・決算をまたぐのは危険という風潮は本当なのかな?
・決算シーズンの株の売買ってどうしたらよいんだろう?
このような疑問にお答えします。
🔰いろはに結論
- 決算前に無理して株式を売る必要はないが、あえて新たに買うのは避けたほうが良い
- 四半期ごとの数字は短期的な変動を反映するだけであり、会社の本質的な成長を判断するには不十分な場合がある
- 自分の投資ルールを守り、長期的な視点を持つことが重要
「決算をまたぐのは危険」と耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
確かに、決算シーズンは株価が大きく動くことが多くリスクを伴いますが、実際にどのようなタイミングで売買するべきかは意外と知られていないものです。
この記事では、決算発表時に株を売るべきか、持ち越すべきかを考える上で重要なポイントについて解説していきます。
決算発表とは
決算発表とは、上場している企業が決算報告書を発表することで、企業がその期間中にどれだけ利益を上げたか、どのような経営状況にあったかを投資家に知らせるものです。
決算発表には、1年に1度業績や財務状況を開示する本決算と、3か月ごとに行う四半期決算があります。
一般的に、日系企業では3月期決算を取り入れ、売上高や純利益、将来の見通しなどを明らかにしていることが多いです。
例えば2024年3月期とは、2023年4月1日から2024年3月31日のことを指すんだワン!
詳しいスケジュールについては次の図表をご覧ください。
この図解では一般的な3月期決算で考えていますが、12月決算ならスタートは1月になります。
企業の決算期によって、四半期の期間も変わるよ!
日本とアメリカの決算スケジュールの違い
本決算発表は年度末から45日以内に行うことが適当されているため、3月期決算の企業は4-5月に本決算発表が行われます。
四半期決算についても同様に、締め日から45日以内に発表があるため、本決算発表の4-5月に加え、7-8月、10-11月、1-2月が決算シーズンです。
一方、アメリカでは12月期決算の企業が多く、締め日から発表までが日本企業よりも若干早めという特徴があります。
そのため、本決算発表がある1月、四半期発表がある4月、7月、10月が決算シーズンとなるのです。
決算発表のタイミングは国によって異なるため、海外株に投資している場合には、そのスケジュールも注意が必要です。
日本とアメリカの決算発表スケジュールを図解にまとめたのでご覧ください。
日本の企業とアメリカの企業では決算時期だけでなく、決算が与える影響にも違いがあります。
日本企業は、決算発表が集中する時期には株価が上下しやすいです。
特に、日本企業は業績が市場予想に一致するかどうかが重要視され、その結果次第で株価が急変することも珍しくありません。
一方、アメリカ企業は多くの企業が年に4回の配当を出すため、投資家は決算だけでなく、配当の動向にも注目します。
この違いにより、両国の投資家の行動や株価の動きにも若干の差が生じるのです。
外資系企業も12月決算が多く、アメリカの企業と同じような傾向があるね!
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決算前は決算後の下落を見越した売りが増加
決算発表前には、決算発表後の株価の変動を予測して売りが増加する傾向があります。
「決算発表後に株価が下がる」というのは多くの投資家が感じるリスクですが、実際にはその動きを正確に予測することは難しいです。
そもそも決算後はどうして株価が下落しやすいのかな?
決算後に株価が下落する理由は大きく分けて、次の2つの売りが行われるからだと言われています。
具体的に、実際のチャートを見ながら解説していきます。
①利益確定売りが行われているから
決算後に株価が下落する理由の1つが、利益確定売りが行われていることです。
利益確定売りとは、保有している株式が値上がりして含み益が生じた時点で売却し、利益を確定させることを言います。
利益確定売りが起こるのは、決算で発表された数字が期待値を上回ることができず、株価の天井に達したと投資家が判断するためです。
利益確定売りが行われた場合、株価はどのように変動するのかな?
具体的に利益確定売りが行われた例として、リクルートホールディングス(6098)の株価を見てみましょう。
緑丸で囲んである2019年11月13日に決算発表があり、直後に株価が一時的に下がりました。
しかし、チャートからも分かる通りすぐに切り返し、強い基調を維持しています。
出来高がそれほど増加せず、株価は25日移動平均線を下回らなかったことから、売り圧力がそれほど強くなかったということです。
これは、決算発表前に利益確定売りが行われた結果だワン!
