ソフトバンクの株価は危ない?
なぜ株価は上がらないの?
このようなお悩みを解決します。
この記事の結論
以下の理由から、ソフトバンクの株を買うのはおすすめできません。
- ソフトバンクは多大な借入金による事業拡大を図っており、自己資本比率が極めて低い
- 配当性向の高さにより、減配のリスクと常に隣り合わせ
- 各事業には成長の余地があるも、市場全体に頭打ち感があり新たな一手が必要
通信キャリアのソフトバンク株は人気の高配当株の一つなので、購入を考えている方も多くいるでしょう。
でも、ネット上だと「ソフトバンク株は上がらない」「危ない」といった意見もあって不安…。
そこで今回は、ソフトバンクの株価が危ないと言われる理由や、将来性を分かりやすく解説します。
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ソフトバンクの株価は危ない?上がらない理由は3つ
そもそも、ソフトバンク株がやばいって言われるのはなぜ?
ソフトバンクの株価が危ない、上がらないと言われる背景には、いくつかの理由があります。
大きく以下の3つに分けて、考察していきましょう。
自己資本比率が低い
ソフトバンクの株価が危ないと言われる理由の1点目として、自己資本比率が低いことが挙げられます。
自己資本比率とは?
自己資本比率とは、総資本のうち純資産(新株予約権を除く)の占める割合を言い、自己資本に依存している割合を示します。自己資本比率が高い場合、総資本の中の返済しなければならない負債(他人資本)の占める部分が少ないため、健全性が高いと言えます。
つまり、自己資本比率が低いということは、借金が多いことを意味します。
そのため、金利変動や利息の返済などのリスクを抱えている自己資本比率が低い会社は、経営の健全性や安定性などの観点から市場では避けられがちです。
借金が多い会社に投資するのは少し怖いね…
ソフトバンクの自己資本比率を、同じ3大通信キャリアの競合他社と比べてみましょう。
通信大手3社比較 | ソフトバンク(9434) | NTT(9432) | KDDI(9433) |
---|---|---|---|
自己資本比率 | 15.2% | 33.8% | 43.0% |
競合2社と比較して、ソフトバンクの自己資本比率は半分以下の水準であることが分かります。
過去5年の実績を見ても、ソフトバンクの自己資本比率は例年20%を下回っており、慢性的に自己資本比率が低い状態にあると言えます。
ソフトバンク | 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 |
---|---|---|---|---|---|
自己資本比率 | 18.6% | 10.2% | 12.6% | 15.0% | 15.2% |
自己資本比率の一般的な水準は、業種にもよりますが約40%と言われており、少なくとも30%程度は確保しておくことが望ましいです。
以上より、ソフトバンクは自己資本比率が極めて低い会社であると言えるでしょう。
なんでソフトバンクはこれだけ自己資本比率が低いのかな?
ソフトバンクの自己資本比率が低い理由は、資金の大部分を銀行からの借入金などに頼り、調達した資金を海外企業の買収や投資・事業拡大に使っているためです。
挑戦的な社風や、信用力がある点はソフトバンクの魅力ですが、いざ投資するとなると自己資本比率の低さが懸念材料になり、株価が上がらない要因となります。
自己資本比率が低いってことは…ソフトバンクが潰れる可能性もあるってこと!?
私の結論として、ソフトバンクが潰れる可能性は低いと考えます。
詳しい理由を知りたい方は、以下ソフトバンクが潰れる可能性について分析した記事も、ぜひご覧ください。
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EPS成長率が悪い
ソフトバンクの株価が上がらない理由の2点目は、EPS成長率が悪いことだと考えられます。
EPS成長率ってどんな指標?
EPS成長率とは?
