ブリッジレポート
(2687) 株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア

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ブリッジレポート:(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア vol.24

(2687:東証1部) シー・ヴイ・エス・ベイエリア 企業HP
泉澤 豊 社長
泉澤 豊 社長

【ブリッジレポート vol.24】2010年2月期上期業績レポート
取材概要「上期は景気悪化により客単価や買上げ点数が落ち込む中、稼ぎ時である夏場の天候不順が重なった。また、大手コンビニを中心に各社が価格面での訴求・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年11月4日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア
社長
泉澤 豊
所在地
千葉県浦安市美浜1-9-2
決算期
2月
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年2月 25,271 571 334 -78
2008年2月 24,277 623 446 216
2007年2月 23,347 699 610 310
2006年2月 22,332 1,018 1,055 600
2005年2月 20,956 1,081 1,101 578
2004年2月 17,236 946 1,048 499
2003年2月 14,024 880 878 390
2002年2月 12,358 847 873 445
2001年2月 11,835 753 722 386
2000年2月 9,840 641 673 306
株式情報(10/16現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
120円 24,684,000株 2,962百万円 - 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
4.00円 3.3% 6.68円 18.0倍 165.00円 0.7倍
※株価は10/16終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
シー・ヴイ・エス・ベイエリアの2010年2月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
(株)サークルKサンクスのエリアフランチャイズ本部として、東京都内9区(新宿区、千代田区、中央区、江東区、江戸川区、港区、葛飾区、足立区、台東区)及び千葉県全域においてコンビニエンス・ストア(コンビニ)「サンクス」を展開すると共に、加盟店の指導や経営ノウハウ等の提供を行なっている。同社のコンビニ運営は、「クリーニング取次ぎサービス」や「宝くじ」販売等、便利さを追求した独自のサービスに特徴があり、また、連結子会社(株)FA24を通して、マンションフロントでの「クリーニング取次ぎサービス」(200物件以上でサービスを提供中)や「お掃除サービス」等も提供している。2009年8月末現在の店舗数は132店舗(直営店116店舗、加盟店16店舗)。
 
 
2010年2月期上期決算
 
 
前年同期比1.8%の減収、同41.4%の経常増益となった。
直営方式の強みを生かして弁当や惣菜、生鮮品等のPB商品の販売拡大に努めたものの、天候不順の影響等による夏物商材の苦戦やtaspo導入による店頭でのタバコ対面販売効果の一巡もあり、営業総収入がわずかに減少した。利益面では、低単価商品やタバコの売上構成比の上昇等で売上総利益率が低下。パート・バイトの人件費、消耗品費、採用費等を削減したものの、新システム導入(サークルKサンクスのシステム更新に伴うもの)により機器保守料、通信費、リース減価償却費等の増加で販管費の減少は同1.9%にとどまり営業利益は同24.0%減少した。ただ、有価証券評価益(152百万円)の計上等で営業外損益が改善、投資有価証券評価損が無くなった事や減損損失の減少等で特別損益も改善し、四半期純利益は3.3倍強に拡大した。

第2四半期末の店舗数は前期末比3店舗減の132店舗。新規出店を控えて既存店の収益力強化に努めた。加盟店を含む全店売上高は13,991百万円と同4.6%減少(期初予想は14,610百万円)。既存店については、平均日販579千円(同4.5%減)、平均客数1,034人(同1.8%減)、客単価560円(同2.8%減)、粗利率29.4%(前年同期は30.1%)。
 
期初予想との差異
夏場の天候不順や米飯の需要が低価格品へシフトした事等で売上が下振れすると共に売上総利益率が悪化、営業利益は期初予想を33.5%下回った。有価証券評価益の計上等で営業外損益が想定以上に改善したため、経常利益は期初予想に沿った着地となったものの、店舗閉鎖損失や減損損失の計上で四半期純利益は期初予想を20.3%下回った。
尚、今回の業績予想修正の責任を明確にするため、取締役の役員報酬を3%~20%、マネージャー職以上の管理職社員給与の減額を09年10月より実施する。また、監査役も監査役報酬を3%~5%自主返上する。
 
 
酒販売店舗数、煙草販売店舗数、及びATM導入店舗数の減少は不採算店を閉店したため。
 
(3)財政状態
第2四半期末の総資産は前期末比1,219百万円増の11,706百万円。土地(千葉県市川市塩浜地区)が増加(+1,123百万円)する一方、土地の取得に伴い長期貸付金(△750百万円)が清算された事等で投資その他が減少した。有利子負債の積み増しや運転資金の減少により、現預金は前期末の1,479百万円から2,199百万円に増加した。
 
(4)連結子会社(株)FA24
①事業内容
クリーニング事業 :コンビニ併設以外のマンションクリーニングや各種リネン
1,000円ヘアカット事業 :コンビニ併設以外の単独店舗の運営:7店舗
FA24サポートレディ事業 :掃除、室内整理整頓を中心とした各種サービス事業
②営業実績
売上高は前年同期比15.1%増の327百万円。主力のクリーニング事業において、マンションや施設等の新規取引先開拓が進んでいる他、片づけ・掃除事業も固定客が増加し順調に拡大した。営業利益は19百万円(前年同期は2百万円)、経常利益は18百万円(同0.7百万円)。
クリーニング事業 218百万円(+17.2%)
1,000円ヘアカット事業  68百万円(+ 0.0%)
掃除・サイト事業他  29百万円(+36.6%)
全事業売上高合計 327百万円(+15.1%)
営業利益  19百万円(前年同期: 2百万円)
経常利益  18百万円(前年同期:0.7百万円)
2010年2月期業績予想
 
