ブリッジレポート
(3784:JASDAQ) ヴィンキュラム ジャパン 企業HP
城田 正昭 社長
城田 正昭 社長

【ブリッジレポート vol.6】2008年3月期決算業績レポート
取材概要「08/3期にポケットカードとの取引が終了し、09/3期はマイカルとの取引が段階的に減少し、来10/3期に終息する。ただ、業界再編によるIT統合案件に・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年6月17日掲載
企業基本情報
企業名
ヴィンキュラム ジャパン株式会社
社長
城田 正昭
所在地
大阪市北区堂島浜2-2-8
事業内容
小売り・流通向けパッケージソフト開発。イオングループ向けが大半。富士ソフトの子会社
決算期
3月末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年3月 13,708 795 785 444
2007年3月 12,229 940 875 463
2006年3月 12,605 929 873 582
2005年3月 10,706 689 646 418
2004年3月 8,377 578 561 276
2003年3月 8,153 515 503 183
2002年3月 493 7 6 -109
2002年2月 8,039 477 466 76
株式情報(6/5現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
83,000円 31,500株 2,615百万円 12.3% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2,700円 3.3% 8,888.89円 9.3倍 120,216.42円 0.7倍
※株価は6/5終値。
 
ヴィンキュラム ジャパンの2008年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
流通・サービス業向けを中心に、ソリューション(システム構築)、アウトソーシング(運用・管理、ソフトウエア保守、ヘルプデスク等)、及びパッケージソフト開発等を手掛けている。富士ソフト(株)が60.39%の株式を保有しており、社内ベンチャー制度で設立した連結子会社 4U Applicationsと共にグループを形成。
 
<沿革>
マイカルグループに対する流通業向けシステムの設計、開発、運用を目的として、1991年に設立されたマイカルシステムズが前身。97年にはPOSパッケージ「ANY-CUBE」をリリース。「ANY-CUBE」が流通システム大賞を受賞したのを契機にマイカルグループ以外の流通、サービス業に対して営業展開を本格化した。ただ、2001年に親会社であったマイカルが経営破たんしたため、富士ソフトABC(株)(現 富士ソフト(株))の傘下に入り、商号をヴィンキュラム ジャパン(株)に変更。05年12月にジャスダック市場に上場。06年5月には、社内ベンチャー制度により、連結子会社「4U Applications」を設立した。流通、サービス業に特化したシステム開発力に対する評価は高く、マイカルの親会社となったイオン、更には及びイオン以外にも顧客が拡大している。
 
<事業内容>
事業は、アウトソーシング事業(08/3期売上構成比36.9%)、ソリューション事業(同21.8%)、プロダクト事業(10.1%)、ハードウエア販売サービス事業(同22.7%)、その他事業(同8.5%)に分かれる。
 
アウトソーシング事業
システム運用・管理サービス、ソフトウエア保守サービス、ヘルプデスクサービス、ASP(ソフトウエアの期間貸し)サービス等を提供している。
 
ソリューション事業
流通・サービス業向け基幹システム、クレジットカードシステム等、流通・サービス業向けの各種業務システムの企画及び開発を行っている。
 
プロダクト事業
これまで培ってきた流通・サービス業システムに関する技術やノウハウをベースに、パッケージソフトウエアの開発及び販売を行っている。主要製品の概要は次の通り。
 
(1)オープンPOSパッケージ 『ANY−CUBE』シリーズ
OLE−POS仕様(注2)に準拠し、様々なハードウエアメーカーのPOS機器上で稼働するPOSパッケージソフトウエア。同社の主力製品であり、顧客は、専門店、量販店からファーストフードまで、多種多様。
 
(2)流通・サービス業向けCRMパッケージ 『Satisfa』
顧客管理、ポイント管理、顧客分析などの機能を有するCRM(注3)パッケージソフトウエア。『ANY-CUBE』やWebシステムと連携して、同社独自のCTCP(注4)を提供している。
 
(3)流通業向けMD基幹システム『MDWare』
小売チェーンストアの店舗〜本部〜取引先をシームレスに結ぶMD(注5)パッケージソフトウエア。商品マスタ管理から発注そして在庫管理までトータルな業務運用が可能。
 
(4)システム自動運用パッケージ 『AUTO/400』 シリーズ
IBM社製アプリケーションサーバー「iシリーズ400」向けの統合運用管理パッケージソフトウエア。業種、業態を問わず、24時間365日ローコストで確実な自動運用を可能にする。
 
ハードウエア販売サービス事業
ソリューション事業及びプロダクト事業におけるシステム構築の一環としてのハードウエア販売。
 
その他事業
上記の各事業に付随して発生する事業で、インターネットを活用した調達先との情報交換、見積、逆オークション(価格入札)などのサービスを行う電子商談(調達)サービス、チェーンストア各店舗にPOSシステム、発注システムなどの店舗システム機器の導入、教育、移設等のサービスを行う店舗システム導入展開サービス等を提供している。
 
