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(6890) 株式会社フェローテックホールディングス

スタンダード

ブリッジレポート:(6890)フェローテックホールディングス 2024年3月期第3四半期決算

ブリッジレポートPDF

 

賀 賢漢 社長

株式会社フェローテックホールディングス(6890)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

電気機器(製造業)

代表者

賀 賢漢

所在地

東京都中央区日本橋 2-3-4 日本橋プラザビル

決算月

3月

HP

https://www.ferrotec.co.jp/

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

2,970円

47,012,233株

139,626百万円

18.9%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

100.00円

3.4%

319.07円

9.3倍

4,457.19円

0.67倍

*株価は3/1終値。発行済株式数((自己株式控除後)、DPS、EPS、BPSは2024年3月期第3四半期決算短信より。ROEは前期実績。

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2019年3月(実)

89,478

8,782

8,060

2,845

76.90

24.00

2020年3月(実)

81,613

6,012

4,263

1,784

48.12

24.00

2021年3月(実)

91,312

9,640

8,227

8,280

222.93

30.00

2022年3月(実)

133,821

22,600

25,994

26,659

668.06

50.00

2023年3月(実)

210,810

35,042

42,448

29,702

644.81

105.00

2024年3月(予)

220,000

25,000

26,000

15,000

319.07

100.00

*予想は会社予想。単位:百万円、円。21年3月期の配当には記念配当4.00円/株を含む。22年3月期の配当には特別配当9.00円/株を含む。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。

 

 

(株)フェローテックホールディングスの2024年3月期第3四半期決算概要、2024年3月期業績予想などについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2024年3月期第3四半期決算概要
3.2024年3月期業績予想
4.中期経営計画のアップデート(再掲)
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 24/3期第3四半期は、前年同期比8.1%増収、同21.8%営業減益で着地した。足下の需要環境も弱含んでいることに鑑み、3Q決算開示のタイミングで通期会社計画は再度引き下げられた。主戦場とするエレクトロニクス業界はパワー半導体市場が堅調に推移する一方で、前期は需要の強かった半導体製造装置の需要は低迷するなど、斑模様の展開となっている。地域別では欧米向けの落ち込みを中国向けがカバーする形になっている。

     

  • 同社は、3Q実績に鑑み2024年3月期通期会社計画を2Qに続き減額修正した。売上高は2,200億円で不変。しかし、(1)パワー半導体基板事業において、増収ペースの減速により増産投資に係るコスト負担が増加していること、(2)センサ事業において、空調向け等の需要が低迷していること、(3)太陽光パネル事業において、PVメーカーの需要が不調であることなどを背景に、従来計画比で一層の収益低下が見込まれる見通しとなったため、営業利益・経常利益を減額修正した。見直し後の会社計画から算出される4Q(1~3月)は、売上高517億円(前年同期比6.1%減)、営業利益40億円(同50.9%減)。足下の受注状況に鑑みた修正とのことだが、ワーストシナリオに基づいた計画だと思料する。

     

  • 中期経営計画において成長を徹底的に追求する姿勢に変更はない。26/3期には売上高が3,600億円に到達する計画(23/3期〜26/3期CAGR+19.5%)は今回も変更されていない。25/3期および26/3期に市況が回復してくるとの見通しも変更していない。グローバル生産体制の拡充は計画通りに進められていることから、半導体セクターの需要さえ回復してくれば、中期経営計画の達成確度も高まっていくだろう。半導体装置関連事業では、グローバル生産体制の拡充、自動化等を着実に進めていることから、需要回復時には急速な売上拡大に対応できることになろう。

     

