ブリッジレポート
(2687) 株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア

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ブリッジレポート:(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア vol.41

(2687:東証1部) シー・ヴイ・エス・ベイエリア 企業HP
泉澤 豊 会長
泉澤 豊 会長

【ブリッジレポート vol.41】2015年2月期上期業績レポート
取材概要「コンビニ事業は好調とはいえなかった。むしろ、天候不順等の影響を受けて逆風にあったといえる。しかし、上期の着地は計画を上回り、通期・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年1月20日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア
会長
泉澤 豊
所在地
千葉県千葉市美浜区中瀬1-7-1 CVSベイエリアビル
決算期
2月
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年2月 30,193 50 167 -878
2013年2月 27,190 -426 -354 -880
2012年2月 26,882 338 342 -369
2011年2月 28,635 601 650 233
2010年2月 26,322 416 610 235
2009年2月 25,271 571 334 -78
2008年2月 24,277 623 446 216
2007年2月 23,347 699 610 310
2006年2月 22,332 1,018 1,055 600
2005年2月 20,956 1,081 1,101 578
2004年2月 17,236 946 1,048 499
2003年2月 14,024 880 878 390
2002年2月 12,358 847 873 445
2001年2月 11,835 753 722 386
2000年2月 9,840 641 673 306
株式情報(10/10現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
158円 49,364,470株 7,799百万円 - 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
未定 - 4.66円 33.9倍 35.72円 4.4倍
※株価は10/10終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末実績。
 
シー・ヴイ・エス・ベイエリアの2015年2月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
1981年2月設立。「便利さの提供」を企業理念とし、直営店主体のコンビニ事業を中心に、ビジネスホテル事業、子会社を介したクリーニング事業及びマンションのフロント(業務)受託事業を手掛けている。主力のコンビ二事業では、89年より「サンクス」店舗を運営。現在は、12年3月より(株)ローソン(2651)とフランチャイズ(FC)契約を結び、千葉県及び東京都のベイエリアを中心に直営店舗主体に展開。また、単体ではビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」の運営も行っている。グループは、同社の他、クリーニングとリネンサプライを事業ドメインとする(株)エフ・エイ・二四(以下、FA24)、及びマンションフロントサービスを手掛ける(株)アスクの連結子会社2社。いずれも100%子会社である。
 
【事業概要】
(1)京葉地区の湾岸エリア(港区、中央区、江東区、江戸川区、浦安市、市川市)中心に展開するコンビニ事業
主力のコンビ二事業では、東京都区内(千代田区、中央区、港区、江東区、江戸川区、大田区、渋谷区、新宿区、台東区、北区、足立区、葛飾区)及び千葉県北西部において店舗展開。特に港区、中央区、江東区、江戸川区、浦安市、市川市に集中出店する。また、13/2期には神奈川県(横浜市)に初出店している。再開発が進むベイエリア地域を中心としたドミナント展開を行う。創業来、「便利さの提供を理念に事業展開してきた。(株)ローソンが得意とするカウンターフーズの強化、同社が他社に先駆け展開している生鮮野菜の販売や、独自展開する「クリーニング取次ぎサービス」を通じて顧客の利便性向上を図ると共に店舗競争力を高めていく考え。現在は不採算店舗の閉鎖を進め、利益重視の施策を打っている。14/2期の当期損失は店舗閉鎖損失引当金計上によるもの。
 
 
 
(2)非コンビニ事業の育成 -「便利さの提供」を追求-
「便利さの提供」と言う企業理念の下、コンビニ店舗での「クリーニング取次ぎサービス」や「宝くじ」販売等の独自サービスを提供している他、ビジネスホテル、クリーニング・リネンサプライ、及びマンションフロントサービスといった非コンビニ事業にも注力している。
 
ビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」 (株)シー・ヴイ・エス・ベイエリア
09年11月オープン。市川市が保有するJR京葉線市川塩浜駅前の遊休地を定期借地で借受け、コンビニ併設の108室規模(シングル54室、ダブル12室、ツイン41室、バリアフリー1室)のビジネスホテルを運営している。JR京葉線 市川塩浜駅は東京駅から快速で19分、東京ディズニーリゾートのある舞浜駅まで2駅5分、幕張メッセがある海浜幕張駅まで14分の好立地。価格競争力も強く、平日はビジネス客、週末はレジャー客と安定した集客を誇る。
 
クリーニング・リネンサプライ  連結子会社 (株)FA24
フロント受付やコンビ二受付によるクリーニングサービス、リネンサプライサービス、ユニフォームレンタル&クリーニングサービス、及びおそうじサービス等を、BtoC、BtoBで提供。13/2期には自社クリーニング工場が稼働した他、昨年3月より、ローソンの加盟店舗の一部で、同社がCL-BOX型の「クリーニング取次ぎサービス」の実験を開始した。ヘアカット事業も行っている。
 