EPS(1株当たり純利益)が企業の収益力を示し、EPS成長率はその成長性を示します。そのため、高ければ高いほど企業が順調に成長していることを表すため、株価上昇の要因となります。
ソフトバンクのEPS成長率を競合2社と比較すると、低い水準であることが分かります。
EPS成長率比較 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 前期比成長率 | 前々比成長率 |
---|---|---|---|---|---|
ソフトバンク(9434) | 103.85円 | 110.04円 | 112.53円 | 2.3% | 8.4% |
NTT(9432) | 248.15円 | 329.29円 | 347.99円 | 5.7% | 40.2% |
KDDI(9433) | 284.16円 | 300.03円 | 310.25円 | 3.4% | 9.2% |
競合2社が前期比3%以上の成長率を記録しているのに対し、ソフトバンクのEPS成長率は前期比わずか2.3%。
さらに、NTTとKDDIの2社はそれぞれの中期経営計画の中で、EPS成長を重要な経営指標として掲げており、投資家にとってソフトバンクが見劣りします。
競合他社がより魅力的な銘柄であることも、ソフトバンクの株価が上がらない要因の1つであると言えるでしょう。
同じ業界の中でより魅力的な銘柄があったら、そちらを選んでしまうよね…
配当性向が高い
ソフトバンクの株価が危ない理由の3点目は、配当性向が高すぎることでしょう。
ソフトバンクは2018年の上場以来、配当性向85%という方針を掲げています。
日本企業の配当性向の平均は30%ほどであることからも、ソフトバンクの配当性向がかなり高いことが分かります。
配当性向が高いのは投資家にとって嬉しいことじゃないの?
たしかに、高い配当は投資家にとって魅力的ですが、高すぎる配当性向には要注意な場合も。
なぜなら、業績が悪化したら一転して「減配」となるリスクがあるからです。
実際、ソフトバンクの2024年3月期の業績予想では、PayPay子会社化の影響で20%ほどの減益見込みです。
にもかかわらず、前期比と同水準の86円の配当を出すため、それに伴い当期の配当性向は96.7%にまで上ると予想されています。
もちろん以下記事でも記載のように、配当性向が100%を超えていなければ、ひとまず大丈夫という見方も可能です。
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しかし、将来の業績に何が起こるかは誰にもわからず、高すぎる配当性向には常に減配のリスクがあると言えるでしょう。
このリスクを投資家が敬遠するのも納得であり、ソフトバンクの株価が上がらない要因の1つとなっています。
ソフトバンクの基本情報
ここでは、ソフトバンクの基本情報についてまとめます。
以下の4つの情報について詳しく見ていきましょう。
事業内容
ソフトバンクは主に以下の5つの事業を展開しています。
コンシューマ事業
コンシューマ事業では、主として国内の個人の顧客に対し、モバイルサービス、ブロードバンドサービスおよび電力サービスを提供しています。
また、携帯端末メーカーから携帯端末を仕入れ、ソフトバンクショップなどを運営する代理店または個人のお客さまに対しての販売も実施中です。
コンシューマ事業は、ソフトバンクのメインの通信事業であり、売上高のおよそ50%を占めています。
エンタープライズ事業
エンタープライズ事業では、モバイル回線提供や携帯端末レンタルといったモバイルサービスや、固定電話やデータ通信といった固定通信サービスなど、多様な法人向けソリューションを提供しています。
この他にも、データセンターや、クラウド、セキュリティ、グローバル、AI、IoT、デジタルマーケティングなどのサービスも提供しており、多岐にわたるソリューションを展開中です。
ディストリビューション事業
ディストリビューション事業では、変化する市場環境を迅速にとらえた最先端のプロダクトやサービスを提供しています。
法人の顧客向けには先進テクノロジーを活用した商材を、個人向けにはディストリビューターとしてIoTプロダクト等、多岐にわたる商品の企画・提供を実施中です。
メディア・EC事業
メディア・EC事業は、メディア、コマースを中心としたサービスを展開し、オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供しています。
メディア領域においては、インターネット上や「LINE」での広告関連サービスを提供中です。
またコマース領域においては「Yahoo!ショッピング」「ZOZOTOWN」などのeコマースサービスや「Yahoo!オークション」などのリユースサービス等の提供を行っています。
2023年10月より、「LINE株式会社」と「ヤフー株式会社」が統合し、新会社「LINEヤフー株式会社」が設立しました。
そんなメディア・EC事業は、ソフトバンクの売上高全体の25%以上を占めるコンシューマ事業に次ぐ事業規模となっています。
ファイナンス事業
ファイナンス事業では、主に個人の顧客向けに、QRコード決済やクレジットカードなどのキャッシュレス決済サービス、スマホ証券サービスを提供しています。
また、主に法人の顧客向けに、クレジットカード・電子マネー・QRコードなど多様化する決済を一括で提供する決済代行サービスも提供中です。
業績
2022年度に計上したPayPay株式会社の子会社化に伴う段階取得に係る差益の剥落により、2023年度には減益が予想されています。
しかし、売上高についてはわずかに増収が見込まれているようです。
増収減益の状態だということだね。
通常、増収減益の状態では株価は天井を打つと言われているワン!
