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(2146:JASDAQ) UTホールディングス 企業HP
若山 陽一 社長
若山 陽一 社長

【ブリッジレポート vol.1】2010年3月期業績レポート
取材概要「過去数年間、足かせとなっていたバランスシート懸念が一掃された事で、同社は、11/3期以降、攻めの経営へ転じる考えだ。既に説明した通り、10/3期・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年6月8日掲載
企業基本情報
企業名
UTホールディングス株式会社
社長
若山 陽一
所在地
東京都品川区東五反田1-11-15 電波ビル
事業内容
半導体向けの製造派遣・請負が中核、製造装置販売からライン移設業務に転換。設計開発事業も
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 18,056 290 182 -1,401
2009年3月 40,694 1,793 603 -10,861
2008年3月 51,787 4,200 3,473 1,203
株式情報(6/3現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
34,650円 212,545株 7,365百万円 - 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2,400.00円 6.9% 6,492.74円 5.3倍 11389.40円 3.04倍
※株価は6/3終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
JASDAQに株式を上場するUTホールディングスについて、ブリッジレポートにてご紹介致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
国内外の半導体・FPDメーカー等に対して、構内作業(工場内作業)の請負サービスを提供する「アウトソーシング事業」とデバイス設計(デザイン)サービスを提供する「設計開発事業」を柱とし、それらサービスを一括して提供するワンストップ型トータルソリューションサービスを展開している。
同社自身は純粋持株会社としてグループ戦略の企画立案や各事業会社の統括管理を主たる業務とし、連結子会社3社及び持分法適用会社1社のグループ会社が実際のサービスを提供している。
 
<UTグループ>
連結子会社  日本エイム(株)、(株)アルティスタ、(株)ファインステージ
持分法適用会社  (株)ウインズ
 
 
<沿革>
1995年4月、製造業の構内作業業務請負事業を目的としたエイムシーアイシー有限会社として設立され、96年7月に日本エイム(株)に商号を変更すると共に株式会社に改組。その後、半導体製造分野向けを中心に業容を拡大させ、2003年6月には半導体製造技術教育の場として、茨城県土浦市につくばトレーニングセンターを開設。同年12月にはジャスダック市場へ株式を上場した。
05年10月、半導体製造装置販売の(株)エイペックスと業務提携を行い、合弁会社ネクサス・テクノロジ(株)を設立。上場企業としての資金調達力を活かしてM&Aにも積極的に取り組み、06年2月に半導体やFPD製造装置の販売を手掛ける(株)ウインズと資本・業務提携、06年4月には組込みソフト開発や半導体デザインの(株)アルティスタを子会社化した。更に同年7月には(株)エイペックスと資本提携を行い関係強化を図ると共にネクサス・テクノロジ(株)を100%子会社化。また、半導体販売のイノテック(株)との業務提携も行った。07年4月には、(株)エイペックスと共同して持株会社ユナイテッド・テクノロジー・ホールディングス(株)を設立し、同時にジャスダック市場へ上場(日本エイム(株)としては上場廃止)。09年1月にUTホールディングス(株)に商号を変更した。
 
<事業内容>
事業はアウトソーシング事業と設計開発事業に分かれ、売上構成比は、前者が95.3%、後者が4.7%(10/3期)。
 
アウトソーシング事業
半導体・FPDといった最先端のものづくり現場で培ったノウハウを活かし、製造業務(構内作業業務)を一括して請け負っている。各工程の製造オペレーションから、装置メンテナンスや保全業務の一括受託まで行い、各工程の生産能力を把握し、それに基づいた作業改善を提案するなど付加価値の高いサービスが特徴。パナソニック、ソニー、ローム、東芝等の大手半導体メーカーを主要顧客としており、日本エイム(株)と(株)ファインステージがサービスを提供している。
 
設計開発事業
LSIなど半導体デバイスの設計・デザイン請負や設計エンジニアの派遣の他、組込みソフトウェアの受託開発を行っている。半導体・FPD生産に関する幅広い経験とノウハウを活かして、製造プロセス及びそのコストを視野に入れた設計が高い評価を得ている。国内半導体メーカーを主要顧客とし、(株)アルティスタがサービスを提供している。
 
※ 製造装置移設事業の分離
これまで、(株)エイペックスの手掛ける製造装置移設事業(中古半導体製造装置販売や半導体・FPDの製造ラインの一括移設サービス等)を含めた3事業体制をとっていたが、アウトソーシング事業から見たシナジー効果が希薄化していた事や同事業の業績変動リスクが大きかった事、更には財務構造の安定化等の観点から09年11月に(株)エイペックスの全株式を(株)八徳に売却した(中古半導体製造装置販売は好況期に大きなリターンが期待できるが、好不況の波が大きく業績変更リスクや在庫リスクが大きかった)。
尚、(株)八徳は(株)エイペックス株式の受け皿として設立された特別目的会社(SPC)で、UTホールディングス(株)の元取締役であり、(株)エイペックスの創業者である水谷智氏が代表を務める。

