ブリッジレポート
(3034:大証ヘラクレス) クオール 企業HP
中村 勝 社長
中村 勝 社長

【ブリッジレポート vol.3】2009年3月期業績レポート
取材概要「60%を前に足踏みを続ける医薬分業比率だが、これまでのやり方を続けていてはこれ以上の分業比率の引き上げは難しいと言うのが同社の考え。このため・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年7月14日掲載
企業基本情報
企業名
クオール株式会社
社長
中村 勝
所在地
東京都新宿区四谷1-17
事業内容
調剤薬局チェーン上位。首都圏地盤だが出店地域拡大中。医薬品治験事業、出版事業も展開
決算期
3月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年3月 49,010 1,502 1,482 653
2008年3月 38,002 1,295 1,278 547
2007年3月 24,827 937 875 403
2006年3月 21,701 779 763 333
2005年3月 20,193 611 580 74
2004年3月 18,500 28 10 -134
2003年3月 11,869 253 413 -33
2002年3月 8,107 5 153 68
株式情報(7/6現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
142,000円 61,872株 8,786百万円 7.4% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2,000.00円 1.4% 10,803.34円 13.1倍 147,224.21円 1.0倍
※株価は7/6終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
クオールの2009年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
主に民間病院・クリニックを対象とした調剤薬局をチェーン展開している。「“クオリティ オブ ライフ”の向上」を企業信念として掲げ、社名の「クオール」もこれに由来する。首都圏中心に東北、中部、北陸、関西に店舗展開しており、出店は常に医療機関とのマンツーマン体制を堅持する事で調剤薬局間の無駄な顧客獲得競争を排除している。また、地域に根ざした店舗運営を進めると共に、従来の調剤薬局のイメージを一新するような外観や明るく快適な店舗づくりで差別化を図っている。この他、薬のパンフレット作成等を手掛ける医療・医薬情報資材制作関連事業や医薬品治験関連(SMO)事業も手掛けており、09/3期の売上構成は、調剤薬局を展開する保険薬局事業が95.3%、医療・医薬情報資材制作関連事業が4.0%、医薬品治験関連(SMO)事業が0.8%。09年5月末現在のグループ店舗数は238店舗。
 
<沿革>
92年10月、調剤及び医薬品の販売を目的に設立された。03年5月、子会社フェーズオン(株)を設立し、医薬品治験関連(SMO)事業に参入。07年1月には、第一製薬(現:第一三共)傘下の第一メディカル(株)(現メディカルクオール)の全株式を取得し、医療・医薬情報資材の制作関連事業を開始した。
06年4月、大証ヘラクレスに株式を上場し現在に至る。
 
<クオールグループ>
グループは、同社の他、下記の連結子会社10社、及びその他の関係会社2社で構成されている。
 
保険薬局事業(クオール及び連結子会社6社)
同社が、大型・中型の民間病院・クリニック(処方せん応需枚数100枚以上)の門前を中心に東北、関東、関西等、全国へ展開しているのに対して、子会社の(株)福聚、(株)イムノファーマシー大阪(08年7月子会社化)、クオール東日本(株)(08年8月設立)の3社がクリニック等の門前薬局として展開。事業エリアは、(株)福聚が首都圏、(株)イムノファーマシー大阪が関西、クオール東日本が東北。この他、(株)お茶の水調剤薬局(08年10月持分法適用→連結子会社)、クオール関東(株)(09年2月設立)、及び医療事務受託の(有)医療総合研究所。
 
その他事業(連結子会社4社)
医療・医薬情報資材制作関連事業を手掛けるメディカルクオール(株)、医薬品治験関連(SMO)事業のフェーズオン(株)の他、特定労働者派遣・紹介事業のクオールメディス(株)(08年12月設立)、社内業務代行事業(「障害者雇用の促進」を目的とした特例子会社)のクオールアシスト(株)(09年2月設立)。
 