つまり、業績も株価が上がらない要因の1つとなっているということです。
一方で、PayPay子会社化に伴う段階取得に係る差益を除いた営業利益ベースでは増益が見込まれています。
ファイナンス事業の今後の成長次第では、また株価が上がるかもしれないね!
配当政策・株主還元
ソフトバンクの配当の推移を見てみましょう。
年度 | 1株当たり年間配当金額 | 配当性向(連結) |
---|---|---|
2024年3月期(予想) | 86.0円 | 96.7% |
2023年3月期 | 86.0円 | 76.4% |
2022年3月期 | 86.0円 | 78.2% |
2021年3月期 | 86.0円 | 82.8% |
2020年3月期 | 85.0円 | 85.6% |
「配当性向が高い」の章でも説明したように、ソフトバンクの配当性向は85%という高い水準が掲げられています。
毎年安定した配当実績がある一方、減益が見込まれている2024年3月期には配当性向は96.7%にまで上るなど、投資家にとって高配当が懸念材料となっているのも事実でしょう。
なお株主還元については、現状優待制度はありません。
株価の推移
上場以来のソフトバンクの株価の推移(2024年4月まで)を見てみましょう。
2018年12月に上場して以来、緩やかに上昇していることが分かります。
ただし、2018年12月18日の初値1,463円と2024年3月21日に記録した最高値2,064円を比較すると、騰落率は5年でわずかに1.41倍です。
同じく2018年末から2024年4月における競合2社の株価推移として、まずは日本電信電話を見てみましょう。
続いて以下は、KDDIの株価推移です。
NTTの株価は2018年末が90円ほどだったところから、2024年4月現在は170円ほどとおよそ2倍に上がっています。
またKDDIの株価は、2600円台だったところから、4200円台までおよそ1.6倍上昇しました。
最高値を見ると、両社とも2024年1月下旬に達した値で、NTTは193円、KDDIは5080円と騰落率はさらに高くなっています。
競合2社と比較すると、ソフトバンクの株価が上がっていないことは明らかだね…
通信大手3社を比較!ソフトバンクの強みと弱みは?
通信大手3社を比較して、ソフトバンクの強みと弱みを見てみましょう。
大きく以下の3つの特徴が挙げられます。
以下、大手通信3社について主要財務データと参考指標を表にまとめ比較してみます。
2023年3月期 | ソフトバンク(9434) | NTT(9432) | KDDI(9433) |
---|---|---|---|
売上高 | 5兆9,119億円 | 13兆1,361億円 | 5兆6,717億円 |
当期純利益 | 5,313億円 | 1兆2,131億円 | 6,774億円 |
営業利益率 | 17.9% | 13.9% | 19.0% |
自己資本比率 | 15.2% | 33.8% | 43.0% |
ROE(自己資本利益率) | 23.9% | 14.2% | 13.2% |
PER(株価収益率) | 15.7倍 | 10.8倍 | 13.0倍 |
PBR(株価純資産倍率) | 3.3倍 | 1.6倍 | 1.7倍 |
EPS(1株当たり純利益) | 112.3円 | 348.0円 | 310.3円 |
配当利回り | 5.6% | 3.0% | 3.3% |
配当性向 | 76.6% | 33.7% | 43.0% |
ROEは20%超で収益性が高い
財務データから分かるソフトバンクの1つ目の強みは、ROEの高さです。
競合2社が15%に満たない水準であるのに対し、ソフトバンクは23.9%とかなり高い水準にあります。
一般的に、ROEは10%を超えていると投資価値のある優良企業と言われるワン!
ROEが高いことから、ソフトバンクの経営効率の良さが伺えるね!
ただし、同時に注意しなければならないのが自己資本比率の低さです。
ソフトバンクは銀行からの借入金が多く、経営の安定性には疑問が残ります。
5%と高い配当利回り
ソフトバンクの強みの2点目は、配当利回りの高さです。
競合2社の配当利回りが3%前後である一方、ソフトバンクは5.6%とかなり高いことが分かります。
理想的な配当利回りは3~5%と言われているから、通信大手3社はどこも良い配当利回りと言えるね!
