ブリッジレポート
(6863:JASDAQ) ニレコ 企業HP
山田 秀丸 社長
山田 秀丸 社長

【ブリッジレポート vol.3】2008年3月期決算業績レポート
取材概要「08/3期の苦戦の一因となった検査機事業については、新製品「BCON3000plus」の投入に加え、現行機のコストダウン。更には夏以降に予定している価・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年7月15日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ニレコ
代表取締役社長
山田 秀丸
所在地
〒192-8522 東京都八王子市石川町2951-4
事業内容
プロセス制御・計測機器メーカー。帯状物の制御に強み。画像処理にも展開。中国生産も
決算期
3月 末日
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年3月 8,332 436 482 242
2007年3月 8,533 511 642 377
2006年3月 8,343 465 581 246
2005年3月 7,685 280 359 139
2004年3月 7,101 213 280 342
2003年3月 6,480 -268 -252 -607
2002年3月 7,411 140 143 -283
2001年3月 8,050 466 423 200
株式情報(7/4現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
940円 9,158,870株 8,609百万円 1.8%  
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
16.0円 1.7% 26.23円 35.8倍 1,422.91円 0.7倍
※株価は7/4終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ニレコの2008年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
流体・電気・画像技術を用いた計測器、及び制御・検査装置を、鉄鋼業・化学工業から食品工業・印刷業に至るまで幅広く供給している。
 
<ウェブ(web)コントロールの総合メーカー>
製品面から言えば、同社は計測器、及び制御・検査装置メーカだが、技術面にスポットを当てると、「ウェブ(web)コントロールの総合メーカ」と言う事ができる。webとは、英語で織物とか、(新聞用紙の)一巻きの意。身近な例では、トイレットペーパー、写真フィルム等がウェブだ。ただ、実際には、最終製品よりも、原材料を加工したり、処理したりして、最終製品に作り上げる過程でウェブの形をとっているケースが多く、生産ラインでは様々なウェブを取り扱っている。特に、フィルム、印刷、製紙等の業界で多く使われ、大は新聞用から、小はインスタントラーメンの袋用ロール紙のラインに至るまで、或いは、鉄鋼会社のストリップラインと言ったように、広範多岐にわたる分野でウェブが扱われている。更に近年では、液晶や電子部品の材料となる高感度フィルムの製造工程に使用されていたり、タイヤやバッテリーの生産ラインで使用されたりと、用途が広がっている。

工場内のウェブを扱うプラントやマシンを運転するにあたって、ウェブの品質、歩留りを維持・向上させるために、ウェブ特有の各種の自動制御を行う必要があり、これらを総称してウェブコントロールと呼んでいる。ウェブを扱うプロセスなりマシンなりは、生産性を上げるため年々ライン速度が上がっているが、ライン速度が上がっても品質が損なわれたり、安定操業に支障をきたしたりしては、元も子もない。ウェブコントロールなしに品質の維持向上と分秒を争う工程の安定操業はあり得ず、今後、ウェブコントロールの出番はますます増えていくものと思われる。
 
<事業セグメント>
事業は、ウェブ事業、プロセス事業、検査機事業、及びその他に分かれる。
 
プロセス事業
鉄鋼・非鉄金属向けの制御装置、及び計測・検査機器を製造・販売しています。プロセス制御装置、耳端位置制御装置、自動識別印字装置、渦流式溶鋼レベル計、板幅計等がある。
 
ウェブ事業
印刷、フィルム等向けの制御装置を製造・販売しています。EPC(Edge Position Control:耳端位置制御)システム、張力制御装置、見当合わせ制御装置等がある。
 
