ブリッジレポート
(2687) 株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア

スタンダード

ブリッジレポート:(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア 2020年2月期上期決算

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泉澤 豊 会長

株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア(2687)

 

 

会社情報

市場

東証1部

業種

小売業(商業)

代表取締役会長

泉澤 豊

代表取締役社長

上山 富彦

所在地

千葉県千葉市美浜中瀬1-7-1

決算月

2月

HP

http://www.cvs-bayarea.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

681円

4,936,269株

3,362百万円

102.6%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.00円

3.0 %

11.14円

60.5倍

1,123.95円

0.6倍

*株価は10/21終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE・BPSは2019年2月期実績。数値は四捨五入。

 

連結業績推移

決算期

営業総収入

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

配当

2016年2月(実)

29,193

151

145

198

4.02

1.00

2017年2月(実)

29,452

-33

213

94

19.13

10.00

2018年2月(実)

29,394

13

90

-279

-

20.00

2019年2月(実)

10,916

31

-28

3,801

770.04

30.00

2020年2月(予)

10,750

150

165

55

11.14

20.00

*単位:百万円、円
*予想は会社予想
*2016年9月1日付けで10株を1株に株式併合

 

シー・ヴイ・エス・ベイエリアの2020年2月期上期決算と2020年2月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年2月期上期決算
3.2020年2月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 20/2期上期は前年同期比3.9%減収、経常利益は大幅増。ホテル事業が「BAY HOTEL浦安駅前」の通年寄与に伴い3.4%増収も、マンションフロントサービス事業等が減収。利益面ではホテル事業、クリーニング事業がそれぞれ2桁増益。営業外では有価証券売却益66百万円を計上。前年同期に特別利益を計上した反動で親会社株主に帰属する四半期純利益は95.9%減の1億46百万円となった。会社予想との比較ではホテル事業の伸び悩みを主因に売上高、営業利益は下回ったが、有価証券売却益の計上により経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益は上回った。

     

  • 通期予想に修正はなく、20/2期は、1.5%減収、経常利益は1億65百万円(前期は28百万円の損失)を見込む。ただし、足元は前年割れで推移しているホテル事業は計画を下回る可能性も指摘した。経常利益については、上期で予想を上回ったものの、不確定要素が多いことから、期初予想を据え置いた。通期配当は20円(うち上期末10円)を見込む。

     

  • 1Q(3~5月)は好調な滑り出しだったが、2Q(4~6月)は減速した印象。その主因となっているのがホテル事業の減速。外国人観光客の伸び悩み等でホテル事業については苦戦が続きそうである。ただし、来期には「BAY HOTEL 東京浜松町」と「CVS・BAY HOTEL 本館ANNEX(仮)」が開業予定。最近の成功事例を踏まえても期待できそうだ。コンビニ事業縮小後に落ち着きを取り戻し、今期は比較的静かな1年となりそうだが、来期は様々な動きが出てきそう。PBRは0.6倍にとどまっており、資金の有効活用が具現化すれば株価の見直し余地が大きく生じる可能性がある。

     

1.会社概要

(1)沿革

1981年2月設立。「日常生活の便利さを提供できる会社になりたい」を企業理念とし、直営店主体のコンビニ事業をスタート。その後、クリーニング事業及びマンションのフロント(業務)受託事業、ビジネスホテルの運営などに事業を拡大。2015年7月には東京都中央区にユニット型ホテル(カプセルホテル)の1号店となる「東京銀座BAY HOTEL」を開業し、ユニット型ホテル事業を立ち上げた。
2018年3月、会社分割によりコンビニエンス・ストア事業の一部を、企業フランチャイズ契約を締結していた株式会社ローソンおよびローソンが新設する子会社へ譲渡した。マンションフロントサービス事業の事業領域拡大、ホテル事業の更なる強化のほかM&Aなどにより、常にチャレンジを続ける企業文化の下、「選択と集中」により成長企業への回帰を目指す。
2000年12月、大阪証券取引所ナスダック・ジャパン(現:JASDAQ)市場に株式上場。2006年2月には東京証券取引所市場第一部へ昇格している。

 

(2)19/2期以後の主な事業内容

 

(同社決算説明会資料より)

 

