コンビニ業界の常識では、居住人口がわずかに2人の地区に出店するという発想はありませんでしたが、同社は敢えて挑戦し成功しました。
 
2.商品・サービス戦略
一見、他のサンクスのチェーン店と変わりがないように見える同社の店舗ですが、その店づくりには同社ならではの工夫が随所に見られます。
 
(1)店長・副店長による店づくり
例えば、店長・副店長による店づくりです。同社では、お客様に応える店づくり、地域に合わせた店づくりを店長・副店長に任せています。買いやすい売り場、ボリュームのある売り場、楽しい売り場など、一店一店、店長・副店長によるその店ならではの店づくりを展開しています。
 
(2)「お客様が求めるものはすぐに並べろ」が基本方針
例えば、倉庫に挟まれて駅方面からは全くの死角になるなど、周辺を倉庫に囲まれた人通りの少ない「サンクス新木場店」の店頭には、トラックの運転手さんに人気の「刺身」が並びます。夕方のピークタイムにあわせて並べる一品盛りと二点盛りの刺身は、コンビニではほとんど見ることのないもの。しかも、並べるそばから次々と売れていくそうです。
また、防腐剤無添加の手作り惣菜も同社独自の商品です。惣菜類は、1人前の少量パックだけでなく、煮物や魚の揚げ物などは、2~3人前はありそうな大きなパックで並んでいます。この他、ベイエリア地域の店舗において、男性に人気の惣菜である「カレイ煮」、刺身については「マグロ大トロ」まで品揃えする店もあるそうです。
 
(3)独自の商品・サービス開発
サンクス本体の商品を扱うだけでなく、各店舗の地域特性を考え、メーカーと何度も試行錯誤を重ねて創出する惣菜や周辺の季節の催事に合わせた商品等、同社オリジナル商品の開発にも力を入れています。
また、「クリーニングの24時間取次ぎサービス」や「1000円ヘアカットサービス」など、サービスメニューの拡充による商機の拡大に努めており、今夏からは「宝くじ」の取扱いを始めるなど、常に新しいサービスの提供を目指しています。
 
2007年2月期中間決算概要
 
(3)独自の商品・サービス開発
 
当中間期は天候不順などで業界全体が厳しい事業環境を強いられました。
 
こうした中、同社は全店売上高及び営業総収入が予算比で若干の未達となりましたが、ハイウェイカードの販売終了の影響(前期売上高1億32百万円)などを吸収して増収を確保しました。
なお、経常利益の前年比大幅減は、昨年取得した幕張ビル(千葉市)の不動産取得税(2億17百万円)の支払いによるものです。
また、中間純利益の予算で減少幅が大きいのは、期初計画外で減損損失(69百万円)など特別損失1億円を計上したためです。
 
<予算との差異:個別>
1.営業総収入
・競合激化・天候不順等による、既存店売上高の減少 -2.1ポイント
・東京湾花火大会順延による、売上減少 :約1億円
・新店平均日販の伸び悩み -125千円/日・店
 
2.売上総利益
・売上予算未達による、売上総利益の減少 :約36百万円
・タバコ特需や、米飯類売上不振による粗利率未達 :約65百万円
 
3.販売管理費
・ストックオプション導入費用 :+ 12百万円(  -  )
 
4.特別損失
・不採算店舗・建物 :約35百万円 を、特別損失として計上。
・不採算店舗・リース資産ほか :約34百万円
 
<貸借対照表>
純資産は前期末比14億26百万円増の13億円、自己資本比率は33.9%となりました。主な増加項目は次の通りです。
 
・流動資産 +2億69百万円(+8.0%) ←現預金 +2億04百万円(収納代行ほか)
・固定賃産 +39億70百万円(+84.2%) ←投資不動産 +30億46百万円(幕張ビル取得)
・流動負債 +8億22百万円(+21.4%) ←預り金 +1億66百万円(収納代行料金)
・固定負債 +31億70百万円(+1,218%) ←長期借入金 +28億91百万円(幕張ビル取得)
     預り保証金 +2億64百万円(同ビル預り敷金)
<店舗実績>
 