検査機器事業
画像処理技術の応用による検査装置で、印刷品質検査装置、無地検査装置、及びその他の検査装置を製造・販売している。
 
その他
近赤外分析装置、ギアボックス等の製造・販売を行なっている。
 
2008年3月期決算
 
 
前期比2.4%の減収、同14.6%の営業減益。
売上の面では、プロセス事業が伸びたものの、ウェブ事業の落ち込みをカバーできなかった。利益面では、収益性の高いプロセス事業の売上構成比の上昇で売上総利益率が0.4ポイント改善したものの、減収による影響を吸収できず売上総利益が減少。一方、人件費の増加等で販管費がわずかに増加した。また、注力している海外市場展開では、中国、韓国、台湾向けにプロセス事業が伸びたものの、ウェブ事業が苦戦。海外売上高比率は16.2%にとどまった。
大型投資の一巡で設備投資は同65.0%減の110百万円、減価償却費は同28.8%増の170百万円、研究開発費は同15.9%増の945百万円。
尚、1株当たり配当金を1円増配し年16円(中間配当8円を含む)とした。
 
<セグメント別受注高・売上高・受注残高>
 
 
プロセス事業は受注・売上共に順調に推移し、いずれも計画を12〜14%程度上回った。国内鉄鋼メーカが既存設備の更新と品質向上のためのリプレースを積極的に進めており、また海外では、中国、韓国、台湾等の製鉄所の新規設備投資に回復の動きが見られた。製品別では、炉内での製品の位置制御のために新方式「電磁波式炉内CPCセンサ」を採用した耳端位置制御装置が改修需要を追い風に受注高・売上高を伸ばした。また、自動識別印字装置では、既存設備の更新時期に合わせて改良版熱間・冷間マーキング装置を市場投入、新製品のレーザ・マーカの寄与もあり、受注高・売上高とも前年同期を上回った。

ウェブ事業は、次世代液晶製造ラインに向けての広幅フィルムへの移行時期が定まらず、設備投資が一時的に停滞したため、高機能フィルム向け制御装置が大幅に減少。加えて、新聞社等での大型輪転印刷機の設備更新が一巡した事等で、印刷向け制御装置も落ち込んだ。

検査機事業は受注残の消化で売上がわずかに増加したものの、ウェブ事業における高機能フィルム向け制御装置の落ち込みで、これに付随して需要の発生する検査装置(前期に新製品「MujiKen」を発売)の受注が減少した。
 
2009年3月期業績予想
 
 
前期比5.6%の増収、同28.4%の営業増益予想。
受注残の消化でプロセス事業の伸びが見込まれる他、ウェブ事業も下期に向けてFPD関連を中心に回復が見込まれる。営業外で棚卸資産除却損や為替差損の減少を見込み、経常利益は同39.0%増の670百万円。当期純利益が減少するのは、卸資産評価原則の適用に伴う棚卸評価加減を見込んでいるため。設備投資の計画は同9.1%増の120百万円、減価償却費は同5.9%増の180百万円、研究開発費は同15.3%減の800百万円。1株当たり配当金は年16円を予定(中間配当8円を含む)。同社では、配当性向35%以上を原則として、安定配当を確保していく考え。
 
<セグメント別受注高・売上高・受注残高>
 
 
プロセス事業は、国内鉄鋼メーカの設備更新及び新規ライン計画が一巡する一方、世界的な鉄鋼需要の高まりを受けて、中国、韓国、台湾、インド、ブラジルの設備投資が活発化している。このため、国内での失注防止に努めると共に、耳端位置制御装置や自動識別印字装置を中心に海外での受注を強化する。耳端位置制御装置は、炉内での製品の位置制御に新方式「電磁波式炉内CPCセンサ」を採用した製品が、中国、韓国、台湾等でも好評。また、自動識別印字装置については、中国での簡易型マーカ生産を開始。中国、インド、ブラジルでの受注活動を積極化する。

ウェブ事業は、高機能フィルムメーカの設備投資の抑制が続いているが、印刷関係は新聞社等で大型輪転印刷機の設備更新の動きが始まっている。また、太陽電池を含む電池業界、有機EL向け薄型プラスチックフィルム向け等、新たな市場への展開を進める。製品別の取組みでは、新聞輪転印刷向け色合い制御装置「Wonder-Scan」を新たに販売開始。年間2〜3億円を目標に受注活動を進めていく。また、前期に投入が遅れた新型機の開発を急ぎ、台湾、中国を中心に海外での受注増を図る。尚、ニレコ台湾で一部製品のノックダウン(現地での組立)生産を開始した他、中国向けに中国仕様の電気式EPCの出荷を開始した。

