ブリッジレポート
(3034:大証ヘラクレス) クオール 企業HP
中村 勝 社長
中村 勝 社長

【ブリッジレポート vol.5】2010年3月期上期業績レポート
取材概要「上期の業績予想は7月30日に上方修正されたが(期初予想は166百万円の営業損失)、長期処方の増加とそれに伴う処方せん単価の上昇等で修正値を・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年12月8日掲載
企業基本情報
企業名
クオール株式会社
社長
中村 勝
所在地
東京都新宿区四谷1-17
事業内容
調剤薬局チェーン上位。首都圏地盤だが出店地域拡大中。医薬品治験事業、出版事業も展開
決算期
3月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年3月 49,010 1,502 1,482 653
2008年3月 38,002 1,295 1,278 547
2007年3月 24,827 937 875 403
2006年3月 21,701 779 763 333
2005年3月 20,193 611 580 74
2004年3月 18,500 28 10 -134
2003年3月 11,869 253 413 -33
2002年3月 8,107 5 153 68
株式情報(11/25現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
61,500円 123,744株 7,610百万円 7.4% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1,000.00円 1.6% 5,734.01円 10.7倍 74,992.05円 0.8倍
※株価は11/25終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
クオールの2010年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
主に民間病院・クリニックを対象とした調剤薬局をチェーン展開している。「“クオリティ オブ ライフ”の向上」を企業信念として掲げ、社名の「クオール」もこれに由来する。首都圏中心に東北、中部、北陸、関西に店舗展開しており、出店は常に医療機関とのマンツーマン体制を堅持する事で調剤薬局間の無駄な顧客獲得競争を排除している。また、地域に根ざした店舗運営を進めると共に、従来の調剤薬局のイメージを一新するような外観や明るく快適な店舗づくりで差別化を図っている。この他、薬のパンフレット作成等を手掛ける医療・医薬情報資材制作関連事業や医薬品治験関連(SMO)事業も手掛けており、10/3期Q2累計期間の売上構成は、調剤薬局を展開する保険薬局事業が95.9%、医療・医薬情報資材制作関連事業が3.6%、医薬品治験関連(SMO)事業が0.6%。09年9月末現在のグループ店舗数は241店舗。
 
<沿革>
92年10月、調剤及び医薬品の販売を目的に設立された。03年5月、子会社フェーズオン(株)を設立し、医薬品治験関連(SMO)事業に参入。07年1月には、第一製薬(現:第一三共)傘下の第一メディカル(株)(現メディカルクオール)の全株式を取得し、医療・医薬情報資材の制作関連事業を開始した。06年4月、大証ヘラクレスに株式を上場し現在に至る。
 
<クオールグループ>
グループは、同社の他、下記の連結子会社10社、及びその他の関係会社2社で構成されている。
 
保険薬局事業(クオール及び連結子会社6社)
同社が、大型・中型の民間病院・クリニック(処方せん応需枚数100枚以上)の門前を中心に東北、関東、関西等、全国へ展開しているのに対して、子会社の(株)福聚、(株)イムノファーマシー大阪(08年7月子会社化)、クオール東日本(株)(08年8月設立)の3社がクリニック等の門前薬局として展開。事業エリアは、(株)福聚が首都圏、(株)イムノファーマシー大阪が関西、クオール東日本が東北。この他、(株)お茶の水調剤薬局(08年10月持分法適用→連結子会社)、クオール関東(株)(09年2月設立)、医療事務受託の医療総合研究所。
 
その他事業(連結子会社4社)
医療・医薬情報資材制作関連事業を手掛けるメディカルクオール(株)、医薬品治験関連(SMO)事業のフェーズオン(株)の他、特定労働者派遣・紹介事業のクオールメディス(株)(08年12月設立)、社内業務代行事業(「障害者雇用の促進」を目的とした特例子会社)のクオールアシスト(株)(09年2月設立)。
 
2010年3月期上期決算
 
 
既存店の好調とM&A効果で主力の保険薬局事業が伸長
売上高は前年同期比22.4%増の27,451百万円。このうち調剤売上高は同23.6%増の25,818百万円。内訳は、既存店が同10.2%増の14,127百万円、新店が同90.7%増の780百万円、M&A(事業譲受)効果等が同42.4%増の10,910百万円。処方せん応需枚数は2,899千枚と同17.4%増加した。
営業利益は同49.2%増の576百万円。長期処方の増加や薬剤師1人当たりの処方せん応需枚数の増加により売上総利益率が1.3ポイント改善。新人薬剤師などの人件費を中心に販管費が増加したものの、売上の増加と売上総利益率の改善により吸収した。四半期純利益が減少したのは、退店費用など特別損失92百万円を計上したため。
期末店舗数は前期末比7店舗増の241店舗。新店3店舗と新業態店舗1店舗をオープンすると共に、M&Aで10店舗を傘下に収めた。一方、7店舗の退店を行った。
 
(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前期末比1,236百万円増の24,990百万円。資産の増加は、新規出店及びM&Aによるもので、科目別では売掛金、たな卸資産、無形固定資産(「のれん」が233百万円増加)、買掛金、純資産等が増加した。また、CFの面では、利益の増加に加え、売上債権の回収が進んだ事等で営業CFの黒字が大幅に増加する一方、M&A関連の支出が減少した事等で投資CFのマイナスが減少。前年同期に1,389百万円のマイナスだったフリーCFが110百万円の黒字となった。
 
 
 