2009年3月期決算
 
 
前期比29.0%の増収、同15.9%の経常増益。
増収要因としては、07年10月の(株)エーベルとの合併を含めたM&A効果(29店舗増)、過去最高(14店舗)となった新規出店、堅調に推移した既存店売上高、更には、未だ事業規模は小さいものの、医療・医薬情報資材制作関連事業のメディカルクオール(株)や医薬品治験関連(SMO)事業のフェーズオン(株)の寄与等を挙げる事ができる。また、増益要因としては、M&A効果、既存店及び子会社の寄与等を上げる事ができ、薬価・診療報酬改定の影響、M&Aや新規出店等による販管費の増加を吸収した。退店は7店舗で期末店舗数は前期末比36店舗増の234店舗。 配当は、1株当たり250円増配の年2,000円(中間配1,000円を含む)。
 
 
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
M&Aや新規出店により流動資産、固定資産が増加し総資産が3,048百万円増加。営業CFが増加したものの(1,150 → 2,213百万円)、フリーCFは積極的なM&Aや新規出店により796百万円のマイナスとなった。
 
2010年3月期業績予想
 
 
前期比12.4%の増収、同4.8%の経常増益予想。
引き続き積極的な新規出店を続ける他、新業態の開発にも取り組む考え。前期のM&Aや新規出店の効果もあり、売上高が同12.4%増加するものの、薬剤師などを積極採用した人件費の増加(1,885百万円増)が響き、営業利益はわずかに減少する。新規出店はグループで45店舗を計画している。
配当は、1株当たり年2,000円(中間配1,000円を含む)を予定。
 
〔剤師の前倒し採用
薬剤師の採用は190名、1,065百万円の人件費増加要因となる。薬学部の6年制への移行に伴い来期・再来期と2年間は新卒薬剤師の採用ができなくなる事を踏まえたもの。ただ、前倒し採用により薬剤師に余剰感が出るため、昨年12月に設立したクオールメディス(株)を活用して稼働率を高める。
⊃遊鑒颪砲弔い
09/3期には9,254百万円だった人件費が、10/3期は11,139百万円と1,885百万円(20.4%)増加する見込み。内訳は、新人薬剤師が1,065百万円、13名の採用を予定している医療事務が38百万円、その他782百万円。
 
(2)クオール・オールインワンシステムの稼動
クオール・オールインワンシステムが10月に本格稼動する。経営分析情報、在庫管理、POSシステム、各店舗のデータバックアップと薬暦データウェアハウス、調剤過誤防止システム、財務経理情報といった同社の全ての情報を取扱う。バックアップシステムによる業務負担軽減効果は年間36百万円、薬暦作成時間も7分から3分以内に短縮され、全店で導入した場合、5億円程度の合理化効果が見込める。また、薬局向けレセコンと連動するPOSシステムを基幹店に導入する事で各店舗のデータバックアップに対応でき、薬暦データウェアハウスが構築できる。 現在、メディセオ・パルタックHDと新在庫システムの共同開発が進行中である。
 
中期経営計画(10/3期〜12/3期)
 
2009年2月に、10/3期を初年度とする中期経営計画を発表した。
2012年3月期にグループ売上高を1,000億円(資本提携等を含む)、連結売上高674億円、経常利益率5%以上の目標を掲げている。
 
 
−中期経営計画基本方針−
(欷洩局事業は、成長スピードを維持しつつ収益構造の改革を実現
⊃袈搬岾発の推進による経営の柔軟性確保
グループシナジーを発揮したグループ経営の強化(フェーズオン(株)との連携)

保険薬局事業では、新業態を含めた積極的な店舗開発に加え、企業理念「真実と誠実をもって」に立脚した医療サービスを通じて患者や顧客の満足向上に注力する。また、保険薬局事業で培った経営ノウハウと、業界を超えた同社グループのネットワーク力を強みに、改正薬事法に対応した新業態店舗の開発に取り組む事で収益力の強化を図る。更には、成長分野である医薬品治験関連事業の育成に向け、グループの総力を挙げて支援する。
 