 
下期の既存店売上高は前年同期比91.0%を想定。引き続き消費の低迷が予想されるものの、連結子会社化した(株)アスク(後述)の寄与により増収に転じる見込み。ただ、利益面では、コンビニ事業の苦戦に加え、ホテル事業の立ち上げ費用や(株)アスクの株式取得にかかるのれん償却費等が負担となる。この結果、通期では加盟店を含む売上高が26,444百万円と同8.0%減少する見込みだが、営業総収入は同4.5%増加する見込み。利益面では、コンビニ事業の苦戦で営業利益が同33.5%減少するものの、有価証券評価益の計上等による営業外損益の改善で経常利益は530百万円と同58.7%増加する見込み。ただ、店舗資産等の減損損失を予定しているため、当期純利益は165百万円にとどまる。配当は、期初発表の通り1株当たり4円(第2四半期末2円、期末2円)を実施する予定。
尚、(株)アスクは、売上高で2,450百万円、営業利益で30百万円の連結業績への寄与が見込まれるが、同社の株式取得に伴い発生するのれん償却費41百万円を営業外費用に計上するため、経常利益段階では減益要因となる。
 
(2)連結子会社(株)FA24
通期の業績予想は、売上高500百万円(前期比6.5%減)、営業利益10百万円(前期は△5百万円)、経常利益は10百万円(同△5百万円)。各利益は上期実績で通期予想を達成しており順調に推移しているが、期初予想を修正していない。なお、掃除や室内整理整頓等のサービスを提供するFA24サポートレディ事業が、セコムや大手引越し業者との提携効果もあり、富裕層を中心に営業を拡大している。6月には「JALカード」とも提携し、今後一段の事業拡大が見込まれる。
クリーニング事業 312百万円(△10.1%)
1,000円ヘアカット事業 127百万円(△ 1.8%)
掃除・サイト事業他  61百万円(+ 5.2%)
全事業売上高合計 500百万円(△6.5%)
営業利益  10百万円(前年同期:△ 5百万円)
経常利益  10百万円(前年同期:△ 5百万円)
(3)(株)アスク社株式の取得
09年10月1日に議決権の58.3%を取得し、(株)アスクを連結子会社化した。
(株)アスクは、マンションフロント(コンシェルジュ)サービスで業界トップ。各種案内やクリーニング取次ぎ等のコンシェルジュサービス、メンテナンスサポートやハウスクリーニング業者紹介等のレジデンスサポート、ミニショップや売店の運営、更にはカーシェアリング事業(22物件、4,400世帯を対象に30台の車両を提供中)を手掛けている。多くの不動産会社やマンション管理会社等を顧客に持ち、首都圏を中心に約800物件を受託しており、「クリーニング取次ぎ」や「ハウスクリーニング」サービスにおいて、(株)FA24との相乗効果が期待できる。
 
(株)アスクの概要
所在地 :神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町二丁目25番2号
代表者 :代表取締役社長 松本源治
資本金 :157百万円(発行済株式数 5,680株)
設立 :1997年6月5日
従業員 :215名(09年3月末現在)
 
これまではオーナー社長の経営の下、利益計上よりも節税志向が強かったが、(株)シー・ヴイ・エス・ベイエリアの傘下に入った事で収益重視の経営に舵を切った。このため、10/2期は5ヶ月決算ながら30百万円の営業利益を計上できる見込み。
 
(4)ビジネスホテル事業
11月24日に、JR京葉線 市川塩浜駅前にビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」を開業する。市川市が保有する駅前の遊休地を定期借地で借受け、コンビニを併設した客室108室(シングル54室、ダブル12室、ツイン41室、バリアフリー1室)のビジネスホテルを運営する。投資額は700百万円(建物650百万円、客室設備5百万円)。
売上計画は、10/2期40百万円(前提:稼働率60%)、11/2期180百万円(同65%)、12/2期190百万円(同68%)。10/2期は開業費用の計上もあり44百万円の営業損失見込みだが、12/2期には10百万円強の利益計上が見込まれる。

JR京葉線 市川塩浜駅は東京駅から快速で19分。東京ディズニーリゾートのある舞浜駅まで2駅5分、幕張メッセがある海浜幕張駅まで14分の好立地。しかも、現在のところ、周辺の京葉線沿線には競合となるビジネスホテルがない状態。加えて、朝食付きで1泊5,800円からと価格競争力も強い(近隣にあるスーパーホテルと同程度)。
 
取材を終えて
上期は景気悪化により客単価や買上げ点数が落ち込む中、稼ぎ時である夏場の天候不順が重なった。また、大手コンビニを中心に各社が価格面での訴求力に力を入れている事も影響しているものと思われる。しかし、個人消費は懐が深い。このため、独自の戦略を進めて多様な価値を提供できれば、新たな需要の掘り起こしにつながるはずだ。事実、同社には、機動力や柔軟性を発揮できる直営方式による店舗展開により、コンビニ業界に新たな風を吹き込み独自の境地を切り開いてきた実績がある。
ただ、コンビニ業界の成熟が進む中では、活動の場を業界の外に広げていく必要があり、ビジネスホテル事業やマンションの居住者向けサービスはこうした観点から生まれた。11月に開業予定のビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」は、足下、ディズニーリゾートの来場者を中心に予約が順調との事、また、(株)アスクを基点とするマンション向けサービスでは、(株)FA24とのシナジーはもちろん、コンビニ事業との連携や周辺のスーパー及びドラッグストアとの提携による物販の取次ぎ等、様々なサービスの提供を計画している。今後の展開に期待したい。