コンビニエンス・ストア事業を除いた19/2期の売上(事業収入)構成比はトップがマンションフロントサービス事業、2位がホテル事業、3位がクリーニング事業となる。
19/2期以降、主力事業はマンションフロントサービス事業となるが、コンビニエンス・ストア事業も一部継続するほか、ホテル事業の拡大、早期収益化に向けた各種施策の実行による既存ユニット型ホテル施設の早期収益化を図るとともに、新たな施設の開業のほか不動産投資事業やM&Aなどの新事業の創出などにより、数年内に分割対象事業の収益を補完することを目指す。

 

売上高

2017年2月期

2018年2月期

2019年2月期

マンションフロントサービス事業

5,640

5,802

5,775

ホテル事業

1,130

1,405

1,680

クリーニング事業

1,190

1,219

1,248

*単位:百万円

 

①マンションフロントサービス事業
2019年2月以降の主力事業。連結子会社(株)アスクのほか地域運営会社3社が提供。

 

【事業内容】
マンション共有施設の案内や宅急便、クリーニングの取り次ぎ等、マンションのフロント業務を手掛けるマンションフロント(コンシェルジュ)サービス、レジデンスサポート(メンテナンスサポート、ハウスクリーニング事業者紹介等)、ミニショップやカフェの運営、更にはカーシェアリング等を手掛けている。
業界トップのマンションフロントサービスでは、首都圏を中心に964件(2019年8月末時点)の施設などを受託。マンション内の居住者同士のコミュニティ構築支援を目的とした、イベント開催やお祭り開催支援などのサービスも提供し、入居者の満足度向上を目指している。
また、(株)FA24との間で「クリーニング取次ぎ」や「ハウスクリーニング」サービスにおける相乗効果の創出を目指している。

 

②ホテル事業
今後の成長性や事業規模の観点から同社が最も注力していくのがホテル事業である。

 

【事業概要】
ホテル事業は、ビジネスユース及びレジャーユースを対象とし、千葉県市川市及び18年6月より浦安市で運営を行っている「ビジネスホテル事業」(19/2期の事業収入構成比約35%)と、低価格ながらもより快適な空間を提供することで新たな需要を取り込むことを目指す「ユニット型ホテル事業」(同約65%)によって構成されている。

 

<ビジネスホテル事業>
(概要)
JR京葉線市川塩浜駅前の自社所有地で、コンビニ併設の108室規模(シングル/ダブル66室、ツイン42室)のビジネスホテル「CVS・BAY HOEL」を09年12月に開業した。
JR京葉線 市川塩浜駅は東京駅から8駅22分、東京ディズニーリゾートのある舞浜駅まで2駅6分、幕張メッセがある海浜幕張駅まで14分の好立地。価格競争力も強く、平日はビジネス客、週末はレジャー客と安定した集客を誇る。

 

(同社HPより)

 

近隣テーマパークの入園者や、都心部でのインバウンド顧客の需要増加を背景に近年は稼働率が高まっており、15年12月には隣接する借地においてシングル/ダブル11室、ツイン38室、ファミリー2室、ユニット区画20室(女性専用)、3階建ての新館を開業した。本館よりもやや広いゆとりのある客室空間を提供し、やや高めの宿泊料金で本館と差別化を図っている。
女性専用ユニット区画は安心清潔が好評で高稼働で推移している。

 

「CVS・BAY HOTEL」 新館

 

(同社資料より)

 

<BAY HOTEL浦安駅前オープン>
18年6月9日に千葉県浦安市の東京メトロ東西線「浦安駅」徒歩1分の好立地に長期滞在にも快適なアパートタイプホテル「BAY HOTEL浦安駅前」(ツイン/トリプル48室)を開業した。
お風呂とトイレが別々、キッチン付で複数名での長期滞在可能なアパートタイプホテル。出張などのビジネス客から学生の就職活動、家族やグループ旅行に適している。
同社のホテル事業としては新たな取り組みとなり、注目される。

 

Bay Hotel 浦安駅前

 

 

 

 

(同社決算説明資料より)

 

