東証の市場再編を簡単解説!東証一部はどうなる?
約 5 分で読み終わります!

この記事の結論
- 東証一部に上場してる会社数の増加と上場基準の緩さから株式市場が再編される
- 新たな市場は3部構成で流動性が重視される
- 市場変更に伴ってTOPIXに関しても指数算出方法が変わる予定
INDEX
東証の再編ってそもそも何?
新聞で「東証が変わる」って見たけど、いまいちピンとこないな…
現在の東証はどうなっているの?
最近新聞などで見かけるようになってきた、「東証の市場区分再編」ですが、まずは現在の東証に関して、復習しておきましょう。
2020年2月25日現在、東京証券取引所(東証)には3,703もの会社が上場しており、主に以下の5つの市場で構成されています。
- 市場(東証)第一部
- 市場(東証)第二部
- マザーズ
- JASDAQスタンダード
- JASDAQグロース
簡単におさらいをしておくと、東証第一部や第二部はみなさんが一度は聞いたことのあるような大企業や実力のある中堅企業が属している市場で、マザーズやJASDAQは成長が期待されている新興企業が属している市場となっています。
日本の株式市場についてもっと詳しく知りたい方は、下の記事も読んでみてください!
どうして東証を再編することになったの?
現在の東証には大きく分けて2つの問題が指摘されており、その問題を改善するために再編がなされます。
その2つの問題とは何でしょうか?
東証一部の企業数が多すぎる
2020年2月25日現在、東証一部に上場している企業数は2,160社となっており、増加傾向が10年間続いています。
新規上場の基準に比べて、降格や廃止の基準が緩いため上場企業数が増加していることが要因です。
また、TOPIXの構成銘柄のうち、30%にあたる会社のPBR(株価純資産倍率)が1を割っている時期もありました。
PBRが1を割っているということは、上場を続けるよりも、解散して会社を売却した方が得をするということです。
つまり、企業数が増えるにつれて東証一部の質の低下が指摘されるようになってきたのです。
基準が緩い
前の問題点と少し似ていますが、日本の上場基準は緩いとしばしば指摘されます。
具体的にNYSE(ニューヨーク証券取引所)とHKEX(香港証券取引所)と比較してみると以下のようになります。

確かに利益に関しては条件が緩そうだけど、他はあまり差がなさそうね。
上場に関する基準は他国とさほど差がないかもしれません。
それでは廃止基準はどうでしょうか。

ご覧の通り、一度上場をしてしまえば上場廃止までにはずいぶん猶予があるように思えます。
まずは上場基準が緩いマザーズに上場してから東証一部へ市場変更をする企業も多く、東証一部に移行した後は時価総額や流動性が低いにもかかわらず一部に残り続ける企業が多いため、今回の再編へと繋がっていったのです。
新市場区分はどうなるの?
それでは新市場になると現在の市場とはどのように異なるのでしょうか。
現在との対比

上の図のように、現在の市場は新たに設立される「プライム」、「スタンダード」、「グロース」の3つに再編されます。(名称はいずれも仮称です)
基本的には東証一部の会社はプライム市場かスタンダード市場へ、マザーズはグロース市場へ、そして残りの市場はスタンダード市場へ再編されることが予想されます。
移行スケジュール(時期)は?
移行のスケジュールは、2021年6月末日を移行基準日として、7月末を目途に上場維持基準に適合しているか否かを通知されます。
2021年9月から12月までが上場会社による市場選択手続日程となり、2022年4月1日が一斉移行日となる予定です。
各市場の上場基準
具体的な各市場での上場基準は以下のようになっています。

なお、新市場区分では新規上場基準と、上場維持基準はそれぞれ一致しています。
上でも指摘した通り、今までは上場維持基準が比較的緩かったため、業績の良くない企業や、時価総額の上がらない企業も東証一部に居座っていることがありました。
再編によって、上場基準と維持基準を一緒にすることで上場後も会社は努力を求められることになります。
また、表を見ると、「流通株式数」や「流通株式時価総額」など、「流通株式」という言葉が頻繁に使われています。
これは、単なる時価総額ではなく、流通時価総額を基準とすることで市場の流動性を高める目的があります。
上場基準と流動性が強化できれば、海外からも今まで以上に日本の株式市場に注目してもらえるワン!

TOPIXはどうなる?
東証の再編に伴って、株式指標であるTOPIXにも変更が生じる可能性が高いです。
そもそもTOPIXって何?という方は、こちらの記事もご覧ください!
2020年2月21日現在、TOPIXに関する方針は以下のようになっています。
- TOPIX算出ルールの変更
市場への影響を考慮し段階的な変更を行い、構成銘柄選定ルールの作成も検討中。(2020年4月~)
- 浮動株比率の算定方法変更
浮動株とは、実際に市場で取引がされている株式のことで、 浮動株比率は株式のうちどれくらいの浮動株が取引されているかを示す割合です。より実態を反映する浮動株比率を今後検討する予定。
- 指数ガバナンスの更なる強化
東証指数の継続的な改善を目的とした「指数アドバイザリー・パネル」と、指数利用者の意見を広く取り入れる「指数コンサルテーション」機能の導入(2020年4月~)
現段階では大まかな方針は決まっているものの、詳細はこれから決めていくようですね。
東証の再編によって日本の株式市場は世界からさらに注目されることになるのか?
それとも形式的な変更で終わってしまうのか?
これからもいろはに投資では、『東証再編』のニュースを発信し続けていきますので乞うご期待を!
更に詳しく知りたい方は、JPXの発表している『新市場区分の概要等の公表について』もご覧ください。