  • 2021年末から半導体市況は悪化傾向にあり、今期も在庫調整が続くとの前提は変わっていない。在庫調整の遅れなどから短期見通しは毎四半期に続き引き下げられているものの、25~26年には半導体市況も再度拡大基調に転じるという見通しには変更ない。中長期では、グリーンエネルギー化の流れが変わることも考えにくい。同社はその意思を強く持ち、目先に惑わされない積極的な投資姿勢を今期も貫いている。今上期にしっかりと資金調達ができたことも、経営戦略をサポートすることに役立っている。需要低迷の長期化は気にかかるところだが、同社は闇雲に投資するのではなく、投資機会と財務状況の適切なバランスを確保した上でキャピタルアロケーション戦略を立てていることから、最悪シナリオも一定立てやすいことを覚えておきたい。

1.会社概要

半導体やFPD製造装置等の部品、半導体の生産工程で使われる消耗部材やウエーハ、更には装置の部品洗浄等を手掛ける半導体等装置関連事業と、冷熱素子「サーモモジュール」を核とする電子デバイス事業の二本柱で事業展開しており、傘下に子会社等86社を擁する(連結子会社73社、持分法適用非連結子会社及び関連会社13社)。
1980年、NASAのスペースプログラムから生まれた磁性流体を応用した真空技術製品や冷熱素子として用途が広がっているサーモモジュール等、独自技術を核にした企業として誕生。創業から43年にわたって培われてきた多様な技術は、エレクトロニクス、自動車、次世代エネルギー等、様々な産業分野で応用されている。また、トランスナショナルカンパニーとして、日本、欧米、中国、アジアに展開し、マーケティング、開発、製造、販売、そしてマネジメントと、それぞれの国・地域の強みを活かした経営も同社の特徴。2017年4月、持株会社体制へ移行した。2022年4月、市場再編に伴い、東証スタンダード市場に移行。

 

【組織力強化・持続的発展へ向けた基本的な考えと重点方針】

同社グループは、顧客、株主、従業員、取引先、地域社会などステークホルダーに向け、成長する企業であり続けること、企業活動において、法令遵守、社会秩序、国際ルールなど、社会的良識をもって行動することで、信頼される企業を目指している。

 

企業価値向上のための取り組み

各事業子会社の経営自立化を推進、経営資源の再配分

品質を第一とした意識の徹底

顧客に喜ばれる設計・製品品質の徹底、社内外へのサービス品質の向上

コーポレート・ガバナンスの強化

内部統制・関係会社管理の徹底、リスクマネージメント・コンプライアンス強化

 

【1-1 事業セグメント】

事業は、半導体・FPD・LED等の製造装置に使われる真空シール、石英製品、セラミックス製品等の「半導体等装置関連事業」、サーモモジュールが中心の「電子デバイス事業」、及び報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、シリコン結晶や太陽電池ウエーハ、ソーブレード、工作機械、表面処理、業務用洗濯機等の「その他」に分かれる

 

半導体等装置関連事業
半導体、FPD、LED、太陽電池等の製造装置部品である真空シール、デバイスの製造工程に使われる消耗品である石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、石英坩堝。この他、シリコンウエーハ加工や製造装置洗浄等も手掛け、エンジニアリング・サービスをトータルに提供している。

 

主力製品で世界トップシェアの真空シールは、製造装置内部へのガスやチリ等の侵入を防ぎつつ、回転運動を装置内部に伝える機能部品で、上記の製造装置に不可欠。真空シールの内部には創業からのコア技術である磁性流体(磁石に反応する液体)シールが使われている。ただ、いずれの分野も設備投資の波が大きいため、比較的需要が安定した搬送用機器や精密ロボット等、一般産業分野での営業を強化しており、真空シールを組み込んだ真空チャンバーやゲートバルブ等(共に真空関連の装置で使われる)の受託製造にも力を入れている。
一方、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、及び石英坩堝は共に半導体の製造工程に欠かせない消耗品。石英製品は半導体製造の際の高温作業に耐え、半導体を活性ガスとの化学変化から守る高純度のシリカガラス製品。材料や加工技術を核とするセラミックス製品は国内外の半導体製造装置メーカーを主な顧客とし、半導体検査治具用マシナブルセラミックスと半導体製造装置等の部品として使われるファインセラミックスが二本柱。CVD-SiC製品は「CVD法(Chemical Vapor Deposition法:化学気相蒸着法)」(シリコンと炭素を含むガスから作る)で製造されたSiC製品の事。現在、半導体製造装置の構造部品として供給しているが、航空・宇宙(タービン、ミラー)、自動車(パワー半導体)、エネルギー(原子力関連)、IT(半導体製造装置用部品)等への展開に向け研究開発を進めている。
シリコンウエーハ加工では、6インチ(口径)と8インチに加え、21年3月期からは12インチの売上計上も始まっている。
製造装置洗浄では中国で過半を超えるトップシェアを有する。