医薬分業の進んでいない地域を重点開発地域として、エリア出店戦略を進めるほか、改正薬事法に対応した新業態店舗の開発等を推進する。
 
(2)クオールの目指す調剤薬局とローソンとの提携
薬すべてのラインを取扱う本当の専門薬局を目指し、M&A等引き続き調剤薬局との新たな資本・業務提携に取り組むと共に、メディセオ・パルタックHD、三菱商事、及びローソン等との提携を活かし積極的な新規出店を進める。
特に、6月1日から登録販売者の出向を開始したローソンとの提携では、調剤を中心とした薬局、小売薬を中心とした薬局、更にはドラッグストア等、立地特性に応じた店舗展開を進め、必要な全ての医薬品を取扱う。また、各店舗を有機的にむすび、点分業から面分業体制へ移行する事で外部環境の変化に耐えうる収益構造への転換を図る。この他、薬剤師によるテレビ電話相談システムの導入により専門性の高いサービスを提供する事で他のコンビニにとの差別化を図る。
 
(3)M&A・提携戦略
改正薬事法によりスーパーやコンビニ、ドラッグストアなど他業種から一般薬の参入が積極的になる中で、M&Aや資本業務提携等の模索先は拡大傾向にある。
現時点で同社が模索先として考えているのは、全国705店舗。将来、これらとのアライアンスなどで、グループ売上高1,000億円規模を目指す。
 
 
CSR活動
 
体験型経済教育プログラム「スチューデント・シティ」への参加
スチューデント・シティは、小学校内に街を再現して、保護者や協賛企業によるボランティア協力のもと、子どもたち〔小学校5年生〕がそこでの体験を通じて、社会と自分との関わり、経済の仕組み、お金とは何か、仕事とは何か等の社会的適応力を育んでいくのが狙い。
品川区内では全ての小学校が順番にプログラムに参加しており、今回、「クオール薬局」を出店した品川区立八潮学園小学校内には、銀行〔シティバンク〕、コンビニ〔セブン・イレブン〕、新聞社〔共同通信〕、スポーツ用品店〔ミズノ〕、セキュリティ会社〔セコム〕の他、雷話通信会社、プリントサービス会社等のブースが設置されている。
同社は、CSRの一環として、難病に苦しむ子供たちの夢を実現するために活動している「メイク・ア・ウイッシュ」への継続的な支援、地域住民への市民講座、ベルマーク・ペットボトルキャップ収集による寄付活動等を推進しており、今回のスチユーデント・シティヘの出店もその一環として位置づけている。毎週土曜日、日曜日に同小学校内のスチューデント・シティに社内ボランティアを派遣し、保険薬局事業に関する学習を通して、品川区の小学生の経済教育を支援していく考え。
 
取材を終えて
60%を前に足踏みを続ける医薬分業比率だが、これまでのやり方を続けていてはこれ以上の分業比率の引き上げは難しいと言うのが同社の考え。このため、同社はローソンとの提携による新たな業態開発を武器に、残る40%の取り込みを図る。ただ、提携効果を高めるには人材の拡充やシステムの整備が必要であり、12/3期までの中期経営計画において、先ずはこれら成長に必要な基盤整備を進める。ローソンとの提携戦略が本格化するのは、基盤整備が一巡してからになるため、提携の果実を得るには今しばらく時間が必要だ。
尚、今期(10/3期)については、長寿高齢化の進行、医療制度改革に伴う医療費削減策の進行、更には個人所得環境の悪化に伴う受診抑制傾向等、主力の保険薬局事業において厳しい事業環境が予想されるものの、連結予想売上高55,081百万円はクオール個別ベースでも達成可能な売上高であり、業績予想は保守的との事である。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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