<ユニット型ホテル事業>
(背景)
都心部を中心に増加を続ける「宿泊需要」は量だけでなく、質にも大きな変化が生じている。
国内では成田空港へのLCC各社の就航と成田への格安バス(高速バス)の拡充、海外からはアジア各国の成長による観光需要の増加とLCC各社の日本路線の新規開設。
これらを背景に国内では都心部の宿泊料金上昇に伴い低価格な宿泊施設への需要が増加。また、海外からの訪日経験者が増えるに従い、気軽な旅行者が増加し、低価格化した交通費と合わせた旅行費用の低予算化が進んでいる。
一方、従来の都心での宿泊事情は、観光客、ビジネス客、女性客がシティホテルやビジネスホテルを利用するのに対して、価格の安いカプセルホテルは仕事や飲酒で終電に乗り遅れた客が利用するもので、「自宅の睡眠替わり」、「安いが汚い」といった芳しくないイメージが定着していた。
こうした中、宿泊需要を獲得するためには若者や女性、外国人観光客など新たな顧客層を獲得するためのイノベーションが不可欠と考えた同社が、より快適で安心な空間を低価格で提供することでこれらの需要を取り込むためにスタートさせたのが「スマートホテル」である。

 

(概要)
「スマートホテル」は、賃借した既存建物をコンバージョンして運営するユニット型ホテル。第1号物件として15年7月に「東京銀座BAY HOTEL」を開業。19年8月末現在、東京都心を中心に6施設の運営を行っている。
「日本らしさ」をコンセプトに内装やユニフォームを統一。また、「共有スペース」や「パブリックスペース」などをゆとりある配置とすることで出張や観光需要にとどまらず女性客や外国人観光客獲得を目指している。

 

15年7月開業

 

東京銀座BAY HOTEL  228ユニット(M156・W72)

東京都中央区銀座7丁目

銀座初のユニット型宿泊施設

4駅6路線が徒歩10分以内で利用できる好立地

15年12月開業

 

東京日本橋BAY HOTEL  168ユニット(M90・W78)

東京都中央区日本橋3丁目

日本橋駅徒歩3分、都内の起点となれる立地

館内は、京町をイメージしたデザイン

15年12月開業

 

東京有明BAY HOTEL  146ユニット(M80・W66)

東京都江東区東雲2丁目

りんかい線東雲駅4分

ビッグサイト利用者に加え、舞浜やお台場の観光客も活用

16年1月開業

 

日本橋室町BAY HOTEL  236ユニット(M142・W94)

東京都中央区本町2丁目

新日本橋駅徒歩4分、三越前駅徒歩3分

福徳神社近隣に、和を感じられる施設として開業

16年5月開業

 

16年11月開業

 

秋葉原BAY HOTEL   130ユニット(W130)

東京都千代田区神田練塀町

いずれの秋葉原駅からも徒歩3分

同社初の女性専用ホテル

田町BAY HOTEL   135ユニット(M80・W55)

東京都港区芝5丁目

都営浅草線三田駅より、羽田空港まで直通最速19分!

山手線田町駅より徒歩3分の好立地

(同社資料、HPよりインベストメントブリッジ作成)

 

2.2020年2月期上期決算

(1)上期連結業績

 

19/2期 上期

構成比

20/2期 上期

構成比

前年同期比

期初予想

予想比

営業総収入

5,622

100.0%

5,405

100.0%

-3.9%

5,450

-0.8%

営業総利益

2,020

35.9%

1,951

36.1%

-3.4%

-

-

販管費

1,993

35.5%

1,886

34.9%

-5.4%

-

-

営業利益

26

0.5%

65

1.2%

+146.5%

90

-27.8%

経常利益

11

0.2%

201

3.7%

-

150

+34.0%

親会社株主に帰属する

四半期純利益

3,557

63.3%

146

2.7%

-95.9%

80

+82.5%

*単位:百万円
*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前年同期比0.8%の減収、経常利益は大幅増
営業総収入は前年同期比3.9%減の54億5百万円。ホテル事業が昨年6月に開業した「BAY HOTEL浦安駅前」の通年寄与に伴い3.4%増収となったものの、マンションフロントサービス事業、クリーニング事業が減収、店舗閉鎖もあったコンビニ事業も減収となった。
営業利益は同146.5%増の65百万円。増収のホテル事業、工場の生産性改善によりクリーニング事業がそれぞれ2桁増益、コンビニ事業も租税公課の減少などにより増益となった。一方、顧客の絞り込みを進めるマンションフロントサービス事業が減益。営業外収益で有価証券売却益66百万円を計上したことに伴い、経常利益は前年同期11百万から2億1百万円へ大幅増となった。事業分離における移転利益や固定資産売却益を前年同期に計上した反動で親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比95.9%減の1億46百万円となった。
期初の会社予想との比較ではホテル事業の伸び悩みを主因に売上高、営業利益は下回った。コンビニ事業では7月の冷夏の影響で利益率の高い飲料などの販売が伸び悩んだ。また、マンションフロントサービス事業では優秀な人材を確保するため、コンシェルジュの待遇改善などの施策を先行して行ったことで人件費など運営コストが計画を超過した。有価証券売却益の計上により経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益は会社予想を上回った。