 

(同社資料より)

 

電子デバイス事業
事業の核となっているのは対象物を瞬時に高い精度で温めたり、冷やしたりできる冷熱素子「サーモモジュール」である。
サーモモジュールは自動車用温調シートを中心に、半導体製造装置でのウエーハ温調、遺伝子検査装置、光通信、家電製品、およびその応用製品のパワー半導体用基板等、利用範囲は広く、世界シェアNo.1。高性能材料を使用した新製品開発や自動化ライン導入によるコスト削減と品質向上により、新規の需要開拓や更なる用途拡大に取り組んでいる。
この他、スマホのリニアバイブレーションモーターや4Kテレビや自動車のスピーカー、高音質ヘッドフォン等で新たな用途開発が進んでいる磁性流体も世界シェアトップである。
更に、2023年3月期第2四半期より連結子会社に加わった(株)大泉製作所の温度センサも同事業に追加されている。

 

その他

(同社資料より)

 

2.2024年3月期第3四半期決算概要

【2-1 連結業績】

 

23/3期3Q

(累計) 

構成比

24/3期3Q

(累計) 

構成比

前年同期比

進捗率

売上高

155,690

100.0%

168,266

100.0%

+8.1%

76.5%

売上総利益

54,373

34.9%

54,424

32.3%

+0.1%

-

販管費

27,630

17.7%

33,498

19.9%

+21.2%

-

営業利益

26,743

17.2%

20,926

12.4%

-21.8%

83.7%

経常利益

35,281

22.7%

23,266

13.8%

-34.1%

89.5%

四半期純利益

23,737

15.2%

13,464

8.0%

-43.3%

89.8%

* 単位:百万円

 

半導体産業の需要調整基調継続
24/3期3Q累計は、売上高が前年同期比8.1%増の168,266百万円、営業利益が同21.8%減の20,926百万円となった。半導体産業の需要調整基調が続いていることに加え、半導体製造装置も2022年の旺盛な需要からの反動もあり低迷が続いている。一方、パワー半導体市場は比較的堅調に推移している。このような環境下、3Q(10~12月)は2Qの減収(前年同期比1.6%減)から増収(同7.9%増)に転じた。
収益面では、粗利率の低下により売上総利益がほぼ前年同期水準に留まったうえ、増産投資や研究開発強化施策に伴う販管費の増加により、営業利益は同21.8%減となった。前年同期に比して為替差益が縮小したことおよびウエーハ事業での持分法投資損失が発生したことから、経常利益の減益幅は拡大した。
足下業績に鑑み、今期会社計画が再度下方修正されたが、25年以降の市況回復を前提に増産投資や研究開発強化など将来に向けた投資を行う方針には変更ないようである。需要動向に細心の注意を払いつつ、あくまでも中長期目線で同社のファンダメンタルズを考えていきたい。


 

【2-2 セグメント別動向】

セグメント別売上高・利益

 

23/3期3Q

(累計) 

構成比・利益率

24/3期3Q

(累計)

構成比・利益率

前年同期比

半導体等装置関連

99,154

63.7%

97,494

57.9%

-1.7%

電子デバイス

38,159

24.5%

50,370

29.9%

+32.0%

その他

18,376

11.8%

20,443

12.1%

+11.2%

連結売上高

155,690

100.0%

168,266

100.0%

+8.1%

半導体等装置関連

18,161

18.3%

13,163

13.5%

-27.5%

電子デバイス

8,553

22.4%

8,711

17.3%

+1.8%

その他

668

3.6%

-22

-0.1%

-

調整額

-639

 