天候不順や競争激化等により客数の減少が続いているものの、客単価は下げ止まり感があります。
ハイウェイカードの販売終了が粗利率改善に寄与するはずでしたが、値上特需等でタバコの売上げが増加したため、ほぼ相殺されました。
 
<免許品・サービス導入状況>
 
7月に宝くじの販売を、都内10店舗で開始しました。「サマージャンボ」の販売が好調に推移しました。9月には、上記10店舗で、「数字選択式宝くじ」の販売も開始しました。10月11日現在の宝くじの販売店舗は27店舗です。10月下旬より千葉県内の4店舗で販売を開始します。
宝くじは競合店との差別化を図れる商材です。このため、今後、認知度が高まれば、集客力の向上につながると考えています。また、ハイウェイカードやチケット販売と比較して、粗利率が高いことも特徴です。
 
<連結>
 
今期より連結決算を導入しました。
グループは、同社と各種サービスの提供及び研究開発を行う連結子会社 (株)エフ・エイ・二四(以下、FA24)の2社です。
 
2007年2月期業績予想
 
<個別>
 
通期予想に変更はありません。
 
中間決算における経常利益未達分については幕張ビルの収支改善により、また、中間純利益の未達分についてはFA24ビル(習志野市)の売却益を特別利益に計上する事で、それぞれ補う事がきる見込みです。
ただ、幕張ビル取得に伴う不動産取得税約2億17百万円の納付により、通期の経常減益は避けられません。
尚、1株当たり配当は記念配1円50銭を落とし、年7円(中間配当3円50銭)を予定。配当性向は41.8%となる見込みです。
 
<出店計画>
 
期初計画(出店15店舗、閉店5店舗、期末141店舗)を修正しました。当期の閉鎖予定は9店舗ですが、この中には自社保有物件売却及びビル立替に伴う閉店が5店舗含まれています。
また、ATMの導入計画ですが、11月以降、千葉県内への「ゼロバンク」の導入を予定(42店舗)しており、来年2月までに主要店舗への導入を完了させる計画です。「無料引出しサービス」の継続の可否にかかわらず、競合上の必要性から導入を進める予定です。
 
<連結>
 
(株)エフ・エイ・二四について
 
<会社概要>
資本金 :9,500万円
株主 :(株)シー・ヴイ・エス・ベイエリア 100%保有
 
社名のエフ・エイは、First Aidの頭文字をとったものです。「消費者の生活により密着した、地域社会に貢献できる事業を展開する」という方針の下、「お客様が何時でも、必要な時に必要なこと(FirstAid)がサービスとして受けられる」といった思いが込められています。
 
<事業内容>
・クリーニング事業 :コンビニ併設以外の、マンションクリーニングや各種リネン
・1000円ヘアカット事業 :コンビニ併設以外の、単独店舗の運営
・コンビニエンス・ストア事業 :「ポプラ」ブランドでの、コンビニ店舗運営(大田・品川区)
・フリーペーパー事業(「はつこひ」)、EC事業(「Core Shop」)、介護施設紹介サイト運営事業 他
 
<営業実績 :当中間期売上実績(前年同期比)>
・クリーニング事業 :125百万円(+27.5%)
・1000円へアカット事業 : 55百万円(-3.2%)
・コンビニエンス・ストア事業 :121百万円(+ 2.2%)
・全事業売上合計 :324百万円(+14.8%)
 
主力3事業は利益計上していますが、全体としてはフリーペーパー創刊経費やEC事業の初期投資等で若干の損失を計上しています。
 
<新規事業の状況>
1.フリーマガジン「hatsukoi(はつこひ)」を、4月より創刊
「熟年世代のためのワクワク・ドキドキ発信」がキーワードです。1ヶ月分のテレビガイドを掲載する等の工夫がなされており、手元に残してもらうことで媒体としての価値を高め、配布場所と合わせ、他社との差別化を目指しています。
 
創刊号(4月号)は、1都3県の約250の医療施設を中心に5万5000部を発行しました。現在、配賦施設約400ヶ所、7万5000部の発行体制まで拡大。10万部体制を目指して営業活動中です。
 
