『いろはにマネーのファンド情報』では、ファンド(投資信託)の特徴や過去のリターン、評価などを独自目線でご紹介します。
本記事では、「Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)」の評価や利回りについて分かりやすく解説します。
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)をひとことで言うと
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)は、アメリカの時価総額上位10社に投資するインデックスファンドです。
ベンチマークはS&P500トップ10指数(税引後配当込み、円換算ベース)で、世界を牽引する米国株式(S&P500)の中でも上位10社に投資します。
構成銘柄はたった10社と限定的ですが、実はこれだけでS&P500指数の時価総額33%をカバーできます。
信託報酬は0.10725%で、オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)の0.05775%より高くはありますが、業界で見ても最安水準となっています。
インデックスファンドだけど、NISAでは成長投資枠として扱われるよ!
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Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)の基本情報
それでは、Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)の基本情報を確認していきましょう。
項目 | Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式) |
---|---|
設定日 | 2024/5/16 |
償還日 | 無期限 |
運用会社 | 日興アセットマネジメント |
買付単位* | スポット購入:100円以上1円単位 積立:100円以上1円単位 |
売却単位* | 1円以上1円単位 1口以上1口単位 |
買付手数料 | なし |
信託報酬 | 0.10725% |
分配金利回り | ー |
純資産額 | ー |
ベンチマーク | S&P500トップ10指数(税引後配当込み、円換算ベース) |
*単位は他のファンドより、予想。
2024年5月16日から運用開始予定ですが、既に多くの投資家から注目を集めています。
投資家たちの投稿
【前提知識】米国株式指数の比較
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)は、米国の株式指数S&P500の銘柄を対象としています。
そのため、組み入れ比率はアメリカ企業が100%となっています。
同じ米国指数でも、NASDAQ100やダウ平均もあるよね?
下のグラフは過去18年間のアメリカ企業の主要な株価指数をまとめたものです。
NDX・NDQがナスダック100指数、IXICがナスダック総合指数、DJIがダウ平均株価、SPXがS&P500指数のことです。
過去のリターンを見てみると、ハイテク株比率が高いNASDAQ100指数が抜きんでた成績を残していることが分かります。
ですが、NASDAQ100指数の構成銘柄はテック企業が中心であり、米国株式全体を投資対象としているS&P500と比べるとリスクは高まります。
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)の構成銘柄
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)の構成銘柄は以下の通りです。
世界的に有名な企業がたくさんあるね!
12銘柄あるのは、アルファベットの2種類の株やジョンソン・エンド・ジョンソンからスピンオフした銘柄も入れているからだよ。
アメリカの時価総額上位10社に投資するということは、その時代を牽引する企業、勢いのある企業に投資することを意味します。
その中でもS&P500は米国株式すべてを投資対象としており、NASDAQやダウ平均のように特定のテーマやセクターに縛られることが無いのも魅力の一つです。
しかし、組み入れ銘柄の比率に着目してみると構成銘柄の半分をマイクロソフト、Apple、エヌビディアの3社が占めています。
上位3社の業績によってリターンが大きく左右されるため、分散効果があまり享受できないのは欠点です。
投資対象が少ないし、比率も偏りがあるから若干ハイリスク・ハイリターン気味だよ。
組入銘柄の推移
S&P500上位10社の歴代推移は以下の通りです。
10年の中でも、上位企業は結構入れ替わっているんだね…!
S&P500指数はリバランスを年4回行っていて、投資対象の見直しも毎年6月に行われます。
そのため、その時代でパフォーマンスの良い、成長性の高い「勝ち組銘柄」に自動で投資できるのです。
リバランスとは?
資産・投資対象の再配分を行うこと。
値上がりした証券・銘柄を売り、値下がりした証券・銘柄を買い増すことによって、ポートフォリオの構成を調整する。
販売証券会社
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)を取り扱っている販売会社は、以下の通りです。
楽天証券やSBI証券、マネックス証券等のネット証券が取り扱っています。
ファンド開設後の反響によってはさらに多くの販売会社で取り扱われるかもね!
ダウの犬戦略と何が違うの?
そもそもダウの犬戦略って何?
ダウの犬戦略とは、主にダウ平均(ダウ工業株30種平均)に採用されている30銘柄から「配当利回り」の高い順に上位10銘柄を選別、均等額分散投資を行い、この手順を1年ごとに繰り返す投資手法を指します。
XやYouTubeで様々な人の意見を見てみると「ダウの犬戦略と同じじゃないか!」という声を多く見ます。
しかし、実際に投資する際の選別方法や投資対象を見てみると、かなり違いがあります。
まず、ダウの犬戦略の特徴を見てみると、高配当株ではあるものの株価のパフォーマンスが悪く、どちらかというと割安な企業を中心に投資するバリュー株投資の側面が強いです。
それに対し、Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)は投資対象・比率を時価総額の観点から見ており、株価も業績も好調な「世界を牽引していく成長企業」に投資する側面が強く、グロース株投資の側面が強いです。
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)の評価・評判
S&P500トップ10インデックス(米国株式)は5段階評価でいくつ?