-926

 

-

連結営業利益

26,743

17.2%

20,926

12.4%

-21.8%

* 単位:百万円

 

(1)半導体等装置関連事業
半導体等装置関連事業の売上高は前年同期比1.7%減の97,494百万円、営業利益は同27.5%減の13,163百万円となった。セグメント利益率は同4.8ポイント低下の13.5%。3Q(10~12月)売上高は2Qの10.8%減収から5.3%増収に転じている。製造装置向けの真空部品や受託加工、及び半導体製造プロセス向けの各種マテリアル製品(石英製品・セラミックス製品・シリコンパーツ等)は欧米顧客向け売上が伸び悩んだものの、半導体装置向けや太陽光パネル向けの中国顧客向け売上の増加が下支えとなった。製品分野ではCVD-SiC製品や石英坩堝が他事業をカバーしたとのこと。
具体的には、真空シールおよび各種製造装置向け金属加工製品や半導体製造プロセスに使用されるマテリアル製品(石英製品・セラミックス製品・シリコンパーツ等)、部品洗浄サービスは前年同期比減収となった。半導体の在庫調整を受け、設備投資需要の停滞及び設備稼働率の低下が影響した。一方、石英坩堝は太陽光パネル製造メーカー向けの売上が引き続き堅調に推移。マテリアル製品のうち受注残を持つCVD-SiC製品も増収を継続した。

 

(2)電子デバイス事業
電子デバイス事業の売上高は前年同期比32.0%増の50,370百万円、営業利益は同1.8%増の8,711百万円となった。セグメント利益率は同5.1ポイント低下の17.3%。前2Q(7‐9月)より連結化した大泉製作所のセンサ売上が計上されたことが増収率を上昇させている点には留意を要する。
パワー半導体用基板が引き続き成長ドライバーとなっている。サーモモジュールはPCR検査装置を中心に医療検査機器向けの出荷が減少したため減収となったものの、パワー半導体用基板において産業機械向けにDCB基板の販売が順調だったうえ、AMB基板が中国のEV車載向けに堅調に推移した。

 

(3)その他事業
その他事業(ソーブレード、工作機械、太陽電池用シリコン製品等の事業)の売上高は前年同期比11.2%増の20,443百万円、営業利益は22百万円の赤字。工作機械の出荷が減少したものの、前2Q(7‐9月)より連結化した東洋刃物の売上寄与により、増収となった。

 

【2-3 財政状態】

◎財政状態

 

23年3月

23年12月

増減

 

23年3月

23年12月

増減

流動資産

215,341

259,977

+44,636

流動負債

111,294

115,491

+4,197

現預金

103,115

126,170

+23,055

仕入債務

43,896

42,658

-1,238

売上債権

53,276

62,008

+8,732

短期有利子負債

36,203

40,144

+3,941

たな卸資産

49,177

58,617

+9,440

固定負債

49,697

110,935

+61,238

固定資産

195,306

248,698

+53,392

長期有利子負債

30,515

88,545

+58,030

有形固定資産

139,610

188,740

+49,130

負債合計

160,991

226,427

+65,436

無形固定資産

6,949

6,835

-114

純資産

249,656

282,249

+32,593

投資その他の資産

48,745

53,121

+4,376

利益剰余金

69,656

78,191

+8,535

資産合計

410,648

508,676

+98,028

負債純資産合計

410,648

508,676

+98,028

*単位:百万円

 

