ブリッジレポート
(4301:東証1部) アミューズ 企業HP
畠中 達郎 社長
畠中 達郎 社長

【ブリッジレポート vol.32】2011年3月期業績レポート
取材概要「エンターテイメント市場全体に明るい話題が少ない中、所属アーティストの代表格と言える桑田佳佑の病気療養、年度末に東日本を襲った大震災は・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年6月14日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社アミューズ
社長
畠中 達郎
所在地
東京都渋谷区桜丘町 20-1 渋谷インフォスタワー
事業内容
サザンオールスターズ・福山雅治・ポルノグラフィティなどのミュージシャン、富田靖子・三宅裕司・深津絵里・岸谷五朗などの俳優、その他文化人まで、219組のアーティストのマネージメントのほか、映画やTV番組制作など各種映像ソフトの製作・販売、海外舞台の招聘・携帯やPC でのサイト運営やコンテンツ配信など、エンターテインメント事業を幅広く展開しています。
決算期
3月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年3月 26,122 2,161 2,120 1,136
2010年3月 28,740 1,268 1,205 -880
2009年3月 32,185 3,282 3,236 1,552
2008年3月 23,684 1,200 1,204 582
2007年3月 24,914 566 565 185
2006年3月 29,440 1,801 1,798 897
2005年3月 24,377 1,378 1,382 761
2004年3月 26,243 1,813 1,828 972
2003年3月 28,145 2,905 2,723 1,086
2002年3月 23,360 1,632 1,603 1,019
2001年3月 19,755 2,236 2,039 543
2000年3月 15,079 860 649 344
株式情報(6/2現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
884円 9,237,257株 8,165百万円 10.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 3.4% 80.02円 11.0倍 1,273.85円 0.7倍
※株価は6/2終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
アミューズの2011年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
アミューズグループは、コンテンツ(音楽、映像、演劇等エンターテインメントの領域において、アーティストが創作する楽曲、アーティストが実演又は出演する作品及び製作又は買付けした映像作品等に関して得られる原盤権、音楽著作権、商標権、肖像権、商品化権、映像海外販売権、テレビ放映権、ビデオ化権、劇場配給権などの権利)を生み出すアーティストを発掘・育成し、彼等に様々な形での創作活動を行う機会と場所を提供し、支援するとともに、外部の優良なコンテンツを探し出している。そのコンテンツをより多く保有し、有効に活用することが事業の根幹となる。
アミューズ(amuse)という社名には「人を楽しませる・喜ばせる」 という意味がある。更にはギリシア神話に登場する 「文芸や音楽などの芸術をつかさどる9人の女神」を意味する「ミューズ(muse)」を掛け合わせている。
 
<事業内容>
主な事業は、アーティストの活動を中心とした「アーティストマネージメント事業」(11/3期売上構成比63.6%)、映像作品の企画制作・販売を中心にした「メディアビジュアル事業」(同27.7%)、日々の事業活動から生まれる各種権利を管理保有し活用する「コンテンツ事業」(同8.6%)。
 
アーティストマネージメント事業
アーティストとの間でマネージメント専属契約を締結し、出演業務等全般的な活動をマネージメントする。主な収入は、1)印税による収入、2)CD等の発売による収入、3)コンサートや演劇等の公演による収入、4)アーティストの出演業務による収入、5)アーティストファンクラブによる収入、6)キャラクター商品等の販売による収入、など。
 
メディアビジュアル事業
大別すると、テレビ番組企画制作と映画製作・買付け及びDVDの仕入・製造・販売業務がこのセグメントに計上される。但し、映像作品の収入については初回収益計上日より2年以内に計上される収入を同セグメントに計上し、2年超経過後に計上される収入はコンテンツ事業に計上している。
テレビ番組制作では、放送局から制作依頼を受けた番組の制作及び番組の企画制作を手掛ける。劇場・DVD用映像作品については、当社及び子会社が製作・買付けした作品から、劇場配給権、ビデオ化権、テレビ放映権、商品化権、その他保有する権利に基づいて、映画の興行収入、DVD等の映像作品の製造・販売による収入又はテレビ放映権の販売、映画関連のグッズ販売による収入を得ている。
 
コンテンツ事業
楽曲については、原盤権、音楽著作権などの権利を管理し、CDの販売枚数や楽曲の使用状況に応じて、レコード会社等から支払われる原盤印税や社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)等から分配される著作権印税のうち、過去において蓄積されてきた旧譜に係る権利から得られる収入を同セグメントに計上している(アーティストマネージメント事業の新譜による印税収入と区別)。
映像作品については、製作・買付をした作品に関して獲得した権利を活用することにより、初回収益計上日より2年超経過後の収入を計上している。
 
 
 