マンションフロントサービス  連結子会社 (株)アスク
宅急便やクリーニングの取り次ぎ等、マンションのフロント業務を手掛けるマンションフロント(コンシェルジュ)サービス、レジデンスサポート(メンテナンスサポート、ハウスクリーニング事業者紹介等)、ミニショップや売店の運営、更にはカーシェアリングや「ネットスーパー」取り次ぎサービス等を手掛ける。豊富な経験と確かな実績によるフロントサービスを提供している。業界トップのマンションフロントサービスでは、首都圏を中心に876件(8月末現在)を受託しており、室内清掃や東日本大震災の教訓を踏まえた階段避難器具や防災グッズの提供サービスのほか、室内清掃などの新サービにより顧客満足度の向上に取り組んでいる。
【サービスの提供内容】
・コンシェルジュサービス
 ⇒宅配便、クリーニング取次ぎ
・レジデンスサポート
 ⇒メンテナンスのサポート、ハウスクリーニング業者紹介
・ミニショップ、売店の運営など
・カーシェアリングサービスの提供
・大手企業と提携した、「ネットスーパー」取次ぎサービスによる付加価値の提供
 
 
2015年2月期上期決算
 
 
前年同期比3.5%の減収、1.3%の経常増益
営業総収入は前年同期比3.5%減の149億17百万円。コンビニ業界では大手各社の積極的出店競争が続いているほか、各チェーンが差別化を図った出店戦略を進めていることなどから、全店ベースの売上高や来店客数は増加を続けている。しかし一方では他業種を巻き込んでの出店攻勢の影響や、消費税率引き上げ前のタバコの駆け込み需要があったものの、その反動減が響いたことに加えて回復すると思われた夏場には天候不順の影響も影を落とした。こういったことから4月以降の既存店売上は前年割れの状況となっている。コンビニ事業では不採算店舗の閉店もあり減収となった。
しかし、利益面では、コンビニ事業では不採算店舗が閉鎖に伴い減少したことや、クリーニング事業が増益となり、営業利益は前年同期比11.8%増の1億48百万円となった。営業外収益で不動産賃貸料が増加したものの、営業外費用で不動産賃貸費用が増加したため、経常利益は同1.3%増の1億76百万円にとどまった。
また、不採算店の閉店に伴う費用が当初の見積りより安価に済んだことなどにより、店舗閉鎖損失引当金戻入86百万円を、資産除去債務消滅益22百万円を特別利益に計上した。このため四半期純利益は同359.8%増の2億11百万円となった。
期初予想との比較では売上高が若干上回り、営業利益、経常利益、四半期純利益については大きく上回った。
 
 
同社単体では営業総収入115億9百万円(前年同期比4.8%減)、経常利益1億6百万円(同26.2%増)。コンビニ部門では不採算店14店舗の閉鎖を行った。2店舗の出店があり8月末店舗数は115店舗と前期末比12店舗の減少。既存店売上は-2.0%でほぼ予算と同水準。5月は下旬までは消費税税率引上げ後の反動減から順調に回復したが、6月以降回復傾向が失速。ゲリラ豪雨があり、気温も上昇しなかった。加えて「東京湾花火大会」の中止も痛手となった。既存店は伸び悩んだが、利益率の低いタバコ販売構成の減少や利益率の高い商材の販売が好調に推移したこともあり、増益となった。ホテル部門は前年の東京ディズニーランド30周年イベントの反動減が考えられたが、稼働率は前年同期81.6%から86.4%と高稼働で推移した。
 
 
 
コンビニエンス・ストア事業
事業収入112億49百万円(前年同期比5.0%減)、セグメント利益1億19百万円(同8.1%増)。
ローソンが差別化戦略として他社に先駆けて展開している生鮮食品の販売や「MACHI cafe」(マチカフェ)ブランドでの淹れたてコーヒーの提供店舗拡大、健康志向に合わせた小麦ブランを使用した各種パンの拡販に努めたほか、同社が独自で導入している「クリーニング取次ぎサービス」や「数字選択式宝くじ」及び「宝くじ」の販売など、競合店舗との差別化となるサービスの提供に努めることで店舗運営力を高めてきた。
また、4月以降順次不採算店舗の閉店及び運営からの撤退を進めており、上期末現在の加盟店を含む店舗数は115店舗となった。こういった中、上期の同社の既存店売上は業界平均を下回る水準での推移となった。しかし、既存店客単価は0.9%上昇したこともあり、粗利率が30.78%と前年同期比0.24ポイント改善、セグメント利益は増益となった。
 
 
マンションフロントサービス事業
事業収入28億50百万円(前年同期比1.5%増)、セグメント利益1億65百万円(同11.8%減)。
豊かで魅力的なマンションライフを提供すべく、イベント・カルチャー教室の開催、カーシェアリングなどの共用部分の付加価値サービスの強化に加え、サービス品質の向上を図るため増員やスタッフ教育を強化してきた。また、各種運営ノウハウを活かしたマンション以外のマーケット開拓にも取り組み、行政施設内における案内業務の受託や団体向けのカーシェアリングを導入するなど、新たな事業の柱の創造にも努めた。
上期末総受託件数は876件。17件の解約があったものの、新たに26件の物件を受託した。
子会社アスクは営業総収入28億50百万円(前年同期比1.5%増)、経常利益1億7百万円(同13.7%減)。フロント受託やクリーニング事業は好調に推移したが、マンション内のショップ売上が前年を割れたほか、前年にカーシェアリングで外部受託案件があった反動でその他事業が減収となった。前期に有価証券売却益があった反動で純利益は66百万円(前年同期比38.3%減)となった。
 