(注1)ASP(Application Service Provider)
インターネットを通じ業務システムのソフトウエアをレンタルするサービスであり、顧客はPC上のWebブラウザから事業者のサーバー上にあるソフトウエアを利用する仕組みです。顧客にとっては初期投資や運用コストを大幅に削減できるのが特徴です。
(注2)OLE−POS仕様
マイクロソフト社がPOS技術共通化のために提唱したPOSソフトウエアの標準化仕様のことをいい、当該仕様に基づいて開発されたPOSソフトウエアであれば、理論的には複数のハードウエアベンダーのPOS機器上で稼動するものとされています。
(注3)CRM(Customer Relationship Management)
情報システムを利用して企業が顧客と長期的な関係を築く手法のことで、購買履歴、問い合わせ、クレーム対応など、個々の顧客とのすべてのやり取りを一貫して顧客データベースとして管理することにより実現します。顧客のニーズにきめ細かく対応することで、顧客の利便性と満足度を高め、常連客として囲い込むことにより収益率の極大化をはかることを目的としています。
(注4)CTCP(Consumer Transaction & Communication Platform)
POSシステム、CRMシステム、Webシステムを連携して、顧客データベースを中核に店舗とインターネット(携帯電話を含む)を結び顧客取引、顧客管理、販促システムを統合するシステム体系です。店舗やインターネットから得た購買履歴をもとに顧客特性に応じた情報をPOSレシートやインターネットを介して顧客に提供することにより効率的でタイムリーな販売促進と顧客満足度の向上が可能になります。
(注5)MD(Merchandising)
消費者の欲求を満たすような商品を、適切な数量・価格で提供するための商品計画から品揃え、販売までの企業活動をいいます。
 
2008年3月期決算
 
 
前期比12.1%の増収、同10.3%の経常減益。
マイカルのIT業務統合に伴う特需で利幅の薄いハード販売が伸びたものの、利益率の高いポケットカード(8519)向けアウトソーシングサービスの終了や、管理及び営業強化に向けた人員増強による販管費の増加が響き、営業利益は同15.4%減少した。ただ、固定資産除却損やシステム障害対応費用の減少で営業外損益が改善、特別損失の減少や税負担の軽減もあり当期純利益は同4.1%の減少にとどまった。
 
<セグメント別動向>
 
アウトソーシング事業 前期比14.9%の減収・17.9%の営業減益
新規アウトソーシング案件が始まり305百万円の増収要因となったものの、ポケットカード向け運用業務の終了による影響(1,229百万円)を吸収する事ができなかった。売上総利益率は23.7%と前期並みを維持したものの、売上の減少が響き営業利益も減少した。
 
ソリューション事業 前期比1.7%の増収・28.0%の営業減益
イオングループ向け給与計算システムの構築案件の寄与で人事システム分野の売上が267百万円増加したものの、大手ドラッグストア向け案件が運用フェーズに移行した事で流通・サービス業向け基幹システム分野が95百万円減少。プロジェクトマネージャーの不足による機会損失で、クレジットカードシステム分野向けも105百万円減少した。
利益面では、顧客の要望の高度化に伴うプロジェクト管理の高度化や協力会社への支払単価の上昇で売上総利益率が悪化した。
 
プロダクト事業 前期比11.1%の増収・黒字転換
大手ドラッグストア、大手アパレル、ショッピングセンター、テーマパーク向け等でPOSパッケージ「ANY-CUBE」の販売が大きく伸びた他、EDI(電子データ交換)パッケージ「Contact」(注)やシステム自動運用パッケージ「AUTO/400シリーズ」の売上も増加。利益面では、プロジェクト管理の強化による不採算案件の減少に加え、増収効果もあり、営業損益が黒字転換した。尚、「Contact」は、量販店との取引において、受発注・納品・請求支払い等の業務をオンライン化するためのソフトウエアで、既に稼動しているEDIシステムのコストダウンや拡張も可能。
 
ハードウエア販売サービス事業 前期比146.6%の増収・84.1%の営業減益
マイカルのIT業務統合に伴う特需で売上高が大幅に増加した。
 
その他事業 前期比39.3%の増収・35.2%の営業減益
セルフレジ等の店舗システム導入展開サービスや主要顧客向け付帯サービスが増加した。ただ、前期のような高利益率案件がなくなり営業利益は減少した。
 
 
<顧客別売上構成比の推移>
 
ポケットカードを含む旧マイカルグループ向けの減少幅が大きいため、現状ではこの減収要因をカバーできていないものの、イオングループ向けの売上が着実に増加している。
 
<プロダクト事業における実績>
(1)流通業向けMD基幹システム「MDware」
第3四半期
・首都圏大手食品スーパー導入展開
・大手小売業グループ食品スーパー受注
・関西大手スーパー受注
・関西大手GMS受注
・大手ドラッグストアグループ内示
 