2011年3月期決算
 
 
不測の事態に直面するも、会社計画を上回る利益を確保
2011年3月期は、前期比9.1%減収、同70.4%営業増益となった。2011年3月期は、所属アーティストである桑田佳祐の病気療養という不測の事態に直面したうえ、東日本大震災の影響からイベントの延期や中止が生じるなど、困難な局面が相次いだ決算期となったこともあり、営業収入段階では会社計画を下回った。
しかし、若手アーティストを中心にメディア出演を積極的に行ったこと、効果的なDVD販売による収益性拡大、映像ソフトの制作・製造・販売等を手掛ける連結子会社アミューズソフトエンタテイメントの経営効率化、などを主因に大幅営業増益を実現、会社計画に対しても20.7%の過達で着地した。
なお、前期計上したメディアビジュアル事業再編損(1,579百万円)といった大きな特別損失計上がなかったこともあり、当期純利益は黒字転換を果たしている。
 
 
アーティストマネージメント事業
2011年3月期は、前期比12.0%減収、同18.1%営業減益。上野樹里、三浦春馬、佐藤健、吉高由里子、仲里依紗といった若手アーティストに加え、福山雅治、大泉洋など多数のアーティストが積極的にメディア展開したこと、音楽事業において、音楽パッケージ、グッズバンドルの販売が拡大したこと、イベント会場でのグッズ販売及びファンクラブ会員収入が堅調に推移したこと、といったポジティブな動きがみられた。しかし、前期に比べ大型のコンサートツアーや舞台公演が減少したことによるイベント収入の減少をカバーするには至らなかった。
 
メディアビジュアル事業
2011年3月期は、前期比6.9%減収となったものの、営業黒字転換を実現した。自社アーティスト出演作品への集中に伴い作品数の効率化を進めたため、全体の営業収入が前期比マイナスに留まった。しかし、上野樹里主演「のだめカンタービレ最終楽章前編、後編」、福山雅治主演「龍馬伝 完全版」のDVD販売が好調に推移したこともあり、営業利益段階では黒字転換を果たした。同セグメントの中核企業であるアミューズソフトエンタテイメントが経営効率化を図ったことによるコスト削減効果も大きかったとみられる。
 
コンテンツ事業
2011年3月期は、前期比9.1%増収、6.1%営業増益で着地した。サザンオールスターズ、福山雅治、ポルノグラフィティなどによる旧譜楽曲の販売や、福山雅治、原由子のベストアルバムが好調に推移した影響が大きかった。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
11/3期末の総資産は18,257百万円。棚卸資産の減少、固定資産除売却が減少要因となったものの、営業活動に伴い現預金が順調に増加、総資産の拡大に繋がった。 キャッシュ・フローでは、税金等調整前当期純利益の増加、営業債権減少、棚卸資産減少が営業CFにポジティブインパクトを与えた。投資CF、財務CFは概ね前期並みとなった。
 
 
 
2012年3月期業績予想
 
 
2012年3月期は踊り場局面を迎える見通し
2012年3月期は、前期比6.3%減収、同27.8%営業減益を予想。東日本大震災が、日本経済の更なる低迷、広告宣伝の自粛、電力不足によるコンサート開催の見直し、等に与える影響を現段階で計数化することは困難である。このような環境下、同社はライブエンターテイメント活動の拡大を成長ドライバーとして据える一方、収益性の高いCM収入の減、前期のような大型作品及びベスト盤を期初段階では織り込んでいないこと、等を背景に、全体業績は踊り場を形成するとの見通しを持っている。
なお、東日本大震災の復興支援に伴い義援金の寄付を予定している。その特別損失を期初計画に織り込んだことから、当期利益の前期比減益幅が大きくなっている。
 
アーティストマネージメント事業
アーティストマネージメント事業は、前期比5.8%増収、17.4%営業減益を予想。ライブエンターテインメント活動の強化に加え、グッズ販売事業、ファンクラブ事業の連動、拡充に注力していく計画。若手アーティストを中心にCM、テレビ、映画などへの出演にも積極的に取り組んでいく。主なイベント収入としては、福山雅治全国アリーナツアー(4/16〜11/20)、flumpoolホールツアー(4/9〜8/19)などを計画。CD発売による印税収入源としては、桑田佳佑9年ぶりのソロアルバム「MUSICMAN」、ポルノグラフィティ初の月9ドラマ主題歌「EXIT」、PerfumeのダブルAサイドシングルCD「レーザービーム/微かなカオリ」などに期待が寄せられる。収益面では、収益性の高いCM収入が前期好調の反動から減少する見込みであるため、セグメント利益は前期比減益となる見通し。
 
