ブリッジレポート
(2687) 株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア

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ブリッジレポート:(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア vol.39

(2687:東証1部) シー・ヴイ・エス・ベイエリア 企業HP
泉澤 豊 会長
泉澤 豊 会長
泉澤 摩利雄 社長
泉澤 摩利雄 社長
【ブリッジレポート vol.39】2014年2月期業績レポート
取材概要「14/2期は主力のコンビニ事業が復調したものの、同事業は会社の思惑ほどには回復は進んでいない。しかし、その他の事業は悪くはない。特に「CVS・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年5月7日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア
会長
泉澤 豊
社長
泉澤 摩利雄
所在地
千葉県浦安市美浜1-9-2
決算期
2月
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年2月 30,193 50 167 -878
2013年2月 27,190 -426 -354 -880
2012年2月 26,882 338 342 -369
2011年2月 28,635 601 650 233
2010年2月 26,322 416 610 235
2009年2月 25,271 571 334 -78
2008年2月 24,277 623 446 216
2007年2月 23,347 699 610 310
2006年2月 22,332 1,018 1,055 600
2005年2月 20,956 1,081 1,101 578
2004年2月 17,236 946 1,048 499
2003年2月 14,024 880 878 390
2002年2月 12,358 847 873 445
2001年2月 11,835 753 722 386
2000年2月 9,840 641 673 306
株式情報(4/25現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
181円 49,364,870株 8,935百万円 - 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
未定 - 1.62円 111.7倍 35.72円 5.1倍
※株価は4/25終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末実績。
 
シー・ヴイ・エス・ベイエリアの2014年2月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
1981年2月設立。「便利さの提供」を企業理念とし、直営店主体のコンビニ事業を中心に、ビジネスホテル事業、子会社を介したクリーニング事業及びマンションのフロント(業務)受託事業を手掛けている。主力のコンビ二事業では、89年より「サンクス」店舗を運営。現在は、12年3月より(株)ローソン(2651)とフランチャイズ(FC)契約を結び、千葉県及び東京都のベイエリアを中心に直営店舗主体に展開。また、単体ではビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」の運営も行っている。グループは、同社の他、クリーニングとリネンサプライを事業ドメインとする(株)エフ・エイ・二四(以下、FA24)、及びマンションフロントサービスを手掛ける(株)アスクの連結子会社2社。いずれも100%子会社である。
 
【事業概要】
(1)京葉地区の湾岸エリア(港区、中央区、江東区、江戸川区、浦安市、市川市)中心に展開するコンビニ事業
主力のコンビ二事業では、東京都区内(千代田区、中央区、港区、江東区、江戸川区、大田区、渋谷区、新宿区、台東区、北区、足立区、葛飾区)及び千葉県北西部において店舗展開。特に港区、中央区、江東区、江戸川区、浦安市、市川市に集中出店する。また、13/2期には神奈川県内(横浜市)に初出店している。再開発が進むベイエリア地域を中心としたドミナント展開を行う。創業来、「便利さの提供を理念に事業展開してきた。(株)ローソンが得意とするカウンターフーズの強化、同社が他社に先駆け展開している生鮮野菜の販売や、独自展開する「クリーニング取次ぎサービス」を通じて顧客の利便性向上を図ると共に店舗競争力を高めていく考え。
 
 
 
(2)非コンビニ事業の育成 -「便利さの提供」を追求-
「便利さの提供」と言う企業理念の下、コンビニ店舗での「クリーニング取次ぎサービス」や「宝くじ」販売等の独自サービスを提供している他、ビジネスホテル、クリーニング・リネンサプライ、及びマンションフロントサービスといった非コンビニ事業にも注力している。
 
ビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」  (株)シー・ヴイ・エス・ベイエリア
09年11月オープン。市川市が保有するJR京葉線市川塩浜駅前の遊休地を定期借地で借受け、コンビニ併設の108室規模(シングル54室、ダブル12室、ツイン41室、バリアフリー1室)のビジネスホテルを運営している。JR京葉線 市川塩浜駅は東京駅から快速で19分、東京ディズニーリゾートのある舞浜駅まで2駅5分、幕張メッセがある海浜幕張駅まで14分の好立地。価格競争力も強く、平日はビジネス客、週末はレジャー客と安定した集客を誇る。
 
