ブリッジレポート
(3433:東証1部) トーカロ 企業HP
町垣 和夫 社長
町垣 和夫 社長

【ブリッジレポート vol.2】2009年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「第1四半期は、限界利益率が高い同社の収益特性に加え、減価償却費の負担増、更には好調だった前年同期の反動等も重なり、わずかな売上高の減・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年8月19日掲載
企業基本情報
企業名
トーカロ株式会社
社長
町垣 和夫
所在地
神戸市東灘区深江北町4-13-4
事業内容
部品等の溶射加工最大手。半導体・液晶製造部品向けが主力。自動車鋼板関連も柱、広州に合弁
決算期
3月末日
業種
金属製品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年3月 24,359 4,684 4,772 2,838
2007年3月 25,212 6,646 6,698 3,860
2006年3月 20,965 5,389 5,413 3,177
2005年3月 18,463 4,615 4,611 2,746
2004年3月 13,947 2,721 2,657 1,566
2003年3月 11,966 1,633 1,574 861
株式情報(8/6現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,773円 15,589,578株 27,640百万円 17.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
45円 2.5% 163.73円 10.8倍 1,103.21円 1.6倍
※株価は8/6終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
トーカロの2009年3月期第1四半期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
表面改質加工大手、主力の溶射加工では国内トップの実績を誇る。溶射とは、金属、合金、セラミックス等種々の材料を燃焼ガスやプラズマフレーム等で微粒子状に溶かし、高速で被覆対象物表面に衝突・積層させて皮膜を作る事で基材の表面を改質する加工技術である。表面改質により基材に新たな機能を付与することから機能溶射とも言われる。溶射の材料は1,000種類以上あり、応用範囲が広く、市場のニーズに応じ無限に近い用途開発の可能性を秘めている。とりわけ同社の溶射は鉄鋼向けから出発して、石油化学、自動車、造船、電力等の基幹産業へ拡大、今日では原子力、エレクトロニクス等あらゆる産業分野にわたって広く使われ、他社との差別化を図っている。
 
<事業内容>
事業は、ガス式溶射や電気式溶射の溶射加工部門とその周辺技術を用いる周辺事業部門に分かれ、08/3期の売上構成比は、溶射加工部門が82.6%、周辺事業部門が17.4%。
溶射加工部門は、更に半導体・液晶製造装置用部品加工(売上構成比29.3%)、産業機械部品加工(同 17.6%)、鉄鋼用設備部品加工(同14.3%)、その他(紙・パルプ・石油化学等)(同 21.4%)に分かれる。
周辺事業部門は、加工技術別にTD処理加工部門(売上構成比4.3%)、ZACコーティング加工部門(同3.1%)、PTA処理加工部門(同2.3%)、及び子会社日本コーティングセンター(以下、JCC)(同7.6%)の事業領域で物理蒸着法(PVD)処理を中心とするPVD部門に分かれる。
 
2009年3月期第1四半期業績
 
 
前年同期比2.4%の減収、同22.2%の営業減益。
半導体関連の落ち込みで溶射加工が微減収となった事に加え、その他の周辺加工部門もPVD処理加工を除き売上が減少した。限界利益率が高いため、わずかな売上の減少でも利益に与える影響が大きい事、及び税制改正に伴う有形固定資産の耐用年数の見直しをおこなったことによる減価償却費負担の増加(115百万円の減益要因)、更には前年同期の水準が高かった等から、営業利益は同22.2%減少した。
 
有形固定資産の耐用年数の見直しについて
減価償却制度において、「溶射」関連設備についての特定した規定がなかったが、今回の改正で、資産区分が多い機械装置について、資産区分が改正前390区分から改正後55区分に大括り化され、「金属被覆」の記載がある項目(下図参照)が出来たことにより、これを適用した。
またこれにより耐用年数を6年に変更した(従前は、金属熱処理用設備:耐用年数10年を適用)。
 
