ブリッジレポート
(2687) 株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア

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ブリッジレポート:(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア vol.21

(2687:東証1部) シー・ヴイ・エス・ベイエリア 企業HP
泉澤 豊 社長
泉澤 豊 社長

【ブリッジレポート vol.21】2009年2月期中間決算業績レポート
取材概要「コンビニ業界は、タバコ自動販売機に対するtaspoの導入でタバコ購入目的の来店者が増加、猛暑効果も重なり、夏場にかけてソフトドリンク、アイ・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年10月28日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア
社長
泉澤 豊
所在地
千葉県浦安市美浜1-9-2
決算期
2月
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年2月 24,277 623 446 216
2007年2月 23,347 699 610 310
2006年2月 22,332 1,018 1,055 600
2005年2月 20,956 1,081 1,101 578
2004年2月 17,236 946 1,048 499
2003年2月 14,024 880 878 390
2002年2月 12,358 847 873 445
2001年2月 11,835 753 722 386
2000年2月 9,840 641 673 306
株式情報(10/15現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
134円 24,885,400株 3,335百万円 5.3% 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
7.0円 5.2% 10.80円 12.4倍 165.64円 0.8倍
※株価は10/15終値。発行済株式数は直近中間期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
シー・ヴイ・エス・ベイエリアの2009年2月期中間決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
同社と100%連結子会社(株)FA24でグループを構成し、コンビニ事業を中心にその他事業としてクリーニング等のサービスを提供している。同社が手がけるコンビニ事業は、(株)サークルKサンクスと企業フランチャイズ契約を締結し、東京都9区(新宿区、千代田区、中央区、江東区、江戸川区、港区、葛飾区、足立区、台東区)及び千葉県全域に直営店方式のコンビニ「サンクス」を展開。また、同地域のエリアフランチャイズ本部として、コンビニ経営希望者とサンクス・フランチャイズ・チェーン加盟店契約を締結し、経営ノウハウとその情報等の供与及び資金面の支援等を行なっている。その他事業は、子会社(株)FA24の事業領域で、各種サービスの提供及び新規事業の開発を行っている。08/2期の連単倍率は売上高が1.04倍、営業利益が0.97倍。
2008年8月末現在の店舗数は133店舗(直営店112店舗、加盟店21店舗)。
 
 
2009年2月期中間決算
 
 
前期比2.1%の増収、同16.5%の経常増益となった。
首都圏でのtaspo導入効果や猛暑が追い風となりコンビニ事業が堅調に推移した事に加え、その他事業の損益も改善、各利益段階で連単倍率が1倍を超えた。
 
 
加盟店売上高は前期比3.7%の減少となったものの、加盟店の直営化が一巡した事で減少幅は小幅にとどまった。
 
既存店売上高
 
 
 
taspoの導入効果や猛暑が追い風となり既存店平均日販が前年同期並みを維持、前期にFCを直営化した影響もあり営業総収入は前年同期比3.8%増加した。ただ、①taspoの導入効果で売上が増加したタバコの利益率が低い事、②パート・バイト給与の増加(人手不足による支払い単価の上昇など)、更には③水道光熱費等の増加(直営店の稼働日数が多かったため)等で、営業利益は前年同期比微増にとどまった。不動産賃貸収入の増加等による営業外損益の改善で、経常利益は同10.9%の増加。中間純利益は同18.3%増加したものの、減損損失(104百万円)や投資有価証券評価損(82百万円)など特別損失268百万円を計上したため、66百万円にとどまった。

都心での賃料の上昇を踏まえて、新規出店を2店舗に抑制。一方、ビル建て替え等の影響により2店舗を閉店したため、中間期末の店舗数は前期末と同数の133店舗。既存店平均日販は前年同期比0.5%増の607千円、平均客数は前年同期比100.1%の1,049人、既存店客単価は同100.4%の578円となった。また、新店平均日販は421千円となり、前年同期を3千円上回った。
 
キャッシュ・フロー
税負担の軽減等もあり営業CFのプラス(黒字)が前年同期の575百万円から995百万円に拡大する一方、投資有価証券の取得が減少した事で投資CFのマイナスが減少。フリーCFの黒字は618百万円と大幅に増加した(前年同期は1百のマイナス)。
 