第4四半期
・首都圏大手スーパーMD基幹システム受注
(2)POSパッケージ「ANY-CUBE」
第2四半期
・大手ドラッグストア、大手アパレル専門店向け等
第3四半期〜
・大手ショッピングモール向け受注
・大手ドラッグストアグループ向け受注
・北陸ドラッグストア(セルフチェックアウトシステム)導入
第4四半期
・テーマパーク向け導入等
 
(3)CRMパッケージ「Satisfa」
第4四半期〜
・西日本大手GMS次期ポイントシステム、顧客管理システム内定
 
この他、IBM System i 向け統合運用パッケージ「AUTO/400シリーズ」が、業種、業態を問わず順調に増加した(導入企業数:800社以上)。
 
2009年3月期業績予想
 
 
前期比10.2%の減収、同35.7%の経常減益予想。
売上の面では、イオングループ向けや業界再編に伴う大手ドラッグストア向けでIT統合案件が増加する他、人手不足対応のソリューション需要も増加する見込みだが、マイカル向け特需の反動に加え、同社向けのアウトソーシングも段階的に減少する。
もっとも、ハード販売の減少が利益に与える影響は軽微。加えて、下期から中国でのオフショア開発が始まる事もあり利益率が改善、売上総利益の減少は同2.7%にとどまる見込み。ただ、プロダクト事業における研究開発費(180百万円)が負担となり、営業利益は30%を超える減少が予想される。
 
<セグメント別予想>
 
イオンループ向けや大手ドラッグストア向けIT統合案件の増加でソリューション事業の売上が増加する他、次世代プロダクトの寄与でプロダクト事業の売上も伸びる見込み。ただ、マイカル向けのアウトソーシングが段階的に減少する他、ハードウエア販売サービス事業も特需の一巡で売上が減少する見込み。
 
中期経営計画(08/3期〜11/3期)
 
同社グループは、2007 年4月に中期経営計画(08/3期〜10/3期)をスタートし、中期基本方針に基づくアクションプランを実行してきたが、次に示す理由から中期経営計画を抜本的な見直しを行なうと共に計画期間を1年間延長した。
第1の理由は、最大の取引先であるマイカル向けのアウトソーシング案件の終息が決まった事である。この決定は、主要顧客であるイオングループのグループ再編やIT戦略に基づくもので、09/3期より段階的に減少し、10/3期に終息する。第2の理由は、こうした厳しい状況にもかかわらず、今後の継続的な成長とプロダクト事業の収益構造改革のために、新たな次世代プロダクトの研究開発投資を継続する必要がある事。そして第3の理由は、当初想定していたM&A等による業容拡大が遅れている事である。
 
 
<セグメント別計画>
アウトソーシング事業
08/3期はイオングループ向け給与システム、大手ドラッグストア向けPOSセンターサーバーシステム、ワーナー・マイカル向け劇場システム保守等新規案件がスタートしたが、ポケットカード向けアウトソーシングの終了の影響を吸収できず減収となった。09/3期は、最大の取引先であるマイカル向けアウトソーシング案件が段階的に減少し、10/3期に終息する。
このため、次に示すアクションプランを進める事で、09/3期及び10/3期におけるマイカルとの取引減少の影響を最小限にとどめ、11/3期以降のV字回復を目指す。
 
 
 
 
ソリューション事業
ここ最近は横ばいの状態が続いているものの、足元、流通・サービス業界の業界再編に伴うIT統合やクレジットカードシステム関連等で案件が増えている。また、中国における駐在員事務所の設立やパートナー企業との連携を強化し、オフショアの活用による開発力の強化と原価低減にも取り組む。
 
 
プロダクト事業
既に同社プロダクトのユーザーは800 社を超えているが、更なる業容拡大のため、08/3期より次世代プロダクトの研究開発を進めている。現行プロダクトの機能強化はもちろん、高い収益性と短期間での効率的な導入や稼動を可能とするプロダクトであり、09/3期下期の以降、順次リリースする計画。次世代プロダクトをテコに、大手食品スーパーの基幹システムのリプレイスや新しい分野の開拓を目指す。
 
 
連結売上高の推移
 
<数値目標>
 
取材を終えて
08/3期にポケットカードとの取引が終了し、09/3期はマイカルとの取引が段階的に減少し、来10/3期に終息する。ただ、業界再編によるIT統合案件に加え、人手不足に対応するソリューション案件、基幹システムのリプレイス案件、更にはCRM等、同社が軸足を置く流通サービス業界では引き続き活発なIT投資が期待できる。このため、10/3期はマイカル向けの減少を補って、増収・増益に転じる見込み。また、イオングループ向けのビジネスについても、拡大の余地は大きいと思われる。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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