 

販管費概要

 

19/2期 上期

20/2期 上期

前年同期比

報酬、給与手当

690

674

-2.3%

福利厚生費

90

100

+12.2%

店舗等賃借料

258

262

+1.5%

減価償却費

114

91

-20.0%

租税公課

115

37

-67.3%

水道光熱費

52

50

-3.5%

消耗品費

60

56

-7.7%

その他手数料等

95

97

+2.1%

販管費合計

1,993

1,886

-5.4%

*単位:百万円

 

セグメント別収益

 

19/2期 上期

構成比

20/2期 上期

構成比

前年同期比

ホテル事業

832

14.6%

861

15.6%

+3.4%

マンションフロントサービス事業

2,954

51.6%

2,859

52.1%

-3.2%

クリーニング事業

692

12.1%

650

11.8%

-6.1%

コンビニ事業

1,137

19.9%

1,010

18.4%

-11.2%

その他事業

104

1.8%

112

2.0%

+7.9%

消去・全社

-97

-

-87

-

-

営業総収入

5,622

100.0%

5,405

100.0%

-3.9%

ホテル事業

91

10.9%

101

11.8%

+11.2%

マンションフロントサービス事業

168

5.7%

111

3.9%

-33.8%

クリーニング事業

32

4.8%

38

5.9%

+17.5%

コンビニ事業

41

3.7%

45

4.5%

+8.4%

その他事業

9

8.9%

13

11.9%

+44.4%

調整額

-316

-

-244

-

-

セグメント利益

26

0.5%

65

1.2%

+146.5%

*単位:百万円
*営業利益の構成比は営業総収入利益率
*数値は切捨て、率は四捨五入

 

ホテル事業
事業収入8億61万円(前年同期比3.4%増)、セグメント利益1億1百万円(同11.2%増)。
ビジネスホテルでは、「CVS・BAY HOTEL」及び新館については、東京ディズニーリゾートへの観光客や幕張メッセへの出張などの宿泊需要の獲得に努めている。また、6月で開業から1年を迎えた「BAY HOTEL 浦安駅前」では、各客室にキッチンを設けるなど、長期滞在や家族連れの顧客を中心に需要の獲得を進めた。ユニット型ホテル施設では、都心において手頃且つ快適な宿泊サービスの提供に努めており、スマートフォンアプリを活用した決済サービスを導入するなど多様化する決済ニーズへの対応を進めている。また、自社HPからの宿泊予約者向けに事前決済サービスを開始するなど、自社販売比率の増加による収益性改善への取り組みも進めている。また、ゲームやアニメ、舞台などのメディアコンテンツとのコラボ企画の開催にも注力しており、8月には4 施設で5作品とのコラボを実施するなど、新たな宿泊需要の獲得にも精力的に取り組んでいる。なお、各施設において花見シーズンや大型連休を中心に高稼働で推移した。しかし、ゴールデンウイーク明け以降、「働き方改革」に伴い残業や飲食後の当日予約の顧客が減少していることに加え、韓国人旅行者の減少により市場の需給バランスが一時的に悪化している影響などにより、稼働率及び客室単価に弱含みがみられている。

 

マンションフロントサービス事業
事業収入28億59百万円(前年同期比3.2%減)、セグメント利益1億11百万円(同33.8%減)。
新たな成長領域への取り組みとして、企業やシェアオフィス、公共施設での受付やコンシェルジュ業務の獲得を進めている。人材派遣サービスにおいて、多言語に対応可能な人材の派遣・紹介を行うなど、より優秀な人材に注力したサービスによる競合他社との差別化を図っていくことで、取引先拡大に努めている。上期末現在の総受注件数は、収益性を重視した運営体制構築のため、不採算物件の解約を順次進めていることで、前期末比28件減の964件となった。総受注件数の減少に伴い減収となった。利益面では優秀な人材の確保のためパートタイマーの待遇改善を先行して実施したことに加え、引き続き業務効率化に向けたシステム投資関連費用を計上している。前年同期が大幅増益だった反動もあり、減益となった。

 

子会社アスクの売上内訳

 