 
クリーニング事業
事業収入6億62百万円(前年同期比0.4%減)、セグメント利益38百万円(同38.4%増)。
クリーニング業界では、衣料品の機能性向上、低価格化、服装のカジュアル化や団塊世代のリタイヤなどにより、クリーニング需要は年々減少しており、価格競争が厳しくなっている。
こういった中、タワーマンションや高級マンションのフロントでの便利かつ、高品質の「クリーニング取次ぎサービス」のほか、各種ユニフォームなどのリネンサービスの提供に取り組んだ。クリーニング自社工場の取扱高が順調に増加したほか、生産体制の強化及び効率化を進めたことが収益向上に貢献した。
子会社FA24は営業総収入7億9百万円(前年同期比0.3%減)、経常利益22百万円(同69.2%増)。クリーニング事業収入は、原油高・円安による溶剤・燃料高に対応し価格改定を春に実施。扱い点数が小幅に減少するも、単価上昇により増収増益となった。尚、昨年稼働の自社クリーニング工場は稼働率向上に伴い黒字に転換。ヘアカット事業は、増税後も1,000円の価格を据置いたこともあり、減収減益となった。
 
 
その他事業
事業収入2億60百万円(前年同期比4.6%増)、セグメント利益61百万円(同2.9%増)。
主力のビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」の高稼働が増収増益に貢献した。通年5年目となるが、利用者が快適に過ごせるよう経年による劣化の目立つ箇所の修繕やロビーの構造に変更を加えるなど、ハード面での投資も順次行っている。
 
 
上期末の総資産は前期末比2億85百万円増の109億17百万円。現預金が4億31百万円増加した一方、預け金が47百万円減少したことなどにより流動資産が3億88百万円増加した。また、のれんが32百万円、敷金及び保証金が27百万円減少したことなどにより固定資産が1億2百万円減少した。
負債は前期末比76百万円増加し89億44百万円となった。短期借入金が6億円増加した一方、店舗閉鎖損失引当金が5億12百万円減少したことなどにより流動負債が1億56百万円増加した。また、長期借入金が1億14百万円減少したことなどにより固定負債は80百万円減少した。
純資産は前期末比2億9百万円増加し、19億72百万円となった。四半期純利益を2億11百万円計上したことによるもの。
自己資本比率は前期末比1.5ポイント増加し、18.1%となった。
 
 
上期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比4億31百万円増加し、21億55百万円となった。
営業CFは14百万円の支出超過となった。投資不動産により1億82百万円の収入があった一方、投資不動産管理費により1億23百万円、店舗閉鎖損失により4億26百万円の支出があった。投資CFは21百万円の収入超過となった。収入の主な内訳は有価証券の売却による収入38百万円、敷金及び保証金47百万円の回収により収入があった一方、有形固定資産の取得により44百万円の支出があった。これらにより、フリーCFは7百万円の収入超過となった。財務CFは4億24百万円の収入超過となった。短期借入金の純増により6億円の収入があった。
 
 
2015年2月期業績予想
 
 
通期予想は売上高282億円(前期比6.6%減)、経常利益2億40百万円(同42.9%増)。営業総収入については、既存店前年比は苦戦するも、営業日数が増加する見込みであることから修正なし。利益面では上期に予想を上回ったことを受けて営業利益20百万円、経常利益55百万円、純利益1億50百万円の上方修正となった。
主力のコンビニ事業では下期に3~4店舗の閉店、1店舗の開店を見込む。マンションフロントサービス事業では子会社アスクのショップ事業において売上未達懸念はあるものの、経常利益水準については前年並みを確保できる見込み。クリーニング事業では、子会社FA24において上期に計画を上回ったことから、各利益を上方修正した。ただし、下期については営業スタッフの増員や溶剤・燃料高を考慮し、小幅の下方修正。その他事業ではビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」において、稼働率75%、売上2億1百万円、営業利益40百万円を予想する。稼働率の上昇余地は狭まるが、客室単価については、調整可能としている。今期より小規模修繕(壁紙、エアコンなど)を計画するが、想定よりも稼働率が高いまま推移しており、修繕に着手出来ていない状況。
尚、配当については単体経常利益(評価益、子会社配当等を除く)で配当必要資金が確保できる確証的な判断がつくまでは「未定」とする。
 
 
 
今後の注目点
コンビニ事業は好調とはいえなかった。むしろ、天候不順等の影響を受けて逆風にあったといえる。しかし、上期の着地は計画を上回り、通期予想が利益において上方修正となった。結果的には期初の予想が保守的であったということだろう。上方修正後の通期予想も保守的である可能性が高い。
上期の不採算店舗閉店による効果で下期も利益率の改善が進みそう。クリーニング事業では自社工場の稼働率向上が今後も進むだろう。中期的には好調に推移するホテル事業や、子会社の収益貢献に引き続き期待したい。