【アメリカ大統領選】バイデン政権誕生で政策・株価はどうなる?

アメリカ大統領選
この記事は20年11月19日に公開された記事を随時更新しています。

この記事の結論

  • バイデン氏の大胆な財政出動は株価のプラス要素と捉えることができる
  • ダウ平均は3万ドルを突破した
  • バイデン政権は特に環境関連銘柄にとって好材料となる

アメリカ大統領選挙の結果は?

2020年米国大統領選挙の結果、民主党のジョー・バイデン氏が第46代目の次期大統領に選出されました。

11月7日(日本:8日午前)にバイデン氏は勝利宣言をし、「私は分断するのではなく団結させる大統領になると誓います。」と語りました。

2021年1月20日にアメリカ史上最高齢の78才で就任を迎える予定で、副大統領には女性初となるカマラ・ハリス氏が就任します。

今回の選挙では、例年に比べて非常に多くの投票が郵送によって受け付けられました。

通常は投票日の夜には結果が明らかになるのですが、今回は郵便投票の増加やトランプ氏が現職大統領として最多数の票を集める接戦となったため、結果は投票日の4日後までわからない状態が続いていました。

「郵便投票は不正の温床だ」と主張してきたトランプ氏は今回の選挙で不正が起きたとし、法廷闘争に持ち込む意向を示していましたが、11月23日にはバイデン政権への移行手続きを容認するなど、次期バイデン政権の誕生はほぼ確定しました。

バイデン氏の政策は?

さて、バイデン氏はこれからどのような政策を行っていくのでしょうか?
環境政策、財政出動、新型コロナウイルス対策の3方向からバイデン氏の政策を見ていきましょう!

環境政策

バイデン氏は環境対策を選挙の公約の中で強調してきました。

トランプ政権の元で脱退したパリ協定には、在任初日に再加盟すると主張しています。

パリ協定は「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑える努力をする」などを目標に掲げる国際的な枠組みだワン!

また、環境に関する2つの大きな目標を設定しています。

  • 2035年までに米国の全ての発電を温室効果ガスを排出しないエネルギーにする
  • 2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする

この2つの目標を達成すべく、クリーンエネルギーや気候変動の研究・イノベーションに対して積極的な投資を行なう予定です。

その一つの例として、400万棟もの建物に対してエネルギー消費をより効率的にするための投資をする予定です。

財政出動

バイデン政権下では積極的な財政出動が行われます。

財政出動

例えば、クリーンエネルギーと環境関連の雇用に10年間で約178兆円を投じ、任期中には環境の目標を達成すべくインフラに約210兆円を投資する予定です。

さらに、環境だけでなくアメリカの技術と産業を活性化するための投資も積極的にします。
アメリカの産業を強化すべく、任期中におよそ73兆6800億円をアメリカ製品の購入促進や、量子コンピューターなど先端技術への研究に投資する予定です。

また、民主党は約250兆円規模の追加経済対策を提案していて、これは共和党が提案している額を超える規模です。
現在バイデン氏はこの対策案の可決を議会に要請していますが、もし承認を得ることができれば大きな経済効果が期待できます。

以上の通り、バイデン政権下では巨額の予算がインフラなどに投下され、積極的な財政出動が行われるのです。

相当お金が必要そうね。一体どこから資金を確保するの?

今回の選挙ではトランプ氏とバイデン氏の間で正反対の公約が多くありましたよね。
その中でも候補者間で大きく立場が異なり注目された政策の一つとして「税制度」がありました。

トランプ氏は任期中に法人税を劇的に減税し、それを維持する姿勢を保っていました。
一方、バイデン氏は法人税の増税を主張しており、その規模は10年間で約420兆円ほどになると考えられています。

なるほど!増税することで財源を確保していくのね!

バイデン政権の財務長官にはFRB(米連邦準備理事会)のイエレン前議長が就任する見通しだと11月23日に一斉に報道されたのも注目だワン!

コロナ対策

アメリカでは新型コロナウイルスの感染拡大が続き、世界で最も感染者と死者数が多くなっています。
そのため、依然として新型コロナウイルス対策は大きな課題となっています。

バイデン氏は当選が決まった直後に専門家13人を徴収して新型コロナウイルスのタスクフォースを結成しました。
タスクフォースでは無料のコロナウイルス検査の充実やワクチンの無料供給の体制を整えることなどが協議されています。

株価への影響は?

NYダウが3万ドルを突破!