19/2期 上期

20/2期 上期

前年同期比

営業総収入

2,954

2,859

-3.2%

 フロント・受付

2,203

2,191

-0.5%

 クリーニング売上

201

189

-6.0%

 ショップカフェ売上

223

191

-14.0%

 その他売上

327

288

-12.1%

*単位:百万円

 

クリーニング事業
事業収入6億50百万円(前年同期比6.1%減)、セグメント利益38百万円(同17.5%増)。
クリーニング事業では、マンションフロントやコンビニエンス・ストア店舗、社員寮においてクリーニングサービスを提供している。法人向けサービスとしては、マンション内のゲストルームやホテルにおけるリネンサプライに加え、自社工場と商品管理センターによる、ユニフォームのクリーニングからメンテナンス、在庫管理までを一元管理するトータルサービスの拡大を進めている。
前年と比較し3月下旬から4月上旬にかけて気温の低い日が多く、衣替えに伴うクリーニング需要が高まらなかったことに加え、リネンサービスにおいて大口受注先へのサービス提供が5月末で終了したことなどにより、減収となった。利益面では、業務効率化によるコスト削減を進めたことから、増益となった。

 

コンビニエンス・ストア事業
事業収入10億10百万円(前年同期比11.2%減)、セグメント利益45百万円(同8.4%増)。
主力店舗が大規模展示場や観光施設の近隣などの特殊立地に面している。同社の強みである独創性を持った店舗作りを目指し、各イベントに対応した独自仕入れ商品の販売を行うなど積極的な販売施策を進めてきた。なお、入居するビルの建て替えに伴い、4月下旬に1店舗閉鎖したことで、上期末の店舗数は7店舗となったことで減収。利益面では、前年同期に計上した会社分割に伴う諸経費の一部を計上した反動で増益となった。

 

その他事業
事業収入1億12百万円(前年同期比7.9%増)、セグメント利益13百万円(同44.4%増)。
その他事業では、事業用不動産の保有や賃貸管理のほか、ヘアカットサービス店舗の運営など、各種サービスの提供を行っている。19年2月末に東京都内の賃貸不動産を取得したことで今期から賃料収入が増加したことで増収。利益面では、3月中旬に不採算であったネットカフェ店舗の閉店を実施したことなどで増益となった。

 

(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

 

19年2月

19年8月

 

19年2月

19年8月

現預金

3,296

1,677

仕入債務

226

261

売上債権

507

497

短期有利子負債

457

660

有価証券

607

549

流動負債

3,248

2,071

たな卸資産

79

75

長期有利子負債

2,520

2,622

流動資産

5,013

3,217

長期預り保証金

387

386

有形固定資産

3,512

4,368

固定負債

3,366

3,476

無形固定資産

101

92

純資産

5,548

5,584

投資その他

3,536

3,454

負債・純資産合計

12,163

11,132

固定資産

7,150

7,914

有利子負債合計

2,978

3,283

*単位:百万円
*有利子負債=借入金

 

上期末の総資産は、前期末比10億30百万円減少し、111億32百万円となった。現預金が16億18百万円、未払還付消費税等が1億23百万円それぞれ減少したことなどにより流動資産が17億95百万円減少した。一方、建設仮勘定が5億1百万円、土地が4億18百万円それぞれ増加したことなどにより固定資産が7億64百万円増加した。
負債合計は、前期末比10億67百万円減少し、55億47百万円となった。短期借入金が2億増加した一方、未払法人税等が14億26百万円減少したことなどにより流動負債が11億77百万円減少した。また、長期借入金が1億2百万円増加したことなどにより、固定負債が1億10百万円増加した。
純資産は、前期末比36百万円増加し、 55億84百万円となった。剰余金の配当を行った一方、親会社株主に帰属する四半期純利益を1億46百万円計上した。
自己資本比率は前期末比4.6ポイント増の50.2%となった。

 

キャッシュ・フロー

 

19/2期 上期

20/2期 上期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー

-59

-1,014

-955

-

投資キャッシュ・フロー

7,258

-813

-8,072

-

フリー・キャッシュ・フロー

7,198

-1,828

-9,027

-

財務キャッシュ・フロー

-3,797

209

4,007

-

現金及び現金同等物上期末残高

5,162

1,677

-3,485

-67.5

*単位:百万円、%

 

