ブリッジレポート
(9628)燦ホールディングス/播島 幹長会長・吉田 武社長
2004年12月2日(木)

燦ホールディングスの中間決算説明会に出席しました。
中間決算説明会では、播島会長が持ち株会社化及び社名変更の趣旨について説明された後、吉田社長が中間決算概要と葬儀周辺事業の拡大戦略及び対処すべき課題について説明されました。

 

*大証及び東証1部に株式を上場する公益社は、2004年10月1日 持ち株会社へ移行すると共に、社名を「燦ホールディングス」に改めました。また、これと同時に会社分割により連結子会社「株式会社公益社」を新設して、葬祭事業等の営業の一切を承継させました。



播島 幹長会長・吉田 武社長

持ち株会社化及び社名変更の趣旨
今回の持ち株会社化及び社名変更は、これまで事業を通して培ってきたノウハウや技術を活かし、従来の事業分野にとらわれず、ライフサポートビジネスとして多様な分野へ展開するための布石です。 また、葬儀事業においては、持ち株会社にすることで同業者との提携やM&A(合併買収)が進めやすくなります。


2005年3月期中間決算概要
<連結>
(単位:100万円)
 
中間実績
前年同期比
営業収益
7.705
-2.5%
営業利益
389
-54.7%
経常利益
338
-60.2%
中間純利益
142
-69.7%

前年同期比で減収減益となりました。 法事・法要、返礼品及び仏壇仏具の販売は増加しましたが、件数の減少による葬儀請負収入や霊柩運送収入の減少を補うには至りませんでした。
営業収益が減少する中では、会館展開・拠点展開に伴う経費の増加や生花・料理事業での先行投資負担が重く、営業利益は大幅に減少しました。また、私募債の買入消却・再起債に伴う財務費用の発生等で営業外費用が増加したほか、西田辺会館の立替えに伴う固定資産除却損の計上等で特別損失を計上したため、中間純利益は142百万円にとどまりました。

<セグメント別動向>
単位:100万円
 
実績
前年同期比
葬儀事業
6.812
-1.2%
運送事業
746
-7.7%
その他
146
-25.9%
合計
7,705
-2.5%

(1)葬儀事業:葬儀請負、葬儀関連分野(生花、料理、仏壇・仏具の販売等)
金額
件数
単価
500万円超
-8.2%
-16.7%
+9.7%
500万円以下
-2.2%
-0.7%
-1.6%
合計
-3.3%
-1.2%
-2.1%

葬儀請負は前年同期比3.3%の減収。500万円超の大型葬儀、500万円以下の一般個人葬儀共に減少しました。
一方、葬儀関連分野は引き続き好調に推移しました。取扱件数の伸びにより法事・法要が増加したほか、返礼品及び仏壇・仏具の販売も前年同期と比べて大幅な伸びを示しました。
ただ、会館開設に伴う消耗備品費、地代家賃等の増加により営業費用が増加したため、当セグメントの営業利益は812百万円と前年同期比24.8%減少しました。

(2)運送事業:霊柩運送、寝台自動車運送、旅客運送、貨物自動車運送
霊柩車運行実績
単位:回、100万円
運行回数
前年同期比
運行収入
前年同期比
宮型
10,295
-16.8%
349
-16.9%
洋型
1,272
+53.1%
50
+41.4%
合計
11,567
-12.3%
399
-12.4%

霊柩運送事業において、需要が増えている洋型霊柩車を前期末の6台から12台に倍増させると共に受注にも注力した結果、運行回数が5割強増えました。ただ、同業者が自社運行を増やしていることもあり、霊柩運送の大半を占める宮型霊柩車の運行回数が前年同期比16.8%減少しました。
人件費を中心に営業費用も1.3%減少しましたが、減収の影響が大きく、当セグメントの営業利益は63百万円と前年同期比44.8%減少しました。

(3)その他の事業:不動産、催事関係の装飾及び関連用品の賃貸
受注採算を重視した案件の絞り込みによりイベント会場設営・物品賃貸の売上高が減少したほか、賃料低下や大規模修繕の実施により不動産信託事業の売上高も減少しました。この結果、当セグメントの営業利益は69百万円と前年同期比22.5%減少しました。

<グループ各社の業績>
単位:100万円
営業収益
前年同期比
営業利益
前年同期比
公益社
6,959
-2.2%
126
-72.0%
関西自動車
620
-8.8%
102
-37.8%
デフィ
938
+4.3%
22
-37.8%
エクセル・スタッフ
500
+16.6%
37
+5.7%
東京公益社
59
+96.7%
8
黒字転換
エクセル・ロジ
457
+15.7%
34
-20.9%
ユーアイ
362
+38.7%
42
+50.0%

グループ各社の事業内容
公益社 葬儀事業、運送事業、寝台自動車の運行
関西自動車 運送事業、霊柩車・マイクロバスの運行
デフィ 生花・料理・棺桶販売
エクセル・スタッフ 人材派遣、警備、清掃業務など
東京公益社 人材派遣
エクセル・ロジ 物流、倉庫、資材業務受託、貨物自動車運行
ユーアイ 返礼品、仏壇・仏具の販売