検査機事業はユーザを取り巻く厳しい事業環境が追い風となり、新たな需要が期待できる。例えば、原材料価格高騰が重荷となっている軟包材業界や環境設備義務化への対応が設備資金を圧迫しているグラビア印刷業界では、業務の効率化につながる印刷品質検査装置の需要が増えている。また、仕様要求が厳しさを増している高機能フィルム業界では、高性能な無地検査装置の需要増が見込まれる。こうした需要を取り込むべく、08年4月より印刷品質管理装置の次期主力機「BCON3000plus」の受注を開始した(7月以降の出荷を予定)。また、無地検査装置は、「MujiKen」の発売以降、知名度の向上と共に引き合いが増加中。更なる受注拡大に向け、現在、引合サンプルテスト対応の強化と照明部の改良によるコストダウンに取り組んでいる。また、「MujiKen」をベースに機能の標準化を進めた簡易型を6月に投入し、高機能フィルム以外での汎用フィルムでの受注増を図る。
 
中期経営計画について
 
 
同社は、現行の中期経営計画における最終年度(09/3期)の計画を見直した。要因は、印刷品質管理装置(BCON)の市場投入の遅れや無地検査装置(MujiKen)の高級機種への過度な傾斜による検査機器事業の進捗の遅れ、及び中国事業の遅れ等による海外比率(09/3期目標40%に対して08/3期16%)の伸び悩みである。
 
重点課題への取組状況
(1)短期的な取り組み  検査機事業における09/3期の営業黒字化
検査機事業における09/3期の営業黒字化を目指し、印刷品質管理装置「BCON3000plus」の市場投入、無地検査装置における照明部のコストダウンと汎用機の開発、青果物検査装置の販売拡大に取り組む。
「BCON3000plus」については、4月より受注を開始しており、7月以降の出荷開始を予定している。また、5月29日〜6月11日の間にドイツで開催された「Drupa2008」に出展し、海外ユーザへのアピールも行なった。無地検査装置については、照明をメタハラ高輝度照明からLEDに切り替える事で現行機のコストを削減。夏以降の市場投入を計画している汎用機については、現行機の仕様を切り詰め簡易型とする事で30%のコスト削減を実現した。また、青果物検査装置については、大手選果プラントメーカ破綻による業界再編に加え、10年前に建設された選果場が更新期を迎えている事もあり、選果場やプラントメーカからの引き合いも活発化している。08/3期の同装置の売上は137百万円と前期比約2倍に拡大、09/3期は200〜300百万円を目標としている。
 
(2)中期的な取り組み  海外売上の拡大(11/3期に海外売上比率40%を目指す)
海外売上比率引上げのための各事業における施策は次の通りである。

プロセス事業
耳端位置制御装置は電磁波式炉内CPCセンサを海外市場でアピールしていく。課題は、センサ、アクチュエータ、アンプからなるシステムのトータルコスト削減である。

ウェブ事業
海外市場向け簡易型EPCを完成させ、一部については台湾ニレコでノックダウン生産を開始する。また、中国メーカとの見当合わせ制御装置の提携もスタートした。

検査機事業
年間40〜50セットの販売を目標に海外子会社による「BCON3000 plus」の販売を本格化する。今期は既に12〜13セットの受注に成功している。

海外拠点整備
ウェブ及び検査装置の拡販を図るべく、中国子会社に営業マン2名を常駐させ受注活動を進めている。また、プロセスについては、中国、韓国地区におけるサービス体制を強化した。
 
取材を終えて
08/3期の苦戦の一因となった検査機事業については、新製品「BCON3000plus」の投入に加え、現行機のコストダウン。更には夏以降に予定している価格競争力のある汎用機の投入等で巻き返しを図る考え。また、夏以降は、FPD向け等でウェブ関連の回復も期待できる。ただ、主力事業を中心に、国内シェアが高いだけに、中期的に国内での大きな伸びは期待し難い。このため、今後の成長には海外での売上拡大が必須である。今回、中期経営計画に対する反省も踏まえて、検査機器事業のテコ入れ策や海外売上比率の引上げに向けた短期、中期の具体的な施策が示された。これら施策の進捗に期待したい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。
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