(株)八徳に対して、(株)エイペックスの子会社である(株)エイペックス・エンジニアリングの株式を担保として(株)エイペックス株式の購入資金(2,300百万円)の一部(2,250百万円)を貸し付けしたため、支配力基準に従い株式売却後も(株)エイペックスは0%連結として連結対象に残ったが(10/3期のPLにはその損益が反映された)、10年3月に(株)エイペックスが民事再生手続開始の申立てを行ったため、支配関係は10/3期をもって実質的に消滅した(連結の範囲から除外され、11/3期以降の決算には反映されない)。
(株)エイペックス・エンジニアリングは、(株)エイペックスの事業のうち半導体・FPDの製造ラインの一括移設サービスを手掛けており、UTホールディングス(株)の提携先でもある。
 
 
2010年3月期決算
 
 
前期比55.6%の減収、同83.8%の営業減益
メーカー各社の生産調整の影響を受けてアウトソーシング事業が落ち込んだ他、新品の半導体・液晶関連製造装置販売を手掛け09/3期に91.5億円の売上を計上したミクロ技研(株)の株式売却の影響や中古製造装置の売買及び立上げ・改修を手掛ける(株)エイペックスの不振等で売上が減少。利益面では、人件費を中心に減価償却費やのれん償却費等、販管費全般に削減が進んだものの、減収の影響をカバーできず営業利益は同83.8%減少した。ただ、為替差損益の改善(△507百万円→82百万円)や雇用調整助成基金(65百万円)の計上等で営業外損益が改善した他、社債償却益(5,100百万円)や子会社株式売却益(1,227百万円)の計上等で特別損益も改善、最終損益は大幅に改善した。
 
 
 
アウトソーシング事業を中心に業績回復が鮮明に
開発投資の低迷で設計開発事業の苦戦が続いているものの(第4四半期に営業損失となったのは賞与の影響)、主力のアウトソーシング事業の回復が鮮明だ。同事業は、派遣法改正に伴う請負ニーズや半導体市況の回復に伴う外部労働力ニーズの取り込みに成功した事で期初に3,079人だった稼動数が3月末で目標の4,000人に達し、単月営業利益178百万円を計上した。製造装置事業も苦戦が続いているが、(株)エイペックスが連結対象から外れるため11/3期以降は影響を受けない。
 
 
 
 期末総資産は前期末比20,992百万円減の9,893百万円。のれんの一括消却に加え、ミクロ技研(株)の株式売却や(株)エイペックスを連結対象から除外した事で財務内容が劇的に改善。社債の買入消却やUTグループ負債の5割程度を占める製造装置事業の売却などにより、短期借入金と社債を合わせた19,168百万円の債務が5,262百万円まで大幅に減少し、前期末は3.6%だった自己資本比率が24.5%に上昇した。尚、連結株主資本等変動計算書で(株)エイペックス関連の損失が調整されているため、当期純損失となったものの純資産への影響は無い。
 
 
運転資金の減少により資金効率が改善し、前期は2,742百万円のマイナスだった営業CFが2,067百万円の黒字に転換。(株)八徳への貸付等で投資CFがマイナスとなったものの営業CFの改善で吸収、1,033百万円のフリーCFを確保した。有利子負債の削減を進めた事で財務CFがマイナスとなったものの、現金及び現金同等物期末残高は3,538百万円と月商の2.3ヶ月分を確保しており、今後の事業展開に必要な資金は十二分に確保されている。
 
 
4四半期ベースで4億円の営業利益の計上が可能な体制が整った。
 
 
09年5月を底に回復基調にあり、10年は第2四半期(7-9月)以降、顧客の生産計画を反映し更に加速する見込み。
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
前期比1.6%の増収ながら、営業利益が5.7倍に拡大する見込み
派遣法の改正に伴う請負ニーズと半導体市況の回復に伴う外部労働力ニーズの取り込みによりアウトソーシング事業の売上が増加。組込みソフトウェア等の受託型業務の比率引き上げに努め、設計開発事業も売上増を図る考え。(株)エイペックスが連結対象から外れるため売上高は同1.6%の増加にとどまるが、これを考慮した実質ベースでは14.1%の増収となる。利益面では、アウトソーシング事業において、既に黒字体質が定着している他、(株)エイペックスが連結対象から外れる事も利益の押し上げ要因となり、営業利益が同5.7倍に拡大する見込み。有利子負債の減少に伴う金融費用の減少等で営業外損益が改善する他、特別損失も一巡。税務上の繰越欠損が残るため税負担も軽く、1,380百万円の当期純利益を確保できる見込み。配当は1株当たり2,400円の期末配当を予定している(配当性向30%以上がコミットメント)。
 
(2)労働者派遣法改正の動向
3月19日に労働者派遣法の改正案が閣議決定され、現在開会中の今国会へ提出された。同社グループでは、請負への移行がほぼ完了している事に加え、製造派遣においても、もともと常用雇用の割合(現在80%程度)が高いため、常用雇用化が推進されても影響は少ない(鳩山首相の退陣等で、法案の成立自体に不透明感が出てきた)。
 