メディアビジュアル事業
メディアビジュアル事業は、前期比28.2%減収、53.0%営業減益を見込む。映像事業においては、「東京公園」(三浦春馬主演)、「しあわせのパン」(大泉洋主演)、「一命」(第64回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品)を展開。DVD販売事業では、「大切なことはすべて君が教えてくれた」(三浦春馬主演)、「サイン」など、バラエティ、音楽、舞台作品なども含めた商品ラインナップを展開する計画。
 
コンテンツ事業
コンテンツ事業は、前期比24.7%減収、13.2%営業減益を想定。配信市場の停滞、前期のようなベスト盤のリリースがないため、減収減益となろう。
 
 
今後の成長戦略
 
今後の成長戦略を語る上での基本戦略は、「既存コア事業の強化」と「アジアを中心とした新市場への本格展開」に変わりない。
近年、ユーザーの音楽や映像の楽しみ方が大きく変化しており、以前ほどパッケージが売れなくなっているのが実状である。一方、コンサートや舞台などに対するニーズは年々高まっている。よって、如何にユーザーニーズに応えたエンターテインメントを提供していけるかが今後の鍵となる。同社は数年前より、アナログな「ライブ」の価値を高めるため、「ライブイズム(ライブ至上主義という意味の造語)」をスローガンに、ミュージシャンのコンサートはもちろん、所属俳優たちによるオリジナル舞台制作や海外舞台の招聘など、積極的にライブビジネスを展開してきた。その成果はイベント収入の増加という形で既に具現化している。
そもそも同社の強みの源泉は、アーティストマネージメントを中核にビジネスモデルを展開している点にある。定期的なオーディションの実施、全国にネットワークをもつ新人発掘の仕組みを活用することで、長期に亘り、様々なジャンルのアーティストを発掘・育成してきた。今後も引き続き新人の発掘・育成に注力しつつ、近年成長著しい若手アーティストの様々な活動をマネージメントするアーティストマネージメント事業を強化していくことが主軸となる。更には映画やTV番組等の映像制作、コンサート及び舞台の制作、各種アーティストグッズの制作、アーティストから派生するビジネス全般も手掛けるなど、徹底してグループ間シナジー極大化を図っていく。
新たな取組みとして注目したいのはODS事業である。ODSとはOnline Digital Sourceの略で、映画作品以外のスポーツやコンサート中継などを衛星や光回線を介して上映するものである。同社では、同事業のトライアルとして2010年12月8日に横浜アリーナで開催された宇多田ヒカル「WILD LIFE」コンサート、同年12月30日にZepp Tokyoで開催されたアミューズ若手俳優のファン感謝イベント「SUPERハンサムLIVE」、同年12月31日にパシフィコ横浜で開催された福山雅治の年越しライブ「福山☆冬の大感謝祭其の十」、計3本のライブ・ビューイングを手掛けた。福山雅治の年越しライブは全国90スクリーンで上映され、計2万人を動員するなど、本格的な事業化に向け手ごたえを掴んだようである。同事業を手掛ける螢薀ぅ屐Ε咼紂璽ぅ鵐亜Ε献礇僖鵑2011年6月2日に設立し、更なる事業拡大を推進する計画である。同社の出資比率は47.5%で、当初は持分法適用会社とする予定。その他の出資者は、ファミリーマート42.5%、博報堂キャスティング&エンタテインメント5%、WOWOW5%となっている。ネットワーク、メディア、インフラが揃った顔ぶれからは、ODS事業からの発展的拡大にも期待したいところである。
 
 
中期的利益成長を確かなものとするために、アジア市場への進出についても積極的に取り組んでいく。創業者である大里洋吉氏が代表取締役会長に就任(予定・旧役職は最高顧問)することがその証左と言えよう。かつて香港や北京、上海への進出を目論んだ経験を生かし、アジア展開の陣頭指揮を執るとのことである。 具体的には、まず最初に韓国、台湾での成功を目指し、最終的には中国本土への進出を目論んでいる。Amuse Koreaでは既に5人の練習生が稼動しており、今後の展開には注目したい。
 
 
取材を終えて
エンターテイメント市場全体に明るい話題が少ない中、所属アーティストの代表格と言える桑田佳佑の病気療養、年度末に東日本を襲った大震災は、同社を相当困難な状況に陥れたといって過言ではないだろう。しかし、従来から様々なジャンルにおいてアーティストの発掘・育成に注力してきたことが功を奏し、営業利益計画を過達としたことは評価に値する。今しばらくは厳しい環境が続くことが見込まれるものの、若手を中心としたアーティストのマネージメント事業及び関連事業(グッズ販売やファンクラブ収入など)の拡充に期待したい。とは言え、飽和傾向にある日本市場だけで株式市場が求める利益成長を維持し続けることは、同社と言えども簡単なことではない。本格稼動し始めたアジア市場での展開が今後重要となるだろう。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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