 
尚、減価償却期間の短縮は、年度毎の減価償却費の増加につながるが、キャッシュ・フローの面ではプラスの効果がある(利益の減少による税負担の軽減効果)。
 
セグメント別売上高
溶射加工部門
電力・石油関連の大型工事案件の受注により産業機械分野の売上が増加した他、液晶関連も回復傾向にある。ただ、売上構成比の大きい半導体関連の苦戦が続いた他、鉄鋼用設備分野やその他の分野でも売上が減少。当セグメントの売上高は5,272百万円と前年同期比1.8%減少した。
 
その他の周辺加工部門
当セグメントの売上高は同5.5%減の1,015百万円。PVD処理加工の売上が増加したものの、TD処理加工、ZACコーティング加工、及びPTA処理加工が、いずれも二桁の減収となった。
 
貸借対照表
貸借対照表に大きな変化は無く、第1四半期の総資産は26,358百万円と前期末比24百万円の減少。資産では、売上債権が増加する一方、減価償却により有形固定資産が減少。負債では、仕入債務が増加する一方、長短借入金が減少した。自社株買いにより自己株式が増加したものの、純資産も増加。この結果、第1四半期末の自己資本比率は65.9%となり、前期末比0.7ポイント上昇した。
 
キャッシュ・フロー
営業活動によるCFは948百万円のプラス。設備投資等で投資活動によるCFが426百万円のマイナスとなったものの、潤沢な営業活動によるCFでカバー、フリー・キャッシュ・フローは522百万円のプラスとなった。長短借入金の返済や配当金の支払で財務活動によるCFは678百万円のマイナス。この結果、現金及び現金同等物の第1四半期末残高は2,384百万円となった。
 
 
 
 
2009年3月期業績予想
 
 
 
前期比0.6%の増収、同12.2%の営業減益予想。
売上高は期初予想を据え置いたものの、平成20年度税制改正に伴う有形固定資産の耐用年数見直しの影響によりを踏まえ、利益予想を下方修正した。第2四半期も半導体中心に厳しい事業環境が続く見込みで、上期は減収・減益予想。ただ、下期は液晶関連の増加に加え、半導体関連も底打ちを想定、増収・増益に転じる見込み。
 
トピックス
 
自己株式の市場買付
平成20年2月5日の取締役会決議に基づく自己株式の取得(取得期間:2月6日から5月31日まで)がすべて終了し、合計30万株、取得価格の総額で5億3039万1900円となった。
そのうち、第1四半期中に取得したものは、9万200株で、総額は1億6688万600円。
 
子会社の新工場建設
同社の子会杜である日本コーティングセンター株式会社(以下、JCC)が愛知県に新工場を建設する。現在、JCCのコーティング加工(PVD処理加工)は、本社工場(神奈川県座間市)、一宮工場(愛知県一宮市)の2工場で対応しているが、PVD処理加工によるセラミックコーティング膜は、その優れた特性から市場拡大が続いている。
このため、国内最大の市場である中京地区を含む西日本エリアの生産能力の増強と日本エリアの取引先への短納期化を含めた加工サービスの向上、更には高機能・高精度なセラミックコーティング膜の生産体制の一段の強化を目的に、愛知県に新工場を建設する事とした。
新工場は、現生産能力(前期売上高実績19.5億円)の約2割増を予定しており、将来の西日本エリアのコア工場と位置づけている。
 
 
取材を終えて
第1四半期は、限界利益率が高い同社の収益特性に加え、減価償却費の負担増、更には好調だった前年同期の反動等も重なり、わずかな売上高の減少で、20%を超える減益となってしまった。業績へのインパクトが強い半導体関連の回復が今後のポイントとなるが、同社に限らず、下期期以降の半導体投資の回復を予想する声は多く、下期以降の業績回復に期待が高まる。
また、数年周期で好・不況を繰り返すシリコン・サイクルは健在であり、半導体市場の短期的なリスクとして認識する必要があるが、長期的にはアプリケーションの拡大(搭載される機器の種類の増加)や電子機器を消費する国・地域の拡大、更には高機能化による新たな需要の創出等を追い風に、成長が続くものと思われる。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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