資産合計は前期末比980億円増の5,086億円に増加。現預金増加(同230億円増)および有形固定資産増加(同491億円増)が主要因。売上増加に伴い、売上債権・棚卸資産が増加したほか、資金調達を実施したことが流動資産を増加させた。有形固定資産は各事業での積極投資によって増加している。
負債合計は同654億円増の2,264億円となった。23年6月に28年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(社債額面金額合計250億円)を発行したことに加え、長期借入金(含、1年内返済予定)も同405億円増加した。純資産は、利益剰余金が同85億円増となったことに加え、為替換算調整勘定が同159億円増、非支配株主持分が同68億円増となったことを背景に、同325億円増の2,822億円となった。
自己資本比率は前期末比3.5ポイント低下の41.2%となった。

 

3.2024年3月期業績予想

【3-1 連結業績】

 

23/3期 

構成比

24/3期(従来予) 

24/3期(修正予)

構成比

前期比

売上高

210,810

100.0%

220,000

220,000

100.0%

+4.4%

営業利益

35,042

16.6%

27,000

25,000

11.4%

-28.7%

経常利益

42,448

20.1%

28,000

26,000

11.8%

-38.7%

当期純利益

29,702

14.1%

15,000

15,000

6.8%

-49.5%

* 単位:百万円

 

想定以上の需要低迷に鑑み、営業利益および経常利益の通期会社計画を再度修正
同社は、3Q実績に鑑み2024年3月期通期会社計画を2Qに続き減額修正した。売上高は2,200億円で不変。しかし、(1)パワー半導体基板事業において、需要の拡大トレンドは継続しつつも、足許の売上が減速し増産投資に係るコストが増加していること、(2)センサ事業において、空調向け等の需要が低迷していること、(3)太陽光パネル事業において、PVメーカーの需要が不調であることなどを背景に、収益性が想定以上に悪化する見通しとなったため、営業利益・経常利益を減額修正した。なお、持分変動利益の計上が見込まれること、および非支配株主持分利益が減少見通しであることから、当期純利益は従来計画で据え置かれた。想定期中平均為替レートは、米ドル140円(前期実績132.08円)で2Q時点から変更はない。
見直し後の会社計画から算出される4Q(1~3月)は、売上高517億円(前年同期比6.1%減)、営業利益40億円(同50.9%減)。足下の受注状況に鑑みた修正とのことだが、ワーストシナリオに基づいた計画だと思料する。
一株配当は100.00円を予定(上期50.00円、下期50.00円)。

 

4.中期経営計画のアップデート(前回掲載から変更なし、再掲)

(24/3期会社計画見直しに伴う中期経営計画の見直しは未発表)

 

【4-1 中期経営計画の基本方針】

成長を徹底的に追求する基本方針は不変。

事業成長

➣成長の徹底追及、積極投資を継続

既存事業の競争力強化・シェアアップに加え、非半導体事業の強化を推進

➣「車載センサー」を新設・戦略的に強化

➣製品開発やM&A等により、事業・製品の多様化を加速

グローバル生産体制の強化

➣マレーシア拠点の早期稼働

➣石川工場、熊本工場の立ち上げ、「日本回帰」を推進

経営基盤の強化

➣品質管理の強化を継続

➣デジタル化・自動化・AI化・見える化を継続推進

➣人材強化の継続

財務・株主還元

➣投資機会と財務の適切なバランス確保、当期利益重視・ROIC管理強化を継続

➣収益増強により株主還元を増加させていく基本方針、配当性向20%を意識

(同社資料より、インベストメントブリッジ作成)

【4-2 アップデート後の中期経営計画KPI】

(同社資料より、インベストメントブリッジ作成)

 

26/3期には売上高が3,600億円に到達する計画(23/3期〜26/3期CAGR+19.5%)だが、その内訳は、半導体装置関連事業が1,321億94百万円から2,356億円、電子デバイス事業が530億24百万円から933億90百万円、その他事業が255億90百万円から310億10百万円に伸長する計画。
同社は、グローバル生産体制の拡充は着実に進展していることから、半導体セクターの需要が回復すれば計画達成は十分に可能と考えている。半導体装置関連事業では、グローバル生産体制の拡充、自動化等を着実に進めていることから、需要回復時に急速な売上拡大も可能と同社は考えている。電子デバイス事業では、パワー半導体基板の四川工場設立による増産体制を着実に進めており、2024年には生産が本格化する見通しである。