出来高とは
ある一定期間内に売買が成立した株数のこと。
市場の活性度を測るバロメートとされ、出来高が増えるとその後の株価が上がる傾向がある。
移動平均線とは
一定期間の価格の平均値を繋ぎ合わせた折れ線グラフで、ローソク足に絡むように描かれている。
移動平均線は、短期の線と長期の線を2~3本を組み合わせて使用することもある。
このように、出来高がそれほど増加せず25日線などのチャートの節目で下げ止まっていると、決算後の下げが利益確定売りだと見極めることができます。
利益確定売りが行われたことによる決算後の株価の下落は、すぐに切り返すでしょう。
②失望売りが行われているから
決算後に株価が下落するもう1つの理由が、失望売りが行われていることです。
失望売りとは、株価の上昇を期待して購入した株式の上昇の見込みがないと判断して売却することを言います。
失望売りが起こるのは、決算発表によって業績悪化などの悪材料が出たためです。
失望売りが行われた場合、株価はどのように変動するのかな?
具体的に失望売りが行われた指標として、METAの株価を見てみましょう。
緑丸で囲んである2022年2月2日に決算発表があり、決算発表後に大きく下落しました。
Metaは2021年第4四半期の決算でユーザー数の成長が鈍化し、さらにAppleのプライバシー変更の影響も加わって、投資家は成長見通しに失望したと考えられます。
これにより、翌日(2月3日)に株価は約26%も急落しました。
このように、事前に期待されていた結果が得られないと失望売りが起こりやすいんだワン!
こうした場合は、損切りも検討すべきです。
チャートの見方を詳しく知りたい方はコチラ
事前に決めたマイルールに従うことが大切
決算前後の株価変動を恐れて焦って売買するのは得策ではありません。
大切なのは、自分で決めたマイルールに従い、冷静に行動することです。
ここからは、実際に投資家3人のマイルールを紹介します。
Aさん:25日移動平均線を基準に取引
私は、決算時期に関わらず25日移動平均線を基準に売買を決めています。
株価が平均線を割った時点で売る判断をするため、決算に左右されない取引スタイルです。
また、乖離率が50%以上になった際も売りに出すようにするなど、25日移動平均線を常に基準にして取引しています。
Bさん:決算前だからといって売買は行わない
私は基本的に高配当株とインデックスにしか投資をしていません。
なぜなら、私の性格上キャピタルゲインを追い求めることは向いていないと考えているからです。
必然的に、利回りや優待を優先するので決算前だからと言って売買は行っていません。
Cさん:バリュー投資で長期保有
私は割安の株を探して、長期に渡って保有し続けるバリュー投資をしています。
そのため、決算については確認はしますが、その前後で売買することはありません。
売るタイミングは極論を言えば現金が必要になった時のみであり、基本的には保有し続けることを目指しています。
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【タイミング】決算前に取るべき行動は
決算前後にどのような行動を取るべきかは、投資家のスタイルやリスク許容度によって異なります。
短期的な利益を狙うキャピタルゲイン投資家と、配当などのインカムゲインを重視する長期投資家では、取るべきアプローチが変わるのです。
ここでは、決算前に売却する場合と持ち越す場合、それぞれのメリットとデメリットを解説します。
決算前に売却した場合と持ち越した場合、どちらも一長一短だから自己判断にはなるね…
決算前に売った場合のメリット・デメリット
決算前に株式を売った場合のメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
デメリット
以下で、それぞれのメリット、デメリットについて詳しく解説します。
メリット①リスク回避ができる
決算発表後の株価急落リスクを避けられるのは、売却する最大のメリットです。
例えば、期待されていた業績に達しなかった場合や市場全体の景気が悪化した場合、株価が大幅に下落することがあります。
特に短期投資家にとっては、このリスクを回避し、損失を防ぐことが重要です。
過去の事例からも、決算後の急落により、予想以上の損失を被るケースは少なくないワン!