主要改正点
登録型派遣の原則禁止(専門26業務、産前産後代替要員などを除く)
製造業派遣の原則禁止(常用雇用の労働者派遣を除く)
日雇派遣、2か月以下の労働者派遣を禁止(政令で定める例外業務を除く)
グループ企業内派遣会社の同グループ内派遣人員の割合を8割以下
違法派遣の場合に適用する「みなし規定」を新設
派遣料金におけるマージン率等の情報公開を義務化
施行日は公布の日から6カ月以内とするが、前記´△錬廓以内の政令で定める日、また、登録型派遣の一部業務については、さらに2年間の猶予期間を設ける
 
(3)社内計画 「Growth 2012」
現在、同社では社内計画「Growth 2012」(対外的なコミットメントではなく社内目標)を進めているが、同計画では11/3期に売上高224.4億円、営業利益20.3億円、経常利益19.1億円、当期純利益16.3億円、12/3期に売上高293.1億円、営業利益30.2億円、経常利益29.0億円、当期純利益24.8億円の達成を目指している。

発表されている11/3期の営業利益予想は16.7億円だが、主力のアウトソーシング事業において、稼動数が4,000人を超え、月次ベースで1.7億円の営業利益を上げる体制(月商15億円、売上総利益3億円:売上総利益率20%、販管費1.3億円、営業利益1.7億円)が整ってきた事を考えると、11/3期の業績は利益面で上振れる可能性が高いが、営業利益30億円という来12/3期の目標を達成するためには売上の拡大ピッチを更に加速させていく必要がある。

同社は12/3期の目標達成を確実なものとするための施策として、.ぅ鵐魯Ε好轡Д△琉き上げ(既存顧客内でのシェア・アップ)、⊃卦開拓による顧客数の増加、及びE樟匏織ぅ鵐魯Ε好愁螢紂璽轡腑鵝文楜劼慮把衄馼蘆瓦亡麝燭垢襯愁螢紂璽轡腑鵑猟鷆 砲3項目を挙げており、重点的に取り組んでいく考えだ。
 
ヾ存顧客内でのシェア・アップ
メーカー各社は、派遣法改正等も睨み、今後、派遣から業務委託(同社ら見た場合、請負)へシフトしていくものと思われるが、同社ではこれをビジネスチャンスと考えている。具体的には、現在、同社の取引先は1工場当たり平均3ラインを有し6社の派遣会社を利用しているが、業務委託(請負)にシフトする事で1ラインに付き委託会社1社の体制に移行するものと思われる。このため、派遣から業務委託へシフトするニーズを取り込む事ができれば、既存顧客内でのシェア・アップを図る事ができる。同社では、今期中に稼動人員を5,000人超に引き上げる事で月商18.5億円体制を確立し(売上総利益率20%、販管費1.5億円、営業利益2.2億円)、目標とする12/3期営業利益30億円達成のための基盤固めを図りたい考え。尚、現在、100工場で約4,000人が稼動しており、平均すると1工場当たり40人になるが、5,000人体制の確立はこれを50人に引き上げる事になる。
 
⊃卦開拓による顧客数の増加
上記の既存顧客の深耕に加え、新規開拓も進める考えで、ピーク時の170工場から、現在100工場へ減少している案件数を130工場に引き上げる。一般に顧客数を増やす事は管理費の増加要因となるが、収益の拡大とリスク分散による安定収益の確保を両立するためには、顧客基盤の拡充も重要なポイントとなる。
 
E樟匏織ぅ鵐魯Ε好愁螢紂璽轡腑鵝文楜劼慮把衄馼蘆瓦亡麝燭垢襯愁螢紂璽轡腑鵑猟鷆 
顧客の従業員(構内作業業員)を同社に転籍させる事で、顧客の固定費負担軽減ニーズに応えつつ、同社の稼動人員の増加を図っていく。既に宮城県所在の工場で実績があり、この実績を基に転籍型のインハウスソリューションとして本格展開していく。

尚、現在の環境では、自力でのシェア拡大が可能と考えているため、当面、M&A戦略はとらず、自力成長の戦略を進めていく考え。
 
 
取材を終えて
過去数年間、足かせとなっていたバランスシート懸念が一掃された事で、同社は、11/3期以降、攻めの経営へ転じる考えだ。既に説明した通り、10/3期はミクロ技研(株)や(株)エイペックスが連結対象から外れた事で財務内容が劇的に改善され、大幅な減益となったもののキャッシュ・フローも見違えるように改善した。また、今後は為替の影響による営業外損益の振れも無くなる。世界経済に予想外の大きな変調が無い限り、11/3期の利益は上振れする可能性が高く、また、来期30億円の営業利益を達成するための具体的な施策も示された。
しかし、株価は同社の変化を未だ織り込んでおらず、現在、予想PER 5.3倍、配当利回り6.9%の水準にある。過去数年間の苦戦を考えると止むを得ない面もあるが、今後、同社に対する理解が進み、認識が改まれば、同社の株価は我々が適性価格と考える70,000〜80,000円へ水準訂正していくものと思われる。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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