 

【4-3 カテゴリー別】

<半導体マテリアル>
23/3期は前期比52.0%増収、24/3期見通しは同14.0%減収。
半導体市場は、デジタル投資、EV需要拡大等を背景に、23/3期は堅調に推移した。しかし、WFE(Wafer Fab Equipment)半導体前工程製造装置市場は24/3期において調整局面となる見方が大勢を占めていることもあり、短期的には弱含む前提。中長期では市場の成長が続くとの見通しは不変であることから、同社は26/3期以降の市況拡大を見越し、各製品の生産能力拡大を継続する計画。具体的には、石英:マレーシア及び熊本に新工場建設、セラミックス:マレーシア及び石川に新工場建設、CVD-SiC:岡山及び常山で設備増強、シリコンは常山で設備増強、を予定。

 

<石英坩堝>
23/3期は前期比85.3%増収、24/3期も同4.1倍と大幅増収見通し。
太陽電池市場の導入量拡大に加え、ウエーハサイズの大口径化に対応した石英坩堝の大口径化のトレンドが顕著になっていることから、銀川工場での生産能力増強投資に取り組んでいる。

 

<サーモモジュール>
23/3期は前期比31.9%増収、24/3期は同8.2%減収を想定。
5G通信機器用途、PCRなどバイオ装置用途、半導体分野において、24/3期はピークアウトが顕在化することを前提にしている。ただし、25/3期からは再び増収に転じるとの見通し。
新製品の冷却チラーは、サーモモジュール(ペルチェ)方式、コンプレッサー方式を複数モデルラインアップし、半導体分野、工作機械、医療装置分野での拡販に取り組む計画。

 

<パワー半導体絶縁基板>
23/3期は前期比2.4倍の増収、24/3期は同80.0%増収を計画。
23年6月に中国四川省内江に新工場が竣工したほか、東台工場の生産能力拡大によって、増収が継続する見通し。上海東台工場の月産能力は、DCB基板:110万枚から160万枚、AMB基板:20万枚から45万枚へと拡大する計画。世界的な消費電力抑制気運から、DCB基板への需要はさらに拡大していくものと同社は考えている。

 

【4-4 主な工場新設・生産能力増強の状況】

(同社資料より)

 

◎株主還元
『持続的な収益増強により株主還元を増加させていく基本方針は不変だが、配当の決定に際して、「配当性向20%」を意識して、財務・投資機会等とのバランスを考慮して判断する』との配当政策を掲げている。その考えに則り、23/3期の一株配当は105円(配当性向16.3%)とした。24/3期は100円(配当性向31.3%)を計画している。中期的には配当性向を30%まで引き上げていきたいとの考えも示している。

 

◎長期業績目標
長期ビジョンとして掲げている31/3期売上高5,000億円、当期純利益500億円という数値目標に変更はない。

 

5.今後の注目点

2021年末から半導体市況は悪化傾向にあり、今期も在庫調整が続くとの前提は変わっていない。在庫調整の遅れや需要減少から短期業績見通しの引き下げが続いており、株式市場では不安心理が台頭する可能性は念頭に置いておきたい。とは言え、25~26年には半導体市況も再度拡大基調に転じるという見通し、および中長期ではグリーンエネルギーの流れも変わらないとの見通しに変わりない。同社はその意思を強く持ち、目先に惑わされない積極的な投資姿勢を今期も貫いている。今上期にしっかりと資金調達ができたことも、経営戦略をサポートすることに役立っている。闇雲に投資するだけでなく、投資機会と財務状況の適切なバランスを確保した上でキャピタルアロケーション戦略を立てるなど、資本市場へ向き合う姿勢も評価すべきだろう。同社の株式価値は、短期的にはマクロ環境に左右されるだろうが、中長期ではバリュエーション向上に繋がる施策に積極的に取り組んでいる点に引き続き着目したい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