 
2010年3月期業績予想
 
通期で前期比12.5%の増収、同12.1%の経常増益予想
上期実績の通期業績予想に対する進捗率は、売上高49.8%、営業利益35.4%、経常利益35.2%、当期純利益32.7%。利益の進捗が遅れているが、会社側は通期の業績予想を据え置いた。その理由として、引続き面分業の拡大効果が期待できる事、インフルエンザの流行や花粉症等による処方せん応需枚数の増加や長期処方の増加が見込まれる事、更には事業の効率化効果が顕在化してくる事等を挙げている。下期は新規出店10店舗、新業態店舗3店舗のオープンを計画しており、期末店舗数は254店舗と前期末比20店舗増加する。
配当は1株当たり1,000円(上期末配当500円を含む)を予定している。尚、当初は1株当たり2,000円(上期末配当1,000円を含む)の配当を予定していたが、9月1日を効力発生日(基準日:8月31日)として、1株を2株に分割したため、上記配当額に改めた。
 
 
 
 
 
今後の事業展開
 
(1)保険薬局市場と医薬分業率
保険薬局市場は5.4兆円の強大な市場で、店舗数は5万2,000軒。しかし、このうちの4.9兆円強が中小薬局の市場で、大手調剤薬局5社のシェアは約8%(0.4兆円強)にとどまる。今後、徐々に寡占化が進むものと思われ、引き続き活発なM&Aが予想される。同社は、M&Aへの対応はもちろん、フランチャイズ(FC)展開も視野に入れ、シェアアップを図っていく考え。
一方、医薬分業率は60%程度で頭打ちの傾向がある(現在61.2%)。大病院の積極的な院外処方により、既に首都圏を中心に大きな調剤薬局市場が存在するが、中小病院・クリニックを中心に未だ大きな未院外処方せん市場も存在する。このため、今後はクリニック市場などの開拓と面分業対応が必要となる。
 
(2)同社の経営方針と商品開発 −信頼される薬局を目指して−
患者だけでなく、処方元医療機関・医薬品卸・製薬企業との強い結びつきによるwin-winの関係を構築している事が同社の強みで、今後、こうした関係を商品開発にも活かしていく考え。また、多様な店舗展開により点分業から面分業体制への移行を進めると共に、外部環境の変化に耐えうる収益構造への転換も進めていく。多くのケースで、調剤薬局は医療機関とのマンツーマンになりがちだが、同社は1店舗平均して41医療機関から処方せんを応需していることから、今後新業態の面対応薬局をさらに整備する事で、主処方元を持たない店舗の出店を推進していく模様。
この他、サプリメントを含めた薬すべてのラインを取扱う専門薬局を目指して商品開発と品揃えに取り組む他、患者の満足度向上につなげるべく、同社独自の「クオール認定薬剤師制度」の導入により高度な知識を持つ薬剤師を養成していく考え。
 
 
(3)高機能薬局(E-Pharmacy)や新業態薬局の開発
今後も門前薬局を中心に出店し、高機能薬局や新業態薬局の開発を進める。既に高機能薬局として港北店を新装オープンした他、新業態薬局としては、ローソンとの提携を活かしたコンビニと調剤の併設店舗やドラッグストアと調剤を組み合わせた店舗等の開発を進める。また、FCシステムの導入にも取り組む。
尚、高機能薬局として新装オープンした港北店は、24時間・365日の営業で、法定伝染病やインフルエンザ患者の専用入り口を設けてある他、カウンターはスピーチプライバシーに配慮した作りとなっている。
 
(4)在宅医療の新しい取り組み
在宅医療の展開を視野に入れ、オムツフィッターの資格取得に力を入れている。オムツフィッターは、(株)排泄総合研究所が2004年9月から始めた認定資格で、排泄ケアの専門相談員として、排泄に関する用具の提案・選定や、アドバイスができる人材の育成を目的に作られた。おむつを提案することにこだわらず、医療や住環境、適切な福祉用具など幅広い視点から適切な排泄ケアを提案できる。
 
オムツフィッター1級  教育指導者。介護のスペシャリストで全国に51名。
オムツフィッター2級  3級より更に深く、医療・介護・保険制度を学ぶ。
全国に200名。
オムツフィッター3級  基本編。簡単な接客が可能。全国に1,500名。
 
将来的には、在宅に特化した薬局を開設し、地域ネットワークや医療資源を活用しながら在宅医療関連のサービスを提供していく考え。
 
 
 
取材を終えて
上期の業績予想は7月30日に上方修正されたが(期初予想は166百万円の営業損失)、長期処方の増加とそれに伴う処方せん単価の上昇等で修正値を大幅に上回る着地となり、前年同期比でも大幅な増益となった。通期でも増収・増益が見込まれるものの、これは上期の好調によるもので、下期に限れば新政権の医療制度改革の方向性が不透明なため、新規出店計画などを見直したことから、営業利益及び経常利益が減少する見込み。しかし、堅調な既存店、M&A効果もあり増加傾向にある処方せん応需枚数、更には猛威を振う新型インフルエンザの影響等を考えると、会社予想は慎重過ぎないだろうか。多分に上振れ余地を残しているものと思われる。
また、目先の好業績だけでなく、中期的にも寡占化の流れに乗った業容拡大というシナリオを描く事ができる。ただ、そのためには面分業体制の構築、新業態開発、クリニック市場の開拓、更には在宅医療への取り組み等の施策を着実に進めていく必要がある。業績と共に、これら施策の進捗に注目したい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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