ブリッジレポート
(2687) 株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア

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ブリッジレポート:(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア vol.22

(2687:東証1部) シー・ヴイ・エス・ベイエリア 企業HP
泉澤 豊 社長
泉澤 豊 社長

【ブリッジレポート vol.22】2009年2月期業績レポート
取材概要「前年度はtaspo効果を享受したコンビ二業界だが、既に市場は飽和状態に近く、今後は他業種との競争激化も予想される。また、6月の改正薬事法の施・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年5月26日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア
社長
泉澤 豊
所在地
千葉県浦安市美浜1-9-2
決算期
2月
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年2月 25,271 571 334 -78
2008年2月 24,277 623 446 216
2007年2月 23,347 699 610 310
2006年2月 22,332 1,018 1,055 600
2005年2月 20,956 1,081 1,101 578
2004年2月 17,236 946 1,048 499
2003年2月 14,024 880 878 390
2002年2月 12,358 847 873 445
2001年2月 11,835 753 722 386
2000年2月 9,840 641 673 306
株式情報(5/8現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
125円 24,684,600株 3,086百万円 - 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
4.00円 3.2% 11.95円 10.5倍 154.68円 0.8倍
※株価は5/8終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
シー・ヴイ・エス・ベイエリアの2009年2月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
同社と100%連結子会社(株)FA24でグループを構成し、コンビニ事業を中心にその他事業としてクリーニング等のサービスを提供している。同社が手がけるコンビニ事業は、(株)サークルKサンクスと企業フランチャイズ契約を締結し、東京都内9区(新宿区、千代田区、中央区、江東区、江戸川区、港区、葛飾区、足立区、台東区)及び千葉県全域に同地域のエリアフランチャイズ本部として、直営店方式のコンビニ「サンクス」を展開。また、加盟店に対して、経営ノウハウとその情報等の供与を行なっている。その他事業は、子会社(株)FA24の事業領域で、各種サービスの提供を行っている。2009年2月末現在の店舗数は135店舗(直営店117店舗、加盟店18店舗)。
 
 
2009年2月期決算
 
 
前期比4.1%の増収、同25.1%の経常減益。
春先の天候不順の影響で出足は良くなかったものの、最盛期の夏場の天候に恵まれた事、下期以降、taspo(タスポ)効果の恩恵を受けた事、更には冬場が比較的暖かく天候にも恵まれ事等で加盟店を含む総売上高は28,748百万円と同4.3%増加した。直営店の売上高に加盟店のロイヤリティ等を加えた営業総収入も同4.1%増加したものの、taspo効果により売上が増えたタバコの利益率が低い事、上期の人手不足による店舗パート・バイトの人件費増、更には賞与査定期間変更に伴う賞与引当金の一時的な増加(4ヶ月分多く引き当てた)等で営業利益が同8.3%減少した。営業外では稼働率の上昇で幕張SCECビルなど投資用不動産の運用益が増加(36百万円→124百万円)したものの、売買目的有価証券運用損が増加(183百万円→416百万円)。投資有価証券評価損(118百万円)や減損損失(223百万円)など445百万円を特別損失に計上したため、78百万円の当期純損失となった。
期初予想との比較では、天候に恵まれた事とtaspo効果で売上高が予想超過。一方、利益が予想を下回ったのは、人件費高騰の影響を受けたパート・バイト給与、原油価格高騰の影響による電気ガス水道代、及び賞与引当金等が期初予想を上回ったため。特に賞与引当金の影響(68百万円)が大きかった。
 
(2)平均日販と既存店売上高
6店舗を新たに出店する一方、4店舗を閉店した(前期は出店:11、閉店10)。全店の平均日販は592千円(前期は580千円)、既存店の平均日販は595千円(同591千円)。全店、既存店共に2期連続で平均日販が増加した。一方、新店の平均日販は414千円となり、前期の437千円を下回った。また、既存店売上高は前期比101.4%。taspo効果で客数が同1.7%増加したものの、「ついで買い需要」が弱く、客単価が0.3%低下した。
 
 
既存店売上高の前年同月比の推移を見てみると、taspo効果により7月は既存店売上高が急進したものの、秋以降は世界的な景気悪化の影響から客数・客単価共に伸び悩んだ。
 
 
クリーニング取次店舗数の減少は、実績の乏しかった5店舗が取次ぎをやめたため。また、taspo効果でタバコの売上高は前期比27.1%増加したものの、同社の店舗が多い都心では「ついで買い需要」が弱く、大手コンビニ・チェーン程の増収インパクトは無かった。
 
 
期末総資産は前期末比539百万円減の10,487百万円。有利子負債等が減少し、わずかではあるがバランスシートがスリムになった。有形固定資産の増加が目立つが、これは、幕張SCECビルの自社使用分について、投資不動産から有形固定資産(土地・建物)に振り替えた事や、市川塩浜駅前ホテル建設に伴い建設仮勘定が増えたため。
 