9名、うち社外3名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2024年2月28日)
<基本的な考え方>
当社グループは、「顧客に満足を」、「地球にやさしさを」、「社会に夢と活力を」を企業理念とし、行動規範として、「グローバルな視点のもと、常に国際社会と調和を図り、地域社会その他私たちに関係する世界の人々の生活に貢献できる製品とサービスを提供する企業として、各国の法令を遵守することはもちろん、確固とした企業倫理と社会的良識を持って、誠実に行動すること。」、「新エネルギー産業およびエレクトロニクス産業を中心に高品質な製品やサービスを提案し、コスト競争力のある製品やサービスを提供することにより、お客様から信頼されて、満足を頂くこと。」、「地球環境に配慮した活動を積極的に推進することを経営上の重要課題の一つとして、最新の環境規制要求への適応を順次進め、新エネルギー産業で活用できる素材・製品などを開発し、地球環境問題の解決に貢献すること。」、「コア技術を活用したものづくりを通して社会に貢献し、顧客、株主、社員、取引先、地域社会などステークホルダーの方々が成長する楽しみを持てる企業であり続け、企業活動にあたり法令遵守、社会秩序、国際ルールなど社会的良識をもって行動すること。」を掲げています。

 

当社はこれらの企業理念と行動規範に従い、環境保全活動とグループガバナンスを積極的に推進するとともに、ステークホルダーの皆様にとって「成長する楽しみが持てる企業」であり続けることに努めております。また、半導体用マテリアル製品をはじめとする新素材及び生産技術の開発に注力し、品質を第一に考えて顧客満足の向上を追求する旨の「品質理念」を掲げ、生産の自動化、デジタル化、標準化を進めております。世界での市場シェアを高め、安定的な収益体質の企業集団を形成することを経営の基本方針としております。

 

以上の企業理念、行動規範、経営の基本方針を踏まえて、企業価値を高め、株主、顧客、取引先、従業員、地域社会などステークホルダーに信頼され支持される企業となるべく、経営の健全性を重視し、併せて、経営環境の急激な変化にも迅速かつ的確に対応できる経営体制を確立することが重要であると考えております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない主な理由>

 

 <補充原則2-4①: 中核人材の登用等における多様性の確保>
当社グループは、人的資本の基本方針として、組織・人材について2つの大きな方針のもとグループを運営しております。 1つは、従業員のあらゆる属性に関係なく、一人ひとりが志をもって自律的に行動し、働きがいを持つことができる会社・組織とすること。もう1つは、マネジメントを現地化し、迅速な意思決定と、地域の特性にあわせたビジネス及び組織運営を行うことです。グローバルに企業規模が拡大する中、人材と組織の抜本的な強化を図り、中長期的な企業価値の向上に向け、幅広いスキルと経験を持つ女性・外国人・中途採用者を積極的に採用しております。また、女性・外国人・中途採用者の高いスキル、当社グループ以外で培われた貴重な経験等を総合的に勘案・評価し、管理職への登用も積極的に行っております。 しかしながら、中長期的視点に立った女性・外国人・中途採用者の管理職への登用含めた人材育成方針及び社内環境整備方針、並びにそれらの進捗や達成状況について、併せて開示できるまでに至っておりません。今後、グローバルな企業規模の拡大に応じた中長期的な企業価値の向上に資するべく、人的資本に関する基本方針のもと、人材育成及び社内環境方針を設定し実施状況を開示できるよう鋭意検討を進めてまいります。

 