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)の評価はズバリ4です。
理由としては、以下が挙げられます。
- 低い信託報酬
- 過去10年以上の高いパフォーマンス
- テーマやセクターの縛りがない
- 業績が落ちてもリバランス・銘柄選定が頻繁に行われる。
- ファンドの運用歴が短い(乖離率等の運用力が判断できない)
- 投資比率に偏りがある
- 優秀な類似ファンド・指数が多くある
まず、信託報酬が業界の中でも最安値であることは高評価です。
リバランス・銘柄選定も頻繁かつ大規模に行われることが予想でき、常にその時代を牽引する企業に投資が出来ます。
また、過去10年以上のパフォーマンスが高く、投資対象にセクターやテーマの縛りがないことも魅力的です。
しかし、ファンドがまだ開設しておらず、乖離率等の運用会社の運用力が分からないこと、FANG+やナスダック100など、優秀な類似ファンドが多くあることはマイナスに働きます。
また、投資対象が10社と絞られており、比率も偏りがあるため、分散効果があまり期待できないのは欠点です。
S&P500よりも高いリターンを狙いたい人には向いていると思います。
類似ファンドと比較
他の同じようなファンドとは何が違うんだろう?
類似ファンドである「emaxis slim 米国株式 s&p500」「ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」「iFreeNEXT FANG+インデックス」の3つとそれぞれ比較してみましょう。
emaxis slim 米国株式 s&p500と比較
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式) | emaxis slim 米国株式 s&p500 | |
---|---|---|
ベンチマーク | S&P500トップ10指数(税引後配当込み、円換算ベース) | S&P500指数(配当込み、円換算ベース) |
投資対象 | 米国株式 | 米国株式 |
構成銘柄数 | 約10銘柄 | 約500銘柄 |
購入時手数料 | なし | なし |
純資産額 | ― | 43,785.96億円 |
信託報酬 | 0.10725% | 0.09372% |
どちらもベンチマークは同じで米国株式を投資対象としています。
手数料はS&P500、S&P500トップ10共に大きな違いはなく、純資産額もファンド開設前の状態であるため比較は難しいです。
しかし、過去のリターンの観点から見てみると2つの投資信託には大きな違いがあることが分かります。
比較してみると、ここ数年のリターンはハイテク株の勢いが高かったこともあり、S&P500を大きく上回っています。
安定性の面ではS&P500ですが、過去のリターンから見ればS&P500トップ10の方がおすすめです。
初心者の方はとりあえずS&P500で良いと思います。
さらに高いリターンを狙いたくなったら、TOP10を検討しましょう。
S&P500について詳しく知りたい方は
ニッセイNASDAQ100インデックスファンドと比較
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式) | ニッセイNASDAQ100インデックスファンド | |
---|---|---|
ベンチマーク | S&P500トップ10指数(税引後配当込み、円換算ベース) | NASDAQ100指数(配当込み、円換算ベース) |
投資対象 | 米国株式 | 米国株式 |
構成銘柄数 | 約10銘柄 | 約100銘柄 |
購入時手数料 | なし | なし |
純資産額 | ー | 1,421.91億円 |
信託報酬 | 0.10725% | 0.2035% |
手数料では約2倍の差があり、トップ10インデックスの方が低いです。
しかし、Xに掲載された両投資信託のベンチマーク比較を確認してみると、リターンの違いが明確に分かります。
直近10年のデータを見ると、リターン面ではS&P500トップ10インデックスはNASDAQ100指数に負けています。
構成銘柄の数においてもNASDAQ100の方が分散効果が期待でき、最大下落幅も小さいです。
このデータを見る限り、ナスダック100でも良い気がしますね。
ただ、あくまでも一定期間の比較なので、比較期間や今後の成績によって結果は変わってきます。
NASDAQ100について詳しく知りたい方は
iFreeNEXT FANG+インデックスと比較
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式) | iFreeNEXT FANG+インデックス | |
---|---|---|
ベンチマーク | S&P500トップ10指数(税引後配当込み、円換算ベース) | NYSE FANG+指数(配当込み、 円ベース) |
投資対象 | 米国株式 | 米国株式 |
構成銘柄数 | 約10銘柄 | 約10銘柄 |
購入時手数料 | なし | なし |
純資産額 | ー | 1,729.97億円 |
信託報酬 | 0.10725% | 0.7755% |
手数料では、Tracers S&P500トップ10インデックスの方が低いです。
ですが、ここでもXに掲載されていた両投資信託のベンチマークを比較してみましょう。
iFreeNEXT FANG+インデックスの方が圧倒的なリターンを出していることが分かります。
構成銘柄の数や内容に関しては、そこまで違いがあるわけではありませんが、あくまでも過去のリターンの観点ではiFreeNEXT FANG+インデックスの方が良さそうです。
【まとめ】曽根原は投資したい?
いろはにマネー編集長の曽根原さんはこのファンドに投資したいと思いますか?
100万円の元本があったとして、どれくらいこのファンドに投資しますか?
10万円程度、お試しで投資するのはありだと思います。
信託報酬が低いのが魅力的ですし、これからファンドが始まるタイミングなので、最初の基準価額で投資してみたいです。
たしかにFANG+の方が過去のリターンは高いですが、あくまでも過去の実績です。
機動的に銘柄を入れ替えるS&P500 TOP10の方が私には魅力的に映りますね。
NASDAQ100も良いと感じますが、せっかくなので新規投信で始めてみたい気持ちが勝っています(笑)
ただ、多くの人はS&P500に投資をするだけで十分だと思います。
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