2.介護施設紹介サイト「憩 ikoi」を、立上げました
介護施設内のクリーニング事業を通じ、施設毎の稼動率に差があることに着目。
・現在、約170施設を同社サイトにて紹介しています。フリーペーパー「はつこひ」とも連動させることで、将来的には、100O施設の情報を掲載し、紹介することを目標としています。
 
両事業を通じ高齢化社会に対応した、ビジネスを展開していきます。両事業共に初期費用の発生により利益が出ていません。このため、早期の収支均衡を目指しています。
 
<マンション向けクリーニングを活用した新サービス>
東京・神奈川を中心に、マンション・クリーニングサービスが順調に拡大しており、現在、70棟・3万世帯以上にサービスを提供しています。当中間期のFA24の「クリーニング事業」売上高は、1億25百万円と前年同期比27.5%増加しました。
 
この成功を受けて、マンション向けサービスを活用した新サービスを計画中です。マンション・クリーニングサービスの提供により、マンションの「フロント」ヘのアクセスが可能となることに加え、クリーニング配送網によって各マンションヘの「物流ネットワーク」が構築できます。つまり、宅配ビジネスを展開する上で障害であった「サービス提供窓口の確保」や「物流コスト」の削減が可能となり、宅配ビジネスへの道が開かれます。
来春のサービス開始を目標に、宅配ビジネスの事業計画を立案中です。「付加価値商品」の高い商材の取り扱いから開始する考えです。
また、この他にもコンビニ業態にとらわれない新しいビジネスモデルの構築を模索しています。
 
「市場第2部銘柄への指定替え」猶予期間入りの指定解除について
 
前期末(06年2月末)株主数 1,835名の為、東証1部上場基準(「株式の分布状況」)に抵触し、「市場第2部銘柄への指定替え」猶予期間入りとなっていましたが、中間期末株主数が2,082名となり、9月19日付けで、猶予期間入りの指定解除となりました。
 
<株主数の推移>
・2006年8月未2,082名(+246名)
・2006年2月末1,836名(+163名)
・2005年8月末1,673名(+193名)
・2005年2月末1,480名(+296名)
・2004年8月末1,184名
 
株主数は半期毎に着実に増加しています。また、2006年9月14日より、同社株式が貸借銘柄へ選定されました。今後も、流動性向上と合わせて積権的なIR活動を実施していく考えです。
 
<株式の流動性向上に向けた取り組み(発行済株式数 25,320干株)>
・2004年10月、1:3の株式分割を実施
・2005年 8月、230,000株の立会外分売を実施
・2005年11月、800,000株の立会外分売を実施
 
重要な後発事象
 
「FA24ビル」の売却について
千葉県習志野市に所有していた、「FA24ビル」(2000年冬竣工)はコンビニ店舗・診療所入居の3階建ビルです。新しい複合サービスを目指して建設しましたが、当初の目的を達成したため売却しました(10月6日に引渡済み)。
売却金額は5億750万円。下期に、約68百万円の売却益を特別別利益に計上する予定です。尚、売却による、賃料収入減少の影響は軽微です。
 
取材を終えて
「出店競争の激化による賃料や人件費の高騰により、早晩、コンビニ業界は淘汰の時代を迎える」、また「強いところは結果として生き残るが、今までと同じ事をやっていては生き残れない」と言うのが、泉澤社長の考えです。このため、どういう工夫をしていくかが問題となるわけですが、同社では来るべき高齢化社会を視野に入れたビジネス展開を考えています。高齢化社会においては、商品を宅配しなければならない時代が必ず来ますし、既に来ているとも言えます。そのための仕組みづくりで試行錯誤を繰り返してきた同社ですが、既にビジョンは固まっており、今後、出資やM&Aによる買収、あるいは他業態との提携により、独自の宅配ビジネスの完成度を高めていく考えです。
また、宅配ビジネス以外にも様々な事業プランがあるようです。競合企業との関係もあり、当レポートで事業プランを公開するわけにはいきません。読者の皆さんには、是非、ブリッジサロンに足を運んで、泉澤社長のお話を直接聞いて頂きたいと思います。