2005年3月期業績予想
<連結>
単位:100万円
予想
前期比
営業収益
16,680
+3.2%
営業利益
1,450
-14.0%
経常利益
1,380
-16.3%
当期純利益
680
-20.0%

1年間を通してみると、国内の葬儀件数は安定しており、上期に減少すれば、下期は増えるもの。このため、下期は葬儀請負収入の回復が見込まれます。葬儀関連分野の好調もあり、通期では増収を計画しています。
ただ、葬祭事業の拡大とそのノウハウを生かしたライフサポートビジネスの推進に伴う経費増や先行投資負担を吸収しきれず、減益が避けられない見通しです。


葬儀周辺事業の拡大戦略及び対処すべき課題

(1)葬儀周辺事業の拡大戦略

葬儀で培った人材とノウハウ・技術を活用することを念頭に、生花の取扱い及び装飾、セントラルキッチンによる料理の提供、遺体の保管サービス、及び消臭等を含めた特殊清掃等が検討されています。例えば、グループ企業が年間に仕入れる生花の額は20億円弱に上り、同様に料理12億円、供養品・返礼品(この中で特にお茶)7億円等。この調達力を生かして新たな事業展開を図ろうと言うわけです。

葬儀周辺事業の一例
デフィ 10月、北摂・阪神方面への料理供給のための厨房施設に会席レストランを併設した「なごみ庵きたはま(兵庫県伊丹市)」をオープン。
関西自動車 10月、得意先である大阪の葬祭業者向けに、24時間受付体制の遺体預かり保冷施設「関西サポートセンター(大阪市城東区)」をオープン。
ユーアイ 会社設立2年目を迎え、返礼品及び仏壇・仏具販売が一段と伸長、39%の増収、49%の経常増益。

(2)対処すべき課題
1.葬祭事業における課題と施策
課題
施策
サービスの再構築 提供者側の効率を優先しがちであったことを改め、顧客本位の原点に回帰。
提供する「物」を徹底的に吟味し、「サービス」を研究し、「空間」を構築・整備する。
関西圏での営業力の強化 拠点展開や施設の建替え・改修を推進。
箕面営業所開設(3月)、西田辺建替えオープン(12月竣工)等
首都圏での営業基盤の拡充 地元業者との提携等による会館展開の推進。 
「公益社雪谷会館」(大田区):6月オープン
「明大前会館(仮称)」(杉並区):05年4月オープン予定
独自性あるサービスによる
差別化
エンバーミング、ビューイング葬、エスクロ葬祭信託等の強化(注)
海外調達によるコストダウン 生花:中国産の菊を輸入開始(3年間で5000万円のコストダウン)
お茶:ベトナムでの合弁事業を検討中

(注)
エンバーミング:
防腐、復元、感染症等の防御等を可能にする遺体衛生保全。

ビューイング葬:
故人と生前親しかった方が、エンバーミングを施した故人と対面しながらお別れをする葬儀。例えば、故人が偲ばれる「思い出の品」を展示し、好きだった音楽をBGMに使う等の演出を行う。

エスクロ葬祭信託:
葬祭生前信託契約、葬儀の内容を生前に決め葬儀費用を信託しておく(三井住友銀行との共同開発)。

2.持ち株会社体制を生かした事業展開
持ち株会社体制を生かし、葬儀事業や葬儀周辺事業の拡大を計ると共に新たな分野への展開も図っていく考えです。
公益社に買収されることに抵抗を感じた同業者も、持ち株会社の傘下で公益社と並列的に扱われるのであれば、M&Aに対する抵抗も少なくなります。

また、異業種との提携やM&Aにも柔軟に対応することで外部のノウハウを取り込み、人生の各ステージに対して、あるいは生活の様々な局面に事業領域を広げます。
これが、「ライフサポートビジネス」であり、「燦々」と輝くような生の延長線上にこそ、すばらしい最期が、そしてすばらしい葬儀があるという考えです。


取材を終えて
持ち株会社化は方法論ですが、「成熟した業界にあっても、経営資源の有効活用を図り、垂直展開(葬儀事業の深耕)と水平展開(葬儀周辺事業及び新規事業分野への展開)を併行して進めることで、まだまだ成長は可能」「ただ、そのために、旧来の公益社の殻を破り捨てる必要がある」といったメッセージが込められているように感じられました。
そして、成長のための方向性を示したものが、「燦ホールディングス」と言う社名であると思います。
実際、前2004年3月期の連単倍率は、売上高こそ1.11倍でしたが、純利益は1.55倍。しかも、2002年3月期の0.50倍、2003年3月期1.22倍と尻上がりで、グループ経営の下地は既にできつつあります。2002年3月期を底とする業績回復が今期は一服ですが、「ライフサポートビジネス」への取り組みが、来期以降の業績にどのように反映されていくのか注目したいと思います。

http://www.san-hd.co.jp/

 
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