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(2146:JASDAQ) UTホールディングス 企業HP
若山 陽一 社長
若山 陽一 社長

【ブリッジレポート vol.20】2015年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「14年12月の有効求人倍率が過去最高の1.15倍を記録する等、労働需給はひっ迫しており、同社においては、“数は取れているが、当初の想定・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年3月10日掲載
企業基本情報
企業名
UTホールディングス株式会社
社長
若山 陽一
所在地
東京都品川区東五反田1-11-15 電波ビル
事業内容
製造・建設・設計開発分野の正社員派遣事業を中心に雇用需給調整サービスも展開。待遇向上とキャリアアップの諸制度により、業界No.1の従業員定着率を誇る。
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年3月 30,779 1,824 1,754 934
2013年3月 27,854 1,473 1,388 922
2012年3月 24,106 1,453 1,379 880
2011年3月 20,227 1,442 1,309 766
2010年3月 18,056 290 182 -1,401
2009年3月 40,694 1,793 603 -10,861
2008年3月 51,787 4,200 3,473 1,203
株式情報(2/13現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
440円 38,548,700株 16,961百万円 32.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.00円 0.0% 28.52円 15.4倍 79.58円 5.5倍
※株価は2/13終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
UTホールディングスの2015年3月期第3四半経決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
製造・建設・設計開発分野の正社員派遣事業を中心に雇用需給調整サービスも展開。新規の顧客開拓力と業界No.1の従業員定着率を強みに、順調に稼動数を伸ばしている。同社自身は純粋持株会社としてグループを統括し、実際のサービス提供は連結子会社5社が担う。
 
 
【事業内容】
事業セグメントは、アウトソーシング事業の単一セグメント。製造派遣・請負を中心に、設計開発技術者派遣及び建設技術者派遣を手掛ける。10/3期は半導体・電子部品分野の売上が全体の91.2%を占めていたが、リーマン・ショック以降、幅広い分野で受注活動を展開しており、継続的に半導体・電子部品分野の比率が低下している。
14/3期は、半導体・電子部品分野が42.4%に低下し、次いでパナソニックバッテリーエンジニアリング(株)を子会社化した効果もあり、環境・エネルギー分野(太陽電池・2次電池等)が25.8%、以下、自動車関連分野14.1%、住宅分野9.4%、その他8.4%。

中期的な目標として、電池を中心に環境・エネルギー30%以上、自動車関連20%程度としており、半導体向けについては、現在の売上水準を維持しつつ40%以下への引き下げを目指している。
 
主な製造派遣分野と取引先
半導体・電子分野    ソニーグループ、東芝グループ、パナソニックグループ
自動車関連分野     アイシン精機、ダイハツ工業
環境・エネルギー分野  パナソニックグループ、日立マクセル
住宅関連        LIXIL、YKKAP
 
【差別化従業員の定着率No.1】
同社は、取引先と従業員を2大カスタマーとして位置付けており、従業員に対しては、福利厚生に加え、教育訓練制度、評価制度、エントリー制度(幹部社員への登用制度、立候補)、更にはESOP(Employee Stock Ownership Plan:株式給付信託)の導入等で従業員と会社の一体感を醸成する事で定着率を高め、業界で最も低い離職率を実現している。
 
 
ESOPでは、同社グループの派遣・請負職場で働く従業員に、勤続や成果に応じてポイントを付与し、退職時に累積したポイントに相当する同社株式を給付する。
 
尚、同社の離職率は4%程度。契約期間が総じて短い自動車等へ客層を広げたため(顧客との契約終了時に離職してしまうケースが多い)、半導体に特化していた頃の2%程度からは上昇しているものの、業界平均の8%を大きく下回り、顧客から高く評価されている。
 
 
 
 
 
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
東証発表の「決算短信集計」によると、14年8月15日現在の東証1部上場企業の13年度のROEは、金融を除く全産業8.66%(前期は5.33%)、製造業8.55%(同4.81%)、非製造業8.81%(同6.07%)。同社は、高い利益率と資産効率を維持しつつ、レバレッジを効かせる事で東証上場企業の平均を上回る高いROEを実現している。また、5期連続で増配を実施し、このうち過去4期間は配当性向が50%を超える等(12/3期配当性向:60.4%、13/3期 同:54.9%、14/3期 同:56.3%)、株主還元に厚く、ESOPに伴う自社株買いも適宜実施している。こうした株主還元や株主づくりの地道な取り組みも、高いROEの原動力になっている。