メリット②キャッシュポジションの確保
売却により、決算後の株価変動に対する不安を軽減しつつ、次の投資機会に備えてキャッシュポジションを確保することができます。
決算発表後、株価が予想以上に急落した場合、安くなった株を買い戻すチャンスを得られるのも利点です。
また、他の魅力的な投資先が見つかった場合に、すぐに資金を移動できる柔軟性が高まります。
デメリット①決算発表後の急騰の恩恵を逃す
業績が良く、予想以上の結果が発表された場合、株価が急騰することがあります。
この恩恵を逃してしまうのは、決算前に売却する際の大きなデメリットです。
例えば、好調な業績が報じられた際に、株価が短期間で大幅に上昇することは珍しくありません。
このようなチャンスを逃すリスクをどう捉えるかは、投資家それぞれの判断となります。
デメリット②短期的な税負担が増える可能性
短期売買を繰り返すことで、売却益に対する税負担が増加する可能性があります。
特に利益確定売りを行った場合、短期間での売買に伴うキャピタルゲイン税の負担が発生するため、投資の利益を圧迫することがあります。
特に高額な利益が出た場合、税金がかなりの割合を占めることになるため、この点も考慮が必要です。
決算前に持ち越した場合のメリット・デメリット
続いては、決算前に株式を持ち越した場合のメリットとデメリットは以下の通りです。
デメリット
以下で、それぞれのメリット、デメリットについて詳しく解説します。
メリット①決算後の好材料を享受できる
決算発表後、予想以上の好業績が発表されると、株価は急騰することがあります。
この場合、株を持ち越していた投資家はその上昇の恩恵を直接受けることが可能です。
特に、中長期的に業績が安定している企業や、将来性のある企業の場合、決算発表後の上昇は大きな利益につながることが多いと言われています。
メリット②配当や株主優待の権利を保持できる
短期売買を避けることで安定的な配当や優待を得られる点が大きなメリットです。
そして、安定した配当のために短期売買をしないことは、結果的に売却益への課税を抑えることにつながります。
また、売却損のリスクも減らせるため、投資の安定性が高まるでしょう。
デメリット①株価急落時の損失リスク
決算発表後に業績が予想を下回った場合、株価が急落するリスクが起こり得ます。
この場合、株を持ち越している投資家はその損失を直接被ることになるのです。
特に短期的な業績に左右されやすい企業や、成長が鈍化している企業はこのリスクが高いため、注意しましょう。
デメリット②一時的な含み損に対するストレス
株価が下落した場合、持ち越している投資家は含み損を抱えることになります。
特に短期的な変動に敏感な投資家にとっては、決算後の一時的な下落による含み損は精神的な負担となることがあるため避けたいです。
また、含み損を抱えた状態で判断を誤り、焦って損切りしてしまうリスクも高まるため、冷静な判断力が求められます。
決算直前に株を買うのはデメリットしかない!?
決算発表直後の株価は予測が困難であり、好業績が発表されても市場の期待に沿わず株価が下落する可能性が高いため、決算直前に新規で株を買うことはハイリスクです。
特に決算発表前に大きく上昇している銘柄の場合、期待が過剰に織り込まれており、少しでも期待を下回る内容であれば失望売りが発生しやすい傾向にあります。
損失を回避するためにも、事前にルールを決めておくことが大切です。
【まとめ】決算前に無理して売る必要はない!
決算前後の株式の売買についてわかりやすく解説してきました。
最後に、本記事の重要なポイントを3つにまとめます
🔰いろはに結論
- 決算前に無理して株式を売る必要はないが、あえて新たに株式を買うのは避けたほうが良い
- 四半期ごとの数字は短期的な変動を反映するだけであり、会社の本質的な成長を判断するには不十分な場合
- 自分の投資ルールを守り、長期的な視点を持つことが重要
株価の変動は誰にも予測できず、短期的な上下に一喜一憂してはいけません。
本記事で紹介した投資家のルールも確認しながら、自分のマイルールに従って、長期的に投資をしていきましょう。
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