高すぎる配当性向
一方で、配当性向が高すぎることはソフトバンクの弱みです。
健全な配当性向の1つの目安は50%以下だと言われており、競合2社はその水準を満たしているのに対し、ソフトバンクは76.6%と極端に高い水準であると言えます。
2024年3月期の予想では96.7%にまで上るとされ、ソフトバンクの配当性向の高さは不安要因です。
業績が悪化したら、減配してしまいそう…
ソフトバンクの株価は今後どうなる?将来性を分析
ソフトバンクの今後はどうなっていくのかな?
以下の4つの点について詳しく考察していきましょう。
今期は減益予想も事業成長に期待
業績で述べたように、ソフトバンクは2024年3月期には減益を予想しています。
でもこの減益はPayPay子会社化に伴う段階取得に係る差益の剥落によるものだったよね。
実際、最新の決算(2024年3月期第3四半期)では、PayPay再測定益を除く純利益は30%増益を見込んでいます。
セグメント別営業利益についても、エンタープライズ事業とメディア・EC事業で2桁増益、ファイナンス事業は実質増益を達成しており、各事業で成長が見られます。
今後も各事業の成長に注目だね!
成長戦略「Beyond Carrier」実現を目指した経営戦略
ソフトバンクの掲げる成長戦略「Beyond Carrier」では、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、通信キャリアの枠を超え、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野で積極的に事業を展開することで、企業価値の最大化を目指します。
各種事業で具体的な事業目標を掲げており、特にエンタープライズ領域では年平均成長率2桁成長が目標です。
また、各事業に加え、新領域への展開にも取り組んでいます。
親会社であり、投資会社である「ソフトバンクグループ(9984)」が、ファンドを通じ投資する世界中のユニコーン企業と協働して、最先端のテクノロジーやビジネスモデルを新事業として展開することが可能です。
親子会社との関係性
ソフトバンクは、世界的な投資企業であり孫正義氏が代表を務める「ソフトバンクグループ」を親会社に持っています。
ソフトバンクは、通信、EC、インターネットメディア、コミュニケーションサービス、キャッシュレス決済サービスなどのさまざまな事業を実際に運営する「事業会社」であり、「戦略的投資会社」である親会社とは明確な棲み分けです。
また「PayPay」「LINEヤフー(4689)」を保有するなど、日本を代表する事業会社を子会社としています。
孫さんが経営する大きなグループ会社の主要な事業会社だということだね!
ソフトバンクグループについて詳しく分析した記事もあるので、興味がある方はぜひそちらの記事もご覧ください。
通信市場の将来性
総務省の調査によると、携帯電話の契約件数は伸び続けています。
一方で、追い風となっているのは、通信料金の値下げです。
契約件数が伸びていても、単価が下がっていては売り上げは減少してしまいます。
政府からの値下げ要請を受け、通信大手3社は2021年3月から値下げを開始し、低料金プランを拡充させてきました。
携帯料金の値下げは消費者にとってはとても嬉しいけど、通信会社にとっては大きな痛手だね…
また、近年台頭してきた格安スマホや格安SIMを提供する通信会社(MVNO)ですが、シェア率は2020年からほぼ横ばいの14%弱で推移しています。
携帯電話をはじめとする移動系通信市場は、現状は微増していくことが予想されますが、将来的には頭打ちを迎えることになるでしょう。
人口減少も通信市場の契約数などには確実にマイナスの影響があるよね…
【まとめ】ソフトバンクには拭えぬ懸念点が…判断は慎重に!
ソフトバンクの株価が危ないと言われる理由について、よくわかったよ!
最後にこの記事の重要なポイントをまとめます。
- ソフトバンクは多大な借入金による事業拡大を図っており、自己資本比率が極めて低い
- 配当性向の高さにより、減配のリスクと常に隣り合わせ
- 各事業には成長の余地があるも、市場全体に頭打ち感があり新たな一手が必要
ソフトバンク株を今後購入しようと考えている方は、減配のリスクは考慮しておかなければなりません。
また、私としては長期的な市場の成長もあまり望めないため、ソフトバンクならではの新事業に期待しています。
ただし、新事業の成功は全くもって保証されていないため、投資には慎重な判断が必要でしょう。
その他の高配当株に関する記事も、編集部目線で解説しているので、ぜひ一緒にご覧ください。
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