ブリッジレポート
(6890) 株式会社フェローテックホールディングス

スタンダード

ブリッジレポート:(6890)フェローテック vol.15

(6890:JASDAQ) フェローテック 企業HP
山村 章 社長
山村 章 社長

【ブリッジレポート】フォローテック vol.15
(取材概要)
「先日新聞に、同社の取引先でもある東京エレクトロンの東会長のインビュー記事が掲載されていました。数年先まで見通しは強気でした。新規事業で高収益な・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
株式会社フェローテック
社長
山村 章
所在地
東京都中央区京橋 1-4-14
決算期
3月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2006年3月 23,946 1,210 1,040 708
2005年3月 21,105 1,762 1,456 633
2004年3月 15,000 615 -177 -645
2003年3月 12,845 111 -626 -899
2002年3月 14,775 916 984 -357
2001年3月 16,435 2,665 2,561 1,644
2000年3月 7,988 892 629 288
株式情報(3/16現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
909円 20,165,550株 18,330百万円 4.5% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
8円 0.9% 49.70円 18.3倍 868.78円 1.0倍
※株価は3/16終値、ROEは前期実績
※配当を除く1株当たりの指標は連結ベース
 
フェローテックの2007年3月期第3四半期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
半導体製造装置やフラットパネル・ディスプレイ(FPD)製造装置の部品、半導体材料、温度調節に使われるサーモモジュール等の製造・販売を行っています。部品や技術というカタチでサービスを提供しているため、目に触れる機会はありませんが、パソコンや携帯電話、液晶やプラズマ等の大型テレビをつくるときに、同社の技術が活かされています。
もともとは磁力を持つ液体である磁性流体応用製品のメーカーでした。その代表例が、真空シールであり、ハードディスクドライブ等で使われていたコンピュータシールです。いずれもOnly Oneの製品であることはもちろん、超精密部品であるため、金属加工や表面処理等で高い技術が要求されます。この技術を中国に持ち込み、現地の安価な労働力と融合させたのが、事業セグメントの一つである受託生産事業です。また、今後の市場拡大が期待できる太陽電池関連の事業に取り組んでいます。太陽電池の材料となるシリコン単結晶の引上装置は、真空シールや石英製品等が主要部材として使われ、これまで蓄積してきた技術やノウハウが活かせる分野です。
 
 
事業は装置関連事業、電子デバイス事業、受託生産(以下CMS)事業に分かれます。2007年3月期第3四半期(4月~12月累計)の売上構成比は、それぞれ47.8%、15.8%、36.4%です。
 
1.装置関連事業
半導体及び液晶・PDP・有機ELなどFPD製造装置向け製品を取り扱っています。主な製品には、磁性流体技術を応用した「真空シール」、半導体製造工程に不可欠な「石英製品」、半導体材料のシリコン製品等があります。
 
真空シールとは、
回転運動を伝え、気密空間を守る部品です。半導体ウェーハや液晶パネルの製造工程では、超精密な成膜加工を実現するため、密閉された真空空間で加工が行われています。空気、ガス、蒸気、微細粒子などの不純物が紛れ込むことは、回路パターンの品質を落とすことにもつながりかねないからです。真空シールは、加工が行われる密閉空間を外部から隔離するとともに、密閉空間の作業に必要な様々な運動を伝える役割も担っています。
石英製品とは、
純度99.99%のピュアで、熱や化学反応に強いガラスです。半導体製造プロセスでは、高熱処理や化学処理が頻繁に行われます。純度99.99%のシリカガラスからなる石英製品は、高温作業に耐え、活性ガスにも化学変化を起こしません。そのため、シリコンウェーハの薄膜生成・搬送・洗浄などの工程でウェーハを固定する部材、あるいは洗浄槽として大量に用いられています。当社では、原材料の調達から製造・加工、販売までを行い、半導体製造工程に必要なあらゆる石英製品をラインアップしています。
 