クリーニング・リネンサプライ  連結子会社 (株)FA24
フロント受付やコンビ二受付によるクリーニングサービス、リネンサプライサービス、ユニフォームレンタル&クリーニングサービス、及びおそうじサービス等を、BtoC、BtoBで提供。13/2期には自社クリーニング工場が稼働した他、昨年3月より、ローソンの加盟店舗の一部で、同社がCL-BOX型の「クリーニング取次ぎサービス」の実験を開始した。
 
マンションフロントサービス  連結子会社 (株)アスク
宅急便やクリーニングの取り次ぎ等、マンションのフロント業務を手掛けるマンションフロント(コンシェルジュ)サービス、レジデンスサポート(メンテナンスサポート、ハウスクリーニング事業者紹介等)、ミニショップや売店の運営、更にはカーシェアリングや「ネットスーパー」取り次ぎサービス等を手掛ける。豊富な経験と確かな実績によるフロントサービスを提供している。業界トップのマンションフロントサービスでは、首都圏を中心に約865件を受託しており、室内清掃や東日本大震災の教訓を踏まえた階段避難器具や防災グッズの提供サービスのほか、室内清掃などの新サービにより顧客満足度の向上に取り組んでいる。
【サービスの提供内容】
・コンシェルジュサービス
 ⇒宅配便、クリーニング取次ぎ
・レジデンスサポート
 ⇒メンテナンスのサポート、ハウスクリーニング業者紹介
・ミニショップ、売店の運営など
・カーシェアリングサービスの提供
・大手企業と提携した、「ネットスーパー」取次ぎサービスによる付加価値の提供
 
 
2014年2月期決算
 
 
前期比11.0%の増収、1億67百万円の経常利益(前期は3億54百万円の損失)、純損失は8億78百万円
営業総収入は前期比11.0%増の301億93百万円。ブランド変更に伴う店内の改装作業で13/2期の店舗営業日数が大きく減少していたが、14/2期は通常の店舗数によるオペレーションが行われ、主力のコンビニ事業の売上が前期比13.4%増となった。ビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」(その他事業)や、子会社が手掛けるマンションフロントサービス事業やクリーニング事業も、それぞれ増収となった。
利益面では、コンビニ事業の復調により売上高が損益分岐点を超えた事で、セグメント損益が黒字転換した。マンションフロントサービス事業やクリーニング事業、その他事業もそれぞれ増益となり、営業利益は前期4億26百万円の損失から50百万円の利益に改善した。経常利益は1億67百万円(前期は3億54百万円の損失)。不動産管理費用が減少した。
当期純損失は8億78百万円(前期は8億80百万円の損失)。特別損失に期中の閉店費用のうち前期末の引当超過額として店舗閉鎖損失50百万円、15/2期中に予定する閉店に掛かる費用として店舗閉鎖損失引当金7億27百万円、閉店及び収益性の低い店舗の固定資産減損損失1億59百万円を計上した。2Q決算発表時の予想に対して売上高は上回ったものの、各利益は下回った。
 
 
同社単体では営業総収入236億70百万円(前期比13.4%増)、経常利益1億2百万円(前期は4億22百万円の損失)。コンビニ部門では店舗が通年営業となったことから増収となるも、8~10月が苦戦したほか1、2月も客数・単価が伸び悩んだ。下期に3店舗を直営化したこともあり、商品売上予算は達成した。ホテル部門は稼働率が向上し大幅増収となった。利益面ではコンビニにおいて、「淹れたてコーヒー」サービス提供店舗が増加したことで粗利益率増加に貢献するものの、オープンケース内商品や一般品の改善が進まず、営業総利益は期初計画には届かなかった。販管費では、売上高の伸長比率や直営店数の増減に対して給与(通勤費含む)、水道光熱費、各種決済手数料(電子マネー)・ポイント経費が増加傾向。同社では店舗運営の基礎経費が上昇し、「店舗経営者」の負担増が懸念されるとしている。有価証券運用・売却益があったことなどから経常利益は予想の水準を確保した。
 