また、30%を超える高水準のROEを、単年度ではなく、継続している事も同社の特徴。下記の同業者のROEの推移をみればわかるように、資産効率に優れ、ROEの高い業界ではあるが、業界の有力企業と言えども、30%超のROEを継続する事は難しい。
 
 
 
2015年3月期第3四半期決算
 
 
既存顧客内のシェア拡大で稼働人数が過去最高を更新
売上高は前年同期比18.9%増の269億40百万円。既存顧客の追加受注に伴う顧客内シェアの拡大に加え、工場数が430工場と前期末に比べて17工場増加。分野別では、半導体・電子部品分野に加え、自動車関連分野、環境・エネルギー分野といった非半導体・電子分も順調に伸びた。

営業利益は同34.3%増の15億17百万円。新たな事業所の立ち上げが必要ない既存顧客中心の売上増だったため売上総利益率が18.5%と1.3ポイント改善し、営業活動強化に伴う人件費や採用活動強化に伴う募集費(主に求人広告費)を中心にした販管費の増加を吸収した。四半期純利益が9億29百万円と同91.6%増加したのは、特別損失の減少による(3億01百万円→31百万円)。

ただ、売上総利益率が想定したほどに改善しない中、販管費が想定を大きく上回ったため、営業利益は計画の16億円に届かなかった。売上総利益率については、短期の派遣が多い自動車関連において、第3四半期(10-12月)に退職者が多かった(退職金が発生する)事に加え、休日・夏季休暇等による非稼働日が多かった事等が要因。一方、販管費は、旺盛な人材需要に応えるべく採用活動を積極化し事が要因だ。

尚、第3四半期末の稼働人数は8,807名(前年同期末7,641名、前期末7,768名)。顧客工場数は430工場(同407工場、同413工場)。第3四半期末のバックオーダー数(受注残)は1,176人を数える。
 
 
 
各業種で顧客は分散しており、上位5社の構成比は、半導体・電子部品分野20%、環境・エネルギー分野18%、自動車関連分野6%。
 
 
業容拡大に伴い第3四半期末の総資産は153億34百万円と前期末に比べて32億76百万円増加した。流動比率159.0%(前期末169.7)、固定比率81.5%(同91.3%)、自己資本比率21.2%(同25.7%)。営業力、募集力、工場運営のノウハウに加え、流動性に富み、かつ、長期的な安全性にも優れた財務体質も同社の強みだ。
 
 
2015年3月期業績予想
 
 
5期連続の増収・増益へ
追加受注に伴う既存顧客内シェアの拡大と新規顧客から発注で、半導体・電子部品分野、環境・エネルギー分野、及び自動車関連分野を中心に売上高が前期比17.0%増の360億円と伸びる。利益面では、増収効果と既存顧客の深耕による売上総利益率の改善により営業利益が20億円と前期比9.6%増加する見込み。

ただ、営業利益は期初予想の25億円を20%下回る見込み。その要因は、①1億円の利益を見込んでいた再就職支援事業の損益が1億円の損失となる見込みである事、②15年3月卒業予定の新卒者及び16年3月卒業予定の新卒者の採用に使用予定であった費用を約2億50百万円上積みした事、及び③営業関連費用を約50百万円上積みした事の3点。②に関しては、昨今、新卒者の派遣を希望する顧客が増えており、採算も良い事が背景にある。この4月に入社する新卒社員は400名を予定している。
 
 
第4四半期(1-3月)は、稼働日数の減少による売上総利益率の悪化で、前年同期比11.7%の増収ながら、経常利益が同33.5%減少する見込み。
期末稼働人数は9,200名〜9.300名を想定している(前期末7,768名、第3四半期末8,807名)が、自動車関連分野で顧客理由により1、2月の稼働時間が減少するため、売上高は90億59百万円と前年同期比11.7%の増加にとどまる見込み(第3四半期との比較では5.2%減少)。

現状の顧客との契約は、20%が固定額の支払い(同社からみると「受け取り」)で、残り80%が稼働時間に応じた支払いだが(稼働時間に応じた支払い額が変動)、同社の派遣社員の70%が固定給社員(残り30%が日給月給もしくは時給)。第4四半期は1、2月に非稼働日が多く(稼働時間が減少する)、言い換えると、売上が上がらない中で原価が発生する日が多くなる。この結果、売上総利益率が悪化して、人件費や募集費を中心に30%弱増加する販管費を吸収できない(第3四半期との比較では、売上総利益が9.0%減少する一方、販管費が4.5%増加)。
 