2.電子デバイス事業
情報通信機器・自動車・エレクトロニクス機器などハイテク産業分野向けの製品を取り扱っています。主な製品は、情報通信・エレクトロニクス・バイオなど幅広い分野で活用される冷熱素子「サーモモジュール」や同社のコアテクノロジーでもある磁性流体及びその応用製品である磁性流体シールで、基板実装等も手掛けています。
サーモモジュールとは
情報通信機器・自動車・エレクトロニクス機器などハイテク産業分野向けの製品を取り扱っています。主な製品は、情報通信・エレクトロニクス・バイオなど幅広い分野で活用される冷熱素子「サーモモジュール」や同社のコアテクノロジーでもある磁性流体及びその応用製品である磁性流体シールで、基板実装等も手掛けています。
 
 
サーモモジュールを熱源とし、自動車シートの内部から温風・冷風を送出して、快適な車内環境を演出します。
 
3.CMS事業
中国における生産能力、オペレーションノウハウを活かした事業です。同社の生産対応力と同社に生産を委託するパートナー企業がもつ優位性のある技術を融合することで、グローバル市場において競争力をもった製品を創出する新たなビジネスモデルの構築に努めています。
現在の主力事業は、個別半導体用小口径シリコンウェーハの受託加工です。東芝セラミックス(株)とのパートナーシップにより、小口径シリコンウェーハ用生産設備及び加工技術を上海工場へ移管。
この他、装置部品洗浄、シリコン単結晶引上装置製造、工作機械製造等を手掛けています。
 
<グループ>
企業グループは、同社の他、連結子会社16社、持分法適用会社8社、及び非連結子会社2社。本社機能と生産技術等の開発を担う同社は、純粋持株会社に近い性格を持っています。
 
2007年3月期第3四半期業績
 
 
真空シールや石英製品が伸びたほか、自動車温調シート向けサーモモジュールやCMS事業も拡大。生産効率の改善も進み、経常利益は前期比2.2倍に拡大しました。
 
 
装置関連事業
真空シールは、FPD製造装置向けが堅調に推移したほか、半導体製造装置向けも年央から受注が増加。石英製品も米国からの受注が大きく伸びました。ただ、単結晶インゴット(シリコン製品)は原材料の供給遅れにより若干の減収。増収効果と生産効率の改善により、営業利益は前年同期比90.0%増加しました。
 
電子デバイス事業
サーモモジュールは、日米自動車メーカーが自動車温調シートの搭載を拡大したほか、半導体産業向け等の売上も伸長、磁性流体は、新たに5.1チャンネル用サラウンドスピーカーでの採用が決定しました。新製品のサンプル費用及び研究開発費を吸収して営業損益が3億16百万円改善、黒字転換しました。
 
CMS事業
中国への設備移管が終了した主力のシリコンウェーハ受託加工が順調に拡大したほか、年央に受注した太陽電池産業向け単結晶引上装置の出荷も計画通りに進展。また、その他のCMS事業等も堅調に推移しました。営業利益が減少したのは、単結晶引上装置の性能向上及び大型化の為の開発費用等が発生したためです。3月下旬に開催されるセミコン・チャイナ(上海)で発表する予定です。
 
 
売上高・利益の拡大を受けて、現預金、売上債権が前年同期比で増加、また、中国工場での設備投資等で固定資産も増加しました。この資金を長期借入金と自己資本の増加で賄いました。
有利子負債は122億円と前年同期比5億円弱増加。短期から長期へのシフトを進めました。
 
2007年3月期業績予想
 
 
業績予想の変更はありません。
 
 
通期予想に対する売上高の進捗率は80%、営業利益は85%です。会社予想通りでは、第4四半期は第3四半期に比べて大幅な減収・減益となってしまいます。第4四半期は中国が旧正月のため稼働率が落ちるとは言え、これはあまりにも不自然です。今期業績は上振れ余地が大きいと考えてよいのではないでしょうか。
 
取材を終えて
先日新聞に、同社の取引先でもある東京エレクトロンの東会長のインビュー記事が掲載されていました。数年先まで見通しは強気でした。新規事業で高収益な単結晶引上装置事業も順調に拡大していますから、同社の来期以降の展望も明るいと言えます。