<補充原則3-1③: サステナビリティについての取組み、人的資本や知的財産への投資等経営戦略の開示>当社では、「顧客に満足を、地球にやさしさを、社会に夢と活力を」の企業理念の下、中長期的な企業価値向上に向け、ESG(Environment/環境、Social/社会、Governance/企業統治)が非常に重要であるとの認識から、2021年にマテリアリティ及びサステナビリティ基本方針を策定しました。今後は、ESGを推進するための組織体制の整備、社内啓蒙、定量目標の設定を進めてまいります。また、人的資本や知的財産への投資等については、日本の子会社では若手の幹部への積極登用や組織のフラット化を推進しております。また、中国の子会社では半導体関係の研究院の設置や博士クラス人材の採用強化、優秀な特許出願者があった場合には、表彰や報奨金の付与等を適宜実施するなどにより知的財産への投資に積極的に取り組んでおります。今後は、設定した定量目標のモニタリングを行い、取組み状況をホームページやIR資料等で公開してまいります。

 

<補充原則4-2①: 客観性・透明性のある経営陣の報酬の報酬制度> 当社は、取締役会の諮問委員会として社外取締役が過半数を占める報酬委員会を設置し、取締役の月額報酬、業績連動報酬など、取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針に沿って審議、決定し、取締役会へ報告しております。社外役員が委員の過半数となる報酬委員会を設置することにより、持続的な成長に向け、譲渡制限付株式報酬の導入など中長期的な報酬割合の設定や、固定報酬と変動報酬の目標割合を設定しております。取締役会から取締役の個人別の報酬等の額の決定を一任された代表取締役社長は、報酬委員会を招集の上、諮問し、当該答申内容を尊重して決定することとしております。 しかしながら、連結報酬における現金報酬と自社株報酬との割合の適切な設定までには至っておらず、報酬委員会に適宜陪席する外部専門家の意見を参考にしながら、報酬委員会を中心として適切な役員報酬制度を鋭意検討してまいります。

 

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく主な開示>

 

<原則2-3:社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題> 半導体の製造プロセスは環境負荷が大きく、これを解決することが業界全体の課題となっております。当社では、ノン・フロンの温調デバイスであるサーモモジュールや消費電力削減に有効な「パワー半導体基板」、「磁性流体」等の製品販売並びに日本及び中国の工場における太陽光パネルを用いたクリーンエネルギーでの発電等、事業を通じて環境汚染に配慮した温室効果ガス低減に貢献しております。2023年3月「サステナビリティ委員会」を当社執行役員会傘下の委員会として設置し、サステナビリティへの取り組みの状況確認、検討、審議を行い、取締役会等で適宜に報告することでサステナビリティの全社的な検討・推進を行います。その他、コロナ禍の中で経済的に困窮する大学生が増加している中、当社は将来社会に貢献し得る有為な人材の育成に寄与すべく工学系の学生に奨学金を給付している公益財団法人山村章奨学財団を支援しております。
<原則2-4:女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保>社内に異なる経験や価値観が存在することは、特に当社のようなグローバルに展開している経営環境下においては、会社の持続的な成長を確保する強みであると考え、現地子会社のマネジメントは現地に任せる方針の下、女性を含めた多様性の確保に努めております。

 

 

<補充原則4-11①:取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方>当社の取締役会は、業務執行の監督と重要な意思決定には、多様な視点と経験、及び多様で高度なスキルを持った取締役の構成が必要であると考えております。また監査役についても、取締役会に出席し、必要に応じて意見を述べる義務があり、取締役と同様に多様性と高いスキルが必要であると考えております。社外役員については、取締役会による監督と監査役による監査という二重のチェック機能を果たすため、法定の社外監査役に加え、取締役会での議決権を持つ社外取締役が必要であり、ともに高い独立性を有することが重要であると考えております。さらに、独立社外取締役は他社での経営経験を有する人物の選任を意識し、取締役会全体として必要とする知識・経験・能力等のバランスを考慮して選任し、スキルの網羅性を確保しております。各取締役・監査役の知識・経験・能力等を一覧化したスキル・マトリックスは、当社ホームページ
https://www.ferrotec.co.jp/esg/sdgs.phpに掲載しております。

 

 

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