(2)第4四半期以降の取り組み
今期は旺盛な人材需要の取り込みが進み、売上高が期初予想を上回るものの、利益面では、売上総利益率が想定を下回る中、募集費が想定以上に嵩むため利益が下振れする。

売上総利益率が想定を下回る原因は、社員への支払い(固定)と顧客からの受け取り(稼働時間で変動)のミスマッチにある。同社はサービス開始にあたって契約書に謳われた社員数を確保するが(原則として正社員)、顧客からの支払いは稼働時間に応じて変動する。このため、休日は売上が立たない中で原価だけが発生する事になり、特に5月や8月は毎年大きな影響が生じると言う。シフト勤務のため稼働時間の変動がなかった半導体・電子部品分野の売上構成比が高かった頃は問題にならなかったが、稼働時間の変動が大きい自動車関連の売上構成比が高まった事で、その影響が無視できないものになってきた。

同社は売上総利益率の変動を抑えるための施策として、①収益性の高い新たな事業所の開設、②大口案件(50名以上)の新たな獲得、③収益性の高い分野への人材配置転換、及び④契約にあった給与体系への変更、の四項目を挙げている。これら施策に上期から取り組んでいるが、いずれも短期間で成果をあげる事は難しく、今期の売上総利益率の計画を19.1%から18.4%へ引き下げた。来期以降も継続して取り組んでいく考えだが、④契約にあった給与体系への変更については、他の施策に比べて比較的早期に成果をあげる事ができそうだ。具体的には、長期就労に対するインセンティブ制度やキャリアアッププランの拡充で社員に配慮しつつ、顧客との契約内容に応じて日給・月給や時給を導入していく。逆に企業との間で固定支払についての交渉も進めていく。もともと稼働時間の変動がない半導体・電子部品分野で事業を拡大させ、数年前までは同分野が売上の大半を占めていたため、営業交渉上、固定支払について意識してこなかったと言う。このため、固定支払について、交渉の余地は大きいようだ。

一方、上昇が続く募集費への対策としては、採用効率の向上と退職の抑制を挙げている。採用効率の向上については、これまで手薄だったWeb周りの求人広告で露出度を高める考え。採用率は現在の30%程度を維持するが、応募者数を現在の月間1,500名から引き上げる事で採用者数を増加させる。また、面接は実施したが、採用是非の検討中に他社に就職してしまった、というケースも少なくないため募集から採用までの期間を短縮して取りこぼしを防ぐ他、これまでは応募者が希望する事業所(工場)が定員に達していると応募を断っていたが、今後は他の事業所を紹介する事で就業ニーズを汲み上げていく。
 
(5)株主への利益還元
同社は利益成長と株主還元を重視しており、「EPS成長率30%以上(5ヵ年計画の平均成長率)」及び「総還元性向50%以上(13/3期第2四半期に配当性向30%から変更)」をコミットメントしている。
 
・EPS成長率 30%以上 (5ヵ年計画の平均成長率)
・総還元性向 50%以上 (2013年3月期 第2四半期に配当性向30%から変更)
 
15/3期については、同社グループの創業20周年を記念する共に、資本効率の向上と需給の改善による株式の価値向上も考慮して、株主への利益還元を大幅に増額する考え。具体的には、配当は行わず、当期純利益の90.9%にあたる10億円を上限に自社株買いを実施する。
 
 
今後の注目点
14年12月の有効求人倍率が過去最高の1.15倍を記録する等、労働需給はひっ迫しており、同社においては、“数は取れているが、当初の想定以上にコストがかかっている”、といった状態だ。しかし、「来期以降の収益基盤確立に向け、派遣需要が旺盛な今こそ先行投資として積極的な採用が必要」と言うのが同社の考え。修正された通期の業績予想は、更なる採用コストの増加と再就職支援事業の撤退等を織り込みつつ、引き続き積極的な事業展開を進めていくと言う同社の意志が示されている。15/3期の通期予想は上方修正された売上高も含めてボトムライン、と考えて良さそうだ。
一方、来期以降については、勢いを増す人材需要と言う好材料がある一方、募集費を中心にした一段のコスト増を前提とする必要があり、加えて、これまで見込んでいた新規事業(再就職億支援事業)の寄与も見込めなくなった。このため、16/3期中に四半期売上高100億円、営業利益7億円体制を確立し、17/3期は売上高400億円、営業利益28億円をボトムに上積みを図るといったイメージのようだ。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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