 
コンビニエンス・ストア事業
事業収入231億71百万円(前期比13.4%増)、セグメント利益1億6百万円(前期は3億16百万円の損失)。
コンビニ業界では大手各社の出店競争が続くなど業界を取り巻く環境が激化する中、各チェーンでは淹れたてコーヒーの販売拡大、ファストフードやPB商品の強化など付加価値商品の拡充に取り組んでおり、全店ベースでの来店客数、売上高は増加を続けている。しかし一方では、タバコ購入者の減少や各社の出店攻勢が続いているほか、天候不順で苦戦したことが響き、既存店売上は前年割れが続く状況を強いられている。
こういった中、期末の店舗数は前期末から3店舗減の127店舗。既存店売上は前年比+0.9%、会社見通しである+2.0%を下回った。2012年3月より開始した「ローソン」ブランドでの店舗運営体制の構築を進めてきた。「MACHI cafe」(マチカフェ)ブランドでの淹れたてコーヒーの提供店舗を増やしているほか、「黄金チキン」などのオリジナル・ファストフードの販売や、ローソンが他社に先駆けて展開している生鮮食品の販売を同社でも積極的に取り組んだ。また、同社が独自で導入している「クリーニング取次ぎサービス」や「数字選択式宝くじ」及び「宝くじ」など、他店舗との差別化となるサービスの提供にも努めた。通常の店舗数の運営となった当初の6月~7月は天候に恵まれたこともあり好調に推移した。秋以降は「コーヒー」の販売状況で差異が出てくることとなる。ローソンは「コーヒー」の販売でセブンイレブンに差をつけられた。11~12月に既存店売上はプラスとなったものの、利益率の低いモーターショーのチケット売上の影響が大きい。
 
 
マンションフロントサービス事業
事業収入55億22百万円(前期比3.6%増)、セグメント利益3億29百万円(同34.9%増)。マンション販売業界は13年度の全国のマンション供給戸数が前年比12.2%増となるなど回復基調にあった。
こういった中、同社は従来からのフロントサービス、ショップ、カフェでのサービスに加えマンション内で申し込み、商品を受け取ることができる予約販売サービスにも力を入れている。また、改修によるエレベーター停止時などに利用できる電動式階段昇降機の販売、レンタルや、マンション管理組合を対象とした防災イベントを企画、提案している。
子会社アスクは営業総収入55億22百万円(前期比3.6%増)、経常利益1億55百万円(同6.3%減)。順調に新規案件を獲得できたほか、カーシェアリングサービスなどの新サービスが順調に推移したことから増収を確保。一方で、新規物件受託に備えた増員や、システム更新費用などが先行投資として発生したことから、減益となった。
 
 
クリーニング事業
事業収入11億84百万円(前期比2.1%増)、セグメント利益44百万円(同75.3%増)。クリーニング業界では、服装のカジュアル化や低価格化衣料の浸透、家庭用洗剤や洗濯機が進化したことなどにより、クリーニング需要の減少や洗濯代への出費が絞られる動向が続いており、年々1世帯当りのクリーニング代が減少傾向にある。
こういった中、タワーマンションや高級マンションのフロントでの便利、かつ、高品質な「クリーニング取次ぎサービス」を提供することにより、全国全世帯平均よりも高い客単価を得ている。季節に応じた各種販促企画を実施し、需要の喚起に取り組んだ。また、自社工場では、円安による洗濯溶剤や包装材の仕入価格上昇などにより厳しい経営環境が続いているが、新規物件の売上増加に対応すべく、生産面の効率化に努めたほか、商品管理センターとともにクリーニング、メンテナンス、在庫管理と一元管理を可能とするトータルサービスを提供することで収益の拡大を目指してきた。
子会社FA24は営業総収入12億72百万円(前期比3.2%増)、経常利益16百万円(同16.9%減)。「コンビニクリーニング」が店舗通年稼働となったことや、自社工場を活用したリネン事業が順調に推移したことから増収となる一方、工場のオペレーションレベル向上スピード以上に業務量が増加したことで小幅な減益となった。
 
 
その他事業
事業収入4億98百万円(前期比12.7%増)、セグメント利益1億11百万円(同90.7%増)。ビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」はJR京葉線の市川塩浜駅に隣接した利便性の高い駅前立地である事や、コンビニの併設や宿泊プランの多様化等、利用者ニーズに応えた運営に努めた。通年稼働4年目となり、認知度の向上やリゾート需要増加、東京ディズニーリゾート30周年といった追い風もあった。通期稼働率は前期比11.4ポイント増の85.8%となった。
 