上期末の現金及び現金同等物残高は、前期末比べ16億18百万円減少し、16億77百万円となった。
営業CFは10億14百万円の支出超過(前年同期は59百万円の支出超過)となった。税金等調整前四半期純利益2億16百万円に減価償却費92百万円等の調整を加味した収入に加えて、投資不動産賃料により1億70百万円の収入があった。一方、法人税等の納税により14億2百万円を支出したことによるもの。
投資CFは8億13百万円の支出超過(前年同期は72億58百万円の収入超過)となった。投資有価証券の売却により1億円の収入があった一方、有形固定資産の取得により9億18百万円を支出したことによるもの。
これらにより、フリーCFは18億28万円の支出超過(前年同期は71億98百万円の収入超過)となった。
財務CFは2億9百万円の収入超過(前年同期は37億97百万円の支出超過)となった。短期借入金の純増加額が2億円、長期借入金による収入が3億60百万円あった一方、長期借入金の返済により2億54百万円を支出したことによるもの。

 

今後の資金活用の基本的方針
コンビニ事業の大幅な縮小により、上場維持コストの負担感が増加している。「M&A」や「収益物件」の購入などに取り組み、有効活用を目指す方針。
2月に江東区の収益物件を購入。余資は今秋まで運用後、ホテル建設資金へ向ける見込み。

 

3.2020年2月期業績予想

(1)通期連結業績

 

19/2期 実績

構成比

20/2期 予想

構成比

前期比

営業総収入

10,916

100.0%

10,750

100.0%

-1.5%

営業利益

31

0.3%

150

1.4%

+383.9%

経常利益

-28

-

165

1.5%

-

親会社株主に帰属する当期純利益

3,801

34.8%

55

0.5%

-98.6%

*単位:百万円

 

1.5%の減収、経常利益は1億65百万円を計画
通期予想に修正はなく20/2期は、営業総収入が107億50百万円(前期比1.5%減)、営業利益は1億50百万円(同383.9%増)、経常利益は1億65百万円(前期は28百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は55百万円(同98.6%減)を見込む。
ホテル事業は売上高17億75百万円(前期比5.6%増)、セグメント利益2億5百万円(同38.5%増)を見込む。「CVS・BAY HOTEL」本館が1~2月の改装工事により販売を制限したが、今期はフル稼働となる。また、「BAY HOTEL 浦安駅前」が通年寄与することもあり増収見込み。利益面では、20年春開業予定の「BAY HOTEL 東京浜松町」に係る求人・研修費用、消耗品費といった開業先行費用が生じる見通しだが、減価償却費の減少などにより増益を見込む。しかし、ユニット型ホテルについては、今期は小幅な伸びを想定したが、足元は前年割れで推移している。ホテル事業については計画を下回る可能性も指摘した。経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益については、上期で予想を上回ったものの、宿泊マーケット動向の不透明感に加え、消費税増税に合わせて実施しているキャッシュレス決済の還元費用の負担が生じるなど不確定要素が多いことから、期初予想を据え置いた。
通期配当は20円(うち上期末10円)を見込む。

 

 

*株主優待制度
17年2月末より「ユニット型ホテル」6施設で使用できる株主優待制度を導入し運用してきたが、19年2月15日に「利用可能施設の追加」、「大口保有優遇制度の導入」、「長期保有優遇制度の導入」等の変更を発表した。
株主優待制度の内容

 

 

利用可能施設

 

 

株主数の増加に加え、優待券利用者による「広告宣伝効果」や「再宿泊需要の増加」にも期待している。
なお、春休み、年度末、花見、GWシーズン期間中は、インバウンド客を含め宿泊需要が旺盛で、稼働率が高い期間が続くことなどを考慮して、優待利用可能期間から除外しているとのこと。

 

4.今後の注目点

1Q(3~5月)は好調な滑り出しだったが、2Q(4~6月)は減速した印象。その主因となっているのがホテル事業の稼働率低下。人件費の増加を含め、その背景には政府が進める「働き方改革」が横たわる。外国人観光客の伸び悩みを含め、ホテル事業については苦戦が続きそうである。ただし、来期には「BAY HOTEL 東京浜松町」と「CVS・BAY HOTEL 本館ANNEX(仮)」が開業予定である。「CVS・BAY HOTEL」新館や「BAY HOTEL浦安駅前」といった最近の成功事例を踏まえても期待できそうだ。コンビニ事業縮小後に落ち着きを取り戻し、今期は比較的静かな1年となりそうだが、来期は様々な動きが出てきそう。また、今上期には取得した不動産から得る賃料収入が増益に寄与しているが、今後もさらなる資金の有効活用に注目したい。
PBRは0.6倍にとどまっている。堅調に進捗する事業動向に加えて、資金の有効活用が具現化すれば株価の見直し余地が大きく生じる可能性がある。