 
損失を計上(税引き前で55百万円の損失)したものの、評価損や減損損失など現金支出を伴わない損益の悪化要因が多かったため、営業CFは前期に比べて大きくは減らず黒字を確保。売買目的有価証券の取得が減少した事等で投資CFのマイナスも減少したため、フリーCFはほぼ前期並み(17百万円のマイナス)にとどまった。
 
(5)連結子会社(株)FA24
①事業内容
クリーニング事業(コンビニ併設以外のマンションクリーニングや各種リネン)、1,000円ヘアカット事業(コンビニ併設以外の単独店舗の運営:7店舗)、FA24サポートレディ事業(掃除、室内整理整頓を中心とした各種サービス事業)、等を行っている。
 
②営業実績
売上高は前期比38.4%減の535百万円。コンビニ事業をCVSベイエリアに営業譲渡したため(前08/2期は11ヶ月間の売上を計上)、大幅な減収となった。主力のクリーニング事業は前期比3.6%増加したものの、新築マンションの竣工減や入居率悪化等による下期の苦戦が響き、予算を26.1%(123百万円)下回った。この他では、掃除サービスが堅調に推移したものの、施設紹介サイト「憩」が低迷した。
 
クリーニング事業 347百万円(+ 3.6%)
1,000円ヘアカット事業 129百万円(+ 3.2%)
掃除・サイト事業他 58百万円
全事業売上高合計 535百万円(△38.4%)
2010年2月期業績予想
 
 
前期比0.1%の増収、同94.6%の経常増益予想。

既存店売上高は前期並みを想定。家賃相場の下落等で都心部での出店機会が拡大しているものの、新規出店は織り込んでいない。利益面では、賞与引当金の増加等、一時的な要因が無くなり営業利益が回復、有価証券関連の損失が一巡し営業外損益も改善する。また、子会社(株)FA24も小幅ながら黒字を確保する見込み。
尚、下期は第4四半期にホテル(後述)売上40百万円を見込んでいるものの、taspo効果がなくなり前年同期比減収。ホテル開業(後述)費用やコンビニ店舗の減損損失が負担となり純損失となる見込み。
配当は1株当たり中間2円、期末2円の年4円を予定している。
 
 
 
(2)連結子会社(株)FA24
売上高は前期比6.5%減の500百万円、営業利益、経常利益共に10百万円(前期は共に5百の損失)を予想。景気悪化や前期の予算未達を踏まえて、主力のクリーニング事業は同10.1%の減収予想。1,000円ヘアカットも同1.8%の減収見込みだが、セコムやJALカードと提携して富裕層を中心に営業を拡大しているFA24サポートレディ事業は同5.2%の増収を見込んでいる。
クリーニング事業 312百万円(△10.1%)
1,000円ヘアカット事業 127百万円(△ 3.2%)
掃除・サイト事業他  61百万円(+ 5.2%)
全事業売上高合計 500百万円(△38.4%)
(3)ビジネスホテル事業への参入
本年12月に、JR京葉線 市川塩浜駅前にビジネスホテルを開業する予定。市川市が保有する駅前の遊休地を定期借地で借受け、コンビニを併設した客室108室(シングル83室、ツイン24室、バリアフリー1室)のビジネスホテルを建設し運営を行なう。
JR京葉線 市川塩浜駅は東京駅から快速で19分。東京ディズニーリゾートのある舞浜駅まで2駅5分、国際展示場がある海浜幕張駅まで14分の好立地。しかも、現在のところ、周辺の京葉線沿線には競合となるビジネスホテルがない状態。

この事業は、遊休地の活用で市川市に協力できる上、リネンや客室の清掃等については、(株)FA24が行っているクリーニング事業や掃除サービス事業等の経営資源とノウハウを活用できるため相乗効果も期待できる。建設事業費は約6.1億円を予定している。
 
取材を終えて
前年度はtaspo効果を享受したコンビ二業界だが、既に市場は飽和状態に近く、今後は他業種との競争激化も予想される。また、6月の改正薬事法の施行により、一定の要件を満たせば大半の大衆薬販売が可能となるため、コンビニ各社は新たな需要への対応にも迫られている。大衆薬の販売機会拡大等の規制緩和は、コンビニ各社にとってビジネスチャンスではあるものの、チャンスを活かすためには人的な面も含めて相応の経営資源が必要となるため、こうした面からも更なる業界再編と大手による寡占が避けられない。
こうした中、上場企業としての経営基盤と直営店中心の展開による高い機動力を有する同社は、いかにして業界再編をチャンスに変えていくのか。今後の展開に注目したい。幸い高騰した店舗賃料がピークアウトし、慢性的な人員不足も解消されつつあり、好立地への出店機会も増えている。