 
14/2期末の総資産は前期末比5億90百万円減の106億31百万円。現預金が1億11百万円、未収入金が57百万円増加した一方、未収消費税等が1億15百万円、敷金・保証金が1億26百万円や店舗の閉鎖、減損損失の計上に伴い有形固定資産1億70百万円減少した。
負債は前期末比3億74百万円増加し88億68百万円となった。借入金の返済に伴い長期借入金が2億99百万円減少し、未払金が1億14百万円減少した一方、店舗閉鎖損失引当金が7億17百万円増価した。
純資産は前期末比9億65百万円減少し、17億63百万円となった。当期純損失を8億78百万円計上したことによるもの。
自己資本比率は前期末から7.7ポイント悪化し、16.6%となった。
 
 
14/2期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比1億11百万円増価、17億24百万円となった。
営業CFは3億49百万円の収入超過となった。収入の主な内訳は、投資不動産収入額3億59百万円や消費税等の還付金1億15百万円であり、支出の主な内訳は、投資不動産管理費支払額2億32百万円や、店舗閉鎖損失の支払額1億48百万円。投資CFは2億10百万円の収入超過となった。収入の主な内訳は有価証券の売却による収入1億3百万円や投資有価証券の売却による収入99百万円であった。これらにより、フリーCFは5億59百万円の収入超過となった。財務CFは4億48百万円の支出超過となった。支出の主な内訳は、長期借入金の約定弁済による支出額3億49百万円や、配当金の支払い額98百万円であった。
 
 
2015年2月期業績予想
 
 
15/2期予想は売上高282億円(前期比6.6%減)、経常利益1億85百万円(同10.8%増)。
主力のコンビニ事業では「ローソン」ブランドでの運営2年目に営業利益を確保出来なかった反省を踏まえ、4月以降順次不採算店舗の閉店及び運営からの撤退を進め、収益性を重視した店舗規模での運営体制を構築する。店舗運営面においても引き続き顧客の利便性向上を第一に考えたサービスの提供に注力し、収益の獲得に取り組む。「クリーニングサービス」や「数字選択式宝くじ」及び「宝くじ」の販売など、当社独自のサービスによる他店との差別化や、教育研修体制を強化することで店舗運営力を高める。マンションフロントサービス事業では、居住者の利便性と快適性をより向上させるサービスの提供に努めるとともに、新たなサービスを提供することでフロントサービスの存在価値を向上させる。クリーニング事業では、子会社アスクとの業務提携を引き続き強化するほか、スケールメリットを活かしたキャンペーンなどの施策を行うことで、新規顧客・取引先の拡大に努めるとともに、自社工場を有効活用することを通じ、収益性の向上につなげる考え。
単体ではコンビニの既存店売上は-1.2%(上期-2.1%、下期±0.0)を想定する。不採算店の閉鎖を進め、1Q末119店舗、2Q末115店舗前後、期末には110~115店舗となる見通し。上期は不採算店の閉店による業績改善効果が消費増税による買い控えと相殺される見込み。下期には不採算店舗の閉店や運営撤退が進むことから、大幅な収益の改善を計画する。尚、閉店が見込まれる店舗に関連する損失は14/2期に引き当て済み。ビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」では東京ディズニーリゾート30周年の反動や消費増税の影響から稼働率を前期比10.8 P減の75.0%と保守的に想定する。尚、客室単価については調整可能と想定している。
 
 
子会社ではアスクはマンション竣工時の受託物件件数の増加が見込めることから、FA24はリネン事業の好調を見込むと共に、工場稼働の安定化が進みそれぞれ増益を見込む。
 
 
 
 
今後の注目点
14/2期は主力のコンビニ事業が復調したものの、同事業は会社の思惑ほどには回復は進んでいない。しかし、その他の事業は悪くはない。特に「CVS・BAY HOTEL」は好調であった。
15/2期はコンビニ事業の既存店売上の回復が優先課題となるだろう。同社独自のサービスの収益貢献に期待したい。3月の既存店売上は前年同月比+1.0%とまずまずのスタート。「CVS・BAY HOTEL」では想定稼働率85%に対して足元3月は93.3%(前年同月は84.7%)と好調なスタートとなっており、客室単価の上昇も期待できる。中期的には子会社の収益への本格貢献が待たれる。