 
同社独自の商材及びサービスである「数字選択式宝くじ」や「宝くじ」の販売、及び「クリーニングサービス」についても、順次取扱店舗数を拡大しており、差別化に貢献している。
 
 
出店に当たっては採算を重視するため、必ずしも計画達成にはこだわっていない。
 
2009年2月期業績予想
 
 
通期の業績予想に変更は無く、前期比1.9%の増収、同59.8%の経常増益予想。
子会社(株)FA24の黒字化もあり、営業利益は同9.5%増加する見込み。経常利益が大幅に増加するのは、前期は有価証券評価損242百万円を計上したため。
 
 
個別業績予想にも変更は無く、前期比2.7%の増収、同48.2%の経常増益予想。
taspo導入効果により増収は見込めるものの、景況感の悪化もあり利益への貢献が不透明なことが予想を修正しない理由。ただし、前期計上した宅配・食堂事業の初期費用が無くなり営業利益は同3.6%増加する見込み。連結同様店舗の減損損失及び投資有価証券評価損の計上により当期純利益は同2.5%の増加にとどまる見込み。
 
(株)FA24について
事業内容
クリーニング事業    : コンビニ併設以外の、マンションクリーニングや各種リネン
1,000円ヘアカット事業  : コンビニ併設以外の、単独店舗の運営(7店舗)
FA24サポートレディ事業 : 掃除、室内整理整頓を中心とした、各種サービス事業
介護施設紹介事業    : 施設紹介サイト「憩ikoi」の運営事業
 
※コンビニ(ポプラ)事業は、08年1月末にCVSベイエリアへ譲渡。お掃除事業の減収は、前年大規模案件の反動。
 
 
新規事業展開
 
・ビジネスホテル事業へ参入
来秋に、JR京葉線 市川塩浜駅前にビジネスホテルを開業する予定。具体的には、市川市が保有する駅前の遊休地を定期借地で借受け、コンビニを併設した客室108室程度のビジネスホテルを建設し、同社が運営を行なう。
遊休地の活用で市川市に協力できる上、リネンや客室の清掃等については、(株)FA24が行っているクリーニング事業やお掃除サービス事業等の経営資源やノウハウを活用できるため相乗効果も期待できる。建設事業費は6億円を予定している。
 
 
トピックス
 
業容拡大に伴うオフィスの拡張と資産の有効活用を兼ねて、8月末に幕張新都心の自社ビル(26階建てビル)へ本社を移転した。自社ビルは05年秋に取得したもので、移転により約200坪から約375坪に業務スペースが広がった。移転費用を当中間期に計上したものの賃料負担がなくなることから、2010年2月期より経費削減効果が期待できる。
 
 
取材を終えて
コンビニ業界は、タバコ自動販売機に対するtaspoの導入でタバコ購入目的の来店者が増加、猛暑効果も重なり、夏場にかけてソフトドリンク、アイスクリーム類等の売上が増加。(社)日本フランチャイズチェーン協会の「コンビニエンス・ストア統計調査時系列一覧」を基に3月~8月までの6ヶ月間の既存店売上高を計算してみると、前年同期比6.6%の増加となる。こうした中、同社のコンビニ事業も既存店を中心に堅調に推移したものの、taspoの導入が遅かった関東を営業エリアとする関係からtaspo効果が限定的なものにとどまり、業界全体の動きと比べて若干物足りないものとなった(taspoの導入は3月に九州2県で始まり、その後、関西・東海等へ広がったが、同社の店舗がある関東では7月からの導入と遅かった)。
ただ、オーバーストアによるコンビニ業界の飽和感は否めず、中期的なコンビニ業界の見通しは楽観を許さない。このため、同社の目は必ずしもコンビ事業だけに向けられている訳ではなく、様々なビジネスチャンスを模索している。もちろんベースとなるのはコンビニ事業であり、同事業を安定収益源としつつ、新規事業を育成する事で成長軌道に回帰させる考え。このため、コンビニ事業においては規模拡大を第1とするような出店戦略はとらず、体力を温存しつつ既存店の収益力強化に努める。また、クリーニング事業を中心に子会社を通して、コンビニ周辺事業を充実させる。これまで試行錯誤が続いた(株)FA24の営業・経常利益が当中間期より黒字化するなど、徐々に足下が固まってきた事から、新たにビジネスホテル事業や環境配慮型の再開発事業に挑戦しようと言うわけだ。