 

今後の開業予定ホテル
BAY HOTEL 東京浜松町: ~2020年春開業予定 JR浜松町駅 3分、都営線 大門駅2分

 

 

 

 

CVS BAY HOTEL 本館ANNWX(仮) ~2020年夏開業予定 JR 京葉線 市川塩浜駅 1分

 

 

 

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態および取締役・監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役(監査等委員除く)

5名、うち社外取締役 1名

監査等委員

4名、うち社外取締役 3名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日 2019年5月31日

 

<基本的な考え方>
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、株主の皆様やお客様、従業員、地域社会などのすべてのステークホルダーと適切な関係を構築し、社会的責任を果たしていくことであると考えております。この考え方は、当社の経営理念として制定している「明日への誓い」のなかで、全てのステークホルダーに対して“より良き明日の実現”を誓い、実践する経営を目指していくことを掲げていることに基づくものです。そのためには、法令遵守のほか、経営の透明性や効率性をより一層高めていくことが不可欠であり、コーポレート・ガバナンスのさらなる充実を通じて、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

法令順守においては、企業理念を具現化した「企業行動基準」を定め、同基準を当社グループに横断的に運用しているほか、各従業員に対し、日頃の業務時に振り返ることができるよう、行動指針の要点をまとめた携帯可能なガイド冊子を配布しており、当社グループの全社員が法令および定款などを厳守した行動を行うよう周知を実施しております。

 

当社は監査等委員会設置会社制度を採用しております。これは監査等委員である取締役が、取締役会において議決権を行使することを通じ、取締役会の透明性や監督機能の強化を図ることを目的としております。また、当社の職務執行が適正かつ効率的に行われるよう、社外取締役および監査等委員である社外取締役(独立役員1名含む)の出席のもと、毎月定例で取締役会を開催し、業務執行取締役や業務執行役員および子会社の取締役より職務執行に関する報告を実施しているほか、重要事項の審議・決定を行うことでグループ全体の業務の適正に努めております。

 

<コーポレートガバナンスコードの各原則を実施しないおもな理由>
補充原則1-2-4.議決権行使プラットフォームの利用及び招集通知の英訳
補充原則3-1-2.英語での情報の開示や提供
当社の株主における海外投資家の比率は相対的に低く、現状の議決権行使状況に大きな支障はないものと考えているため、コスト等を踏まえ、議決権電子行使プラットフォームの利用、招集通知の英訳及び英語での情報開示は実施しておりません。今後につきましては株主構成(外国人株主や機関投資家の株式保有比率など)や議決権行使状況、あるいは株主の利便性を考慮の上、検討を進めてまいります。

 

原則1-3.資本政策の基本的な方針
当社は、これまで公募増資や立会外分売を行ってきたことで、経営陣である創業者及びその関係者による持株比率の低下が進んでまいりましたが、現在も創業者及びその関係者が議決権の過半数近くを所持しており、上場企業として、所有と経営の分離のあり方については、今後の検討課題と認識しております。
また、新株発行による資金調達については、既存株主の利益を不当に毀損することがないよう、当社の中長期的な成長を実現し、利益の拡大が見込まれるなど、その必要性や合理性について取締役会で審議・監督してまいります。また、その内容については、株主の皆さまに対し適切に開示、説明を行うこととしております。
収益につきましては、将来の企業価値拡大のための事業投資に備えた内部保留の充実をはかりつつ、株主の皆さまへ安定的かつ継続的な利益還元を行ってまいります。

 

【原則3-1.情報開示の充実(1)会社の目指すところや経営戦略、経営計画】、
【補充原則4-1-2.中期経営計画へのコミットメント】
2018年3月1日に主力事業であったコンビニエンス・ストア事業の一部を吸収分割契約に基づき他社に承継したことから、同日以降、直営店8店舗のみの運営体制に大幅に縮小したことを受け、今後は新たな事業の創出による収益の確立に努めていく方針であることや、ホテル事業のさらなる拡大に向け2020年に2棟の開業が控えるなど、当事業の収益拡大に向けた取り組みを早急に進めている段階であることから、現在、中長期の経営計画の開示を行っておりません。