11月24日、アメリカの代表的な株価指数であるNYダウが史上初めて3万ドルを突破しました。

その理由として以下の3つが挙げられます。

  1. バイデン政権への移行作業が始まったこと
    バイデン政権の積極的な財政出動や、ゼロ金利政策の継続を好感。
  2. 金融緩和であふれるマネー(過剰流動性)
    コロナ対策で各国が金融緩和に動いている中、あふれ出したマネーが株式市場(リスク資産)に流入しています。
  3. ワクチン開発が進んでいること
    ファイザーやモデルナ、アストラゼネカなどのワクチン開発が順調に進んでいるため、空輸株など今まで売られていた銘柄も買い戻され始めています。

バイデン政権が誕生する前から株高が始まっているワン!

財政出動が実現すれば株価にプラス

バイデン氏は大胆な財政出動の財源を確保していくために増税を行う方針です。

基本的に増税は株価にとってマイナス要素なのですが、それ以上に財政出動によって期待できる消費促進などのプラス要素の方が大きいと考えられています。

ただし、この一連の財政出動や増税を計画通りに実行できるかはまだわかりません。

実行できないってどういうこと?

大統領選挙と並行して上院・下院の選挙が行われていたのですが、下院では民主党が過半数を獲得しました。

しかし、上院は一部の州で決選投票が行われることになったため、1月5日まで結果が確定しません
選挙前は共和党53席で優勢でしたが、今回の選挙では現段階で共和党50席、民主党48席となっています。

上院選挙

そのため、民主党は決選投票で残り2席を両方獲得することに成功すれば、共和党と議席数で並ぶことができます。

しかし、議会で議席数が並ぶと決議が半々で割れてしまいますよね。
その場合には、副大統領であるハリス氏が投票することが認められます。

なので、決選投票で2席獲得できれば民主党が優位に、それ以下の獲得となれば共和党が優位になります。

上院で共和党が優位になれば「ねじれ議会」(上院:共和党 下院:民主党)となり、巨額の追加経済対策や増税などの政策案が承認されず、計画通り実行できない可能性がでてきます。

その時には、大胆な財政出動は困難になります。

議会には大統領の人事・法案・政策の成立を承認する権限があるから、財政出動に関わる予算の立法権も議会が持っているんだワン!

極端な政策への抑制が働くという観点からプラスに捉えることもできますが、財政出動によって期待できる消費促進などの効果が減ってしまうことが懸念されます。

では、ねじれ議会によって大規模な財政出動が困難になってしまった場合、新型コロナウイルスの経済対策はどのようにされていくのでしょうか。

FRBの債券購入による金利下落も期待

もし政府の財政出動が困難になってしまった場合は中央銀行(FRB)の債券購入、つまり、金融緩和による経済対策が行われるのでないかと考えられています。

中央銀行が債券を買い入れると債券価格は上がって、金利は下がるワン!

一般的に長期金利が下がると株価は上がります。

何で株価が上がるの?

一つの理由としては、金利が低い時に定額預金に預けてもお金があまり増えないため、リスクを取って株式を購入する傾向(リスクオン)が生まれるからです。

反対に長期金利が上昇すると企業がお金を借りにくくなってしまい、設備投資などに消極的になってしまうことで株価が下がることがあります。

そのため、「ねじれ議会」で追加経済対策をバイデン政権が予定通り実行することができない場合でも、中央銀行が債券の買い入れを行えば金利は下がるので、株価は上昇すると考えることができます。

いろはにマネーの投資診断

環境政策の恩恵を受ける企業の株高

政策からも見られる通り、バイデン氏は環境対策に巨額を投じていく方針です。

そのため、バイデン政権の誕生は環境関連株にとって好材料と考えられていて、電気自動車や再生可能エネルギー関連の企業に注目が集まっています。

アメリカでは、テスラの株価が大きく上昇しているワン!

一方で、石油などの従来エネルギー関連株はバイデン政権下では厳しい状況となるでしょう。

これはアメリカ株だけでなく、日本株についても同じことが言えます。
再生可能エネルギー関連株や低消費電力技術を提供するパワー半導体が注目を集める可能性があります。

環境関連銘柄

再生エネルギー関連株
イーレックス(9517)
ウエストHD(1407)

電気自動車関連株
三菱ケミカルホールディングス(4188)
アルコニックス(3036)

まとめ

バイデン政権によるインフラ投資や環境政策は長期的な経済成長にも繋がるため、株価にとって好材料と考えられています。

そして議会の承認を得ることができれば、巨額の追加経済対策も大きな経済効果が期待できます。

「増税を主張しているバイデン氏の当選は株価にネガティブに働くだろう」と以前は考えられていましたが、経済対策や環境政策の実現を考えれば株式市場にとってプラス要因が大きいと最近では考えられているということです!

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