 

補充原則4-3-2.客観性・適時性・透明性ある手続きによるCEOの選任
補充原則4-3-3.CEOを解任するための客観性・適時性・透明性ある手続きの確立
当社では、独立した諮問委員会を設置しておりませんが、CEOの選解任は、会社における最も重要な戦略的意思決定であることを踏まえ、取締役会において、独立社外取締役の適切な関与・助言を得た上で、CEOの選解任を決議することとしております。

 

【補充原則4-10-1.任意の委員会の設置】
当社は、機関設計として監査等委員会設置会社制度を採用しており、取締役(監査等委員である取締役を除く)5名、監査等委員である取締役4名によって取締役会を構成しており、当社の企業規模などを鑑み、現状の体制が適切であると判断しております。任意の仕組みの活用については、現時点においては設置しておりませんが、企業規模の拡大など、必要に応じ検討いたします。

 

補充原則4-11-1.取締役の選任に関する方針及び手続き
当社は、取締役(監査等委員である取締役を除く)の人数は9名以内、監査等委員である取締役は5名以内と定款で定めております。
取締役会は取締役5名(監査等委員である取締役を除く)、監査等委員である取締役4名で構成されており、当社の事業規模、事業内容において、経営の効率性を確保する観点から、現状の規模は適正であると考えております。また、その人選においては、各事業分野に精通した人物を選任し、知識・経験・能力のバランスを確保するよう努めております。取締役会の国際性については、当社の事業範囲が国内に限定されているため、現時点においては検討しておりませんが、ジェンダーの面については、その重要性は認識しております。しかしながら、上場から20年近くを経た2018年3月に大規模な会社分割を行ったことにより、現在は40代半ばから50代の社員が数名しかおらず、知識・経験・能力ともに選任要件を満たす社内人材が男女限らず不足していることや、役員報酬の総額についても事業規模に見合った水準に抑えており、多様性を確保するだけに、役員を登用することについては、その必要性を含め今後も取締役会において議論してまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>
原則1-4.いわゆる政策保有株式
当社は、政策保有株式を保有しておりませんが、保有する場合には、「業務提携、取引の維持・強化及び株式の安定等の保有目的の合理性」を検討し取締役会で諮ることとします。また、政策保有株式を保有した場合の議決権行使については、当社と投資先企業双方の持続的成長と、中長期的な企業価値向上に資するかを基準として総合的に判断するほか、政策保有株主との取引については経済合理性が十分か検証したうえで、決定いたします。

 

原則2-6 企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮
当社は、企業年金制度は導入しておりません。

 

原則3-1.情報開示の充実
(3)経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続当社の取締役・監査等委員の報酬は株主総会で決議された役員報酬額の範囲内において、その職責や資質、貢献等を基に算出しております。取締役の報酬は独立社外取締役が出席する取締役会、監査等委員の報酬は監査等委員会で協議を行い決定しているほか、取締役の報酬については監査等委員会がその妥当性を監査しております。

 

(4)取締役の選解任及び指名の方針と手続当社取締役会は、経営陣幹部の選任については、それぞれの経験・実績等を分析しながら、その資質や人格を十分に有する者を指名しております。社内取締役候補者は、経験・実績や知識・専門性・マネジメント力を有する者を指名し、監査等委員長は、当社グループの業務内容に一定以上の知識を有し、かつ財務・会計に関する知見を有する者を指名しております。なお、社外取締役は、取締役会全体の監督・監視機能の強化を図るべく、多様な知見や豊富な経験を持つ候補者をそれぞれ指名しております。経営陣幹部の選任にあたっては、上記の選任要件をもとに取締役会が選任した候補者の議案について独立社外取締役が出席する監査等委員会において適切かどうか検討を行ったのち、取締役会において決議します。経営陣幹部の職務執行に重大な法令・規則違反等があった場合や取締役としての資質や職務遂行能力を満たさないと判断した場合は、取締役会において、独立社外取締役が出席することを必須要件として、役付けの罷免を決議することとしております。

 

原則4-2-1 客観性・透明性のある経営陣の報酬制度の設計および具体的な報酬額の決定
経営陣の具体的な報酬を決定するにあたっては、事前に独立社外取締役を含む監査等委員会がその内容を審議することで、客観性・透明性ある手続きを確保してまいります。

 

2019年5月31日開示コーポレートガバナンスの状況より

 

 

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